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ブリリンタ錠90mg

販売名
ブリリンタ錠90mg
識別コード
90 T
薬価
90mg1錠 139.90円
製造メーカー
アストラゼネカ

添付文書情報2023年10月改定(第4版)

商品情報

薬効分類名
他に分類されない血液・体液用薬
一般名
チカグレロル錠
禁忌
2.1. 出血している患者(頭蓋内出血、消化管出血、尿路出血、喀血、硝子体出血等)、血友病の患者[出血を助長するおそれがある]。
2.2. 頭蓋内出血の既往歴のある患者[出血を助長するおそれがある]。
2.3. 中等度肝障害又は重度肝障害のある患者〔9.3.1参照〕。
2.4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.5. 強いCYP3A阻害剤投与中(イトラコナゾール、ボリコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル、コビシスタットを含む薬剤、エンシトレルビルフマル酸)の患者〔10.1参照〕。
2.6. 強いCYP3A誘導剤投与中(リファンピシン、リファブチン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、セイヨウオトギリソウ含有食品)の患者〔10.1参照〕。
効能・効果
経皮的冠動脈形成術<PCI>が適用される急性冠症候群(経皮的冠動脈形成術<PCI>が適用される不安定狭心症、経皮的冠動脈形成術<PCI>が適用される非ST上昇心筋梗塞、経皮的冠動脈形成術<PCI>が適用されるST上昇心筋梗塞)(ただし、アスピリンを含む抗血小板剤2剤併用療法が適切である場合で、かつ、アスピリンと併用する他の抗血小板剤の投与が困難な場合に限る)。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. アスピリンと併用すべき本剤以外のP2Y12受容体拮抗薬等の抗血小板剤の投与が副作用の発現等により困難な場合に、本剤の使用を考慮すること。
5.2. 本剤の使用に際しては、「17.臨床成績」及び「11.副作用」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で投与すること。
5.3. 経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用予定の急性冠症候群患者への投与は可能であるが、冠動脈造影により、保存的治療あるいは冠動脈バイパス術が選択され、PCIを適用しない場合には、以後の投与は控えること。
用法・用量
通常、成人には、チカグレロルとして初回用量を180mg、2回目以降の維持用量を90mgとして、1日2回経口投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. アスピリン(維持用量として81~100mg/日)と併用すること。
7.2. ステント留置患者への本剤投与時には該当医療機器の電子添文を必ず参照すること。
肝機能障害患者
8.1. 本剤による血小板凝集抑制が問題となるような手術の場合には、5日以上前に投与を中止することが望ましい(なお、十分な休薬期間を設けることができない場合は重大な出血リスクが高まることが報告されているので十分に観察すること)、また、投与中止期間中の血栓症や塞栓症のリスクの高い症例では、適切な発症抑制策を講じること(手術後に本剤の再投与が必要な場合には、手術部位の止血を確認してから再開すること)。
8.2. 出血を起こす危険性が高いと考えられる場合には、中止等を考慮すること。また、出血を示唆する臨床症状が疑われた場合は、適切な検査や処置を行うこと〔11.1.1参照〕。
8.3. 初回負荷投与及びアスピリンとの併用によって出血リスクが高まる可能性があることを十分考慮すること。
8.4. 患者には通常よりも出血しやすくなることを説明し、異常な出血が認められた場合には医師に連絡するよう注意を促すこと。また、他院(他科)を受診する際には、本剤を服用している旨を医師に必ず伝えるよう患者に注意を促すこと。
8.5. 患者には飲み忘れることのないよう指導すること。服用を忘れた場合は、次の服用予定時間に通常どおり1回分を服用し、1度に2回分を服用しないよう指導すること。
9.1.1. 出血傾向及び出血傾向素因のある患者(受傷後間もないまたは術後間もない患者等):出血の危険性が高い。
9.1.2. 高血圧が持続している患者:本剤投与中は十分な血圧コントロールを行うこと(出血の危険性が高い)。
9.1.3. 低体重の患者:出血の危険性が高い。
9.1.4. 脳梗塞又は一過性脳虚血発作(TIA)の既往歴のある患者:本剤の投与は避けることが望ましい(出血のリスクが特に高まる可能性がある)。陳旧性心筋梗塞患者を対象とした国際共同第3相試験(PEGASUS試験)では、出血リスクを考慮して、虚血性脳卒中の既往歴のある患者の組入れが中止された。
9.1.5. 徐脈の発現リスクの高い患者(洞不全症候群、第2度房室ブロック、第3度房室ブロックを有する患者等):本剤の投与は避けることが望ましい(洞不全等の徐脈が発現する可能性がある)。
9.1.6. β遮断薬投与中の患者:徐脈が発現する可能性がある。
9.1.7. COPD、気管支喘息等の呼吸器疾患を有する患者、うっ血性心不全の合併等により呼吸困難を発現する可能性のある患者:本剤の投与は避けることが望ましい(本剤投与中に呼吸困難が発現した場合には、適切な検査を行い、必要に応じて処置を行い、症状の改善が認められない場合には本剤の投与を中止すること)。
9.1.8. 高尿酸血症、痛風又は尿酸腎症の既往のある患者:血清尿酸値の増加が認められている。
腎機能障害患者:出血の危険性が高い(臨床試験において、クレアチニンクリアランス60mL/min未満の患者で出血リスクが増加する傾向が認められたとの報告がある)。
9.3.1. 中等度肝機能障害又は重度肝機能障害患者:投与しないこと(肝機能障害が進行することにより血液凝固因子の産生が低下し、出血を助長するおそれがある)〔2.3参照〕。
相互作用
チカグレロル及びその主代謝物であるAR-C124910XXはシトクロムP4503A(CYP3A)分子種の基質かつ弱い阻害剤でもある(in vivo)。またP-糖蛋白質の基質であり、阻害剤でもある。
10.1. 併用禁忌:1). 強いCYP3A阻害剤(イトラコナゾール<イトリゾール>、ボリコナゾール<ブイフェンド>、クラリスロマイシン<クラリシッド>、リトナビル<ノービア等>、コビシスタットを含む薬剤<スタリビルド等>、エンシトレルビルフマル酸<ゾコーバ>)〔2.5、16.7.1参照〕[本剤の血小板凝集抑制作用が増強するおそれがある(CYP3Aを強く阻害することにより、本剤の代謝が阻害され、本剤の血漿中濃度が著しく上昇するおそれがある)]。
2). 強いCYP3A誘導剤(リファンピシン<リファジン>、リファブチン<ミコブティン>、カルバマゼピン<テグレトール>、フェノバルビタール<フェノバール等>、フェニトイン<アレビアチン等>、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort))〔2.6、16.7.2参照〕[本剤の有効性が減弱するおそれがある(CYP3Aを強く誘導することにより、本剤の代謝が著しく亢進され、本剤の血漿中濃度が著しく低下するおそれがある)]。
10.2. 併用注意:1). 抗凝固剤(ワルファリン、ヘパリン等)、血栓溶解剤(ウロキナーゼ、アルテプラーゼ等)、非ステロイド性消炎鎮痛剤(ナプロキセン等)[出血した時出血を助長するおそれがあるので、併用時には出血等の副作用に注意すること(本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤と併用すると出血を助長するおそれがある)]。
2). CYP3A阻害剤<強い阻害剤は禁忌>(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等)〔16.7.3参照〕[本剤の血小板凝集抑制作用が増強するおそれがある(CYP3Aを阻害することにより、本剤の代謝が阻害され、本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある)]。
3). CYP3A誘導剤<強い誘導剤は禁忌>(エファビレンツ、モダフィニル等)[本剤の有効性が減弱するおそれがある(CYP3Aを誘導することにより、本剤の代謝が亢進され、本剤の血漿中濃度が低下するおそれがある)]。
4). シンバスタチン〔16.7.4参照〕[シンバスタチンの作用が増強する可能性がある(本剤がCYP3Aを阻害することにより、シンバスタチンの代謝が阻害され、シンバスタチンの血漿中濃度を上昇させるおそれがある)]。
5). P-糖蛋白質を阻害する薬剤(シクロスポリン、キニジン等)〔16.7.5参照〕[本剤の血小板凝集抑制作用が増強するおそれがある(P-糖蛋白質を阻害することにより、本剤の排出が阻害され、本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある)]。
6). ジゴキシン〔16.7.6参照〕[ジゴキシンの作用が増強する可能性があるため、臨床症状及び検査による適切な観察を行うことが望ましい(本剤がP-糖蛋白質を阻害することにより、ジゴキシンの排出が阻害され、ジゴキシンの血漿中濃度を上昇させる)]。
7). モルヒネ〔16.7.7参照〕[本剤の血漿中濃度が低下するおそれがある(モルヒネの消化管運動抑制作用に関連すると考えられる)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 出血:脳出血等の頭蓋内出血(初期症状:頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、片麻痺等、1%)、消化器系出血(歯肉出血、直腸出血、出血性胃潰瘍等、3.6%)等の出血があらわれることがある〔8.2参照〕。
11.1.2. アナフィラキシー、血管浮腫(頻度不明):アナフィラキシー、血管浮腫を含む過敏症状があらわれることがある。
11.1.3. 高度房室ブロック、洞停止等の徐脈性不整脈(頻度不明)。
11.2. その他の副作用
1). 出血傾向:(10%以上)皮下出血、(1~10%未満)内出血発生増加傾向、鼻出血、挫傷、注射部位出血、突発性血腫、外傷性出血、血尿、喀血、(0.1~1%未満)出血傾向、処置後出血、皮膚出血、筋肉内出血、出血性関節症、結膜出血、網膜出血、耳出血、性器出血、(0.01~0.1%未満)眼内出血、硝子体出血、腫瘍出血、後腹膜出血、血精液症、膀胱出血。
2). 皮膚:(0.1~1%未満)皮膚そう痒症、(頻度不明)発疹。
3). 呼吸器:(10%以上)呼吸困難。
4). 消化器:(0.1~1%未満)悪心、下痢。
5). 腎臓:(0.1~1%未満)血中クレアチニン増加。
6). 精神神経系:(0.1~1%未満)浮動性めまい、(0.01~0.1%未満)失神、錯乱。
7). その他:(1~10%未満)高尿酸血症、(0.1~1%未満)回転性めまい、痛風、(0.01~0.1%未満)低血圧。
「重大な副作用」及び「その他の副作用」の副作用発現頻度は、アジア共同第3相試験、PLATO試験及びPEGASUS試験の各試験で医師の因果関係評価に基づく副作用発現頻度を算出し、副作用毎に3試験で最も高い副作用発現頻度を記載している。
高齢者
高齢者:出血の危険性が高い。
アジア共同第3相試験において、75歳を超える高齢者で出血の発現率が高くなる傾向が認められた。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(胚・胎仔発生に関する動物実験(ラット、ウサギ)において、ラットで全胚吸収増加、発育遅延、骨化遅延、ウサギで骨格変異等が認められ(安全域*:ラット胎仔で約4.4倍、ウサギ胎仔で約0.9倍)、また、出生前及び出生後の発生並びに母動物の機能に関する動物実験(ラット)において、妊娠期間中における母動物体重増加減少、出生後の出生仔生存率低下、出生時体重減少、出生仔成長遅延等の影響が認められた(安全域*:約4.0倍))。
*:ヒトに本剤を投与(90mg1日2回投与)したときの血漿中濃度との比較による。
授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている)。
小児等
国内において、小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 海外の市販後において、本剤投与後に中枢性睡眠時無呼吸、チェーン・ストークス呼吸が発現したとの報告がある。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
チカグレロル90mgを日本人健康成人男性12名に単回経口投与したとき、チカグレロル及び主代謝物AR‐C124910XX(P2Y12受容体拮抗作用を有する)の薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は次のとおりであった。
表1 日本人健康成人男性にチカグレロル90mgを単回経口投与したときのチカグレロル及び代謝物AR‐C124910XXの体内動態パラメータ(n=12、幾何平均値及び変動係数)
→図表を見る(PDF)

図1 日本人健康成人男性にチカグレロル90mgを単回経口投与したときのチカグレロル及び代謝物AR‐C124910XXの血漿中濃度推移(n=12、算術平均及び標準偏差)

16.1.2 反復投与
日本人健康成人男性各15例及び14例にそれぞれチカグレロル100mg注)及び300mg注)を1日2回反復投与したときのチカグレロルの累積係数はそれぞれ1.4及び1.8であり、消失半減期から類推される予測値と概ね一致していた。また、AR‐C124910XXの累積係数についても予測値と一致し、それぞれ1.9及び2.7であった。
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
チカグレロルの絶対バイオアベイラビリティの平均は約36%(範囲25.4~64.0%)であった(外国人データ)。チカグレロル及びAR‐C124910XXのCmax及びAUCは用量30~1,260mg注)の範囲で概ね用量に比例して増加した。チカグレロル及びAR‐C124910XXはP‐糖蛋白質の基質であり、また弱い阻害剤でもある。
16.2.2 食事の影響
高脂肪食の摂取はチカグレロルのCmax或いはAR‐C124910XXのAUCに影響を及ぼさなかったが、チカグレロルのAUCを21%増加させ、AR‐C124910XXのCmaxを22%低下させた。これら軽微な変化による臨床的意義は少ないと考えられた(外国人データ)。
16.3 分布
チカグレロルの定常状態分布容積は87.5Lであった(外国人データ)。チカグレロル及びAR‐C124910XXのヒト血漿中の蛋白結合率(in vitro)はそれぞれ99.4%及び99.9%と高かった。
16.4 代謝
チカグレロルは主に肝代謝によって血中より消失する。CYP3Aはチカグレロルの代謝とAR‐C124910XXの形成に関わる主要な代謝酵素である。また、チカグレロル及びAR‐C124910XXとCYP3Aの基質との相互作用は基質によって異なり、活性化又は阻害作用を示す。
チカグレロルの主代謝物はAR‐C124910XXであり、血小板を用いたin vitroのP2Y12受容体結合試験において活性を示した。AR‐C124910XXの全身曝露量はチカグレロルで認められる全身曝露量の概ね30~40%であった(外国人データ)。
16.5 排泄
放射能標識したチカグレロルを投与したとき、平均で約84%の放射能が回収され、糞中には57.8%及び尿中には26.5%が回収された。尿中のチカグレロルとAR‐C124910XXの回収率はともに投与された放射能の1%未満であった。AR‐C124910XXの主要な消失経路は胆汁排泄であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 女性
チカグレロル及びAR‐C124910XXの曝露量は男性と比較して女性で高く、チカグレロルのCmax及びAUCはそれぞれ52%及び37%高く、AR‐C124910XXのCmax及びAUCはそれぞれ56%及び55%高かった(外国人データ)。
16.6.2 高齢者
高齢者におけるチカグレロル及びAR‐C124910XXのCmaxは若年者と比べてそれぞれ約60%高く、AUCでは約50%高かった(外国人データ)。
16.6.3 腎機能障害者
重度の腎機能障害者(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)10名にチカグレロル180mgを経口投与したとき、腎機能が正常な被験者(クレアチニンクリアランス80L/min以上)と比べ、重度の腎機能障害者におけるチカグレロルのAUCは約20%低く、AR‐C124910XXのAUCは約17%高かった。チカグレロルの血小板凝集阻害活性は腎機能障害者と腎機能が正常な被験者とで類似していた(外国人データ)。
血液透析が必要な末期腎不全(ESRD)患者13名にチカグレロル90mgを経口投与したとき、腎機能が正常な被験者(クレアチニンクリアランス90mL/min以上)と比べ、非透析時におけるチカグレロルのAUC及びCmaxはそれぞれ38%及び51%高く、AR‐C124910XXのAUC及びCmaxはそれぞれ13%及び17%高かった。透析直前に投与したときの曝露量は非透析時と同程度であり、血液透析によってチカグレロル及びAR‐C124910XXが除去されないことが示された。ESRD患者における本剤の血小板凝集阻害活性は、腎機能が正常な被験者と類似していた(外国人データ)。[13.2参照]
16.6.4 肝機能障害者
軽度の肝機能障害者(Child‐pugh分類A)10例にチカグレロル90mgを経口投与したとき、軽度肝障害者におけるチカグレロルのCmax及びAUCは健康被験者と比べてそれぞれ12%及び23%高かったが、チカグレロルの血小板凝集阻害作用は類似していた(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾール
健康成人男女14例にチカグレロル90mgをケトコナゾール200mgと併用投与したとき、チカグレロルのCmax及びAUCはそれぞれ135%及び632%増加した。AR‐C124910XXのCmax及びAUCはそれぞれ89%及び56%低下した(外国人データ)。[10.1参照]
16.7.2 リファンピシン
健康成人男女14例にチカグレロル180mgをリファンピシン600mgと併用投与したとき、チカグレロルのCmax及びAUCはそれぞれ73%及び86%低下した。AR‐C124910XXのCmaxは変化せず、AUCは46%低下した(外国人データ)。[10.1参照]
16.7.3 ジルチアゼム
健康成人男女17例にチカグレロル90mgをジルチアゼム240mgと併用投与したとき、チカグレロルのCmax及びAUCはそれぞれ69%及び174%増加した。AR‐C124910XXのCmaxは38%減少したが、AUCには変化は認められなかった。ジルチアゼムの血漿中濃度に対してチカグレロル併用投与の影響は認められなかった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.4 シンバスタチン
健康成人男女20例にチカグレロル180mgとシンバスタチン80mgを併用投与したとき、シンバスタチンのCmax及びAUCはそれぞれ81%及び56%増加し、なかには2~3倍まで増加した症例も認められた(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.5 シクロスポリン
健康成人男性24例にチカグレロル180mgとシクロスポリン600mgを併用投与したとき、チカグレロルのCmax及びAUCはそれぞれ130%及び183%増加した。AR‐C124910XXのCmaxは15%減少し、AUCは32.5%増加した。シクロスポリンの血漿中濃度に影響は認められなかった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.6 ジゴキシン
健康成人男女18例にチカグレロル400mg注)とジゴキシン0.25mgと併用投与したとき、ジゴキシンのCmax及びAUCはそれぞれ75%及び28%増加した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.7 モルヒネ
モルヒネを投与された患者においてチカグレロルの吸収が遅延し、チカグレロル及びAR‐C124910XXのAUCはそれぞれ36%及び37%低下した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.8 ヘパリン
健康成人男女27例にチカグレロル180mgの経口投与2時間後にヘパリン100IU/kgを静脈内投与したとき、チカグレロル及びAR‐C124910XXの血漿中濃度に影響は認められず、血小板凝集阻害(IPA〔最終凝集率を測定、以下同様〕)には臨床上問題となる影響は認められなかった。またaPTT及びACTにより評価したヘパリンの薬理作用に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.7.9 ミダゾラム
健康成人男女26例にチカグレロル400mg注)とミダゾラム7.5mgを併用投与したとき、ミダゾラムのCmax及びAUCはそれぞれ27%及び32%低下した。チカグレロル及びAR‐C124910XXの血漿中濃度に影響は認められなかった(外国人データ)。
16.7.10 アトルバスタチン
健康成人男女21例にチカグレロル90mgとアトルバスタチン80mgを併用投与したとき、アトルバスタチンアシドのCmax及びAUCはそれぞれ23%及び36%増加した(外国人データ)。
16.7.11 トルブタミド
健康成人男女21例にチカグレロル180mgとトルブタミド500mgを併用投与したとき、トルブタミド及び代謝物である4‐水酸化トルブタミドの血漿中濃度に影響は認められなかった。また、チカグレロル及びAR‐C124910XXの血漿中濃度にも影響は認められなかった(外国人データ)。
16.7.12 アスピリン
健康成人男女13例にチカグレロル50mg注)或いは200mg注)とともにアスピリン300mgを併用投与したとき、チカグレロル及びAR‐C124910XXの血漿中濃度に影響は認められなかった。ADP誘発IPAは併用投与の影響を受けなかったが、コラーゲン誘発IPAを増加させた(外国人データ)。
16.7.13 エノキサパリン
健康成人男女26例にチカグレロル180mgの経口投与2時間後にエノキサパリン1mg/kgを皮下投与したとき、チカグレロル及びAR‐C124910XXの血漿中濃度に影響は認められず、IPAにも影響は認められなかった。エノキサパリンの薬理作用である活性化第Xa因子活性阻害にも違いは認められなかった(外国人データ)。
16.7.14 経口避妊薬
健康成人女性22例にチカグレロル90mgとともにレボノルゲストレル0.15mg及びエチニルエストラジオール0.03mgを併用投与したとき、エチニルエストラジオールの曝露量は約20%増加したが、レボノルゲストレルの血漿中濃度に影響は認められなかった(外国人データ)。
16.7.15 デスモプレシン
健康成人男女18例にチカグレロル180mgを経口投与した2時間後にデスモプレシン0.3μg/kgを静脈内投与したとき、チカグレロル及びデスモプレシンの血漿中濃度に影響は認められなかった。デスモプレシンとチカグレロルとの併用投与はIPAに影響を及ぼさなかったものの、PFA‐100で評価した止血作用を有意に低下させた(外国人データ)。
注)本剤の承認用量は初回用量として180mg、維持用量として60mg~90mg1日2回である。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)〉
17.1.1 アジア共同第III相試験
日本人を含むアジアのPCIが予定される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇型心筋梗塞、又はST上昇型心筋梗塞)患者を対象に、アスピリン75~100mg/日を基礎療法としてチカグレロル90mg1日2回(初回負荷用量180mg)の有効性及び安全性をクロピドグレル75mg1日1回(初回負荷用量300mg)と比較検討する二重盲検無作為化並行群間試験であり、合計801例(うち日本人723例)の患者が無作為割付けされた。症例内訳は、チカグレロル401例、クロピドグレル400例、日本人集団としては、チカグレロル363例、クロピドグレル360例であり、投与期間は最短6カ月、最長12カ月であった。有効性の複合エンドポイント(心血管死、心筋梗塞、及び脳卒中)を用いて心血管性イベント発生抑制効果を検討した結果、12カ月時点でのイベント発生率は、チカグレロル10.2%、クロピドグレル8.1%と推定された。
12カ月時点での重大な出血の発現率はチカグレロルで11.2%、クロピドグレルで8.4%と推定された。
日本人を含む安全性評価対象387例中147例(38.0%)に副作用が認められ、主な副作用は、皮下出血46例(11.9%)、鼻出血18例(4.7%)、出血12例(3.1%)、穿刺部位出血10例(2.6%)、血尿9例(2.3%)、血腫8例(2.1%)であった。
17.1.2 国際共同第III相試験
日本人を含まない海外の急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇型心筋梗塞、又はST上昇型心筋梗塞)患者を対象に、チカグレロル90mg1日2回(初回負荷用量180mg)の心血管性イベント発生抑制効果をクロピドグレル75mg1日1回(初回負荷用量300mg)と比較する二重盲検無作為化並行群間有効性及び安全性試験(PLATO試験)であり、合計18,624例の患者が無作為割付けされた。有効性の複合エンドポイント(心血管死、心筋梗塞、及び脳卒中)を用いて心血管性イベント発生予防効果を検討した結果、イベント発生例数はチカグレロル864/9,333例、クロピドグレル1,014/9,291例であった。12カ月時点でのイベント発生率は、チカグレロル9.8%、クロピドグレル11.7%であり、チカグレロルは12カ月にわたる心血管性イベント発生予防効果において、クロピドグレルと比較して統計学的に有意に優れていた(相対リスク減少16%、絶対リスク減少1.9%、NNT=54)。重大な出血の発現率において、チカグレロルとクロピドグレルで顕著な差は認められなかったが(チカグレロル11.6%、クロピドグレル11.2%、ハザード比1.04、95%信頼区間0.95~1.13)、重大な出血及びその他の止血又は治療を要する出血が含まれる出血性イベントの発現率は、クロピドグレルと比較してチカグレロルで統計学的に有意に高かった(チカグレロル16.1%、クロピドグレル14.6%、ハザード比1.11、95%信頼区間1.03~1.20)。
PLATO試験に割付けられた18,624例中13,408例の患者で無作為割付時に侵襲的治療が予定されていた。侵襲的治療予定例13,408例における有効性を検討した結果、イベント発生例数はチカグレロル569/6,732例、クロピドグレル668/6,676例であった。12カ月時点でのイベント発生率は、チカグレロル8.9%、クロピドグレル10.6%であった(相対リスク減少16%、絶対リスク減少1.7%)。
安全性評価対象9,235例中1,746例(18.9%)に副作用が認められ、主な副作用は鼻出血314例(3.4%)、挫傷225例(2.4%)、呼吸困難195例(2.1%)であった。
〈陳旧性心筋梗塞〉
17.1.3 国際共同第III相試験
日本人を含む心筋梗塞の既往歴(1~3年前)に加えてアテローム血栓症のリスク因子(65歳以上、薬物療法を必要とする糖尿病、2度目の心筋梗塞、血管造影で確認された多枝病変を有する冠動脈疾患、又は末期でない慢性の腎機能不全)を1つ以上有し、基礎療法としてアスピリンを併用する患者を対象にチカグレロルの心血管性イベント発生の予防効果をプラセボと比較する二重盲検無作為化並行群間試験(PEGASUS試験)であり、合計21,162例(うち日本人903例)が無作為割付けされた。症例内訳は、チカグレロル90mg1日2回7,050例、チカグレロル60mg1日2回7,045例、プラセボ7,067例であり、投与期間は最長48カ月(中央値チカグレロル90mg28.1カ月、チカグレロル60mg29.2カ月、プラセボ30.3カ月)であった。有効性の複合エンドポイント(心血管死、心筋梗塞、及び脳卒中)で評価した、36カ月時点の心血管性イベント発生予防効果において、プラセボと比較してチカグレロル60mgは統計学的に有意に優れていた(チカグレロル60mg7.8%、プラセボ9.0%、相対リスク減少16%、絶対リスク減少1.27%)。
重大な出血の発現率において、チカグレロル60mgはプラセボと比較して有意に高かった(チカグレロル60mg2.3%、プラセボ1.1%、ハザード比2.32、95%信頼区間1.68~3.21)。[5.5参照]
日本人を含む安全性評価対象6,958例中2,403例(34.5%)に副作用が認められ、主な副作用は、呼吸困難593例(8.5%)、内出血発生の増加傾向373例(5.4%)、鼻出血332例(4.8%)、挫傷254例(3.7%)、特発性血腫197例(2.8%)であった。

18.1 作用機序
チカグレロルは、アデノシン二リン酸(ADP)受容体であるP2Y12受容体に対する選択的且つ可逆的な拮抗薬であり、ADP誘発血小板凝集を阻害する。チカグレロルは、P2Y12受容体のADP結合部位とは異なる部位に結合し、血小板P2Y12受容体のシグナル伝達を阻害する。また、チカグレロルは受動拡散型ヌクレオシドトランスポーター‐1(ENT‐1)を阻害し、局所アデノシン濃度を上昇させる作用を有する。チカグレロルのENT‐1阻害によりアデノシン半減期が延長し、アデノシン局所濃度が上昇することで局所におけるアデノシン作用が増強する可能性がある。
18.2 血小板凝集阻害作用
18.2.1 In vitro試験
チカグレロルは、ヒト洗浄血小板、多血小板血漿及び全血において、ADP誘発血小板凝集を強力に阻害した。
18.2.2 In vivo試験
イヌの大腿動脈周期的血栓形成モデルにおいて、チカグレロルはin vivoでの血栓形成及びex vivoで測定したADP誘発血小板凝集を阻害した。
18.2.3 健康被験者におけるチカグレロルの血小板凝集阻害作用
健康被験者を対象とした単回漸増投与試験において、日本人及び白人健康被験者各20例にチカグレロル50~600mg注1)又はプラセボを単回経口投与し、IPAを日本人と白人被験者で比較した。IPAは、日本人及び白人被験者ともに、投与2時間後に50mg投与では約80%、100mg以上の投与では90%超であり、投与4時間後には100mg以上の投与で95%以上の最大値に達した。
健康被験者を対象とした反復投与試験において、日本人及び白人健康被験者各36例にチカグレロル100mg注)、チカグレロル300mg注)又はプラセボを1日2回反復経口投与(ただし、白人被験者の1例はチカグレロル100mgの初回投与のみで試験を中止)した。チカグレロル100mg及び300mg単回投与後、IPAが最大値に達するまでの時間の中央値は、日本人被験者で2時間(100mg及び300mg)、白人被験者で4時間(100mg)及び2時間(300mg)であった。100mg単回投与後のIPAの最大値の平均は日本人被験者で99%、白人被験者で87%、300mg単回投与後では日本人及び白人被験者ともにほぼ100%に達した。100mg反復投与後の定常状態におけるIPAの最大値の平均は、日本人被験者で99%、白人被験者で85%、300mg反復投与後では日本人被験者で100%、白人被験者で97%であった。
18.2.4 クロピドグレル反応例及び非反応例におけるチカグレロルの血小板凝集阻害作用
クロピドグレル反応例又は非反応例であることが事前に確認された安定期の冠動脈疾患患者98例を対象とした第II相試験で、アスピリンによる基礎療法下でチカグレロルの血小板凝集阻害作用をクロピドグレルと比較した。患者をクロピドグレル群(初回負荷用量600mg投与後75mg1日1回を2週間投与)又はチカグレロル群(初回負荷用量180mg投与後、90mg1日2回を2週間投与)に無作為割付けし、ウォッシュアウト期間なしの2期クロスオーバーのデザインとした。チカグレロルの体内動態はクロピドグレル反応例と非反応例で類似しており、チカグレロルをクロピドグレル投与中止後24時間に投与したとき、クロピドグレルの残留濃度による影響を受けなかった。クロピドグレル非反応例と反応例のいずれにおいてもチカグレロル投与によるIPAは高いことが示された(投与後4~8時間で74~96%)。
注)本剤の承認用量は初回用量として180mg、維持用量として60mg~90mg1日2回である。

一包可:不明

バラ包装

分割:可能
粉砕:可能
製造販売会社
アストラゼネカ
販売会社
 

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