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ジェムザール注射用1g

販売名
ジェムザール注射用1g
薬価
1g1瓶 4195.00円
製造メーカー
日本イーライリリー

添付文書情報2021年08月改定(第1版)

商品情報

薬効分類名
シトシン系製剤
一般名
ゲムシタビン塩酸塩注射用
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
1.1. 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2. 週1回投与を30分間点滴静注により行うこと(外国の臨床試験において、週2回以上あるいは1回の点滴を60分以上かけて行うと、副作用が増強した例が報告されている)。
1.3. 「2.禁忌」、「9.特定の背景を有する患者に関する注意」の項を参照して適応患者の選択に十分注意すること。
1.4. 高度骨髄抑制のある患者には投与しないこと(骨髄抑制は用量規制因子であり、感染症又は出血を伴い、重篤化する可能性があり、骨髄抑制に起因したと考えられる死亡例が報告されている)〔2.1、2.4、11.1.1参照〕。
1.5. 胸部単純X線写真で明らかでかつ臨床症状のある間質性肺炎又は胸部単純X線写真で明らかでかつ臨床症状のある肺線維症のある患者には投与しないこと(間質性肺炎に起因したと考えられる死亡例が報告されている)〔2.2、11.1.2参照〕。
1.6. 放射線増感作用を期待する胸部への放射線療法との同時併用は避けること(外国の臨床試験において、本剤と胸部への根治的放射線療法との併用により、重篤な食道炎、肺臓炎が発現し、死亡に至った例が報告されている)〔2.3、10.1参照〕。
1.7. 投与に際しては臨床症状を十分に観察し、頻回に臨床検査(血液学的検査、肝機能検査、腎機能検査等)を、また、定期的に胸部X線検査等を行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うとともに、投与継続の可否について慎重に検討すること〔8.2、9.2腎機能障害患者の項、9.3.1、11.1.9、11.1.10、11.1.12参照〕。
禁忌
2.1. 高度骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増悪し、致命的となることがある]〔1.4、2.4、11.1.1参照〕。
2.2. 胸部単純X線写真で明らかでかつ臨床症状のある間質性肺炎又は胸部単純X線写真で明らかでかつ臨床症状のある肺線維症のある患者[症状が増悪し、致命的となることがある]〔1.5、11.1.2参照〕。
2.3. 胸部への放射線療法を施行している患者〔1.6、10.1参照〕。
2.4. 重症感染症を合併している患者[感染症が増悪し、致命的となることがある]〔1.4、2.1、11.1.1参照〕。
2.5. 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。
2.6. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
効能・効果
1). 非小細胞肺癌。
2). 膵癌。
3). 胆道癌。
4). 尿路上皮癌。
5). 手術不能又は再発乳癌。
6). がん化学療法後に増悪した卵巣癌。
7). 再発又は難治性の悪性リンパ腫。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈胆道癌〉本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.2. 〈尿路上皮癌、手術不能又は再発乳癌〉本剤の術前・術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.3. 〈がん化学療法後に増悪した卵巣癌〉本剤の投与を行う場合には、白金製剤を含む化学療法施行後の症例を対象とし、白金製剤に対する感受性を考慮して本剤以外の治療法を慎重に検討した上で、本剤の投与を開始すること。
用法・用量
〈膵癌、胆道癌、尿路上皮癌、がん化学療法後に増悪した卵巣癌、再発又は難治性の悪性リンパ腫〉
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1000mg/㎡を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
〈非小細胞肺癌〉
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1000mg/㎡を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。シスプラチンと併用する場合は、ゲムシタビンとして1回1250mg/㎡を30分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬を1コースとすることもできる。なお、患者の状態により適宜減量する。
〈手術不能又は再発乳癌〉
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1250mg/㎡を30分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈尿路上皮癌〉「17.臨床成績」の項の内容を十分に理解した上で投与方法を選択すること〔17.1.6参照〕。
7.2. 〈手術不能又は再発乳癌〉本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤は「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択すること〔17.1.7、17.1.8参照〕。
生殖能を有する者
8.1. 〈効能共通〉腫瘍の明らかな増大、新病変の出現等、病態の進行が認められた場合には投与を中止し、他の適切な治療法に切り替えること。
8.2. 〈効能共通〉骨髄抑制、間質性肺炎等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的経過をたどることがあるので、投与に際しては臨床症状を十分に観察し、頻回に臨床検査(血液学的検査、肝機能検査、腎機能検査等)を、また、定期的に胸部X線検査を行うこと〔1.7、8.2.1、8.2.2、8.3、9.1.1、9.1.2、9.2腎機能障害患者の項、9.3.1、11.1.1、11.1.2、11.1.9、11.1.10、11.1.12参照〕。
8.2.1. 〈効能共通〉骨髄抑制:本剤の投与にあたっては、白血球数及び血小板数の変動に十分留意し、投与当日の白血球数が2000/μL未満又は血小板数が7万/μL未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。また、前治療により骨髄機能低下している患者では、骨髄抑制が強くあらわれることがあるので、これらの患者では投与量を適宜減量し、臨床検査値に十分注意すること(本剤を週1回3週連続投与した場合、白血球数及び好中球数の最低値は投与開始平均約2~3週間後にあらわれ、最低値発現日から約1週間で回復する)〔8.2、8.3、9.1.1、11.1.1参照〕。
8.2.2. 〈効能共通〉間質性肺炎等の肺毒性:本剤の投与にあたっては、臨床症状(呼吸状態、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、定期的に胸部X線検査を行い、また、必要に応じて胸部CT検査、動脈血酸素分圧(PaO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLCO)などの検査を行うこと〔8.2、9.1.2、11.1.2参照〕。
8.3. 〈効能共通〉感染症の発現又は感染症増悪に十分注意すること〔8.2、8.2.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
8.4. 〈効能共通〉本剤投与時に傾眠が認められることがあるので、このような症状が発現しないことが確認されるまで、自動車の運転等は行わないように注意すること。
8.5. 〈卵巣癌、悪性リンパ腫〉卵巣癌の場合、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:ゲムシタビン塩酸塩(卵巣癌)」等)を熟読し、悪性リンパ腫の場合、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:ゲムシタビン塩酸塩(再発・難治性悪性リンパ腫)」等)を熟読すること。
9.1.1. 骨髄抑制<高度を除く>のある患者〔8.2、8.2.1、8.3、11.1.1参照〕。
9.1.2. 間質性肺炎又は肺線維症の既往歴のある患者:間質性肺炎等の重篤な肺毒性を起こすことがある〔8.2、8.2.2、11.1.2参照〕。
9.1.3. 心筋梗塞の既往のある患者:心筋梗塞がみられることがある〔11.1.4参照〕。
腎機能障害患者:副作用があらわれやすくなることがある〔1.7、8.2参照〕。
9.3.1. 肝障害(肝転移、肝炎、肝硬変等)、アルコール依存症の既往又は合併のある患者:肝機能の悪化を引き起こすことがある〔1.7、8.2、11.1.12参照〕。
9.4.1. 生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には生殖器に対する影響を考慮すること(動物実験(マウス、ウサギ)において、生殖毒性(先天性異常、胚胎発育に対する影響、妊娠経過に対する影響、周産期発育に対する影響あるいは生後発育に対する影響等)が報告されている)。
9.4.2. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔15.2参照〕。
9.4.3. 妊娠可能な女性:妊娠可能な女性には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。
相互作用
10.1. 併用禁忌:胸部放射線照射〔1.6、2.3参照〕[外国の臨床試験で本剤(1000mg/㎡/日を週1回放射線照射前に投与)と胸部への根治的放射線療法(2Gy/日を週5回)を6週連続して併用した場合に、重篤な食道炎、肺臓炎が発現し、死亡に至った例が報告されており、放射線照射を併用した場合の本剤の至適用量は確立されていないので、放射線増感作用を期待する胸部への放射線療法との同時併用は避けること(基礎試験で本剤は濃度依存的に放射線照射の効果を増強し、本剤による放射線感受性増加が認められている)]。
10.2. 併用注意:1). 腹部放射線照射[腹部放射線療法<体外照射>と同時併用する場合、重篤となる局所の合併症が発現することがあり、なお、術中放射線照射と併用した際の本剤の安全性は確認されていない(基礎試験で本剤は濃度依存的に放射線照射の効果を増強し、本剤による放射線感受性増加が認められている)]。
2). 他の抗悪性腫瘍剤(アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗生物質、アルカロイド等)[骨髄抑制が増強されることがある(両剤とも骨髄抑制を有している)]。
副作用
次の副作用*があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 骨髄抑制:白血球減少(72.6%、ただし、2000/μL未満の減少は17.5%)、好中球減少(69.2%、ただし、1000/μL未満の減少は32.1%)、血小板減少(41.4%、ただし、5万/μL未満の減少は4.2%)、貧血[ヘモグロビン減少(66.5%、ただし、8.0g/dL未満の減少は13.1%)、赤血球減少(52.6%)]等があらわれることがある。なお、高度な白血球減少に起因したと考えられる敗血症による死亡例が報告されている〔1.4、2.1、2.4、8.2、8.2.1、8.3、9.1.1参照〕。
11.1.2. 間質性肺炎(1.0%):間質性肺炎の発症あるいは間質性肺炎の急性増悪が疑われた場合には、直ちに本剤による治療を中止し、ステロイド治療等の適切な処置を行うこと。間質性肺炎に起因したと考えられる死亡例が報告されている〔1.5、2.2、8.2、8.2.2、9.1.2参照〕。
11.1.3. アナフィラキシー(0.2%):呼吸困難、血圧低下、発疹等の症状があらわれることがある。
11.1.4. 心筋梗塞(0.2%)〔9.1.3参照〕。
11.1.5. うっ血性心不全(頻度不明)。
11.1.6. 肺水腫(頻度不明)。
11.1.7. 気管支痙攣(頻度不明)。
11.1.8. 成人呼吸促迫症候群(ARDS)(頻度不明)。
11.1.9. 腎不全(頻度不明)〔1.7、8.2、11.1.10参照〕。
11.1.10. 溶血性尿毒症症候群(0.2%):血小板減少、ビリルビン上昇、クレアチニン上昇、BUN上昇、LDH上昇を伴う急速なヘモグロビン減少等の微小血管症性溶血性貧血の兆候が認められた場合には、投与を中止すること。腎不全は投与中止によっても不可逆的であり、透析療法が必要となることもある〔1.7、8.2、11.1.9参照〕。
11.1.11. 皮膚障害(頻度不明):重篤な皮膚障害(紅斑、皮膚水疱、落屑等)があらわれることがある。
11.1.12. 肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇等の重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがある〔1.7、8.2、9.3.1参照〕。
11.1.13. 白質脳症(可逆性後白質脳症症候群を含む)(頻度不明):高血圧、痙攣、頭痛、視覚異常、意識障害等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2. その他の副作用
1). 循環器:(1~10%未満)頻脈、血圧上昇、(1%未満)血圧低下、狭心痛、動悸、心室性期外収縮、発作性上室頻拍、心電図異常(ST上昇)。
2). 呼吸器:(1~10%未満)呼吸困難、※高炭酸ガス血症[※:膵癌の臨床試験11例における発現頻度である]、低酸素血、咳嗽、(1%未満)PIE症候群(肺好酸球浸潤症候群)、喘鳴、喀痰、息切れ。
3). 腎臓:(10%以上)総蛋白低下、電解質異常、アルブミン低下、(1~10%未満)BUN上昇、蛋白尿、血尿、クレアチニン上昇、(1%未満)乏尿。
4). 消化器:(10%以上)食欲不振、悪心・嘔吐、(1~10%未満)下痢、便秘、口内炎、胃部不快感、(1%未満)歯肉炎。
5). 肝臓:(10%以上)AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、Al-P上昇、(1~10%未満)ビリルビン上昇、A/G比低下、γ-GTP上昇、ウロビリン尿。
6). 精神神経系:(1~10%未満)頭痛、めまい、不眠、※※知覚異常、(1%未満)嗜眠、しびれ。
7). 皮膚:(10%以上)発疹、(1~10%未満)※※脱毛、皮膚そう痒感、(1%未満)蕁麻疹。
8). 注射部位:(1~10%未満)注射部位反応(静脈炎、疼痛、紅斑)。
9). 血管障害:(1~10%未満)※※末梢性血管炎、(1%未満)末梢性壊疽。
10). その他:(10%以上)疲労感、発熱、血小板増加、(1~10%未満)体重減少、尿糖陽性、好酸球増多、※※関節痛、悪寒、※※味覚異常、鼻出血、※※倦怠感、浮腫、CRP上昇、体重増加、※※疼痛、ほてり、胸部不快感、(1%未満)眼底出血、体温低下、耳鳴り、眼脂、無力症、顔面浮腫、(頻度不明)インフルエンザ様症状(倦怠感、無力症、発熱、頭痛、悪寒、筋痛、発汗、鼻炎等)、放射線照射リコール反応。
※※)国内における本剤とパクリタキセルとの併用投与の臨床試験においては30%以上の頻度で認められている。
*)国内の本剤単独投与の臨床試験において認められた副作用の発現頻度を記載した。
高齢者
骨髄抑制等の副作用の発現に注意し、慎重に投与すること(腎機能、肝機能等の生理機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験(マウス、ウサギ)で催奇形作用及び胎仔致死作用が報告されている)〔2.6、9.4.3参照〕。
授乳を避けさせること(動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 本剤の1gバイアルは25mL以上の生理食塩液に溶解して用いること。
14.1.2. 溶解後は速やかに投与すること(溶液を冷蔵庫に保存すると結晶が析出することがあるので、保存する場合でも室温(15~30℃)で保存し、24時間以内に使用すること)。溶解した残液は使用しないこと。
14.1.3. 皮膚に薬液が付着した場合は直ちに石けんでよく洗浄し、粘膜に付着した場合は直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。
その他の注意
15.2. 非臨床試験に基づく情報変異原性試験のうち、マウスリンフォーマ細胞を用いたin vitro遺伝子突然変異試験陽性及びマウスを用いた小核試験陽性の結果が報告されている〔9.4.2参照〕。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
膵癌患者11例に本剤1回1000mg/m2を30分間かけて点滴静注し、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法にて未変化体(ゲムシタビン)の血漿中濃度を測定した。第1コースの第1投与日に得られたゲムシタビンの血漿中濃度推移を添付文書の図に示した。
図1)膵癌患者11例での血漿中未変化体濃度推移

2コンパートメントモデル薬物動態解析により算出された未変化体の薬物動態パラメータを次に示した。
→図表を見る(PDF)

16.1.2 Population Pharmacokinetics解析
非小細胞肺癌患者45例に本剤1回800~1250mg/m2注1)を、30分間かけて点滴静注し、未変化体及びそのウラシル体代謝物(2’‐デオキシ‐2’,2’‐ジフルオロウリジン:dFdU)の血漿中濃度をHPLC法により測定し、本剤の薬物動態に対する症例背景(性・年齢など)の影響をNONMEM法を用いたpopulation pharmacokinetics解析により検討した。
その結果得られた未変化体の薬物動態パラメータを次に示す。
注1)本剤の非小細胞肺癌における承認された1回用量は1000mg/m2である。
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血漿クリアランスは非常に大きかった。未変化体の消失半減期は男性よりも女性で長かったが、いずれも1時間以内と速やかであり男女間の差は臨床的に有意ではないと考えられた。なお、1000mg/m2投与時の血漿中濃度時間下面積(AUC0-∞)は血漿クリアランス(CL)から、5347.6ng・hr/mL・m2と算出される。
16.1.3 外国での臨床試験におけるPopulation Pharmacokinetics解析
国内での成績とほぼ同様の結果であったが、外国における試験では血漿クリアランスが年齢によって影響を受けることが示唆されており、高齢者では血漿クリアランスが減少する傾向を認めた。しかしながら、血漿クリアランスは比較的高値のため、投与量を減じる必要はないものと考えられた(外国人データ)。
16.3 分布
In vitroにおけるヒト血漿中蛋白結合率は約10%であった。
16.5 排泄
外国で実施した臨床試験において、進行性癌患者5例に14C‐ゲムシタビン塩酸塩1000mg/m2を点滴静注した後に、7日間採取した尿・糞中から92~98%の放射活性が回収された。そのうち99%以上が尿に回収されたので、ゲムシタビンの主な排泄経路は尿とされた。尿中総放射活性は未変化体の放射活性とウラシル体代謝物の放射活性の和に等しいことより、ヒトの主な代謝物はウラシル体と考えられた。尿中未変化体量は投与量の10%未満であった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 乳癌患者におけるパクリタキセルとの併用
外国で実施した臨床試験において、転移性乳癌患者に本剤とパクリタキセルを併用投与(16例)(3週を1コースとして、1日目に本剤1250mg/m2及びパクリタキセル175mg/m2を投与し、8日目に本剤1250mg/m2を投与)した。本剤とパクリタキセルを併用投与した1日目及び本剤を単独投与した8日目における本剤の未変化体の薬物動態パラメータを次に示す(外国人データ)。
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17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈非小細胞肺癌〉
17.1.1 国内後期第II相試験(試験A及び試験B)
本剤単独投与による非小細胞肺癌の化学療法初回治療例に対する後期第II相試験2試験(試験A及びB)における適格例での奏効率及び効果が認められるまでの期間は次のとおりであった。
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以前に化学療法を受けたことのある非小細胞肺癌例における有効性については十分確認されておらず前期第II相試験での16例の検討においては、奏効例は認められなかった。
試験A及びBにおいて認められた副作用は次のとおりであった。
重篤な副作用は心筋梗塞、アルカリフォスファターゼ上昇が各1例に認められた。
グレード3以上の主な臨床検査値異常変動は、白血球数減少10.0%(14/140例)、好中球数減少28.3%(39/138例)、ヘモグロビン減少17.1%(24/140例)、血小板数減少2.9%(4/140例)であった。また、グレード3以上の主な自他覚的副作用は、食欲不振5.0%(7/140例)、悪心・嘔吐2.9%(4/140例)、疲労感5.0%(7/140例)であった。
17.1.2 国内臨床試験における骨髄抑制発現及び回復の期間
本剤の投与後に認めた白血球減少、好中球減少、血小板減少及びヘモグロビン減少の最低値、最低値までの期間及び最低値からの回復期間を次表に示す。本データは国内で実施された臨床試験での肺癌204例でのデータであり、それぞれの副作用を認めた症例における1コース目の数値である。4コース目まで同様の解析を行ったが、いずれの副作用もコースを経るに従い増悪する傾向を認めなかった。
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これらの副作用で最低値に至るまでの日数は14~20日(中央値)であり、回復までの期間はいずれも7日(中央値)であった。
〈膵癌〉
17.1.3 国内第I相試験
本邦における本剤単独投与による膵癌の化学療法初回治療例に対する第I相試験(レベル2の第1コースのみ週1回7週連続投与注5))において、疼痛、鎮痛剤の使用量及びKarnofsky Performance Status(KPS)を総合的に評価する症状緩和効果を用いて検討を行った結果、症状緩和効果における評価対象例での有効率は28.6%(2/7例)であった。
また本試験では、第1コースの投与で忍容性に問題の認められない患者においては、第2コース以降は外来での投与も可としていたが、第1コースのみで試験を中止又は終了した4例を除く7例全例で入院から外来へ移行することができた。
本試験における副作用(臨床検査値異常変動を含む)は11例中11例(100.0%)に認められた。主な臨床検査値異常変動は、白血球減少90.9%(10/11例)、好中球減少72.7%(8/11例)、ヘモグロビン減少、γ‐GTP上昇、アルカリフォスファターゼ上昇がそれぞれ63.6%(7/11例)、血小板減少、ALT上昇、AST上昇がそれぞれ54.5%(6/11例)、CRP上昇、LDH上昇がそれぞれ45.5%(5/11例)であった。また、主な自他覚的副作用は、悪心・嘔吐90.9%(10/11例)、食欲不振72.7%(8/11例)であった。
17.1.4 海外第II相試験、海外第III相試験
外国における本剤単独投与による膵癌の5‐FU無効例に対する第II相試験及び化学療法初回治療例に対する第III相試験において(いずれも第1コースのみ週1回最長7週連続投与注5))、評価対象例での症状緩和効果における有効率及び生存期間は次表のとおりであった。
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外国における本剤単独投与による化学療法初回治療例に対する第III相試験において本剤群(第1コースのみ週1回最長7週連続投与注5))に認められた副作用は次のとおりであった。
副作用(臨床検査値異常変動を含む)は63例中63例(100.0%)に認められた。主な事象は白血球減少(44例)、ALT上昇(44例)、AST上昇(44例)であった。
主な重篤な有害事象としてインフルエンザ様症状(10例)、末梢性浮腫(25例)、全身性浮腫(1例)、浮腫(4例)が認められた。
注5)本剤の膵癌における承認用法・用量は、ゲムシタビンとして1回1000mg/m2週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。
〈胆道癌〉
17.1.5 国内第II相試験
本剤単独投与による局所進行又は遠隔転移がある胆道癌の化学療法初回治療例に対する第II相試験において、適格例での奏効率注6)及び生存期間は次のとおりであった。
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注6)腫瘍縮小効果は固形がん化学療法直接効果判定基準に従って判定した。
本試験において認められた副作用は次のとおりであった。
副作用(臨床検査値異常変動を含む)は40例中40例(100.0%)に認められた。主な副作用は、悪心及び食欲不振がそれぞれ52.5%(21/40例)、発熱37.5%(15/40例)、疲労35.0%(14/40例)、嘔吐32.5%(13/40例)であった。重篤な副作用として、ALT増加及びAST増加が1例、胆管炎及び嘔吐が1例、吐血及び出血性ショックが1例、嘔吐及び悪心が1例のほか、脱水、浮動性めまい、溶血性尿毒症症候群、食欲不振がそれぞれ1例に認められた。
主な臨床検査値異常変動は、好中球数減少及び白血球数減少がそれぞれ75.0%(30/40例)、ヘモグロビン減少62.5%(25/40例)、血小板数減少及び血小板数増加がそれぞれ55.0%(22/40例)、ALT増加及びAST増加がそれぞれ32.5%(13/40例)、血中アルカリホスファターゼ増加22.5%(9/40例)、総蛋白減少20.0%(8/40例)であった。
〈尿路上皮癌〉
17.1.6 海外第III相試験
外国で実施された局所進行又は遠隔転移を有する尿路上皮癌の化学療法初回治療例(Stage IV)に対して、本剤とシスプラチンとの併用投与(GC療法:4週間を1コースとして、本剤1000mg/m2を1日目、8日目及び15日目に、シスプラチン70mg/m2を2日目に投与)をM‐VAC療法(メトトレキサート、ビンブラスチン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩及びシスプラチン併用療法)と比較した第III相試験において、GC群203例、M‐VAC群202例が割り付けられ、得られた結果は次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)

また、本剤群(本剤とシスプラチンの併用投与)に認められた副作用は次のとおりであった。
副作用(臨床検査値異常変動を含む)は203例中191例(94.1%)に認められた。主な副作用はヘモグロビン減少(188例)、白血球数減少(184例)、好中球数減少(176例)であった。重篤な副作用は、貧血38例(18.7%)、血小板減少症32例(15.8%)及び発熱22例(10.8%)等であった。[7.1参照]
〈手術不能又は再発乳癌〉
17.1.7 海外第III相試験[JHQG試験]
外国で実施された術前又は術後にアントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬を投与された切除不能、局所再発又は転移性乳癌患者を対象注9)に本剤とパクリタキセルとの併用投与(GT群:3週を1コースとして、1日目に本剤1250mg/m2及びパクリタキセル175mg/m2を投与し、8日目に本剤1250mg/m2を投与)をパクリタキセル単独投与(T群:3週を1コースとして、1日目にパクリタキセル175mg/m2を投与)と比較した第III相試験を実施した。その結果は次のとおりであった。
注9)臨床的にアントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬の使用が禁忌で他の1レジメンの化学療法剤による術前・術後補助化学療法後の手術不能又は再発乳癌患者も対象患者に含まれている。
→図表を見る(PDF)

本試験の本剤群における副作用(臨床検査値異常変動を含む)は262例中256例(97.7%)に認められた。主な副作用は脱毛症(231例)、ニューロパチー(167例)、ヘモグロビン減少(158例)であった。重篤な副作用は発熱性好中球減少症8例(3.1%)、好中球数減少6例(2.3%)、ヘモグロビン減少、発熱4例(1.5%)等であった。[7.2参照]
17.1.8 国際共同第III相試験(KEYNOTE‐355試験)
転移・再発乳癌に対する全身性の前治療歴のない転移・再発又は局所進行性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の乳癌患者847例(日本人87例を含む)を対象に、ペムブロリズマブ200mg3週間間隔投与+化学療法(本剤[3週を1コースとし、本剤1000mg/m2を各コースの1日目、8日目に投与]及びカルボプラチン、パクリタキセル又はnab‐パクリタキセル)の併用療法注14)の有効性及び安全性が、プラセボ+化学療法(本剤及びカルボプラチン、パクリタキセル又はnab‐パクリタキセル)の併用療法注15)を対照とした二重盲検試験で検討された。両群とも、本剤及びカルボプラチン、パクリタキセル又はnab‐パクリタキセルは、担当医師が患者ごとに選択した。なお、画像評価で疾患進行が認められた場合に、疾患進行を示す症状が認められない等の臨床的に安定している患者では、次回以降の画像評価で疾患進行が認められるまでペムブロリズマブの投与を継続することが可能とされた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)とされ、ペムブロリズマブ+化学療法の併用療法はプラセボ+化学療法の併用療法と比較して、PD‐L1陽性(CPS注13)≧10)の患者323例(日本人28例を含む)においてPFSを有意に延長した(表1及び添付文書の図1)。
PD‐L1陽性(CPS≧10)のペムブロリズマブ+本剤及びカルボプラチンが併用投与された患者における安全性解析対象例125例中122例(97.6%)(日本人14例中14例を含む)に副作用が認められた。主な副作用(20%以上)は、貧血75例(60.0%)、悪心64例(51.2%)、好中球減少症63例(50.4%)、好中球数減少44例(35.2%)、疲労42例(33.6%)、血小板数減少41例(32.8%)、血小板減少症40例(32.0%)、白血球減少症35例(28.0%)、ALT増加35例(28.0%)、嘔吐30例(24.0%)、白血球数減少30例(24.0%)及びAST増加27例(21.6%)であった。[7.2参照]
注13)PD‐L1を発現した細胞数(腫瘍細胞、マクロファージ及びリンパ球)を総腫瘍細胞数で除し、100を乗じた値
表1)有効性成績(KEYNOTE‐355試験)[PD‐L1陽性(CPS≧10)の患者]
→図表を見る(PDF)

注14)ペムブロリズマブ200mg Q3W(各コースの1日目に投与)と次の化学療法(担当医師が患者ごとに選択)を併用した[本剤1000mg/m2及びカルボプラチンAUC2mg・min/mL相当量(1コース21日間、各コースの1、8日目に投与)、パクリタキセル90mg/m2(1コース28日間、各コースの1、8、15日目に投与)又はnab‐パクリタキセル100mg/m2(1コース28日間、各コースの1、8、15日目に投与)]。
注15)プラセボQ3W(各コースの1日目に投与)と次の化学療法(担当医師が患者ごとに選択)を併用した[本剤1000mg/m2及びカルボプラチンAUC2mg・min/mL相当量(1コース21日間、各コースの1、8日目に投与)、パクリタキセル90mg/m2(1コース28日間、各コースの1、8、15日目に投与)又はnab‐パクリタキセル100mg/m2(1コース28日間、各コースの1、8、15日目に投与)]。
図1)PFSのKaplan‐Meier曲線(KEYNOTE‐355試験)[PD‐L1陽性(CPS≧10)の患者]

18.1 作用機序
ゲムシタビン(dFdC)は細胞内で代謝されて活性型のヌクレオチドである二リン酸化物(dFdCDP)及び三リン酸化物(dFdCTP)となり、これらがDNA合成を直接的及び間接的に阻害することにより殺細胞作用を示す。直接的には、dFdCTPがデオキシシチジン三リン酸(dCTP)と競合しながらDNAポリメラーゼによりDNA鎖に取り込まれた後、細胞死(アポトーシス)を誘発する。また、dFdCDPはリボヌクレオチドレダクターゼを阻害することにより、細胞内のdCTP濃度を低下させるため、間接的にDNA合成阻害が増強される。
18.2 抗腫瘍効果
ゲムシタビン(dFdC)は、非小細胞肺癌や乳癌をはじめとする第1継代ヒト固形腫瘍細胞、並びに他の様々なマウス及びヒトの腫瘍細胞に対して殺細胞作用を示し、その作用は濃度及び時間依存的であった。dFdCは、異種移植ヒト固形腫瘍モデルを用いた試験においても、非小細胞肺癌細胞(CALU‐6)、乳癌細胞(H‐31、H‐71)及び他の様々な腫瘍細胞に対してスケジュール依存的に抗腫瘍効果を示した。
すなわち、3~4日に1回の投与により非致死量で優れた抗腫瘍効果がみられるのに対して、1日1回の投与においては毒性が強く抗腫瘍効果は認められなかった。この異種移植ヒト腫瘍モデルにおいては、従来の抗癌剤には低感受性であることが知られているヒト肺癌細胞(H‐74及びCPH SCLC54B)にも有効性がみられた。また、ヒト膵癌細胞(MIA PaCa‐2及びPANC‐1)、ヒト胆道癌細胞(TGBC2TKB及びHuCCT1)及びヒト尿路上皮癌細胞(639‐V、BFTC‐909、RT‐4、RT‐112)においても腫瘍増殖抑制効果が認められた。

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