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イムセラカプセル0.5mg

販売名
イムセラカプセル0.5mg
識別コード
FTY 0.5mg
薬価
0.5mg1カプセル 7513.10円
製造メーカー
田辺三菱製薬

添付文書情報2021年12月改定(第2版)

商品情報

薬効分類名
他に分類されないその他の代謝性医薬品
一般名
フィンゴリモド塩酸塩カプセル
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
1.1. 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤の安全性及び有効性についての十分な知識と多発性硬化症の治療経験をもつ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、黄斑浮腫等の重篤な眼疾患が発現することがあるので、十分に対応できる眼科医と連携がとれる場合にのみ使用すること〔8.3、9.1.8、9.1.9、11.1.3参照〕。
1.2. 本剤の投与開始後、数日間にわたり心拍数低下作用がみられる。特に投与初期は大きく心拍数が低下することがあるので、循環器を専門とする医師と連携するなど、適切な処置が行える管理下で投与を開始すること〔8.1.1-8.1.4、9.1.4、9.1.5、11.1.2、17.3.2参照〕。
1.3. 重篤な感染症があらわれ、死亡に至る例が報告されている。また、本剤との関連性は明らかではないが、Epstein-Barrウイルスに関連した悪性リンパ腫、リンパ増殖性疾患の発現も報告されている。本剤の投与において、重篤な副作用により、致命的経過をたどることがあるので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること〔2.2、8.2.1-8.2.3、8.7、9.1.1-9.1.3、11.1.1参照〕。
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 重篤な感染症のある患者〔1.3参照〕。
2.3. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
2.4. 生ワクチンを接種しないこと〔10.1参照〕。
2.5. クラス1a抗不整脈剤投与中(キニジン、プロカインアミド等)又はクラス3抗不整脈剤投与中(アミオダロン、ソタロール等)の患者〔10.1参照〕。
効能・効果
多発性硬化症の再発予防及び多発性硬化症の身体的障害の進行抑制。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 進行型多発性硬化症に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
5.2. 一次性進行型多発性硬化症患者を対象とした海外のプラセボ対照臨床試験において、身体的障害の進行抑制効果は示されなかったとの報告がある〔15.1.3参照〕。
用法・用量
通常、成人にはフィンゴリモドとして1日1回0.5mgを経口投与する。
生殖能を有する者
8.1. 本剤の投与開始時には心拍数低下、房室伝導遅延が生じることがあるため、本剤投与開始前及び投与中は次の点に注意すること。
8.1.1. 初回投与後少なくとも6時間はバイタルサインの観察を行い、初回投与前及び初回投与6時間後に12誘導心電図を測定すること。また、初回投与後24時間は心拍数及び血圧の測定に加え、連続的に心電図をモニターすることが望ましい〔1.2、9.1.4、9.1.5、11.1.2、17.3.2参照〕。
8.1.2. 本剤投与後に徐脈性不整脈に関連する徴候又は症状があらわれた場合には、適切な処置を行うこと(また、次の投与時(翌日又は休薬後再開時)にも心電図をモニターする等、十分な注意、観察を行うこと)〔1.2、9.1.4、9.1.5、11.1.2、17.3.2参照〕。
8.1.3. 投与初期には、めまい、ふらつきがあらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の作業をする際には注意させること〔1.2、9.1.4、9.1.5、11.1.2、17.3.2参照〕。
8.1.4. 本剤の薬物濃度が定常状態に到達した後に2週間を超える休薬をした場合は、投与再開時に心拍数及び房室伝導に対する影響が認められるおそれがあるため、初回投与時と同様の注意、観察を行うこと。なお、休薬期間が2週間以内の場合も、投与再開時は十分に注意すること。また、本剤の薬物濃度が定常状態に到達する前に休薬し、投与を再開する場合は、投与期間や休薬期間を考慮し、初回投与時と同様の注意、観察を行う等十分に注意すること〔1.2、9.1.4、9.1.5、11.1.2、17.3.2参照〕。
8.2. 本剤は末梢血リンパ球を減少させる作用を有することから、本剤の投与により感染症のリスクが増大するおそれがある。本剤投与開始前及び投与中は次の点に注意すること。
8.2.1. 本剤投与開始前に血液検査(血球数算定等)を行うとともに、投与中には定期的に血液検査を行うこと。リンパ球数が200/mm3を下回った場合には、2週後を目処に再検査を実施し、リンパ球数が連続して200/mm3未満であった場合には、原則として投与を中断し、リンパ球数が回復するまで患者の状態を慎重に観察するとともに、感染症の徴候に注意を払う等、適切な処置を行うこと(投与再開については、リンパ球数が600/mm3以上まで回復することを目安とし、治療上の有益性と危険性を慎重に評価した上で判断すること)〔1.3、9.1.1-9.1.3、11.1.1参照〕。
8.2.2. 本剤投与中に水痘又は帯状疱疹に初感染すると重症化の恐れがある為、投与開始前に水痘又は帯状疱疹の既往や予防接種の有無を確認、必要に応じワクチン接種を考慮(接種したワクチンの効果が十分得られるまで本剤投与開始を延期)すること〔1.3、9.1.2、10.1、10.2、11.1.1参照〕。
8.2.3. 患者に対し、感染症状(発熱、けん怠感等)があらわれた場合には直ちに主治医に連絡するよう指導すること。重篤な感染症が発現した場合には本剤の投与を中断し、適切な処置を行うこと(投与再開については、感染症の回復を確認し、治療上の有益性と危険性を慎重に評価した上で判断すること)〔1.3、9.1.1-9.1.3、11.1.1参照〕。
8.3. 無症候性も含め、特に投与初期には黄斑浮腫があらわれることがあるため、投与開始3~4ヵ月後に眼底検査を含む眼科学的検査を実施し、患者が視覚障害を訴えた場合にも眼科学的検査を実施すること。黄斑浮腫が確認された場合には、投与を中断し、適切な処置を行うこと(回復後の投与再開については、治療上の有益性と危険性を慎重に評価した上で判断すること)〔1.1、9.1.8、9.1.9、11.1.3参照〕。
8.4. 肝機能異常があらわれることがあるので、本剤投与開始前に肝機能検査(トランスアミナーゼ、ビリルビン等)を行うとともに、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うこと〔9.3.1、11.2参照〕。
8.5. 血圧上昇があらわれることがあるため、投与中は定期的に血圧測定等を行うこと〔9.1.7、11.2参照〕。
8.6. 血小板減少があらわれることがあるため、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査(血球数算定等)を行うこと〔11.1.9参照〕。
8.7. 本剤は消失半減期が長く(6~9日間)、投与中止後の本剤の血中からの消失には最長で2ヵ月かかる場合があり、その間リンパ球数減少などの薬力学的効果も持続するため、感染症の発現等に注意すること〔1.3、10.2、11.1.1、16.1.1、16.1.2参照〕。
8.8. 本剤の投与中止後に、投与開始前より重度の疾患増悪が報告されており、投与中止後概ね24週までに認められている(投与を中止する場合には、重度の疾患増悪に留意すること)。
9.1.1. 感染症のある患者又は感染症が疑われる患者:感染症が増悪するおそれがある〔1.3、8.2.1、8.2.3、11.1.1参照〕。
9.1.2. 水痘又は帯状疱疹の既往歴がなく予防接種を受けていない患者:本剤投与中に水痘又は帯状疱疹に初感染すると重症化するおそれがある〔1.3、8.2.1-8.2.3、11.1.1参照〕。
9.1.3. 易感染性の状態にある患者:感染症を誘発するおそれがある〔1.3、8.2.1、8.2.3、11.1.1参照〕。
9.1.4. 第2度以上の房室ブロック、洞不全症候群、虚血性心疾患又はうっ血性心不全のある患者:投与開始時に重篤な心リズム障害があらわれるおそれがある〔1.2、8.1.1-8.1.4、11.1.2参照〕。
9.1.5. 心拍数の低い患者又は失神の既往歴のある患者:投与開始時に本剤による心拍数低下の影響を受けやすい〔1.2、8.1.1-8.1.4、11.1.2、17.3.2参照〕。
9.1.6. 低カリウム血症、先天性QT延長症候群又はQT延長のある患者:QT間隔を過度に延長させるおそれがある〔17.3.1参照〕。
9.1.7. 高血圧の患者:症状が増悪するおそれがある〔8.5参照〕。
9.1.8. 黄斑浮腫のある患者:黄斑浮腫が増悪するおそれがある〔1.1、8.3、11.1.3参照〕。
9.1.9. 糖尿病の患者又はブドウ膜炎の既往歴のある患者:黄斑浮腫が発現するリスクが増大するため、本剤投与開始前に眼科学的検査を実施し、投与中にも定期的な検査を実施すること〔1.1、8.3、11.1.3参照〕。
9.1.10. 重度呼吸器疾患を有する患者:症状が増悪するおそれがある。
9.3.1. 肝機能障害又はその既往歴のある患者:血中濃度が上昇又は半減期が延長するおそれがあり、また、症状が増悪するおそれがある〔8.4、16.6.2参照〕。
妊娠可能な女性に対しては、本剤の投与を開始する前に、患者が妊娠していないことを確認し、妊娠可能な女性患者に対して本剤が胎児に悪影響を及ぼす可能性があることを十分に説明し、本剤投与期間中及び最終投与後2ヵ月間は適切な避妊を徹底するよう指導すること。また、本剤投与中に妊娠が確認された場合には直ちに投与を中止すること〔9.5妊婦の項参照〕。
相互作用
本剤は主にCYP4Fサブファミリーで代謝され、特にCYP4F2の寄与が大きいと考えられている〔16.4参照〕。
10.1. 併用禁忌:1). 生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等)〔2.4、8.2.2参照〕[免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので接種しないこと、本剤投与中止後も薬力学的効果が持続するため、リンパ球数の回復が確認されるまでは接種を避けること(本剤は免疫系に抑制的に作用するため、生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわすおそれがある)]。
2). クラス1a抗不整脈剤(キニジン(硫酸キニジン)、プロカインアミド<アミサリン>等)、クラス3抗不整脈剤(アミオダロン<アンカロン>、ソタロール<ソタコール>等)〔2.5参照〕[Torsades de pointes等の重篤な不整脈を生じるおそれがある(本剤の投与により心拍数が低下するため、併用により不整脈を増強するおそれがある)]。
10.2. 併用注意:1). 不活化ワクチン〔8.2.2参照〕[本剤の投与中及び投与中止2ヵ月後まではワクチン接種の効果が減弱することがある(本剤は免疫系に抑制的に作用するため、ワクチンに対する免疫が得られないおそれがある)]。
2). 抗腫瘍剤、免疫抑制剤(ミトキサントロン等)〔8.7、11.1.1参照〕[本剤の投与中及び投与中止2ヵ月後までは免疫系の相加的な抑制作用により、感染症等のリスクが増大することがある(本剤は免疫系に抑制的に作用する)]。
3). β遮断薬(アテノロール等)、カルシウム拮抗薬(ベラパミル、ジルチアゼム等)〔11.1.2参照〕[本剤の投与開始時に併用すると重度の徐脈や心ブロックが認められることがある(共に徐脈や心ブロックを引き起こすおそれがある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 感染症(45.3%):細菌、真菌、ウイルス等による感染症があらわれることがあるので、感染症が疑われる症状が認められた場合には、本剤の投与中断を考慮するとともに、早期に適切な処置を行うこと。また、重篤な感染症が認められた場合には本剤を休薬又は中止し、適切な処置を行うこと。播種性帯状疱疹、ヘルペス脳炎の死亡例が報告されている〔1.3、8.2.1-8.2.3、8.7、9.1.1-9.1.3、10.2参照〕。
11.1.2. 徐脈性不整脈(徐脈:11.2%、房室ブロック(第1度から第2度房室ブロック:5.0%、第3度房室ブロック:0.04%)等):心拍数低下、房室伝導遅延等の徐脈性不整脈があらわれ、血圧低下、浮動性めまい、疲労、動悸等の症状を伴うこともあるので、本剤投与後に徐脈性不整脈に関連する徴候又は症状があらわれた場合には、適切な処置を行い、少なくともそれらの徴候・症状が消失し、安定化するまで患者を観察すること〔1.2、8.1.1-8.1.4、9.1.4、9.1.5、10.2、17.3.2参照〕。
11.1.3. 黄斑浮腫(0.6%):異常が認められた場合には眼科学的検査を実施し、黄斑浮腫が確認された場合には、投与を中断すること〔1.1、8.3、9.1.8、9.1.9参照〕。
11.1.4. 悪性リンパ腫(頻度不明)。
11.1.5. 可逆性後白質脳症症候群(頻度不明):頭痛、意識障害、痙攣、視力障害等の症状があらわれた場合は、MRI等による画像診断を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.6. 虚血性脳卒中及び出血性脳卒中(頻度不明):頭痛、嘔気、麻痺症状、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRI等による画像診断を行うとともに、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.7. 末梢動脈閉塞性疾患(0.04%):四肢疼痛、しびれ等の症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.8. 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明):本剤の投与中及び投与中止後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.9. 血小板減少(0.1%)〔8.6参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 血液・リンパ:(5%以上)リンパ球減少、白血球減少。
2). 精神系:(1%未満)うつ病。
3). 神経系:(5%以上)頭痛、(1%~5%未満)浮動性めまい、傾眠、(1%未満)片頭痛、錯感覚。
4). 眼:(1%未満)霧視、眼痛。
5). 呼吸器:(1%~5%未満)上気道炎症、呼吸困難、咳嗽、一酸化炭素拡散能減少、(1%未満)努力呼気量減少。
6). 消化器:(5%以上)下痢、(1%~5%未満)悪心、胃炎、腹痛、アフタ性口内炎、便秘、歯周炎、胃腸炎。
7). *肝胆道系:(5%以上)肝機能検査値異常(29.2%)、(1%~5%未満)γ-GTP増加、AST増加、ALT増加、ビリルビン増加。
8). 皮膚:(1%~5%未満)発疹、脱毛症、湿疹、(1%未満)皮膚そう痒症。
9). 筋骨格系:(1%未満)背部痛、筋肉痛、関節痛。
10). 全身症状:(1%~5%未満)けん怠感、疲労、発熱、(1%未満)無力症。
11). その他:(1%~5%未満)高コレステロール血症、血中トリグリセリド増加、※高血圧、(1%未満)体重減少、(頻度不明)過敏症。
*)〔8.4参照〕。
※)〔8.5参照〕。
承認時までの国内臨床試験の集計を優先して記載した。国内臨床試験で発現頻度が算出できなかった副作用は、承認用法・用量(1日1回0.5mg)を含む外国臨床試験で認められた副作用の発現頻度に基づき記載した。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(心機能、肝機能及び免疫機能等が低下していることが多い)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと(本剤投与中に妊娠した患者において、奇形を有する児が認められたとの報告があり、動物実験において、胚死亡率増加・胎仔死亡率増加(ラット及びウサギ)、内臓異常(ラット:総動脈幹遺残及び心室中隔欠損等)及び骨格変異(ウサギ)を含む発生毒性が認められている)〔2.3、9.4生殖能を有する者の項参照〕。
授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)において乳汁中に移行することが報告されている)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
凍結を避けること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 本剤との関連性は明らかではないが、初回投与後6時間は異常を認めず、投与24時間以内に心停止又は原因不明の死亡に至った海外症例が報告されている。
15.1.2. 再発寛解型多発性硬化症患者を対象とした海外の無作為化二重盲検比較臨床試験において、本剤0.5mg投与群はプラセボ群と比較して基底細胞癌の発現率が高い傾向が認められた[本剤投与群1.8%(14/783例)、プラセボ群0.6%(5/773例)]との報告がある。
15.1.3. 一次性進行型多発性硬化症患者を対象とした海外のプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、本剤0.5mg又はプラセボを1日1回36ヵ月間(最長5年間)経口投与した結果、本剤0.5mg群におけるEDSS、9-HolePeg Test(上肢運動機能の評価指標)及びTimed 25-foot Walk Test(下肢運動機能の評価指標)を用いた複合的評価指標に基づく3ヵ月持続する障害進行が発現するまでの時間は、プラセボ群と比較して統計学的な有意差は認められなかった(ハザード比:0.95、95%信頼区間0.80~1.12)〔5.2参照〕。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. ラットを用いた26週間反復投与毒性試験で0.3mg/kg/日以上、サルを用いた52週間反復投与毒性試験で1mg/kg/日以上の用量で気管支平滑筋肥大・肺接合部平滑筋肥大が認められた。また、イヌを用いた26週間反復投与毒性試験で1mg/kg/日以上の用量で心臓血管病変(動脈壁肥厚及び心臓血管線維化)が認められた。これらの所見に関して、臨床用量での安全域は確保されていない。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人(19例)にフィンゴリモド1.25、2.5、5mg注)を単回経口投与したとき、投与16時間後(中央値)に最高血中薬物濃度(Cmax)に到達し、消失半減期は5.8~7.6日間であった。[8.7参照]
フィンゴリモド1.25、2.5、5mgを単回経口投与したときの未変化体の血中濃度推移(平均値+標準偏差)

フィンゴリモド1.25、2.5、5mgを単回経口投与したときの未変化体の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

16.1.2 反復投与
健康成人(6例)にフィンゴリモド5mg注)を1日1回7日間反復経口投与したときの、未変化体及び活性本体であるリン酸化体の投与1日目及び7日目の薬物動態パラメータは次表のとおりであった。未変化体の消失半減期は7.9日間であり、単回投与と同様であった。[8.7参照]
フィンゴリモド5mgを7日間反復経口投与したときの未変化体及びリン酸化体の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

多発性硬化症患者(108例)にフィンゴリモド0.5又は1.25mg注)を1日1回6ヵ月間反復経口投与したとき、薬物濃度はいずれも投与2ヵ月後までに定常状態に到達し、定常状態における未変化体及びリン酸化体の血中濃度は次表のとおりであった。
フィンゴリモド0.5又は1.25mgを6ヵ月間反復経口投与したときの未変化体及びリン酸化体の血中濃度
→図表を見る(PDF)

16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男子(29例)にフィンゴリモド1.25mg注)を空腹時又は高脂肪食摂取後30分に単回経口投与したとき、未変化体のCmax及びAUC並びにリン酸化体のAUCに食事の影響は認められなかったが、リン酸化体のCmaxは食事により34%低下した。また、未変化体及びリン酸化体ともに食事により吸収が遅延した(外国人のデータ)。
16.2.2 バイオアベイラビリティ
健康成人(40例)にフィンゴリモド1.25mg注)を単回経口投与したとき、投与後12~16時間で最高血中濃度に到達し、そのバイオアベイラビリティは93%であった(外国人のデータ)。
16.3 分布
フィンゴリモドの血球への移行性は高く、血球移行率は約86%であった。リン酸化体の血球移行率は18%以下であった。フィンゴリモド及びリン酸化体の蛋白結合率は99.7%以上であった(in vitro)。
16.4 代謝
フィンゴリモドの主要代謝経路は、薬理学的に活性を有するフィンゴリモドリン酸化体(S)‐エナンチオマーへの可逆的なリン酸化、主にCYP4F2を介する酸化的代謝及びその後の脂肪酸β酸化様の分解、及び非極性セラミド類似体の生成であった。[10.参照]
16.5 排泄
健康成人男子(4例)に14C標識したフィンゴリモド4.47mg注)を単回経口投与したとき、投与量の約81%が不活性代謝物として尿中に排泄され、未変化体及びリン酸化体は尿中には排泄されなかった。糞中には投与放射能量の約11%が排泄され、未変化体及びリン酸化体はそれぞれ投与量の2.4%及び1.7%であった。単回投与後34日間の回収率は投与量の89%であった(外国人のデータ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害
重度(Ccr30mL/min未満)の腎機能障害者(9例)にフィンゴリモド1.25mg注)を単回経口投与したとき、健康成人に比べて、未変化体のCmax及びAUCがそれぞれ32%及び43%増加し、リン酸化体のCmax及びAUCがそれぞれ25%及び14%増加した。未変化体及びリン酸化体とも、消失半減期に変化はみられなかった。なお、不活性代謝物M2(カルボン酸代謝物)のCmaxは3倍以上、不活性代謝物M3(カルボン酸代謝物)のCmax及びAUCはそれぞれ8倍及び14倍に増加した(外国人のデータ)。
16.6.2 肝機能障害
軽度(Child‐Pugh分類クラスA)、中等度(Child‐Pugh分類クラスB)及び重度(Child‐Pugh分類クラスC)の肝機能障害者(22例)にフィンゴリモド(1又は5mg)注)を単回経口投与したとき、健康成人に比べて、未変化体のCmaxに変化はみられなかったが、AUCがそれぞれ12%、44%及び103%増加した。軽度の肝機能障害者では消失半減期に変化はみられなかったが、中等度及び重度の肝機能障害者では消失半減期がそれぞれ49%及び50%延長した。リン酸化体は重度の肝機能障害者においてのみ測定し、健康成人に比べてCmax及びAUCがそれぞれ22%及び29%減少した(外国人のデータ)。[9.3.1参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾール(経口剤は国内未発売)
健康成人(22例)にケトコナゾール200mgを1日2回9日間反復経口投与し、4日目にフィンゴリモド5mg注)を単回経口投与したとき、未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ約1.2倍及び約1.7倍に増加した。リン酸化体のCmaxはケトコナゾールの影響を受けなかったが、AUCは約1.7倍に増加した。ケトコナゾールの血漿中トラフ濃度に影響は認められなかった(外国人のデータ)。
16.7.2 シクロスポリン
乾癬患者(12例)にシクロスポリン200mgを1日2回8日間反復経口投与し、5日目にフィンゴリモド1mg注)を単回経口投与したとき、未変化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった。また、シクロスポリンのCmax及びAUCに影響は認められなかった(外国人のデータ)。
16.7.3 経口避妊薬
健康成人女性(31例)に経口避妊薬(エチニルエストラジオール30μg及びレボノルゲストレル150μgの配合剤)を1日1回28日間反復経口投与し、15日目から28日目までフィンゴリモド0.5mgを反復経口投与したとき、エチニルエストラジオールのCmax及びAUCに影響は認められなかった。レボノルゲストレルのCmax及びAUCは、フィンゴリモドの併用によりそれぞれ1.1倍及び1.2倍に増加した。また、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった(外国人のデータ)。
16.7.4 アトロピン
健康成人(22例)にアトロピン(初回に0.25mgを静脈内投与し、心拍数110~120bpm又は総投与量2mgに達するまで0.25mgを追加投与)とフィンゴリモド5mg注)を併用投与したとき、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった(外国人のデータ)。
16.7.5 イソプロテレノール
健康成人(14例)にイソプロテレノール(1μg/mLのイソプロテレノール溶液を心拍数110±10bpm又は最大注入速度5μg/minに達するまで静脈内投与[最大投与量100μg])とフィンゴリモド5mg注)を併用投与したとき、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった(外国人のデータ)。
16.7.6 アテノロール
健康成人(12例)にアテノロール50mgを1日1回5日間反復経口投与し、5日目にフィンゴリモド5mg注)を単回経口投与したとき、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった。また、アテノロールのCmax及びAUCに影響は認められなかった(外国人のデータ)。
16.7.7 ジルチアゼム
健康成人(13例)にジルチアゼム240mgを1日1回5日間反復経口投与し、5日目にフィンゴリモド5mg注)を単回経口投与したとき、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった。また、ジルチアゼムのCmax及びAUCに影響は認められなかった(外国人のデータ)。
16.7.8 カルバマゼピン
健康成人(23例)にカルバマゼピン100~600mgを漸増投与で1日2回49日間反復経口投与し、定常状態に達した35日目にフィンゴリモド2mg注)を単回経口投与したとき、未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ18%及び40%減少した。リン酸化体のCmax及びAUCはそれぞれ18%及び38%減少した(外国人のデータ)。
注)本剤の用法及び用量は1日1回0.5mgである。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II相臨床試験
再発性多発性硬化症患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。本剤0.5mg、1.25mg注)又はプラセボを1日1回6ヵ月間経口投与した結果、本剤0.5mg群における投与3及び6ヵ月後の両時点でGd造影病巣が認められなかった患者の割合は、次表のとおりであり、プラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められた(p=0.004、投与群を因子、スクリーニング時のGd造影病巣数を共変量としたロジスティック回帰モデル)。
投与3及び6ヵ月後の両時点でGd造影病巣が認められなかった患者の割合(mFAS)
→図表を見る(PDF)

副作用発現率は、本剤0.5mg群で75.4%(43/57例)、本剤1.25mg群で85.2%(46/54例)であった。主な副作用は、本剤0.5mg群で鼻咽頭炎26.3%(15/57例)、肝機能検査値異常21.1%(12/57例)等、本剤1.25mg群で肝機能検査値異常31.5%(17/54例)、鼻咽頭炎16.7%(9/54例)等であった。
17.1.2 国内長期投与試験
第II相試験を完了した症例を対象に実施した継続長期投与試験において、Gd造影病巣が認められなかった患者の割合は、次表のとおりであった。
Gd造影病巣が認められなかった患者の割合(Ex‐mFAS)
→図表を見る(PDF)

本試験の期間中の副作用発現率は、プラセボ‐0.5mg群で74.1%(20/27例)、0.5mg‐0.5mg群で57.4%(27/47例)であった。主な副作用は、プラセボ‐0.5mg群で鼻咽頭炎22.2%(6/27例)、肝機能検査値異常14.8%(4/27例)等、0.5mg‐0.5mg群で鼻咽頭炎21.3%(10/47例)、肝機能検査値異常6.4%(3/47例)等であった。
17.1.3 外国第III相臨床試験
外国人再発寛解型多発性硬化症患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。本剤0.5mg、1.25mg注)又はプラセボを1日1回24ヵ月間経口投与した結果、本剤0.5mg群における24ヵ月間の投与期間中における年間再発率の推定値は、次表のとおりであり、プラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められた(p<0.001、投与群を因子、国、直近2年間の再発回数及びベースラインのEDSSスコアを共変量、治験参加期間の対数値をオフセット変数としたnegative binomial regression model)。また、本剤0.5mg群におけるEDSS評価に基づく3ヵ月持続する障害進行が発現するまでの時間は、添付文書の図のとおりであり、プラセボ群と比較して延長し、統計学的な有意差が認められた(p=0.026、ログランク検定)。
24ヵ月間の投与期間中における年間再発率(ITT)
→図表を見る(PDF)

投与群を因子、国、直近2年間の再発回数及びベースラインのEDSSスコアを共変量、治験参加期間の対数値をオフセット変数としたnegative binomial regression model
3ヵ月持続する障害進行が発現するまでの時間(ITT)

副作用発現率は、本剤0.5mg群で61.9%(263/425例)であった。主な副作用は、ALT増加9.2%(39/425例)、鼻咽頭炎7.3%(31/425例)、上気道感染6.8%(29/425例)等であった。
17.3 その他
17.3.1 QT間隔に対する作用
健康成人(113例)にフィンゴリモド1.25mg注)及び2.5mg注)を1日1回7日間用量漸増法で反復経口投与したとき、QTcFは延長し、90%信頼区間の上限は14msec以下であった(外国人のデータ)。[9.1.6参照]
フィンゴリモド1.25、2.5mgを反復投与又はモキシフロキサシン400mgを単回投与したときのQTcF延長時間
→図表を見る(PDF)

17.3.2 心拍数に対する作用
健康成人(各6例)を対象にフィンゴリモド5mg注)を反復経口投与したとき、心拍数は次のとおり推移した。[1.2、8.1.1‐8.1.4、9.1.5、11.1.2参照]

注)本剤の用法及び用量は1日1回0.5mgである。

18.1 作用機序
フィンゴリモドは生体内で活性代謝物であるリン酸化体に代謝される。リン酸化体は、スフィンゴシン1‐リン酸(S1P)受容体1(S1P1受容体)と結合し、その内在化と分解を誘導することで、S1P1受容体の機能的アンタゴニストとして作用するため、リンパ節などの二次リンパ組織からのリンパ球の移出を抑制する。ミエリン抗原特異的なTh17細胞を含む自己反応性T細胞も、同様の機序でリンパ節からの移出が抑制されるため、中枢神経系組織への浸潤が抑制される。
一方、外来性病原体の感染に対し重要な役割を担うエフェクターメモリーT細胞は、二次リンパ組織を介する循環能を有さないため、フィンゴリモドはエフェクターメモリーT細胞に対しほとんど影響しない。
また、フィンゴリモドは、ヒト及び動物の中枢神経系(CNS)への移行性を有し、アストログリオーシス、脱髄、及び神経細胞の傷害を抑制することが明らかにされている。
18.2 実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)
多発性硬化症の動物モデルであるマウスの再発寛解型EAEにおいて、フィンゴリモドを治療的に経口投与したとき、神経症状の再発抑制作用を示した。

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分割:不可
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田辺三菱製薬
販売会社
 

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