ヴァンフリタ錠26.5mg

添付文書情報2023年05月改定(第4版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- FLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈効能共通〉十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、FLT3-ITD変異陽性が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、次のウェブサイトから入手可能である:
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html。
5.2. 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉強力な寛解導入療法の適応とならない未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。
FLT3-ITD変異:FMS様チロシンキナーゼ3-内部縦列重複変異。
- 用法・用量
- 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉
通常、成人には寛解導入療法としてシタラビン及びアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤との併用において、地固め療法としてシタラビンとの併用において、キザルチニブとして1日1回35.4mgを2週間経口投与し、寛解導入療法及び地固め療法の投与サイクル数に応じて投与を繰り返す。その後、維持療法として、キザルチニブとして1日1回26.5mgを2週間経口投与し、それ以降は1日1回53mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
〈再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉
通常、成人にはキザルチニブとして1日1回26.5mgを2週間経口投与し、それ以降は1日1回53mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉投与開始前に心電図検査を実施し、QTcF値が450msecを超えている場合には、本剤の投与を開始しないこと〔8.1参照〕。
7.2. 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉本剤及び併用するシタラビン及びアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の投与時期等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で投与すること(また、シタラビン及びアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤投与完了後に本剤を投与すること)〔17.1.1参照〕。
7.3. 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉維持療法として、本剤を3年を超えて投与した場合の有効性及び安全性は確立していない。
7.4. 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉維持療法期に本剤の投与開始から2週間後において、QTcF値が450msecを超えた場合には、本剤の増量は行わないこと〔8.1参照〕。
7.5. 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉強いCYP3A阻害剤と併用する場合には、次の減量基準を参考に、本剤を減量すること(強いCYP3A阻害剤との併用終了後には、本剤を減量前の投与量に戻すこと)〔7.6、10.2参照〕。
[強いCYP3A阻害剤との併用時の本剤の減量基準]
1). 併用しない時の用量53mg:併用時の用量26.5mgに減量。
2). 併用しない時の用量35.4mg:併用時の用量17.7mgに減量。
3). 併用しない時の用量26.5mg:併用時の用量17.7mgに減量。
7.6. 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉本剤投与中に副作用がみられた場合は、次の基準を参考に、本剤を休薬、減量又は中止すること(また、輸血なしで血小板数50000/mm3超100000/mm3未満又は好中球数500/mm3超1000/mm3未満で維持療法期に移行した患者では、維持療法を8週間実施した段階で本剤を1用量レベル下げることを検討すること)〔7.5、8.1、8.2、9.1.1-9.1.3参照〕。
[本剤の減量段階]
1). 用量レベル1:強いCYP3A阻害剤を併用しない時53mg、強いCYP3A阻害剤併用時26.5mg。
2). 用量レベル2:強いCYP3A阻害剤を併用しない時35.4mg、強いCYP3A阻害剤併用時17.7mg。
3). 用量レベル3:強いCYP3A阻害剤を併用しない時26.5mg、強いCYP3A阻害剤併用時休薬。
4). 用量レベル4:休薬。
[本剤の休薬、減量又は中止基準の目安]
1). 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉QT間隔延長:
①. 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉480msecを超え500msec以下のQT間隔延長:1用量レベル下げ、QTcF値が450msec未満に回復後は次のサイクルで副作用発現時の用量で再開できる。
②. 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉500msecを超えるQT間隔延長:a.休薬し、QTcF値が450msec未満に回復後は、1用量レベル下げて投与を再開できる、b.寛解導入療法期又は地固め療法期にQTcF値が500msecを超えた場合は、維持療法期に増量しないこと。
③. 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉QTcF値が再び500msecを超えた場合:投与を中止する。
④. 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉心室性不整脈等の生命を脅かす不整脈の症状を伴うQT間隔延長/生命を脅かす不整脈の兆候を伴うQT間隔延長:投与を中止する。
2). 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉グレード3以上の非血液系副作用<QT間隔延長を除く>:①休薬する、②4週間以内にグレード1以下に回復した場合は、副作用発現時の用量で投与を再開できる、③4週間以内にグレード2に回復した場合は、1用量レベル下げて投与を再開できる、④グレード3以上の副作用が4週間を超えて継続する場合は、投与を中止する。
3). 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉骨髄抑制(維持療法期):
①. 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉維持療法期移行時に血小板数100000/mm3以上の未治療の患者が、血小板数100000/mm3未満となった場合:1用量レベル下げる。
②. 〈未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉維持療法期移行時に好中球数1000/mm3以上の未治療の患者が、好中球数1000/mm3未満となった場合:1用量レベル下げる。
グレードはNCI-CTCAE v4.03に準じる。
7.7. 〈再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.8. 〈再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉本剤の投与開始から2週間後までにおいて、QTcF値が450msecを超えた場合には、本剤の増量は行わないこと〔8.1参照〕。
7.9. 〈再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉強いCYP3A阻害剤と併用する場合には、減量基準を参考に、本剤を1用量レベル下げること(強いCYP3A阻害剤との併用終了後には、本剤を減量前の投与量に戻すこと)〔7.10、10.2参照〕。
7.10. 〈再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉本剤投与中に副作用がみられた場合は、次の基準を参考に、本剤を休薬、減量又は中止すること〔7.9、8.1、8.2、9.1.1-9.1.3参照〕。
[本剤の減量段階]
1). 用量レベル1:53mg。
2). 用量レベル2:26.5mg。
3). 用量レベル3:17.7mg。
4). 用量レベル4:休薬。
[本剤の休薬、減量又は中止基準の目安]
1). 〈再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉QT間隔延長:
①. 〈再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉480msecを超え500msec以下のQT間隔延長:a.53mg又は26.5mgを投与していた場合は、1用量レベル下げ、QTcF値が450msec以下に回復後は、副作用発現時の用量で再開できる、b.17.7mgを投与していた場合は、休薬し、2週間の休薬後もQTcF値が450msec以下に回復しない場合は、投与を中止する。
②. 〈再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉500msecを超えるQT間隔延長:a.休薬し、QTcF値が450msec以下に回復後は、1用量レベル下げて投与を再開できる(なお、17.7mgを投与していた場合は、回復後に同用量で再開できる)、b.2週間の休薬後もQTcF値が450msec以下に回復しない場合は、投与を中止する。
③. 〈再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉心室性不整脈等の生命を脅かす不整脈の症状を伴うQT間隔延長/生命を脅かす不整脈の兆候を伴うQT間隔延長:投与を中止する。
2). 〈再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉グレード3以上の非血液系副作用<QT間隔延長を除く>:①休薬し、グレード1以下に回復後は、1用量レベル下げて投与を再開できる、②グレード2以上の副作用が2週間を超えて継続する場合は、投与を中止する。
3). 〈再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病〉骨髄抑制(血小板数:100000/mm3未満かつ好中球数:1000/mm3未満):①1用量レベル下げる又は休薬し、回復後は、副作用発現時の用量で再開できる、②2週間を超えて継続する場合は、投与を中止する。
グレードはNCI-CTCAE v4.03に準じる。
- 生殖能を有する者
- 8.1. QT間隔延長があらわれることがあるので、次の基準を参考に心電図検査を行うこと(また、本剤投与開始前及び投与中は定期的に電解質検査(カリウム、マグネシウム等)を行い、必要に応じて電解質補正(カリウム、マグネシウム等)を行うこと)〔7.1、7.4、7.6、7.8、7.10、9.1.1-9.1.3、11.1.1参照〕。
[心電図検査の実施時期基準]1). 未治療:本剤投与開始前及び増量前には心電図検査を行うこと(寛解導入療法期及び地固め療法期は、薬剤投与中は定期的に(週1回を目安に)及び必要に応じて心電図検査を行うこと、維持療法期は、投与開始後、増量後及び休薬後に投与を再開した後は、最初の2週間は週に1回を目安に、その後は必要に応じて心電図検査を行うこと)。
2). 再発又は難治性:本剤投与開始前及び増量前には心電図検査を行うこと(投与開始後、増量後及び休薬後に投与を再開した後は、定期的に(最初の2週間は週に1回、その後は月に1回を目安に)及び必要に応じて心電図検査を行うこと)。
8.2. 骨髄抑制及び出血があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔7.6、7.10、11.1.3、11.1.4参照〕。
9.1.1. QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者:先天性QT延長症候群等のQT間隔延長のおそれのある患者又はQT間隔延長の既往歴のある患者でQT間隔延長があらわれるおそれがある〔7.6、7.10、8.1参照〕。
9.1.2. 不整脈につながる心疾患又はその既往歴のある患者:QT間隔延長があらわれるおそれがある〔7.6、7.10、8.1参照〕。
9.1.3. 電解質異常(低カリウム血症、低マグネシウム血症等)のある患者:QT間隔延長があらわれるおそれがある〔7.6、7.10、8.1参照〕。
9.3.1. 重度の肝機能障害のある患者:本剤は重度肝機能障害を合併する患者(Child-Pugh分類C又は総ビリルビン値が正常値上限の3倍超)を対象とした臨床試験は実施していない(本剤の主たる消失経路は肝臓である)〔16.4、16.5参照〕。
9.4.1. 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性の場合、本剤投与中及び最終投与後7ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項、15.2参照〕。
9.4.2. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性の場合、本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること〔15.2参照〕。
- 相互作用
- 本剤は主にCYP3Aにより代謝される〔16.4参照〕。
10.2. 併用注意:1). 強いCYP3A阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、ボリコナゾール等)〔7.5、7.9、16.7.1参照〕[本剤の副作用の発現が増強されるおそれがあるので、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。
2). 強いCYP3A誘導剤又は中程度のCYP3A誘導剤(リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン等)、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)〔16.7.2参照〕[本剤の効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること(これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
3). QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤(キニジン、プロカインアミド、オンダンセトロン等)[QT間隔延長を増強するおそれがあるため、患者の状態を十分に観察すること(本剤はIKs阻害作用を有しており、本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により副作用が増強するおそれがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は本剤の休薬、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. QT間隔延長(19.3%)、心停止(0.2%)、心室性不整脈(心室細動(0.2%)、Torsade de pointes(頻度不明))〔8.1参照〕。
11.1.2. 感染症:敗血症及び敗血症ショック(3.1%)、肺炎(2.8%)、上気道感染(1.3%)、菌血症(1.1%)、尿路感染(1.1%)、蜂巣炎(0.9%)等があらわれることがある。
11.1.3. 出血:頭蓋内出血(0.4%)等があらわれることがある〔8.2参照〕。
11.1.4. 骨髄抑制:好中球減少症(25.0%)、血小板減少症(22.7%)、貧血(16.0%)、発熱性好中球減少症(12.3%)、白血球減少症(11.6%)、リンパ球減少症(2.2%)、汎血球減少症(2.0%)等があらわれることがある〔8.2参照〕。
11.1.5. 心筋梗塞(0.2%)。
11.1.6. 急性腎障害(0.9%)。
11.1.7. 間質性肺疾患:肺臓炎(0.4%)等があらわれることがあるので、間質性肺疾患が疑われた場合には、本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 皮膚:(5~10%未満)発疹、(5%未満)急性熱性好中球性皮膚症、点状出血。
2). 精神神経系:(5%未満)味覚異常、頭痛。
3). 消化器:(10%以上)悪心(20.6%)、嘔吐、(5~10%未満)腹痛、口内炎、下痢、(5%未満)消化不良。
4). 肝臓:(5~10%未満)ALT増加、AST増加、(5%未満)血中ALP増加、血中ビリルビン増加。
5). その他:(10%以上)無力症、(5~10%未満)食欲減退、低カリウム血症、発熱、(5%未満)低マグネシウム血症、体重減少、鼻出血、浮腫。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(生殖発生毒性試験(ラット)において、臨床曝露量の約3倍の曝露に相当する用量で胎仔毒性及び催奇形性が報告されている)〔9.4.1参照〕。
授乳しないことが望ましい(本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある)〔15.2参照〕。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
本剤は吸湿性を有するので、PTPシートからの取り出し後は速やかに服用すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報再発又は難治性の急性骨髄性白血病患者を対象とした海外第2相試験において、本剤投与後に白血病細胞の分化が認められたとの報告がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報細菌を用いた復帰突然変異試験において変異原性を示したが、トランスジェニックラットを用いた遺伝子突然変異試験では、臨床曝露量の4.4倍(Cmax)及び3.9倍(AUC)に相当する用量まで陰性であった〔9.4.1、9.4.2、9.6授乳婦の項参照〕。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回及び反復投与
(1)未治療の急性骨髄性白血病
日本人の未治療の急性骨髄性白血病患者7例に本剤17.7mg又は35.4mgを1日1回反復経口投与したとき、寛解導入療法期の投与1日目及び14日目のキザルチニブの血漿中濃度推移、キザルチニブ及び活性代謝物(AC886)の薬物動態パラメータは次に示すとおりであった。
また、本剤53mgを1日1回反復経口投与したとき、母集団薬物動態解析より推定されたAUC0-24hの累積係数から算出された半減期はキザルチニブで81時間、AC886で136時間であった。
日本人の未治療の急性骨髄性白血病患者に本剤を反復投与したときのキザルチニブの血漿中濃度(寛解導入療法期、1日目)
日本人の未治療の急性骨髄性白血病患者に本剤を反復投与したときのキザルチニブの血漿中濃度(寛解導入療法期、14日目)
日本人の未治療の急性骨髄性白血病患者に本剤を反復投与したときのキザルチニブ及び活性代謝物(AC886)の薬物動態パラメータ(寛解導入療法期)
→図表を見る(PDF)
(2)再発又は難治性の急性骨髄性白血病
日本人の再発又は難治性の急性骨髄性白血病患者16例に本剤17.7mg、26.5mg又は53mgを1日1回反復経口投与したとき、投与1日目及び15日目のキザルチニブの血漿中濃度推移、キザルチニブ及び活性代謝物(AC886)の薬物動態パラメータは次に示すとおりであった。キザルチニブの血漿中濃度は、反復投与15日目までに定常状態に達した。
また、再発又は難治性の急性骨髄性白血病患者に本剤53mgを1日1回反復経口投与したとき、母集団薬物動態解析より推定されたAUC0-24hの累積係数から算出された半減期はキザルチニブで73時間、AC886で119時間であった(外国人データ)。
日本人の再発又は難治性の急性骨髄性白血病患者に本剤を反復投与したときのキザルチニブの血漿中濃度(1日目)
日本人の再発又は難治性の急性骨髄性白血病患者に本剤を反復投与したときのキザルチニブの血漿中濃度(15日目)
日本人の再発又は難治性の急性骨髄性白血病患者に本剤を反復投与したときのキザルチニブ及び活性代謝物(AC886)の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
健康被験者8例に本剤53mgを単回投与したとき、キザルチニブの絶対経口バイオアベイラビリティは約71%であった(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
健康被験者29例に本剤26.5mgを食後に単回経口投与したとき、空腹時(34例)に比べてキザルチニブのCmaxが8%低下し、AUCinfが8%上昇した(外国人データ)。
16.3 分布
16.3.1 分布容積
健康被験者8例に14Cで標識したキザルチニブ50μgを単回静脈内投与したとき注3)、キザルチニブの分布容積の幾何平均(%CV)は275(17)Lであった(外国人データ)。
16.3.2 蛋白結合率
キザルチニブ及びAC886のヒト血漿蛋白結合率はいずれも99%以上であり、キザルチニブは主にヒト血清アルブミンに結合した(in vitro)。
16.3.3 血球移行
キザルチニブ及びAC886の血液/血漿中濃度比はそれぞれ1.3~1.5及び2.8~3.4であった(in vitro)。
16.4 代謝
健康被験者6例に14Cで標識したキザルチニブ53mgを単回経口投与したとき、血漿中の主な代謝物はAC886(キザルチニブの水酸化体)であった(外国人データ)。キザルチニブは主にCYP3Aで代謝されること、AC886はキザルチニブからCYP3Aにより生成し、さらに主にCYP3Aで代謝されることが示された(in vitro)。なお、AC886はキザルチニブと同様の薬理活性を有する。[9.3.1、10.参照]
16.5 排泄
健康被験者8例に14Cで標識したキザルチニブ50μgを単回静脈内投与したとき注3)、キザルチニブの全身クリアランスの幾何平均(%CV)は2.23(29)L/hであった(外国人データ)。
健康被験者6例に14Cで標識したキザルチニブ53mgを単回経口投与したとき、投与336時間後までに投与放射能の76%が糞中に、2%が尿中に排出された(外国人データ)。[9.3.1参照]
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害を有する被験者における薬物動態
本剤26.5mgを単回経口投与したとき、肝機能正常被験者8例と比べて、軽度の肝機能障害被験者8例(Child‐Pugh分類A)では、キザルチニブ及びAC886のAUCinfはそれぞれ30%及び20%増加した。中等度の肝機能障害被験者8例(Child‐Pugh分類B)では、キザルチニブのAUCinfは15%増加し、AC886のAUCinfは35%低下した。キザルチニブ及びAC886の血漿蛋白結合率は肝機能障害の影響を受けなかった(外国人データ)。
本剤26.5mgを単回経口投与したとき、肝機能正常被験者6例と比べて、中等度の肝機能障害被験者6例(総ビリルビン値が正常値上限の1.5~3倍)では、キザルチニブのAUCinfは9%増加し、AC886のAUCinfは30%低下した。肝機能正常被験者と中等度の肝機能障害被験者のキザルチニブの血漿中非結合型分率はそれぞれ0.900%(0.318%~1.80%)及び0.452%(0.112%~1.08%)であった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾール
健康被験者29例に、本剤26.5mgの単回投与をケトコナゾール(経口剤:国内未承認、200mg、1日2回28日間投与)と併用投与したとき、本剤単独投与群(29例)に比べてキザルチニブのCmax及びAUCinfはそれぞれ17%及び94%上昇し、AC886のCmax及びAUCinfはそれぞれ60%及び15%低下した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 エファビレンツ
健康被験者15例に、本剤53mgの単回投与をエファビレンツ(600mg、1日1回35日間投与)と併用投与したとき、本剤単独投与群(16例)に比べて、キザルチニブのCmax及びAUCinfはそれぞれ45%及び90%低下し、AC886のCmax及びAUCinfはそれぞれ68%及び96%低下した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 その他の薬剤
(1)フルコナゾール
健康被験者28例に、本剤26.5mgの単回投与をフルコナゾール(200mg、1日2回28日間投与)と併用投与したとき、本剤単独投与群(29例)に比べてキザルチニブ及びAC886のAUCinfはそれぞれ20%及び14%上昇した(外国人データ)。
(2)ランソプラゾール
健康被験者32例に、ランソプラゾール60mg(国内未承認用量)を1日1回投与し、5日目に本剤26.5mgを併用投与したとき、本剤単独投与群(30例)に比べてキザルチニブのCmax及びAUCinfはそれぞれ14%及び5%低下した(外国人データ)。
(3)ダビガトランエテキシラート
健康被験者20例に、本剤53mgの単回投与をダビガトランエテキシラート150mgと併用投与したとき、総ダビガトラン及び非結合型ダビガトランのCmaxは、ダビガトランエテキシラート単独投与(20例)と比較し、それぞれ約12%及び約13%上昇し、AUCinfはそれぞれ約13%及び約11%上昇した(外国人データ)。
(4)トランスポーター
キザルチニブはP‐糖蛋白(P‐gp)の基質、及びAC886は乳癌耐性蛋白(BCRP)の基質であり、キザルチニブはP‐gpを阻害した(in vitro)。
注3)本剤の承認された用法及び用量は26.5mg、35.4mg又は53mgを1日1回経口投与である
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験
未治療のFLT3‐ITD変異陽性注1)の急性骨髄性白血病患者を対象に無作為化二重盲検群間比較試験を実施した。被験者539例(日本人28例を含む)を1:1の割合で本剤群又はプラセボ群に無作為に割り付けた(本剤群268例、プラセボ群271例)。寛解導入療法期(最大2サイクル注2))及び地固め療法期注3)(最大4サイクル注2))では化学療法注4)が完了後(寛解導入療法期では8又は6日目、地固め療法期では6日目)、本剤35.4mg又はプラセボを1日1回、14日間経口投与した注5)。維持療法期注6)には、本剤26.5mg又はプラセボを1日1回2週間経口投与し、投与開始2週間後にQTcF値が450msec以下の場合、それ以降は本剤53mg又はプラセボを1日1回、最大36サイクル注2)経口投与した注7)。
主要評価項目である全生存期間のプラセボ群に対する本剤群のハザード比[95%信頼区間]は、0.78[0.62、0.98]、中央値[95%信頼区間]は、本剤群で31.9[21.0、NE]ヵ月、プラセボ群で15.1[13.2、26.2]ヵ月であり、プラセボ群と比較して本剤群で統計学的に有意な延長が認められた。また、本剤群における主な副作用は、好中球減少症17.4%(46/265例)、心電図QT延長11.7%(31/265例)、悪心9.1%(24/265例)、発熱性好中球減少症8.7%(23/265例)であった。[7.2参照]
NE:not estimable
注1)中央測定機関のPCR法で測定
注2)1サイクルは28日間(ただし、寛解導入療法期及び地固め療法期については、血球数の回復までの期間等を考慮し、最大56日間)
注3)地固め療法期は、①化学療法のみ、②同種造血幹細胞移植(HSCT)のみ、③化学療法後にHSCTのいずれかを実施した
注4)寛解導入療法期のサイクル1ではシタラビン100mg/m2/day(施設又は国・地域の基準によっては200mg/m2/day)を持続点滴静注(1日目から7日間)並びにダウノルビシン60mg/m2/day又はイダルビシン12mg/m2/dayを点滴静注(1~3日目)投与した。サイクル2ではサイクル1と同一レジメン、あるいはシタラビン100mg/m2/day(施設又は地域の基準によっては200mg/m2/day)を持続点滴静注(1日目から5日間)並びにダウノルビシン又はイダルビシン(サイクル1と同一の薬剤を使用)を点滴静注(1及び2日目)投与した。地固め療法期では各サイクルでシタラビン3.0g/m2(60歳以上で1.5g/m2)を12時間ごとに計6回点滴静注(1、3及び5日目)投与した
注5)強いCYP3A阻害剤を併用する際にはキザルチニブとして17.7mgを投与
注6)地固め療法期にHSCTを施行した場合、HSCT後30~180日以内に維持療法の実施を可能とした
注7)強いCYP3A阻害剤を併用する際には開始用量をキザルチニブとして17.7mgとし、投与開始2週間後にQTcF値が450msec以下の場合、以降は26.5mgを投与
全生存期間のKaplan‐Meier曲線
17.1.2 国内第II相試験
再発又は難治性のFLT3‐ITD変異陽性注8)の急性骨髄性白血病患者を対象に非盲検非対照試験を実施した。被験者37例に、本剤を1日1回経口投与した。開始用量をキザルチニブとして26.5mgとし、投与開始2週間後にQTcF値が450msec以下の場合、以降は53mgを投与した注9)。主要評価項目である治験責任医師判定による複合完全寛解率注10)は53.8%(14/26例)であった。主な副作用は、血小板数減少37.8%(14/37例)、心電図QT延長35.1%(13/37例)、発熱性好中球減少症32.4%(12/37例)、貧血27.0%(10/37例)であった。
注8)中央測定機関のPCR法で測定
注9)強いCYP3A阻害剤を併用する際には開始用量をキザルチニブとして17.7mgとし、投与開始2週間後にQTcF値が450msec以下の場合、以降は26.5mgを投与
注10)複合完全寛解率は次に示すCR、CRp又はCRiのいずれかを達成した患者の割合
CR:骨髄の正常造血細胞が再生し、形態学的に白血病細胞が認められず、骨髄中の芽球数が5%未満、好中球絶対数が1.0×10の9乗/L以上、かつ血小板数が100×10の9乗/L以上であり、赤血球及び血小板輸血を行っておらず、髄外性白血病が認められていない状態
CRp:血小板数が100×10の9乗/L未満であることを除き、すべてのCRの条件を満たす状態
CRi:好中球絶対数が1.0×10の9乗/L未満であることを除き、すべてのCRの条件を満たす状態(ただし、血小板数の回復、赤血球及び血小板輸血の有無は問わない)、並びに赤血球又は血小板輸血を行っているが、その他すべてのCR又はCRpの条件を満たす状態
17.1.3 海外第III相試験
再発又は難治性のFLT3‐ITD変異陽性注11)の急性骨髄性白血病患者を対象に無作為化非盲検群間比較試験を実施した。被験者367例を2:1の割合で本剤群又は救援療法群注12)に無作為に割り付け(本剤群245例、救援療法群122例)、本剤群には本剤を1日1回経口投与した。開始用量を26.5mgとし、投与開始2週間後にQTcF値が450msec以下の場合、以降は53mgを投与した注13)。主要評価項目である全生存期間の救援療法群に対する本剤群のハザード比[95%信頼区間]は、0.76[0.58、0.98]、中央値[95%信頼区間]は、本剤群で6.2[5.3、7.2]ヵ月、救援療法群で4.7[4.0、5.5]ヵ月であり、救援療法群と比較して本剤群で統計学的に有意な延長が認められた。また、本剤群における主な副作用は、悪心33.2%(80/241例)、心電図QT延長24.9%(60/241例)、貧血24.9%(60/241例)、血小板減少症21.2%(51/241例)であった。
注11)中央測定機関のPCR法で測定
注12)ミトキサントロン+エトポシド+シタラビン(MEC)、フルダラビン+シタラビン+G‐CSF+イダルビシン(FLAG‐IDA)、又は低用量シタラビン(LoDAC)のうちいずれか1種類を投与
注13)強いCYP3A阻害剤を併用する際には開始用量をキザルチニブとして17.7mgとし、投与開始2週間後にQTcF値が450msec以下の場合、以降は26.5mgを投与
全生存期間のKaplan‐Meier曲線
17.3 その他
17.3.1 薬物濃度とQT間隔の関連性
国内第II相試験と海外第III相試験の併合解析により、本剤を1日1回反復投与した263例の再発又は難治性のFLT3‐ITD変異陽性の急性骨髄性白血病患者において本剤がQT間隔に及ぼす影響を評価した。血漿中キザルチニブ及びAC886濃度とQTcF間隔との関係をシグモイドEmaxモデルで解析したところ、本剤投与28日目に53mgを投与された131例の患者でQTcFのベースライン値からの延長(ΔQTcF)は中央値が19.9msec、90%信頼区間の上限が22.0msecと推定された。
18.1 作用機序
キザルチニブは、受容体型チロシンキナーゼであるFLT3に対する阻害作用を有する低分子化合物である。キザルチニブは、ITD変異を有するFLT3に結合し、FLT3を介したシグナル伝達を阻害することにより、FLT3‐ITD変異を有する腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。
18.2 抗腫瘍効果
キザルチニブは、FLT3‐ITD変異を有するヒト急性骨髄性白血病由来MV4‐11細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。また、MV4‐11細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、キザルチニブ、シタラビン及びダウノルビシンの併用により、キザルチニブ単独又はシタラビン及びダウノルビシンの併用と比較して、腫瘍増殖抑制作用の増強が認められた。
- 一包可:不可
抗悪性腫瘍剤@吸湿性を有するので、PTPシートからの取り出し後は速やかに服用する。
- 分割:不可
- 粉砕:不可
抗悪性腫瘍剤@吸湿性を有するので、PTPシートからの取り出し後は速やかに服用する。
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- 第一三共
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おくすりのQ&A
当該製品の添付文書では、効能又は効果として、『次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合:緑内障、高眼圧症』と記載されています。...
添付文書内の「有効性安全性」の正確な意味を教えてください。どのような条件ならば有効性があるとするのか、安全性があるというのかをその基準を教えて欲しいのです
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