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プリジスタ錠600mg

販売名
プリジスタ錠600mg
識別コード
TMC 600MG
薬価
600mg1錠 846.80円
製造メーカー
ヤンセンファーマ

添付文書情報2023年08月改定(第4版)

商品情報

薬効分類名
抗ウイルス剤
一般名
ダルナビル エタノール付加物錠
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. トリアゾラム投与中、ミダゾラム投与中、ピモジド投与中、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン投与中、ジヒドロエルゴタミン投与中、エルゴメトリン投与中、メチルエルゴメトリン投与中、バルデナフィル投与中、ブロナンセリン投与中、シルデナフィル<レバチオ>投与中、タダラフィル<アドシルカ>投与中、アゼルニジピン投与中、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル投与中、ルラシドン投与中、フィネレノン投与中、グラゾプレビル投与中、リバーロキサバン投与中の患者〔10.1参照〕。
2.3. 腎機能障害あるいは肝機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者〔9.2.1、9.3.1、10.2参照〕。
2.4. 低出生体重児、新生児、乳児、3歳未満の幼児〔9.7.1、15.2.2参照〕。
効能・効果
HIV感染症。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
5.1.1. 本剤は抗HIV薬の治療経験があり、少なくとも1つのダルナビル耐性関連変異を持つHIV感染患者に使用すること〔7.1参照〕。
5.2. 無症候性HIV感染症の治療開始時期はCD4陽性リンパ球数及び血漿中HIV RNA量が指標とされている。本剤の使用にあたっては、患者のCD4陽性リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認するとともに、最新のガイドラインを確認すること。
5.3. 小児HIV感染症に対しては、本剤投与による有効性及び安全性が確立していない〔9.7.2参照〕。
用法・用量
通常、成人にはダルナビルとして1回600mgとリトナビル1回100mgをそれぞれ1日2回食事中又は食直後に併用投与する。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤は次を参照し使用すること。
1). 抗HIV薬による治療経験がないHIV感染患者:プリジスタナイーブ錠800mg1錠を1日1回投与。
2). 抗HIV薬による治療経験があり、ダルナビル耐性関連変異を持たない患者:プリジスタナイーブ錠800mg1錠を1日1回投与。
3). 抗HIV薬による治療経験があり、少なくとも1つのダルナビル耐性関連変異を持つ患者:プリジスタ錠600mg1錠を1日2回投与。
なお、抗HIV薬による治療経験のある患者には薬剤耐性遺伝子型検査の実施が推奨されるが、遺伝子型検査が行えない場合には、プリジスタ錠600mg1錠を1日2回投与が推奨される〔5.1.1参照〕。
7.2. 本剤の使用に際しては、「6.用法及び用量」の記載に従い、必ず薬物動態学的増強因子(ブースター)としてリトナビルを併用すること。
7.3. ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、本剤は他の抗HIV薬と併用すること。
7.4. 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定できない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
肝機能障害患者
8.1. 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
8.1.1. 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
8.1.2. 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。
8.1.3. 本剤投与開始後、担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。
8.1.4. 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に担当医に相談すること。
8.2. 本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
8.3. HIVプロテアーゼ阻害剤による治療中の患者で、糖尿病の発症又は糖尿病増悪、高血糖が発現し、その中には糖尿病性ケトアシドーシスを合併した例が報告されている。
8.4. 海外臨床試験において、発疹は因果関係の不明なものも含め10.3%の患者に認められ、本剤の投与中止を要する発疹は0.5%、発熱を伴う重度発疹及び肝酵素値上昇を伴う重度発疹は0.4%、皮膚粘膜眼症候群は0.1%未満に認められた。また、発疹の多くは軽度から中等度であり、投与開始4週以内に発現したが投与継続中に寛解した。なお、治療経験のある患者を対象とした海外臨床試験において、本剤及びラルテグラビルを含むレジメンを使用した場合、本剤又はラルテグラビルの一方を含むレジメンと比較して、薬剤との因果関係が明らかでない皮疹も含めた発疹の発現率が高かった。しかし、薬剤に関連した発疹の発現率には差がなく、発疹は軽度から中等度で治療制限及び投与中止はなかった。
8.5. 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること)。
8.6. 本剤による治療中に浮動性めまいが報告されているので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には注意すること。
8.7. 肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと〔11.1.2参照〕。
9.1.1. 血友病患者及び著しい出血傾向を有する患者:HIVプロテアーゼ阻害剤で治療中の血友病患者において、皮膚血腫及び出血性関節症等の出血事象増加が報告されている。
9.1.2. スルホンアミド系薬剤に過敏症の既往歴のある患者:交叉過敏症があらわれる可能性がある(ダルナビルはスルホンアミド基を有する)。
9.2.1. 腎機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者:投与しないこと(コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性がある)〔2.3、10.2参照〕。
9.3.1. 肝機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者:投与しないこと(コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性がある)〔2.3、10.2参照〕。
9.3.2. 肝機能障害患者(コルヒチンを投与中の患者を除く):定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、肝機能悪化が認められた場合には休薬又は投与中止を考慮すること(本剤は主に肝臓で代謝され、肝障害患者では高い血中濃度が持続するおそれがある)〔16.6.1参照〕。
9.3.3. 慢性活動性B型及び/又はC型肝炎患者等投与前に肝機能異常が認められる患者(コルヒチンを投与中の患者を除く):定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、肝機能悪化が認められた場合には休薬又は投与中止を考慮すること(本剤は主に肝臓で代謝され、肝障害患者では高い血中濃度が持続するおそれがあり、また、肝機能をさらに悪化させる可能性がある(海外第2b/3相試験において、B型及び/又はC型肝炎重複感染患者では、有害事象及び臨床検査値異常のうち、肝酵素の上昇の発現頻度が非重複感染患者より高かった))。
相互作用
本剤は代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)阻害作用を有することから、CYP3A4により代謝される薬剤と併用したとき、併用薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。また、本剤はCYP3A4によって代謝されることから、CYP3A4を誘導する薬剤と併用したとき本剤の血中濃度が低下し、本剤はCYP3A4によって代謝されることから、CYP3A4を阻害する薬剤と併用したとき本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
10.1. 併用禁忌:1). トリアゾラム<ハルシオン>、ミダゾラム<ドルミカム、ミダフレッサ、ブコラム>〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度上昇により、過度の鎮静や呼吸抑制等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
2). ピモジド<オーラップ>〔2.2参照〕[ピモジドの血中濃度上昇により、不整脈等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
3). エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン<クリアミン>、ジヒドロエルゴタミン<ジヒデルゴット>、エルゴメトリン、メチルエルゴメトリン<パルタンM>〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度上昇により、末梢血管痙縮・虚血等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
4). バルデナフィル<レビトラ>〔2.2参照〕[バルデナフィルの血中濃度が上昇し半減期が延長するおそれがある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用
により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
5). ブロナンセリン<ロナセン>〔2.2参照〕[ブロナンセリンの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
6). シルデナフィル<レバチオ>〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度を上昇させるおそれがある(シルデナフィルとリトナビルとの併用により、シルデナフィルのCmax及びAUCがそれぞれ3.9倍及び10.5倍に増加したとの報告がある)(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
7). タダラフィル<アドシルカ>〔2.2参照〕[これらの薬剤の血中濃度を上昇させるおそれがある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
8). アゼルニジピン<カルブロック>、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル<レザルタス配合錠>〔2.2参照〕[アゼルニジピンの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
9). ルラシドン<ラツーダ>〔2.2参照〕[ルラシドンの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
10). フィネレノン<ケレンディア>〔2.2参照〕[フィネレノンの血中濃度が著しく上昇するおそれがある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
11). グラゾプレビル<グラジナ>〔2.2参照〕[グラゾプレビルの血中濃度が上昇する可能性がある(本剤のCYP3A4及びOATP1Bに対する阻害作用により、グラゾプレビルの代謝が阻害される)]。
12). リバーロキサバン<イグザレルト>〔2.2参照〕[リバーロキサバンの血中濃度が上昇し抗凝固作用が増強されることにより出血の危険性が増大するおそれがある(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用又はP糖蛋白阻害作用により、リバーロキサバンの血中濃度が上昇することがある)]。
10.2. 併用注意:1). リファンピシン、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)、フェノバルビタール、フェニトイン[本剤の血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるため、併用はなるべく避けること(これらの薬剤の薬物代謝酵素誘導作用により、本剤の代謝が促進される)]。
2). デキサメタゾン<全身投与>[本剤の血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるので、併用する場合には注意して投与すること(これらの薬剤の薬物代謝酵素誘導作用により、本剤の代謝が促進される)]。
3). リファブチン[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とリファブチン150mg2日1回を併用したとき、リファブチンの活性代謝物のAUCが9.8倍に増加したので、併用する場合には必要に応じてリファブチンの投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
4). シンバスタチン、アトルバスタチン[これらの薬剤の血中濃度上昇により横紋筋融解症が起こる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用
により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
5). サルメテロール[サルメテロールの血中濃度上昇でQT延長・動悸・洞性頻脈などの心血管系事象の発現リスク増大する可能性があるので、併用する場合には必要に応じてサルメテロールの投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
6). クラリスロマイシン[本剤/リトナビル400/100mg1日2回とクラリスロマイシン500mg1日2回を併用したとき、クラリスロマイシンのAUCが57%増加したので、併用する場合には必要に応じてクラリスロマイシンの投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
7). カルバマゼピン[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とカルバマゼピン200mg1日2回を併用したとき、カルバマゼピンのAUCが45%増加したので、併用する場合には必要に応じてカルバマゼピンの投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
8). シルデナフィル<バイアグラ>、タダラフィル<シアリス・ザルティア>、アミオダロン、ベプリジル、リドカイン<全身投与>、キニジン、シクロスポリン、タクロリムス、Ca拮抗剤<アゼルニジピンは併用禁忌>(フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン等)、フルチカゾン、ダサチニブ、エベロリムス、ボセンタン、アピキサバン[これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
9). ダビガトランエテキシラート:①. ダビガトランエテキシラート[本剤/リトナビル800/100mgとダビガトランエテキシラート150mgを併用したとき、本剤/リトナビル単回投与時のダビガトランのAUC及びCmaxは1.7倍及び1.6倍に上昇したので、併用する場合には必要に応じてダビガトランエテキシラートを減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのP糖蛋白阻害作用による)]。
②. ダビガトランエテキシラート[本剤/リトナビル800/100mgとダビガトランエテキシラート150mgを併用したとき、本剤/リトナビル反復投与時のダビガトランのAUC及びCmaxはいずれも1.2倍に上昇したので、併用する場合には必要に応じてダビガトランエテキシラートを減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのP糖蛋白阻害作用による)]。
10). ロスバスタチン、プラバスタチン[これらの薬剤の血中濃度上昇により横紋筋融解症が起こる可能性があるので、併用する場合には必要に応じて併用薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること(機序不明)]。
11). ジゴキシン[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とジゴキシン0.4mg1日1回を併用したとき、ジゴキシンのAUCが77%増加したので、併用する場合には必要に応じてジゴキシンの投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのP糖蛋白質阻害作用により、ジゴキシンの血中濃度が上昇することがある)]。
12). コルヒチン〔2.3、9.2.1、9.3.1参照〕[コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性がある(コルヒチンとリトナビルとの併用により、コルヒチンのAUCが196%増加したとの報告がある)ので、併用する場合には必要に応じてコルヒチンの投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用又はP糖蛋白阻害作用により、コルヒチンの血中濃度が上昇することがある)]。
13). グレカプレビル・ピブレンタスビル[グレカプレビルの血中濃度を上昇させる可能性があるので、併用する場合には必要に応じてグレカプレビル・ピブレンタスビルの投与量を減量するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルのP糖蛋白、BCRP又はOATP1B阻害作用により、グレカプレビルの血中濃度が上昇することがある)]。
14). 経口避妊剤(エチニルエストラジオール、ノルエチステロン等)[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とエチニルエストラジオール/ノルエチステロン35μg/1mg1日1回を併用したとき、それぞれエチニルエストラジオールのAUCは44%減少及びノルエチステロンのAUCは14%減少したので、本剤を投与する場合は、別の避妊方法を行うことが望ましい(リトナビルの薬物代謝酵素誘導作用により、これらの薬剤の代謝が促進される)]。
15). セルトラリン[本剤/リトナビル400/100mg1日2回と併用したとき、セルトラリン(50mg1日1回)のAUCが49%減少したので、併用する場合には注意して投与すること(機序不明)]。
16). パロキセチン[本剤/リトナビル400/100mg1日2回と併用したとき、パロキセチン(20mg1日1回)のAUCが39%減少したので、併用する場合には注意して投与すること(機序不明)]。
17). メサドン[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とメサドンを併用したとき、それぞれR-メサドンのAUCが16%減少及びS+メサドンのAUCが36%減少したので、併用する場合には注意して投与すること(機序不明)]。
18). イトラコナゾール、ケトコナゾール(国内では外用剤のみ発売)、ボリコナゾール[本剤又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルとこれらの薬剤のCYP3A4に対する阻害作用により、相互に代謝が阻害される)]。
19). ワルファリン[ワルファリンの血中濃度に影響を与えることがあるので、併用
する場合には必要に応じて本剤又はワルファリンの投与量を調節するなど注意して投与すること(本剤及びリトナビルの薬物代謝酵素に対する阻害作用により、血中濃度に変化がおこることがある)]。
20). ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(NRTI/NtRTI):①. ジダノシン[ジダノシン400mg1日1回(空腹時投与)と本剤/リトナビル600/100mg1日2回(食直後投与)を併用したとき、本剤及びジダノシンの薬物動態に有意な影響はみられなかった(本剤/リトナビルと併用する場合には、用量を調節する必要はないが、なお、ジダノシンは空腹時に服用することが望ましいため、本剤服用の1時間前又は2時間後にジダノシンを服用するなど本剤と同時に投与しないこと)]。
②. テノホビル[テノホビル(フマル酸テノホビルジソプロキシル300mg1日1回)と本剤/リトナビル300/100mg1日2回を併用したとき、テノホビルのAUCが22%増加したが、本剤/リトナビルと併用する場合には、用量を調節する必要はない(機序不明)]。
③. ジドブジン、ザルシタビン、エムトリシタビン、サニルブジン、ラミブジン、アバカビル[これらの薬剤との相互作用を示さないと推察される(これらの薬剤は主に腎排泄型であり、本剤と排泄経路が異なる)]。
21). 非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI):①. エトラビリン[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とエトラビリン100mg1日2回を併用したとき、エトラビリンのAUCが37%減少したが、本剤/リトナビルと併用する場合には、用量を調節する必要はない(機序不明)]。
②. エファビレンツ[本剤/リトナビル300/100mg1日2回とエファビレンツ600mg1日1回を併用したとき、本剤のAUCが13%減少し、エファビレンツのAUCが21%増加したが、本剤/リトナビルと併用する場合には、用量を調節する必要はない(エファビレンツの薬物代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進される)]。
③. ネビラピン[本剤/リトナビル400/100mg1日2回とネビラピン200mg1日2回を併用したとき、ネビラピンのAUCが27%増加したが、本剤/リトナビルと併用する場合には、用量を調節する必要はない(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、ネビラピンの代謝が阻害される)]。
④. リルピビリン[本剤/リトナビル800/100mg1日1回とリルピビリン150mg1日1回を併用したとき、リルピビリンのAUCが130%増加したが、本剤/リトナビルとリルピビリンを併用する場合には、用量を調節する必要はない(本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される)]。
22). HIVプロテアーゼ阻害剤(PI):①. リトナビル[本剤600mgとリトナビル100mgをそれぞれ1日2回併用したとき、リトナビルにより本剤のAUCは14倍に増加したが、本剤はリトナビル100mgを併用投与することが推奨される(リトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される)]。
②. ロピナビル・リトナビル[本剤/リトナビル1200/100mg1日2回とロピナビル・リトナビル400・100mg1日2回又は本剤1200mg1日2回とロピナビル・リトナビル533・133.3mg1日2回を併用したとき、本剤のAUCは40%減少し、本剤/リトナビルと併用したときのロピナビル・リトナビルの推奨用量は確立していないため、本剤及びリトナビルとの併用は推奨されない(本剤及びリトナビルとこれらの薬剤のCYP3A4に対する阻害作用により、血中濃度に変化がおこることがある)]。
③. アタザナビル[本剤/リトナビル400/100mg1日2回とアタザナビル300mg1日1回を併用したとき、本剤及びアタザナビルの薬物動態に有意な影響はみられなかったため、アタザナビルを本剤/リトナビルと併用する場合には、用量を調節する必要はない]。
④. 他のHIVプロテアーゼ阻害剤<リトナビル・インジナビル・アタザナビル以外>[前記以外のプロテアーゼ阻害剤は、本剤/リトナビルとの併用は推奨されない]。
23). インテグラーゼ阻害剤:①. ラルテグラビル[本剤/リトナビルとラルテグラビルを併用したとき、本剤の血漿中濃度が減少する可能性があるが、本剤/リトナビルとラルテグラビルを併用する場合には、用量を調節する必要はない(機序不明)]。
②. ドルテグラビル[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とドルテグラビル30mg1日1回を併用したとき、ドルテグラビルのAUCが22%減少したが、本剤/リトナビルとドルテグラビルを併用する場合には、用量を調節する必要はない(機序不明)]。
24). その他のHIV薬:マラビロク[本剤/リトナビル600/100mg1日2回とマラビロク150mg1日2回を併用したとき、マラビロクのAUCが305%増加した(リトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、マラビロクの代謝が阻害される)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.1%未満)、多形紅斑(0.1%未満)、急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明):重度発疹があらわれた場合は、本剤の投与を直ちに中止し適切な処置を行うこと。
11.1.2. 肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある〔8.7参照〕。
11.1.3. 急性膵炎(0.5%)。
11.2. その他の副作用
1). 感染症及び寄生虫症:(1%未満)毛包炎。
2). 免疫系障害:(1%以上)過敏症、(1%未満)免疫再構築症候群。
3). 代謝及び栄養障害:(1%以上)高トリグリセリド血症(5.5%)、食欲不振、高コレステロール血症、高脂血症、糖尿病、高血糖、(1%未満)脂質異常症、LDL増加、食欲減退、肥満、低ナトリウム血症、多飲症。
4). 精神障害:(1%未満)異常な夢、錯乱状態、失見当識、易刺激性、気分変動、悪夢、不安。
5). 神経系障害:(1%以上)頭痛(13.8%)、(1%未満)末梢性ニューロパシー、感覚鈍麻、記憶障害、錯感覚、傾眠、一過性脳虚血発作。
6). 耳及び迷路障害:(1%未満)回転性めまい。
7). 心臓障害:(1%未満)心筋梗塞、頻脈。
8). 血管障害:(1%未満)高血圧。
9). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(1%未満)呼吸困難、咳嗽、しゃっくり。
10). 胃腸障害:(1%以上)下痢(23.7%)、悪心(14.9%)、腹痛(8.7%)、嘔吐(7.6%)、膵酵素増加、鼓腸、腹部膨満、消化不良、(1%未満)便秘、口内乾燥。
11). 肝胆道系障害:(1%以上)肝酵素増加、(1%未満)急性肝炎。
12). 皮膚及び皮下組織障害:(1%以上)発疹(10.3%)、皮膚そう痒症(5.6%)、体脂肪再分布/体脂肪蓄積、血管浮腫、(1%未満)寝汗、アレルギー性皮膚炎、湿疹、中毒性皮疹、脱毛症、薬剤性皮膚炎、多汗症、皮膚炎症、斑状丘疹状皮疹、蕁麻疹。
13). 筋骨格系及び結合組織障害:(1%以上)筋肉痛、(1%未満)関節痛、四肢痛、骨減少症、骨粗鬆症、骨壊死。
14). 腎及び尿路障害:(1%未満)急性腎障害、腎機能不全、腎結石症、多尿。
15). 生殖系及び乳房障害:(1%未満)女性化乳房。
16). 全身障害及び投与局所様態:(1%以上)疲労(8.6%)、無力症(5.5%)、(1%未満)発熱、悪寒、高熱、末梢性浮腫。
17). 臨床検査:(1%以上)白血球数減少、好中球数減少、好中球絶対数減少、リンパ球数減少、部分トロンボプラスチン時間延長。
高齢者
副作用の発現に注意し慎重に投与すること(本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続するおそれがある)。
授乳婦
9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.2. 妊娠中期及び妊娠後期の妊婦に本剤/リトナビルを投与したとき、出産後と比較しダルナビルの血中濃度低下が認められている〔16.6.3参照〕。
授乳を避けさせること(ダルナビルは、動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されているが、ヒトにおける乳汁への移行は不明である)。
小児等
9.7.1. 低出生体重児、新生児、乳児、3歳未満の幼児には投与しないこと〔2.4、15.2.2参照〕。
9.7.2. 3歳以上の幼児、小児における臨床試験は実施していない〔5.3参照〕。
その他の注意
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. 動物実験(ラット)では、造血系に影響、血液凝固系に影響、肝に影響、腎に影響、膵臓に影響及び甲状腺に影響が認められた。活性化部分トロンボプラスチン時間延長とともに、わずかな赤血球パラメータ減少がみられた。
15.2.2. 生後23から26日(ヒトの3歳未満に相当)まで、幼若ラットにダルナビルを20mg/kgから1000mg/kgの用量で投与した結果、死亡例が認められた〔2.4、9.7.1参照〕。
15.2.3. マウス及びラットを用いたがん原性試験の結果、雌雄に用量依存的な肝細胞腺腫及び肝細胞癌の発現率の増加、雄ラットに甲状腺濾胞細胞腺腫が認められた。
15.2.4. 遺伝毒性試験(in vitro及びin vivo)においてダルナビルは陰性であった。

16.1 血中濃度
16.1.1 プリジスタ錠300mg
健康成人に、リトナビル100mgを1日2回5日間反復経口投与中の3日目に本剤300mg錠2錠を食後に単回経口投与したとき、血漿中ダルナビル濃度は2.0時間(中央値)後にCmax(5.96μg/mL)に達し、約18時間の半減期で消失した(表1、添付文書の図1)。
表1 リトナビル100mgを反復経口投与中に本剤600mgを食後に単回経口投与したときの血漿中ダルナビルの薬物動態パラメータ
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図1 リトナビル100mgを反復経口投与中に本剤600mgを食後に単回経口投与したときの血漿中ダルナビル濃度推移(平均値+標準偏差)

16.1.2 プリジスタ錠300mg/600mg
健康成人に、リトナビル100mgを1日2回5日間反復経口投与中の3日目に、本剤600mg錠1錠又は300mg錠2錠を空腹時又は食後に単回経口投与したときの血漿中ダルナビル濃度-時間推移を添付文書の図2に、薬物動態パラメータを表2に示す。(外国人データ)
図2 リトナビル100mgを1日2回5日間反復経口投与中に本剤600mg錠1錠又は300mg錠2錠を空腹時又は食後に単回経口投与したときのダルナビルの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)

表2 リトナビル100mgを反復経口投与中に本剤600mgを単回経口投与したときの血漿中ダルナビルの薬物動態パラメータ
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HIV患者に本剤/リトナビル600/100mgを食後に1日2回反復経口投与した2試験(C202及びC213試験)併合のダルナビルの母集団薬物動態解析による薬物動態パラメータの推定値を表3に、定常状態におけるダルナビル及びリトナビルの平均血漿中濃度を添付文書の図3に示す。(外国人データ)
表3 ダルナビルの薬物動態パラメータの推定値
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図3 本剤/リトナビル600/100mgを1日2回反復投与したときの定常状態におけるダルナビル及びリトナビルの血漿中濃度推移

16.1.3 プリジスタナイーブ錠400mg/800mg
健康成人に、リトナビル100mgを1日1回5日間反復経口投与中の3日目に、本剤800mg錠1錠又は400mg錠2錠を空腹時又は食後に単回経口投与したときの血漿中ダルナビル濃度-時間推移を添付文書の図4に、薬物動態パラメータを表4に示す。(外国人データ)
図4 リトナビル100mgを1日1回5日間反復経口投与中に本剤800mg錠1錠又は400mg錠2錠を空腹時又は食後に単回経口投与したときのダルナビルの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)

表4 リトナビル100mgを反復経口投与中に本剤800mgを単回経口投与したときの血漿中ダルナビルの薬物動態パラメータ
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本剤/リトナビル800/100mgを食後に1日1回反復経口投与したHIV感染患者335例の血漿中ダルナビル濃度値を用いた母集団薬物動態解析による薬物動態パラメータの推定値を表5に、定常状態におけるダルナビルの平均血漿中濃度推移を添付文書の図5に示す。(外国人データ)
表5 ダルナビルの薬物動態パラメータの推定値(48週時、C211試験)
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図5 本剤/リトナビル800/100mgを食後に1日1回反復投与したときの定常状態におけるダルナビルの平均血漿中濃度推移

16.1.4 性差
母集団薬物動態解析の結果、女性患者での本剤の曝露量は男性に比し16.8%高かったが、この差異に臨床的意義はない。(外国人データ)
16.2 吸収
16.2.1 絶対的バイオアベイラビリティ
健康成人に、本剤とリトナビルを食後に併用投与したときの本剤の絶対的バイオアベイラビリティは、本剤単独投与時の37%から82%に増加した。(外国人データ)
16.2.2 食事の影響
本剤/リトナビル400/100mgを食事と共に投与したときのダルナビルのCmax及びAUClastは、空腹時投与と比較して約30%増加した。異なる内容の食事(総カロリーは240~928Kcal)を摂取したとき、食事の内容によるダルナビルのCmax及びAUClastに差はみられなかった。(外国人データ)
16.3 分布
ダルナビルのヒト血漿蛋白結合率は約95%であり、主に血漿α1酸性糖蛋白質に結合した。(in vitro試験、平衡透析法)
16.4 代謝
ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験で、ダルナビルは主にCYP3A4により酸化的に代謝されることが示唆された。ダルナビルの主な代謝物は3種類あり、野生型HIV株に対する活性はいずれも未変化体の10%以下であった。
健康成人に14C標識した本剤/リトナビル400/100mgを単回経口投与したとき、血漿中放射能の大部分は未変化体由来であることが示された。(外国人データ)
16.5 排泄
健康成人に14C標識した本剤/リトナビル400/100mgを単回経口投与したとき、投与放射能の約79.5%が糞中に、約13.9%が尿中に排泄された。また、未変化体の排泄率は、糞中が約41.2%、尿中が約7.7%であった。
ダルナビル150mgを単独で静脈内投与したときの全身クリアランスは32.8L/hであり、リトナビル100mgと併用したときの全身クリアランスは5.9L/hであった。(外国人データ)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害
軽度及び中等度肝障害患者(各8例)に本剤/リトナビル600/100mgを1日2回反復投与したときのダルナビルの薬物動態を健康被験者と比較したとき、顕著な差は認められなかった。なお、重度肝障害患者を対象とした試験は実施していない。[9.3.2参照]
16.6.2 腎機能障害
中等度腎障害(CLCRが30~60mL/分)を有するHIV‐1感染患者(20例)において、腎機能の低下によりダルナビルの薬物動態に有意な影響がないことが示された。重度腎障害又は末期腎疾患を有するHIV‐1感染患者における試験は実施されていないが、ダルナビルは主に肝臓で代謝されることから、腎障害患者でダルナビルの全身クリアランスは低下しないと推察される。
ダルナビル及びリトナビルの血漿蛋白結合率は高いことから、血液透析や腹膜透析によって除去される可能性は低い。
16.6.3 妊婦、産婦への投与
妊娠中期のHIV感染患者(11例)に、本剤/リトナビル600/100mgを1日2回投与したとき、ダルナビルのCmax、AUC12h及びCminは、出産後(6~12週;11例)と比較してそれぞれ28%、24%及び17%減少した。妊娠後期(11例)では、ダルナビルのCmax及びAUC12hはそれぞれ19%及び17%減少し、Cminは2%上昇した。
妊娠中期のHIV感染患者(16例)に、本剤/リトナビル800/100mgを1日1回投与したとき、ダルナビルのCmax、AUC24h及びCminは、出産後(6~12週;15例)と比較してそれぞれ34%、34%及び32%減少し、妊娠後期(14例)では、それぞれ31%、35%及び50%減少した。[9.5.2参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 制酸剤の影響
本剤/リトナビル400/100mg(1日2回)とオメプラゾール20mg(1日1回)又はラニチジン150mg(1日2回)を併用したとき、オメプラゾール及びラニチジンはダルナビルのCmax及びAUC12に影響を及ぼさなかった。(外国人データ)

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 海外第III相臨床試験(C214試験(TITAN試験))
抗HIV薬の治療歴がありロピナビル・リトナビル(LPV/r)による治療経験がないHIV感染患者595例を対象としたダルナビル600mg及びリトナビル100mgの1日2回投与(DRV/r 600/100mg BID)とロピナビル・リトナビル400/100mgの1日2回投与(LPV/r 400/200mg BID)の無作為割付けによる非盲検第III相比較試験を実施した。両群とも背景治療は医師が至適化した抗HIV薬を用いた。両群の患者背景及び疾患特性に偏りはみられず、DRV/r群298例の年齢中央値は40歳(範囲18-68)、男性が77%、人種は白人54%、黒人18%、ヒスパニック15%、アジア人9%であった。投与前の血中HIV RNA量平均値は4.33log10コピー/mL、CD4陽性リンパ球数の中央値は235/mm3(範囲3-831)であった。96週時の臨床成績を表1に示す。
表1 臨床成績の概要(C214試験)
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副作用発現率は、74.2%(221/298例)であった。主な副作用は、下痢96例(32.2%)、悪心55例(18.5%)、発疹37例(12.4%)、高トリグリセリド血症35例(11.7%)、頭痛33例(11.1%)、腹痛30例(10.1%)であった。
17.1.2 海外第IIb相試験(C202/C213試験(POWER1、2試験))
高度なPI耐性レベルを示すHIV感染患者を対象とした2つの無作為割付けによる用量設定比較試験を実施した。併合解析の結果、DRV/r 600/100mg BID群131例の年齢中央値は43歳(範囲27-73)、男性が89%、人種は白人81%、黒人10%、ヒスパニック7%であった。投与前の血中HIV RNA量平均値は4.61log10コピー/mL、CD4陽性リンパ球数の中央値は153/mm3(範囲3-776)であった。抗HIV薬の治療歴(平均薬剤数)は、DRV/r群(PIが4剤、NRTIが5剤、NNRTIが1剤)と対照PI群(PIが4剤、NRTIが6剤、NNRTIが1剤)と同様であり、Enfuvirtide(ENF)の使用歴はDRV/r群が20%、対照PI群が17%であった。96週時の臨床成績を表2に示す。
表2 臨床成績の概要(C202/C213試験 併合解析)
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薬剤耐性検査(遺伝子型解析及び表現型解析)別のウイルス学的効果:POWER試験及びDUET試験におけるDRV/r 600/100mg BID投与例の併合解析を表3及び表4に示す。投与前の遺伝子型解析ではV11I、V32I、L33F、I47V、I50V、I54L又はM、T74P、L76V、I84V又はL89Vの耐性変異が3つ以上認められる場合、DRV/rのウイルス学的効果が減少した。投与前のダルナビルの表現型解析はウイルス学的効果の予測因子であった。
表3 薬剤耐性検査(遺伝子型解析)別/ENF投与別の24週時のウイルス学的効果(<50コピー/mLの患者割合):POWER、DUET試験の併合解析
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表4 薬剤耐性検査(表現型解析)別/ENF投与別の24週時のウイルス学的効果(<50コピー/mLの患者割合):POWER、DUET試験の併合解析
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17.1.3 海外第III相試験(C229試験(ODIN試験))
抗HIV薬の使用経験のあるHIV感染患者590例を対象としたダルナビル800mg及びリトナビル100mgの1日1回投与(DRV/r 800/100mg QD)とダルナビル600mg及びリトナビル100mgの1日2回投与(DRV/r 600/100mg BID)の無作為割り付けによる非盲検第III相比較試験を実施した。両群ともに、2剤以上のNRTIsによる治療背景があり、ダルナビル耐性関連変異(V11I、V32I、L33F、I47V、I50V、I54M、I54L、T74P、L76V、I84V、L89V)をもたない患者であった。両群の患者背景及び疾患特性に偏りはみられず、年齢中央値は40歳(範囲18-77)、男性が64%、人種は白人36%、黒人26%、ヒスパニック18%、アジア人15%であった。投与前の血中HIV RNA量平均値は4.16log10コピー/mL、CD4陽性リンパ球数の中央値は228/mm3(範囲24-1306)であった。48週時の臨床成績を表5に示す。
表5 臨床成績の概要(C229試験)
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副作用発現率は、42.5%(125/294例)であった。主な副作用は、下痢42例(14.3%)、悪心38例(12.9%)、頭痛20例(6.8%)、発疹20例(6.8%)、腹痛14例(4.8%)、嘔吐13例(4.4%)であった。
17.1.4 海外第III相試験(C211試験(ARTEMIS試験))
抗HIV薬の使用経験のないHIV感染患者689例を対象としたダルナビル800mg及びリトナビル100mgの1日1回投与(DRV/r 800/100mg QD)とロピナビル・リトナビルの1日投与量800・200mg(LPV・r 800・200mg/日)の無作為割付けによる非盲検第III相比較試験を実施した。両群ともテノホビル(TDF)300mg及びエムトリシタビン(FTC)200mgを背景治療とした。両群の患者背景及び疾患特性に偏りはみられず、DRV/r群343例の年齢中央値は34歳(範囲18-70)、男性が70%、人種は白人40%、黒人23%、ヒスパニック23%、アジア人13%であった。投与前の血中HIV RNA量平均値は4.86log10コピー/mL、CD4陽性リンパ球数の中央値は228/mm3(範囲4-750)であった。192週時の臨床成績を表6及び表7に示す。
表6 臨床成績の概要(C211試験)
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表7 投与前HIV RNA量別のウイルス学的効果(<50コピー/mLの患者の割合)
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副作用発現率は、65.6%(225/343例)であった。主な副作用は、下痢116例(33.8%)、頭痛60例(17.5%)、悪心55例(16.0%)、発疹35例(10.2%)、腹痛32例(9.3%)、嘔吐21例(6.1%)であった。

18.1 作用機序
ダルナビルはHIV‐1プロテアーゼの2量体化及び酵素活性を阻害する。本剤はHIV‐1感染細胞においてウイルスのコードするGag‐Polポリ蛋白質の切断を選択的に阻害し、その結果、感染性を有する成熟ウイルスの形成を抑制する。本剤はKD4.5×10の-12乗mol/LでHIV‐1プロテアーゼに強い親和性を有しており、HIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異の影響も受けにくかった。他の代表的な13種のヒトプロテアーゼに対する阻害作用は認められなかった。
18.2 抗ウイルス作用
本剤はヒトT細胞株、ヒト末梢血単核球及びヒト単球/マクロファージに急性感染させたHIV‐1実験室株及び臨床分離株、並びにHIV‐2実験室株に対し抑制作用(EC50値:1.2~8.5nmol/L)を示す。本剤はHIV‐1グループM(A、B、C、D、E、F、G)及びグループOの臨床分離株群及び初代分離株群にin vitroで抗ウイルス活性(EC50値:<0.1~4.3nmol/L)を示す。In vitroにおける本剤の抗ウイルス作用は、50%細胞毒性作用を示す濃度(87~>100μmol/L)よりも十分に低い濃度で認められる。本剤のEC50値はヒト血清存在下では中央値で5.4倍高い。本剤はHIVプロテアーゼ阻害剤(アンプレナビル、ネルフィナビル及びリトナビル)と併用することにより相乗作用を示し、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(アバカビル、ジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、サニルブジン、ザルシタビン及びジドブジン)、ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(テノホビル)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(エトラビリン、エファビレンツ、デラビルジン、ネビラピン及びリルピビリン)、HIVプロテアーゼ阻害剤(アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、サキナビル及びtipranavir)及び融合阻害剤(enfuvirtide)と併用することにより相加作用を示した。本剤とこれらの薬剤との併用において拮抗作用は認められなかった。
18.3 薬剤耐性
ダルナビル存在下で培養した野生型HIV‐1から耐性ウイルスを得るために、3年以上の継代を繰り返したところ、耐性ウイルスの発現が認められた。耐性ウイルスに対して本剤は400nmol/Lを超える濃度で増殖抑制を示した(in vitro)。この耐性ウイルスは、本剤に対しての感受性が23~50倍低下しており、プロテアーゼ遺伝子に2~4個のアミノ酸置換を有していた。これらのウイルスのダルナビル耐性因子とプロテアーゼ内のアミノ酸変異の関連性は認められなかった。HIVプロテアーゼ阻害剤耐性変異を有する9株のHIV‐1からダルナビルの耐性株(EC50値が53~641倍変化)をin vitroで獲得した結果、ダルナビル耐性株のプロテアーゼ内に22個のアミノ酸変異が出現し、このうちL10F、V32I、L33F、S37N、M46I、I47V、I50V、L63P、A71V及びI84Vの変異は耐性分離株の50%超に認められた。ダルナビル耐性(EC50値の比;fold change[FC]>10)となるには、これらの変異のうち最低8個のHIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異が必要であり、うち2個の変異はすでにプロテアーゼ遺伝子内に存在していた。アンプレナビル、アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビルあるいはtipranavirに耐性の臨床分離株1,113株、並びに海外臨床試験C202/C213試験及びC208/C215試験解析に組み入れられた被験者の本剤投与開始前の分離株886株において、本剤に対するFC>10(中央値)を示したのは、10個を超えるHIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異を持ったサブグループのみであった。
18.4 交叉耐性
HIVプロテアーゼ阻害剤には交叉耐性が認められやすい。アンプレナビル、アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル又はtipranavirに対する感受性が低下した臨床分離株3,309株の90%に対して、ダルナビルの感受性低下は10倍未満であり、ほとんどのHIVプロテアーゼ阻害剤に対して耐性を示すウイルスにダルナビルの感受性は保持されていた。HIVプロテアーゼ阻害剤耐性株から選択したダルナビルに耐性を示す9株のうち7株について、tipranavirに関する耐性が検討され、7株のうち6株ではtipranavirに対する感受性低下が小さかった(FC<3)ことから、ダルナビルとtipranavirとの交叉耐性は限定的であることが示されている。作用機序の違いから、ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、融合阻害剤とダルナビルとの間に交叉耐性は生じないと考えられる。

一包可:不明

バラ包装

分割:可能
粉砕:可能
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