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ルムジェブ注ミリオペン

販売名
ルムジェブ注ミリオペン
薬価
300単位1キット 1305.00円
製造メーカー
日本イーライリリー

添付文書情報2022年12月改定(第5版)

商品情報

薬効分類名
すい臓ホルモン剤
一般名
インスリン リスプロ(遺伝子組換え)キット
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
禁忌
2.1. 低血糖症状を呈している患者〔11.1.1参照〕。
2.2. インスリンリスプロ又は本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者。
効能・効果
インスリン療法が適応となる糖尿病。
(効能又は効果に関連する注意)
2型糖尿病においては急を要する場合以外は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分行ったうえで適用を考慮すること。
用法・用量
通常、成人では1回2~20単位を毎食事開始時に皮下注射するが、必要な場合は食事開始後の投与とすることもできる。ときに投与回数を増やしたり、持続型インスリン製剤と併用したりすることがある。
投与量は、患者の症状及び検査所見に応じて適宜増減するが、持続型インスリン製剤の投与量を含めた維持量としては通常1日4~100単位である。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤は、ヒューマログ注と比べて作用発現が速いため、食事開始時(食事開始前の2分以内)に投与し、また、食事開始後の投与の場合は、食事開始から20分以内に投与すること。なお、食事開始後の投与については、血糖コントロールや低血糖の発現に関する臨床試験成績を踏まえたうえで、患者の状況に応じて判断すること〔16.1.1、16.8.1、17.1.1-17.1.3参照〕。
7.2. 他の追加インスリン製剤から本剤へ切り替える場合、前治療で使用していた製剤と同じ単位数を目安として投与を開始し、本剤への切替え時及びその後の数週間は血糖コントロールのモニタリングを十分に行うこと。
肝機能障害患者
8.1. 本剤の自己注射にあたっては、次の点に留意すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認したうえで、医師の管理指導の下で実施すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、必ず添付されている取扱説明書を読むよう指導すること。
8.2. 低血糖に関する注意について、その対処方法も含めて患者及びその家族に十分徹底させる(本剤は、作用発現が速いため、ヒューマログ注と比べて低血糖が速く起こる可能性がある)〔9.1.2、11.1.1、16.1.1、16.8.1参照〕。
8.3. 低血糖があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること〔11.1.1参照〕。
8.4. 肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、倦怠感等の肝障害を示唆する症状が認められた場合は肝機能検査を行い、異常が認められた場合はインスリン製剤を変更するなど適切な処置を行うこと。
8.5. 急激な血糖コントロールに伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は糖尿病網膜症増悪、眼の屈折異常、治療後神経障害(主として有痛性神経障害)があらわれることがあるので注意すること。
8.6. 本剤と他のインスリン製剤を取り違えないよう、毎回注射する前に本剤のラベル等を確認するよう患者に十分指導すること。
8.7. 同一箇所への繰り返し投与により、注射箇所に皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれることがあるので、定期的に注射箇所を観察するとともに、次の点を患者に指導すること。
・ 本剤の注射箇所は、少なくとも前回の注射箇所から2~3cm離すこと〔14.2.2参照〕。
・ 注射箇所の腫瘤や硬結が認められた場合には、当該箇所への投与を避けること。
8.8. 皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれた箇所に本剤を投与した場合、本剤の吸収が妨げられ十分な血糖コントロールが得られなくなることがあるので、血糖コントロールの不良が認められた場合には、注射箇所の腫瘤や硬結の有無を確認し、注射箇所の変更とともに投与量の調整を行うなどの適切な処置を行うこと(血糖コントロールの不良に伴い、過度に増量されたインスリン製剤が正常な箇所に投与されたことにより、低血糖に至った例が報告されている)。
9.1.1. 手術、外傷、感染症等の患者:インスリン需要の変動が激しい。
9.1.2. 低血糖を起こしやすい次の患者又は状態。
・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全。
・ 下痢、嘔吐等の胃腸障害。
・ 飢餓状態、不規則な食事摂取。
・ 激しい筋肉運動。
・ 過度のアルコール摂取。
〔8.2、11.1.1参照〕。
9.1.3. 自律神経障害の患者:胃内容排出の遅延がある場合、食前投与により低血糖を引き起こすおそれがあり、また、アドレナリンの欠乏により低血糖の自覚症状が明確でないことがある〔11.1.1参照〕。
9.2.1. 重篤な腎機能障害患者:低血糖を起こしやすい〔11.1.1参照〕。
9.3.1. 重篤な肝機能障害患者:低血糖を起こしやすい〔11.1.1参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:1). 糖尿病用薬(ビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア系薬剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害剤等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(血糖降下作用が増強される)]。
2). モノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリンの分泌を促進し、糖新生を阻害する)]。
3). 三環系抗うつ剤(ノルトリプチリン塩酸塩等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(機序は不明であるが、インスリン感受性を増強するなどの報告がある)]。
4). サリチル酸誘導体(アスピリン、エテンザミド)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(β細胞の糖に対する感受性の亢進、インスリン分泌促進により血糖降下作用を示し、また末梢で弱いインスリン様作用を有する)]。
5). 抗腫瘍剤(シクロホスファミド水和物)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリンが結合する抗体の生成を抑制し、その結合部位からインスリンを遊離させる可能性がある)]。
6). β遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、アテノロール、ピンドロール)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(アドレナリンによる低血糖からの回復反応を抑制し、また低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある)]。
7). クマリン系薬剤(ワルファリンカリウム)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(機序は不明である)]。
8). クロラムフェニコール[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(機序は不明である)]。
9). ベザフィブラート[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリン感受性増強等の作用により、本剤の作用を増強する)]。
10). サルファ剤[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(膵臓でのインスリン分泌を増加させることにより、低血糖を起こすと考えられており、腎機能低下、空腹状態遷延、栄養不良、過量投与が危険因子となる)]。
11). シベンゾリンコハク酸塩、ジソピラミド、ピルメノール塩酸塩水和物[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(動物実験においてインスリンの分泌を促進するとの報告があり、血糖降下作用が増強される可能性がある)]。
12). チアジド系利尿剤(トリクロルメチアジド)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(カリウム喪失が関与すると考えられており、カリウム欠乏時には、血糖上昇反応に対するβ細胞のインスリン分泌能が低下する可能性がある)]。
13). 副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン、トリアムシノロン)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(末梢組織でインスリンの作用に拮抗し、また糖新生を促進する)]。
14). ACTH(テトラコサクチド酢酸塩)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(糖質コルチコイドの産生を促し、血糖上昇作用を示す)]。
15). アドレナリン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(肝での糖新生の促進、末梢での糖利用抑制、インスリン分泌抑制により血糖を上昇させる)]。
16). グルカゴン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(肝グリコーゲン分解促進、糖新生の亢進により血糖を上昇させる)]。
17). 甲状腺ホルモン(レボチロキシンナトリウム水和物、乾燥甲状腺)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(肝での糖新生を亢進させる可能性がある)]。
18). 成長ホルモン(ソマトロピン)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(抗インスリン様作用による血糖上昇作用を有する)]。
19). 卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール、結合型エストロゲン)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(末梢組織でインスリンの作用に拮抗する)]。
20). 経口避妊薬[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(末梢組織でインスリンの作用に拮抗する)]。
21). ニコチン酸[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(末梢でのインスリン感受性を低下させるため耐糖能障害を起こす)]。
22). 濃グリセリン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(代謝されて糖になるため、血糖値が上昇する)]。
23). イソニアジド[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(炭水化物代謝を阻害し、血糖値を上昇させる)]。
24). ダナゾール[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(抗インスリン作用を有する)]。
25). フェニトイン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリン分泌抑制作用を有する)]。
26). 蛋白同化ステロイド(メスタノロン)[血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(機序は不明である)]。
27). ソマトスタチンアナログ製剤(オクトレオチド酢酸塩、ランレオチド酢酸塩)[血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 低血糖(頻度不明):脱力感、倦怠感、高度空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、痙攣、意識障害(意識混濁、昏睡)等があらわれることがある。低血糖が無処置の状態が続くと低血糖昏睡等を起こし、重篤な転帰(中枢神経系の不可逆的障害、死亡等)をとるおそれがある。
長期にわたる糖尿病、糖尿病性神経障害、β遮断剤投与中あるいは強化インスリン療法が行われている場合では、低血糖の初期の自覚症状(冷汗、振戦等)が通常と異なる場合や、自覚症状があらわれないまま、低血糖あるいは低血糖昏睡に陥ることがある。
低血糖症状が認められた場合には糖質を含む食品を摂取するなど、適切な処置を行うこと。α-グルコシダーゼ阻害剤との併用時に低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。低血糖症状が認められ経口摂取が不可能な場合は、ブドウ糖の静脈内投与やグルカゴンの筋肉内投与等、適切な処置を行うこと。
低血糖は臨床的に回復した場合にも、再発することがあるので継続的に観察すること〔2.1、8.2、8.3、9.1.2、9.1.3、9.2.1、9.3.1、9.8高齢者の項、10.2、17.1.1-17.1.3参照〕。
11.1.2. アナフィラキシーショック、血管神経性浮腫(いずれも頻度不明):アナフィラキシーショック(呼吸困難、血圧低下、頻脈、発汗、全身発疹等)、血管神経性浮腫等の症状が認められた場合は投与を中止すること。
11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒症。
2). 注射部位:(0.1~5%未満)注射部位反応(発疹、発赤、炎症、疼痛、出血、そう痒感)[通常軽微であり、数日から数週間で回復する]、(注射部位)リポジストロフィー(皮下脂肪萎縮・皮下脂肪肥厚等)、(頻度不明)皮膚アミロイドーシス。
3). その他:(頻度不明)浮腫。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(生理機能が低下していることが多く、低血糖が起こりやすい)〔11.1.1参照〕。
授乳婦
妊娠した場合、あるいは妊娠が予測される場合には医師に知らせるように指導すること。
妊娠中、周産期等にはインスリンの需要量が変化しやすいため、用量に留意し、定期的に検査を行い投与量を調整すること(通常インスリン需要量は、妊娠初期は減少し、中期及び後期は増加する)。
用量に留意し、定期的に検査を行い投与量を調整すること(インスリンの需要量が変化しやすい)、本剤のヒト母乳移行は不明であるが、ヒトインスリンは、ヒト母乳に移行する。
小児等
定期的に検査を行うこと(成長及び活動性に応じてインスリンの需要量が変化する)〔17.1.3参照〕。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意14.1.1. 設定できる単位が、ミリオペンは1単位刻み、ミリオペンHDは0.5単位刻みと異なるため、両製剤の取り違えに注意すること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 本剤のカートリッジにインスリン製剤を補充したり、他のインスリン製剤と混合しないこと。
14.2.2. 皮下注射は腹部・大腿部・上腕部・臀部等に行う。同じ部位に注射を行う場合は、前回の注射箇所より2~3cm離して注射すること〔8.7参照〕。
14.2.3. 静脈内に投与しないこと。皮下注射したとき、まれに注射針が血管内に入り、注射後直ちに低血糖が起こることがあるので注意すること。
14.2.4. 1本を複数の患者に使用しないこと。
14.2.6. 本剤はJIS T 3226-2に準拠したA型専用注射針を用いて使用すること。本剤はA型専用注射針との適合性の確認をBD マイクロファインプラス及びナノパスニードルで行っている。
14.2.7. 本剤とA型専用注射針との装着時に液漏れ等の不具合が認められた場合には、新しい注射針に取り替える等の処置方法を患者に十分指導すること。
20.1. 凍結を避け、遮光して2~8℃で冷蔵保存すること。
20.2. 使用開始後はキャップをつけて30℃以下で保存し、28日以内に使用すること。
20.4. 使用開始後は本剤を冷蔵庫に保存しないこと。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
15.1.2. ピオグリタゾンと併用した場合、浮腫が多く報告されているので、併用
する場合には、浮腫及び心不全の徴候を十分観察しながら投与すること。
15.1.3. 本剤の臨床試験において、一部の被験者で抗インスリンリスプロ抗体が認められたが、本剤の薬物動態、有効性及び安全性に臨床的に意味のある影響は認められなかった。

16.1 血中濃度
16.1.1 血清中インスリンリスプロ濃度
1型糖尿病患者31例にグルコースクランプ施行下、クロスオーバーデザインで本剤又はヒューマログ15単位を単回皮下投与したときの血清中インスリンリスプロ濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。ヒューマログと比べて本剤投与後ではインスリンリスプロは速やかに吸収された(Early 50% Tmax)。投与後初期における曝露量(AUC0-15min、AUC0-30min)は、ヒューマログと比べて本剤投与後で増加したが、総曝露量(AUC0-∞)は本剤とヒューマログで同様であった。本剤及びヒューマログの半減期の幾何平均値(変動係数%)は、35分(31%)及び49分(33%)であった。
図1)1型糖尿病患者に本剤又はヒューマログ15単位単回皮下投与後の血清中インスリンリスプロ濃度推移(平均値)

表1)1型糖尿病患者に本剤又はヒューマログ15単位単回皮下投与後の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

1型糖尿病患者33例に本剤又はヒューマログを被験者毎に事前に規定した投与量(平均用量12単位)で食事開始時に単回皮下投与したとき、血清中インスリンリスプロ濃度が最初に検出可能となるまでの時間(onset of appearance、平均値)は本剤0.93分、ヒューマログ4.4分であった(外国人データ)。
2型糖尿病患者でも同様に、ヒューマログと比べて本剤投与後では速やかなインスリンリスプロの吸収及び消失が認められた(外国人データ)。[7.1、8.2参照]
16.2 吸収
健康被験者27例にグルコースクランプ施行下で本剤15単位を腹部、上腕部もしくは大腿部に単回皮下投与又は本剤15単位を静脈内投与注2)した。皮下投与について、それぞれの投与部位でのCmax及びAUC0-∞の幾何平均値の比とその90%信頼区間は、上腕部/腹部で1.04[0.922、1.18]及び1.03[0.992、1.07]、大腿部/腹部で0.832[0.737、0.940]及び1.00[0.962、1.04]であった。絶対的バイオアベイラビリティは、腹部、上腕部及び大腿部でそれぞれ65%、65%及び64%であった。
静脈内投与注2)時のクリアランス及び半減期の幾何平均値はそれぞれ32L/h及び44分であった(外国人データ)。
注2)本剤の承認された用法は皮下投与である。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 高齢者
高齢1型糖尿病患者37例(65歳以上)及び非高齢1型糖尿病患者40例(18歳以上45歳以下)にグルコースクランプ施行下で本剤又はヒューマログ15単位を単回皮下投与した。本剤投与時の非高齢患者に対する高齢患者のCmax及びAUC0-∞の幾何平均値の比(高齢患者/非高齢患者)とその95%信頼区間は、1.08[0.894、1.29]及び1.17[1.04、1.32]であった。高齢患者における本剤又はヒューマログ投与時の投与から血清中インスリンリスプロ濃度が最初に検出可能となるまでの時間(onset of appearance、平均値)は1.3及び6.7分、投与後初期の曝露量(AUC0-15min、幾何平均値)は37.8及び5.41pmol・h/Lであった(外国人データ)。
16.8 その他
16.8.1 グルコースクランプにおけるグルコース注入率
1型糖尿病患者31例にグルコースクランプ施行下で本剤又はヒューマログ15単位を単回皮下投与したときのグルコース注入率の推移及び薬力学作用パラメータは次のとおりであった。ヒューマログと比べて本剤投与後ではグルコース低下作用が速やかに発現し(Tonset及びEarly 50% tRmax)、作用持続時間が短縮したが、総グルコース注入量(Gtot)は本剤とヒューマログで同様であった。
図2)1型糖尿病患者に本剤又はヒューマログ15単位単回皮下投与後のグルコース注入率(平均値)

表2)1型糖尿病患者に本剤又はヒューマログ15単位単回皮下投与後の薬力学作用パラメータ
→図表を見る(PDF)

2型糖尿病患者でも同様に、ヒューマログと比べて本剤投与時ではグルコース低下作用が速やかに発現し、総グルコース注入量は本剤とヒューマログで同様であった(外国人データ)。[7.1、8.2参照]

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 1型糖尿病患者を対象にした国際共同第III相試験
頻回注射法によるBasal‐Bolus療法を実施中の18歳以上の1型糖尿病患者1222例(本剤食直前群451例(うち日本人62例)、本剤食事開始後群329例(うち日本人46例)、ヒューマログ食直前群442例(うち日本人59例))を対象に、52週間(投与期26週+維持期26週)試験を実施した。なお、投与期の前に基礎インスリンの投与量を調節する8週間の導入期及び投与期又は維持期の後に4週間の後観察期を設定した。盲検下で本剤もしくはヒューマログを1日3回食直前(食事開始の0~2分前)又は非盲検下で本剤を1日3回食後(食事開始後20分)に皮下投与し、投与量は食前もしくは就寝前の自己血糖測定値又はカーボカウントに基づいて調節した。また、基礎インスリンとしてインスリングラルギン(100単位/mL)を1日1回もしくは2回注7)又はインスリンデグルデク(100単位/mL)を1日1回皮下投与した。ただし、本剤食事開始後群に割り付けられた被験者のうち、日本人以外の被験者は、投与期(26週間)までとされた。主要評価項目であるベースラインから26週時のHbA1c変化量について、本剤食直前群及び本剤食事開始後群のヒューマログ食直前群に対する非劣性が示された(非劣性マージン:0.4%)。また、ベースラインから投与52週時までのHbA1c変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は、本剤食直前群0.13±0.04%、ヒューマログ食直前群0.20±0.04%であった。
表1)投与26週時における基礎インスリン併用試験結果(1型糖尿病患者)
→図表を見る(PDF)

無作為割付時から投与26週時までの副作用発現割合は、本剤食直前群8.0%(36/451例)、本剤食事開始後群5.8%(19/329例)、ヒューマログ食直前群6.1%(27/442例)であった。主な副作用は、注射部位反応が本剤食直前群1.6%(7/451例)、本剤食事開始後群1.2%(4/329例)、ヒューマログ食直前群0%(0/442例)、次いで注射部位疼痛が本剤食直前群1.1%(5/451例)、本剤食事開始後群0.9%(3/329例)、ヒューマログ食直前群0%(0/442例)であった。投与52週時まで(後観察期を含む)の副作用発現割合は、本剤食直前群9.5%(43/451例)、ヒューマログ食直前群8.6%(38/442例)であった。主な副作用は、注射部位反応が本剤食直前群1.6%(7/451例)、ヒューマログ食直前群0%(0/442例)、体重増加が本剤食直前群0.9%(4/451例)、ヒューマログ食直前群0.7%(3/442例)、注射部位疼痛が本剤食直前群1.1%(5/451例)、ヒューマログ食直前群0%(0/442例)であった。
無作為割付時から投与26週時までのすべての血糖値が確認された低血糖(血糖値70mg/dL以下)の発現割合及び発現率は、本剤食直前群99.6%(449/451例)及び91.9件/人・年、本剤食事開始後群98.8%(325/329例)及び99.9件/人・年、ヒューマログ食直前群99.6%(440/442例)及び99.4件/人・年であった。無作為割付時から投与52週時までのすべての血糖値が確認された低血糖(血糖値70mg/dL以下)の発現割合及び発現率は、本剤食直前群99.6%(449/451例)及び78.2件/人・年、ヒューマログ食直前群99.6%(440/442例)及び84.9件/人・年であった。[7.1、11.1.1参照]
17.1.2 2型糖尿病患者を対象にした国際共同第III相試験
頻回注射法によるBasal‐Bolus療法を実施中の18歳以上の2型糖尿病患者673例(本剤食直前群336例(うち日本人47例)、ヒューマログ食直前群337例(うち日本人46例))を対象に、26週間試験を実施した。なお、投与期の前に基礎インスリンの投与量を調節する8週間の導入期及び投与期の後に4週間の後観察期を設定した。盲検下で本剤もしくはヒューマログを1日3回食直前(食事開始の0~2分前)に皮下投与し、投与量は食前もしくは就寝前の自己血糖測定値又はカーボカウントに基づいて調節した。また、基礎インスリンとしてインスリングラルギン(100単位/mL)を1日1回もしくは2回注7)又はインスリンデグルデク(100単位/mL又は200単位/mL注3))を1日1回皮下投与した。主要評価項目であるベースラインから26週時のHbA1c変化量について、本剤食直前群のヒューマログ食直前群に対する非劣性が示された(非劣性マージン:0.4%)。
注3)インスリンデグルデク200単位/mLは、日本未発売である。
表2)投与26週時における基礎インスリン併用試験結果(2型糖尿病患者)
→図表を見る(PDF)

無作為割付時から後観察期間までの副作用発現割合は、本剤食直前群4.5%(15/336例)及びヒューマログ食直前群3.3%(11/337例)であった。主な副作用は注射部位疼痛が本剤食直前群1.2%(4/336例)及びヒューマログ食直前群0%(0/337例)であった。
無作為割付時から投与26週時までのすべての血糖値が確認された低血糖(血糖値70mg/dL以下)の発現割合及び発現率は、本剤食直前群95.2%(320/336例)及び36.1件/人・年、ヒューマログ食直前群94.1%(317/337例)及び33.0件/人・年であった。[7.1、11.1.1参照]
17.1.3 小児1型糖尿病患者を対象にした国際共同第III相試験
頻回注射法によるBasal‐Bolus療法を実施中の1歳以上18歳未満の1型糖尿病患者716例(本剤食直前群280例(うち日本人3例)、本剤食事開始後群138例(うち日本人2例)、ヒューマログ食直前群298例(うち日本人7例))を対象に、26週間試験を実施した。なお、投与期の前に基礎インスリンの投与量を調節する4週間の導入期及び投与期の後に2週間の後観察期を設定した。盲検下で本剤もしくはヒューマログを1日3回食直前(食事開始の0~2分前)又は非盲検下で本剤を1日3回食後(食事開始後20分以内)に皮下投与し、投与量は食前もしくは就寝前の自己血糖測定値又はカーボカウントに基づいて調節した。また、基礎インスリンとしてインスリングラルギン(100単位/mL)、インスリンデテミルを1日1回もしくは2回注7)又はインスリンデグルデク(100単位/mL)を1日1回皮下投与した。主要評価項目であるベースラインから26週時のHbA1c変化量について、本剤食直前群のヒューマログ食直前群に対する非劣性が示された(非劣性マージン:0.4%)。
表3)投与26週時における基礎インスリン併用試験結果(小児1型糖尿病患者)
→図表を見る(PDF)

無作為割付時から後観察期間までの副作用発現割合は、本剤食直前群10.0%(28/280例)、本剤食事開始後群4.3%(6/138例)、ヒューマログ食直前群3.0%(9/298例)であった。主な副作用は、注射部位反応が本剤食直前群7.1%(20/280例)、本剤食事開始後群2.9%(4/138例)、ヒューマログ食直前群1.7%(5/298例)であった。
無作為割付時から投与26週時までのすべての血糖値が確認された低血糖(血糖値70mg/dL以下)の発現割合及び発現率は、本剤食直前群92.5%(259/280例)及び75.1件/人・年、本剤食事開始後群87.7%(121/138例)及び76.1件/人・年、ヒューマログ食直前群94.0%(280/298例)及び78.0件/人・年であった。[7.1、9.7、11.1.1参照]
注7)インスリングラルギンの承認された用法は、通常、1日1回皮下投与で、注射時刻は毎日一定とする、である。

18.1 作用機序
本剤の主要な作用はグルコース代謝の調節である。本剤の有効成分であるインスリンリスプロは、インスリンと同様にインスリン受容体に結合することにより、その特異的作用を示す。受容体に結合したインスリンは、骨格筋や脂肪組織による末梢グルコースの取込みを刺激するとともに、肝臓でのグルコース産生を阻害することにより、血糖値を低下させる。インスリンは脂肪分解や蛋白分解を阻害するとともに蛋白合成を促進する。
本剤は、クエン酸により局所での血管透過性を亢進させ、トレプロスチニルにより局所の血管を拡張させることにより、インスリンリスプロの吸収を速めた製剤である。

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