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ベクルリー点滴静注用100mg

販売名
ベクルリー点滴静注用100mg
薬価
100mg1瓶 46498.00円
製造メーカー
ギリアド・サイエンシズ

添付文書情報2023年05月改定(第9版)

商品情報

薬効分類名
抗ウイルス剤
一般名
レムデシビル注射用
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
効能・効果
SARS-CoV-2による感染症。
(効能又は効果に関連する注意)
臨床試験等における主な投与経験を踏まえ、次の患者を対象に投与すること[1)酸素投与を要しない患者であって、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者、2)SARS-CoV-2による肺炎を有する患者]。また、本剤の投与対象については最新のガイドラインも参考にすること〔17.1.1、17.1.2参照〕。
用法・用量
通常、成人及び体重40kg以上の小児にはレムデシビルとして、投与初日に200mgを、投与2日目以降は100mgを1日1回点滴静注する。
通常、体重3.5kg以上40kg未満の小児にはレムデシビルとして、投与初日に5mg/kgを、投与2日目以降は2.5mg/kgを1日1回点滴静注する。
なお、総投与期間は10日までとする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 生理食塩液に添加し、30分から120分かけて点滴静注すること〔8.2、14.1参照〕。
7.2. SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始し、3日目まで投与する。ただし、SARS-CoV-2による肺炎を有する患者では、目安として、5日目まで投与し、症状の改善が認められない場合には10日目まで投与する。
肝機能障害患者
8.1. 肝機能障害があらわれることがあるので、投与前及び投与開始後は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔9.3.1、11.1.1参照〕。
8.2. Infusion Reaction、アナフィラキシーを含む過敏症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察するとともに、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと(また、これらの発現を回避できる可能性があるため、本剤の緩徐な投与を考慮すること)〔7.1、11.1.2参照〕。
8.3. 添加剤スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウムにより腎機能障害があらわれるおそれがあるので、投与前及び投与開始後は定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔9.2腎機能障害患者の項参照〕。
添加剤スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウムの尿細管への蓄積により、腎機能障害が悪化するおそれがあり、非臨床試験でレムデシビルに腎尿細管への影響が認められている(腎機能障害を有する患者を対象とした臨床試験は実施していない)〔8.3、15.2、16.6.2参照〕。
9.2.1. 重度腎機能障害(成人でeGFRが30mL/min/1.73㎡未満、乳児でeGFRが30mL/min/1.73㎡未満、幼児でeGFRが30mL/min/1.73㎡未満及び小児でeGFRが30mL/min/1.73㎡未満、正期産新生児<7日~28日>で血清クレアチニン1mg/dL以上)の患者:投与は推奨しない(治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を考慮すること)〔9.7小児等の項、17.1.1、17.1.2参照〕。
9.3.1. ALTが基準範囲上限の5倍以上の患者:投与しないことが望ましい(肝機能障害が悪化するおそれがある)。肝機能障害を有する患者を対象とした臨床試験は実施していない〔8.1、11.1.1、16.6.3、17.1.1、17.1.2参照〕。
相互作用
レムデシビルは有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1の基質である。また、中間代謝物(GS-704277)はOATP1B1及びOATP1B3の基質である〔16.7.1参照〕。
10.2. 併用注意:1). ヒドロキシクロロキン硫酸塩、クロロキン(国内未承認)[レムデシビルの抗ウイルス活性が低下する可能性がある(レムデシビルの活性代謝物の生成及び抗ウイルス活性をクロロキンが阻害する可能性がある)]。
2). シクロスポリン〔16.7.2参照〕[レムデシビル及び中間代謝物<GS-704277>の血漿中濃度が上昇するおそれがある(シクロスポリンの強力なOATP1B1/3阻害作用による)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 肝機能障害:ALT上昇に加えて、肝機能障害の徴候又は肝機能検査値異常(抱合型ビリルビン異常、ALP異常又はINR異常)が認められた場合には、投与を中止すること〔8.1、9.3.1参照〕。
11.1.2. 過敏症(Infusion Reaction、アナフィラキシーを含む):低血圧、血圧上昇、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘鳴、血管性浮腫、発疹、悪心、嘔吐、発汗、悪寒等があらわれることがある〔8.2参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 血液およびリンパ系障害:(0.1%以上1%未満)貧血。
2). 心臓障害:(頻度不明)徐脈。
3). 胃腸障害:(1%以上4%未満)悪心、(0.1%以上1%未満)嘔吐、便秘、下痢。
4). 一般・全身障害および投与部位の状態:(0.1%以上1%未満)注入部位疼痛、疲労、発熱、悪寒。
5). 肝胆道系障害:(0.1%以上1%未満)高トランスアミナーゼ血症、高ビリルビン血症。
6). 臨床検査:(1%以上4%未満)ALT増加、AST増加、(0.1%以上1%未満)プロトロンビン時間延長、肝酵素上昇、肝機能検査値上昇、糸球体濾過率減少、血中クレアチニン増加、血中ビリルビン増加、トランスアミナーゼ上昇、ヘモグロビン減少。
7). 代謝および栄養障害:(0.1%以上1%未満)高トリグリセリド血症。
8). 筋骨格系および結合組織障害:(0.1%以上1%未満)関節痛。
9). 神経系障害:(0.1%以上1%未満)頭痛、浮動性めまい。
10). 精神障害:(0.1%以上1%未満)不眠症。
11). 皮膚および皮下組織障害:(0.1%以上1%未満)発疹、皮膚そう痒症、斑状皮疹。
12). 血管障害:(0.1%以上1%未満)静脈炎。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下しており、既往歴や合併症を伴っていることが多くみられる)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(妊娠ラット及びウサギを用いた胚・胎仔への影響に関する試験で、レムデシビル20mg/kgまでを静脈内投与した場合(主要血中代謝物(ヌクレオシド類似体)の全身曝露量(AUC)が国内承認用量投与時曝露量の4倍に相当)、胚・胎仔発生に対する影響は認められず、雌ラットを用いた受胎能及び初期胚発生への影響に関する試験において、レムデシビル10mg/kgを静脈内投与した場合(主要血中代謝物(ヌクレオシド類似体)の全身曝露量(AUC)が国内承認用量投与時曝露量の1.3倍に相当)、黄体数減少・胚着床数減少・生存胚数減少が認められている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)において、レムデシビル及びその代謝物が乳汁中へ移行することが認められている)。
小児等
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(28日齢未満の小児等を対象とした臨床試験結果は得られていない)〔16.6.1参照〕。
適用上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 再溶解には、注射用水のみを用いること。
14.1.2. バイアルに19mLの注射用水を加え、直ちに30秒間撹拌し、2~3分間静置した後、澄明な溶液であることを確認する(濃度5mg/mL)(内容物が溶解しきれない場合は、撹拌及び静置を繰り返す)。
14.1.3. 容器施栓系に欠陥・変色がなく、溶液中に微粒子がないことを目視で確認する(欠陥・変色や微粒子がみられた場合は使用しないこと)。
14.1.4. 成人及び体重40kg以上の小児については、初日の投与(レムデシビルとして200mg)の場合は2バイアルを用い各バイアルから20mLずつ(合計40mL)、2日目以降(レムデシビルとして100mg)の投与の場合は1バイアルから20mLとり、生理食塩液に添加して全量を100mL又は250mLとする。体重3.5kg以上40kg未満の小児については、[初日の投与(体重3.5kg以上40kg未満の小児)]及び[2日目以降の投与(体重3.5kg以上40kg未満の小児)]を参考に調製する。
14.1.5. 静かに20回を目安に反転させて混和させるが、振とうは避けること。
14.1.6. 注射用水で溶解してから、20~25℃で24時間又は2~8℃で48時間以内に使用すること。
[初日の投与(体重3.5kg以上40kg未満の小児)]1). 体重3.5kg:初日の投与量17.5mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量3.5mL、生理食塩液に添加後の全量25mL。
2). 体重4kg:初日の投与量20mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量4mL、生理食塩液に添加後の全量25mL。
3). 体重5kg:初日の投与量25mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量5mL、生理食塩液に添加後の全量25mL。
4). 体重7.5kg:初日の投与量37.5mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量7.5mL、生理食塩液に添加後の全量50mL。
5). 体重10kg:初日の投与量50mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量10mL、生理食塩液に添加後の全量50mL。
6). 体重15kg:初日の投与量75mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量15mL、生理食塩液に添加後の全量100mL。
7). 体重20kg:初日の投与量100mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量20mL、生理食塩液に添加後の全量100mL。
8). 体重25kg:初日の投与量125mg、バイアル数2、希釈後のバイアルから抜き取る量25(20+5)mL、生理食塩液に添加後の全量100mL。
9). 体重30kg:初日の投与量150mg、バイアル数2、希釈後のバイアルから抜き取る量30(20+10)mL、生理食塩液に添加後の全量100mL。
10). 体重35kg:初日の投与量175mg、バイアル数2、希釈後のバイアルから抜き取る量35(20+15)mL、生理食塩液に添加後の全量250mL。
[2日目以降の投与(体重3.5kg以上40kg未満の小児)]1). 体重3.5kg:維持用量8.8mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量1.8mL、生理食塩液に添加後の全量25mL。
2). 体重4kg:維持用量10mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量2mL、生理食塩液に添加後の全量25mL。
3). 体重5kg:維持用量12.5mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量2.5mL、生理食塩液に添加後の全量25mL。
4). 体重7.5kg:維持用量18.8mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量3.8mL、生理食塩液に添加後の全量50mL。
5). 体重10kg:維持用量25mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量5mL、生理食塩液に添加後の全量50mL。
6). 体重15kg:維持用量37.5mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量7.5mL、生理食塩液に添加後の全量50mL。
7). 体重20kg:維持用量50mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量10mL、生理食塩液に添加後の全量50mL。
8). 体重25kg:維持用量62.5mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量12.5mL、生理食塩液に添加後の全量100mL。
9). 体重30kg:維持用量75mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量15mL、生理食塩液に添加後の全量100mL。
10). 体重35kg:維持用量87.5mg、バイアル数1、希釈後のバイアルから抜き取る量17.5mL、生理食塩液に添加後の全量100mL。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 他の薬剤<注射用水・生理食塩液を除く>と同時に投与しないこと(生理食塩液以外との適合性は不明である)。
14.2.2. 本剤は保存剤を含有しないため、調製後の未使用の希釈液及び使用後の残液は廃棄すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報SARS-CoV-2による感染症患者を対象とした臨床試験(NIAID ACTT-1)では、プロトロンビン時間延長又は国際標準化比増加(INR増加)の発現割合はプラセボ群と比較して本剤投与群で高かった。なお、両投与群間で出血イベントの発現に差は認められなかった。
15.2. 非臨床試験に基づく情報アカゲザルを用いた7日間静脈内投与試験の20mg/kg/日群で腎毒性に伴う死亡、5mg/kg/日以上の群で血中尿素窒素増加・血中クレアチニン増加等の腎機能障害、腎尿細管組織傷害性、ラットを用いた14又は28日間静脈内投与試験において、臨床曝露量未満(10mg/kg/日以上)で血中腎機能マーカー異常・尿素窒素及びクレアチニンの増加、並びに尿中電解質異常・尿中タンパク異常、腎尿細管の組織傷害性が認められた。なお、カニクイザルを用いた28日間静脈内投与試験で、最高用量10mg/kg/日群で腎毒性は認められていない。

16.1 血中濃度
16.1.1 健康成人における薬物動態
外国人健康成人被験者に3mgから225mgの用量範囲でレムデシビルを2時間かけて単回静脈内投与したとき注)、レムデシビルは線形の薬物動態プロファイルを示した。
外国人健康被験者に、レムデシビルを投与初日は200mg、2~5日目又は10日目に100mgを1日1回30分間かけて反復静脈内投与したときのレムデシビル、代謝物であるヌクレオシド類似体(GS‐441524)及び中間代謝物(GS‐704277)の薬物動態パラメータは次のとおりであった。
注)国内承認用法・用量は、投与初日に200mgを、投与2日目以降は100mgを1日1回点滴静注である。
健康成人にレムデシビルを反復静脈内投与したときの血漿中のレムデシビル及び代謝物の薬物動態パラメータ
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16.1.2 患者における薬物動態
健康成人被験者並びに成人及び小児のSARS‐CoV‐2による感染症患者を対象とした試験の併合データを用いて構築した母集団薬物動態モデルにより推定した、成人患者(147例)での本剤の静脈内反復投与後のレムデシビル及びその循環血中代謝物[ヌクレオシド類似体(GS‐441524)及び中間代謝物(GS‐704277)]の薬物動態パラメータは次のとおりであった(外国人のデータ)。
成人患者でのレムデシビル及びその代謝物の薬物動態パラメータa)
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16.3 分布
In vitro試験において、レムデシビルのヒト血漿蛋白に対する結合率は88~93%であった。ヌクレオシド類似体(GS‐441524)のヒト血漿蛋白に対する結合率は低かった(2%)。
外国人健康成人に14C標識したレムデシビル150mgを単回静脈内投与したとき注)、総放射能の血液/血漿比は投与開始15分後で約0.68であり、時間の経過とともに上昇し、投与5時間後では1.0であった。レムデシビル及び代謝物は、血漿又は血液中の細胞成分に対して異なる分布を示す。
16.4 代謝
レムデシビルは主にカルボキシルエステラーゼ1(CES1)により加水分解され、一部カテプシンA(CatA)やCYP3Aにより代謝される。加水分解により生成された中間代謝物(GS‐704277)は主にヒスチジントライアドヌクレオチド結合タンパク質1(HINT1)により代謝される。中間代謝物はホスホルアミダートの分解とそれに続くリン酸化により活性型三リン酸(GS‐443902)となる。一方、脱リン酸化により、効率的に再リン酸化されないヌクレオシド代謝物(GS‐441524)が生成される。
16.5 排泄
外国人健康成人被験者に14C標識レムデシビル150mgを単回静脈内投与したとき注)、投与量の平均総回収率は92%を超え、尿中及び糞中排泄率はそれぞれ約74%及び約18%であった。尿中に回収された大部分は、代謝物であるヌクレオシド類似体(GS‐441524、49%)であり、10%がレムデシビルであった。
注)国内承認用法・用量は、投与初日に200mgを、投与2日目以降は100mgを1日1回点滴静注である。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 小児患者
健康成人被験者並びに成人及び小児のSARS‐CoV‐2による感染症患者を対象とした試験の併合データを用いて構築した母集団薬物動態モデルにより推定した、GS‐US‐540‐5823試験における体重3.0kg以上の28日齢以上18歳未満の小児患者(50例)での本剤の静脈内反復投与後のレムデシビル及び代謝物(ヌクレオシド類似体[GS‐441524]及び中間代謝物[GS‐704277])の薬物動態パラメータは次のとおりであった(外国人のデータ)。[9.7参照]
小児患者における定常状態でのレムデシビル及び代謝物の薬物動態パラメータa)
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注)国内では、体重3.5kg以上の小児に対する用法・用量が承認されている。
16.6.2 腎機能障害
腎機能障害者における薬物動態の検討は実施していない。[9.2参照]
16.6.3 肝機能障害
肝機能障害者における薬物動態の検討は実施していない。[9.3.1参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 In vitro試験成績
レムデシビルはOATP1B1及びP‐gpの基質である。また、CYP3A、UGT1A1、OATP1B1、OATP1B3及びMATE1に対し阻害作用を示す。中間代謝物(GS‐704277)はOATP1B1及びOATP1B3の基質である。[10.参照]
16.7.2 臨床における薬物相互作用試験
薬物相互作用試験の結果を次に示す(外国人のデータ)。[10.2参照]
健康成人に各薬剤を併用投与したときの血漿中のレムデシビル及び代謝物の薬物動態パラメータ比
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17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験
(1)NIAID ACTT‐1試験(NCT04280705)
18歳以上のSARS‐CoV‐2による感染症患者(1,062例、うち15例は国内試験実施施設において登録された)を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、投与初日に本剤200mgを、2~10日目に本剤100mgを1日1回、又はプラセボを静脈内投与した。なお、退院した場合は治験薬投与を中止することとされた。治験薬投与に加えて各国のSARS‐CoV‐2による感染症治療に関するガイドライン等に従った標準療法の実施が可能とされた。主要評価項目は、無作為化後28日目までにおける回復(8点順序尺度注1)のスコア1~3に該当)までの時間であった。その結果、回復までの時間(中央値)について、本剤投与群で10日、プラセボ群で15日であり、本剤群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められた(ハザード比:1.29、95%信頼区間:1.12~1.49、p<0.001、層別ログランク検定)。
図1 無作為化から回復までの時間のイベント発現割合

なお、本試験の主な選択・除外基準は次表のとおりであった。
主な選択・除外基準
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副作用注2)が認められた被験者の割合は、本剤投与群で8%(41/532例)であり、主な副作用はプロトロンビン時間延長2%(9/532例)であった。
注1)8点順序尺度[スコア1:退院かつ活動に制限なし、スコア2:退院かつ活動が制限及び/又は在宅酸素吸入が必要、スコア3:入院しており酸素吸入を要しない-治療の継続が不要、スコア4:入院、酸素吸入を要しない-治療の継続が必要(COVID‐19関連又はそれ以外)、スコア5:入院かつ、酸素吸入を要する、スコア6:入院かつ非侵襲的人工呼吸器又は高流量酸素による管理、スコア7:入院かつECMO又は侵襲的人工呼吸器による管理、スコア8:死亡]
注2)本試験では、Grade3以上の有害事象が収集され、治験薬との因果関係が評価された。加えて、過敏症反応についてはGrade2の治験薬との因果関係が否定できない事象も収集された。
(2)GS‐US‐540‐5773試験(NCT04292899)
12歳以上18歳未満かつ体重40kg以上、及び18歳以上の重症のSARS‐CoV‐2による感染症患者(397例、なお、日本人被験者は組み入れられなかった)を対象とした無作為化非盲検並行群間比較パートにおいて、5日間投与群では、投与初日に本剤200mgを、2~5日目に100mgを1日1回静脈内投与、10日間投与群では、投与初日に本剤200mgを、2~10日目に100mgを1日1回静脈内投与した。なお、退院した場合は治験薬投与を中止することとされた。いずれの投与群も標準療法の併用を受けた。主要評価項目は、無作為化後13日目に7点順序尺度注3)で評価した臨床状態とされた。臨床状態の改善について、5日間投与群に対する10日間投与群の比例オッズ比は0.75[95%信頼区間0.51、1.12]であった。
表1 無作為化後13日目における臨床状態(7点順序尺度)
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なお、本試験の主な選択・除外基準は次表のとおりであった。
主な選択・除外基準
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副作用が認められた被験者の割合は、5日間投与群及び10日間投与群でそれぞれ17%(33/200例)及び20%(40/197例)であった。主な副作用は、ALT増加(5日間投与群で2%(4/200例)、10日間投与群で7%(14/197例))、AST増加(5日間投与群で3%(5/200例)、10日間投与群で6%(11/197例))及び悪心(5日間投与群で5%(9/200例)、10日間投与群で3%(5/197例))であった。
(3)GS‐US‐540‐5774試験(NCT04292730)
12歳以上18歳未満かつ体重40kg以上、及び18歳以上の中等症のSARS‐CoV‐2による感染症患者(584例、なお、日本人被験者は組み入れられなかった)を対象とした無作為化非盲検並行群間比較パートにおいて、5日間投与群では、投与初日に本剤200mgを、2~5日目に100mgを1日1回静脈内投与、10日間投与群では、投与初日に本剤200mgを、2~10日目に100mgを1日1回静脈内投与し、標準療法群と比較した。なお、退院した場合は治験薬投与を中止することとされた。いずれの本剤投与群も標準療法の併用を受けた。主要評価項目は、無作為化後10日目に7点順序尺度注3)で評価した臨床状態とされた。臨床状態の改善について、比例オッズモデルに基づく標準療法群に対する各本剤投与群の比例オッズ比[95%信頼区間]は、5日間投与群で1.65[1.09、2.48、p=0.017]、10日間投与群では1.31[0.88、1.95、p=0.18]であった。
表2 無作為化後10日目における臨床状態(7点順序尺度)
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なお、本試験の主な選択・除外基準は次表のとおりであった。
主な選択・除外基準
→図表を見る(PDF)

副作用が認められた被験者の割合は、5日間投与群及び10日間投与群でそれぞれ19%(36/191例)及び13%(25/193例)であった。主な副作用は、悪心(5日間投与群で7%(13/191例)、10日間投与群で4%(7/193例))であった。
17.1.2 海外第III相試験
GS‐US‐540‐9012試験(NCT04501952)
12歳以上18歳未満かつ体重40kg以上又は18歳以上の重症化リスク因子を一つ以上有するSARS‐CoV‐2による感染症患者(562例)を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、投与初日に本剤200mgを、2及び3日目に本剤100mgを1日1回、又はプラセボを静脈内投与した。治験薬投与に加えて各国のSARS‐CoV‐2による感染症治療に関するガイドライン等に従った標準療法の実施が可能とされた。主要評価項目は、無作為化後28日目までのSARS‐CoV‐2による感染症に伴う入院又は死因を問わない死亡(イベント)が認められた被験者の割合とされた。その結果、イベントの発現割合は、本剤投与群で0.7%(2/279例)、プラセボ群で5.3%(15/283例)であり、本剤投与群における無作為化後28日目までのSARS‐CoV‐2による感染症に伴う入院又は死因を問わない死亡が認められた被験者の割合は、プラセボ群と比較して87%低下した(ハザード比:0.134、95%信頼区間:0.031~0.586、p=0.0076)。いずれの投与群でも無作為化後28日目までに死亡は認められなかった。
表3 無作為化後28日目におけるイベント発現割合
→図表を見る(PDF)

なお、本試験の主な選択・除外基準は次表のとおりであった。
主な選択・除外基準
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副作用が認められた被験者の割合は、本剤投与群で12.2%(34/279例)であり、主な副作用は悪心6.5%(18/279例)及び悪寒2.2%(6/279例)であった。
17.1.3 海外第II/III相試験
GS‐US‐540‐5823試験(NCT04431453)
28日齢以上18歳未満のSARS‐CoV‐2による感染症患者(53例)を対象とした単群非盲検試験(12歳以上かつ体重40kg以上[12例]、12歳未満かつ体重40kg以上[5例]、28日齢以上かつ体重20kg以上40kg未満[12例]、28日齢以上かつ体重12kg以上20kg未満[12例]、28日齢以上かつ体重3kg以上12kg未満[12例])において、体重40kg以上の被験者では投与初日に本剤200mgを、以降最長10日目まで本剤100mgを1日1回静脈内投与し、体重3kg以上40kg未満の被験者では投与初日に本剤5mg/kgを、以降最長10日目まで2.5mg/kgを1日1回静脈内投与した。
本剤を最長10日間静脈内投与した結果、10日目におけるベースラインからの臨床状態の変化の中央値(第1四分位[Q1]、第3四分位[Q3])は、7段階の順序尺度注3)で2.0(1.0、4.0)ポイントの改善であった。62%の患者が10日目までに回復注4)し、回復までの期間の中央値(Q1、Q3)は7(5、16)日であった。また、60%の患者が10日目までに退院した。3名の被験者が本試験期間中に死亡した。
なお、本試験の主な選択・除外基準は次表のとおりであった。
主な選択・除外基準
→図表を見る(PDF)

副作用(全グレード)が認められた被験者の割合は15.1%(8/53例)であった。5%以上でみられた主な副作用は、ALT増加5.7%(3/53例)であった。
注3)7点順序尺度[スコア1:死亡、2:入院かつECMO又は侵襲的人工呼吸器による管理、3:入院かつ非侵襲的換気又は高流量酸素による管理、4:入院かつ低流量酸素による管理、5:入院しており、酸素吸入を要しないがSARS‐CoV‐2による感染症に関わらず継続的な治療を要する、6:入院しており、酸素吸入及び継続的な治療は要しない(ただし、プロトコルに従った本剤の投与は除く)、7:退院]
注4)ベースライン時の臨床状態スコア(7点順序尺度)が2~5から6又は7に改善した場合、又はベースライン時のスコアが6から7に改善した場合

18.1 作用機序
レムデシビルはアデノシンヌクレオシド類似体のプロドラッグである。レムデシビルは、細胞内に分布し、加水分解による代謝を経て、最終的にリン酸化されて薬理学的に活性を有するヌクレオシド三リン酸型の活性代謝物を生成する。活性代謝物はアデノシン三リン酸(ATP)の類似体として、SARS‐CoV‐2 RNA依存性RNAポリメラーゼによって新たに合成されるRNA鎖に天然基質ATPと競合して取り込まれ、ウイルスの複製におけるRNA鎖の伸長反応を取り込みから少し遅れて停止させる。活性代謝物は、ヒト由来のDNAポリメラーゼα、β及びRNAポリメラーゼII、並びにミトコンドリアDNAポリメラーゼγ及びミトコンドリアRNAポリメラーゼに対する阻害作用(IC50値)はいずれも>200μMであった。
18.2 In vitro抗ウイルス活性
レムデシビルは、SARS‐CoV‐2の臨床分離株に対して、薬剤添加48時間後におけるヒト初代培養気道上皮細胞での50%有効濃度(EC50)は9.9nMであった。また、継代培養ヒト肺上皮細胞株Calu‐3及びA549‐hACE2でSARS‐CoV‐2の複製を阻害し、EC50は薬剤添加72時間後及び48時間後でそれぞれ280nM及び115nMであった。なお、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼを構成するNsp12のアミノ酸置換P323Lを含むSARS‐CoV‐2変異体の臨床分離株(alpha株(B.1.1.7系統)、beta株(B.1.351系統)、gamma株(P.1系統)、delta株(B.1.617.2系統)、epsilon株(B.1.429系統)、kappa株(B.1.617.1系統)、lambda株(C.37系統)、iota株(B.1.526系統)、zeta株(P.2系統)及びomicron株(B.1.1.529/BA.1、BA.2、BA.2.12.1、BA.4及びBA.5系統))に対するプラークアッセイ及び/又はNタンパク質ELISAアッセイでは、これら臨床分離株のEC50は初期のSARS‐CoV‐2の系統(A系統)と比較して0.15~2.3倍であった(Vero‐TMPRSS2及びA549‐ACE2‐TMPRSS2細胞株)。
18.3 薬剤耐性
18.3.1 In vitro試験
培養細胞系では、レムデシビルに対する感受性が低下したSARS‐CoV‐2分離株が確認された。GS‐441524(レムデシビルの代謝物であるヌクレオシド類似体)を用いた耐性発現試験において、レムデシビルに対する耐性変異としてNsp12のアミノ酸置換V166A、N198S、S759A、V792I、C799F及びC799Rが同定された。各置換を導入した組換えSARS‐CoV‐2では、レムデシビルに対して1.7~3.5倍の感受性低下を示した。Nsp12のアミノ酸置換P323Lを有するSARS‐CoV‐2分離株を用いたレムデシビルによる耐性発現試験では、Nsp12のアミノ酸置換V166Lが同定された。P323L単独又はP323L+V166L重複置換を導入した組換えSARS‐CoV‐2では、レムデシビルに対してそれぞれ1.3倍及び1.5倍の感受性変化を示した。げっ歯類CoVのマウス肝炎ウイルスを用いたレムデシビルのin vitro耐性解析では、RNA依存性RNAポリメラーゼで全てのCoVに保存された残基において、2カ所の変異(F476L及びV553L)が確認され、レムデシビルに対して5.6倍の感受性低下を示した。この変異体はin vitroでウイルス複製能が低下した。同様の変異(F480L及びV557L)をSARS‐CoVに導入したとき、培養細胞内でレムデシビルに対して6倍の感受性低下を示し、SARS‐CoV感染マウスモデルにおいてウイルスの病原性が減弱した。また、Nsp12にF480L及びV557Lの各変異を導入した組換えSARS‐CoV‐2では、レムデシビルに対して2倍の感受性低下を示した。
18.3.2 臨床試験
NIAID ACTT‐1試験では、ベースライン及びベースライン後におけるSARS‐CoV‐2のRNA依存性RNAポリメラーゼの塩基配列データが得られた本剤群31例のうち、12例で本剤投与後にアミノ酸置換が認められた。本剤群の12例で認められたアミノ酸置換は24種類であり、このうちV792I及びC799F(各1例)はin vitro耐性発現試験で既にレムデシビルに対する耐性変異として特定されており、それぞれ2.2-3.2倍及び2.5-3.5倍の感受性低下を示した。
GS‐US‐540‐9012試験では、ベースライン及びベースライン後におけるSARS‐CoV‐2のRNA依存性RNAポリメラーゼの塩基配列データが得られた本剤群115例のうち、8例で本剤投与後にアミノ酸置換が認められた。本剤群の8例で認められたアミノ酸置換は7種類であり、このうちA376V(1例)は、レプリコンアッセイにおいて12.6倍の感受性低下を示した。
18.4 動物モデルにおける治療効果
SARS‐CoV‐2接種12時間後のアカゲザルSARS‐CoV‐2感染モデルに、投与初日はレムデシビル10mg/kgで1日1回、その後は5mg/kgで1日1回を静脈内ボーラス投与したところ、溶媒対照と比較して、呼吸器系疾患の臨床徴候が改善し、肺病理像及び肺病変所見並びに肺ウイルスRNA量が減少した。

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