硝酸イソソルビド注5mg/10mL「タカタ」

添付文書情報2024年03月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 重篤な低血圧又は心原性ショックのある患者[血管拡張作用によりさらに血圧を低下させ、症状を悪化させるおそれがある]〔9.1.1参照〕。
2.2. Eisenmenger症候群又は原発性肺高血圧症の患者[血圧低下によりショックを起こすことがある]。
2.3. 右室梗塞の患者[血圧低下によりショックを起こすことがある]。
2.4. 脱水症状のある患者[血圧低下によりショックを起こすことがある]。
2.5. 神経循環無力症の患者[本剤の効果がないので、本剤投与により血圧低下等があらわれることがある]。
2.6. 閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させるおそれがある]。
2.7. 硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.8. 頭部外傷又は脳出血のある患者[頭蓋内圧を上昇させるおそれがある]。
2.9. ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤投与中(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用
を有する薬剤投与中(リオシグアト)の患者〔10.1参照〕。
- 効能・効果
- 1). 急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)。
2). 不安定狭心症。
3). 冠動脈造影時の冠攣縮寛解。
- 用法・用量
- 〈急性心不全〉
通常、成人には、本剤を注射液そのまま、又は生理食塩液、5%ブドウ糖注射液等で希釈して0.05~0.001%溶液とし、硝酸イソソルビドとして1時間あたり1.5~8mgを点滴静注する。投与量は、患者の病態に応じて適宜増減するが、増量は1時間あたり10mgまでとする。
〈不安定狭心症〉
通常、成人には、本剤を注射液そのまま、又は生理食塩液、5%ブドウ糖注射液等で希釈して0.05~0.001%溶液とし、硝酸イソソルビドとして1時間あたり2~5mgを点滴静注する。投与量は患者の病態に応じて適宜増減する。
〈冠動脈造影時の冠攣縮寛解〉
通常、成人には、冠動脈造影時に本剤を注射液そのまま、硝酸イソソルビドとして5mgをカテーテルを通し、バルサルバ洞内に1分以内に注入する。なお、投与量は患者の症状に応じて適宜増減するが、投与量の上限は10mgまでとする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 冠動脈造影時に冠攣縮を誘発した場合は、迅速に攣縮寛解のための処置を行うこと。また、まれに完全閉塞寛解時にreperfusion injuryによると考えられる心室細動などの危険な不整脈や血圧低下を起こすことがあるので電気的除細動などの適切な処置を行うこと。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 本剤投与中は、頻回の血圧測定と血行動態のモニターを行うこと(また、投与量の調節は患者の血行動態、症状をみて徐々に行うこと)〔11.1.1参照〕。
8.2. 投与中に血圧低下等の異常が観察された場合には、減量又は投与を中止すること(また、必要に応じて昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと)〔11.1.1参照〕。
8.3. 血圧低下の可能性のある患者や心拍出量低下している患者に投与する場合には、カテコールアミン系薬剤等と併用することが望ましい。
8.4. 投与中に左心不全状態が改善した場合は、患者の様子をみて投与を中止すること。
9.1.1. 低血圧<重篤な低血圧を除く>の患者:さらに血圧を低下させるおそれがある〔2.1参照〕。
9.1.2. 左室充満圧の低い患者:血圧低下及び心拍出量低下のおそれがある。
- 相互作用
- 10.1. 併用禁忌:1). ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩<バイアグラ、レバチオ>、バルデナフィル塩酸塩水和物<レビトラ>、タダラフィル<シアリス、アドシルカ、ザルティア>)〔2.9参照〕[併用により、降圧作用を増強することがあるので、本剤投与前にホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤を服用していないことを十分確認し、また、本剤投与中及び投与後においてホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤を服用しないよう十分注意すること(本剤はcGMPの産生を促進し、一方、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する)]。
2). グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト<アデムパス>)〔2.9参照〕[併用により、降圧作用を増強することがあるので、本剤投与前にグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤を服用していないことを十分確認し、また、本剤投与中及び投与後においてグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤を服用しないよう十分注意すること(本剤とグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤は、ともにcGMPの産生を促進することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する)]。
10.2. 併用注意:1). 利尿剤[血圧低下等が増強されるおそれがあるので、過度の血圧低下が起こった場合には、減量又は投与を中止し、必要に応じて昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと(血圧低下作用を増強させる)]。
2). 血管拡張剤、硝酸・亜硝酸エステル系薬剤[血圧低下等が増強されるおそれがあるので、過度の血圧低下が起こった場合には、減量又は投与を中止し、必要に応じて昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと(血管拡張作用が増強される)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック(0.1~5%未満):このような場合には投与を中止し、昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと〔8.1、8.2参照〕。
11.1.2. 心室細動、心室頻拍:冠動脈造影時の冠攣縮寛解に際し、reperfusion injuryによると考えられる心室細動等の危険な不整脈(0.1%未満)があらわれることがあるので、このような場合には、電気的除細動などの適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 循環器:(0.1~5%未満)血圧低下、めまい、動悸、四肢浮腫、心拍出量低下、(0.1%未満)徐脈、期外収縮、心房細動。
2). 精神神経系:(0.1~5%未満)頭痛、(0.1%未満)全身倦怠感、興奮、陽気。
3). 消化器:(0.1~5%未満)嘔気、嘔吐、(0.1%未満)食欲低下。
4). 血液:(0.1~5%未満)動脈血酸素分圧低下、(頻度不明)メトヘモグロビン血症。
5). 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇等。
6). 過敏症:(頻度不明)発疹。
発現頻度は製造販売後調査を含む。
- 高齢者
- 本剤は、主として肝臓で代謝されるが、一般に肝機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与時の注意14.1.1. 硝酸イソソルビドが吸着しないポリエチレン製の輸液セットを用いること。
14.1.2. ポリ塩化ビニル製の輸液セットを用いる場合には、硝酸イソソルビドはポリ塩化ビニル製の輸液セットに吸着し、その吸着量は輸液の流速が遅いほど、また、管が長いほど増加するので、できるかぎり希釈し、短い管を用いて流速を上げることが望ましい。
20.1. 外箱開封後は光を遮り保存すること。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与(心不全患者)
心不全患者に硝酸イソソルビド5mgを静脈内単回投与注)したとき、血漿中硝酸イソソルビド濃度は2相性を示し、半減期3.9±1.2分(分布相)及び78.0±24.0分(排泄相)であった。また、AUC及びクリアランスはそれぞれ2,328±478ng・min/mL及び134.0±22.2L/hrであった。
注)静脈内単回投与は承認外用法である。
表16‐1 硝酸イソソルビド注(静脈内単回投与)による薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.1.2 単回投与(狭心症患者)
狭心症患者に硝酸イソソルビド5mgをバルサルバ洞内に投与したとき、5分後の血漿中濃度は246±122ng/mLを示した。血漿中硝酸イソソルビド濃度は2相性を示し、半減期1.5分(分布相)及び27分(排泄相)であった。また、AUCは5,305±2,352ng・min/mLであった。
表16‐2 硝酸イソソルビド注(バルサルバ洞内注入)による薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床成績
急性心不全に対し二重盲検試験を含む臨床試験での有効率は、57.4%(116/202)であり、不安定狭心症の臨床試験の有効率は、80.0%(24/30)であった。また、冠動脈造影時の冠攣縮寛解に対する臨床試験での有効率は、エルゴノビン負荷では62.8%(296/471)であった。
18.1 作用機序
硝酸・亜硝酸エステル系薬剤は、生成したNOがグアニル酸シクラーゼ(GC)を刺激することにより、cGMPの上昇を介し、血管平滑筋を弛緩させると考えられる。
18.2 病態モデル動物における作用
18.2.1 心臓の前負荷、後負荷を軽減
急性うっ血性心不全イヌによる実験で、硝酸イソソルビドは静脈系容量血管を拡張することにより、静脈還流を減少させ、左室拡張終期圧の低下(前負荷の軽減)をもたらし、同時に末梢動脈を拡張して、総末梢血管抵抗を減少(後負荷の軽減)させた。これらの作用により、うっ血性心不全の血行動態を改善した。
18.2.2 心筋の局所血流量を増加
デキストラン容量負荷イヌによる実験で硝酸イソソルビドは、虚血域の心内膜側の心筋局所血流量を増加させた。また、臨床的にも運動負荷201Tl心筋シンチグラフィーにより虚血心の心筋灌流を増大、改善させることが認められた。
18.2.3 虚血部心筋組織内ノルアドレナリンの増加
梗塞イヌによる実験で虚血部心筋からのノルアドレナリンの放出が抑制され、虚血部心筋組織内ノルアドレナリンを増加させ、血行動態的には心係数、左室収縮力の改善を認めた。
18.3 血管拡張作用
18.3.1 静脈系容量血管の拡張
摘出したウサギ腸間膜動脈と静脈の10-5mol/Lノルアドレナリン収縮に対し、硝酸イソソルビド10-7mol/L以上の濃度で静脈は弛緩し、動脈は10-5mol/L以上の濃度で弛緩することが認められた。
18.3.2 cGMP産生作用
KClであらかじめ収縮させたウシの摘出冠動脈に硝酸イソソルビドを添加すると、冠動脈の弛緩作用に比例してcGMPの産生が増加した。
- 製造販売会社
- 高田製薬
- 販売会社
おくすりのQ&A
当該製品の添付文書では、効能又は効果として、『次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合:緑内障、高眼圧症』と記載されています。...
添付文書内の「有効性安全性」の正確な意味を教えてください。どのような条件ならば有効性があるとするのか、安全性があるというのかをその基準を教えて欲しいのです
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