ニトロール点滴静注100mgバッグ

添付文書情報2023年07月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 重篤な低血圧又は心原性ショックのある患者[血管拡張作用によりさらに血圧を低下させ、症状を悪化させるおそれがある]〔9.1.1参照〕。
2.2. Eisenmenger症候群又は原発性肺高血圧症の患者[血圧低下によりショックを起こすことがある]。
2.3. 右室梗塞の患者[血圧低下によりショックを起こすことがある]。
2.4. 脱水症状のある患者[血圧低下によりショックを起こすことがある]。
2.5. 神経循環無力症の患者[本剤の効果がないので、本剤投与により血圧低下等があらわれることがある]。
2.6. 閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させるおそれがある]。
2.7. 硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.8. 頭部外傷又は脳出血のある患者[頭蓋内圧を上昇させるおそれがある]。
2.9. ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤投与中(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用
を有する薬剤投与中(リオシグアト)の患者〔10.1参照〕。
- 効能・効果
- 1). 急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)。
2). 不安定狭心症。
- 用法・用量
- 〈急性心不全〉
通常、成人には、硝酸イソソルビドとして1時間あたり1.5~8mgを点滴静注する。投与量は患者の病態に応じて適宜増減するが、増量は1時間あたり10mgまでとする。
〈不安定狭心症〉
通常、成人には、硝酸イソソルビドとして1時間あたり2~5mgを点滴静注する。投与量は患者の病態に応じて適宜増減する。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 本剤投与中は、頻回の血圧測定と血行動態のモニターを行うこと(また、投与量の調節は患者の血行動態、症状をみて徐々に行うこと)〔11.1.1参照〕。
8.2. 投与中に血圧低下等の異常が観察された場合には、減量又は投与を中止すること(また、必要に応じて昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと)〔11.1.1参照〕。
8.3. 血圧低下の可能性のある患者や心拍出量低下している患者に投与する場合には、カテコールアミン系薬剤等と併用することが望ましい。
8.4. 投与中に左心不全状態が改善した場合は、患者の様子をみて投与を中止すること。
9.1.1. 低血圧<重篤な低血圧を除く>の患者:さらに血圧を低下させるおそれがある〔2.1参照〕。
9.1.2. 左室充満圧の低い患者:血圧低下及び心拍出量低下のおそれがある。
9.1.3. 遺伝性果糖不耐症の患者:本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されないため、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。
- 相互作用
- 10.1. 併用禁忌:1). ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩<バイアグラ、レバチオ>、バルデナフィル塩酸塩水和物<レビトラ>、タダラフィル<シアリス、アドシルカ、ザルティア>)〔2.9参照〕[併用により、降圧作用を増強することがあるので、本剤投与前にホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤を服用していないことを十分確認し、また、本剤投与中及び投与後においてホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤を服用しないよう十分注意すること(本剤はcGMPの産生を促進し、一方、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する)]。
2). グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト<アデムパス>)〔2.9参照〕[併用により、降圧作用を増強することがあるので、本剤投与前にグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤を服用していないことを十分確認し、また、本剤投与中及び投与後においてグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤を服用しないよう十分注意すること(本剤とグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤は、ともにcGMPの産生を促進することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する)]。
10.2. 併用注意:1). 利尿剤[血圧低下等が増強されるおそれがあるので、過度の血圧低下が起こった場合には、減量又は投与を中止し、必要に応じて昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと(血圧低下作用を増強させる)]。
2). 血管拡張剤、硝酸・亜硝酸エステル系薬剤[血圧低下等が増強されるおそれがあるので、過度の血圧低下が起こった場合には、減量又は投与を中止し、必要に応じて昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと(血管拡張作用が増強される)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック(0.1~5%未満):このような場合には投与を中止し、昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと〔8.1、8.2参照〕。
11.1.2. 心室細動、心室頻拍:冠動脈造影時の冠攣縮寛解に際し、reperfusion injuryによると考えられる心室細動などの危険な不整脈(0.1%未満)があらわれることが報告されているので、このような場合には、電気的除細動などの適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 循環器:(0.1~5%未満)血圧低下、めまい、動悸、四肢浮腫、心拍出量低下、(0.1%未満)徐脈、期外収縮、心房細動。
2). 精神神経系:(0.1~5%未満)頭痛、(0.1%未満)全身倦怠感、興奮、陽気。
3). 消化器:(0.1~5%未満)嘔気、嘔吐、(0.1%未満)食欲低下。
4). 血液:(0.1~5%未満)動脈血酸素分圧低下、(頻度不明)メトヘモグロビン血症。
5). 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇等。
6). 過敏症:(頻度不明)発疹。
発現頻度は製造販売後調査を含む。
- 高齢者
- 本剤は、主として肝臓で代謝されるが、一般に肝機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与時の注意14.1.1. 注射針はゴム栓の○印にまっすぐ刺すこと(斜めに刺すと注射針が容器頸部を貫通し、液漏れの原因となることがある)。
14.1.2. 原則として連結管(U字管)を用いたタンデム方式による投与はできない。
14.1.3. 容器の液目盛りはおよその目安として使用すること。
14.1.4. 輸液セットへの吸着:硝酸イソソルビドは、一般に使用されているポリ塩化ビニル製の輸液容器及び輸液セットに吸着するが、ガラス製、ポリエチレン製の容器、器具には吸着しない。添付文書の図に示す通りで硝酸イソソルビドのポリ塩化ビニル製輸液セットに対する吸着率は、点滴速度に影響され、ポリ塩化ビニル管100cmでは点滴速度60mL/時間(1mL/分)以上であれば、投与量の80%以上が静脈内に注入される。また、硝酸イソソルビドの吸着率は配合濃度に影響されないが、輸液セットが長い程高くなるので注意すること。
20.1. ソフトバッグを包んでいる外袋は使用直前まで開封しないこと。
20.2. 包装内に、水滴が認められた場合や、内容液が着色又は混濁等の異常が認められた場合には使用しないこと。
20.3. 外箱開封後は光を遮り保存すること。
16.1 血中濃度
16.1.1 持続投与(健康成人男子)
健康成人男子に硝酸イソソルビドを5mg/時で静脈内持続注入した際、硝酸イソソルビドの血漿中濃度は緩やかに上昇し、注入開始後1.5時間でほぼ定常濃度に達した。その後、注入停止とともに半減期6.3±1.0分(分布相)及び109.1±35.7分(排泄相)の2相性を示し、速やかに低下した。
硝酸イソソルビド注(静脈内持続注入)による薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.1.2 単回投与(心不全患者)
心不全患者に硝酸イソソルビド5mgを静脈内単回投与注)したとき、血漿中硝酸イソソルビド濃度は2相性を示し、半減期3.9±1.2分(分布相)及び78.0±24.0分(排泄相)であった。また、AUC及びクリアランスはそれぞれ2,328±478ng・min/mL及び134.0±22.2L/hrであった。
硝酸イソソルビド注(静脈内単回投与)による薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
硝酸イソソルビド血漿中濃度
注)静脈内単回投与は承認外用法である。
注)静脈内単回投与は承認外用法である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床成績
ニトロール注5mgでは、急性心不全に対し二重盲検試験を含む臨床試験での有効率は、57.5%(157/273)であり、不安定狭心症の臨床試験の有効率は、83.0%(39/47)であった。
18.1 作用機序
硝酸・亜硝酸エステル系薬剤は、生成したNOがグアニル酸シクラーゼ(GC)を刺激することにより、cGMPの上昇を介し、血管平滑筋を弛緩させると考えられる。
18.2 病態モデル動物における作用
18.2.1 心臓の前負荷、後負荷を軽減
急性うっ血性心不全イヌによる実験で、本薬は静脈系容量血管を拡張することにより、静脈還流を減少させ、左室拡張終期圧の低下(前負荷の軽減)をもたらし、同時に末梢動脈を拡張して、総末梢血管抵抗を減少(後負荷の軽減)させる。これらの作用により、うっ血性心不全の血行動態を改善する。
18.2.2 心筋の局所血流量を増加
デキストラン容量負荷イヌによる実験で本薬は、虚血域の心内膜側の心筋局所血流量を増加させる。また、臨床的にも運動負荷201Tl心筋シンチグラフィーにより虚血心の心筋灌流を増大、改善させることが認められている。
18.2.3 虚血部心筋組織内ノルアドレナリンの増加
梗塞イヌによる実験で虚血部心筋からのノルアドレナリンの放出が抑制され、虚血部心筋組織内ノルアドレナリンを増加させ、血行動態的には心係数、左室収縮力の改善を認める。
18.3 血管拡張作用
18.3.1 静脈系容量血管の拡張
摘出したウサギ腸間膜動脈と静脈の10の-5乗mol/Lノルアドレナリン収縮に対し、硝酸イソソルビド10の-7乗mol/L以上の濃度で静脈は弛緩し、動脈は10の-5乗mol/L以上の濃度で弛緩することが認められている。
18.3.2 cGMP産生作用
KClであらかじめ収縮させた子ウシの摘出冠動脈に本薬を添加すると、冠動脈の弛緩作用に比例してcGMPの産生が増加する。
- 製造販売会社
- エーザイ
- 販売会社
おくすりのQ&A
当該製品の添付文書では、効能又は効果として、『次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合:緑内障、高眼圧症』と記載されています。...
添付文書内の「有効性安全性」の正確な意味を教えてください。どのような条件ならば有効性があるとするのか、安全性があるというのかをその基準を教えて欲しいのです
わからないことがあったら、
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