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タイサブリ点滴静注300mg

販売名
タイサブリ点滴静注300mg
薬価
300mg15mL1瓶 230345.00円
製造メーカー
バイオジェン・ジャパン

添付文書情報2021年06月改定(第1版)

商品情報

薬効分類名
その他の中枢神経系用薬
一般名
ナタリズマブ(遺伝子組換え)注射液
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
1.1. 本剤の投与により進行性多巣性白質脳症(PML)、ヘルペス脳炎又は髄膜炎等があらわれ、死亡又は重度障害に至った例が報告されている。進行性多巣性白質脳症(PML)、ヘルペス脳炎又は髄膜炎等があらわれ、死亡又は重度の障害に至った例が報告されていることを患者に十分に説明し同意を得た上で、本剤による治療が適切と判断される場合にのみ投与すること。また、本剤による治療においては、これらの副作用により致命的な経過をたどることがあるので、PML等の重篤な副作用に十分対応できる医療施設において、本剤の安全性及び有効性についての十分な知識と多発性硬化症の治療経験をもつ医師のもとで投与すること〔2.2-2.4、8.1、9.1.1-9.1.3、11.1.1、11.1.2参照〕。
1.2. PML発症のリスク因子として、抗JCウイルス抗体陽性(抗JCV抗体陽性)であること、免疫抑制剤による治療歴を有することが報告されているので、本剤の投与開始に際しては、抗JCウイルス(JCV)抗体、免疫抑制剤による治療歴の有無を確認し、治療上の有益性が危険性を上回るか慎重に判断すること。また、抗JCV抗体陽性の患者においては、本剤の長期間の投与もPML発症のリスク因子となることが報告されているため、投与中は定期的に治療上の有益性と危険性を評価し、投与継続の適切性について慎重に判断すること〔2.2、8.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
1.3. 本剤の投与に際しては、PMLを示唆する徴候・症状(片麻痺、四肢麻痺、認知機能障害、失語症、視覚障害等)の発現に十分注意し、そのような徴候・症状があらわれた場合は直ちに投与を中断し、PMLの発症の有無を確認すること。なお、PMLの発症が確認できなかったが疑いが残る場合には、本剤の投与を再開せず、再検査を実施すること〔2.2、8.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者〔11.1.3参照〕。
2.2. 進行性多巣性白質脳症(PML)の患者又はその既往歴のある患者[PMLが増悪又は再発するおそれがある]〔1.1-1.3、8.1、11.1.1参照〕。
2.3. 免疫不全患者又は免疫抑制剤使用等により高度免疫抑制状態にある患者[PMLを含む感染症が誘発されるおそれがある]〔1.1、8.1、11.1.1、11.1.2参照〕。
2.4. 重篤な感染症を合併している患者[感染症が増悪し致命的となるおそれがある]〔1.1、11.1.2参照〕。
効能・効果
多発性硬化症の再発予防及び多発性硬化症の身体的障害の進行抑制。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤は、他の多発性硬化症治療薬で十分な効果が得られない又は忍容性に問題があると考えられる場合、もしくは疾患活動性が高い場合にのみ使用すること。
5.2. 進行型多発性硬化症に対する本剤の有効性及び安全性は確立されていない。
用法・用量
通常、成人にはナタリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを4週に1回1時間かけて点滴静注する。
(用法及び用量に関連する注意)
本剤による治療は単剤で行う、他の多発性硬化症治療薬<急性増悪の治療目的の短期のステロイド剤の使用を除く>又は免疫抑制剤<急性増悪の治療目的の短期のステロイド剤の使用を除く>とは併用しないこと[本剤の投与中及び投与中止後12週間は免疫系への相加的な抑制作用により、PMLを含む感染症が誘発されるおそれがある(なお、本剤に他の多発性硬化症治療薬又は免疫抑制剤を上乗せしたときの効果の増強は検討されていない)]。
合併症・既往歴等のある患者
8.1. 本剤の投与により、進行性多巣性白質脳症(PML)があらわれ、死亡又は重度障害に至った例が報告されているため、本剤の投与開始前、投与中及び投与中止後は次の点に注意すること〔1.1-1.3、2.2、2.3、9.1.1、11.1.1、11.1.2参照〕。
8.1.1. 本剤によるPML発症のリスク因子として、抗JCウイルス抗体陽性(抗JCV抗体陽性)、免疫抑制剤による治療歴あり、長期間投与が認められており、これらのすべてのリスク因子を有する患者、または免疫抑制剤による治療歴はないが、抗JCV抗体価が高く、かつ本剤の治療歴が長い患者においてPMLの発症リスクがより高いことが報告されているので、リスクとベネフィットの考慮に際しては、最新の各リスク因子保有患者別のPML発症状況(適正使用ガイド等)を確認すること。
8.1.2. 抗JCV抗体陽性であることが明らかな場合を除き、投与開始前に抗JCV抗体の検査を行い、検査結果を入手してから投与を開始すること(また、抗JCV抗体陰性患者では、新規感染又は偽陰性の可能性等を考慮し、6ヵ月ごとに再検査を行うこと)。
8.1.3. PMLの診断に有用であるため、投与開始前及び投与中は定期的に最新のMRI画像を入手すること。PMLリスクが高い患者では、MRIの頻度を増やすことを検討すること。
8.1.4. 投与後はPMLを示唆する徴候・症状(片麻痺、四肢麻痺、認知機能障害、失語症、視覚障害等)の発現に十分に注意すること。本剤投与中止時にPMLを示唆する所見が認められなかった患者において、投与中止後にPMLが発症したという報告があるため、本剤投与中止後少なくとも6ヵ月は、PMLを示唆する徴候・症状の発現に十分に注意すること。
8.1.5. PMLを発症した本剤投与例の大半で、本剤投与中止後又は血漿交換等による本剤除去後数日から数週間以内に免疫再構築炎症反応症候群(IRIS)の発症が認められており、IRISは急速な神経症状増悪として発症することがあり、重篤な神経症状を来し、死亡に至る可能性があるので、本剤投与中止後又は血漿交換等による本剤除去後はIRISの発症に十分に注意し、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
8.2. 重篤な全身性過敏症(アナフィラキシー等)を含む過敏症があらわれることがあるので、適切な薬剤治療や緊急処置を直ちに実施できるようにしておくこと。また、投与開始後は患者の状態を十分に観察すること〔11.1.3参照〕。
8.3. 重篤な肝障害がまれにあらわれることがあるので、必要に応じて肝機能検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.4参照〕。
8.4. 本剤に対する抗ナタリズマブ抗体陽性が持続的<6週間以上の測定間隔で2回検出>に認められる場合は、本剤の有効性が減弱し、過敏症の発症リスクが高くなることが報告されている。抗ナタリズマブ抗体の産生が疑われる場合は、持続的陽性の有無を確認し、抗ナタリズマブ抗体の持続的陽性が認められた場合は、本剤の投与を継続することのリスク及びベネフィットを慎重に考慮すること。また、本剤を短期間投与後に長期間休薬した患者では、再投与時に過敏症の発症リスク及び抗体産生リスクが高くなることが報告されているので、再投与時はそれらのリスクを考慮し、慎重に投与すること〔11.1.3参照〕。
8.5. 本剤の投与により、急性網膜壊死があらわれ、両側性急性網膜壊死があらわれたとの報告があり、急速に失明に至る事もあるため、本剤投与期間中は観察を十分に行うこと。患者に対し、視力低下、霧視、結膜充血、眼痛等の症状がみられた場合には速やかに眼科専門医の診察を受けるよう、指導すること〔11.1.5参照〕。
8.6. 本剤は、マスターセルバンク作製前のクローニング時及びセルバンクの保存時において、ウシ胎仔血清を、マスターセルバンク及びワーキングセルバンクの調製時にウシ血液由来成分(血清アルブミン)を用いて製造されたものである。これらは、伝達性海綿状脳症(TSE)回避のための欧州の公的機関である欧州薬局方委員会(EDQM)の評価基準に適合している。なお、本剤の製造工程に使用されたウシ由来成分は、最終製品の成分としては含まれていない。また、本剤の投与によりTSEがヒトに伝播したとの報告はない。しかしながら、TSE伝播の理論的リスクを完全には否定できないことから、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、本剤を投与すること。投与に際しては、その旨の患者への説明を考慮すること。
8.7. 本剤は、マスターセルバンク及びワーキングセルバンクの作製時に、培地成分の一部としてヒト血液由来成分であるヒトトランスフェリンを使用しているが、本剤の製造工程で使用されておらず、最終製品の成分としては含まれていない。これらヒト血液由来成分に対して原血漿を対象とした核酸増幅検査は実施していないが、血清学的検査によりウイルスの抗原又はウイルスに対する抗体が陰性であることを確認している。更に、これらヒト血液由来成分及びナタリズマブ(遺伝子組換え)の製造において、複数の工程によりウイルスの除去・不活化をしており、最終製品へのB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)及びヒト免疫不全ウイルス(HIV-1及びHIV-2)混入の可能性は極めて低い。また、ヒトトランスフェリンの製造に米国で採血したヒト血液を用いているが、本剤の投与により伝達性海綿状脳症(TSE)がヒトに伝播したとの報告はなく、TSEに関する理論的なリスク評価値は、一定の安全性を確保する目安に達しており、本剤によるTSE伝播のリスクは極めて低い。本剤の投与に際しては、その旨の患者又はその保護者への説明を考慮すること。
9.1.1. 抗JCウイルス抗体陽性(抗JCV抗体陽性)の患者:PMLの発症リスクが高いことが確認されている〔1.1-1.3、8.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. 感染症を合併している患者又は感染症が疑われる患者:感染症が増悪するおそれがある〔1.1、11.1.2参照〕。
9.1.3. 易感染性の状態にある患者:感染症が誘発されるおそれがある〔1.1、11.1.2参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:1). 生ワクチン又は弱毒生ワクチン(BCGワクチン、ポリオワクチン、麻疹ワクチン、風疹ワクチン等)[接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行うこと(ワクチン接種に対する応答が不明であり、また、生ワクチンによる二次感染が否定できない)]。
2). 不活化ワクチン(日本脳炎ワクチン、インフルエンザワクチン等)[ワクチンの効果を減弱させるおそれがある(ワクチン接種に対する応答が不明である)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
「重大な副作用」及び「その他の副作用」の発現頻度は、特に記載のない限り、主要な国内外臨床試験(国内第2相試験、国内長期継続投与試験、海外第3相試験及び海外長期継続試験)の結果を合算した。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 進行性多巣性白質脳症(PML)(0.4%)、小脳顆粒細胞障害(granule cell neuronopathy:GCN)(頻度不明):本剤の投与期間中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察し、片麻痺、四肢麻痺、認知機能障害、失語症、視覚障害、小脳症状(運動失調、眼振等)等の症状があらわれた場合は、直ちに投与を中断し、MRIによる画像診断、脳脊髄液検査等によりPML発症の有無を確認するとともに、最新のガイドライン等を参考にし、血漿交換等の処置を行うこと。また、本剤投与患者でJCVによるGCNが報告されているので、小脳症状があらわれた場合はGCNの可能性があることに留意すること。また、本剤投与中止後又は血漿交換による本剤除去後は免疫再構築炎症反応症候群の発症に十分注意すること〔1.1-1.3、2.2、2.3、8.1、9.1.1参照〕。
11.1.2. 感染症(11.9%):日和見感染症、ヘルペス感染を含む感染症があらわれることがある。重篤な感染症が認められた場合には本剤を休薬又は中止し、適切な処置を行うこと。海外市販後には、ヘルペス脳炎又は髄膜炎等があらわれ、死亡又は重度障害に至った例が報告されている〔1.1、2.3、2.4、8.1、9.1.2、9.1.3参照〕。
11.1.3. 過敏症(3.6%):アナフィラキシー等の重篤な事象を含め、低血圧、高血圧、胸痛、胸部不快感、呼吸困難、発疹、蕁麻疹等の過敏症の症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと(臨床試験においてそれらの反応の多くは投与開始から2時間以内に発現している)〔2.1、8.2、8.4参照〕。
11.1.4. 肝障害(0.2%):肝硬変、肝不全、脂肪肝、黄疸等の重篤な肝障害がまれにあらわれることがある〔8.3参照〕。
11.1.5. 急性網膜壊死(acute retinal necrosis:ARN)(頻度不明):視力低下、霧視、結膜充血、眼痛等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、眼科的検査等によりARN発症の有無を確認するとともに、適切な処置を行うこと〔8.5参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 神経系障害:(>5%)頭痛、(1%~5%)浮動性めまい。
2). 胃腸障害:(1%~5%)悪心、下痢、(<1%)嘔吐、便秘。
3). 一般・全身障害および投与部位の状態:(1%~5%)疲労、インフルエンザ様疾患、悪寒、(<1%)発熱。
4). 感染症および寄生虫症:(1%~5%)鼻咽頭炎、尿路感染。
5). 皮膚および皮下組織障害:(1%~5%)脱毛症、発疹、(<1%)蕁麻疹。
6). 筋骨格および結合組織障害:(1%~5%)関節痛、四肢痛。
7). 血液およびリンパ系障害:(頻度不明)好酸球増加症、血小板減少症。
8). その他:(1%~5%)不規則月経。
高齢者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験において、臨床用量の18倍(累積曝露量換算)で、受胎能低下及び新生仔生存率低下(モルモット)が報告されており、臨床用量の5倍(投与量換算)で流産率増加(サル)が報告されており、また、臨床用量の18倍(累積曝露量換算)を投与された母動物から生まれた胎仔(サル)において、軽度の貧血、血小板数減少、脾臓重量増加、並びに脾臓の髄外造血増加、胸腺萎縮及び肝臓の髄外造血減少と関連した肝臓重量減少及び胸腺重量減少が報告されている)。
授乳を避けさせること。ヒト母乳中へ移行することが報告されており、本剤の乳汁からの消失時間に関するデータは得られていないが、血漿中での消失半減期を考慮し、本剤投与中及び最終投与後12週間は授乳を中止するよう指導すること〔16.1.1参照〕。
小児等
臨床試験において除外され、十分なデータがない。
適用上の注意
14.1. 調製時14.1.1. 本剤は無色澄明~微白色の濃縮液であり、使用前にバイアル中に異物の混入、又は薬液の変色がみられた場合は使用しないこと。
14.1.2. 本剤は用時生理食塩液100mLに希釈調製し使用すること(希釈液として、生理食塩液以外は使用しないこと)。
14.1.3. 本剤を希釈調製する時は無菌的に操作すること。
14.1.4. 希釈時及び希釈後に激しく振とうしないこと。
14.1.5. 他剤<生理食塩液を除く>と混合しないこと。
14.1.6. 希釈後は直ちに投与するか、又は2~8℃の冷蔵庫で保存した場合は8時間以内に使用すること(冷蔵庫から取り出したら投与前に室温に戻すこと)。凍結しないこと。
14.2. 投与時14.2.1. 希釈液中に異物の混入、又は薬液の変色がみられた場合は使用しないこと。
14.2.2. 希釈液を約2mL/分の速度で、約1時間かけて点滴静注すること。
14.2.3. 急速静注又は静脈内大量投与をしないこと。
14.2.4. 投与終了後、生理食塩液で点滴ラインのフラッシングを行うこと。

16.1 血中濃度
16.1.1 多発性硬化症
再発寛解型多発性硬化症患者を対象に本剤300mgを4週に1回、計6回点滴静注したとき、血清中ナタリズマブ濃度推移並びに1及び6回目投与後の薬物動態パラメータは添付文書の図16‐1及び表16‐1のとおりであった(日本人における成績)。[9.6参照]
図16‐1 日本人再発寛解型多発性硬化症患者における反復投与時の血清中ナタリズマブ濃度推移(平均値±標準偏差)
矢印は本剤投与時点を示す。
2~5回目投与時についてはトラフ濃度を示す。

表16‐1 日本人再発寛解型多発性硬化症患者における1及び6回目投与時の薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)
→図表を見る(PDF)

16.1.2 多発性硬化症
多発性硬化症の患者627例に本剤300mgを4週に1回24ヵ月間点滴静注したときの平均最高血清中濃度は、抗ナタリズマブ抗体陰性患者のみを対象(517例)として48週目に測定した場合110±52μg/mLであった。定常状態時の平均トラフ濃度は、抗体陰性患者のみを対象(473~538例)として36週から試験終了時に測定した場合23~29μg/mLであった。また、定常状態到達時間は36週と推定された(外国人における成績)。
16.1.3 抗ナタリズマブ抗体の影響
多発性硬化症の患者625例に本剤300mgを4週に1回24ヵ月間点滴静注したとき、20例(3%)は一時的陽性例であり、37例(6%)は持続的陽性例であった。陽性例の大多数は、投与開始後初めての測定時点である12週時に抗体が検出された。
一時的抗体陽性及び持続的抗体陽性の場合には、血清中ナタリズマブ濃度の低下が認められた。この血清中ナタリズマブ濃度の低下は、持続的陽性例では本剤投与期間をとおして認められたものの、一時的陽性例では継続しなかった(表16‐2)(外国人における成績)。
表16‐2 抗ナタリズマブ抗体の発現状況別の血清中ナタリズマブ濃度(μg/mL)(平均値±標準偏差)
→図表を見る(PDF)

16.1.4 血漿交換の影響
多発性硬化症患者12例を対象とした試験において、血漿交換を5~8日間にわたって3回実施したところ、血清中ナタリズマブ濃度は低下したが、α4インテグリン受容体結合が依然として高い患者もおり、ナタリズマブの除去のためには更なる血漿交換が必要と考えられた(外国人における成績)。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
(1)第II相試験
再発寛解型多発性硬化症患者(各群47例)(体重38~96kg)を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。プラセボ又は本剤300mgを4週に1回24週間点滴静注した結果、本剤群における24週間の新規活動性病巣の発生率(平均値±標準偏差)は、プラセボ群0.352±0.565、本剤群0.058±0.075であり、プラセボ群と比較して本剤群で統計学的に有意に低かった(p<0.001、ベースライン時のGd造影病巣の有無で層別したMann‐Whitney U検定)。
(2)長期投与試験
第II相試験を完了した症例(97例)を対象に実施した継続長期投与試験において、1年間の投与における年間再発率(回/人・年、平均値[95%信頼区間])は、0.366[0.233、0.577]であった。
本剤を投与された90例中31例(34.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、疲労3例(3.3%)、発熱3例(3.3%)、鼻咽頭炎2例(2.2%)、不規則月経2例(2.2%)、湿疹2例(2.2%)、帯状疱疹2例(2.2%)、血中アルカリホスファターゼ増加2例(2.2%)、アナフィラキシー反応2例(2.2%)、好酸球増加症2例(2.2%)、マイコプラズマ感染2例(2.2%)であった。
17.1.2 海外第III相臨床試験
外国人再発寛解型多発性硬化症患者(体重40~145kg)を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。プラセボ又は本剤300mgを4週に1回2年間点滴静注した結果、本剤群における投与1年目の年間再発率は表17‐1のとおりであり、プラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められた(p<0.001、Hochbergの方法により検定の多重性を調整)。また、2年間の投与期間中のEDSS評価に基づく3ヵ月間持続する身体的障害進行が発現するまでの時間は添付文書の図17‐1のとおりであり、プラセボ群と比較して延長し、統計学的な有意差が認められた(ハザード比0.58、p<0.001、Hochbergの方法により検定の多重性を調整)。
表17‐1 投与1年目の年間再発率(有効性解析対象集団)
→図表を見る(PDF)

図17‐1 3ヵ月間持続した身体機能障害進行が発現するまでの時間(有効性解析対象集団)

本剤を投与された886例中343例(38.7%)に副作用が認められた。主な副作用は、頭痛79例(8.9%)、疲労34例(3.8%)、悪心32例(3.6%)、浮動性めまい23例(2.6%)、鼻咽頭炎20例(2.3%)、過敏症16例(1.8%)、蕁麻疹16例(1.8%)、発疹15例(1.7%)、多発性硬化症再発14例(1.6%)、上気道感染14例(1.6%)であった。

18.1 作用機序
多発性硬化症の病巣は、Tリンパ球を含む活性化炎症細胞が血液脳関門を通過することにより形成されると考えられる。白血球の血液脳関門通過には、炎症細胞表面のα4β1インテグリンと血管内皮細胞表面のVCAM‐1との相互作用が関与する。ナタリズマブは、ヒトインテグリンα4サブユニットに特異的に結合し、α4β1インテグリンとVCAM‐1との相互作用を阻害することにより、炎症性組織への免疫細胞の動員を阻害して、多発性硬化症の病巣形成を阻止すると考えられる。また、ナタリズマブは、α4インテグリンを発現する白血球と細胞外マトリックス等との相互作用を阻害することにより、病巣で進行している炎症反応を抑制する可能性がある。
18.2 実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)
モルモットの多発性硬化症動物モデルにおいて、ナタリズマブ又は親抗体を皮下又は心臓内投与したとき、臨床症状の発現遅延及び改善、MRI解析における浮腫及び炎症の減少並びに血液脳関門透過性の減少を示した。

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