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バイエッタ皮下注10μgペン300

販売名
バイエッタ皮下注10μgペン300
薬価
300μg1キット(10μg) 8772.00円
製造メーカー
アストラゼネカ

添付文書情報2023年02月改定(第3版)

商品情報

薬効分類名
他に分類されないホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
一般名
エキセナチドキット(1)
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリン製剤による速やかな高血糖の治療が必須となるので、本剤の投与は適さない]。
2.3. 重症感染症、手術等の緊急の場合[インスリン製剤による血糖管理が望まれるので、本剤の投与は適さない]。
2.4. 透析患者を含む重度腎機能障害のある患者〔9.2.1、16.6.1参照〕。
効能・効果
2型糖尿病(ただし、食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤(ビグアナイド系薬剤又はチアゾリジン系薬剤との併用を含む)を使用しても十分な効果が得られない場合に限る)。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤は、食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤単独療法、スルホニルウレア剤とビグアナイド系薬剤の併用療法、又はスルホニルウレア剤とチアゾリジン系薬剤の併用療法を行っても十分な効果が得られない場合に限り適用を考慮すること。本剤の単独療法に関する有効性及び安全性は確立していない〔17.1.1、17.1.2参照〕。
用法・用量
通常、成人には、エキセナチドとして、1回5μgを1日2回朝夕食前に皮下注射する。投与開始から1ヵ月以上の経過観察後、患者の状態に応じて1回10μg、1日2回投与に増量できる。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の投与は原則として朝夕食前60分以内に行い、食後の投与は行わないこと。
7.2. 本剤の投与は1回5μg、1日2回より開始すること。1回5μgから10μgに増量した後に、低血糖や胃腸障害が増加する傾向が認められているため、少なくとも投与開始から1ヵ月以上経過観察を行い、また、有効性と安全性を考慮して、1回10μg、1日2回への増量の可否を慎重に判断すること。
肝機能障害患者
8.1. 本剤はインスリン製剤の代替薬ではないため、本剤の投与に際しては、患者のインスリン依存状態を確認し、投与の可否を判断すること(インスリン依存状態の患者で、インスリン製剤からエキセナチド製剤に切り替え、急激な高血糖及び糖尿病性ケトアシドーシスが発現した症例が報告されている)。
8.2. 投与する場合には、血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、3~4ヵ月間投与して効果が不十分な場合には、速やかに他の治療薬への切り替えを行うこと。
8.3. 急性膵炎が発現した場合は、本剤の投与を中止し、再投与しないこと。急性膵炎の初期症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)があらわれた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けるよう指導すること〔9.1.2、11.1.3参照〕。
8.4. 胃腸障害が発現した場合、急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮する等、慎重に対応すること〔9.1.2、11.1.3参照〕。
8.5. インスリン製剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤又はジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤との併用については、検討が行われていない。
8.6. 本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること〔9.1.4、11.1.1参照〕。
8.7. 低血糖を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること〔11.1.1参照〕。
8.8. 胆石症、胆嚢炎、胆管炎又は胆汁うっ滞性黄疸が発現するおそれがあるので、腹痛等の腹部症状がみられた場合には、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、適切に対応すること〔11.1.6参照〕。
8.9. 本剤の自己注射にあたって、次の点に留意すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、添付されている取扱説明書を必ず読むよう指導すること。
9.1.1. 糖尿病胃不全麻痺等の重度胃腸障害のある患者:胃腸障害の症状が悪化するおそれがある(十分な使用経験がない)。
9.1.2. 膵炎の既往のある患者〔8.3、8.4、11.1.3参照〕。
9.1.3. 腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者:腸閉塞を起こすおそれがある〔11.1.5参照〕。
9.1.4. 低血糖を起こすおそれのある次の患者又は状態。
・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全。
・ 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態。
・ 激しい筋肉運動。
・ 過度のアルコール摂取者。
〔8.6、11.1.1参照〕。
9.2.1. 重度腎機能障害のある患者:重度腎機能障害のある患者(透析患者又はクレアチニンクリアランス[CLCR]が30mL/min未満の患者)には投与しないこと(本剤の消化器系副作用により忍容性が認められていない)〔2.4、16.6.1参照〕。
9.2.2. 中等度又は軽度の腎機能障害のある患者:軽度腎機能障害(CLCR=50~80mL/min)を有する患者においては、外国長期対照試験の併合データにおいて低血糖症及び消化器症状を含む有害事象の発現割合が腎機能正常の被験者と比べて高い傾向がみられており、中等度腎機能障害(CLCR=30~50mL/min)を有する患者においては臨床試験での検討例数は少数である〔16.6.1参照〕。
肝機能障害を有する患者における検討例数は少数であり、また、重度肝機能障害を有する患者における安全性を検討した臨床試験は実施していない。
国内臨床試験において、観察期間開始時に肝障害を合併していると治験責任(分担)医師が判断した患者、またはスクリーニング検査におけるALTが基準値上限の2.5倍以上もしくはASTが基準値上限の2.5倍以上の患者は除外されている。
相互作用
10.2. 併用注意:1). 糖尿病用薬(ビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤、インスリン製剤、SGLT2阻害剤等)〔11.1.1参照〕[低血糖の発現に注意すること(血糖降下作用が増強される)。特に、スルホニルウレア剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、スルホニルウレア剤の減量を検討すること(血糖降下作用が増強される)]。
2). 血糖降下作用が増強される薬剤(β-遮断剤、サリチル酸誘導体、モノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤等)[低血糖の発現に注意し、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(血糖降下作用が増強される)]。
3). 血糖降下作用が減弱される薬剤(アドレナリン、副腎皮質ステロイド、甲状腺ホルモン等)[血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する(血糖降下作用が減弱される)]。
4). 吸収遅延により効果が減弱される薬剤<経口>(抗生物質<経口>、経口避妊薬等)〔16.7.3参照〕[併用する経口剤の作用の発現を遅らせるおそれがあるので、本剤と併用する場合、本剤を投与する少なくとも1時間前にこれらの薬剤を服用すること(本剤の胃内容物排出遅延作用による)]。
5). クマリン系薬剤<経口>(ワルファリンカリウム<経口>)〔16.7.2参照〕[ワルファリンのtmaxが約2時間遅延したとの報告があり、ときに出血をともなうINR増加が報告されている(本剤の胃内容物排出遅延作用による)]。
6). HMG-CoA還元酵素阻害剤<経口>〔16.7.1参照〕[ロバスタチン(国内未承認)のAUCが40%・Cmaxが28%低下し、tmaxが4時間遅延したとの報告がある(本剤の胃内容物排出遅延作用による)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 低血糖(54.2%):スルホニルウレア剤との併用により、低血糖症状(脱力感、高度空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、知覚異常等)を起こすことがある。低血糖症状が認められた場合、本剤あるいは併用している経口糖尿病用薬を一時的に中止するか、あるいは減量するなど慎重に投与すること。
また、スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合は、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用時低血糖症状が認められた場合は、ブドウ糖を投与すること〔8.6、8.7、9.1.4、10.2、17.1.1、17.1.2参照〕。
11.1.2. 腎不全(頻度不明):腎障害が知られている薬剤を使用している患者又は脱水状態に至る悪心・脱水状態に至る嘔吐・脱水状態に至る下痢等の症状のある患者において、急性腎障害、慢性腎不全悪化、クレアチニン上昇、腎機能障害があらわれ透析を必要とする例が報告されている。
11.1.3. 急性膵炎(0.8%):急性膵炎に特徴的な症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)に注意すること。膵炎と診断された場合には、本剤を再投与しないこと。
非常にまれであるが、壊死性膵炎又は出血性膵炎あるいは死亡に至るなどの致命的経過をたどった症例が報告されている〔8.3、8.4、9.1.2参照〕。
11.1.4. アナフィラキシー反応、血管浮腫(頻度不明)。
11.1.5. 腸閉塞(頻度不明):高度便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止すること〔9.1.3参照〕。
11.1.6. 胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸(いずれも頻度不明)〔8.8参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(1~5%未満)頭痛、(1%未満)浮動性めまい、味覚異常、(頻度不明)傾眠。
2). 消化器:(5%以上)悪心(28.3%)、便秘(10.8%)、食欲減退(16.3%)、嘔吐、腹部不快感(11.6%)、腹部膨満、下痢、(1~5%未満)消化不良、上腹部痛、胃炎、十二指腸炎、逆流性食道炎、(1%未満)鼓腸、おくび、下腹部痛、(頻度不明)胃排出遅延。
3). 肝胆道系:(1%未満)肝機能異常、(頻度不明)胆石症。
4). 腎臓:(1%未満)血中クレアチニン増加。
5). 代謝異常:(5%以上)血糖値低下(24.7%)、(1~5%未満)体重減少、(頻度不明)脱水。
6). 皮膚:(1%未満)発疹、じん麻疹、(頻度不明)多汗症、全身性そう痒症、斑状皮疹、丘疹、脱毛症。
7). 注射部位:(1~5%未満)注射部位紅斑、注射部位そう痒感、(1%未満)注射部位不快感、注射部位疼痛、注射部位発疹、注射部位湿疹、(頻度不明)注射部位出血、注射部位腫脹。
8). その他:(1~5%未満)倦怠感、冷感、胸部不快感、(1%未満)脱力感、CK上昇、(頻度不明)神経過敏・神経緊張。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)〔16.6.2参照〕。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与しないで、インスリン製剤を使用
すること(動物実験では、妊娠ウサギに22μg/kg/日(ヒトに1回10μgを1日2回皮下投与した場合の血漿中曝露量の229倍)以上又は妊娠マウスに68μg/kg/日(ヒトに1回10μgを1日2回皮下投与した場合の血漿中曝露量の25倍)以上を皮下投与した場合に、母動物体重減少及び母動物摂餌量低下に起因した胎仔発育遅延(ウサギ)、胎仔骨格への影響並びに胎仔と新生仔発育遅延(マウス)が報告されている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(授乳マウス)では、乳汁中へ移行することが報告されている)。
小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意患者に対し次の点に注意するよう指導すること。
14.1.1. 本剤は無色澄明な液である。液に濁りがある場合、粒子や変色を認める場合には使用しないこと。
14.1.2. 本剤のカートリッジに他剤を補充したり、他剤と混合してはならない。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 本剤はJIS T 3226-2に準拠したA型専用注射針を用いて使用すること。本剤はA型専用注射針との適合性の確認をBDマイクロファインプラス及びナノパスニードルで行っている。
14.2.2. 本剤とA型専用注射針との装着時に液漏れ等の不具合が認められた場合には、新しい注射針に取り替える等の処置方法を患者に十分指導すること。
14.2.3. 1本を複数の患者に使用しないこと。
14.2.4. 投与部位:腹部・大腿部又は上腕部に皮下投与すること。同一部位に繰り返し注射することは避けることが望ましい。
14.2.5. 投与経路:必ず皮下投与とし、静脈内、筋肉内には投与しないこと。
20.1. 使用前は凍結を避け、2~8℃で遮光保存すること。
20.2. 使用中は25℃以下で保存すること(冷蔵庫に保存する際は凍結しないよう注意すること)。
20.3. 凍結した場合は使用しないこと。
20.4. 使用開始後30日以内に使用すること。
その他の注意
15.2. 非臨床試験に基づく情報2年間のがん原性試験で、250μg/kg/日(ヒトに1回10μgを1日2回皮下投与した場合の血漿中曝露量の143倍)の投与により甲状腺C細胞腺腫の発生率の増加が雌ラットで認められたが、雄ラット及び雌雄マウスでは甲状腺C細胞腺腫の増加は認められなかった。また、甲状腺C細胞癌の発生は認められなかった。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
2型糖尿病患者24例に本剤5μgを腹部に単回皮下投与したときの血漿中エキセナチド濃度は、投与後1.5時間(tmax)に最高血漿中濃度(Cmax)に達し、半減期(t1/2)は1.27時間であった。
表1.2型糖尿病患者に本剤5μgを単回皮下投与したときの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

16.1.2 反復投与
2型糖尿病患者に本剤5又は10μgを腹部に1日2回反復皮下投与したとき(各8例)、投与10日目の血漿中エキセナチド濃度は、それぞれ投与後1.3及び1.5時間(tmax)にCmaxに達し、t1/2はそれぞれ1.35及び1.30時間であった。
表2.2型糖尿病患者に本剤5及び10μg注3)を反復皮下投与したときの10日目の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

図1.2型糖尿病患者に本剤5又は10μgを投与したときの投与10日目の血漿中エキセナチド濃度推移

16.2 吸収
2型糖尿病患者25例に3つの異なる投与部位(腹部、上腕部、大腿部)に本剤10μg単回皮下投与したとき、バイオアベイラビリティ(AUC比[95%信頼区間])は、腹部で1.21[0.96、1.53]、上腕部で1.13[0.89、1.43]及び大腿部で1.18[0.93、1.49]であった。なお、静脈内投与時のAUCの個体間変動が大きく、一部の被験者でAUCが低値を示したことからバイオアベイラビリティが1を超える値となった(外国人での成績)。
16.3 分布
2型糖尿病患者24例に本剤1μgを単回静脈内投与したときの分布容積[中央値(最小値~最大値)]は21.84(8.2~61.4)Lであった(外国人での成績)。
16.4 代謝
GLP‐1分解に関与する内因性ペプチド分解酵素であるジペプチジルペプチダーゼ‐4を用いたin vitro試験において、本剤はこの酵素による分解に対して抵抗性であることが示された。本剤は腎臓で分解されると考えられ、ヒト腎臓膜分画を用いた試験においてアミノ酸配列21‐22位間、22‐23位間で切断された4つのフラグメント[エキセナチド(1‐21)、エキセナチド(22‐39)、エキセナチド(1‐22)及びエキセナチド(23‐39)]が検出された。[18.1参照]
16.5 排泄
非臨床試験から、本剤は主として腎臓で分解されることにより消失することが示された。ラットに静脈内持続投与した試験において、尿中に未変化体はほとんど存在しなかったことから、本剤は腎臓で糸球体濾過を受けた後に分解されるものと考えられる。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
健康成人(CLCR>80mL/min)8例、軽度腎機能障害患者(CLCR=50~80mL/min)8例、中等度腎機能障害患者(CLCR=30~50mL/min)6例及び血液透析を受けている末期腎不全患者(CLCR≦30mL/min)8例に本剤5又は10μgを単回皮下投与した試験において、本剤のt1/2はそれぞれ1.45、2.12、3.16及び5.95時間であり、腎機能低下に伴いt1/2は延長した。また、本試験と2型糖尿病患者(CLCR>50mL/min)を対象とした単回投与時のデータを併合して見かけのクリアランスを解析したところ、正常腎機能を有する被験者に対し軽度、中等度腎機能障害患者及び末期腎不全患者で見かけのクリアランスはそれぞれ約13%、36%及び84%低下した(外国人での成績)。[2.4、9.2.1、9.2.2参照]
16.6.2 高齢者
高齢2型糖尿病患者(15例、75~85歳、CLCR=30~80mL/min)に本剤5又は10μgを単回皮下投与したときのCmax及びAUC0-∞は、成人2型糖尿病患者(15例、45~65歳、CLCR≧50mL/min)に比べそれぞれ12%及び41%増加した(外国人での成績)。[9.8参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ロバスタチン(HMG‐CoA還元酵素阻害剤)
本剤10μg投与後にロバスタチンを投与したとき、ロバスタチンのtmaxは4時間遅延し、Cmax及びAUC0-∞は28%及び40%低下した。なお、外国第III相試験3試験(30週のプラセボ対照試験)の併合解析では、HMG‐CoA還元酵素阻害剤服用中の被験者の脂質プロファイルは本剤併用により影響を受けなかった(外国人での成績)。[10.2参照]
16.7.2 ワルファリン
本剤10μg投与後にワルファリンを投与したとき、ワルファリンのtmaxは遅延したが、Cmax及びAUCは変化しなかった(外国人での成績)。[10.2参照]
16.7.3 経口避妊薬
本剤投与1時間前に経口避妊薬を投与した場合、Cmax及びtmaxにもほとんど影響はなかった(外国人での成績)。[10.2参照]
16.7.4 その他の薬剤
(1)アセトアミノフェン
本剤10μgと同時又は1、2及び4時間後にアセトアミノフェン1000mgを併用投与したとき、プラセボ投与と比べ、tmaxは0.3~3.6時間遅延し、Cmax及びAUCは37~56%及び14~24%低下した。その影響は本剤投与1又は2時間後が最も顕著であった。本剤投与1時間前にアセトアミノフェンを併用投与したとき、アセトアミノフェンの血漿中濃度に変化はみられなかった(外国人での成績)。
(2)リシノプリル
本剤投与後にリシノプリルを投与したとき、リシノプリルのCmaxは低下しtmaxは遅延したが、Cmax及びAUCは変化しなかった(外国人での成績)。
(3)ジゴキシン
本剤投与後にジゴキシンを投与したとき、ジゴキシンのCmaxは低下しtmaxは遅延したが、AUCは変化しなかった(外国人での成績)。
→図表を見る(PDF)

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II相比較試験
スルホニルウレア剤(他の経口血糖降下薬との併用を含む)で十分な効果が得られない日本人2型糖尿病患者151例を対象に、本剤2.5注1)、5、10μg又はプラセボを1日2回12週間皮下投与した。主要評価項目は、投与開始時(ベースライン)から投与12週時までのHbA1c注2)変化量とした。その結果、HbA1c注2)変化量(平均値±標準偏差)は、プラセボ群で0.02±0.64%、本剤5μg群で-1.24±0.65%、本剤10μg群で-1.41±0.86%であった。空腹時血糖値の変化量(平均値±標準誤差)は、プラセボ群で6.0±4.84mg/dL、本剤5μg群で-25.0±6.99mg/dL、本剤10μg群で-28.9±5.86mg/dLであった。また、食事負荷試験の結果、食後2時間の血糖値の変化量(平均値±標準偏差)は、プラセボ群で7.8±45.7mg/dL、本剤5μg群で-130.7±57.6mg/dL、本剤10μg群で-159.7±65.2mg/dLであった。体重変化量(平均値±標準誤差)は、プラセボ群で-0.69±0.23kg、本剤5μg群で-0.24±0.29kg、本剤10μg群で-1.27±0.33kgであった。
副作用発現頻度は、本剤5μg群で70.3%(26/37例)及び本剤10μg群で86.5%(32/37例)であった。主な副作用は低血糖症(本剤5μg群43.2%[16/37例]、本剤10μg群54.1%[20/37例])、血中ブドウ糖減少(本剤5μg群21.6%[8/37例]、本剤10μg群21.6%[8/37例])及び悪心(本剤5μg群8.1%[3/37例]、本剤10μg群35.1%[13/37例])であった。[5.、11.1.1参照]
17.1.2 国内第III相比較試験
スルホニルウレア剤(他の経口血糖降下薬との併用を含む)で十分な効果が得られない日本人2型糖尿病患者179例を対象に、本剤5、10μg又はプラセボを1日2回24週間皮下投与した。主要評価項目は、投与開始時(ベースライン)から投与24週時までのHbA1c注2)変化量とした。その結果、HbA1c注2)変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は、プラセボ群で-0.28±0.15%、本剤5μg群で-1.34±0.11%、本剤10μg群で-1.62±0.11%であり、プラセボ群に対して本剤5μg群及び本剤10μg群でいずれも統計学的に有意な減少を示した(それぞれp<0.001)。
本剤の長期投与時の安全性と有効性を併せて検討するため、二重盲検期間(24週間)の後に非盲検期間(28週間)を設け、本剤5μg又は10μgを52週時まで投与した結果は次の通りであった。
図1 第III相比較試験におけるHbA1c(JDS)値(%)の推移

表1 第III相比較試験におけるHbA1c(JDS)値(%)の推移
→図表を見る(PDF)

空腹時血糖値において、ベースラインから投与24週時までの平均変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は、プラセボ群で-7.6±5.46mg/dL、本剤5μg群で-25.1±3.83mg/dL、本剤10μg群で-29.0±3.81mg/dLであった。更に、1日7ポイントの自己血糖測定の結果から、本剤投与後24週において、朝食後2時間の血糖値の変化量(平均値±標準偏差)は、プラセボ群で-0.3±67.5mg/dL、本剤5μg群で-87.5±61.2mg/dL、本剤10μg群で-120.6±61.9mg/dLであり、夕食後2時間の血糖値の変化量は、プラセボ群で7.3±57.6mg/dL、本剤5μg群で-85.8±71.5mg/dL、本剤10μg群で-108.7±71.8mg/dLであった。
体重において、ベースラインから投与24週時までの平均変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は、プラセボ群で-0.47±0.39kg、本剤5μg群で-0.39±0.28kg、本剤10μg群で-1.54±0.27kgであり、本剤10μg群はプラセボ群に対して有意な減少を示した(p=0.026)。
図2 第III相比較試験における7ポイント自己血糖測定値変化(本剤10μg群)

投与52週時までの副作用発現頻度は、本剤5μg群で80.6%(58/72例)、本剤10μg群88.9%(64/72例)であった。主な副作用は低血糖症(本剤5μg群54.2%[39/72例]、本剤10μg群61.1%[44/72例])、悪心(本剤5μg群23.6%[17/72例]、本剤10μg群34.7%[25/72例])及び血中ブドウ糖減少(本剤5μg群19.4%[14/72例]、本剤10μg群33.3%[24/72例])であった。[5.、11.1.1参照]
注1)本剤の用法・用量は1回5μgを1日2回投与し、患者の状態に応じて1回10μgに増量できる。
注2)これらの試験で測定されたHbA1c値は、JDS(Japan Diabetes Society)値である。

18.1 作用機序
本剤は化学合成されたアミノペプチドであり、トカゲ(Heloderma Suspectum)由来のエキセンディン‐4(Exendin‐4)と同じ39個のアミノ酸配列を有する。本剤のN末端配列はヒトGLP‐1と異なることから、内因性ペプチド分解酵素であるジペプチジルペプチダーゼ‐4による分解に抵抗性を示し、作用が持続する。[16.4参照]
18.2 GLP‐1受容体アゴニスト作用
本剤は、in vitro試験において内因性GLP‐1と同様にGLP‐1受容体に結合し、細胞内cAMPを増加させるGLP‐1アゴニスト活性を示した。
18.3 血糖上昇抑制作用
18.3.1 血糖降下作用
日本人2型糖尿病患者を対象とした10日間の試験において、5及び10μgの本剤を1日2回反復皮下投与した。なお、両群とも1日目はプラセボ投与し、10μg群は5μgで投与を開始し、6日目から10μgに増量した。反復投与後の最終投与日における血漿中グルコース濃度(AUC0-6h)は、プラセボ投与時(1日目)に対して5μg群(8例)及び10μg群(7例)においてそれぞれ33.4%及び42.1%低下した。
18.3.2 グルコース依存性血糖降下作用
糖尿病疾患モデルマウス(db/db及びob/ob)を用いたin vivo試験において、本剤は血糖降下作用を示し、血中グルコース濃度の投与前値と投与前後の変化量に相関が認められた。
18.3.3 グルコース応答性インスリン分泌作用
ラット膵島細胞を用いたin vitroインスリン分泌能試験において、本剤は低グルコースレベルでは作用を示さず、高グルコースレベルで認められるインスリン分泌を増強した。また、糖尿病モデルラットを用いたin vivo反復投与試験において、本剤は摂餌量を同等にした対照群に比し膵β細胞重量に有意な変化を示さなかったが、インスリン感受性を有意に改善し、膵β細胞重量とインスリン感受性との積(インスリン感受性で補正した膵β細胞量)を有意に増加した。更に糖尿病モデルラットを用いたin vivo反復投与試験において、本剤は溶媒対照群に比し、血漿中Cペプチドを有意に増加した。
18.3.4 グルカゴン分泌抑制作用
ラットを用いたin vivo高血糖クランプ試験において、本剤は溶媒対照群に比し、グルカゴン分泌を有意に抑制した。
18.3.5 胃内容物排出遅延作用
ラットを用いたin vivo胃内容物排出試験において、本剤は用量に依存した胃内容物排出遅延作用を示した。
18.4 体重減少作用
ラットを用いたin vivo反復投与試験において、本剤は摂餌量を抑制し、溶媒投与群に比し有意な体重減少を示した。
18.5 インスリン抵抗性改善作用
ラットに本剤を反復投与した後に実施したin vivo正常血糖高インスリンクランプ試験において、本剤はグルコース注入速度/血漿中インスリン濃度比を溶媒対照群に比し有意に上昇させ、インスリン抵抗性改善作用を示した。

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