アウドラザイム点滴静注液2.9mg

添付文書情報2023年07月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 本剤の投与当日に本剤に関連する症状として発現するinfusion reactionのうち、アナフィラキシー反応があらわれる可能性があるので、本剤は、緊急時に十分な対応のできる準備をした上で投与を開始し、投与終了後も十分な観察を行うこと。また、重篤なinfusion reactionが発現した場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.1、8.2、11.1.1参照〕。
- 禁忌
- 本剤の成分に対しアナフィラキシーショックの既往歴のある患者〔8.1、8.2参照〕。
- 効能・効果
- ムコ多糖症1型。
(効能又は効果に関連する注意)
中枢神経系症状に対する有効性は認められていない。
- 用法・用量
- 通常、ラロニダーゼ(遺伝子組換え)として、1回体重1kgあたり0.58mgを週1回、点滴静注する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 日局生理食塩液で希釈した後に次を参考に投与すること。投与速度は初期値10μg/kg/時から開始し、患者の忍容性を十分確認しながら最初の1時間で15分ごとに段階的に上げ、200μg/kg/時以下で投与する。最大投与速度に達した後は、投与が完了するまでこの速度を維持し、2~3時間かけて投与すること〔8.1、8.2参照〕。
[体重7kg未満の患者]
投与総量=50mL。
1). 1mL/時(約10μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
2). 2mL/時(約20μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
3). 4mL/時(約50μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
4). 8mL/時(約100μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
5). 16mL/時(約200μg/kg/時)×3時間:投与終了までこの速度で投与する。
[体重7kg以上20kg以下の患者]
投与総量=100mL。
1). 2mL/時(約10μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
2). 4mL/時(約20μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
3). 8mL/時(約50μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
4). 16mL/時(約100μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
5). 32mL/時(約200μg/kg/時)×3時間:投与終了までこの速度で投与する。
[体重20kgを超える患者]
投与総量=250mL。
1). 5mL/時(約10μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
2). 10mL/時(約20μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
3). 20mL/時(約50μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
4). 40mL/時(約100μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
5). 80mL/時(約200μg/kg/時)×3時間:投与終了までこの速度で投与する。
7.2. 本剤投与によりinfusion reaction(潮紅、発熱、頭痛、発疹等)が発現する可能性があり、これらの症状を軽減させるために、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤またはその両方を本剤投与開始の60分前に前投与することが望ましい〔8.2参照〕。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 本剤はたん白質製剤であり、アナフィラキシーショックが起こる可能性が否定できないため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、このような症状の発現に備え、緊急処置を取れる準備をしておくこと。ムコ多糖症1型患者では冠動脈疾患の罹患率が高いことから、エピネフリンの使用を検討している場合には注意が必要である〔1.警告、2.禁忌の項、7.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
8.2. 本剤投与によりinfusion reaction(潮紅、発熱、頭痛、発疹等)が発現する可能性があるので、Infusion reactionが現れた場合には、投与速度を下げるか、一旦投与を中止し、適切な薬剤治療(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤又は抗炎症剤等)や緊急処置を行うこと〔1.警告、2.禁忌の項、7.1、7.2、9.1.1、11.1.1参照〕。
8.3. ほとんどの患者にIgG抗体産生が予測されるため、定期的にラロニダーゼ(遺伝子組換え)に対するIgG抗体検査を行うことが望ましい。
8.4. 本剤は、マスターセルバンク構築時にメキシコ産のウシ胎仔血清を使用しているが、製造工程においてウシ血清の除去処理を行っており、また、伝達性海綿状脳症(TSE)に関する理論的なリスク評価を行い、一定の安全性を確保する目安に達していることを確認している。しかしながら、TSEの潜在的伝播の危険性を完全に排除することはできないことから、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、本剤を投与すること。また、投与に先立ち患者への有用性と安全性の説明も考慮すること。なお、本剤投与によりTSEがヒトに伝播したとの報告はない。
9.1.1. 本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者〔8.1、8.2参照〕。
9.2.1. 腎機能に高度障害のある患者:腎機能に障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.3.1. 肝機能に高度障害のある患者:肝機能に障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 重篤なinfusion reaction(頻度不明):重度アナフィラキシー(呼吸障害等)を投与中に起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤の投与及び気道確保等の適切な処置を行うこと〔1.警告の項、8.1、8.2参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 一般的全身:(5%以上)疼痛、発熱、体温変動感、(5%未満)インフルエンザ様症候群、疲労、悪寒、浮腫、アナフィラキシー、蒼白。
2). 中枢・末梢神経系:(5%以上)頭痛、(5%未満)浮動性めまい、反射亢進、歩行異常、錯感覚、片頭痛、異常感覚。
3). 皮膚:(5%以上)発疹、皮膚そう痒症、(5%未満)皮膚障害、蕁麻疹、多汗、脱毛症、皮膚冷湿。
4). 血管系:(5%以上)潮紅、(5%未満)静脈障害。
5). 消化器系:(5%以上)悪心、腹痛、嘔吐、(5%未満)下痢、消化不良、口内乾燥、歯肉増生、変色歯。
6). 筋骨格系:(5%以上)関節障害、関節痛、骨痛、(5%未満)筋力低下。
7). 肝臓:(5%未満)ビリルビン血症、血清AST増加、血清ALT増加。
8). 心血管系:(5%以上)低血圧、(5%未満)心雑音。
9). 呼吸器系:(5%未満)咳嗽、呼吸困難、呼吸障害、低酸素症。
10). 心拍数・心リズム:(5%未満)頻脈、(頻度不明)徐脈。
11). 血液:(5%未満)紫斑、頚部リンパ節症。
12). 適用部位:(5%以上)注射部位反応。
13). 精神系:(5%未満)激越、錯乱。
14). 代謝:(5%未満)体重増加、低カリウム血症、低マグネシウム血症。
15). その他:(5%未満)溢血。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある患者には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトで哺乳中の児における影響は不明である)。
- 小児等
- 〔17.1.3参照〕。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 調製方法(1). 患者の体重に基づいて本剤の投与量を算出し、投与に必要なバイアル数を決定する。冷蔵庫より投与に必要なバイアル数を取り出し、室温になるまで放置する(約20分間)。
(2). 調製前に本剤の変色及びバイアル内に微粒子が含まれていないか各バイアルを目視検査すること(変色の見られるものまたは微粒子が混入しているものは使用しないこと)。
(3). 本剤は日局生理食塩液で希釈した後に患者へ投与するため、薬液総量に相当する日局生理食塩液を準備する。患者の体重に基づいて投与する薬液総量を決定する。薬液総量は、体重7kg未満の患者には50mL、体重7kg以上20kg以下の患者には100mLとし、体重20kgを超える患者の場合には250mLとする。
(4). (1)で算出した本剤の投与量の等量を(3)で決定した日局生理食塩液バッグより抜き取り廃棄する。
(5). バイアルから必要量を抜き取り、日局生理食塩液バッグにゆっくり添加し、静かに混和する(急激な振盪溶解は避けること)。
(6). 患者に投与する前に微粒子が混入してないか希釈液を目視検査する(肉眼で確認できる粒子のない無色澄明な液のみを使用すること)。
14.1.2. 希釈後は速やかに使用すること(希釈後直ちに使用できない場合は、希釈した本剤を2~8℃で保存し、24時間以内に使用すること)。
14.1.3. 他剤<日局生理食塩液を除く>との混注を行わないこと。
14.1.4. 各バイアルは一回限りの使用とすること。
14.1.5. 本剤は0.2μmのインラインフィルターを通して投与すること。
凍結、振盪を避けること。
16.1 血中濃度
ムコ多糖症I型患者12例に4時間かけて本剤0.58mg/kgを週1回投与した。第1週、第12週及び第26週の投与後における平均最大血漿中濃度(Cmax)は1.2~1.7μg/mL、平均血漿中濃度曲線下面積(AUC0-∞)の平均値は4.5~6.9μg・時/mL、平均分布容積(Vz)は0.24~0.60L/kg、平均血漿クリアランス(CL)は1.7~2.7mL/分/kg、平均消失半減期(t1/2)は1.5~3.6時間であった。
16.3 分布
ムコ多糖症I型のイヌに本剤0.58mg/kg/週以上を投与したところ、肝臓、腎臓、脾臓、肺、心臓、脳、軟骨、角膜等において酵素活性を検出した。酵素活性は肝臓で最も高く、脳では低かった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 海外第3相試験
海外において、ムコ多糖症I型患者45例を対象として本剤の第3相プラセボ対照二重盲検比較臨床試験を行った。本剤0.58mg/kgまたはプラセボの投与を週1回26週間行い、「努力肺活量の予測正常値に対する割合(以下%努力肺活量)」及び「6分間の歩行距離」を有効性の主要評価項目とし、投与前から26週後の変化量を両群で比較した。その結果、実薬群はプラセボ群に比べて、%努力肺活量で平均4.5%、6分間歩行距離で平均38.1mの改善が認められた。
→図表を見る(PDF)
肝容積は、本剤群で投与前異常値を示した18例中13例(72%)が正常化し、プラセボ群では14例中3例(21%)が正常化した。
尿中GAG濃度は4週間以内に急速に低下し、低下した値はその後の試験期間を通じて維持された。
副作用の発現率は、本剤群54.5%(12/22例)及びプラセボ群69.6%(16/23例)であり、本剤の主な副作用(発現例数2例以上)は、潮紅22.7%(5例)、発疹13.6%(3例)、頭痛、関節障害及び背部痛9.1%(2例)であった。
17.1.2 海外第3相継続投与試験
第3相試験に参加した患者45名を対象とし、182週間の第3相非盲検継続試験において本剤0.58mg/kgを週1回投与した。%努力肺活量は、第3相二重盲検試験時に本剤群及びプラセボ群のいずれにおいても継続試験期間中に減少(本剤/本剤群:平均-2.6±7.08%、プラセボ/本剤群:平均-3.3±9.07%)したが、臨床的に有意な変化ではなかった。一方、努力肺活量(L)は、本剤/本剤群で平均0.18±0.28L、プラセボ/本剤群で0.16±0.38Lと改善した。また、6分間歩行距離は、継続試験期間中に本剤/本剤群で平均19.5±73.48m、プラセボ/本剤群で19.4±107.36mの距離の延長がみられた。
肝容積は、本剤/本剤群で投与前異常であった5例中3例は正常化し、プラセボ/実薬群では9例中7例が正常化した。
本剤/本剤群の患者の尿中GAGの投与前からの低下率は66.3%であり、プラセボ/実薬群では-77.0%であった。
副作用の発現率は、本剤/本剤群68.1%(15/22例)及びプラセボ/本剤群60.1%(14/23例)であり、本剤が投与された45例での主な副作用(発現率が10%以上)は、関節痛17.8%(8例)、発疹15.6%(7例)、頭痛及び注射部位反応が13.3%(6例)、潮紅、背(部)痛、発熱、骨痛及び悪心が11.1%(5例)であった。
17.1.3 海外非盲検臨床試験(5歳未満児)
海外における5歳未満の患者20例に対する非盲検臨床試験において、本剤0.58mg/kgを週1回、計52週間投与した。そのうち、4例は第26週から1.2mg/kgの投与を受けた。第13週までに平均尿中GAG濃度は急激に低下し、以降はその濃度が維持された。尿中GAG濃度の平均減少率は61.3%であった。投与前では全患者の肝容積が異常値であったが、第52週において18例中9例の肝容積は正常値となり、他の患者の肝サイズも減少した。心エコーでは左室重量がわずかに減少(投与前に軽度の左室肥大が認められた10例中、7例が第52週で正常化)したが、正常値の範囲内で平均駆出分画も減少した。心臓弁の変化が2例で認められた。成長率(身長及び体重)は年齢及び重症度と相関した改善を示し、より若年で重症度が高いほど精神発達及び適応行動が改善した。また、ほとんどの患者で投与開始から1ヵ月以内に抗体が認められた(5歳以上の患者で平均52.6日に対し、5歳未満では平均25.8日)。ラロニダーゼに対するIgG抗体が初期に認められた患者のうち1例については、投与開始から12ヵ月を経過した時点でIgG抗体が認められなくなった。
本剤の副作用は、発熱7例(35%)、悪寒4例(20%)、高血圧3例(15%)、頻脈、酸素飽和度低下が各2例(10%)、捻髪音、呼吸窮迫、喘鳴、斑状皮疹、そう痒症、血中鉄減少、心拍数増加、振戦、蒼白が各1例(5%)であった。[9.7参照]
17.2 製造販売後調査等
17.2.1 国内製造販売後使用成績調査等
特定使用成績調査(全例調査)では、安全性集計対象症例50例中19例(38%)に副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められた。主な副作用は、蕁麻疹、発熱各7例(14%)、紅斑、そう痒症、発疹各3例(6%)、咳嗽、顔面浮腫、倦怠感各2例(4%)であった。
17.3 その他
17.3.1 抗体価
第1/2相非盲検臨床試験と第3相試験中に本剤の投与を受けた患者55例中50例(91%)においてラロニダーゼに対する抗体が生じた。ほとんどは第12週までに発現し、第1週と第12週との間に一部の患者において抗体価と比例すると考えられる本剤の血漿クリアランスの上昇が認められた。第26週にも抗体が認められ、一部の患者では抗体価が上昇していたにもかかわらず、この週における血漿クリアランスの値は第1週と同等であった。
17.3.2 IgE抗体産生
第3相試験及び第3相継続試験(182週間)において、中等度又は重度のinfusion reactionが生じた9例の患者に対し、ラロニダーゼ特異的IgE抗体及び補体活性に関する検査を行った。IgE検査はELISA法、補体活性は酵素免疫測定法により測定した。前記9例の患者のうち1例は第3相継続試験において第62週の投与開始約3時間後に呼吸障害を伴うアナフィラキシー様反応を生じ、蘇生には救急気管切開が必要であった。ラロニダーゼ特異的IgE抗体及び補体活性は陽性であった。この患者には原疾患に起因する上気道閉塞が認められており、過敏反応が重篤なものとなったと考えられた。他8例の患者のIgE検査結果は陰性であった。
18.1 作用機序
本剤は、ムコ多糖症I型の組織及び細胞中に蓄積するグリコサミノグリカン(デルマタン硫酸及びヘパラン硫酸)のライソゾーム内加水分解酵素α‐L‐イズロニダーゼの遺伝子組換え製剤である。
18.2 薬理作用
ムコ多糖症I型のイヌに静脈内投与した結果、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、脾臓及び滑膜におけるGAGの低下が認められた。
- 製造販売会社
- サノフィ
- 販売会社
おくすりのQ&A
当該製品の添付文書では、効能又は効果として、『次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合:緑内障、高眼圧症』と記載されています。...
添付文書内の「有効性安全性」の正確な意味を教えてください。どのような条件ならば有効性があるとするのか、安全性があるというのかをその基準を教えて欲しいのです
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