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ベージニオ錠150mg

販売名
ベージニオ錠150mg
識別コード
150 Lilly
薬価
150mg1錠 7917.50円
製造メーカー
日本イーライリリー

添付文書情報2021年12月改定(第2版)

商品情報

薬効分類名
その他の抗悪性腫瘍用剤
一般名
アベマシクリブ錠
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
1.1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2. 本剤投与開始前に、胸部CT等の検査及び問診を実施し、間質性肺疾患の合併又は既往歴の有無を確認した上で、投与の可否を慎重に判断すること〔8.2.1、9.1.1参照〕。
1.3. 間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例も報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認、動脈血酸素飽和度(SpO2)の検査及び胸部X線検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること(異常が認められた場合には、速やかに本剤を休薬し、呼吸器疾患に精通した医師と連携の上、胸部CT等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと)、本剤による間質性肺疾患と診断された場合は、本剤の投与を中止すること〔7.2、8.2.2、9.1.1、11.1.4参照〕。
禁忌
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。
効能・効果
1). ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌。
2). ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスク乳癌における術後薬物療法。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈効能共通〉本剤の術前薬物療法としての有効性及び安全性は確立していない。
5.2. 〈ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスク乳癌における術後薬物療法〉再発高リスクの定義等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.3参照〕。
用法・用量
内分泌療法剤との併用において、通常、成人にはアベマシクリブとして1回150mgを1日2回経口投与する。ただし、術後薬物療法の場合には、投与期間は24ヵ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 併用する内分泌療法剤等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択を行うこと〔17.1.1-17.1.3参照〕。
7.2. 副作用があらわれた場合は、次の基準を考慮して、休薬・減量・中止すること。
[減量の基準]
1). 通常投与量:1回150mg1日2回。
2). 1段階減量:1回100mg1日2回。
3). 2段階減量:1回50mg1日2回。
[副作用発現時の用量調節基準]
1). 肝機能障害:
①. 持続するグレード2のAST増加又は持続するグレード2のALT増加又は再発のグレード2のAST増加又は再発のグレード2のALT増加、グレード3のAST増加又はグレード3のALT増加:ベースライン又はグレード1以下に回復するまで休薬し、再開する場合には投与量を1段階減量する。
②. グレード2以上AST増加・明らかな胆汁うっ滞認めない総Bil>2×ULN又はグレード2以上ALT増加・明らかな胆汁うっ滞認めない総Bil>2×ULN、グレード4のAST増加又はグレード4のALT増加:投与を中止する(Bil:ビリルビン、ULN:基準値上限)。
2). 下痢:
①. グレード2で24時間以内に回復しない下痢の場合:グレード1以下に回復するまで休薬し、再開する場合には減量は不要である。
②. 治療しても症状が継続するグレード2の下痢又は減量せずに再開後に再発したグレード2の下痢、入院を要する下痢又はグレード3の下痢もしくはグレード4の下痢:グレード1以下に回復するまで休薬し、再開する場合には投与量を1段階減量する。
3). 血液毒性:
①. グレード3の血液毒性<初回発現>:グレード2以下に回復するまで休薬し、再開する場合には必要に応じて投与量を1段階減量する。
②. グレード3の血液毒性<2回目以降の発現>又はグレード4の血液毒性:グレード2以下に回復するまで休薬し、再開する場合には投与量を1段階減量する。
③. G-CSF製剤を投与した場合の血液毒性:G-CSF製剤の最終投与後少なくとも48時間以上経過し、かつグレード2以下になるまで休薬し、再開する場合には、投与量を1段階減量する。
4). 間質性肺疾患〔1.3、8.2.2、9.1.1、11.1.4参照〕:投与を中止する。
5). グレード2~4の静脈血栓塞栓症(術後薬物療法としての投与時):投与を中止する、又は適切な治療を行い、状態が安定するまで休薬し、再開する場合には必要に応じて投与量を1段階減量する。
6). 前記以外の副作用:
①. 治療して症状継続するグレード2で7日以内にベースラインに回復しない副作用又は治療して症状継続するグレード2で7日以内にグレード1まで回復しない副作用又は再発のグレード2で7日以内にベースラインまで回復しない副作用又は再発のグレード2で7日以内にグレード1まで回復しない副作用の場合:ベースライン又はグレード1以下に回復するまで必要に応じて休薬し、再開する場合には必要に応じて投与量を1段階減量する。
②. グレード3の副作用又はグレード4の副作用:ベースライン又はグレード1以下に回復するまで休薬し、再開する場合には投与量を1段階減量する。
グレードはNCI-CTCAE ver.4.0に準じる。
生殖能を有する者
8.1. 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.1参照〕。
8.2. 間質性肺疾患があらわれることがあるので、次の点に注意すること。
8.2.1. 投与開始前に、胸部CT等の検査及び問診を実施し、間質性肺疾患の合併又は既往歴がないことを確認した上で、投与の可否を慎重に判断すること。また、患者に副作用について説明するとともに、間質性肺疾患の初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)が発現した場合には、本剤を休薬し、速やかに医療機関を受診するよう説明すること〔1.2、9.1.1参照〕。
8.2.2. 投与中は、初期症状の確認、動脈血酸素飽和度(SpO2)の検査及び胸部X線検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること(異常が認められた場合には、呼吸器疾患の診断に精通した医師と連携の上、胸部CT等の検査を実施すること)〔1.3、7.2、9.1.1、11.1.4参照〕。
8.3. 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.3参照〕。
9.1.1. 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者:間質性肺疾患が増悪するおそれがある〔1.2、1.3、7.2、8.2.1、8.2.2、11.1.4参照〕。
9.3.1. 重度肝機能障害のある患者:減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること(本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある)〔16.6.1参照〕。
妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後一定期間は、適切な避妊法を用いるよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。
相互作用
本剤は、主にCYP3Aにより代謝される。
10.2. 併用注意:1). CYP3A阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、ジルチアゼム、ベラパミル等)〔16.4、16.7.1参照〕[本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること(これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
2). グレープフルーツ、グレープフルーツジュース[本剤服用時は飲食を避けること(これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
3). CYP3A誘導剤(リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン等)〔16.4、16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が低下し効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること(これらの薬剤がCYP3Aの代謝酵素を誘導するため、本剤の血中濃度を低下させる可能性がある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 肝機能障害:ALT増加(8.1%)、AST増加(7.9%)等を伴う肝機能障害があらわれることがある〔8.1参照〕。
11.1.2. 重度下痢(7.5%*)。
11.1.3. 骨髄抑制:好中球減少(42.2%)、白血球減少(32.0%)、貧血(19.1%)、血小板減少(11.0%)、リンパ球減少(10.6%)等があらわれることがある〔8.3参照〕。
11.1.4. 間質性肺疾患(1.2%):異常が認められた場合には、休薬し、呼吸器疾患に精通した医師と連携の上、胸部CT等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと〔1.3、7.2、8.2.2、9.1.1参照〕。
11.1.5. 静脈血栓塞栓症(1.7%):深部静脈血栓症(0.7%)、肺塞栓症(0.6%)等の静脈血栓塞栓症があらわれることがある。
*)NCI-CTCAE ver.4.0のグレード3以上の副作用。
11.2. その他の副作用
1). 消化器:(20%以上)下痢、腹痛、悪心、(5~20%未満)嘔吐、食欲減退、口内炎、(5%未満)消化不良、便秘、胃炎。
2). 呼吸器:(5%未満)咳嗽、呼吸困難。
3). 循環器:(5%未満)高血圧。
4). 感染:(5%未満)上気道感染、尿路感染、肺感染、上咽頭炎、結膜炎、副鼻腔炎、膣感染、咽頭炎、敗血症。
5). 皮膚:(5~20%未満)脱毛症、発疹、(5%未満)皮膚そう痒症、皮膚乾燥、爪障害、ざ瘡様皮膚炎。
6). 精神神経系:(5%未満)浮動性めまい、味覚異常、うつ病。
7). 臨床検査値異常:(5~20%未満)血中クレアチニン増加、(5%未満)低カリウム血症、γ-GTP増加、高カリウム血症、低カルシウム血症。
8). その他:(20%以上)疲労、(5~20%未満)ほてり、頭痛、(5%未満)流涙増加、体重減少、倦怠感、発熱、四肢痛、末梢性浮腫、眼乾燥、脱水、筋力低下、インフルエンザ様疾患、悪寒。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ラットを用いた胚・胎仔発生毒性試験において、臨床曝露量に相当する用量から催奇形性(大動脈弓欠損、肋骨欠損等)が認められている)〔9.4生殖能を有する者の項参照〕。
授乳しないことが望ましい(本剤のヒト乳汁中への移行については不明であるが、本剤及び活性代謝物であるN-脱エチル体(M2)はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
その他の注意
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. ラットを用いた2年間がん原性試験において、臨床曝露量に相当する又は下回る用量から精巣間細胞過形成及び良性精巣間細胞腺腫が認められた。
15.2.2. マウス、ラット及びイヌを用いた反復投与毒性試験において、臨床曝露量を下回る用量から雄性生殖器への影響(精細管上皮変性、精巣上体精子減少等)が認められ、4週間の休薬で回復性は認められなかった。ラットを用いた試験において、雄授胎能への影響は認められなかった。
15.2.3. マウス及びラットを用いた反復投与毒性試験において、それぞれ臨床曝露量の約14倍及び7倍に相当する用量で網膜変性及び網膜萎縮が認められた。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人進行癌患者12例に本剤100、150及び200mg注7)を単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。
図1)本剤100、150及び200mg注7)を単回経口投与したときの血漿中濃度推移(平均値)
注7)本剤の承認された用量は1回150mgである。

表1)本剤100、150及び200mg注7)を単回経口投与したときの薬物動態パラメータ(幾何平均値及び変動係数%)
→図表を見る(PDF)

16.1.2 反復投与
進行癌患者116例に本剤100、150及び200mg注7)を1日2回反復経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。血漿中濃度は反復投与後5日に定常状態に到達した(外国人データ)。
図2)本剤100、150及び200mg注7)を1日2回反復経口投与後(第1サイクル第28日目)の血漿中濃度推移(平均値)
注7)本剤の承認された用量は1回150mgである。

表2)本剤100、150及び200mg注7)を1日2回反復経口投与後(第1サイクル第28日目)の薬物動態パラメータ(幾何平均値及び変動係数%)
→図表を見る(PDF)

16.2 吸収
16.2.1 絶対的バイオアベイラビリティ
健康成人8例に本剤200mg注7)を単回経口投与後、[13C8]‐アベマシクリブ0.4mgを単回静脈内投与したときのアベマシクリブの絶対的バイオアベイラビリティは45%(90%信頼区間:40~51%)であった(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
健康成人24例に本剤150mgを食後投与したとき、空腹時投与と比較して、アベマシクリブのAUC0-∞及びCmaxの最小二乗幾何平均値はそれぞれ13%及び30%増加し、tmaxの中央値は同程度であった(外国人データ)。
16.3 分布
アベマシクリブのヒト血漿蛋白結合率は高く(平均値:約96~98%)、152~5066ng/mLまでの濃度範囲では濃度依存性は見られなかった。アベマシクリブは、血清アルブミン及びα1‐酸性糖蛋白質と結合する(in vitro)。
アベマシクリブと同程度の活性を有する主要代謝物であるM2、水酸化N‐脱エチル体(M18)及び水酸化体(M20)のヒト血漿蛋白結合率も高く、約89~94%であった。
16.4 代謝
アベマシクリブは主としてCYP3Aにより代謝され、主な代謝経路は、代謝物M2を産生する経路である。その他の代謝物として、M20、M18及び酸化体(M1)が認められた(in vitro)。健康成人6例に[14C]‐アベマシクリブ150mgを単回経口投与後のAUCに基づくアベマシクリブ及び活性代謝物の血漿中での存在量は、アベマシクリブ(34%)、M2(13%)、M18(5%)及びM20(26%)であった(外国人データ)。[10.2参照]
16.5 排泄
アベマシクリブは主に肝代謝により消失する。健康成人6例に[14C]‐アベマシクリブ150mgを単回経口投与後336時間までに、投与量の約81%が糞便中に排泄され、約3.4%が尿中に排泄された。糞便中に検出された放射能のほとんどは代謝物であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者
重度の肝機能障害を有する被験者6例に本剤200mg注7)を単回経口投与したとき、正常な肝機能を有する被験者10例と比較して、総活性物質(アベマシクリブ、M2、M18及びM20の合算)の非結合型の曝露量(AUC)が2.69倍増加し、アベマシクリブの消失半減期は24時間から55時間へ延長した。一方、軽度又は中等度の肝機能障害を有する被験者9例及び10例での曝露量は正常な肝機能を有する被験者と同程度であった(外国人データ)。[9.3.1参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 クラリスロマイシン
進行又は転移性癌患者26例にクラリスロマイシン(500mg1日2回反復)投与後、本剤50mg注7)を単回経口投与したとき、アベマシクリブのAUC0-∞は非併用例と比較して約3.4倍増加し、総活性物質のAUC0-∞は2.2倍増加した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 リファンピシン
健康成人24例にリファンピシン(600mg1日1回反復)投与後、本剤200mg注7)を単回経口投与したとき、総活性物質のAUC0-∞及びCmaxは非併用例と比較してそれぞれ約77%及び約45%減少した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 その他
(1)トランスポーター
アベマシクリブはP‐gp及びBCRPを阻害する(in vitro)。
(2)メトホルミン
健康成人36例に本剤400mg注7)を単回経口投与後、メトホルミン(腎トランスポーターOCT2、MATE1及びMATE2‐Kの基質)1000mgを単回経口投与したとき、メトホルミンのAUC0-∞は非併用例と比較して37%増加した(外国人データ)。[12.参照]
注7)本剤の承認された用量は1回150mgである。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌〉
17.1.1 国際共同第III相無作為化比較試験(MONARCH2試験)
ホルモン受容体陽性かつHER2陰性であり、内分泌療法歴のある手術不能又は再発乳癌患者669例を対象に、本剤+フルベストラントとプラセボ+フルベストラントを比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相国際共同試験を実施した。
本剤150mg注1)又はプラセボ(1日2回)とフルベストラント500mg(1サイクルを28日間として、第1サイクルの1及び15日目並びに第2サイクル以降の1日目)を病態の悪化等が認められるまで投与を継続した。
主要評価項目である治験責任医師判定による無増悪生存期間について、本剤+フルベストラントの併用投与により、プラセボ+フルベストラントの併用投与と比較して統計学的に有意な延長が認められた。[7.1参照]
注1)試験開始時には本剤の用量は200mgと設定されたものの、下痢等により休薬又は減量に至った症例が多数認められたことから、本剤の投与を新たに開始する患者及び200mgで投与されている患者に対して、本剤を150mgで投与することに変更された。本剤の承認された用法・用量は1回150mgである。
表1)国際共同第III相無作為化比較試験(MONARCH2試験)における成績
→図表を見る(PDF)

図1)無増悪生存期間のKaplan‐Meier曲線(MONARCH2試験)

本剤が投与された441例(日本人63例を含む)に認められた主な副作用は、下痢(80.0%)、好中球減少症(41.6%)、悪心(34.4%)、疲労(30.9%)、腹痛(27.5%)等であった。
17.1.2 国際共同第III相無作為化比較試験(MONARCH3試験)
ホルモン受容体陽性かつHER2陰性であり、内分泌治療歴のない手術不能又は再発閉経後乳癌患者493例を対象に、本剤+非ステロイド性アロマターゼ阻害剤(nonsteroidal aromatase inhibitor:NSAI、レトロゾール又はアナストロゾール)とプラセボ+NSAIを比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相国際共同試験を実施した。
本剤150mg又はプラセボ(1日2回)とレトロゾール2.5mg又はアナストロゾール1mg(1日1回)を病態の悪化等が認められるまで投与を継続した。
主要評価項目である治験責任医師判定による無増悪生存期間について、本剤+NSAIの併用投与により、プラセボ+NSAIの併用投与と比較して統計学的に有意な延長が認められた。[7.1参照]
表2)国際共同第III相無作為化比較試験(MONARCH3試験)における成績
→図表を見る(PDF)

図2)無増悪生存期間のKaplan‐Meier曲線(MONARCH3試験)

本剤が投与された327例(日本人38例を含む)に認められた主な副作用は、下痢(78.9%)、好中球減少症(39.1%)、疲労(31.8%)、悪心(30.3%)、貧血(24.2%)等であった。
〈ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法〉
17.1.3 国際共同第III相無作為化比較試験(monarchE試験)
ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の乳癌の術後患者注2)5637例を対象に、本剤+内分泌療法と内分泌療法を比較する無作為化非盲検第III相国際共同試験を実施した。
本剤150mg(1日2回)は病態の悪化等が認められるまで最長24ヵ月間投与し、医師選択の標準的な内分泌療法剤(タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤等の単独投与、又はLH‐RHアゴニストとの併用投与)は5~10年間投与することとされ、再発又は投与中止基準に該当するまで継続することとされた。
主要評価項目である治験責任医師判定による浸潤性疾患のない生存期間について、本剤+内分泌療法の併用投与(2808例、うち日本人181例)により、内分泌療法(2829例、うち日本人196例)と比較して統計学的に有意な延長が認められた(ハザード比(95%信頼区間):0.747(0.598-0.932)、p=0.00957(層別ログランク検定)、有意水準(両側)0.0264)。(2020年3月16日データカットオフ)
再発高リスク注3)の術後乳癌患者における浸潤性疾患のない生存期間は次表のとおりであった。[5.2、7.1参照]
注2)登録された患者のうち、化学療法歴及び放射線療法歴のある患者はそれぞれ94.4%及び95.4%であった。
注3)再発高リスクの定義は、以下①又は②のいずれかの基準(monarchE試験コホート1の患者選択基準に相当)に該当することとする。
①病理検査で同側腋窩リンパ節の4個以上で転移陽性。
②病理検査で同側腋窩リンパ節の1~3個で転移陽性(術前薬物療法前の細胞診も可)、かつ原発腫瘍径5cm以上(術前薬物療法前の画像検査も可)又はModified Bloom‐Richardson grading systemによる組織学的グレード3。
表3)国際共同第III相無作為化比較試験における再発高リスクの術後乳癌患者(monarchE試験コホート1)の成績
→図表を見る(PDF)

図3)再発高リスクの術後乳癌患者における浸潤性疾患のない生存期間のKaplan‐Meier曲線(monarchE試験コホート1)

本剤が投与された2791例(日本人181例を含む)に認められた主な副作用は、下痢(79.1%)、好中球減少症(42.6%)、白血球減少症(34.4%)、疲労(29.2%)、腹痛(27.6%)等であった。

18.1 作用機序
アベマシクリブはCDK4及び6に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、CDK4/6とサイクリンDの複合体の活性を阻害し、retinoblastoma(Rb)タンパクのリン酸化を阻害することにより、細胞周期の進行を停止し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられる。
18.2 抗腫瘍作用
ヒト乳癌由来ZR‐75‐1、MCF‐7、T47‐D及びMDA‐MB‐453細胞株並びにヒト乳癌患者由来ST941/HI腫瘍組織片を皮下移植したマウスにおいて、アベマシクリブは腫瘍増殖抑制作用を示した。また、T47‐D細胞株及びST941/HI腫瘍組織片を皮下移植したマウスにおいて、アベマシクリブと内分泌療法剤(フルベストラント又は4‐ヒドロキシタモキシフェン)との併用により、腫瘍増殖抑制作用の増強が認められた。

一包可:不可

抗悪性腫瘍剤

分割:不可
粉砕:不明

抗悪性腫瘍剤

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