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プロポフォール1%静注50mL「日医工」

販売名
プロポフォール1%静注50mL「日医工」
薬価
500mg50mL1瓶 1021.00円
製造メーカー
日医工

添付文書情報2024年02月改定(第1版)

商品情報

薬効分類名
その他の全身麻酔剤
一般名
プロポフォール注射液
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
禁忌
2.1. 〈効能共通〉本剤又は本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者〔9.1.5参照〕。
2.2. 〈集中治療における人工呼吸中の鎮静〉小児等〔9.7.2参照〕。
効能・効果
1). 全身麻酔の導入及び全身麻酔の維持。
2). 集中治療における人工呼吸中の鎮静。
用法・用量
〈全身麻酔の導入及び維持〉
6.1. 導入
通常、成人には本剤を0.05mL/kg/10秒(プロポフォールとして0.5mg/kg/10秒)の速度で、患者の全身状態を観察しながら、就眠が得られるまで静脈内に投与する。なお、ASA3及び4の患者には、より緩徐に投与する。
通常、成人には本剤0.20~0.25mL/kg(プロポフォールとして2.0~2.5mg/kg)で就眠が得られる。高齢者においては、より少量で就眠が得られる場合がある。就眠後は必要に応じて適宜追加投与する。
6.2. 維持
通常、酸素もしくは酸素・亜酸化窒素混合ガスと併用し、本剤を静脈内に投与する。適切な麻酔深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら、投与速度を調節する。
通常、成人には、本剤0.4~1.0mL/kg/時(プロポフォールとして4~10mg/kg/時)の投与速度で適切な麻酔深度が得られる。
また、鎮痛剤(麻薬性鎮痛剤、局所麻酔剤等)を併用すること。
なお、局所麻酔剤併用時には通常より低用量で適切な麻酔深度が得られる。
〈集中治療における人工呼吸中の鎮静〉
成人(高齢者を含む)には本剤を0.03mL/kg/時(プロポフォールとして0.3mg/kg/時)の投与速度で、持続注入にて静脈内に投与を開始し、適切な鎮静深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら、投与速度を調節する。
通常、成人には本剤0.03~0.30mL/kg/時(プロポフォールとして0.3~3.0mg/kg/時)の投与速度で適切な鎮静深度が得られる。
なお、疾患の種類、症状の程度を考慮し、必要とする鎮静深度に応じて投与速度を増減すること。また、必要に応じて鎮痛剤を併用すること。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈全身麻酔の導入及び維持〉維持における使用例
1). 〈全身麻酔の導入及び維持〉導入後の時間0~10分:投与速度1.0mL/kg/時(プロポフォールとして10mg/kg/時)。
2). 〈全身麻酔の導入及び維持〉導入後の時間10~20分:投与速度0.8mL/kg/時(プロポフォールとして8mg/kg/時)。
3). 〈全身麻酔の導入及び維持〉導入後の時間20~30分:投与速度0.6mL/kg/時(プロポフォールとして6mg/kg/時)。
4). 〈全身麻酔の導入及び維持〉導入後の時間30分~:投与速度は全身状態をみながら調節する。
7.2. 〈集中治療における人工呼吸中の鎮静〉本剤は、持続注入により投与すること(急速投与を行わないこと)。
7.3. 〈集中治療における人工呼吸中の鎮静〉本剤は、通常、7日を超えて投与しないこと(ただし、鎮静効果が認められ、7日を超えて本剤投与による鎮静が必要な場合には、患者の全身状態を引き続き慎重に観察すること)。
[使用例]
1). 〈集中治療における人工呼吸中の鎮静〉時間0~5分:投与速度0.03mL/kg/時。
2). 〈集中治療における人工呼吸中の鎮静〉時間5分~:投与速度0.03~0.30mL/kg/時(全身状態を観察しながら適宜増減)。
肝機能障害患者
8.1. 〈効能共通〉本剤投与にあたっては、原則としてあらかじめ絶食させておくこと。
8.2. 〈効能共通〉本剤投与にあたっては、気道確保、酸素吸入、人工呼吸、循環管理を行えるよう準備しておくこと。
8.3. 〈効能共通〉本剤の使用に際しては、一般の全身麻酔剤と同様、麻酔開始より患者が完全に覚醒するまで、麻酔技術に熟練した医師が、専任で患者の全身状態を注意深く監視すること。集中治療の鎮静に利用する場合においても、集中治療に熟練した医師が本剤を取り扱うこと〔11.1.9参照〕。
8.4. 〈効能共通〉本剤投与中は気道を確保し、血圧の変動に注意して呼吸・循環に対する観察・対応を怠らないこと。
8.5. 〈効能共通〉本剤投与中は、適切な麻酔又は鎮静深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら、投与速度を調節すること。
8.6. 〈効能共通〉本剤の影響が完全に消失するまでは、自動車の運転、危険を伴う機械の操作等に従事しないよう、患者に注意すること。
8.7. 〈全身麻酔の導入及び維持〉麻酔の深度は手術、検査に必要な最低の深さにとどめること。
8.8. 〈集中治療における人工呼吸中の鎮静〉本剤投与中は、鎮静レベル及び中枢神経系機能の評価を必要に応じて行い、鎮静に必要な最低投与速度を定めること。
8.9. 〈集中治療における人工呼吸中の鎮静〉本剤投与中は、気管挿管による気道確保を行うこと。
8.10. 〈集中治療における人工呼吸中の鎮静〉人工呼吸からの離脱の過程では、患者の観察を継続し、必要に応じて人工呼吸を行うこと。
9.1.1. ASA3、ASA4の患者及び衰弱患者:投与速度を減速(例えば、導入時の投与速度を約1/2、すなわち本剤約0.025mL/kg/10秒に減速)すること(無呼吸、低血圧等の呼吸循環抑制が起こるおそれがある)。
9.1.2. 循環器障害、呼吸器障害及び循環血液量減少のある患者:患者の全身状態を慎重に観察しながら、投与量や投与速度に注意すること(無呼吸、低血圧等の呼吸循環抑制や覚醒遅延が起こるおそれがある)。
9.1.3. てんかん発作の既往歴のある患者:痙攣があらわれることがある。
9.1.4. 薬物依存の既往歴のある患者。
9.1.5. 薬物過敏症<本剤又は本剤の成分に対する過敏症を除く>の既往歴のある患者〔2.1参照〕。
9.1.6. 脂質代謝障害の患者又は脂肪乳剤投与中の患者:血中脂質が過剰になるおそれのある患者については、血中脂質をモニターし本剤又は併用中の脂肪乳剤の投与量を調節すること(本剤1.0mLあたり約0.1gの脂質を含有するため、血中脂質濃度が上昇する可能性がある)。
腎機能障害患者:患者の全身状態を慎重に観察しながら、投与量や投与速度に注意すること(無呼吸、低血圧等の呼吸循環抑制や覚醒遅延が起こるおそれがある)。
肝機能障害患者:患者の全身状態を慎重に観察しながら、投与量や投与速度に注意すること(無呼吸、低血圧等の呼吸循環抑制や覚醒遅延が起こるおそれがある)。
相互作用
10.2. 併用注意:ベンゾジアゼピン系薬物(ジアゼパム、ミダゾラム等)、バルビツール酸系薬物、全身麻酔剤(亜酸化窒素等)、局所麻酔剤、中枢神経系抑制剤(麻薬性鎮痛剤等)、アルコール、降圧剤、抗不整脈剤(β1遮断剤(エスモロール塩酸塩、ランジオロール塩酸塩等))[麻酔・鎮静作用が増強されたり、収縮期血圧・拡張期血圧・平均動脈圧・心拍出量及び心拍数が低下することがあるので、併用する場合には、投与速度を減速するなど慎重に投与すること(相互に作用(麻酔・鎮静作用、血圧低下作用、徐脈化)を増強させる)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 低血圧(4.3%):異常が認められた場合には、患者の頭部を下げる、重篤な場合には血漿増量剤、昇圧剤の使用等適切な処置を行うこと。
11.1.2. アナフィラキシー(頻度不明):血管浮腫、気管支痙攣、紅斑、低血圧を伴うアナフィラキシーがあらわれることがある。
11.1.3. 気管支痙攣(頻度不明)。
11.1.4. 舌根沈下(0.1%)、一過性無呼吸(頻度不明):異常が認められた場合には、気道を確保し、人工呼吸等適切な処置を行うこと。
11.1.5. てんかん様体動(頻度不明):痙攣・反弓緊張等のてんかん様体動があらわれることがある。
11.1.6. 重篤な徐脈(頻度不明)、不全収縮(頻度不明):本剤には迷走神経抑制作用がないので、迷走神経亢進状態あるいは徐脈等を生じる可能性のある薬剤を併用する場合には、麻酔導入前又は維持中、抗コリン剤(例えばアトロピン)の静脈内投与を行う等適切な処置を行うこと。
11.1.7. 心室頻拍(頻度不明)、心室性期外収縮(0.1%)、左脚ブロック(頻度不明)。
11.1.8. 肺水腫(頻度不明)。
11.1.9. 覚醒遅延(頻度不明)〔8.3参照〕。
11.1.10. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には直ちに本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
11.1.11. 悪性高熱類似症状(頻度不明):原因不明の頻脈、不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋硬直、血液暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、ソーダライムの異常加熱・ソーダライムの急激な変色、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿等を伴う重篤な悪性高熱類似の臨床症状を呈することがあるので十分な観察をし、使用
中、これら類似症状を認めた場合は、直ちに適切な処置等を行うこと。
11.2. その他の副作用
1). 循環器:(0.1~5%未満)徐脈、ST低下。
2). 中枢神経系:(0.1~5%未満)振戦、(0.1%未満)頭痛。
3). 呼吸器:(0.1~5%未満)吃逆、(0.1%未満)咳嗽。
4). 消化器:(0.1%未満)悪心、嘔吐、口腔内分泌物増加、(頻度不明)膵炎。
5). 皮膚:(0.1~5%未満)発赤、紅斑。
6). 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、ビリルビン上昇、(0.1%未満)Al-P上昇。
7). 泌尿器:(0.1%未満)変色尿(白濁尿、緑尿等)、(頻度不明)腎機能障害。
8). 精神神経系:(0.1%未満)多幸症、(頻度不明)性欲抑制不能、譫妄。
9). 血液:(0.1~5%未満)白血球増加、低アルブミン血症、(頻度不明)低蛋白血症。
10). 注射部位:(5%以上)注射時疼痛(血管痛)、(0.1~5%未満)静脈炎・血栓症、(0.1%未満)しびれ感。
11). その他:(0.1%未満)術後発熱、(頻度不明)戦慄。
高齢者
投与速度を減速(例えば、導入時の投与速度を約1/2すなわち本剤約0.025mL/kg/10秒に減速)するなど患者の全身状態を観察しながら慎重に投与すること(本剤は主に肝臓で代謝され、尿中に排泄されるが、一般に、肝、腎機能及び圧受容体反射機能が低下していることが多く、循環器系等への副作用があらわれやすい)〔16.6.4参照〕。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(本剤は胎児へ移行するため、新生児の呼吸抑制等があらわれることがある)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中へ移行することが報告されている)。
小児等
9.7.1. 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2. 集中治療における人工呼吸中の鎮静においては、小児等には投与しないこと(因果関係は不明であるが、外国において集中治療中の鎮静に使用し、小児等で死亡例が報告されている)〔2.2参照〕。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 使用前にバイアルを振盪すること。
14.1.2. エマルジョンに分離を認めた場合には使用しないこと。
14.1.3. 投与前に本剤を他の薬剤<5%ブドウ糖注射液を除く>と混合しないこと。本剤を5%ブドウ糖注射液(ガラス製容器)で希釈する時の希釈率は5倍を超えないこと(プロポフォール濃度2mg/mL以上)。希釈は投与直前に無菌的に行い、6時間以内に使用すること。なお、本剤の希釈液の投与速度の設定には注意すること。
14.1.4. ポリ塩化ビニル製の輸液セット等を使用した場合、可塑剤であるDEHP[di-(2-ethylhexyl)phthalate;フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)]が製剤中に溶出することが報告されているので、DEHPを含まない輸液セット等を使用することが望ましい。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 本剤は静脈内のみに投与すること。注射時にみられる血管痛は、前腕、前肘窩の比較的太い静脈へ注射することにより、最小限に抑えることができる。
14.2.2. 注射部位の近位で三方活栓を介して、乳酸リンゲル液、5%ブドウ糖注射液、生理食塩液、ブドウ糖加乳酸リンゲル液とともに本剤を投与してもよい。
なお、本剤は脂肪乳剤を含有しているため、ポリカーボネート製の三方活栓や延長チューブ等を使用した場合、そのコネクター部分にひび割れが発生し、血液及び薬液漏れ、空気混入等の可能性がある(その場合、必要な投与量が確保されず麻酔覚醒等が生じる可能性があるので注意すること)。
14.2.3. 本剤を持続投与する場合には、投与速度を調節するため、シリンジポンプ等を使用すること。
14.2.4. 微生物ろ過フィルターを用いて本剤を投与しないこと(エマルジョンが破壊されることがある)。
14.2.5. 本剤は防腐剤を使用しておらず、また脂肪乳剤のため汚染されると細菌が増殖し、重篤な感染症が起こるおそれがあるので次の点に注意すること。
(1). 開封後、無菌的に取り扱い、直ちに使用を開始すること。
(2). 本剤の投与に使用するチューブ類等も無菌的に取り扱うこと。
(3). 1バイアルを複数の患者に使用せず、1人の患者に対し、1回のみの使用とし、残液は廃棄すること。
(4). 本剤の投与に使用した注射器、チューブ類及び本剤の残液は手術終了時又は、投与開始12時間後のいずれか早い時点で廃棄すること。また、12時間を超えて投与する場合は、新たな注射器、チューブ類及び本剤を使用すること。
本剤(バイアル)は、ディプリフューザーTCI機能を用いる投与方法に使用することはできない。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 外国で、本剤とアルフェンタニール(麻薬性鎮痛剤)を併用すると、アルフェンタニールの血中濃度が上昇する[20.2%±12.6(SD)、11例]との臨床報告がある。
15.1.2. 外国において、本剤の血管外漏出により局所疼痛、腫脹、血腫及び組織壊死が報告されている。
15.1.3. 外国で、集中治療における人工呼吸中の鎮静の目的で、本剤の投与を受けた重篤な患者において、因果関係は確立していないが、代謝性アシドーシス、横紋筋融解症、高カリウム血症、Brugada症候群に類似した心電図変化(右側胸部誘導<V1~V3>coved型ST上昇)、心不全が極めてまれに発現し、数例が死亡に至ったという報告があり、これらの症状を発現した患者の背景として、組織への酸素供給の低下、重大な神経学的な障害(頭蓋内圧亢進等)や敗血症、血管収縮剤・ステロイド・強心剤・本剤の高用量投与が報告されている。
15.1.4. 重篤な症例で多剤を併用している場合、重度肝機能異常があらわれる可能性がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. サルにおいてバルビタール身体依存交差能、弱い身体依存形成能及び明らかな身体依存強化効果を有することが示されている。

16.1 血中濃度
日本人健康成人男子6例に1.0、2.0及び2.5mg/kgを単回静脈内ボーラス投与したとき、プロポフォールの体内動態は3‐コンパートメントモデルに適合し、全血中濃度は3相性に減衰した。各相の半減期は2.6分(t1/2α)、51.0分(t1/2β)及び364分(t1/2γ)であった。中央コンパートメントにおける分布容積及び定常状態時の分布容積はそれぞれ26L及び325Lであった。全身クリアランス(CLTB)値は1.68L/分であった。1~2.5mg/kgの用量範囲で、血漿中薬物濃度-時間曲線下面積(AUC0-∞)が用量に比例して増加することが示された。
また、薬物動態パラメータに明らかな性差はみられなかった(外国人データ)。
16.3 分布
患者にプロポフォールを2.5mg/kg用量で単回静脈内ボーラス投与したとき、投与後10及び120分後の蛋白結合率は約97~99%であった(外国人データ)。
16.4 代謝
成人患者8例に平均2.6mg/kgを単回静脈内ボーラス投与したとき、投与後24時間までに尿中に認められた代謝物及びその割合は、プロポフォールのグルクロン酸抱合体が75%、1,4キノール体の1‐キノールグルクロン酸抱合体が12%、4‐キノールグルクロン酸抱合体が8%、4キノール体の硫酸抱合体が5%であった。
16.5 排泄
成人患者8例に平均2.6mg/kgを単回静脈内ボーラス投与したとき、投与後24時間までにプロポフォール及び1,4キノール体のグルクロン酸抱合体ならびに1,4キノール体の硫酸抱合体として投与量の68.3%が尿中に排泄された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 心血管機能の影響
プロポフォールのクリアランスは肝血流量に依存するため、心拍出量が減少した場合には、肝血流量が減少し、プロポフォールのCLTBが影響を受ける可能性がある(外国人データ)。
16.6.2 腎機能障害患者
腎障害患者群及び正常な腎機能を有す患者群にプロポフォールを単回静脈内ボーラス投与あるいは静脈内持続投与したとき、薬物動態パラメータに統計的有意差は認められなかった(外国人データ)。
16.6.3 肝機能障害患者
肝硬変患者群及び正常な肝機能を有す患者群にプロポフォールを単回静脈内ボーラス投与あるいは静脈内持続投与したとき、薬物動態パラメータに両群間で統計的有意差は認められなかった(外国人データ)。
16.6.4 高齢者
プロポフォールの体内動態について、高齢者のV1及びCLTBが若齢者に比して僅かに(20~25%)低くなることが報告されている。一方、高齢者では薬力学的な変化よりもむしろ、前記の体内動態の差により、必要とされる用量が低くなることが報告されている(外国人データ)。[9.8参照]

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈全身麻酔の導入及び維持〉
17.1.1 国内第II相試験(全身麻酔の導入 用量設定試験)
手術患者138例を対象に、前投薬なし群、前投薬群(プロポフォールによる麻酔導入前に、ジアゼパム及びアトロピンを投与)、高齢者群(前投薬なし)における全身麻酔導入の至適用量を検討した。プロポフォールを0.5mg/kg/10秒で投与したとき、平均就眠量は前投薬なし群2.1±0.3mg/kg、前投薬群2.0±0.3mg/kg、高齢者群1.5±0.1mg/kgで、就眠までの時間は前投薬なし群44.1±9.2秒、前投薬群41.3±9.4秒、高齢者群46.3±11.2秒であった。
副作用発現率は前投薬なし群18.5%(10/54例)、前投薬群18.4%(9/49例)、高齢者群20.0%(7/35例)であった。主な副作用は前投薬なし群では発赤・紅斑11.1%(6/54例)、注射時疼痛5.6%(3/54例)、前投薬群では発赤・紅斑12.2%(6/49例)、注射時疼痛6.1%(3/49例)、高齢者群では注射時疼痛5.7%(2/35例)であった。
17.1.2 国内第II相試験(全身麻酔の導入 用量確認試験)
手術患者467例にプロポフォールを0.5mg/kg/10秒で投与したとき、平均就眠量は2.21±0.39mg/kgで、平均46秒で意識の消失が得られた。
副作用発現率は23.6%(110/467例)で、主な副作用は注射時疼痛15.4%(72/467例)、発赤・紅斑7.3%(34/467例)であった。
17.1.3 国内第III相試験(全身麻酔の導入)
手術患者259例を対象にプロポフォール注射剤(131例)とチオペンタール(128例)を比較した試験において、プロポフォール注射剤の有用率は有用以上で99.2%(124/125)であった。
プロポフォール注射剤投与群の副作用発現率は20.2%(26/129例)で、主な副作用は注射時疼痛15.5%(20/129例)、発赤・紅斑2.3%(3/129例)であった。
17.1.4 国内第II相試験(全身麻酔の維持 用量設定試験)
手術患者110例を対象に、局所麻酔併用下で、鎮静状態(I群)、自発呼吸を伴う麻酔(II群)、自発呼吸を伴わない麻酔(III群)の麻酔維持における至適用量を検討した。その結果、至適投与速度はI群3.0±1.4mg/kg/時、II群4.4±1.8mg/kg/時、III群4.5±1.8mg/kg/時であった注)。
副作用発現率は27.3%(30/110例)で、主な副作用は注射時疼痛20.9%(23/110例)であった。
17.1.5 国内第II相試験(全身麻酔の維持 用量確認試験)
手術患者252例を対象に、亜酸化窒素併用群、亜酸化窒素非使用群の麻酔維持における至適用量を検討した。その結果、至適投与速度は亜酸化窒素併用群5.7±1.8mg/kg/時、亜酸化窒素非使用群7.0±2.3mg/kg/時であり、麻酔終了後、開眼までに要した時間は平均で7.6分であった。
副作用発現率は亜酸化窒素併用群16.3%(21/129例)、亜酸化窒素非使用群17.1%(21/123例)であった。主な副作用は亜酸化窒素併用群では注射時疼痛7.8%(10/129例)、亜酸化窒素非使用群では注射時疼痛7.3%(9/123例)であった。
17.1.6 国内第III相試験(全身麻酔の維持)
全身麻酔下にて手術を受ける患者145例を対象にプロポフォール注射剤(72例)とチオペンタール・セボフルラン(73例)を比較した試験において、プロポフォール注射剤の有用率は有用以上で97.2%(69/71)であった。
プロポフォール注射剤投与群の副作用発現率は8.5%(6/71例)で、主な副作用は注射時疼痛4.2%(3/71例)であった。
17.1.7 麻酔方法
国内の成人を対象とした臨床試験で、一般的に行われた麻酔方法は次の通りである。
(1)麻酔導入
プロポフォール注射剤を0.05mL/kg/10秒(プロポフォールとして0.5mg/kg/10秒)の速さで静脈内に投与し、患者には“1、2、3・・・”と数を読ませ、就眠した時点でプロポフォール注射剤の投与を中止した。
プロポフォール注射剤0.20~0.25mL/kg(プロポフォールとして2.0~2.5mg/kg)の用量で就眠した。導入後は直ちにプロポフォール注射剤による麻酔維持を開始した。
(2)麻酔維持
就眠後、筋弛緩を得て、気管挿管し、酸素(約30~100%)又は酸素・亜酸化窒素混合ガスで調節呼吸を行った。麻酔維持では、シリンジポンプを用いてプロポフォール注射剤を静脈内に投与した。投与速度は最初の10分間は1.0mL/kg/時(10mg/kg/時)とし、その後は10分毎に0.8mL/kg/時(8mg/kg/時)、0.6mL/kg/時(6mg/kg/時)と漸次減量し、その後は患者の臨床兆候に合わせ、投与量(投与速度)を増減し、最小有効量で手術に適した麻酔状態を維持するよう調節した。手術に適した麻酔状態は、プロポフォール注射剤0.4~1.0mL/kg/時(プロポフォールとして4~10mg/kg/時)の用量で得られた。
プロポフォール注射剤は鎮痛作用がないので麻薬性鎮痛剤、脊椎麻酔、又は硬膜外麻酔等を併用した。また、必要に応じ筋弛緩剤を併用した。
〈集中治療における人工呼吸中の鎮静〉
17.1.8 国内第II相試験
集中治療中の鎮静を必要とする患者96例を対象とした用量設定試験において、プロポフォール注射剤の至適投与速度は1.27±0.62mg/kg/時であり、90%の患者が0.5~2.5mg/kg/時の範囲であった。
副作用発現率は9.4%(9/96例)で、主な副作用は低血圧6.3%(6/96例)であった。
17.1.9 国内第III相試験
集中治療中の鎮静を必要とする患者56例を対象にプロポフォール注射剤(25例)とジアゼパム(31例)を比較した試験において、プロポフォール注射剤の有用率は100%(25/25)であった。
プロポフォール注射剤投与群の副作用発現率は4.0%(1/25例)で、低血圧4.0%(1/25例)であった。
17.1.10 集中治療中の鎮静の投与方法
国内の成人を対象とした臨床試験で、一般的に行われた集中治療中の鎮静の投与方法は次の通りである。
プロポフォール注射剤を0.03mL/kg/時(プロポフォールとして0.3mg/kg/時)の速さで静脈内に持続注入し、5分間持続した。その後は患者の状態を観察しながら、最小有効量で[Ramsay score 3](言葉による指示に反応)を目標とし、鎮静レベルをプロポフォール投与速度で調節した。鎮静レベルは、プロポフォール注射剤0.03~0.3mL/kg/時(プロポフォールとして0.3~3.0mg/kg/時)の用量で得られた。プロポフォール注射剤は鎮痛作用がないので、非麻薬性鎮痛剤又は硬膜外麻酔を併用した。
注)全身麻酔の維持において、通常、成人にはプロポフォールとして4~10mg/kg/時の投与速度で適切な麻酔深度が得られる。

18.1 作用機序
プロポフォールの作用は脳において発揮される。
プロポフォールの投与によって麻酔状態が得られるが、この作用がどのような機序によって起こるかは解明されていない。
18.2 麻酔作用
18.2.1 静脈内投与における50%催眠量(HD50)は12.9mg/kg、50%致死量(LD50)は57.9mg/kgで治療指数(LD50/HD50)は4.5であった(マウス)。
18.2.2 プロポフォール注射剤は速やかに麻酔を導入し、HD50値の約2倍量を投与した場合の麻酔時間は約5分であり、麻酔後の回復時間も約3分と速やかな回復性が認められた(マウス)。
18.2.3 プロポフォール注射剤の反復投与による麻酔時間の延長はチオペンタールより明らかに軽微であった(マウス)。
18.3 中枢神経作用
プロポフォール注射剤は用量依存的に脳波を低振幅速波から、平坦脳波へ変化させた(ネコ)。

製造販売会社
日医工
販売会社
 

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コメント例文

エンレストのレセプトコメントの例文があれば教えていただけないでしょうか。

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レセプトコメントについて

エンレスト初回処方時はどのようなコメントを入力するのでしょうか?

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