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エビリファイOD錠3mg

販売名
エビリファイOD錠3mg
識別コード
3
薬価
3mg1錠 44.70円
製造メーカー
大塚製薬

添付文書情報2023年10月改定(第4版)

商品情報

薬効分類名
その他の精神神経用剤
一般名
アリピプラゾール口腔内崩壊錠
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
1.1. 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の死亡に至ることもある重大な副作用が発現するおそれがあるので、本剤投与中は高血糖の徴候・症状に注意し、特に、糖尿病又はその既往歴もしくは糖尿病の危険因子を有する患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与することとし、投与にあたっては、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと〔1.2、8.2、8.4、9.1.3、11.1.6参照〕。
1.2. 投与にあたっては、あらかじめ前記副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿、多食、脱力感等の異常に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること〔1.1、8.2、8.4、9.1.3、11.1.6参照〕。
禁忌
2.1. 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある]。
2.2. バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある]。
2.3. アドレナリン投与中<アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く>の患者〔10.1参照〕。
2.4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
効能・効果
1). 統合失調症。
2). 双極性障害における躁症状の改善。
3). うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)。
4). 小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉うつ病・うつ状態の場合、選択的セロトニン再取り込み阻害剤又はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤等による適切な治療を行っても、十分な効果が認められない場合に限り、本剤を併用して投与すること。
5.2. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤を投与する場合には、リスクとベネフィットを考慮すること〔8.12-8.15、9.1.6、15.1.3参照〕。
5.3. 〈小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性〉小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の場合、原則として6歳以上18歳未満の患者に使用すること。
用法・用量
〈統合失調症〉
通常、成人にはアリピプラゾールとして1日6~12mgを開始用量、1日6~24mgを維持用量とし、1回又は2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は30mgを超えないこと。
〈双極性障害における躁症状の改善〉
通常、成人にはアリピプラゾールとして12~24mgを1日1回経口投与する。なお、開始用量は24mgとし、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は30mgを超えないこと。
〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉
通常、成人にはアリピプラゾールとして3mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、増量幅は1日量として3mgとし、1日量は15mgを超えないこと。
〈小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性〉
通常、アリピプラゾールとして1日1mgを開始用量、1日1~15mgを維持用量とし、1日1回経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、増量幅は1日量として最大3mgとし、1日量は15mgを超えないこと。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉本剤が定常状態に達するまでに約2週間を要するため、2週間以内に増量しないことが望ましい〔16.1.2参照〕。
7.2. 〈統合失調症〉本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること[増量による効果の増強は検証されていない]〔17.1.1-17.1.4参照〕。
7.3. 〈統合失調症〉他の抗精神病薬から本剤に変更する患者よりも、新たに統合失調症の治療を開始する患者で副作用が発現しやすいため、このような患者ではより慎重に症状を観察しながら用量を調節すること。
7.4. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉本剤は選択的セロトニン再取り込み阻害剤又はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤等と併用すること[うつ病・うつ状態に対して本剤単独投与での有効性は確認されていない]〔17.1.7、17.1.8参照〕。
7.5. 〈小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性〉開始用量投与時又は3mg未満での調節が必要な場合は、内用液、普通錠又は散を使用すること。
肝機能障害患者
8.1. 〈効能共通〉眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.2. 〈効能共通〉糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の死亡に至ることもある重大な副作用が発現するおそれがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿、多食、脱力感等の高血糖の徴候・症状に注意するとともに、糖尿病又はその既往歴もしくは糖尿病の危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと〔1.1、1.2、8.4、9.1.3、11.1.6参照〕。
8.3. 〈効能共通〉低血糖があらわれることがあるので、本剤投与中は、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状に注意するとともに、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと〔8.4、11.1.7参照〕。
8.4. 〈効能共通〉本剤の投与に際し、あらかじめ糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の死亡に至ることもある重大な副作用及び低血糖が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿、多食、脱力感等)、低血糖症状(脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等)に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること〔1.1、1.2、8.2、8.3、9.1.3、11.1.6、11.1.7参照〕。
8.5. 〈効能共通〉原疾患による可能性もあるが、本剤投与後に病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害があらわれたとの報告があるので、衝動制御障害の症状について、あらかじめ患者及び家族等に十分に説明を行い、症状があらわれた場合には、医師に相談するよう指導すること(また、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察し、症状があらわれた場合には必要に応じて減量又は投与を中止するなど、適切な処置を行うこと)。
8.6. 〈効能共通〉本剤の投与により体重変動(体重増加、体重減少)を来すことがあるので、本剤投与中は体重の推移を注意深く観察し、体重の変動が認められた場合には原因精査(合併症の影響の有無等)を実施し、必要に応じて適切な処置を行うこと。
8.7. 〈効能共通〉他の抗精神病薬を既に投与しているなど血清プロラクチン濃度が高い場合に本剤を投与すると、血清プロラクチン濃度が低下し月経が再開することがあるので、月経過多、貧血、子宮内膜症などの発現に十分注意すること。
8.8. 〈効能共通〉嚥下障害が発現するおそれがあるので、特に誤嚥性肺炎のリスクのある患者に本剤を投与する場合には、慎重に経過を観察すること。
8.9. 〈統合失調症、双極性障害における躁症状の改善、うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉急性に不安、急性に焦燥、急性に興奮の症状を呈している患者に対し、本剤投与にて十分な効果が得られない場合には、鎮静剤の投与等、他の対処方法も考慮すること。
8.10. 〈統合失調症〉興奮悪化、敵意悪化、誇大性悪化等の精神症状が悪化することがあるので、観察を十分に行い、悪化が見られた場合には他の治療方法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
統合失調症の場合、前治療薬からの切り替えの際には前治療薬の用量を徐々に減らしつつ、本剤の投与を行うことが望ましい。
8.11. 〈双極性障害における躁症状の改善〉双極性障害における躁症状が改善した場合には、本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないよう注意すること。
8.12. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること〔5.2、8.13-8.15、9.1.6、15.1.3参照〕。
8.13. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏等があらわれることが報告されている。また、うつ病・うつ状態の場合、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと〔5.2、8.12、8.14、8.15、9.1.6、15.1.3参照〕。
8.14. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉うつ病・うつ状態の場合、自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること〔5.2、8.12、8.13、8.15、9.1.6、15.1.3参照〕。
8.15. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉うつ病・うつ状態の場合、家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること〔5.2、8.12-8.14、9.1.6、15.1.3参照〕。
8.16. 〈小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性〉定期的に安全性及び有効性を評価し、漫然と長期にわたり投与しないこと。
9.1.1. 〈効能共通〉心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者:一過性血圧降下があらわれるおそれがある。
9.1.2. 〈効能共通〉てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣閾値を低下させることがある。
9.1.3. 〈効能共通〉糖尿病又はその既往歴を有する患者、もしくは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者:血糖値が上昇することがある〔1.1、1.2、8.2、8.4、11.1.6参照〕。
9.1.4. 〈効能共通〉不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者:肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている〔11.1.10参照〕。
9.1.5. 〈統合失調症、双極性障害における躁症状の改善、小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性〉自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者:症状を悪化させるおそれがある。
9.1.6. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある〔5.2、8.12-8.15、15.1.3参照〕。
9.1.7. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉脳器質的障害のある患者:精神症状を増悪させることがある。
9.1.8. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉衝動性が高い併存障害を有する患者:精神症状を増悪させることがある。
肝機能障害患者:肝障害を悪化させるおそれがある〔11.1.11参照〕。
相互作用
本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4及びCYP2D6で代謝される〔16.4参照〕。
10.1. 併用禁忌:アドレナリン<アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く><ボスミン>〔2.3参照〕[アドレナリンの作用を逆転させ血圧降下を起こすおそれがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される)]。
10.2. 併用注意:1). アドレナリン含有歯科麻酔剤(リドカイン・アドレナリン歯科麻酔剤)[血圧降下を起こすおそれがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある)]。
2). 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体、麻酔剤等)[中枢神経抑制作用があるので、減量するなど注意すること(ともに中枢神経抑制作用を有する)]。
3). 降圧剤[相互に降圧作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること(ともに降圧作用を有する)]。
4). 抗コリン作用を有する薬剤[抗コリン作用を増強させることがあるので、減量するなど慎重に投与すること(ともに抗コリン作用を有する)]。
5). ドパミン作動薬(レボドパ製剤)[ドパミン作動作用を減弱するおそれがあるので、投与量を調節するなど慎重に投与すること(本剤はドパミン受容体遮断作用を有する)]。
6). アルコール(飲酒)[相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある(ともに中枢神経抑制作用を有する)]。
7). CYP2D6阻害作用を有する薬剤(キニジン、パロキセチン等)〔16.7.1、16.7.2参照〕[本剤の作用が増強するおそれがあるので、本剤を減量するなど考慮すること(本剤の主要代謝酵素であるCYP2D6を阻害するため本剤の血中濃度が上昇するおそれがある)]。
8). CYP3A4阻害作用を有する薬剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)〔16.7.3参照〕[本剤の作用が増強するおそれがあるので、本剤を減量するなど考慮すること(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため本剤の血中濃度が上昇するおそれがある)]。
9). 肝代謝酵素誘導作用を有する薬剤(特にCYP3A4誘導作用を有する薬剤)(カルバマゼピン、リファンピシン等)〔16.7.5参照〕[本剤の作用が減弱するおそれがある(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4の誘導により本剤の血中濃度が低下するおそれがある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 悪性症候群(0.1%):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。
11.1.2. 遅発性ジスキネジア(0.1%):長期投与により、口周部不随意運動等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること(なお、投与中止後も症状が持続することがある)。
11.1.3. 麻痺性イレウス(0.1%):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。
11.1.4. アナフィラキシー(頻度不明)。
11.1.5. 横紋筋融解症(0.1%):CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等に注意すること。
11.1.6. 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(頻度不明):本剤投与中は口渇、多飲、多尿、頻尿、多食、脱力感等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、インスリン製剤の投与などの適切な処置を行うこと(死亡に至るなどの致命的経過をたどった症例が報告されている)〔1.1、1.2、8.2、8.4、9.1.3参照〕。
11.1.7. 低血糖(頻度不明):脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.3、8.4参照〕。
11.1.8. 痙攣(0.4%)。
11.1.9. 無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(0.1%)。
11.1.10. 肺塞栓症、深部静脈血栓症(頻度不明):肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔9.1.4参照〕。
11.1.11. 肝機能障害(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある〔9.3肝機能障害患者の項参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(5%以上)不眠、神経過敏、不安、傾眠、(1~5%未満)めまい、頭痛、うつ病、幻覚、(1%未満)リビドー亢進、リビドー減退、昏迷、自殺企図、攻撃的反応、異常思考、拒食、独語、知覚減退、注意力障害、もやもや感、末梢神経障害、持続勃起、射精障害、勃起不全、失神、感情不安定、錯乱、神経症、妄想、譫妄、躁病反応、精神症状、双極性障害、認知症、健忘、嗜眠、睡眠障害、鎮静、舌麻痺、気力低下、激越(不安、焦燥、興奮)、パニック反応、片頭痛、顔面痙攣、錯感覚、(頻度不明)記憶障害、びくびく感、夢遊症、悪夢、衝動制御障害(病的賭博、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等)、性機能不全、吃音、運動過多、精神的機能障害、感覚障害、眉間反射異常、広場恐怖症、無感情、気分動揺、異常行動、下肢静止不能症候群。
2). 錐体外路症状:(5%以上)アカシジア、振戦、流涎、(1~5%未満)寡動、歩行異常、ジストニア(筋緊張異常)、ジスキネジア、構音障害、筋強剛、(1%未満)嚥下障害、からだのこわばり、筋緊張、口のもつれ、眼瞼下垂、パーキンソン症候群、眼球挙上、眼球回転発作、(頻度不明)錐体外路障害、反射亢進。
3). 循環器:(1~5%未満)頻脈、高血圧、(1%未満)心悸亢進、徐脈、低血圧、起立性低血圧、心電図異常(期外収縮、QT延長、第一度房室ブロック等)、(頻度不明)起立血圧異常、狭心症。
4). 消化器:(1~5%未満)便秘、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、食欲不振、食欲亢進、(1%未満)胃炎、びらん性胃炎、胃腸炎、腸炎、十二指腸炎、消化不良、口内炎、口唇炎、口唇腫脹、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、歯周病、(頻度不明)膵炎、歯肉痛、舌障害、歯知覚過敏。
5). 血液:(1~5%未満)赤血球減少、白血球減少、白血球増多、好中球減少、好中球増多、好酸球減少、単球増多、リンパ球減少、リンパ球増多、ヘモグロビン低下、ヘマトクリット値低下、(1%未満)貧血、赤血球増多、好塩基球減少、好塩基球増多、好酸球増多、単球減少、血小板減少、血小板増多、ヘモグロビン上昇、ヘマトクリット値上昇。
6). 内分泌:(1~5%未満)プロラクチン低下、月経異常、(1%未満)プロラクチン上昇、(頻度不明)血中甲状腺刺激ホルモン増加、卵巣障害。
7). 肝臓:(5%以上)ALT上昇、(1~5%未満)AST上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇、(1%未満)脂肪肝、Al-P低下、LDH低下、総ビリルビン上昇、総ビリルビン低下、(頻度不明)肝炎、黄疸。
8). 腎臓:(1~5%未満)BUN上昇、BUN低下、蛋白尿、尿沈渣異常、(1%未満)クレアチニン上昇、尿糖、尿ウロビリノーゲン上昇、尿ビリルビン上昇、尿中NAG上昇、尿比重上昇、尿比重低下、血中尿素減少、血中尿酸減少、尿量減少、(頻度不明)ケトン尿。
9). 泌尿器:(1~5%未満)尿潜血、(1%未満)排尿障害、血尿、膀胱炎、尿閉、頻尿、多尿、(頻度不明)尿失禁。
10). 過敏症:(1%未満)発疹、光線過敏性反応、湿疹、紅斑、そう痒症、酒さ、(頻度不明)血管浮腫、蕁麻疹、薬物過敏症。
11). 皮膚:(1%未満)ざ瘡、皮膚炎、皮膚乾燥、皮膚剥脱、乾皮症、皮膚色素沈着障害、脂漏、男性型多毛症、(頻度不明)皮膚真菌感染、脱毛。
12). 代謝異常:(5%以上)CK上昇、(1~5%未満)口渇、コレステロール低下、HDL-コレステロール上昇、トリグリセライド上昇、リン脂質低下、(1%未満)多飲症、高血糖、水中毒、高尿酸血症、高脂血症、脂質代謝障害、コレステロール上昇、HDL-コレステロール低下、トリグリセライド低下、CK低下、(頻度不明)血中ブドウ糖変動、血中インスリン増加。
13). 呼吸器:(1%未満)鼻炎、咽頭炎、気管支炎、気管支痙攣、咽喉頭症状、しゃっくり、鼻乾燥、(頻度不明)嚥下性肺炎、上気道感染、呼吸困難。
14). 眼:(1%未満)霧視、眼乾燥、視力障害、眼調節障害、羞明、眼異常感、眼痛、(頻度不明)眼のチカチカ、糖尿病性白内障、瞬目過多。
15). その他:(5%以上)体重増加、(1~5%未満)体重減少、倦怠感、脱力感、発熱、多汗、総蛋白減少、グロブリン分画異常、ナトリウム低下、カリウム低下、クロール低下、(1%未満)疲労、ほてり、熱感、灼熱感、背部痛、四肢痛、関節痛、筋痛、頚部痛、肩こり、筋痙縮、悪寒、末梢冷感、性器出血、流産、胸痛、膿瘍、歯ぎしり、睡眠時驚愕、鼻出血、末梢性浮腫、挫傷、気分不良、味覚異常、耳鳴、寝汗、四肢不快感、薬剤離脱症候群、顔面浮腫、握力低下、転倒、総蛋白上昇、A/G上昇、A/G低下、アルブミン上昇、アルブミン低下、ナトリウム上昇、カリウム上昇、クロール上昇、(頻度不明)低体温、疼痛、顎痛、乳頭痛、乳腺炎、外陰膣乾燥、無オルガズム症、死亡、関節脱臼、歯牙破折、筋攣縮、尿路感染、花粉症、関節炎、関節硬直、筋萎縮、脂肪腫、坐骨神経痛、大脳動脈狭窄。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)〔16.6.3参照〕。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。なお、本剤の臨床試験において流産の報告がある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトで乳汁中への移行が認められている)。
小児等
9.7.1. 〈統合失調症、双極性障害における躁症状の改善、うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2. 〈小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性〉低出生体重児、新生児、乳児又は6歳未満の幼児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意自動分包機には適さない(通常の錠剤に比べてやわらかい)。
14.2. 薬剤交付時の注意14.2.1. ブリスターシートから取り出して服用するよう指導すること(シートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
14.2.2. ブリスターシートから取り出す際、裏面のシートを剥がした後ゆっくりと指の腹で押し出し、欠けや割れが生じた場合は全量服用する(錠剤に比べてやわらかい為シートを剥がさずに押し出そうとすると割れることがある)。
14.2.3. 吸湿性を有するため、使用直前に乾いた手でブリスターシートから取り出し、直ちに口中に入れること。
14.2.4. 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると速やかに崩壊するため、水なしで服用可能である(また、水で服用することもできる)。
14.2.5. 本剤は寝たままの状態では、水なしで服用しないこと。
14.2.6. 小児の手の届かない所に保管すること。
吸湿性を有するためブリスター包装のまま保存すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 〈効能共通〉本剤による治療中原因不明の突然死が報告されている。
15.1.2. 〈効能共通〉外国で実施された認知症に関連した精神病症状<承認外効能・効果>を有する高齢患者を対象とした17の臨床試験において、本剤を含む非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して、死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告があり、死因は様々であったが、心血管系(心不全、突然死等)又は感染症(肺炎等)による死亡が多かった。なお、本剤の3試験(計938例、認知症に関連した精神病症状を有する高齢<平均82.4歳;56~99歳>)では、死亡及び脳血管障害(脳卒中、一過性脳虚血発作等)の発現率がプラセボと比較して高かった。また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率上昇に関与するとの報告がある。
15.1.3. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した〔5.2、8.12-8.15、9.1.6参照〕。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. げっ歯類(マウス、ラット)のがん原性試験において、乳腺腫瘍(雌マウス3mg/kg/日以上、雌ラット10mg/kg/日)及び下垂体腫瘍(雌マウス3mg/kg/日以上)の発生頻度の上昇が報告されている。これらの腫瘍はげっ歯類では血中プロラクチンの上昇と関連した変化としてよく知られている。ラットのがん原性試験において、60mg/kg/日(最高臨床推奨用量の100倍に相当)の雌の投与群で副腎皮質腫瘍の発生頻度の上昇が報告されている。
15.2.2. サルの反復経口投与試験において胆のう内沈渣(胆のう内沈渣泥状、胆砂、胆石)が4週間~52週間試験の25mg/kg/日以上の用量で、肝臓に限局性肝結石症様病理組織所見が39週間試験の50mg/kg/日以上の用量で報告されている。沈渣はアリピプラゾール由来の複数の代謝物がサル胆汁中で溶解度を超える濃度となり沈殿したものと考えられた。なお、これら代謝物のヒト胆汁中における濃度(1日目15mg/日投与、その後6日間30mg/日反復経口投与時)はサル胆汁中における濃度の5.6%以下であり、また、ヒト胆汁中における溶解度の5.4%以下であった。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人にアリピプラゾール3mg(口腔内崩壊錠又は普通錠)を空腹時単回経口投与した時、血漿中未変化体濃度は投与後約3時間で最高値に達し、最終相半減期は約60時間であった。口腔内崩壊錠3mgは水なしで投与又は水とともに投与した時のいずれにおいても普通錠3mgと生物学的に同等であった(水なし投与:添付文書の図16‐1、表16‐1、水あり投与:添付文書の図16‐2、表16‐2)。
図16‐1 健康成人におけるアリピプラゾール3mg単回経口投与時の血漿中濃度推移(口腔内崩壊錠水なし投与)

表16‐1 アリピプラゾール3mg単回投与時の薬物動態パラメータ(口腔内崩壊錠水なし投与)
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図16‐2 健康成人におけるアリピプラゾール3mg単回経口投与時の血漿中濃度推移(口腔内崩壊錠水あり投与)

表16‐2 アリピプラゾール3mg単回投与時の薬物動態パラメータ(口腔内崩壊錠水あり投与)
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16.1.2 反復投与
健康成人15例にアリピプラゾール3mgを食後1日1回14日間反復投与した時、アリピプラゾールの血漿中濃度は投与14日までに定常状態に到達し、反復投与後の消失半減期は約65時間であった(表16‐3)。[7.1参照]
表16‐3 アリピプラゾール3mg反復投与時の薬物動態パラメータ
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16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人にアリピプラゾール3mgを空腹時又は食後に単回経口投与した時、アリピプラゾールのCmax及びAUCに及ぼす食事の影響は認められなかった。
16.2.2 絶対的バイオアベイラビリティ
健康成人におけるアリピプラゾール経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティは87%であった(外国人データ)。
16.3 分布
16.3.1 分布容積
健康成人における1日1回アリピプラゾール3mg反復経口投与時の分布容積は8.86L/kgであった。外国の健康成人におけるアリピプラゾール2mg静脈内投与時の分布容積は4.94L/kgであった。
16.3.2 血清蛋白結合率
未変化体の血清蛋白結合率は99%以上で、主としてアルブミンと結合し、蛋白結合においてワルファリンとの結合置換は生じない。また、主代謝物であるOPC‐14857の血清蛋白結合率も99%以上である(in vitro、平衡透析法)。
16.4 代謝
アリピプラゾールは主に肝臓で代謝され、初回通過効果は少ない。主としてCYP3A4とCYP2D6によって脱水素化と水酸化を受け、またCYP3A4によってN‐脱アルキル化を受ける。脱水素体(OPC‐14857)が血漿中における主代謝物である。OPC‐14857はアリピプラゾール(未変化体)と同様の代謝酵素及び代謝経路によって代謝される。定常状態(投与14日目)では未変化体に対するOPC‐14857のAUCの割合は約27%である。[10.参照]
16.5 排泄
健康成人に14C標識アリピプラゾール20mgを経口投与した時、投与放射能の約27%及び60%がそれぞれ尿中及び糞便中に排泄された。未変化体は糞中に約18%排泄され、尿中には検出されなかった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
重度の腎機能障害被験者6例(クレアチニンクリアランス<30mL/min)における試験では、腎機能障害による血中薬物動態への影響は少なかった(外国人データ)。
16.6.2 肝機能障害患者
肝機能障害被験者19例(Child‐Pugh分類A~C)における試験では、肝機能障害によるクリアランスへの影響は少なかった(外国人データ)。
16.6.3 高齢者
健康高齢者(65歳以上)にアリピプラゾール15mgを単回経口投与した時のクリアランスは、非高齢者(18~64歳)よりも約20%低かった(外国人データ)。[9.8参照]
16.6.4 性別・喫煙
健康成人にアリピプラゾール15mgを単回経口投与した時のアリピプラゾールの薬物動態に性差はみられなかった。また、統合失調症患者での母集団解析の結果、喫煙はアリピプラゾールの薬物動態に影響を与える因子ではなかった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 キニジン
健康成人において、CYP2D6の阻害作用を有するキニジン166mgとアリピプラゾール10mgの併用により、アリピプラゾールのAUCは107%増加した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 パロキセチン
健康成人において、CYP2D6の阻害作用を有するパロキセチン20mgとアリピプラゾール3mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ39%及び140%増加した。[10.2参照]
16.7.3 イトラコナゾール
健康成人において、CYP3A4の阻害作用を有するイトラコナゾール100mgとアリピプラゾール3mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ19%及び48%増加した。[10.2参照]
16.7.4 ケトコナゾール
健康成人において、CYP3A4の阻害作用を有するケトコナゾール200mgとアリピプラゾール15mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ37%及び63%増加した(外国人データ)。
16.7.5 カルバマゼピン
統合失調症又は統合失調感情障害患者において、CYP3A4の誘導作用を有するカルバマゼピン400mgとアリピプラゾール30mgの併用投与により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ68%及び73%低下した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.6 活性炭
健康成人において、アリピプラゾール15mg投与1時間後の活性炭50g投与で、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ41%及び51%低下した(外国人データ)。[13.2参照]

17.1 有効性及び安全性に関する試験
エビリファイ錠(普通錠)の成績を次に示す。
〈統合失調症〉
17.1.1 国内後期第II相試験
アリピプラゾールを8週間経口投与した非盲検試験において、承認された用法・用量の範囲(6~20mg)での統合失調症患者53例における主な成績は次のとおりである。主要評価項目である最終全般改善度の改善率#)は、47.2%(25/53例)であった。[7.2参照]
17.1.2 国内第III相試験
(1)統合失調症患者242例を対象に実施した実薬対照二重盲検比較試験において、アリピプラゾール6mg/日を開始用量とし、24mg/日を最高用量として1日1回又は2回8週間経口投与した。主要評価項目である最終全般改善度における改善率#)は次に示すとおりで、統合失調症に対する有効性が認められた。
→図表を見る(PDF)

副作用発現頻度は、120例中93例(77.5%)であった。主な副作用は、不眠(症)36例(30.0%)、アカシジア26例(21.7%)、振戦25例(20.8%)、食欲不振14例(11.7%)及び筋強剛13例(10.8%)であった。
(2)統合失調症患者243例を対象に実施した実薬対照二重盲検比較試験において、アリピプラゾール6mg/日を開始用量とし、24mg/日を最高用量として1日1回又は2回8週間経口投与した。主要評価項目である最終全般改善度における改善率#)は次に示すとおりで、統合失調症に対する有効性が認められた。
→図表を見る(PDF)

副作用発現頻度は、120例中87例(72.5%)であった。主な副作用は、不眠(症)42例(35.0%)、アカシジア17例(14.2%)、振戦17例(14.2%)、体重減少16例(13.3%)及び食欲不振14例(11.7%)であった。
すべての国内臨床試験は任意増減法で実施されているため、増量することで効果の増強が認められるか否かは検証されていない。[7.2参照]
17.1.3 国内長期投与試験
最終全般改善度を有効性評価項目とした24週間以上投与の長期投与3試験(6~24mg/日、最高30mg/日)での、統合失調症患者252例における最終評価時の改善率#)は32.5%(82/252例)であった。[7.2参照]
17.1.4 海外第III相試験
(1)急性期試験
統合失調症の急性増悪期の患者を対象とした、4あるいは6週間投与のプラセボ対照二重盲検比較試験(310例、305例、420例)において、アリピプラゾールはプラセボ群と比較してPANSS全尺度合計点などの指標を有意に改善した。PANSS全尺度合計点(平均変化量)は、アリピプラゾール固定用量(15、30mg/日又は20、30mg/日)注)を4週間投与した2試験では、プラセボ群:-2.9(102例)、15mg/日群:-15.5(99例)、30mg/日群:-11.4(100例)又はプラセボ群:-5.0(103例)、20mg/日群:-14.5(98例)、30mg/日群:-13.9(96例)であり、アリピプラゾール固定用量(10、15、20mg/日)注)を用いた6週間投与の試験では、プラセボ群:-2.3(107例)、10mg/日群:-15.0(103例)、15mg/日群:-11.7(103例)、20mg/日群:-14.4(97例)であった(各群とプラセボ群との比較結果はp≦0.01)。
なお、15mgを超える高用量群が10又は15mgより効果が高いというエビデンスは得られていない。[7.2参照]
(2)再発予防試験
安定期にある慢性統合失調症患者310例を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験(26週間投与、15mg/日注))において、CGI改善度あるいはPANSSを用いて再発を定義し、主要有効性評価項目を「無作為化割付から再発までの期間」とした。アリピプラゾールはプラセボと比較して再発の危険を約50%減少させ、再発までの期間を有意に延長した(p<0.001、log‐rank検定)。副作用発現頻度は、153例中76例(50%)であった。主な副作用は、不眠症36例(24%)、アカシジア11例(7%)、不安11例(7%)、頭痛9例(6%)及び振戦8例(5%)であった。[7.2参照]
#)改善率は中等度改善以上の改善率を示す。最終全般改善度は、「著明改善」、「中等度改善」、「軽度改善」、「不変」、「軽度悪化」、「中等度悪化」、「著明悪化」、「判定不能」で評価した。
注)本剤の承認された用法及び用量は、「1日6~12mgを開始用量、1日6~24mgを維持用量とし、1回又は2回に分けて経口投与する。」である。
〈双極性障害における躁症状の改善〉
17.1.5 第III相国際共同試験(短期試験)
躁病エピソード又は混合性エピソードを呈した双極I型障害患者(256例、日本人患者79例を含む)を対象に実施したプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、アリピプラゾール24mg(忍容性に応じて12mgへの減量可能)を1日1回3週間投与した時、最終評価時におけるヤング躁病評価尺度(Young‐Mania Rating Scale、YMRS)合計点のベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)はアリピプラゾール群-12.0±12.9、プラセボ群-6.0±14.4で、群間差とその95%信頼区間は-6.0[-9.4、-2.7]であり、統計学的な有意差が認められた(p<0.001、ベースライン値及び国で調整した共分散分析)(表17‐1)。
表17‐1 最終評価時におけるYMRS合計点のベースラインからの変化量(FAS、LOCF)
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副作用発現頻度は、123例中74例(60.2%)であった。主な副作用は、アカシジア23例(18.7%)、振戦14例(11.4%)、不眠症11例(8.9%)、嘔吐11例(8.9%)及び流涎過多9例(7.3%)であった。
17.1.6 長期投与試験
(1)国際共同試験
短期試験を完了した有効例(99例、日本人患者32例を含む)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験において、アリピプラゾール12~30mgを1日1回22週間投与した時、YMRS合計点の推移は次表のとおりであった(表17‐2)。
表17‐2 YMRS合計点の推移(FAS、OC)
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副作用発現頻度は、54例中39例(72.2%)であった。主な副作用は、アカシジア17例(31.5%)、振戦8例(14.8%)、運動緩慢5例(9.3%)、不眠症5例(9.3%)及び流涎過多5例(9.3%)であった。
(2)国際共同試験(気分安定薬併用)
短期試験を完了した悪化例・不変例及び効果不十分中止例(59例、日本人患者11例を含む)を対象に実施した非盲検試験において、気分安定薬として炭酸リチウム又はバルプロ酸ナトリウムのいずれか1剤の併用下で、アリピプラゾール12~30mgを1日1回22週間投与した時、YMRS合計点の推移は次表のとおりであった(表17‐3)。
表17‐3 YMRS合計点の推移(FAS、OC)
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副作用発現頻度は、56例中39例(69.6%)であった。主な副作用は、体重増加11例(19.6%)、アカシジア10例(17.9%)、傾眠7例(12.5%)及び振戦7例(12.5%)であった。
(3)国内臨床試験(気分安定薬併用)
躁病エピソード又は混合性エピソードを呈した双極I型障害患者41例を対象に実施した非盲検試験において、気分安定薬として炭酸リチウム又はバルプロ酸ナトリウムのいずれか1剤の併用下で、アリピプラゾール12~30mgを1日1回24週間投与した時、YMRS合計点の推移は次表のとおりであった(表17‐4)。
表17‐4 YMRS合計点の推移(FAS、OC)
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副作用発現頻度は、41例中38例(92.7%)であった。主な副作用は、アカシジア19例(46.3%)、傾眠11例(26.8%)、振戦9例(22.0%)及び悪心8例(19.5%)であった。
〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉
17.1.7 国内第III相試験
抗うつ剤治療で十分な効果が認められない大うつ病性障害患者586例を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)又はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)(パロキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、ミルナシプラン及びデュロキセチン)を承認用法・用量で8週間投与し、十分な効果が認められないことを前方視的に確認した後、SSRI又はSNRIの併用下で、アリピプラゾール3~15mg又は3mgを1日1回6週間投与した。最終評価時におけるMontgomery‐Åsberg Depression Rating Scale(MADRS)合計点のベースラインからの変化量は次表に示すとおりであり、アリピプラゾール3~15mg群及び3mg群の両群で、プラセボ群に対し統計学的な有意差が認められた(3~15mg群p=0.006、3mg群p<0.001、ベースライン値で調整した共分散分析(3~15mg群、3mg群の順による閉検定手順))(表17‐5)。
表17‐5 最終評価時におけるMADRS合計点のベースラインからの変化量(FAS、LOCF)
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副作用発現頻度は、アリピプラゾール3~15mg群で194例中132例(68.0%)、アリピプラゾール3mg群で197例中111例(56.3%)であった。主な副作用は、アリピプラゾール3~15mg群ではアカシジア71例(36.6%)、振戦20例(10.3%)、傾眠13例(6.7%)、便秘13例(6.7%)及びALT増加13例(6.7%)、3mg群でアカシジア28例(14.2%)、傾眠15例(7.6%)、ALT増加14例(7.1%)、振戦12例(6.1%)及びAST増加10例(5.1%)であった。[7.4参照]
17.1.8 国内長期投与試験
国内第III相試験からの移行例及び新たに組み入れられた65歳以上のSSRI又はSNRI(パロキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、ミルナシプラン及びデュロキセチン)を投与中の大うつ病性障害患者155例を対象に実施した非盲検非対照試験において、SSRI又はSNRIの併用下で、アリピプラゾール3~15mgを1日1回52週間投与した時、MADRS合計点の推移は次表のとおりであった(表17‐6)。
表17‐6 MADRS合計点の推移(FAS、OC)
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副作用発現頻度は、155例中115例(74.2%)であった。主な副作用は、アカシジア42例(27.1%)、体重増加29例(18.7%)、傾眠15例(9.7%)、振戦14例(9.0%)及び血中トリグリセリド増加11例(7.1%)であった。[7.4参照]
〈小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性〉
17.1.9 国内第III相試験
DSM注)‐IV‐TRにより自閉性障害と診断され、易刺激性を有する患者92例(6~17歳)を対象に実施したプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験で、アリピプラゾールを1~15mg/日で1日1回8週間投与した時、最終評価時におけるABC‐J(異常行動チェックリスト日本語版)の興奮性下位尺度スコアのベースラインからの変化量は、プラセボ群に対しアリピプラゾール群で統計学的な有意差が認められた(p=0.044、投与群及びベースラインの体重区分(≧40kg、<40kg)を因子とし、ベースラインを共変量とした共分散分析)(表17‐7)。
注)American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(精神疾患の診断・統計マニュアル)
表17‐7 最終評価時におけるABC‐J興奮性下位尺度スコアのベースラインからの変化量(FAS、LOCF)
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副作用発現頻度は、47例中28例(59.6%)であった。主な副作用は、傾眠24例(51.1%)、食欲減退5例(10.6%)及び倦怠感3例(6.4%)であった。
17.1.10 国内長期投与試験
国内第III相試験を完了した患者85例(6~17歳)を対象に実施した非盲検非対照長期試験で、アリピプラゾールを1~15mg/日で1日1回投与した時、ABC‐J興奮性下位尺度スコアの推移は次表のとおりであった(表17‐8)。
表17‐8 ABC‐J興奮性下位尺度スコアの推移(有効性解析対象集団、OC)
→図表を見る(PDF)

副作用発現頻度は、85例中47例(55.3%)であった。主な副作用は、傾眠25例(29.4%)、体重増加16例(18.8%)、流涎過多6例(7.1%)及び食欲亢進6例(7.1%)であった。

18.1 作用機序
アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用、ドパミンD3受容体部分アゴニスト作用、セロトニン5‐HT1A受容体部分アゴニスト作用及びセロトニン5‐HT2A受容体アンタゴニスト作用を併せ持つ薬剤である。明確な機序は不明であるが、これらの薬理作用が臨床における有用性に寄与しているものと考えられている。
18.2 受容体親和性
受容体結合試験で、組換え型ヒトドパミンD2、ヒトドパミンD3、ヒトセロトニン5‐HT1A及びヒトセロトニン5‐HT2A受容体に対して高い親和性を示し、ヒトドパミンD4、ヒトセロトニン5‐HT2C、ヒトセロトニン5‐HT7、ラット大脳皮質α1‐アドレナリン及びヒトヒスタミンH1受容体に中程度の親和性を示した。ウシ線条体ムスカリンM1、ラット心臓ムスカリンM2及びモルモット回腸ムスカリンM3受容体に対する親和性は低かった(in vitro)。
18.3 ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用
ドパミンD2受容体に対して部分アゴニストとして作用した(in vitro)。マウス及びラットにおいて、ドパミン作動性神経伝達が亢進した状態ではドパミンD2受容体に対してアンタゴニストとして作用し、ドパミン作動性神経伝達が低下した状態ではドパミンD2受容体に対してアゴニストとして作用した。
18.4 ドパミンD3受容体部分アゴニスト作用
ドパミンD3受容体に対して部分アゴニストとして作用した(in vitro)。
18.5 セロトニン5‐HT1A受容体部分アゴニスト作用
セロトニン5‐HT1A受容体に対して部分アゴニストとして作用した(in vitro)。マウス脳内のセロトニン代謝物5‐ヒドロキシインドール酢酸含量を減少させ、ラット縫線核のセロトニンニューロン発火を抑制した。
18.6 セロトニン5‐HT2A受容体アンタゴニスト作用
ラットにおいてセロトニン5‐HT2A受容体アゴニストにより誘発される行動変化を抑制した。また、セロトニンによるラットP11細胞内Ca2+濃度の増加を抑制した(in vitro)。
18.7 統合失調症諸症状に関連する動物モデルでの改善作用
陽性症状の指標と考えられているラット条件回避反応を抑制し、不安症状の指標であると考えられているラットコンフリクト反応を抑制した。
18.8 カタレプシー惹起作用
マウス及びラットにおけるアポモルヒネ誘発常同行動抑制作用に対するカタレプシー惹起作用のED50値の用量比は、クロルプロマジン及びハロペリドールより大きかった。
18.9 血中プロラクチン濃度を調節する下垂体前葉ドパミンD2受容体に対する作用
ラット下垂体前葉ドパミンD2受容体に対して部分アゴニストとして作用した(in vitro)。

一包可:不可

吸湿性を有するため、使用直前に乾いた手でブリスターシートから取り出し、直ちに口中に入れる。@自動分包機には適さない(通常の錠剤に比べてやわらかい)。

分割:不可
粉砕:不可

【添】吸湿性を有するため、使用直前に乾いた手でブリスターシートから取り出し、直ちに口中に入れる。@【IF】粉砕して投与する方法は承認された用法及び用量外の使用方法であり推奨しない。また、粉砕した製品での薬物動態等のデータはない。

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販売会社
 

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