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タバリス錠150mg

販売名
タバリス錠150mg
識別コード
R 150
薬価
150mg1錠 6226.80円
製造メーカー
キッセイ薬品

添付文書情報2023年04月改定(第2版)

商品情報

薬効分類名
他に分類されないその他の代謝性医薬品
一般名
ホスタマチニブナトリウム水和物錠
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
効能・効果
慢性特発性血小板減少性紫斑病。
(効能又は効果に関連する注意)
次の場合で、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に投与すること[1)他の治療にて十分な効果が得られない場合、又は忍容性に問題があると考えられる場合、2)血小板数、臨床症状からみて出血リスクが高いと考えられる場合]。
用法・用量
通常、成人には、ホスタマチニブとして初回投与量100mgを1日2回、経口投与する。初回投与量を4週間以上投与しても目標とする血小板数の増加が認められず、安全性に問題がない場合は150mgを1日2回に増量する。なお、血小板数、症状に応じて適宜増減するが、最高投与量は1回150mgを1日2回とする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の投与中は、血液学的検査、肝機能検査及び血圧測定を定期的に実施し、本剤の用量を調節すること。本剤は、血小板数及び症状に応じて、次を参考に適宜1段階ずつ増減する〔7.5、8.2-8.5、11.1.1-11.1.3、11.1.5、12.臨床検査結果に及ぼす影響の項参照〕。
1). 1日投与量300mg/日:150mgを1日2回*。
2). 1日投与量200mg/日:100mgを1日2回*。
3). 1日投与量150mg/日:150mgを1日1回。
4). 1日投与量100mg/日※:100mgを1日1回。
*)1日2回投与では8時間を目安に間隔を空けて投与すること。
※)100mg/日未満への減量が必要な場合は、投与を中止すること。
7.2. 本剤は治療上必要最小限の用量で使用すること。
7.3. 血小板数50000/μL以上を目安とし、血小板数がそれを下回る場合には増量を考慮すること。血小板数が250000/μL超に増加した場合には、減量又は休薬すること〔8.2参照〕。
7.4. 本剤を12週間投与しても臨床的に重要な出血を回避するのに十分なレベルまで血小板数が増加しない場合、本剤の投与中止を考慮すること。
7.5. 本剤の投与により、下痢、高血圧、好中球減少及び肝機能障害が発現するおそれがある(これらの事象が発現した場合は、次の基準を参考に、本剤を減量、休薬又は中止すること)。
1). 下痢〔7.1、11.1.1参照〕:*グレード3の下痢又は*グレード4の下痢、次のいずれかに該当する場合等[①投与開始前と比較して1日7回以上の排便回数増加、②入院を要する下痢、③日常生活動作制限が必要となるほどの下痢が発現した場合];本剤を休薬し、グレード1以下に下痢が改善した場合は、7.1項を参照して1日投与量を1段階下げて、本剤の投与を再開する。
2). 高血圧〔7.1、8.3、11.1.2参照〕:
①. 収縮期血圧140mmHg以上又は拡張期血圧90mmHg以上に上昇した場合:必要に応じて降圧薬の投与等を行い、適切な降圧療法にもかかわらず、血圧をコントロールできない場合は、本剤を減量又は休薬し、休薬により血圧がコントロールされた場合は、7.1項を参照して1日投与量を1段階下げて、本剤の投与を再開する。
②. 収縮期血圧160mmHg以上又は拡張期血圧100mmHg以上に上昇した場合:降圧薬の投与等を行い、適切な降圧療法にもかかわらず、血圧をコントロールできない場合は、本剤を休薬し、休薬により血圧がコントロールされた場合は、7.1項を参照して1日投与量を1段階下げて、本剤の投与を再開する。
③. 収縮期血圧180mmHg以上又は拡張期血圧110mmHg以上に上昇した場合:本剤を休薬又は中止し、降圧薬の投与等を行い、休薬により血圧がコントロールされた場合は、7.1項を参照して1日投与量を1段階下げて、本剤の投与を再開する。
3). 好中球減少〔7.1、8.4、11.1.3参照〕:好中球数が1000/μL未満に減少した場合;好中球数を追加で測定し、1000/μL未満であった場合は、本剤を休薬し、休薬により好中球数が1500/μL超まで回復したら、7.1項を参照して1日投与量を1段階下げて、本剤の投与を再開する。
4). 肝機能障害〔7.1、8.5、11.1.5、12.臨床検査結果に及ぼす影響の項参照〕:
①. 次のいずれかを満たし、悪心、嘔吐、腹痛等の症状が認められる場合[a.ASTが基準値上限の3倍以上5倍未満で悪心又はALTが基準値上限の3倍以上5倍未満で悪心、ASTが基準値上限の3倍以上5倍未満で嘔吐又はALTが基準値上限の3倍以上5倍未満で嘔吐、ASTが基準値上限の3倍以上5倍未満で腹痛又はALTが基準値上限の3倍以上5倍未満で腹痛、b.総ビリルビンが基準値上限の2倍超で悪心、総ビリルビンが基準値上限の2倍超で嘔吐、総ビリルビンが基準値上限の2倍超で腹痛]:本剤を休薬し、休薬によりAST、ALT及び総ビリルビンが基準値上限の1.5倍未満に回復した場合は、7.1項を参照して1日投与量を1段階下げて、本剤の投与を再開する。
②. 次のいずれかを満たし、症状が認められない場合[a.ASTが基準値上限の3倍以上5倍未満で症状が認められない又はALTが基準値上限の3倍以上5倍未満で症状が認められない、b.総ビリルビンが基準値上限の2倍超で症状が認められない]:AST又はALTの上昇が持続する場合は、本剤を減量又は休薬し、休薬によりAST、ALT及び総ビリルビンが基準値上限の1.5倍未満に回復した場合は、7.1項を参照して1日投与量を1段階下げて、本剤の投与を再開する。
③. 次を満たす場合:ASTが基準値上限の5倍以上又はALTが基準値上限の5倍以上;本剤を休薬し、休薬によりAST、ALT及び総ビリルビンが基準値上限の1.5倍未満に回復した場合は、7.1項を参照して1日投与量を1段階下げて、本剤の投与を再開する。ASTが基準値上限の5倍以上で持続又はALTが基準値上限の5倍以上で持続する場合は、本剤を中止する。
④. 次のいずれも満たす場合:ASTが基準値上限の3倍以上・総ビリルビンが基準値上限の2倍超又はALTが基準値上限の3倍以上・総ビリルビンが基準値上限の2倍超;本剤を中止する。
*)グレードはCTCAE ver5.0による。
生殖能を有する者
8.1. 本剤は、血液疾患の治療に十分な経験を持つ医師のもとで使用すること。
8.2. 血小板数が少なくとも50000/μL以上に安定するまで、2週間ごとに血液学的検査を実施し、安定した後は定期的に血液学的検査を実施すること(血小板数増加に伴い、血栓症又は血栓塞栓症のリスクが増加する可能性があることから、観察を十分に行い、異常が認められた場合は適切な処置を行うこと)〔7.1、7.3参照〕。
8.3. 本剤の投与により血圧上昇があらわれることがあるので、血圧が安定するまでは2週間ごとに血圧を測定し、安定した後は定期的に測定すること〔7.1、7.5、11.1.2参照〕。
8.4. 本剤の投与により好中球数減少があらわれることがあるので、2週間ごとに好中球数を測定し、安定した後は定期的に測定すること〔7.1、7.5、11.1.3参照〕。
8.5. 本剤の投与により肝機能障害があらわれることがあるので、2週間ごとにAST、ALT及びビリルビンなどの肝機能検査を実施し、安定した後は定期的に肝機能検査を実施すること〔7.1、7.5、11.1.5、12.臨床検査結果に及ぼす影響の項、16.7.6参照〕。
8.6. 本剤の投与により感染症があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施し、観察を十分に行うこと〔11.1.4参照〕。
9.1.1. 血栓症又は血栓塞栓症の既往歴(動脈血栓塞栓症及び静脈血栓塞栓症など)や血栓症素因又は血栓塞栓症素因(第5因子ライデン変異、アンチトロンビン3欠損症など)を有する患者:血栓塞栓症があらわれるおそれがある(血栓症又は血栓塞栓症の既往歴や素因を有する患者を対象とした臨床試験は実施していない)。
9.1.2. B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性):患者の臨床症状と臨床検査値の観察を十分に行い、B型肝炎再燃の徴候に注意すること。
9.3.1. 重度肝機能障害患者(Child-Pugh分類C):本剤投与の可否を慎重に判断し、投与する場合には初回投与量の減量を考慮するとともに、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること(非結合形R406の血中濃度が上昇するおそれがある)〔16.6.2参照〕。
生殖能を有する者:本剤投与中及び最終投与後一定期間は適切な避妊を徹底するように指導すること(ヒトの受胎能への影響に関するデータは得られていない。動物実験(雌ラット)において受胎率低下が報告されていることから、本剤は女性の受胎能に影響を及ぼす可能性がある)〔9.5妊婦の項参照〕。
相互作用
ホスタマチニブはP-糖蛋白質(P-gp)及び乳がん耐性蛋白質(BCRP)に対して阻害作用を有する。また、本剤の活性本体であるR406は主としてCYP3A4により代謝され、BCRPに対して阻害作用を有し、CYP3Aに対して弱い阻害作用を有する。
10.2. 併用注意:1). 強いCYP3A阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル等)〔16.7.1参照〕[R406の血漿中濃度が上昇し本剤の副作用が増強される可能性があるので、併用時には患者の状態を慎重に観察して副作用の発現に十分注意し、必要に応じて本剤の減量を考慮すること(これらの薬剤の強いCYP3A阻害作用による)]。
2). 強いCYP3A誘導剤(カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン等)〔16.7.2参照〕[R406の血漿中濃度が低下し本剤の効果が減弱する可能性があるので、本剤投与時はこれらの薬剤等を投与しないことが望ましい(これらの薬剤の強いCYP3A誘導作用による)]。
3). シンバスタチン〔16.7.3参照〕[シンバスタチン及びシンバスタチン酸の血漿中濃度が上昇し副作用が増強される可能性があるので、併用時には患者の状態を慎重に観察して副作用の発現に十分注意し、必要に応じてシンバスタチンの減量を考慮すること(ホスタマチニブ及びR406はBCRPの阻害作用を有し、R406はCYP3Aの弱い阻害作用を有する)]。
4). ジゴキシン〔16.7.4参照〕[ジゴキシンの血漿中濃度が上昇し副作用が増強される可能性があるので、併用時には患者の状態を慎重に観察して副作用の発現に十分注意し、必要に応じてジゴキシンの減量を考慮すること(ホスタマチニブはP-gpの阻害作用を有する)]。
5). ロスバスタチン〔16.7.5参照〕[ロスバスタチンの血漿中濃度が上昇し副作用が増強される可能性があるので、併用時には患者の状態を慎重に観察して副作用の発現に十分注意し、必要に応じてロスバスタチンの減量を考慮すること(ホスタマチニブ及びR406はBCRPの阻害作用を有する)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 重度下痢(1.7%):必要に応じて電解質や腎機能検査を行い、患者の状態により止瀉薬の投与、補液などの適切な処置を行うこと〔7.1、7.5参照〕。
11.1.2. 高血圧:高血圧(21.2%)、高血圧クリーゼ(0.6%)があらわれることがあるので、必要に応じて降圧剤の投与などの適切な処置を行うこと〔7.1、7.5、8.3参照〕。
11.1.3. 好中球減少:好中球減少(5.6%)、発熱性好中球減少症(0.6%)があらわれることがある〔7.1、7.5、8.4参照〕。
11.1.4. 感染症:肺炎(1.1%)等の感染症があらわれることがあるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合は、抗菌剤の投与などの適切な処置を行うこと〔8.6参照〕。
11.1.5. 肝機能障害(17.3%):ALT上昇(8.4%)、AST上昇(5.6%)、ビリルビン上昇(2.2%)等を伴う肝機能障害があらわれることがある〔7.1、7.5、8.5、12.臨床検査結果に及ぼす影響の項参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 神経系:(5~10%未満)浮動性めまい。
2). 消化器:(10%以上)下痢(31.3%)、悪心、(5~10%未満)腹痛。
3). 皮膚:(5%未満)発疹。
4). 臨床検査:(5%未満)白血球減少。
5). その他:(5%未満)胸痛、疲労。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。海外の臨床試験において、妊娠した患者で死産/自然流産の報告がある。動物実験(ラット及びウサギ)において、臨床推奨用量を下回る曝露で胚死亡率増加・胎仔死亡率増加、胎仔低体重並びに胎仔骨格異常(胎仔骨格変異及び胎仔骨格奇形)及び胎仔内臓異常(胎仔内臓変異及び胎仔内臓奇形)が認められた〔2.2、9.4生殖能を有する者の項参照〕。
授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)において、乳汁中への移行が報告されており、また、動物実験(ラット)において、乳汁を介した曝露に起因すると考えられる出生仔死亡率増加及び出生仔低体重が認められた)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない(動物実験(ラット、マウス及び幼若ウサギ)において、活発に成長している骨への影響として、大腿骨頭軟骨形成異常、大腿骨近位成長板異形成及び大腿脛骨関節成長板異形成、並びに大腿骨骨髄細胞密度減少及び胸骨骨髄細胞密度減少が認められた)。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意PTPシートから取り出し一包化調剤することは避けること〔20.取扱い上の注意の項参照〕。
14.2. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
本剤は吸湿により溶出性に影響を及ぼすことがあるため、アルミピロー開封後はPTPシートの状態で保存すること〔14.1参照〕。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康被験者を対象に本剤100~150mgを空腹時に単回経口投与したとき、活性本体であるR406の薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は次のとおりであった。
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16.1.2 反復投与
日本人健康被験者を対象に本剤150mgを1日1回又は100mgを1日2回空腹時に7日間反復経口投与したとき、反復投与7日目のR406の薬物動態パラメータは次のとおりであった。本剤100mgを1日2回投与したときのAUCτから算出した血漿中R406濃度の累積率は2.22倍であった。日本人健康被験者を対象に、本剤100mg又は200mgを1日2回空腹時に7日間反復経口投与したとき、反復投与7日目のR406のCmax(幾何平均値)はそれぞれ615~709及び1730~2360ng/mL、AUCτ(幾何平均値)はそれぞれ4610~5040及び14100~17100ng・hr/mLであり、本剤を1日2回投与したときの曝露は用量比を上回る増加を示した。
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持続性/慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者を対象に本剤150mgを1日2回反復経口投与したとき、定常状態のR406の薬物動態パラメータは次のとおりであった(外国人データ)。
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16.2 吸収
16.2.1 絶対的バイオアベイラビリティ
本剤は小腸で速やかに代謝された後、活性本体であるR406として速やかに吸収される。健康被験者10例を対象に本剤150mgを空腹時に単回経口投与したときのR406の絶対的バイオアベイラビリティは54.6%であった(外国人データ)。ホスタマチニブの血漿中濃度はわずかであり、投与4時間後には検出されなかった。
16.2.2 食事の影響
健康被験者28例を対象に、本剤150mgを食後(高脂肪/高カロリー食)に単回経口投与したとき、空腹時と比べてR406のAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ1.23倍及び1.15倍であった(外国人データ)。
16.3 分布
R406のヒト血漿蛋白結合率は98.3%であった(in vitro)。精製ヒト血清アルブミン及び精製α1‐酸性糖蛋白に対する結合率はそれぞれ96.3%及び75.5%であった(in vitro)。R406は赤血球に分布し、血液/血漿中濃度比は2.6であった(in vitro)。健康被験者を対象に[14C]R406 100μgを単回静脈内投与したとき、定常状態での分布容積(Vss)は256Lであった(外国人データ)。
16.4 代謝
本剤は小腸でアルカリホスファターゼにより活性本体であるR406に代謝される(in vitro)。R406は主にCYP3A4及びUDPグルクロン酸転移酵素(UGT1A9)により代謝される(in vitro)。健康被験者6例を対象に[14C]ホスタマチニブ150mgを空腹時に単回経口投与したとき、血漿中では主にR406として存在し、R406の代謝物はわずかであった(外国人データ)。
16.5 排泄
健康被験者6例を対象に[14C]ホスタマチニブ150mgを空腹時に単回経口投与したとき、投与された放射能の19.3%が尿中に排出された。主にR406のN‐グルクロン酸抱合体として存在し、R406の尿中排泄はわずかであった。残りの放射能(80.0%)は糞中に排泄され、主にR406及びR406のベンゼンジオール体として存在していた(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害患者を対象に本剤150mgを空腹時に単回経口投与したとき、腎機能正常者8例と比べて、R406のAUC0-∞及びCmaxは中等度の腎機能障害患者8例(Ccr:30以上50mL/min未満)でそれぞれ0.78倍及び0.58倍、血液透析を要する末期腎不全患者8例(透析後投与)でそれぞれ0.74倍及び0.62倍であった。また、末期腎不全患者に本剤150mgを透析開始2時間前に単回経口投与したとき、透析により除去されたR406量は投与量の1%未満であった。非結合形R406のAUC0-∞及びCmaxは腎機能障害患者と腎機能正常者で同程度であった(外国人データ)。
16.6.2 肝機能障害患者
肝機能障害患者を対象に本剤150mgを空腹時に単回経口投与したとき、肝機能正常者8例と比べて、R406のAUC0-∞及びCmaxは軽度の肝機能障害患者8例(Child‐Pugh分類A)でそれぞれ0.71倍及び0.89倍、中等度の肝機能障害患者8例(Child‐Pugh分類B)でそれぞれ0.76倍及び0.87倍、重度の肝機能障害患者8例(Child‐Pugh分類C)でそれぞれ1.06倍及び0.84倍であった。重度の肝機能障害患者における非結合形R406のAUC0-∞及びCmaxは、肝機能正常者と比べてそれぞれ1.7倍及び1.3倍であった(外国人データ)。[9.3.1参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾール(経口剤:国内未承認)
健康被験者8例を対象に本剤80mg注)(単回投与)と強いCYP3A阻害剤であるケトコナゾール200mg(1日2回反復投与)を併用投与したとき、本剤を単独投与したときと比べて、R406のAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ2.02倍及び1.37倍であった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 リファンピシン
健康被験者15例を対象に本剤150mg(単回投与)と強いCYP3A誘導剤であるリファンピシン600mg(1日1回反復投与)を併用投与したとき、本剤を単独投与したときと比べて、R406のAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ0.25倍及び0.41倍であった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 シンバスタチン
健康被験者21例を対象に本剤100mg(1日2回反復投与)とBCRP及びCYP3A基質であるシンバスタチン40mg(単回投与)を併用投与したとき、シンバスタチンを単独投与したときと比べて、シンバスタチンのAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ1.64倍及び2.13倍であり、シンバスタチン酸のAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ1.66倍及び1.83倍であった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.4 ジゴキシン
健康被験者23例を対象に本剤100mg(1日2回反復投与)とP‐gp基質であるジゴキシン0.25mg(1日1回反復投与)を併用投与したとき、ジゴキシンを単独投与したときと比べて、ジゴキシンのAUCss及びCmax,ssは、それぞれ1.37倍及び1.70倍であった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.5 ロスバスタチン
健康被験者21例を対象に本剤100mg(1日2回反復投与)とBCRP基質であるロスバスタチン20mg(単回投与)を併用投与したとき、ロスバスタチンを単独投与したときと比べて、ロスバスタチンのAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ1.96倍及び1.88倍であった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.6 その他の薬剤
(1)健康被験者15例を対象に本剤150mg(単回投与)と中程度のCYP3A阻害剤であるベラパミル80mg(1日3回反復投与)を併用投与したとき、本剤を単独投与したときと比べて、R406のAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ1.39倍及び1.06倍であった(外国人データ)。
(2)健康被験者16例を対象に本剤100mg(1日2回反復投与)とCYP3A基質であるミダゾラム7.5mg(単回投与)を併用投与したとき、ミダゾラムを単独投与したときと比べて、ミダゾラムのAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ1.25倍及び1.09倍であった(外国人データ)。
(3)健康被験者33例を対象に本剤100mg(1日2回反復投与)と経口避妊薬(エチニルエストラジオール0.03mg/レボノルゲストレル0.15mg、1日1回反復投与)を併用投与したとき、経口避妊薬を単独投与したときと比べて、エチニルエストラジオールのAUCss及びCmax,ssは、それぞれ1.28倍及び1.34倍であり、レボノルゲストレルのAUCss及びCmax,ssは、それぞれ1.05倍及び0.97倍であった(外国人データ)。
(4)健康被験者28例を対象に本剤150mg(単回投与)とH2受容体拮抗剤であるラニチジン150mg(単回投与)を併用投与したとき、本剤を単独投与したときと比べて、R406のAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ0.97倍及び0.98倍であった(外国人データ)。
(5)リウマチ患者12例を対象に本剤100mg(1日2回反復投与)とOAT1/3の基質であるメトトレキサート5~25mg/週(単回投与)を併用投与したとき、メトトレキサートを単独投与したときと比べて、メトトレキサートのAUC0-48及びCmaxは、それぞれ1.12倍及び1.01倍であり、7‐ヒドロキシメトトレキサートのAUC0-48及びCmaxは、それぞれ1.06倍及び1.06倍であった(外国人データ)。
(6)健康被験者15例を対象に本剤100mg(1日2回反復投与)とワルファリン25mg(単回投与)を併用投与したとき、ワルファリンを単独投与したときと比べて、R‐ワルファリンのAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ1.18倍及び1.02倍であり、S‐ワルファリンのAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ1.13倍及び0.99倍であった(外国人データ)。
(7)健康被験者15例を対象に本剤100mg(1日2回反復投与)とCYP2C8基質であるピオグリタゾン30mg(単回投与)を併用投与したとき、ピオグリタゾンを単独投与したときと比べて、ピオグリタゾンのAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ1.18倍及び0.83倍であり、ヒドロキシピオグリタゾンのAUC0-t及びCmaxは、それぞれ0.90倍及び0.91倍であった(外国人データ)。
(8)R406はUGT1A1、MATE1及びMATE2‐Kに対し阻害作用を示した(in vitro)。[8.5、12.参照]
注)本剤の承認されている用法及び用量は「通常、成人には、ホスタマチニブとして初回投与量100mgを1日2回、経口投与する。初回投与量を4週間以上投与しても目標とする血小板数の増加が認められず、安全性に問題がない場合は150mgを1日2回に増量する。なお、血小板数、症状に応じて適宜増減するが、最高投与量は1回150mgを1日2回とする。」である。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相臨床試験(二重盲検期)
同意取得の6ヵ月以上前にITPと診断され、少なくとも1種類のITP治療薬(副腎皮質ステロイド、TPO受容体作動薬、リツキシマブ又はIVIG製剤)を使用しても十分な効果が得られなかった又は忍容性に問題があると考えられた20歳以上の慢性特発性血小板減少性紫斑病患者(血小板数が30,000/μL未満)34例(本剤群22例、プラセボ群12例)を対象に、ホスタマチニブ1回100mg1日2回より投与を開始し、血小板数の増加が認められず、安全性に問題がない場合は150mg1日2回に増量して24週間経口投与した。血小板数及び安全性等に応じて、100mg1日1回~150mg1日2回の範囲で用量調整した。その結果、主要評価項目であるStable platelet response(投与14週から24週までの6回の来院のうち4回以上で血小板数が50,000/μL以上)の達成割合は、次表のとおりであり本剤群でプラセボ群と比較して高かった。
副作用発現割合は、本剤群77.3%(17/22例)、プラセボ群8.3%(1/12例)であった。本剤群の主な副作用は、下痢31.8%(7/22例)、高血圧27.3%(6/22例)及び好中球数減少13.6%(3/22例)であった。中等度又は高度の出血関連の副作用は認められなかった。
→図表を見る(PDF)

17.1.2 国内第III相臨床試験(長期投与期)
前記の慢性特発性血小板減少性紫斑病患者34例のうち、二重盲検期で本剤群に割り付けられた22例において長期投与時(最大52週間)の有効性及び安全性を評価した。血小板数の維持期間(血小板数が28日以上連続で50,000/μL以上を達成した最初の測定日から28日以上連続して血小板数が50,000/μL未満となった最初の測定日までの期間)の中央値は、309日(範囲:113~358日)であった。
副作用発現割合は、77.3%(17/22例)であった。主な副作用は、下痢31.8%(7/22例)、高血圧27.3%(6/22例)及び好中球数減少13.6%(3/22例)であった。
17.1.3 海外第III相検証試験(C788‐047試験)
3ヵ月以上前にITPと診断され、少なくとも1種類のITP治療薬(副腎皮質ステロイド、TPO受容体作動薬又はIVIG製剤等)を使用しても十分な効果が得られなかった又は忍容性に問題があると考えられた18歳以上の持続性/慢性特発性血小板減少性紫斑病患者(血小板数が30,000/μL未満)76例(本剤群51例、プラセボ群25例)を対象に、ホスタマチニブ1回100mg1日2回より投与を開始し、血小板数の増加が認められず、安全性に問題がない場合は150mg1日2回に増量して24週間経口投与した。血小板数及び安全性等に応じて、100mg1日1回~150mg1日2回の範囲で用量調整した。その結果、主要評価項目であるStable platelet response(投与14週から24週までの6回の来院のうち4回以上で血小板数が50,000/μL以上)の達成割合は、本剤群17.6%(9/51例)及びプラセボ群0%(0/25例)であり、プラセボ群と比較し本剤群で有意に高かった(P=0.0261、群間差(本剤-プラセボ):17.6%、95%信頼区間:7.2%、28.1%)。また、中等度又は高度の出血関連事象は本剤群11.8%及びプラセボ群20.0%、重篤な出血関連事象は本剤群5.9%及びプラセボ群12.0%であった。
副作用発現割合は、本剤群76.5%(39/51例)及びプラセボ群28.0%(7/25例)であった。
17.1.4 海外第III相検証試験(C788‐048試験)
3ヵ月以上前にITPと診断され、少なくとも1種類のITP治療薬(副腎皮質ステロイド、TPO受容体作動薬又はIVIG製剤等)を使用しても十分な効果が得られなかった又は忍容性に問題があると考えられた18歳以上の持続性/慢性特発性血小板減少性紫斑病患者(血小板数が30,000/μL未満)74例(本剤群50例、プラセボ群24例)を対象に、ホスタマチニブ1回100mg1日2回より投与を開始し、血小板数の増加が認められず、安全性に問題がない場合は150mg1日2回に増量して24週間経口投与した。血小板数及び安全性等に応じて、100mg1日1回~150mg1日2回の範囲で用量調整した。その結果、主要評価項目であるStable platelet response(投与14週から24週までの6回の来院のうち4回以上で血小板数が50,000/μL以上)の達成割合は、本剤群18.0%(9/50例)及びプラセボ群4.2%(1/24例)であった(P=0.1519、群間差(本剤-プラセボ):13.8%、95%信頼区間:0.5%、27.1%)。また、中等度又は高度の出血関連事象は本剤群8.0%及びプラセボ群12.5%、重篤な出血関連事象は本剤群4.0%及びプラセボ群8.3%であった。
副作用発現割合は、本剤群39.2%(20/51例注))及びプラセボ群26.1%(6/23例)であった。
注)プラセボ群に割り付けられ、誤って本剤が投与された1例について、安全性解析対象集団では本剤群として、ITT集団ではプラセボ群として解析された。
17.1.5 海外第III相長期継続投与試験
海外第III相検証試験(C788‐047試験及びC788‐048試験)から移行した前記の持続性/慢性特発性血小板減少性紫斑病患者123例を対象に長期継続投与時の有効性及び安全性を検討した。その結果、57例が本剤の投与開始から12週以内に血小板数50,000/μL以上を達成し、血小板数維持期間(初めて血小板数が50,000/μL以上を達成した日から、4週以上間隔を空けた2回の来院で血小板数が50,000/μL未満となった最初の来院日までの期間)は127.0日(範囲:71~483日)であった。
副作用発現割合は54.5%(67/123例)であり、主な副作用は下痢24.4%(30/123例)及び高血圧10.6%(13/123例)であった。

18.1 作用機序
本剤は生体内で活性本体であるR406に代謝され、脾臓チロシンキナーゼを阻害する。
R406は脾臓チロシンキナーゼを阻害することでマクロファージに発現するFcγ受容体を介したシグナル伝達を抑制し、抗血小板自己抗体が結合した血小板のマクロファージによる貪食及び破壊を軽減する。
また、B細胞に発現するB細胞受容体を介したシグナル伝達を抑制することで、B細胞の抗血小板抗体産生を抑制する可能性がある。
18.2 マクロファージに対する作用
ヒト初代培養マクロファージにおいて、R406は抗IgG抗体により誘導されるFcγ受容体シグナルの活性化を抑制した(in vitro)。
18.3 B細胞に対する作用
ヒト初代培養B細胞において、R406は抗IgG抗体又は抗IgM抗体により誘導されるB細胞受容体シグナルの活性化を抑制した(in vitro)。
18.4 ITPモデルに対する作用
マウスに抗血小板抗体を投与して作製したITPモデルにおいて、本剤は血小板数の減少を用量依存的に抑制した。
18.5 正常血小板機能に対する影響
血小板数が正常なマウスにおいて、R406は出血時間に影響を与えなかった。

一包可:不可

PTPシートから取り出し一包化調剤することは避ける。@吸湿により溶出性に影響を及ぼすことがあるため、アルミピロー開封後はPTPシートの状態で保存する。

分割:不可
粉砕:不可

吸湿により溶出性に影響を及ぼすことがあるため、アルミピロー開封後はPTPシートの状態で保存する。

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