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グルファストOD錠10mg

販売名
グルファストOD錠10mg
識別コード
K GF D10
薬価
10mg1錠 27.40円
製造メーカー
キッセイ薬品

添付文書情報2020年11月改定(第2版)

商品情報

薬効分類名
その他の糖尿病用剤
一般名
ミチグリニドカルシウム水和物口腔内崩壊錠
禁忌
2.1. 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない]。
2.2. 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリンによる血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない]。
2.3. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.4. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
効能・効果
2型糖尿病。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤の適用においては、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。
5.2. 本剤を投与する際は、空腹時血糖が126mg/dL以上、又は食後血糖1又は2時間値が200mg/dL以上を示す場合に限る。
用法・用量
通常、成人にはミチグリニドカルシウム水和物として1回10mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤は、食後投与では速やかな吸収が得られず効果が減弱するので、効果的に食後の血糖上昇を抑制するため、本剤の投与は毎食直前(5分以内)とすること。また、本剤は投与後速やかに薬効を発現するため、食前30分投与では食前15分に血中インスリン値が上昇し食事開始時の血糖値が低下することが報告されており、食事開始前に低血糖を誘発する可能性がある。
7.2. 高齢者では、状況に応じて低用量(1回量5mg)から投与を開始することが望ましい〔9.8高齢者の項参照〕。
肝機能障害患者
8.1. 本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること〔11.1.2参照〕。
8.2. 本剤は、ときに低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること〔11.1.2参照〕。
8.3. 本剤投与中は、血糖を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、本剤を2~3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には、より適切と考えられる治療への変更を考慮すること。
8.4. 本剤は、速やかなインスリン分泌促進作用を有し、その作用点はスルホニル尿素系製剤と同じであり、スルホニル尿素系製剤との相加・相乗の臨床効果及び安全性が確認されていないので、スルホニル尿素系製剤とは併用しないこと。
8.5. 本剤とピオグリタゾン塩酸塩1日45mgとの併用における安全性は確立されていない(使用経験はほとんどない)。
8.6. 本剤とGLP-1受容体作動薬との併用における有効性及び安全性は検討されていない。
9.1.1. 虚血性心疾患のある患者:心筋梗塞を発症した患者が報告されている〔11.1.1参照〕。
9.1.2. 低血糖を起こすおそれがある次の患者又は状態。
・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全。
・ 下痢、嘔吐等の胃腸障害。
・ 栄養不良状態、飢餓状態、食事摂取量不足又は衰弱状態。
・ 激しい筋肉運動。
・ 過度のアルコール摂取者。
〔11.1.2参照〕。
腎機能障害患者:低血糖を起こすおそれがある(慢性腎不全患者において、血漿中薬物未変化体濃度の消失半減期の延長が報告されている)〔11.1.2、16.6.1参照〕。
肝機能障害患者:低血糖を起こすおそれがある(また、肝機能障害を悪化させるおそれがある)〔11.1.2、11.1.3参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:1). 糖尿病用薬(インスリン製剤、ビグアナイド系薬剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、DPP-4阻害剤、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害剤、チアゾリジン系薬剤)〔11.1.2参照〕[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から血圧上昇・発汗・ふるえ・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・けいれん・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(作用機序が異なる薬理作用の相加作用による血糖降下作用の増強による)。特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるので、併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討すること(作用機序が異なる薬理作用の相加作用による血糖降下作用の増強による)。チアゾリジン系薬剤との併用時には、特に浮腫の発現に注意すること(作用機序が異なる薬理作用の相加作用による血糖降下作用の増強による)]。
2). サリチル酸製剤(アスピリン等)[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から血圧上昇・発汗・ふるえ・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・けいれん・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(血中蛋白との結合抑制及び抱合代謝阻害による、ただし、アスピリンとして1回量1500mgの併用時に影響する可能性があるが、低用量(アスピリンとして1回量300mg)では影響しない)]。
3). クロフィブラート等、サルファ剤(スルファメトキサゾール等)[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から血圧上昇・発汗・ふるえ・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・けいれん・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(血中蛋白との結合抑制及び代謝阻害による)]。
4). β-遮断剤(プロプラノロール塩酸塩等)、モノアミン酸化酵素阻害剤[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から血圧上昇・発汗・ふるえ・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・けいれん・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(肝臓における糖新生の抑制及び末梢におけるインスリン感受性の増強により血糖が低下する)]。
5). タンパク同化ホルモン剤[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から血圧上昇・発汗・ふるえ・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・けいれん・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(タンパク同化ホルモン剤が糖尿病患者のみに起こる血糖降下作用に加えて代謝抑制・排泄遅延説がある)]。
6). テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン塩酸塩、ミノサイクリン塩酸塩等)[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から血圧上昇・発汗・ふるえ・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・けいれん・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(インスリン感受性促進による)]。
7). アドレナリン[経口血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用
時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する(末梢でのグルコースの取り込み抑制及び肝臓での糖新生の促進により、血糖値を上昇させる)]。
8). 副腎皮質ホルモン(メチルプレドニゾロン等)[経口血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する(肝臓での糖新生促進、末梢組織でのインスリン感受性低下による)]。
9). 卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール等)[経口血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する(機序不明、コルチゾール分泌変化、組織での糖利用変化、成長ホルモンの過剰産生、肝機能の変化等が考えられる)]。
10). ニコチン酸[経口血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用
時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する(肝臓でのブドウ糖の同化抑制による)]。
11). イソニアジド[経口血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する(糖質代謝の障害による血糖値上昇及び耐糖能異常による)]。
12). ピラジナミド[経口血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する(機序不明、血糖値のコントロールがむずかしいとの報告がある)]。
13). フェノチアジン系薬剤(クロルプロマジン等)[経口血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する(インスリン遊離抑制、副腎からのエピネフリン遊離による)]。
14). 利尿剤(チアジド系利尿剤等)[経口血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する(血清カリウムの低下、インスリンの分泌障害、組織におけるインスリンの感受性低下による)]。
15). フェニトイン[経口血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する(インスリン分泌を直接抑制する)]。
16). 甲状腺ホルモン(乾燥甲状腺等)[血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与する(血糖コントロール条件が変わることがある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 心筋梗塞(0.1%)〔9.1.1参照〕。
11.1.2. 低血糖(6.6%*):低血糖症状(眩暈、空腹感、振戦、脱力感、冷汗、意識消失等)があらわれることがある。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。また、低血糖症状が認められた場合には、1回5mgへの減量を検討するなど慎重に投与すること〔8.1、8.2、9.1.2、9.2腎機能障害患者、9.3肝機能障害患者の項、10.2参照〕。
*:低血糖症状として報告された発現割合である。
11.1.3. 肝機能障害(頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいγ-GTP上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある〔9.3肝機能障害患者の項参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 代謝:(5%以上)低血糖症状(眩暈、空腹感、振戦、脱力感、冷汗、発汗、悪寒、意識低下、倦怠感、動悸、頭重感、眼のしょぼしょぼ感、嘔気、気分不良、しびれ感、眠気、歩行困難、あくび等)。
2). 消化器:(0.1~5%未満)口内炎、口渇、胸やけ、嘔気、嘔吐、胃不快感、胃炎、胃痛、胃潰瘍、胃腸炎、腹部膨満、腹痛、放屁増加、下痢、軟便、便秘、空腹感、食欲不振、食欲亢進、(頻度不明)舌のしびれ。
3). 皮膚:(0.1~5%未満)湿疹、皮膚そう痒、皮膚乾燥、(頻度不明)発疹。
4). 筋骨格系:(0.1~5%未満)背部痛、筋肉痛、関節痛、下肢痙直、筋骨格硬直。
5). 精神神経系:(0.1~5%未満)頭痛、眩暈、眠気、不眠、しびれ感。
6). 耳:(0.1~5%未満)耳痛。
7). 肝臓:(0.1~5%未満)胆嚢ポリープ、AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇、総ビリルビン上昇。
8). 循環器:(0.1~5%未満)心拡大、動悸、心室性期外収縮、高血圧悪化、血圧上昇。
9). 呼吸器:(0.1~5%未満)咳、咽頭異和感、かぜ症候群。
10). 腎臓・泌尿器:(0.1~5%未満)腎嚢胞、頻尿、尿蛋白、尿潜血。
11). その他:(5%以上)ピルビン酸上昇、BNP上昇、(0.1~5%未満)倦怠感、脱力感、冷汗、ほてり、浮腫、脱毛、眼のしょぼしょぼ感、胸部不快感、胸痛、右季肋部痛、四肢痛、体重増加、乳酸上昇、遊離脂肪酸上昇、総コレステロール上昇、LDL-コレステロール上昇、トリグリセリド上昇、尿酸上昇、CK上昇、カリウム上昇。
高齢者
血糖値に留意して、経過を十分に観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)〔7.2参照〕。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(本剤は動物実験(ラット)で胎盤通過が認められている)。また、動物実験(ラット)で周産期に薬理作用に基づく低血糖によると推定される母動物死亡が認められている〔2.4参照〕。
授乳中の女性は、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤は動物実験(ラット)で母乳への移行が認められている)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意14.1.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
14.1.2. 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用
可能である(また、水で服用することもできる)。
14.1.3. 本剤は寝たままの状態では、水なしで服用しないこと。
20.1. 製剤の特徴上、吸湿により錠剤表面がざらつくことがある。
20.2. 錠剤表面に使用色素による黄色の斑点がみられることがある。
20.3. アルミピロー包装開封後は湿気を避けて保存すること。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性にミチグリニドカルシウム水和物5、10及び20mg(錠)を食直前に単回経口投与したとき注1)、投与後0.23~0.28時間で最高血漿中濃度(Cmax)に達し、半減期(t1/2)は約1.2時間であった。
健康成人男性における食直前投与の薬物動態パラメータ
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図 健康成人男性における食直前投与の用量別血漿中ミチグリニド濃度(平均値+標準偏差)

16.1.2 反復投与
健康成人男性に、ミチグリニドカルシウム水和物1回10mg(錠)を1日3回、7日間反復経口投与したとき、血漿中未変化体濃度推移において1及び7日目でのCLtot/F、AUC0-inf及びAUC0-5hrに有意な差が認められた。しかし、1日目投与時と7日目のこれらパラメータの平均値の差は10%程度とわずかであり、この90%信頼区間も約±20%の範囲内にあることから特に問題とはならないと考えられた。また、Cmax及びVdssにはいずれも有意な差は認められず、7日間の反復投与においても本薬の体内動態はほとんど変化しないと考えられた。
健康成人男性における食直前投与の反復投与時の薬物動態パラメータ
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16.1.3 生物学的同等性試験(錠、OD錠)
健康成人男性にミチグリニドカルシウム水和物10mg(OD錠、水なし又は水で服用)又はミチグリニドカルシウム水和物10mg(錠、水で服用)を空腹時に単回経口投与したとき注1)、両製剤は生物学的に同等であった。
健康成人男性における空腹時単回投与時の薬物動態パラメータ(OD錠を水なしで服用した場合)
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健康成人男性における空腹時単回投与時の薬物動態パラメータ(OD錠を水で服用した場合)
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16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男性にミチグリニドカルシウム水和物5mg(錠)を食後に経口投与したとき注1)、食直前に比し最高血漿中濃度(Cmax)の低下及び最高血漿中濃度到達時間(Tmax)の遅延が認められた。
健康成人男性における食直前及び食後投与時の薬物動態パラメータ
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16.4 代謝
健康成人男性にミチグリニドカルシウム水和物5、10及び20mg(錠)を食直前に単回経口投与したとき注1)、24時間までに投与量の約54~74%が尿中に排泄され、そのほとんどがグルクロン酸抱合体代謝物であり、ミチグリニドは1%未満であった。
健康成人男性に[14C]標識ミチグリニドカルシウム水和物11mg溶液を食直前に単回経口投与したとき注1)、投与0.5及び4時間後の血漿中放射能は主にミチグリニド由来であり、ミチグリニドのグルクロン酸抱合体はミチグリニドの約1/3から1/6量が存在し、ヒドロキシ体代謝物はさらに少なかった(外国人データ)。
ミチグリニドカルシウム水和物は、ヒトにおいて肝臓及び腎臓で代謝され、グルクロン酸抱合体は主に薬物代謝酵素のUGT1A9及び1A3により、ヒドロキシ体は主にCYP2C9により生成されることがin vitro試験により確認されている。
16.5 排泄
健康成人男性に[14C]標識ミチグリニドカルシウム水和物11mg溶液を食直前に単回経口投与したとき注1)、放射能の約93%は尿中に、約6%は糞中に排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害者
成人腎機能正常者、腎機能低下者及び慢性腎不全患者(ミチグリニドカルシウム水和物投与前日の平均クレアチニンクリアランス値はそれぞれ113.75、37.01及び3.431mL/min)にミチグリニドカルシウム水和物10mg(錠)を食直前に単回経口投与したとき、クレアチニンクリアランスの低下に伴い半減期(t1/2)は延長したが、その他の主要パラメータ(Cmax、AUC0-inf及びCLtot/F)とクレアチニンクリアランスとの間に、有意な相関は認められなかった。[9.2参照]
腎機能正常者、腎機能低下者及び慢性腎不全患者における薬物動態パラメータ
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図 腎機能正常者、腎機能低下者及び慢性腎不全患者における血漿中ミチグリニド濃度(平均値+標準偏差)

16.6.2 高齢者
高齢者(65歳以上)及び非高齢者(20~35歳)にミチグリニドカルシウム水和物10mg(錠)を朝食直前(5分以内)に単回経口投与したとき、高齢者ではCmaxが非高齢者に比べてやや低かったが、その他のパラメータに差は認められなかった。
高齢者及び非高齢者における血漿中未変化体の薬物動態パラメータ
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16.7 薬物相互作用
16.7.1 ミチグリニドカルシウム水和物の薬物動態に及ぼす影響
ボグリボース、ピオグリタゾン塩酸塩、メトホルミン塩酸塩及びシタグリプチンリン酸塩水和物の併用投与によるミチグリニドカルシウム水和物の薬物動態に変化はなかった。
16.7.2 併用薬の薬物動態に及ぼす影響
ピオグリタゾン塩酸塩、メトホルミン塩酸塩及びシタグリプチンリン酸塩水和物の薬物動態に対するミチグリニドカルシウム水和物の影響は認められなかった。
注1)本剤の承認されている用法・用量は「通常、成人にはミチグリニドカルシウム水和物として1回10mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。」である。
注2)1例において、AUC0-5hrを除く薬物動態パラメータは算出不能であった。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 単独療法 第III相二重盲検比較試験
食事療法のみでは十分な血糖コントロールが得られない314例の2型糖尿病患者を対象に、ミチグリニドカルシウム水和物1回10mgを1日3回毎食直前12週間経口投与した。ミチグリニドカルシウム水和物群の患者背景は、糖尿病薬物治療歴なしの症例79.4%、投与開始時のHbA1c(JDS)(平均値±標準偏差)7.47±0.96%であった。最終評価時のHbA1c(JDS)の変化量は、プラセボ群+0.21±0.66%に対し、ミチグリニドカルシウム水和物群では-0.44±0.75%であり、有意な差が認められた(p<0.001、t検定)。副作用(臨床症状)の発現割合は、プラセボ群の22.5%(23/102例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物群では23.5%(24/102例)であった。副作用(臨床検査値)の発現割合は、プラセボ群の14.9%(15/101例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物群では25.7%(26/101例)であった。低血糖症状の発現割合は、プラセボ群の2.9%(3/102例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物群では2.0%(2/102例)であった。
17.1.2 単独療法 長期投与試験
長期投与試験では、ミチグリニドカルシウム水和物1回10mg(5mgまたは20mgに増減可能)を1日3回、52週間経口投与した。最終評価時のHbA1c(JDS)変化量(平均値±標準偏差)は、-0.48±0.97%であった。副作用(臨床症状)、副作用(臨床検査値)及び低血糖症状の発現割合は、それぞれ27.5%(98/356例)、22.0%(78/354例)及び9.8%(35/356例)であった。
17.1.3 α‐グルコシダーゼ阻害剤併用療法 第II/III相二重盲検比較試験
食事療法に加えてボグリボース(1回0.2mg)単剤による薬物療法により十分な血糖コントロールが得られていない385例の2型糖尿病患者(併用投与開始時のHbA1c(JDS)(平均値±標準偏差)7.10±0.47%)を対象に、ボグリボース0.2mgにミチグリニドカルシウム水和物1回5mg又は10mgを上乗せして1日3回毎食直前12週間経口投与した注1)。最終評価時のHbA1c(JDS)の変化量は、ボグリボース単独群-0.02±0.36%に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群で-0.64±0.46%、5mg併用群で-0.44±0.43%と共に有意に低下した(いずれもp<0.001、分散分析)。副作用(臨床症状)の発現割合は、ボグリボース単独群の14.6%(13/89例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群で22.5%(23/102例)、ミチグリニドカルシウム水和物5mg併用群で13.2%(12/91例)であった。副作用(臨床検査値)の発現割合は、ボグリボース単独群の13.5%(12/89例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群で15.8%(16/101例)、ミチグリニドカルシウム水和物5mg併用群で8.8%(8/91例)であった。低血糖症状の発現割合は、ボグリボース単独群の1.1%(1/89例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群で6.9%(7/102例)、ミチグリニドカルシウム水和物5mg併用群で3.3%(3/91例)であった。[10.2参照]
17.1.4 α‐グルコシダーゼ阻害剤併用療法 長期併用投与試験
2型糖尿病患者161例に、ボグリボースとミチグリニドカルシウム水和物1回5mg又は10mg、1日3回で経口投与を開始し、52週間併用投与した注1)。最終評価時のHbA1c(JDS)変化量(平均値±標準偏差)は、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群で-0.48±0.62%、ミチグリニドカルシウム水和物5mg併用群で-0.20±0.62%であった。副作用(臨床症状)の発現割合は、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群で30.7%(27/88例)、ミチグリニドカルシウム水和物5mg併用群で24.7%(18/73例)であった。副作用(臨床検査値)の発現割合は、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群で21.6%(19/88例)、ミチグリニドカルシウム水和物5mg併用群で13.7%(10/73例)であった。低血糖症状の発現割合は、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群で10.2%(9/88例)、ミチグリニドカルシウム水和物5mg併用群で2.7%(2/73例)であった。[10.2参照]
17.1.5 チアゾリジン系薬剤併用療法 第II/III相二重盲検比較試験
食事療法に加えてピオグリタゾン塩酸塩単独療法のみで十分な血糖コントロールが得られていない381例の2型糖尿病患者(併用投与開始時のHbA1c(JDS)(平均値±標準偏差)7.51±0.69%)を対象に、ピオグリタゾン塩酸塩15mg又は30mgにミチグリニドカルシウム水和物1回5mg、10mg又はプラセボを上乗せして1日3回毎食直前16週間経口投与した注1)。最終評価時のHbA1c(JDS)の変化量は、ピオグリタゾン塩酸塩単独群-0.02±0.60%に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群で-0.67±0.59%、5mg併用群で-0.45±0.77%と共に有意に低下した(いずれもp<0.001、分散分析)。副作用(臨床症状)の発現割合は、ピオグリタゾン塩酸塩単独群の15.7%(20/127例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群で18.1%(23/127例)、ミチグリニドカルシウム水和物5mg併用群で15.0%(19/127例)であった。副作用(臨床検査値)の発現割合は、ピオグリタゾン塩酸塩単独群の11.8%(15/127例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群で16.7%(21/126例)、ミチグリニドカルシウム水和物5mg併用群で16.0%(20/125例)であった。低血糖症状の発現割合は、ピオグリタゾン塩酸塩単独群の2.4%(3/127例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群で3.9%(5/127例)、ミチグリニドカルシウム水和物5mg併用群で2.4%(3/127例)であった。[10.2参照]
17.1.6 チアゾリジン系薬剤併用療法 長期併用投与試験
2型糖尿病患者171例に、ピオグリタゾン塩酸塩とミチグリニドカルシウム水和物1回10mg、1日3回から経口投与を開始し、52週間併用投与した。最終評価時のHbA1c(JDS)変化量(平均値±標準偏差)は-0.76±0.75%であった。副作用(臨床症状)、副作用(臨床検査値)及び低血糖症状の発現割合は、それぞれ41.5%(71/171例)、33.9%(58/171例)及び12.3%(21/171例)であった。[10.2参照]
17.1.7 ビグアナイド系薬剤併用療法又はDPP‐4阻害剤併用療法 長期併用投与試験
食事療法に加えて、ビグアナイド系薬剤単独又はDPP‐4阻害剤単独による薬物療法により十分な血糖コントロールが得られていない135例の2型糖尿病患者(ビグアナイド系薬剤併用群:68例(併用投与開始時のHbA1c(JDS)(平均値±標準偏差):7.11±0.64%)、DPP‐4阻害剤併用群:67例(併用投与開始時のHbA1c(JDS):7.08±0.53%))を対象に、ビグアナイド系薬剤又はDPP‐4阻害剤とミチグリニドカルシウム水和物1回10mg、1日3回から経口投与を開始し、52週間併用投与した。投与28週及び投与52週のHbA1c(JDS)の変化量は、ビグアナイド系薬剤併用群でそれぞれ-0.33±0.59%及び-0.28±0.61%、DPP‐4阻害剤併用群でそれぞれ-0.46±0.53%及び-0.44±0.67%であり、いずれの併用群においても安定したHbA1c(JDS)の改善が確認された。副作用の発現割合は、ビグアナイド系薬剤併用群及びDPP‐4阻害剤併用群でそれぞれ5.8%(4/69例)及び6.0%(4/67例)であった。低血糖症状の発現割合は、ビグアナイド系薬剤併用群及びDPP‐4阻害剤併用群でそれぞれ2.9%(2/69例)及び3.0%(2/67例)であった。[10.2参照]
17.2 製造販売後調査等
17.2.1 インスリン製剤併用療法(製造販売後臨床試験)
食事療法に加えて、持効型インスリン製剤単独療法又は持効型インスリン製剤と経口血糖降下薬1剤(ビグアナイド系薬剤、DPP‐4阻害薬又はα‐グルコシダーゼ阻害薬:配合薬は除く)の併用療法により十分な血糖コントロールが得られていない178例の2型糖尿病患者(併用投与開始時のHbA1c(NGSP)(平均値±標準偏差)8.50±0.75%、インスリン製剤の1日投与量4単位以上40単位以下)を対象に、ミチグリニドカルシウム水和物1回10mg又はプラセボを1日3回毎食直前16週間経口投与した。最終評価時のHbA1c(NGSP)の変化量は、プラセボ群+0.05±1.04%に対し、ミチグリニドカルシウム水和物群で-0.61±0.87%と有意な低下が認められた(p<0.001、t検定)。副作用の発現割合は、プラセボ群の6.7%(4/60例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物群では11.0%(13/118例)であった。低血糖症状の発現割合は、プラセボ群の3.3%(2/60例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物群では9.3%(11/118例)であった。
また、16週間の投与が完了した後、175例の患者を対象に、ミチグリニドカルシウム水和物を52週まで長期継続投与した。継続投与期最終評価時のHbA1c(NGSP)変化量は、16週までの投与薬剤がプラセボの群では-0.70±0.87%、ミチグリニドカルシウム水和物の群では-0.42±0.95%であった。52週までの投与期間中、ミチグリニドカルシウム水和物投与時の副作用(全体)及び低血糖症状の発現割合は、17.7%(31/175例)及び14.3%(25/175例)であった。[10.2参照]
注1)本剤の承認されている用法・用量は「通常、成人にはミチグリニドカルシウム水和物として1回10mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。」である。

18.1 作用機序
ミチグリニドカルシウム水和物は、膵β細胞のスルホニル尿素受容体への結合を介して、ATP感受性K+チャネル(KATPチャネル)電流を阻害することにより、インスリンの分泌を促進する(in vitro)。
18.2 血糖上昇抑制作用
18.2.1 2型糖尿病患者20名において、二重盲検クロスオーバー法を用いて、単回投与試験を行った。ミチグリニドカルシウム水和物10mg投与により食後早期のインスリン追加分泌が促進され、血糖上昇が抑制された。
図 2型糖尿病患者における血中インスリン値(平均値±標準偏差)

図 2型糖尿病患者における血糖値(平均値±標準偏差)

18.2.2 ストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルラットにミチグリニドカルシウム水和物を経口投与すると、速効性のインスリン分泌促進作用により、液体飼料経口負荷後の血糖上昇が抑制され、負荷後の血漿中グルコース濃度-時間曲線下面積値は低下した(in vivo)。

一包可:条件付可
分割:条件付可
粉砕:条件付可
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キッセイ薬品
販売会社
 

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