ウロミテキサン注400mg

添付文書情報2023年06月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 本剤の成分又は他のチオール化合物に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- イホスファミド投与又はシクロホスファミド<造血幹細胞移植の前治療>投与に伴う泌尿器系障害(出血性膀胱炎、排尿障害等)の発現抑制。
- 用法・用量
- (1). イホスファミド投与
通常、メスナとして、イホスファミド1日量の20%相当量を1回量とし、1日3回(イホスファミド投与時、4時間後、8時間後)静脈内注射するが、メスナ1日量としてイホスファミド1日量の最大100%相当量まで投与することができる。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(2). シクロホスファミド(造血幹細胞移植の前治療)投与
通常、成人にはメスナとして、シクロホスファミド1日量の40%相当量を1回量とし、1日3回(シクロホスファミド投与時、4時間後、8時間後)30分かけて点滴静注する。
- 特定の背景を有する患者に関する注意
- 8.1. 本剤は泌尿器系障害を発現させるイホスファミド又はシクロホスファミド投与の場合に限り使用すること。
8.2. 本剤は必ず抗悪性腫瘍剤(イホスファミドあるいはシクロホスファミド等)と併用されるため、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで使用すること。
また、適応患者の選択にあたっては、各併用抗悪性腫瘍剤の電子添文を参照して十分注意すること。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:イホスファミド[併用により脳症があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと(機序は不明である)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 血液:(頻度不明)白血球減少。
2). 過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒、紅斑、水疱、蕁麻疹、粘膜疹。
3). 消化器:(2%未満)悪心・嘔吐、(頻度不明)食欲不振、下痢、味覚異常。
4). 肝臓:(2%未満)AST上昇、ALT上昇。
5). 精神神経系:(2%未満)頭痛。
6). 筋・骨格:(頻度不明)四肢疼痛。
7). 投与部位:(頻度不明)注射部疼痛、注射部腫脹。
8). 循環器:(頻度不明)血圧低下、頻脈。
9). その他:(頻度不明)倦怠感、脱力感、浮腫、発熱。
- 高齢者
- イホスファミド又はシクロホスファミドの減量に応じて、本剤を減量し投与すること(一般に生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい(動物試験(ラット)で本剤の胎仔毒性及び催奇形作用は認められないが、本剤はイホスファミド又はシクロホスファミドと併用され、イホスファミドあるいはシクロホスファミドでは動物試験(ラット)で催奇形作用が報告されている)。
本剤、イホスファミド又はシクロホスファミドの投与中は授乳を避けさせること(動物試験(ラット)で本剤及びイホスファミドの乳汁移行が認められ、ヒトにおけるシクロホスファミドの乳汁移行が報告されている)。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意シスプラチンとの混注はシスプラチンの活性低下を来すので、配合しないこと(併用する場合はそれぞれ別経路で投与すること)。
16.1 血中濃度
健康成人男性4例にメスナ400mgを単回静脈内投与及び1回400mgを1日3回(4時間ごと)、3日間反復静脈内投与した。
16.1.1 単回投与
血漿中濃度を添付文書の図16‐1、薬物動態パラメータを表16‐1に示す。
図16‐1 単回静脈内投与時の血漿中濃度
表16‐1 薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
メスナは生体内で容易に酸化されて二量体であるジメスナを形成する。
メスナの血漿中濃度は速やかに消失し、投与1時間以降ではほぼ定量限界(1μg/mL)以下になった。代謝物ジメスナは投与直後から検出され、約20分以降ではメスナより高濃度に推移したが、1.5時間以降では定量限界以下となった。
メスナの消失半減期は約10分と短く、メスナとしての腎排泄に加え、ジメスナへの二量化によるものと考えられる。
16.1.2 反復投与
メスナの消失半減期は約10分であり、メスナ、ジメスナ共に血漿中の蓄積は認められなかった。
16.3 分布
16.3.1 組織内移行性
ラットに14C‐標識メスナ30mg/kgを単回静脈内投与したときの体内分布は、排泄経路にあたる腎臓、膀胱が最も高い濃度を示したが、他の組織ではいずれも血漿中濃度、全血中濃度より低かった。その中では動脈壁、皮膚、肺、肝臓の濃度は比較的高く、全血中濃度の約1/2程度であった。これらの組織内放射活性は時間と共に速やかに消失し、24時間後に極めて低くなり、120時間後には定量限界以下となった。
16.3.2 蛋白結合率
限外ろ過法にて測定したヒト血清蛋白結合率は約50%であった。
16.4 代謝
16.4.1 代謝物
ラットに14C‐標識メスナ30mg/kgを単回静脈内投与した場合、5分後の血漿中メスナ濃度は45.60μg/mL、ジメスナ濃度は20.33μg/mLであり、血漿中総放射活性に占める割合は、それぞれ約62%及び28%に相当した。時間と共にメスナ、ジメスナ以外の未知の代謝物あるいは分解物の割合が増加し、メスナとジメスナの血漿中からの消失は速かった。
16.4.2 代謝物の活性の有無
イホスファミド68.1mg/kg投与で誘発されるラットの膀胱障害は、ジメスナの同時投与により投与量に依存して抑制されるが、メスナの同時投与に比べてやや弱い。
16.5 排泄
メスナの主要排泄経路は尿中排泄であり、単回投与時の12時間までにメスナ投与量の82.5%がメスナ、ジメスナとして尿中に回収された。また、反復投与時の72時間累積尿中排泄率は93.1%であった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈イホスファミド投与〉
17.1.1 国内二重盲検試験
イホスファミドによる泌尿器系障害に対する有効性、安全性及び有用性を評価する目的で、プラセボを対照とする二重盲検比較試験を実施した。
イホスファミドは1日2g/m2(体表面積)、5日間の連日点滴静注を行い、本剤はイホスファミドの20%相当量(400mg/m2)を1日3回(直後、4時間後、8時間後)、5日間静注した。なお、両群共に1日2Lの輸液を併用した。
91例の完全例(メスナ群:45例、プラセボ群:46例)中、メスナ群では中等度以上の排尿痛及び残尿感の発現が認められなかったのに対し、プラセボ群では各々19.6%(9例)、15.2%(7例)の頻度で発現し、メスナ群の発現率は有意に低かった(排尿痛:p=0.0003、残尿感:p=0.0009)。また、中等度以上の血尿の発現率はメスナ群が6.7%(3例)であり、プラセボ群の32.6%(15例)よりも有意に低かった(p=0.0008)。有用度判定では、「有用である」としたものがメスナ群では80.0%(36例)であり、プラセボ群の34.8%(16例)に比べ有意に高かった(p<0.0001)。
安全性評価対象45例において、副作用は認められなかった。
表17‐1 二重盲検比較試験における有用度
→図表を見る(PDF)
〈シクロホスファミド(造血幹細胞移植の前治療)投与〉
17.1.2 国内第II相臨床試験
急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び重症再生不良性貧血の造血幹細胞移植の前治療におけるシクロホスファミド投与時の泌尿器系障害発現に対する本剤の有効性を検討した。
シクロホスファミドは1日1回(急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群:60mg/kg×2日間、重症再生不良性貧血:50mg/kg×4日間)点滴静注を行い、本剤はシクロホスファミド40%相当量を1日3回(投与時、4時間後、8時間後)それぞれ30分かけて点滴静注した。なお、シクロホスファミド投与終了後24時間まで1日3~5Lの補液を施行した。
本剤の有効性評価対象61例中血尿に対する抑制効果では「血尿なし」又は「顕微鏡的血尿」症例は57例(93.4%)、排尿障害に対する抑制効果では「障害なし」又は「軽度障害あり」の症例は59例(96.7%)で、これらを合わせて判定した泌尿器系障害発現抑制の総合効果では有効57例(93.4%)であった。この成績は、従来報告されているメスナ非併用時の泌尿器系障害(出血性膀胱炎)の非発現率70%に比べて有意に高かった(p値:near 0)。
安全性評価対象65例中、臨床検査値の異常変動を含む副作用は、悪心・嘔吐3例(4.6%)、AST上昇1例(1.5%)、ALT上昇4例(6.2%)であった。
18.1 作用機序
ラットにおけるイホスファミド及びシクロホスファミドによる膀胱障害は、これらの尿中代謝物が膀胱粘膜と接触して発現する局所障害であり、血行を介する全身性の毒性ではない。この膀胱障害のメスナによる抑制機構としては、次の経路が推定されている。
18.1.1 イホスファミド及びシクロホスファミドの尿中代謝物アクロレインが膀胱障害を誘発するが、アクロレインの二重結合にメスナが付加し、無障害性の付加体を形成する。
18.1.2 イホスファミド及びシクロホスファミドの抗腫瘍活性物質4‐ヒドロキシ体がメスナと縮合して、無障害性のメスナ縮合体を形成することにより、アクロレインの生成が抑制される。
18.2 イホスファミド誘発膀胱障害に対する抑制効果
イホスファミド100mg/kg投与で誘発されるラットの膀胱障害は、メスナの同時投与により投与量に依存して抑制され、10mg/kg投与で効果があらわれ始め、75mg/kg以上の投与で完全に抑制された。
18.3 シクロホスファミド誘発膀胱障害に対する抑制効果
シクロホスファミド100mg/kg投与で誘発されるラットの膀胱障害は、メスナの同時投与により投与量に依存して抑制され、10mg/kg投与で効果があらわれ始め、75mg/kg以上の投与で完全に抑制された。
18.4 イホスファミドの抗腫瘍作用に及ぼすメスナの影響
ラットの吉田肉腫、マウスのEhrlich癌、Sarcoma180及びLewis肺癌等の実験腫瘍に対するイホスファミドの抗腫瘍作用は、イホスファミド投与量の60又は200%量のメスナを併用投与しても何ら影響を受けなかった。
18.5 シクロホスファミドの抗腫瘍作用に及ぼすメスナの影響
ヌードマウス移植腫瘍株LM‐2‐JCK(T細胞リンパ腫)、Lu‐99(非小細胞肺癌)に対するシクロホスファミドの抗腫瘍作用は、シクロホスファミド投与量の60又は200%量のメスナを併用投与しても何ら影響を受けなかった。
- 製造販売会社
- 塩野義製薬
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