ドンペリドン錠10mg「NIG」
添付文書情報2023年11月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
2.3. 消化管出血、機械的イレウス、消化管穿孔の患者[症状が悪化するおそれがある]。
2.4. プロラクチン分泌性下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)の患者[抗ドパミン作用
によりプロラクチン分泌を促す]。
- 効能・効果
- 成人:
次記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気);1)慢性胃炎、胃下垂症、胃切除後症候群、2)抗悪性腫瘍剤投与時またはレボドパ製剤投与時。
小児:
次記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気);1)小児周期性嘔吐症、小児上気道感染症、2)抗悪性腫瘍剤投与時。
- 用法・用量
- 成人:
通常、ドンペリドンとして1回10mgを1日3回食前に経口投与する。ただし、レボドパ製剤投与時にはドンペリドンとして1回5~10mgを1日3回食前に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
小児:
通常、ドンペリドンとして1日1.0~2.0mg/kgを1日3回食前に分けて経口投与する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
ただし、1日投与量はドンペリドンとして30mgを超えないこと。
また、6歳以上の場合はドンペリドンとして1日最高用量は1.0mg/kgを限度とすること。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 間脳の内分泌機能調節異常、錐体外路症状等があらわれることがあるので、本剤の投与に際しては、有効性と安全性を十分考慮のうえ使用すること〔9.7小児等の項、11.1.2参照〕。
8.2. 眠気、めまい・ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に注意させること。
9.1.1. 心疾患のある患者:QT延長があらわれるおそれがある。
腎機能障害患者:副作用が強くあらわれるおそれがある。
肝機能障害患者:副作用が強くあらわれるおそれがある。
- 相互作用
- 本剤は主にCYP3A4で代謝される〔16.4.1参照〕。
10.2. 併用注意:1). フェノチアジン系精神神経用剤(プロクロルペラジン、クロルプロマジン、チエチルペラジン等)、ブチロフェノン系製剤(ハロペリドール等)、ラウオルフィアアルカロイド製剤(レセルピン等)[内分泌機能調節異常又は錐体外路症状が発現しやすくなる(フェノチアジン系精神神経用剤、ブチロフェノン系製剤は中枢性の抗ドパミン作用を有し、ラウオルフィアアルカロイド製剤は中枢でカテコールアミンを枯渇させる、一方、本剤は血液-脳関門を通過しにくいが強い抗ドパミン作用を有する)]。
2). ジギタリス製剤(ジゴキシン等)[ジギタリス製剤飽和時の指標となる悪心・嘔吐・食欲不振症状を不顕化することがあるので、ジギタリス製剤の血中濃度のモニターを行う(本剤は制吐作用を有する)]。
3). 抗コリン剤(ブチルスコポラミン臭化物、チキジウム臭化物、チメピジウム臭化物水和物等)[本剤の胃排出作用が減弱することがあるので、症状により一方を減量、中止するか、又は必要に応じて間隔をあけて投与する(抗コリン剤の消化管運動抑制作用が本剤の消化管運動亢進作用と拮抗する)]。
4). 制酸剤<PPI・H2ブロッカー以外>、H2受容体拮抗剤(シメチジン、ラニチジン等)、プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール等)[本剤の効果が減弱するおそれがあるので、両剤の投与時間を考慮する(胃内pHの上昇により、本剤の消化管吸収が阻害される)]。
5). CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、エリスロマイシン等)〔16.7.1、16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が上昇する(強力又は中程度のCYP3A4阻害作用により本剤の代謝が阻害される)。また、エリスロマイシンとの併用においては、QT延長が報告されている(強力又は中程度のCYP3A4阻害作用により本剤の代謝が阻害される)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):ショック、アナフィラキシー(発疹、発赤、呼吸困難、顔面浮腫、口唇浮腫等)を起こすことがある。
11.1.2. 錐体外路症状(0.1%未満):後屈頸、眼球側方発作、上肢伸展、振戦、筋硬直等の錐体外路症状があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止すること(なお、これらの症状が強い場合には、抗パーキンソン剤を投与するなど適切な処置を行うこと)〔8.1、9.7小児等の項参照〕。
11.1.3. 意識障害、痙攣(いずれも頻度不明)〔9.7小児等の項参照〕。
11.1.4. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
- 11.2. その他の副作用
1). 肝臓:(0.1%未満)肝機能異常(AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、ビリルビン上昇、Al-P上昇、LDH上昇等)。
2). 内分泌:(0.1%未満)女性化乳房、プロラクチン上昇、乳汁分泌、乳房膨満感、月経異常。
3). 消化器:(0.1~5%未満)下痢、(0.1%未満)便秘、腹痛、腹部圧迫感、口渇、胸やけ、悪心、嘔吐、腹部膨満感、(頻度不明)腹部不快感、腹鳴、腸痙攣。
4). 循環器:(0.1%未満)心悸亢進、(頻度不明)QT延長。
5). 皮膚:(0.1%未満)じん麻疹、発疹、皮膚そう痒。
6). その他:(0.1%未満)口内のあれ、発汗、眠気、動揺感、めまい・ふらつき。
発現頻度はナウゼリン錠、細粒及びドライシロップの使用成績調査を含む。
- 高齢者
- 減量するなど注意すること(一般に高齢者では生理機能が低下している)〔15.1参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験(ラット)で骨格異常、内臓異常等の催奇形作用が報告されている)〔2.2参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討し、投与する場合は大量投与を避けること(動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている)〔16.3.4参照〕。
- 小児等
- 特に1歳以下の乳児には用量に注意し、3歳以下の乳幼児には7日以上の連用を避けること。また、小児等の脱水状態、小児等の発熱時等では特に投与後の患者の状態に注意すること。小児において錐体外路症状、意識障害、痙攣が発現することがある〔8.1、11.1.2、11.1.3参照〕。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報外国において本剤による重篤な心室性不整脈及び突然死が報告されており、特に高用量を投与中の患者又は高齢の患者で、これらのリスクが増加したとの報告がある〔9.8高齢者の項参照〕。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人10例にドンペリドン10mgを絶食下単回経口投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった。
単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.1.2 生物学的同等性試験
〈ドンペリドン錠5mg「NIG」〉
(1)ドンペリドン錠5mg「NIG」とナウゼリン錠5を、クロスオーバー法によりそれぞれ2錠(ドンペリドンとして10mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
〈ドンペリドン錠10mg「NIG」〉
(2)ドンペリドン錠10mg「NIG」とナウゼリン錠10を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ドンペリドンとして10mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血清中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
血清中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
外国人健康成人7例にドンペリドン60mgを絶食下単回経口投与したときのバイオアベイラビリティは12.7%であった。
16.3 分布
16.3.1 体組織への分布
ラットに14C‐ドンペリドン2.5mg/kgを経口及び静脈内投与したとき、いずれも腸管組織、肝臓、膵臓等に高濃度に分布したが、脳への分布は極めて低かった。また、蓄積性も認められなかった。
16.3.2 血液-脳関門通過性
ラットに14C‐ドンペリドン2.5mg/kgを経口投与したとき、脳内放射能濃度は投与後0.25~1時間で最高となり、その後定常状態に達した時点では血漿中放射能濃度の約1/5であった。
16.3.3 血液-胎盤関門通過性
妊娠ラットに14C‐ドンペリドン2.5mg/kgを静脈内又は経口投与したとき、胎盤内放射能濃度は投与1時間後に最高となり、母体血漿中放射能濃度に比べ静脈内投与では2.7倍、経口投与では2倍であった。
16.3.4 母乳中への移行性
授乳ラットに14C‐ドンペリドン2.5mg/kgを静脈内又は経口投与したとき、乳汁中放射能濃度は静脈内投与後30分、経口投与後1~2時間で最高に達した。[9.6参照]
16.3.5 血漿蛋白結合率
ヒト血漿蛋白結合率は次のとおりであった(in vitro、外国人データ)。
→図表を見る(PDF)
16.4 代謝
16.4.1 in vitro試験において、ドンペリドンの代謝には、肝チトクロームP450(CYP3A4)が約50%関与することが示された。[10.参照]
16.4.2 外国人健康成人3例に14C‐ドンペリドン40mgを経口投与したとき、尿中の主代謝物はN‐脱アルキル体とその抱合体、糞中の主代謝物は水酸化体であった。
16.5 排泄
外国人健康成人3例に14C‐ドンペリドン40mgを経口投与したとき、4日以内に総放射能の約95%が排泄された。なお、尿中と糞中への排泄の割合は約3:7であった。尿中には投与後24時間以内に大部分が排泄され、24時間後の尿中排泄率は投与量の29.5%であった。一方、糞中には投与量の約66%が投与後4日以内に排泄された。未変化体の尿中排泄率及び糞中排泄率は、それぞれ投与量の0.39%及び約10%であった。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 イトラコナゾール
外国人健康成人15例にドンペリドン(経口剤、20mg注)、単回投与)とイトラコナゾール(200mg/日、5日間反復投与)を併用投与したとき、ドンペリドンのCmax及びAUC0-∞はそれぞれ2.7倍及び3.2倍増加した。[10.2参照]
16.7.2 エリスロマイシン
外国人健康成人32例にドンペリドン(経口剤、10mg/回、1日4回注)、5日間反復投与)とエリスロマイシン(500mg/日、1日3回、5日間反復投与)を併用投与したとき、ドンペリドンのCmax及びAUC(AUCτ及びAUC12h,ss)はそれぞれ約142%及び約167%増加した。
同試験において、QT延長が認められ、その最大値(95%信頼区間)はドンペリドン単独投与では7.52ms(0.602-14.435)、エリスロマイシン単独投与では9.19ms(1.678-16.706)、併用投与では14.26ms(8.014-20.505)であった。[10.2参照]
注)本剤の成人における承認された用法・用量は1回10mg、1日3回である。
18.1 作用機序
ドパミンD2受容体遮断薬である。胃運動の生理的調節において、胃壁内の神経叢ではD2受容体は抑制性の役割を演じているので、D2受容体遮断によって胃運動特異的な促進作用が期待され、消化管運動機能調整薬として用いられる。また、中枢の化学受容器引き金帯でのD2受容体は嘔吐に関与しているので、この部位でのD2受容体抑制による制吐作用も現す。同効薬の中では、ドンペリドンは後者の中枢性制吐作用が強い。
18.2 消化管運動に及ぼす作用
18.2.1 胃運動促進作用
収縮頻度やトーヌスに影響を及ぼさず、胃の律動的な収縮力を長時間(約2時間)増大した(イヌ)。
18.2.2 胃・十二指腸協調運動促進作用
胃の自動運動を増大させると同時に、胃前庭部-十二指腸協調運動を著明に促進した(モルモット摘出胃)。
18.2.3 胃排出能の正常化作用
各種上部消化管疾患患者を対象とした試験で、胃排出能遅延例(胃潰瘍症例を含む)に対しては促進的に、逆に亢進例に対しては抑制的に作用し、障害されている胃排出能を正常化した。
18.2.4 下部食道括約部圧(LESP)の上昇作用
ドンペリドンのLESP上昇作用はガストリンやコリン作動性薬剤に比べて長時間持続した(イヌ、ヒト)。
18.3 選択的な制吐作用
第4脳室底に位置するCTZの刺激を介して誘発される各種薬物(アポモルヒネ、レボドパ、モルヒネ等)による嘔吐を低用量で抑制した(イヌ)。なお、条件回避反応等の中枢神経系に対する作用のED50と制吐作用のED50との間には極めて大きな分離が認められ、選択的な制吐作用を示した。
- 一包可:不可
無包装状態試験:判定不明
- 分割:不可
- 粉砕:不明
粉砕後試験:規格内変化のみ
- 製造販売会社
- 日医工岐阜工場
- 販売会社
- 武田薬品 日医工
おくすりのQ&A
Cost of Concerta (methylphenidate)?
I am curious to find the cost of a month's supply of methylphenidate for ADHD...
初めて質問させていただきます
自分、薬学生で今実習中なのですが、その一貫で今月より始まった選定療養について詳しく調べているところです。...
低用量アスピリン投与時に、逆流性食道炎の予防目的でのタケプロンの投与が保険適用になったと存じますが、摘要欄には予防投与である旨は記載するべきでしょうか?
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