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リオベル配合錠HD

販売名
リオベル配合錠HD
識別コード
383 30 25
薬価
1錠 169.30円
製造メーカー
帝人ファーマ

添付文書情報2023年04月改定(第3版)

商品情報

薬効分類名
その他の糖尿病用剤
一般名
アログリプチン安息香酸塩・ピオグリタゾン塩酸塩配合剤(2)錠
禁忌
2.1. 心不全の患者及び心不全の既往歴のある患者[ピオグリタゾンでは、動物試験において循環血漿量の増加に伴う代償性の変化と考えられる心重量の増加がみられており、また、臨床的にも心不全を増悪あるいは発症したとの報告がある]〔11.1.1、11.1.2参照〕。
2.2. 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖是正が必須となるので本剤の投与は適さない]。
2.3. 重篤な肝機能障害のある患者〔9.3.1、16.6.2参照〕。
2.4. 重篤な腎機能障害のある患者〔9.2.1、16.6.1参照〕。
2.5. 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない]。
2.6. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.7. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
効能・効果
2型糖尿病(ただし、アログリプチン安息香酸塩及びピオグリタゾン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る)。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬としないこと。
5.2. 原則として、次の場合に、本剤の使用を検討すること。
・ 既にアログリプチン安息香酸塩(アログリプチンとして1日25mg)及びピオグリタゾン塩酸塩(ピオグリタゾンとして1日15mg又は30mg)を併用し状態が安定している場合、本剤の使用を検討すること。
・ アログリプチン安息香酸塩(アログリプチンとして1日25mg)単剤の治療により効果不十分な場合、本剤の使用を検討すること。
・ ピオグリタゾン塩酸塩(ピオグリタゾンとして1日15mg又は30mg)単剤の治療により効果不十分な場合、本剤の使用を検討すること。
5.3. 本剤投与中において、本剤の投与がアログリプチン安息香酸塩及びピオグリタゾン塩酸塩の各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。
5.4. 本剤を使用する場合は、インスリン抵抗性が推定される患者に限定すること。インスリン抵抗性の目安は肥満度(Body Mass Index=BMI kg/㎡)で24以上あるいはインスリン分泌状態が空腹時血中インスリン値で5μU/mL以上とする。
5.5. 本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること。
用法・用量
通常、成人には1日1回1錠(アログリプチン/ピオグリタゾンとして25mg/30mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 中等度以上の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス値が50mL/min未満*)では、排泄の遅延によりアログリプチンの血中濃度が上昇するので本剤は使用せず、アログリプチン安息香酸塩及びピオグリタゾン塩酸塩の各単剤を併用すること〔9.2.2、16.6.1参照〕。
*)クレアチニンクリアランスに相当する血清クレアチニンの換算値:男性では>1.4mg/dL、女性では>1.2mg/dL(年齢60歳、体重65kgの場合)。
7.2. ピオグリタゾン塩酸塩の投与により浮腫が比較的女性に多く報告されているので、女性に投与する場合は、浮腫の発現に留意し、これまでのピオグリタゾンの投与量を考慮のうえ、アログリプチン/ピオグリタゾンとして1日1回25mg/15mgからの投与開始を検討すること〔8.1、11.1.2参照〕。
7.3. 高齢者に投与する場合は、これまでのピオグリタゾンの投与量を考慮のうえ、アログリプチン/ピオグリタゾンとして1日1回25mg/15mgからの投与開始を検討すること〔9.8高齢者の項、16.6.3参照〕。
肝機能障害患者
8.1. 循環血漿量の増加によると考えられる浮腫が短期間に発現し、また心不全増悪あるいは心不全が発症することがあるので、服用中の浮腫、急激な体重増加、症状の変化に注意し、異常がみられた場合には直ちに本剤の服用を中止し、受診するよう患者を指導すること〔7.2、9.1.1、11.1.1、11.1.2参照〕。
8.2. 心電図異常や心胸比増大があらわれることがあるので、定期的に心電図検査を行うなど十分に観察し、異常が認められた場合には投与を一時中止するかあるいは減量するなど慎重に投与すること〔11.1.1参照〕。
8.3. 低血糖症状を起こすことがあるので、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明し、注意を喚起すること〔9.1.2、11.1.4参照〕。
8.4. 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること〔11.1.4参照〕。
8.5. ピオグリタゾンを投与された患者で膀胱癌の発生リスクが増加する可能性が完全には否定できないので、次の点に注意すること〔15.1.1、15.2.1参照〕。
・ 膀胱癌治療中の患者には投与を避けること。また、特に、膀胱癌の既往を有する患者には本剤の有効性及び危険性を十分に勘案した上で、投与の可否を慎重に判断すること。
・ 投与開始に先立ち、患者又はその家族に膀胱癌発症のリスクを十分に説明してから投与すること。また、投与中に血尿、頻尿、排尿痛等の症状が認められた場合には、直ちに受診するよう患者に指導すること。
・ 投与中は、定期的に尿検査等を実施し、異常が認められた場合には、適切な処置を行い、また、投与終了後も継続して、十分な観察を行うこと。
8.6. 急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること〔11.1.7参照〕。
8.7. 投与する場合には、血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、効果が不十分な場合には、速やかに他の治療薬への切り替えを行うこと。
8.8. 急激な血糖下降に伴い、糖尿病性網膜症が悪化する例があるので留意すること。
8.9. 本剤と他の糖尿病用薬の併用における安全性は検討されていない。
8.10. 本剤の有効成分であるDPP-4阻害剤とGLP-1受容体作動薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有しており、DPP-4阻害剤とGLP-1受容体作動薬を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。
9.1.1. 心不全発症のおそれのある心筋梗塞、心不全発症のおそれのある狭心症、心不全発症のおそれのある心筋症、心不全発症のおそれのある高血圧性心疾患等の心不全発症のおそれのある心疾患のある患者:循環血漿量の増加により心不全を発症させるおそれがある〔8.1、11.1.1、11.1.2参照〕。
9.1.2. 低血糖を起こすおそれのある次の患者または状態。
・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全の患者。
・ 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態の患者。
・ 激しい筋肉運動をしている患者。
・ 過度のアルコール摂取者。
〔8.3、11.1.4参照〕。
9.1.3. 腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者:腸閉塞を起こすおそれがある〔11.1.9参照〕。
9.2.1. 重篤な腎機能障害のある患者:投与しないこと〔2.4、16.6.1参照〕。
9.2.2. 腎機能障害<重篤な腎機能障害を除く>患者:中等度以上の腎機能障害では、排泄の遅延によりアログリプチンの血中濃度が上昇するおそれがある〔7.1、16.6.1参照〕。
9.3.1. 重篤な肝機能障害のある患者:投与しないこと(ピオグリタゾンは主に肝臓で代謝されるため、蓄積するおそれがある)〔2.3、16.6.2参照〕。
9.3.2. 肝機能障害<重篤な肝機能障害を除く>患者:ピオグリタゾンは主に肝臓で代謝されるため、蓄積するおそれがある〔16.6.2参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:1). 糖尿病用薬(スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬、α-グルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド系薬剤、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害剤、インスリン製剤)〔11.1.4参照〕[低血糖を発現するおそれがある(併用により血糖降下作用が増強するおそれがある)。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用
する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるので、これらの薬剤の減量を検討すること(併用により血糖降下作用が増強するおそれがある)]。
2). 糖尿病用薬の血糖降下作用を増強する薬剤(β-遮断薬、サリチル酸製剤、モノアミン酸化酵素阻害薬、フィブラート系の高脂血症治療薬、ワルファリン等)[血糖が低下するおそれがある(併用により血糖降下作用が増強するおそれがある)]。
3). 糖尿病用薬の血糖降下作用を減弱する薬剤(アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等)[血糖が上昇するおそれがある(併用により血糖降下作用が減弱するおそれがある)]。
4). リファンピシン等のCYP2C8を誘導する薬剤[併用する場合は血糖管理状況を十分に観察し、必要に応じピオグリタゾンを増量すること(リファンピシンと併用するとピオグリタゾンのAUCが54%低下するとの報告がある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 心不全(頻度不明):心不全増悪あるいは発症することがあるので、投与中は観察を十分に行い、浮腫、急激な体重増加、心不全症状・徴候(息切れ、動悸、心胸比増大、胸水等)がみられた場合には投与を中止し、ループ利尿剤等を投与するなど適切な処置を行うこと(特に心不全発症のおそれのある心疾患の患者には注意すること)〔2.1、8.1、8.2、9.1.1参照〕。
11.1.2. 浮腫(頻度不明):循環血漿量の増加によると考えられる浮腫があらわれることがあるので、観察を十分に行い、浮腫が認められた場合には、減量あるいは中止するなど適切な処置を行い、これらの処置によっても症状が改善しない場合には、必要に応じてループ利尿剤(フロセミド等)の投与等を考慮すること。
なお、女性においてピオグリタゾンによる浮腫の発現が多くみられている[ピオグリタゾン国内臨床試験:男性4.2%(29/687例)、女性12.2%(83/681例)]。また、ピオグリタゾンによる浮腫の発現頻度は、糖尿病性網膜症合併例で10.4%(44/422例)、糖尿病性神経障害合併例で11.4%(39/342例)、糖尿病性腎症合併例で10.6%(30/282例)であり、糖尿病性合併症発症例は非発症例に比べ高い傾向にあるので、これらの症例にあっては浮腫の発現に特に留意すること〔2.1、7.2、8.1、9.1.1、11.2参照〕。
11.1.3. 肝機能障害、黄疸(頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいAL-P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.4. 低血糖(0.1~5%未満):低血糖があらわれることがあるので、低血糖症状が認められた場合、本剤あるいは併用している糖尿病用薬を一時的に中止するかあるいは減量するなど慎重に投与すること。なお、DPP-4阻害剤で、スルホニルウレア剤との併用又はインスリン製剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取させるなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤の併用時に低血糖症状が認められた場合には、ブドウ糖を投与すること〔8.3、8.4、9.1.2、10.2、17.1.1、17.1.2、17.2.1参照〕。
11.1.5. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。
11.1.6. 間質性肺炎(頻度不明):咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、速やかに胸部CT、速やかに血清マーカー等の検査を実施すること(間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと)。
11.1.7. 急性膵炎(頻度不明):持続的な激しい腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.6参照〕。
11.1.8. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(頻度不明)。
11.1.9. 腸閉塞(頻度不明):高度便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.1.3参照〕。
11.1.10. 類天疱瘡(頻度不明):水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.11. 胃潰瘍再燃。
11.2. その他の副作用
1). 血液:(0.1~5%未満)貧血、(頻度不明)白血球減少、血小板減少[血液検査を定期的(3ヵ月に1回程度)に行うこと]。
2). 循環器:(0.1~5%未満)血圧上昇、(頻度不明)心胸比増大、心電図異常、動悸、胸部圧迫感、顔面潮紅。
3). 過敏症:(0.1~5%未満)発疹、湿疹、そう痒、(頻度不明)じん麻疹。
4). 消化器:(0.1~5%未満)腹部膨満、便秘、胃腸炎、(頻度不明)悪心・嘔吐、胃部不快感、胸やけ、腹痛、鼓腸、下痢、食欲亢進、食欲不振。
5). 肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇、AL-P上昇、γ-GTP上昇。
6). 精神神経系:(0.1~5%未満)脱力感、しびれ、(頻度不明)めまい、ふらつき、頭痛、眠気、倦怠感。
7). その他:(0.1~5%未満)息切れ、筋肉痛、(頻度不明)LDH上昇及びCK上昇、BUN上昇及びカリウム上昇、総蛋白低下及びカルシウム低下、体重増加及び尿蛋白増加、鼻咽頭炎、関節痛、ふるえ、急激な血糖下降に伴う糖尿病性網膜症悪化、*骨折[*:外国の臨床試験で、女性において骨折の発現頻度上昇が認められている]、※糖尿病性黄斑浮腫の発症又は※糖尿病性黄斑浮腫増悪[※:浮腫、体重増加に伴ってあらわれることがあるので、視力低下等の異常が認められた場合には黄斑浮腫の可能性を考慮し適切な処置を行うこと〔11.1.2参照〕]。
高齢者
これまでのピオグリタゾンの投与量を考慮のうえ、慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)〔7.3、16.6.1-16.6.3参照〕。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ピオグリタゾンについては、ラット器官形成期投与試験では、40mg/kg以上の群で胚死亡率高値・胎仔死亡率高値、出生仔生存率低値が、ウサギ器官形成期投与試験では、160mg/kg群で親動物の死亡又は流産がそれぞれ1例、胚・胎仔死亡率の高値がみられている。また、アログリプチンでは、動物試験(ラット)において、胎盤通過が報告されている〔2.7参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(アログリプチン及びピオグリタゾンでは、ラットで乳汁中への移行が報告されている)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 海外で実施した糖尿病患者を対象とした疫学研究(10年間の大規模コホート研究)において、ピオグリタゾンの膀胱癌の発生リスクに統計学的な有意差は認められなかったが、膀胱癌の発生リスク増加の可能性を示唆する疫学研究も報告されている〔8.5参照〕。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. ラット及びマウスにピオグリタゾンを24ヵ月間強制経口投与した試験では、ラット雄の3.6mg/kg/日以上の群に膀胱腫瘍がみられた〔8.5参照〕。
15.2.2. 家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis:FAP)のモデル動物であるMinマウスにピオグリタゾンの類薬(トログリタゾン及びロシグリタゾン)を経口投与したところ、結腸腫瘍の数及び大きさを増大させたとの報告がある。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人(31例)にアログリプチン/ピオグリタゾンとして25mg/30mg(配合錠投与)又はアログリプチンとして25mg及びピオグリタゾンとして30mg(単剤併用投与)をクロスオーバー法により1日1回絶食下で単回経口投与した時のアログリプチン未変化体及びピオグリタゾン未変化体の血漿中濃度推移は次のとおりであり、生物学的同等性が認められた。
アログリプチン未変化体の血漿中濃度推移

ピオグリタゾン未変化体の血漿中濃度推移

また、配合錠投与時のアログリプチン未変化体、ピオグリタゾン未変化体及び活性代謝物(M‐II~IV)の薬物動態学的パラメータは次表のとおりであった。
アログリプチンの薬物動態学的パラメータ
→図表を見る(PDF)

ピオグリタゾンの薬物動態学的パラメータ
→図表を見る(PDF)

なお、Wistar fattyラットで調べた血糖低下作用において、ピオグリタゾンの代謝物M‐II~IVの活性は未変化体より弱かった。
16.2 吸収
健康成人(11例)にアログリプチン/ピオグリタゾンとして25mg/30mgを食後経口投与した時、絶食下投与と比較してアログリプチンのCmaxは16.5%増加、AUCは6.5%減少、ピオグリタゾンのCmaxは20.9%増加、AUCは1.6%減少した。
16.3 分布
[14C]アログリプチンを0.01~10μg/mLの濃度でヒト血漿に添加した時の蛋白結合率は、28.2~38.4%であった(in vitro)。
[14C]ピオグリタゾンをヒトの血清、4%ヒト血清アルブミン溶液に添加した時の蛋白結合率は、いずれも98%以上であった(in vitro)。
16.4 代謝
アログリプチンはCYP2D6によりN‐脱メチル化体の活性代謝物M‐Iに、また、N‐アセチル化により非活性代謝物M‐IIに代謝されるが、M‐I及びM‐IIのAUCはそれぞれ血漿中アログリプチンの1%未満及び6%未満であり、いずれも微量代謝物であった。
また、アログリプチンはCYP3A4/5に対して弱い阻害作用と弱い誘導作用を示したが、CYP1A2、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6を阻害せず、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19を誘導しなかった(in vitro)。
ピオグリタゾンはCYP1A1、CYP1A2、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4の複数の分子種が関与しエーテル部の開裂、エチレン部分の酸化、エチル基の酸化などを受けてM‐I~VIに代謝される。また、ピオグリタゾンはCYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4にほとんど影響を与えなかった(in vitro)。
16.5 排泄
16.5.1 尿中排泄
健康成人(8例)にアログリプチンとして25mgを1日1回7日間反復経口投与した時、投与216時間後までのアログリプチンの累積尿中排泄率は72.8%であった。また、健康成人(8例)にアログリプチンとして25mgを単回経口投与した時の腎クリアランスは10.7L/h(178mL/min)であり、アログリプチンの尿中排泄には、能動的な尿細管分泌の関与が示唆される。
健康成人(14例)に空腹時にピオグリタゾンとして1回30mgを単回経口投与した時、尿中には主としてM‐IV~VIが排泄され、投与後48時間までの累積尿中排泄率は約30%であった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害者
腎機能の程度が異なる成人にアログリプチンとして50mgを単回経口投与した時注1)のAUCは、年齢と性別を対応させた健康成人と比較して、中等度腎機能障害者(Ccr=30~50mL/min、6例)では2.1倍、高度腎機能障害者(Ccr<30mL/min、6例)では3.2倍、末期腎不全罹患者(6例)では3.8倍増加した。また、アログリプチンは血液透析3時間後に投与量の7.2%が除去された(外国人データ)。[2.4、7.1、9.2、9.8、13.1参照]
注1)アログリプチン安息香酸塩単剤の国内承認用量はアログリプチンとして25mgである。
16.6.2 肝機能障害者
中等度肝機能障害者(Child‐Pugh注2)スコアが7~9、8例)及び健康成人(8例)にアログリプチンとして25mgを単回経口投与した時、中等度肝機能障害者のCmax、AUCは、健康成人と比較してそれぞれ7.7%、10.1%減少した(外国人データ)。[2.3、9.3、9.8参照]
注2)ビリルビン、アルブミン、PT又はINR、肝性脳症、腹水症の状態からスコア化する分類
16.6.3 高齢者
健康な高齢者(65歳以上85歳以下、8例)及び非高齢者(20歳以上35歳以下、8例)にアログリプチンとして25mgを単回経口投与した時、高齢者のCmax、AUCは、非高齢者と比較してそれぞれ47.7%、30.3%増加した。[7.3、9.8参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 アログリプチンとピオグリタゾン
健康成人(30例)にピオグリタゾン(CYP2C8基質)として45mg及びアログリプチンとして25mgを1日1回12日間反復投与した時(3×3クロスオーバー試験)、ピオグリタゾン及びアログリプチンのCmax、AUCに併用投与による影響はみられなかった(外国人データ)。
16.7.2 アログリプチンとその他の薬剤
アログリプチンとゲムフィブロジル(CYP2C8、CYP2C9阻害剤)、フルコナゾール(CYP2C9阻害剤)、ケトコナゾール(CYP3A4阻害剤)、シクロスポリン(P‐糖蛋白阻害剤)、カフェイン(CYP1A2基質)、ワルファリン(CYP1A2基質、CYP2C9基質、CYP3A4基質)、グリベンクラミド(CYP2C9基質)、トルブタミド(CYP2C9基質)、デキストロメトルファン(CYP2D6基質)、ミダゾラム(CYP3A4基質)、アトルバスタチン(CYP3A4基質)、エチニルエストラジオール(CYP3A4基質)、ノルエチンドロン(CYP3A4基質)、フェキソフェナジン(P‐糖蛋白基質)、ジゴキシン(P‐糖蛋白基質、腎排泄)、メトホルミン又はシメチジン(腎排泄)、ボグリボース注3)との薬物間相互作用を検討したが、いずれも併用投与の影響はみられなかった(外国人データ)。
注3)ボグリボースのみ日本人データ
16.7.3 ピオグリタゾンとその他の薬剤
ピオグリタゾンとグリベンクラミド(CYP2C9基質)、グリクラジド(CYP2C9基質)、メトホルミン(腎排泄)又はボグリボースとの薬物間相互作用を検討したが、いずれも併用投与の影響はみられなかった。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II/III相検証試験(二重盲検比較試験)
食事療法、運動療法に加えてピオグリタゾンを投与するも血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象に、アログリプチンとして25mgを12週間経口併用投与(1日1回朝食前)した二重盲検比較試験の結果は次表のとおりであった。
副作用発現頻度はアログリプチン25mg併用投与群で8.8%(10/113)であり、低血糖の副作用発現頻度は0.9%(1/113)であった。主な副作用は、浮腫3.5%(4/113)であった。[11.1.4参照]
ピオグリタゾンとの併用試験の結果(12週時)
→図表を見る(PDF)

17.1.2 国内第II/III相試験(長期継続投与試験)
前記17.1.1の二重盲検比較試験に参加した患者を対象にアログリプチンとして25mgを同一用法にて52週間経口投与した結果、HbA1c(JDS値)の投与前からの変化量注1)は-0.65±0.66%(165例、平均値±標準偏差)であり、安定した血糖コントロールが得られた。
注1)LOCF法
副作用発現頻度は25.5%(42/165)であり、低血糖の副作用発現頻度は0.6%(1/165)であった。主な副作用は、浮腫3.0%(5/165)、糖尿病性網膜症、末梢性浮腫、血圧上昇が各1.8%(3/165)であった。[11.1.4参照]
17.2 製造販売後調査等
17.2.1 製造販売後臨床試験
食事療法、運動療法に加えてアログリプチンとして25mgを投与するも血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象に、ピオグリタゾンとして15mg又は30mgを16週間併用経口投与(1日1回朝食前又は朝食後)した二重盲検比較試験の結果は次表のとおりであった。
副作用発現頻度はピオグリタゾン15mg併用投与群で13.0%(9/69)、ピオグリタゾン30mg併用投与群で19.4%(14/72)であり、低血糖の副作用はみられなかった。主な副作用は、ピオグリタゾン15mg併用投与群で体重増加4.3%(3/69)、ピオグリタゾン30mg併用投与群で浮腫6.9%(5/72)、末梢性浮腫5.6%(4/72)及び体重増加4.2%(3/72)であった。[11.1.4参照]
ピオグリタゾンとの併用試験の結果(16週時)
→図表を見る(PDF)

18.1 作用機序
〈アログリプチン〉
アログリプチンは食事の経口摂取刺激により腸管から血中に分泌されるグルカゴン様ペプチド‐1(GLP‐1)を不活性化するジペプチジルペプチダーゼ‐4(DPP‐4)活性を阻害することにより、GLP‐1の血中濃度を上昇させ、糖濃度依存的に膵臓からのインスリン分泌を促進させる。
〈ピオグリタゾン〉
ピオグリタゾンはインスリン受容体のインスリン結合部以降に作用してインスリン抵抗性を軽減し、肝における糖産生を抑制し、末梢組織における糖利用を高め血糖を低下させる。この作用は、インスリン抵抗性の主因である細胞内インスリン情報伝達機構を正常化することによると推測される。
18.2 DPP‐4に対する阻害作用
18.2.1 アログリプチンはヒト血漿中DPP‐4活性を選択的に阻害した(IC50値:10nmol/L)(in vitro)。
18.2.2 健康成人にアログリプチンとして25mgを単回経口投与した時、投与24時間後のDPP‐4阻害率は81%であった。
18.3 活性型GLP‐1濃度増加作用
食事療法、運動療法を実施するも血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象にアログリプチンとして25mgを12週間経口投与(1日1回朝食前)したプラセボ対照二重盲検比較試験(用量設定試験)において、プラセボ投与群と比べて、活性型GLP‐1濃度の有意な増加が認められた。
18.4 血糖改善作用及び耐糖能改善作用
18.4.1 食事療法、運動療法を実施するも血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象にアログリプチンとして25mgを12週間経口投与(1日1回朝食前)したプラセボ対照二重盲検比較試験(用量設定試験)において、プラセボ投与群と比べて、食後血糖の改善が認められた。
18.4.2 一晩絶食した非肥満2型糖尿病モデル(N‐STZ‐1.5ラット)及び肥満2型糖尿病モデル(Wistar fattyラット)にアログリプチンを単回経口投与し、投与1時間後にグルコースを経口投与した糖負荷試験において、耐糖能改善作用が認められた。
18.4.3 顕著な膵疲弊を呈する肥満2型糖尿病モデル(雄db/dbマウス)において、アログリプチン及びピオグリタゾンを3週間混餌併用投与した時、HbA1cの相加的な低下、血漿グルコース濃度の相乗的な低下が認められた。また、3週間混餌投与後の膵インスリン含量にも相乗的な増加が認められた。
18.5 インスリン抵抗性改善作用
18.5.1 インスリン抵抗性を有し、肥満型糖尿病であるWistar fattyラット及び肥満であるZucker fattyラットにピオグリタゾンを14日間投与し、20時間絶食後にインスリンを投与したところ、インスリン投与後の血糖低下の増強が認められた。
18.5.2 ピオグリタゾンは肥満型糖尿病であるKKAyマウスの横隔膜のグリコーゲン画分及び副睾丸周囲脂肪組織の総脂肪画分へのインスリン刺激時の糖取り込みを増加させた。
18.5.3 ピオグリタゾンは肥満型糖尿病であるWistar fattyラットの肝からの糖産生を抑制し、末梢組織における糖の利用を高めた。
18.6 末梢組織におけるインスリン作用増強
ピオグリタゾンはWistar fattyラットの後肢ヒラメ筋において、インスリンの作用(グリコーゲン合成及び解糖亢進作用)を増強した(ex vivo)。また、Wistar fattyラットの副睾丸周囲脂肪組織由来の単離脂肪細胞において、インスリンの作用(グルコース酸化及び総脂質合成亢進作用)を増強した(ex vivo)。
18.7 肝におけるインスリン作用増強
ピオグリタゾンはWistar fattyラットにおいて、肝におけるグルコキナーゼの活性を亢進し、グルコース‐6‐ホスファターゼの活性を低下させ、糖産生を抑制した(in vivo)。
18.8 インスリン受容体作用増強
ピオグリタゾンはWistar fattyラットの骨格筋において、低下したインスリン受容体及びインスリン受容体基質のリン酸化を正常化し、ホスファチジルイノシトール‐3‐キナーゼの活性を亢進させた(in vivo)。
18.9 TNF‐α産生抑制作用
ピオグリタゾンはWistar fattyラットに認められる骨格筋TNF‐α産生亢進を抑制し、これと並行して高血糖を軽減した(in vivo)。
18.10 糖代謝改善作用
ピオグリタゾンはインスリン抵抗性を有する肥満型2型糖尿病モデル動物(KKAyマウス、Wistar fattyラット)において、高血糖及び高インスリン血症を軽減した。一方、インスリン欠乏の1型糖尿病モデル動物(ストレプトゾシン糖尿病ラット)の高血糖、正常ラット(Sprague‐Dawleyラット)の正常血糖には作用を示さなかった。
18.11 耐糖能改善作用
インスリン抵抗性を有し、耐糖能異常を示すWistar fattyラット及びZucker fattyラットにピオグリタゾンを10~12日間投与し、20時間絶食後にグルコースを経口投与したところ、グルコース投与後の血漿グルコース上昇の抑制及びインスリン過剰分泌の軽減が認められた。

一包可:不明

バラ包装

分割:可能
粉砕:可能
製造販売会社
帝人ファーマ
販売会社
武田薬品 

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