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ヘムライブラ皮下注105mg

販売名
ヘムライブラ皮下注105mg
薬価
105mg0.7mL1瓶 889496.00円
製造メーカー
中外製薬

添付文書情報2022年06月改定(第2版)

商品情報

薬効分類名
血漿分画製剤
一般名
エミシズマブ(遺伝子組換え)注射液
警告
1.1. インヒビター保有先天性血友病A患者を対象とした本剤の臨床試験で、活性型プロトロンビン複合体製剤(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体製剤)との併用において重篤な血栓塞栓症及び血栓性微小血管症の発現が複数例に認められているので、本剤投与中及び投与中止後6カ月間は、治療上やむを得ない場合を除き、活性型血液凝固第9因子及び血液凝固第10因子を含む、活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤及び乾燥濃縮人血液凝固第10因子加活性化第7因子製剤の投与を避けること(血栓塞栓症及び血栓性微小血管症のリスクを増大させる可能性がある)〔8.1、10.2、11.1.1、11.1.2参照〕。
1.2. 本剤は血友病治療に十分な知識・経験を持つ医師のもと、緊急時に十分対応できる医療機関で投与開始すること〔8.1、10.2、11.1.1、11.1.2参照〕。
1.3. 本剤の投与開始に先立ち、患者又はその家族に危険性(出血時のバイパス止血製剤の投与における危険性を含む)を十分説明し、同意を得た上で本剤を投与すること。
禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
効能・効果
1). 先天性血友病A(先天性血液凝固第8因子欠乏)患者における出血傾向の抑制。
2). 後天性血友病A患者における出血傾向の抑制。
(効能又は効果に関連する注意)
〈先天性血友病A(先天性血液凝固第8因子欠乏)患者における出血傾向の抑制〉本剤は、血液凝固第8因子に対するインヒビターの有無によらず有効性が確認されている〔17.1.1-17.1.4参照〕。
用法・用量
〈先天性血友病A(先天性血液凝固第8因子欠乏)患者における出血傾向の抑制〉
通常、エミシズマブ(遺伝子組換え)として1回3mg/kg(体重)を1週間の間隔で4回皮下投与し、その1週間後(初回投与から4週間後)の5回目投与から次のいずれかの用法・用量で皮下投与する。
・ 1回1.5mg/kg(体重)を1週間の間隔。
・ 1回3mg/kg(体重)を2週間の間隔。
・ 1回6mg/kg(体重)を4週間の間隔。
〈後天性血友病A患者における出血傾向の抑制〉
通常、エミシズマブ(遺伝子組換え)として1日目に6mg/kg(体重)、2日目に3mg/kg(体重)を皮下投与し、8日目から1回1.5mg/kg(体重)を1週間の間隔で皮下投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉本剤は、出血傾向の抑制を目的とした定期的な投与のみに使用し、出血時の止血を目的とした投与は行わないこと。
7.2. 〈後天性血友病A患者における出血傾向の抑制〉凝固能に関する検査結果及び患者の状態を考慮して、適切な時期に投与を終了すること〔8.5、17.1.5参照〕。
生殖能を有する者
8.1. 〈効能共通〉インヒビター保有先天性血友病A患者を対象とした臨床試験において、本剤投与中の出血時に活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤を併用した36例において、血栓塞栓症が2例(5.6%)、血栓性微小血管症が3例(8.3%)に認められている。また、本剤投与中の出血時に乾燥濃縮人血液凝固第10因子加活性化第7因子製剤を投与することにより血栓塞栓症及び血栓性微小血管症があらわれるおそれがあるため、次の事項に注意すること。当該事項については、その重要性及び必要性を患者又はその家族にも説明し、理解及び同意を得た上で投与を開始すること〔1.1、1.2、10.2、11.1.1、11.1.2参照〕。
8.1.1. 〈効能共通〉本剤投与開始前日までに、バイパス止血製剤による定期輸注は中止し、また、本剤投与中止後6カ月間は、バイパス止血製剤による定期輸注は行わないこと。
8.1.2. 〈効能共通〉本剤投与中にバイパス止血製剤を投与する場合は、活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤及び乾燥濃縮人血液凝固第10因子加活性化第7因子製剤投与は避け、活性型血液凝固第7因子(エプタコグアルファ(活性型)(遺伝子組換え))製剤を投与すること。さらに、次の事項にも注意すること。
(1). 〈効能共通〉本剤投与中にバイパス止血製剤を投与する場合は、活性型血液凝固第7因子製剤は、在宅自己注射を行う場合があるため、投与の必要性の判断方法、用量等を、予め患者に指導する(在宅自己注射を1回実施しても止血できない場合は、医療機関へ連絡するよう指導を行う)[活性型血液凝固第7因子:エプタコグ アルファ(活性型)(遺伝子組換え)]。
(2). 〈効能共通〉本剤投与中にやむを得ず活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤を投与する場合は、必ず血友病に対する十分な治療経験を有する医師のもと、必要な血液凝固系検査等が実施可能で血栓塞栓症及び血栓性微小血管症に対する適切な処置が可能な医療機関で投与し、また、投与後は血液凝固系検査等により患者の凝固系の状態を注意深く確認し、異常が認められた場合には本剤及びバイパス止血製剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(3). 〈効能共通〉乾燥濃縮人血液凝固第10因子加活性化第7因子製剤は、本剤と併用された経験が極めて少ないため、本剤投与中にやむを得ず乾燥濃縮人血液凝固第10因子加活性化第7因子製剤を投与する場合は、必ず血友病に対する十分な治療経験を有する医師のもと、必要な血液凝固系検査等が実施可能で血栓塞栓症及び血栓性微小血管症に対する適切な処置が可能な医療機関で投与し、また、投与後は血液凝固系検査等により患者の凝固系の状態を注意深く確認し、異常が認められた場合には本剤及びバイパス止血製剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8.1.3. 〈効能共通〉本剤投与中止後6カ月間にバイパス止血製剤を投与する場合は、活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤及び乾燥濃縮人血液凝固第10因子加活性化第7因子製剤投与は避け、活性型血液凝固第7因子(エプタコグ アルファ(活性型)(遺伝子組換え))製剤を投与すること。さらに、次の事項にも注意すること。
(1). 〈効能共通〉本剤投与中止後6カ月間にバイパス止血製剤を投与する場合は、活性型血液凝固第7因子製剤は、在宅自己注射を行う場合があるため、投与の必要性の判断方法、用量等を、予め患者に指導する(在宅自己注射を1回実施しても止血できない場合は、医療機関へ連絡するよう指導を行う)[活性型血液凝固第7因子:エプタコグ アルファ(活性型)(遺伝子組換え)]。
(2). 〈効能共通〉本剤投与中止後6カ月間にやむを得ず活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤を投与する場合は、必ず血友病に対する十分な治療経験を有する医師のもと、必要な血液凝固系検査等が実施可能で血栓塞栓症及び血栓性微小血管症に対する適切な処置が可能な医療機関で投与し、また、投与後は血液凝固系検査等により患者の凝固系の状態を注意深く確認し、異常が認められた場合には本剤及びバイパス止血製剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(3). 〈効能共通〉乾燥濃縮人血液凝固第10因子加活性化第7因子製剤は、本剤と併用された経験が極めて少ないため、本剤投与中止後6カ月間にやむを得ず乾燥濃縮人血液凝固第10因子加活性化第7因子製剤を投与する場合は、必ず血友病に対する十分な治療経験を有する医師のもと、必要な血液凝固系検査等が実施可能で血栓塞栓症及び血栓性微小血管症に対する適切な処置が可能な医療機関で投与し、また、投与後は血液凝固系検査等により患者の凝固系の状態を注意深く確認し、異常が認められた場合には本剤及びバイパス止血製剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8.2. 〈効能共通〉本剤は活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)又はAPTTの測定原理に基づく検査値に影響を及ぼすため、本剤を投与した患者の検査値には従来の判断基準が適用できないことに注意すること。
8.3. 〈効能共通〉在宅自己注射における注意8.3.1. 〈効能共通〉本剤の在宅自己注射の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者又はその家族が理解し、確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。
8.3.2. 〈効能共通〉患者又はその家族に対し、在宅自己注射後に何らかの異常が認められた場合は、速やかに医療機関へ連絡するよう指導を行うこと。
8.3.3. 〈効能共通〉在宅自己注射の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに在宅自己注射を中止させ、医師の管理のもとで慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。
8.4. 〈先天性血友病A(先天性血液凝固第8因子欠乏)患者における出血傾向の抑制〉本剤投与開始前に血液凝固第8因子製剤による定期補充療法を実施している患者については、本剤2回目の投与前日までは出血のリスクを低減するため血液凝固第8因子製剤の定期補充を継続することが望ましい。また、先天性血友病Aの場合、本剤投与中の出血に対する血液凝固第8因子製剤の自己注射の必要性及び種類・用量等について、医師はあらかじめ患者又はその家族に指導すること。
8.5. 〈後天性血友病A患者における出血傾向の抑制〉凝固能が回復する場合があるため、第8因子活性、第8因子のインヒビター力価等の検査を定期的に実施すること〔7.2、17.1.5参照〕。
妊娠可能な女性:妊娠可能な女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊法を用いるよう指導すること。
相互作用
10.2. 併用注意:1). 活性型プロトロンビン複合体製剤(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体製剤)〔1.1、1.2、8.1、11.1.1、11.1.2参照〕[血栓塞栓症又は血栓性微小血管症があらわれるおそれがあるので、本剤投与中及び投与中止後6カ月間は、活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤の投与は避けるが、本剤投与中及び投与中止後6カ月間の出血に対してやむを得ず活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤を投与する場合は必ず血友病に対する十分な治療経験を有する医師のもと、必要な血液凝固系検査等が実施可能で血栓塞栓症及び血栓性微小血管症に対する適切な処置が可能な医療機関で投与すること(先天性血液凝固第8因子欠乏ヒト血漿を用いたトロンビン生成試験(in vitro)において、本剤単独時に比べて本剤との併用時に顕著なトロンビン生成の促進が認められ、活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤由来の活性型血液凝固第9因子及び第10因子が本剤による凝固促進に影響を与える可能性が考えられ、凝固活性の増加につながるおそれがある)]。
2). 乾燥濃縮人血液凝固第10因子加活性化第7因子製剤〔1.1、1.2、8.1、11.1.1、11.1.2参照〕[血栓塞栓症又は血栓性微小血管症があらわれるおそれがあるので、本剤投与中及び投与中止後6カ月間は、乾燥濃縮人血液凝固第10因子加活性化第7因子製剤の投与は避けるが、本剤投与中及び投与中止後6カ月間の出血に対してやむを得ず乾燥濃縮人血液凝固第10因子加活性化第7因子製剤を投与する場合は必ず血友病に対する十分な治療経験を有する医師のもと、必要な血液凝固系検査等が実施可能で血栓塞栓症及び血栓性微小血管症に対する適切な処置が可能な医療機関で投与すること(乾燥濃縮人血液凝固第10因子加活性化第7因子製剤に含まれる血液凝固第10因子が本剤による凝固促進に影響を与える可能性が考えられ、凝固活性の増加につながるおそれがある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 血栓塞栓症(0.7%):本剤投与中の出血に対して活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤等のバイパス止血製剤を投与する際、または血栓塞栓症の危険因子を有する後天性血友病A患者に本剤を投与する際は、血栓塞栓症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤及びバイパス止血製剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと〔1.1、1.2、8.1、10.2参照〕。
11.1.2. 血栓性微小血管症(0.7%):本剤投与中の出血に対して活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤等のバイパス止血製剤を投与する際は血栓性微小血管症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤及びバイパス止血製剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと〔1.1、1.2、8.1、10.2参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 消化器:(5%未満)悪心。
2). 皮膚:(5%未満)毛髪成長異常、(頻度不明)発疹、蕁麻疹、血管性浮腫。
3). その他:(5%以上)注射部位反応、(5%未満)頭痛、疲労、血液検査異常(ABO式血液型の凝集素検出能の低下)、血中クレアチンホスホキナーゼ増加。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(生殖発生毒性試験は実施していないが、一般にヒトIgGは胎盤を通過することが知られている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤のヒト乳汁中への移行性については不明であるが、一般にヒトIgGは母乳に分泌されることが知られている)。
小児等
低出生体重児、新生児及び乳児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 異なる濃度の本剤を混注しないこと。
14.1.2. 他の製剤と本剤を混注しないこと。
14.1.3. 製品由来の半透明~白色の微粒子をわずかに含むことがあるので、孔径5μmのフィルターを通した後に投与すること。
14.2. 薬剤投与前の注意14.2.1. 室温に戻しておくこと。
14.3. 薬剤投与時の注意14.3.1. 使用後の残液は使用しないこと。
14.3.2. 外観に異常を認めた場合には使用しないこと。
14.3.3. 投与は腹部又は上腕部や大腿部に行うこと。同一箇所へ繰り返し投与することは避けること。
14.3.4. 皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位<傷・発疹・発赤・硬結等>には投与しないこと。
14.4. 薬剤交付時の注意14.4.1. 患者が家庭で保存する場合は、薬剤バイアルは外箱に入れた状態で、凍結を避け、冷蔵庫内で保存し、やむを得ず室温(30℃以下)で保存する場合は、室温保存期間の累積として7日以内に使用すること。
14.4.2. 子供による誤用等を避けるため、薬剤の保管に十分注意すること。
14.4.3. 使用済みの医療機器の処理については、主治医の指示に従うこと。
20.1. 外箱開封後は遮光して保存すること。
20.2. 本剤は特定生物由来製品ではないが血液製剤代替医薬品であることから、本剤を投与(処方)した場合は、医薬品名及びその製造番号、投与(処方)した日、使用患者名、住所等を記録し、少なくとも20年間保存すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報先天性血友病A患者を対象とした国際共同第3相臨床試験において、抗エミシズマブ抗体産生が398例中14例(3.5%)に報告されている。また、先天性血友病A患者を対象とした国内第1/2相臨床試験において、抗エミシズマブ抗体の産生が18例中4例に報告されている(これらのうち、国際共同第3相臨床試験において、中和活性を有すると考えられる抗エミシズマブ抗体の産生が3例に認められ、効果の減弱(APTT延長、出血の発現)を認めた症例も報告されている)。
後天性血友病A患者を対象とした国内第3相臨床試験において、抗エミシズマブ抗体産生が14例中2例に報告されている(このうち1例では、抗エミシズマブ抗体に起因すると考えられる血漿中エミシズマブ濃度低下が認められた)。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. 本剤はマウス及びラットには交差反応性を示さないため、がん原性試験は実施されていない。
15.2.2. 先天性血液凝固第8因子欠乏ヒト血漿を用いたトロンビン生成試験(in vitro)において、本剤と活性型血液凝固第7因子製剤(エプタコグ アルファ<活性型><遺伝子組換え>製剤)の併用により、活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤との併用時の顕著な作用に比べると弱いものの、トロンビン生成の促進が認められた。また、血液凝固第8因子製剤との併用においてもトロンビン生成の促進が認められた。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人の健康成人男性に本剤0.01、0.1、0.3又は1mg/kg(各6例)を単回皮下投与注)した際の血漿中エミシズマブ濃度の薬物動態パラメータは次表のとおりであった。
→図表を見る(PDF)

16.1.2 反復投与
〈先天性血友病A(先天性血液凝固第VIII因子欠乏)患者における出血傾向の抑制〉
(1)1週間隔
12歳以上のインヒビター保有先天性血友病A患者112例、12歳未満(体重40kg未満の12~17歳を含む)のインヒビター保有先天性血友病A患者63例、又は12歳以上のインヒビター非保有先天性血友病A患者99例に本剤を3mg/kgの用量で1週間隔にて4週間反復皮下投与し、その後1.5mg/kgの用量で1週間隔にて反復皮下投与した際、投与開始4週後に血漿中エミシズマブ濃度トラフ値が定常状態に到達し、その後50μg/mL程度又はそれをやや上回る平均値を維持した。血漿中エミシズマブ濃度トラフ値推移はこれら3つの集団間で同様であった(日本人及び外国人データ)。
(2)2週間隔
12歳以上のインヒビター非保有先天性血友病A患者49例に本剤を3mg/kgの用量で1週間隔にて4週間反復皮下投与し、その後3mg/kgの用量で2週間隔にて反復皮下投与した際、投与開始4週後までの血漿中エミシズマブ濃度トラフ値推移は「(1)1週間隔」と同様であり、その後45μg/mLをやや上回る平均値を維持した(日本人及び外国人データ)。
(3)4週間隔
12歳以上のインヒビター保有及び非保有先天性血友病A患者41例に本剤を3mg/kgの用量で1週間隔にて4週間反復皮下投与し、その後6mg/kgの用量で4週間隔にて反復皮下投与した際、投与開始4週後までの血漿中エミシズマブ濃度トラフ値推移は「(1)1週間隔」と同様であり、その後40μg/mLをやや上回る平均値を維持した(日本人及び外国人データ)。
〈後天性血友病A患者における出血傾向の抑制〉
18歳以上の後天性血友病A患者12例に本剤を1日目に6mg/kg、2日目に3mg/kgの用量で皮下投与し、8日目から1.5mg/kgの用量で1週間隔にて反復皮下投与した際、投与開始1週後に血漿中エミシズマブ濃度トラフ値が定常状態に到達し、その後35μg/mLをやや上回る平均値を維持した。
16.2 吸収
日本人の健康成人男性に本剤1mg/kgを腹部、上腕部又は大腿部(各12例)に単回皮下投与注)した際、血漿中エミシズマブ濃度のCmax及びAUCinfを基に推定された腹部に対する上腕部及び大腿部の相対的バイオアベイラビリティは、82.3%~116.8%の範囲であった。なお、腹部、上腕部及び大腿部への皮下投与時の絶対的バイオアベイラビリティは、80.4%~93.1%の範囲であった。
16.3 分布
日本人の健康成人男性12例に本剤0.25mg/kgを単回静脈内投与注)した際、エミシズマブのVssの平均値は106mL/kgであった。
注)承認された用法・用量は、1回3mg/kg(体重)を1週間の間隔で4回皮下投与し、その1週間後の5回目投与から1回1.5mg/kg(体重)を1週間の間隔、1回3mg/kg(体重)を2週間の間隔又は1回6mg/kg(体重)を4週間の間隔で皮下投与する、又は、1日目に6mg/kg(体重)、2日目に3mg/kg(体重)を皮下投与し、8日目から1回1.5mg/kg(体重)を1週間の間隔で皮下投与する、である。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈先天性血友病A(先天性血液凝固第VIII因子欠乏)患者における出血傾向の抑制〉
17.1.1 国際共同第III相臨床試験(BH29884試験)
成人/青年(12歳以上)のインヒビター保有先天性血友病A患者を対象とし、バイパス止血製剤による出血時の止血療法を実施していた患者53例(日本人6例を含む)を、本剤を3mg/kgの用量で週1回4週間反復皮下投与した後1.5mg/kgの用量で週1回反復皮下投与する群(A群:本剤定期投与群)又は出血時の止血療法を継続する群(B群:本剤定期投与非実施群)にランダムに2:1の比で割り付け、割り付けられた最終の患者が24週の観察期間を完了した時点又は試験を中止した時点で両群の年間出血率を比較した。主要評価項目である治療を要した出血の年間出血率の成績は次表のとおりであった。
→図表を見る(PDF)

また、試験登録前にバイパス止血製剤の定期輸注を受けていた患者に、A群と同様の用法・用量で本剤を定期的に投与する群(C群)での患者内比較[24例(日本人6例を含む)]では、副次的評価項目とした治療を要した出血の年間出血率[95%信頼区間]は、本剤投与前のバイパス止血製剤定期輸注時[観察期間の中央値(範囲):32.1週(8.1~49.3週)]には15.7[11.08、22.29]回/年であったのに対し、その後の本剤定期投与時[観察期間の中央値(範囲):30.1週(6.9~45.3週)]には3.3[1.33、8.08]回/年であった(初回承認時)。
本試験で本剤を投与された全患者での副作用発現頻度は29.5%(33/112例)であった。主な副作用は、注射部位反応15.2%(17/112例)であった(承認事項一部変更承認時)。[5.参照]
17.1.2 国際共同第III相臨床試験(BH29992試験)
小児(12歳未満)のインヒビター保有先天性血友病A患者60例[2歳以下の10例(1歳が5例、2歳が5例)を含む](日本人8例を含む)に本剤を3mg/kgの用量で週1回4週間反復皮下投与し、その後1.5mg/kgの用量で週1回反復皮下投与した。その内、12週間以上投与された59例(日本人8例を含む)の観察期間の中央値(範囲)は29.6週(18.4~63.0週)であった。同59例での治療を要した出血の年間出血率[95%信頼区間]は0.3[0.13、0.52]回/年であった。
本試験で本剤を投与された全患者での副作用発現頻度は19.0%(12/63例)であった。主な副作用は、注射部位反応17.5%(11/63例)であった(承認事項一部変更承認時)。[5.参照]
17.1.3 国際共同第III相臨床試験(BH30071試験)
成人/青年(12歳以上)のインヒビター非保有重症先天性血友病A患者を対象とし、血液凝固第VIII因子製剤による出血時の止血療法を実施していた患者89例(日本人10例を含む)を対象に、本剤を3mg/kgの用量で週1回4週間反復皮下投与した後1.5mg/kgの用量で週1回反復皮下投与する群(A群:本剤週1回定期投与群)、本剤を3mg/kgの用量で週1回4週間反復皮下投与した後3mg/kgの用量で2週に1回反復皮下投与する群(B群:本剤2週に1回定期投与群)又は出血時の止血療法を継続する群(C群:本剤定期投与非実施群)にランダムに2:2:1の比で割り付け、割り付けられた最終の患者が24週の観察期間を完了した時点又は試験を中止した時点でA群及びB群とC群の年間出血率を比較した。主要評価項目である治療を要した年間出血率の成績は次表のとおりであった。
→図表を見る(PDF)

また、試験登録前に血液凝固第VIII因子製剤の定期補充を受けていた患者に、A群と同様の用法・用量で本剤を定期的に投与する群(D群)での患者内比較[48例(日本人9例を含む)]では、副次的評価項目とした治療を要した出血の年間出血率[95%信頼区間]は、本剤投与前の血液凝固第VIII因子製剤の定期補充時[観察期間の中央値(範囲):30.1週(5.0~45.1週)]には4.8[3.22、7.09]回/年であったのに対し、その後の本剤の定期投与時[観察期間の中央値(範囲):33.7週(20.1~48.6週)]には1.5[0.98、2.33]回/年であった。
本試験で本剤を投与された全患者での副作用発現頻度は30.7%(46/150例)であった。主な副作用は、注射部位反応25.3%(38/150例)であった(承認事項一部変更承認時)。[5.参照]
17.1.4 国際共同第III相臨床試験(BO39182試験)
成人/青年(12歳以上)のインヒビター保有及び非保有先天性血友病A患者41例(日本人6例を含む)に本剤を3mg/kgの用量で週1回4週間反復皮下投与し、その後6mg/kgの用量で4週に1回反復皮下投与した。観察期間の中央値(範囲)は25.6週(24.1~29.4週)であった。治療を要した出血の年間出血率[95%信頼区間]は2.4[1.38、4.28]回/年であった。
本試験で本剤を投与された全患者での副作用発現頻度は27.1%(13/48例)であった。主な副作用は、注射部位反応20.8%(10/48例)であった(承認事項一部変更承認時)。[5.参照]
〈後天性血友病A患者における出血傾向の抑制〉
17.1.5 国内第III相臨床試験(JO42003試験)
成人(18歳以上)の後天性血友病A患者を対象とし、治験登録時点で免疫抑制療法を直ちに開始予定又は実施中の患者12例を対象に、本剤を1日目に6mg/kg、2日目に3mg/kgの用量で皮下投与し、8日目から1.5mg/kgの用量で週1回反復皮下投与した。第VIII因子活性が50IU/dL超であることが確認され、かつ直近の治療を要した出血に対する最後の血液凝固因子製剤投与から72時間超が経過していた場合に本剤の投与を終了した(投与終了基準)。
本剤投与開始から投与終了基準を満たすまで(又はデータカットオフ日のいずれか早い方)の評価期間[中央値(範囲):44.5日(8~208日)]では、12例中2例(16.7%)で治療を要した出血が発現し、治療を要した大出血は発現しなかった。診断日又は初回出血日のいずれか早い方(最大本剤投与開始から24週間前)から本剤投与開始日までの評価期間[中央値(範囲):68.0日(17~168日)]では、12例中6例(50.0%)で治療を要した出血が発現し、その6例全例で治療を要した大出血が発現した。治療を要した出血の年間出血率において、本剤投与開始前と比較して本剤投与開始後で減少或いは0を維持したのは、12例中11例(91.7%)であった。
本試験で本剤を投与された全患者での副作用発現頻度は25%(3/12例)であった。その内訳は、深部静脈血栓症、プロトロンビンフラグメント1・2増加、血小板減少症が各1例(8.3%)であった。[7.2、8.5参照]

18.1 作用機序
本剤は、活性型血液凝固第IX因子及び血液凝固第X因子に結合するヒト化二重特異性モノクローナル抗体であり、血液凝固第VIII因子の機能代替作用を有する。
18.2 In vitro抗原結合及び活性型血液凝固第IX因子による血液凝固第X因子活性化の促進作用
本剤は、プラズモン共鳴法によるin vitroタンパク質結合測定系において活性型血液凝固第IX因子及び血液凝固第X因子に結合し、合成発色基質法によるin vitro酵素反応測定系において活性型血液凝固第IX因子による血液凝固第X因子の活性化を促進した。
18.3 In vitro血液凝固反応促進作用
本剤は、インヒビター含有血液凝固第VIII因子欠乏血漿及びインヒビター非含有血液凝固第VIII因子欠乏血漿のいずれにおいても、in vitro添加によりAPTTの短縮及びトロンビン生成の増加を示し、血液凝固反応を促進した。また本剤は、後天性血友病A患者血漿においても、in vitro添加によりインヒビターのエピトープの違いによらずトロンビン生成の増加を示した。
18.4 In vivo出血傾向抑制作用及び止血作用
抗血液凝固第VIII因子抗体を投与することにより血友病Aを誘発させたサルにおいて、本剤投与による出血傾向抑制作用及び止血作用が認められた。

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