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シグニフォーLAR筋注用キット20mg

販売名
シグニフォーLAR筋注用キット20mg
薬価
20mg1キット(溶解液付) 196787.00円
製造メーカー
レコルダティ・レア・ディジーズ

添付文書情報2020年06月改定(第2版)

商品情報

薬効分類名
他に分類されないホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
一般名
パシレオチドパモ酸塩キット
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 重度<Child-Pugh分類クラスC>の肝機能障害のある患者〔9.3.1参照〕。
効能・効果
1). 次記疾患における成長ホルモン分泌過剰状態、IGF-1分泌過剰状態(ソマトメジン-C分泌過剰状態)及び諸症状の改善:先端巨大症・下垂体性巨人症(外科的処置で効果が不十分又は施行が困難な場合)。
2). クッシング病(外科的処置で効果が不十分又は施行が困難な場合)。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉下垂体性巨人症については、脳性巨人症や染色体異常など他の原因による高身長例を鑑別し、下垂体性病変に由来するものであることを十分に確認すること。
5.2. 〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉高血糖の発症リスクを考慮し、他のソマトスタチンアナログで効果が不十分な場合など、本剤による治療がより適切と考えられる場合に使用すること。
用法・用量
〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉
通常、成人にはパシレオチドとして40mgを4週毎に3ヵ月間、臀部筋肉内に注射する。その後は患者の状態に応じて、20mg、40mg又は60mgを4週毎に投与する。
〈クッシング病〉
通常、成人にはパシレオチドとして10mgを4週毎に、臀部筋肉内に注射する。なお、患者の状態に応じて適宜増量できるが、最高用量は40mgとする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉用量は60mgを上限とし、成長ホルモン濃度、IGF-1濃度及び臨床症状により、20mg単位で適宜増減できる。なお、先端巨大症・下垂体性巨人症の場合、60mgまで増量しても改善がみられない場合には、他の治療法への切替えを考慮すること。
7.2. 〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉中等度<Child-Pugh分類クラスB>の肝機能障害のある患者では、20mgを4週毎に3ヵ月間、臀部筋肉内に注射し、その後は患者の状態に応じて20mg又は40mgを4週毎に投与する〔8.3、9.3.2、16.6.2参照〕。
7.3. 〈クッシング病〉用量は40mgを上限とし、血中・尿中コルチゾール値、臨床症状等により、10mg~40mgの範囲で適宜増減できる。なお、クッシング病の場合、40mgまで増量しても改善がみられない場合には、他の治療法への切替えを考慮すること。
7.4. 〈クッシング病〉中等度<Child-Pugh分類クラスB>の肝機能障害のある患者では、10mgを4週毎に臀部筋肉内に注射する(なお、患者の状態に応じて適宜増量できるが、最高用量は20mgとする)〔8.3、9.3.2、16.6.2参照〕。
肝機能障害患者
8.1. 〈効能共通〉本剤の作用機序によりインスリン等の分泌が低下することで、高血糖を起こすことがあるので、投与開始前、投与開始後1ヵ月までは週1回、投与開始後1ヵ月から投与開始後3ヵ月までは1~2週に1回、血糖値を測定し、患者の状態を注意深く観察すること。本剤投与中は投与開始後4ヵ月以降も定期的に血糖値(空腹時血糖、HbA1c等)を測定し、本剤投与中止後も必要に応じて血糖値を測定すること。本剤の用量を増量する場合は、増量後4~6週間までは週1回を目安に血糖値を測定すること〔9.1.1、11.1.1参照〕。
8.2. 〈効能共通〉徐脈及びQT延長があらわれることがあるので、投与開始前及び投与開始3週後を目安に心電図検査を行い、また、その後も必要に応じて心電図検査を行うこと〔9.1.2、9.1.3、11.1.2参照〕。
8.3. 〈効能共通〉ALT上昇、AST上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、投与開始前、投与開始2~3週後、その後投与開始後3ヵ月までは月1回を目安に、それ以降は定期的に肝機能検査を行うこと〔7.2、7.4、11.1.3参照〕。
8.4. 〈効能共通〉胆石の形成又は胆石症悪化(急性胆嚢炎、胆管炎又は膵炎)があらわれることがあるので、投与開始前及び投与中は、定期的に(6~12ヵ月毎)超音波、X線による胆嚢及び胆管検査を行うことが望ましい。
8.5. 〈効能共通〉本剤の投与中は複数の下垂体ホルモン分泌抑制されるおそれがあるので、必要に応じて、投与開始前及び投与中は定期的に下垂体機能検査を行うこと。
8.6. 〈効能共通〉本剤の投与中に甲状腺機能低下を伴うことがあるので、患者の状態を十分に観察すること(甲状腺関連異常所見が認められた場合には甲状腺機能検査を行うこと)。
8.7. 〈効能共通〉本剤の投与中に副腎皮質機能低下し、低コルチゾール血症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察すること(脱力、疲労、食欲不振、悪心、嘔吐、低血圧、低ナトリウム血症、低血糖等の症状があらわれた場合には主治医に連絡するよう指導し、低コルチゾール血症が疑われた場合には、本剤の減量又は休薬を考慮するとともに、必要に応じて適切な処置を行うこと)。
8.8. 〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉病態悪化に伴い、下垂体腺腫が進展することがあり、これに伴い視野狭窄などの重篤な症状を生じることがあるので患者の状態を十分に観察すること(腫瘍の進展が認められた場合は、他の治療法への切替え等適切な処置を行うこと)。
8.9. 〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉成長ホルモン及びIGF-1を定期的に測定することが望ましい。
9.1.1. 糖尿病の患者:投与開始前に血糖値(空腹時血糖、HbA1c等)を測定し、血糖をコントロールしておくこと(投与開始後1ヵ月から投与開始後3ヵ月までは週1回、血糖値を測定することが望ましい)、糖尿病が悪化するおそれがある〔8.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. 臨床的に重大な徐脈、急性心筋梗塞、高度心ブロック、うっ血性心不全、不安定狭心症、持続性心室性頻脈、心室細動の既往歴のある患者:徐脈があらわれる又は徐脈悪化するおそれがある〔8.2、11.1.2参照〕。
9.1.3. QT延長のある患者(先天性QT延長症候群、うっ血性心不全、低カリウム血症又は低マグネシウム血症の患者):低カリウム血症又は低マグネシウム血症の患者に本剤を投与する場合には、投与開始前に必ず電解質の補正を行い、投与中は定期的に血液検査を行うこと(QT延長悪化するおそれがある)〔8.2、11.1.2参照〕。
9.3.1. 重度<Child-Pugh分類クラスC>の肝機能障害患者:投与しないこと(血中濃度が上昇し、副作用がおこりやすくなるおそれがある)〔2.2、16.6.2参照〕。
9.3.2. 中等度<Child-Pugh分類クラスB>の肝機能障害患者:患者の状態に応じて適宜用量を調節すること(血中濃度が上昇するおそれがある)〔7.2、7.4、16.6.2参照〕。
9.3.3. 軽度<Child-Pugh分類クラスA>の肝機能障害患者:血中濃度が上昇するおそれがある〔16.6.2参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:1). シクロスポリン<経口>[シクロスポリンの血中濃度が低下することがある(動物実験(イヌ)において、本剤がシクロスポリンの消化管吸収を阻害し、血中濃度を低下させたとの報告がある)]。
2). 抗不整脈剤、QT延長を起こすことが知られている薬剤〔11.1.2参照〕[QT延長を起こす又は悪化させるおそれがあるため、観察を十分に行うこと(いずれもQT延長の副作用を有するため)]。
3). β遮断剤(アテノロール等)、カルシウム拮抗剤(ベラパミル、ジルチアゼム等)、水分や電解質を補正する薬剤〔11.1.2参照〕[併用すると重度の徐脈や心ブロックが認められるおそれがある(いずれも徐脈や心ブロックを引き起こすおそれがある)]。
4). CYP3A4で代謝される薬剤(キニジン等)[主にCYP3A4で代謝される薬剤の血中濃度を上昇させることがある(本剤が成長ホルモンの産生を抑制することにより、間接的にCYP3A4で代謝される薬剤のクリアランスを低下させる可能性がある)]。
5). ブロモクリプチン[ブロモクリプチンとの併用により、類薬<オクトレオチド>でブロモクリプチンのAUCが上昇したとの報告がある(機序は不明である)]。
6). インスリン製剤、血糖降下剤[糖尿病用薬との併用時には低血糖の発現に注意し、低血糖症状が認められた場合には糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと(インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 高血糖、糖尿病の発症又は糖尿病増悪(63.4%):糖尿病性ケトアシドーシスや糖尿病性昏睡に至るおそれがあるので、高血糖が認められた場合は、直ちに糖尿病治療薬を投与するなど適切な処置を行い、血糖コントロールの改善が認められない場合は本剤の減量又は投与中止を考慮すること〔8.1、9.1.1参照〕。
11.1.2. 徐脈(5.7%)、QT延長(1.7%):徐脈又はQT延長が認められた場合、β遮断剤、カルシウム拮抗剤等の徐脈作用を有する薬剤又は水分や電解質を補正する薬剤を投与している患者においては、これらの用量を調節すること〔8.2、9.1.2、9.1.3、10.2参照〕。
11.1.3. 肝機能障害(6.3%):ALT増加、AST増加、γ-GTP増加を伴う肝機能障害を起こすことがあるので、黄疸や顕著な肝機能検査値異常が認められた場合には、本剤投与の中止を考慮すること〔8.3参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 血液及びリンパ系障害:(5%未満)貧血。
2). 内分泌障害:(5%未満)副腎機能不全。
3). 神経系障害:(5%未満)頭痛、浮動性めまい。
4). 胃腸障害:(5%以上)下痢、腹痛、悪心、腹部膨満、(5%未満)嘔吐。
5). 肝胆道系障害:(5%以上)胆石症、(5%未満)胆嚢炎、胆汁うっ滞。
6). 皮膚及び皮下組織障害:(5%以上)脱毛症。
7). 臨床検査:(5%未満)血中CK増加、グリコヘモグロビン増加、リパーゼ増加、血中アミラーゼ増加、血中コルチゾール減少、プロトロンビン時間延長。
8). 全身障害及び注射部位反応:(5%以上)疲労、(5%未満)注射部位疼痛。
9). 代謝及び栄養障害:(5%未満)低血糖、食欲減退。
高齢者
患者の状態を観察し、十分に注意しながら本剤を投与すること(一般に、生理機能が低下している)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(ラット、ウサギ)で、母動物に毒性が発現する用量で、早期吸収胚数発現率増加/総吸収胚数発現率増加、生存胎仔数減少、胎仔体重減少、流産及び骨格変異を含む生殖発生毒性が認められている。また、動物実験(ラット)で、臨床曝露量以下で雌の受胎能に影響が認められている(黄体数減少、着床数減少及び生存胎仔数減少、発情周期異常))。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 本剤の使用にあたっては、取扱い方法を示した付属の文書を熟読すること。
14.1.2. 調製は必ず付属の専用分散液及びバイアルアダプターを使用し、薬剤及び専用分散液を少なくとも30分室温で静置し、内容物を室温に戻してから行うこと。
14.1.3. 専用分散液の全量をバイアル内に注入後、粉末が完全に懸濁するまで、水平方向に穏やかに振ること。
14.1.4. 用時調製し、懸濁後は直ちに使用すること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 筋肉内のみに投与し、静脈内には投与しないこと。
14.2.2. 注射針は20ゲージを用いること。
14.2.3. 注射部位は臀部の左右外側上部とし、三角筋等他の筋には投与しないこと。
14.2.4. 臀部には左右交互に投与し、同一部位への投与は避けること。
14.2.5. 神経走行部位及び血管内への投与を避けること。
14.2.6. 注射針を刺入したとき、疼痛を訴えたり血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
14.3. 薬剤投与後の注意14.3.1. 注射部位をもまないように患者に指示すること。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人(32例)に本剤10mg、20mg、40mg及び60mgを単回筋肉内投与したときの血漿中パシレオチド濃度は、投与後約20日にCmaxに達し、その後約12~18日間の半減期で消失した。Cmax及びAUCは、ほぼ用量に比例して増加した。
健康成人に本剤10mg、20mg、40mg及び60mgを単回筋肉内投与したときの血漿中パシレオチド濃度推移(各群n=8、平均値±標準偏差)

健康成人に本剤10mg、20mg、40mg及び60mgを単回筋肉内投与したときの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

16.1.2 反復投与
〈先端巨大症患者及び下垂体性巨人症患者〉
先端巨大症患者(32例)及び下垂体性巨人症患者(1例)に本剤20mg、40mg及び60mgを4週毎に12週間筋肉内投与したときの血漿中パシレオチド濃度の推移は添付文書の図のとおりであり、投与3回目以降はほぼ定常状態となった。投与3回目における血漿中パシレオチド濃度のCmax(平均値±標準偏差、以下同様)は、各用量でそれぞれ8.23±2.35、17.3±9.61及び16.2±7.12ng/mLであった。トラフ濃度の累積係数(投与3回目/投与1回目)は、各用量でそれぞれ1.33±0.530、1.85±1.17及び1.64±1.41であった。
患者に本剤20mg、40mg及び60mgを4週毎に12週間筋肉内投与したときの血漿中パシレオチド濃度推移(各群n=11、平均値±標準偏差)

〈クッシング病患者〉
クッシング病患者を対象とした国際共同試験において、本剤10mg、30mg及び40mgを4週毎に12ヵ月間筋肉内投与したときのトラフ濃度は投与3回目でほぼ定常状態となった。定常状態におけるトラフ濃度(平均値)は、それぞれ2.39~3.36(n=13~59)、7.88~9.34(n=15~51)及び10.7~12.6(n=20~44)ng/mLであった。
16.3 分布
パシレオチドの血漿蛋白結合率は濃度に依存せず約88%であり、血球にはほとんど移行しない(in vitro)。
16.4 代謝
16.4.1 パシレオチドの代謝
パシレオチドはヒト肝及び腎ミクロソーム中で代謝を受けない(in vitro)。健康成人(4例)に14C標識したパシレオチド二アスパラギン酸塩(皮下注用製剤で国内未承認)600μgを単回皮下投与したとき、血漿、尿及び糞中の主要成分はパシレオチドの未変化体であった(外国人のデータ)。
16.4.2 CYPに対する阻害作用
パシレオチドは臨床用量においてCYP1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4/5を阻害しなかった(in vitro)。
16.4.3 CYPに対する誘導作用
パシレオチドは臨床用量においてCYP1A2、2B6、2C8、2C9、2C19及び3Aを誘導しなかった(in vitro)。
16.4.4 UGTに対する阻害作用
パシレオチドは臨床用量においてUGT1A1を阻害しなかった(in vitro)。
16.5 排泄
16.5.1 パシレオチドは主に胆汁中に排泄される。健康成人(4例)に14C標識したパシレオチド二アスパラギン酸塩(皮下注用製剤で国内未承認)600μgを単回皮下投与したとき、投与10日後における総投与放射能の糞中及び尿中排泄率はそれぞれ約48%及び約8%であった(外国人のデータ)。本剤20~60mgを日本人健康成人に単回筋肉内投与したときの見かけのクリアランス(CL/F)は約4.5~5.2L/hrであった(in vivo)。
16.5.2 パシレオチドの見かけの膜透過係数は約0.1×10の-5乗cm/minであり膜透過性は低かった。パシレオチドはP‐gpの基質であることが示唆されたが、BCRP、OCT1、OATP1B1、1B3又は2B1の基質ではなかった(in vitro)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害者における薬物動態
健康被験者、軽度、中等度、重度の腎機能障害者及び末期腎不全患者にパシレオチド二アスパラギン酸塩(皮下注用製剤で国内未承認)900μgを単回皮下投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった。健康被験者に対する軽度、中等度、重度腎機能障害者及び末期腎不全患者における血漿中パシレオチド濃度のCmaxの幾何平均値の比とその90%信頼区間は、0.69[0.53、0.88]、0.70[0.55、0.90]、0.81[0.63、1.04]及び1.05[0.76、1.45]、AUCinfの幾何平均値の比とその90%信頼区間は0.77[0.62、0.95]、0.85[0.69、1.04]、0.95[0.77、1.19]及び1.20[0.91、1.57]であった(外国人のデータ)。
パシレオチド二アスパラギン酸塩900μgを単回皮下投与したときの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

16.6.2 肝機能障害者における薬物動態
健康被験者並びに軽度、中等度及び重度肝機能障害者にパシレオチド二アスパラギン酸塩(皮下注用製剤で国内未承認)600μgを単回皮下投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった。健康被験者に対する軽度、中等度及び重度肝機能障害者における血漿中パシレオチド濃度のCmaxの幾何平均値の比とその90%信頼区間は、1.03[0.72、1.47]、1.46[1.04、2.04]及び1.33[0.93、1.90]、AUCinfの幾何平均値の比とその90%信頼区間は1.12[0.85、1.48]、1.56[1.18、2.06]及び1.42[1.07、1.87]であった(外国人のデータ)。[7.2、7.4、9.3参照]
パシレオチド二アスパラギン酸塩600μgを単回皮下投与したときの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

16.7 薬物相互作用
健康成人(17例)にパシレオチド二アスパラギン酸塩(皮下注用製剤で国内未承認)600μg及びベラパミル240mg(徐放性製剤で国内未承認)を併用投与したとき、血漿中パシレオチド濃度のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用/単独)とその90%信頼区間は、0.98[0.91、1.06]及び0.98[0.92、1.05]であった(外国人のデータ)。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈先端巨大症患者・下垂体性巨人症患者〉
17.1.1 国内第II相試験
薬物治療歴のない又はソマトスタチンアナログ等の薬物治療でコントロール不良な先端巨大症患者及び下垂体性巨人症患者を対象とした無作為化非盲検試験において、本剤20、40又は60mgの用量を4週毎に1回筋肉内投与した。本剤の用量は、投与12週後及び28週後に、血清成長ホルモン(GH)濃度及び血清IGF‐I濃度に応じ、60mgまでの増量が許容された。
先端巨大症患者の32例、下垂体性巨人症患者の1例、合計33例が組み入れられ、20mg群(11例)、40mg群(11例)又は60mg群(11例)に無作為割付けされた。主要有効性評価項目である全患者(用量群併合)での投与12週後の奏効率(血清GH濃度が2.5μg/L未満かつ血清IGF‐I濃度が性別及び年齢別の基準値範囲内であった患者の割合)は次表のとおりであった。用量群併合での投与48週後の奏効率は、15.2%(5/33例、95%信頼区間:5.1%、31.9%)であった。
先端巨大症患者及び下垂体性巨人症患者における投与12週後の奏効率
→図表を見る(PDF)

用量群併合での投与48週後の腫瘍体積のベースラインからの変化率の平均値±標準偏差(評価例数)は、-6.2±39.89%(26例)であった(追加解析結果)。
副作発現頻度は、33例中28例(84.8%)であった。主な副作用は高血糖14例(42.4%)、糖尿病8例(24.2%)、耐糖能障害4例(12.1%)、胆石症4例(12.1%)等であった。
〈先端巨大症患者〉
17.1.2 海外第III相試験
薬物治療歴のない先端巨大症患者を対象とした無作為化盲検比較試験において、本剤の有効性及び安全性を、オクトレオチド酢酸塩徐放性製剤(オクトレオチドLAR)を対照に比較した。本剤群は40mgを4週毎に1回筋肉内投与し、オクトレオチドLAR群は20mgを4週毎に1回筋肉内投与した。投与12週後及び28週後に血清GH濃度及び血清IGF‐I濃度に応じ、本剤は60mgまで、オクトレオチドLARは30mgまでの増量が許容された。
合計336例が本剤群(165例)又はオクトレオチドLAR群(171例)に無作為割付けされた。主要有効性評価項目である48週後の奏効率は、本剤群31.5%(52/165例、95%信頼区間:24.5%、39.2%)、オクトレオチドLAR群18.1%(31/171例、95%信頼区間:12.7%、24.7%)であり、本剤群とオクトレオチドLAR群の間に統計学的に有意な差が認められた(p=0.004、Cochran‐Mantel‐Haenszel検定)。
投与48週後の腫瘍体積のベースラインからの変化率の平均値±標準偏差(評価例数)は、本剤群-38.9±21.61%(114例)、オクトレオチドLAR群-36.9±23.65%(116例)であった。
副作用発現頻度は、本剤投与群で86.2%(144/167名)、オクトレオチドLAR投与群で76.3%(129/169名)であった。主な副作用は本剤投与群では下痢32.9%(55/167例)、高血糖29.3%(49/167例)、胆石症28.7%(48/167例)、オクトレオチドLAR投与群では下痢42.0%(71/169例)、胆石症34.9%(59/169例)、腹痛18.3%(31/169例)であった。
17.1.3 海外第III相試験
オクトレオチドLAR又はランレオチド酢酸塩徐放性製剤(ランレオチド)の投与により、血清GH濃度及び血清IGF‐I濃度のコントロール不良であった先端巨大症患者を対象とした無作為化比較試験において、本剤の有効性及び安全性を、オクトレオチドLAR又はランレオチドの投与継続を対照(実薬対照)に比較した。本剤群は40mg又は60mgの用量を4週毎に1回筋肉内投与した。実薬対照群のオクトレオチドLARは30mgを4週毎に1回筋肉内投与し、ランレオチドは120mgを4週毎に1回皮下投与した。投与薬は非盲検とし、本剤の用量は盲検とした。
合計198例が本剤40mg群(65例)、本剤60mg群(65例)又は実薬対照群(68例)に無作為割付けされた。主要有効性評価項目である投与24週後の奏効率は、本剤40mg群15.4%(10/65例、95%信頼区間:7.6%、26.5%)、本剤60mg群20.0%(13/65例、95%信頼区間:11.1%、31.8%)、実薬対照群0%(0/68例、95%信頼区間:0%、5.3%)であり、本剤40mg群及び本剤60mg群の奏効率は、いずれも実薬対照群と比較して統計学的に有意な差が認められた(層別ロジスティック回帰モデルを用いて算出した片側調整p値はそれぞれ、p=0.0006及びp<0.0001)。
投与24週後の腫瘍体積のベースラインからの変化率の平均値±標準偏差(評価例数)は、本剤40mg群-14.4±18.78%(42例)、本剤60mg群-9.4±17.28%(37例)、実薬対照群-2.0±14.97%(36例)であった。
副作用発現率は、本剤40mg群で71.4%(45/63名)、60mg群で74.2%(46/62名)、対照群で43.9%(29/66名)であった。主な副作用は、40mg群では高血糖33.3%(21/63例)、糖尿病19.0%(12/63例)、下痢11.1%(7/63例)、60mg群では高血糖29.0%(18/62例)、糖尿病25.8%(16/62例)、下痢19.4%(12/62例)、対照群では胆石症12.1%(8/66例)、高血糖6.1%(4/66例)、糖尿病4.5%(3/66例)であった。
〈クッシング病患者〉
17.1.4 国際共同第III相試験
クッシング病患者を対象とした無作為化二重盲検国際共同試験において本剤の有効性及び安全性を検討した。本剤の開始用量は10mg又は30mgとし、4週毎に1回筋肉内投与した。投与4、7、9ヵ月後に、平均尿中遊離型コルチゾールに応じ、10、30又は40mgの範囲で1用量レベルずつの増量が許容され、安全性に問題がある場合には必要に応じ、5mgに達するまで減量とされた。
合計150例が本剤10mg群(74例)又は本剤30mg群(76例)に無作為割付けされた。主要有効性評価項目である投与7ヵ月後の奏効率(平均尿中遊離型コルチゾールが基準値上限の166.48nmol/24hours以下であった被験者の割合)は、本剤10mg群41.9%(31/74例、95%信頼区間:30.51%、53.94%)、本剤30mg群40.8%(31/76例、95%信頼区間:29.65%、52.67%)であった。いずれの群も95%信頼区間の下限値は事前に規定した閾値である15%を超え、本剤10mg及び30mgの有効性が確認された。
投与12ヵ月後の平均尿中遊離型コルチゾールのベースラインからの変化量の平均値±標準偏差(評価例数)は、本剤10mg群-195.1±282.46nmol/24hours(50例)、本剤30mg群-247.6±387.05nmol/24hours(54例)であった。
投与12ヵ月後の腫瘍体積のベースラインからの変化率の平均値±標準偏差(評価例数)は、本剤10mg群-22.4±34.66%(35例)、本剤30mg群-16.8±36.32%(38例)であった。
副作用発現率は、本剤10mg群で90.5%(67/74名)、30mg群で96.1%(73/76名)であった。主な副作用は、10mg群では高血糖47.3%(35/74例)、下痢28.4%(21/74例)、胆石症18.9%(14/74例)、30mg群では高血糖46.1%(35/76例)、胆石症43.4%(33/76例)、下痢35.5%(27/76例)であった。
17.3 その他
心電図に対する影響
健康成人(112例)にパシレオチド二アスパラギン酸塩(皮下注用製剤で国内未承認)600μg及び1,950μgを1日2回5日間皮下投与したとき注)、QTcI間隔(個体ごとに心拍数補正したQT間隔)のベースラインからの平均変化量のプラセボとの差は投与2時間後に最大となり、その平均値[90%信頼区間]はそれぞれ13.19[11.38、15.01]及び16.12[14.30、17.95]msecであった(外国人のデータ)。
注)パシレオチド二アスパラギン酸塩600μg及び1,950μgを1日2回5日間皮下投与したときのCmax(平均値±標準偏差)は、それぞれ24.3±7.20及び80.6±25.3ng/mLであり、本剤60mgを反復筋肉内投与したときの予想Cmaxはパシレオチド二アスパラギン酸塩600μgのCmaxと同程度であった。

18.1 作用機序
通常、下垂体腺腫には、5種類のソマトスタチン受容体サブタイプ(sstr1~5)が発現している。ソマトスタチン受容体サブタイプに対するパシレオチドの結合親和性(IC50値)は、sstr1で9.3±0.1nM、sstr2で1.0±0.1nM、sstr3で1.5±0.3nM、sstr4で>100nM、sstr5で0.16±0.01nM(平均値±標準誤差)であり、sstr1、2、3及び5に対し高い親和性を示す。これら複数のsstrサブタイプへの結合を介してGH分泌を抑制する。副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌抑制については主にsstr5を介すると考えられている。
18.2 GH分泌抑制作用
パシレオチドは、in vitroにおいて、成長ホルモン刺激ホルモン(GHRH)刺激による初代培養ラット下垂体細胞からのGH分泌を抑制した。In vivoにおいて、ラットへの皮下投与により血中GH濃度を低下させた。
ラットへの浸透圧ミニポンプを用いた持続皮下投与では、GHRH刺激によるGH分泌を抑制した。
18.3 ACTH分泌抑制作用
パシレオチドは、in vitroにおいて、マウス下垂体由来腫瘍細胞からのACTH分泌を抑制した。
In vivoにおいて、正常ラットへの静脈内投与により、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン刺激によるACTH分泌及びコルチコステロン分泌を抑制した。

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