ビムパット点滴静注100mg
添付文書情報2022年11月改定(第6版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 重度肝機能障害のある患者〔9.3.1、16.6.3参照〕。
- 効能・効果
- 一時的に経口投与ができない患者における、次記の治療に対するラコサミド経口製剤の代替療法:
1). てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)におけるラコサミド経口製剤の代替療法。
2). 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法におけるラコサミド経口製剤の代替療法。
- 用法・用量
- ラコサミドの経口投与から本剤に切り替える場合:
通常、ラコサミド経口投与と同じ1日用量及び投与回数にて、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。
ラコサミドの経口投与に先立ち本剤を投与する場合:
成人:通常、成人にはラコサミドとして1日100mgより投与を開始し、その後1週間以上の間隔をあけて増量し、維持用量を1日200mgとするが、いずれも1日2回に分け、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。
小児:通常、4歳以上の小児にはラコサミドとして1日2mg/kgより投与を開始し、その後1週間以上の間隔をあけて1日用量として2mg/kgずつ増量し、維持用量を体重30kg未満の小児には1日6mg/kg、体重30kg以上50kg未満の小児には1日4mg/kgとする。いずれも1日2回に分け、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ用法・用量を用いること。
いずれの場合においても、症状により適宜増減できるが、1日最高投与量及び増量方法は次のとおりとすること。
成人:成人では1日最高投与量は400mgを超えないこととし、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として100mg以下ずつ行う。
小児:4歳以上の小児のうち体重30kg未満の小児では1日12mg/kg、体重30kg以上50kg未満の小児では1日8mg/kgを超えないこととし、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として2mg/kg以下ずつ行う。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ1日最高投与量及び増量方法とすること。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉成人のクレアチニンクリアランスが30mL/min以下の重度腎機能障害及び成人の末期腎機能障害のある患者には、1日最高用量を300mg、小児のクレアチニンクリアランスが30mL/min以下の重度腎機能障害及び小児の末期腎機能障害のある患者には、1日最高用量を25%減量とするなど慎重に投与すること。また、血液透析を受けている患者では、1日用量に加えて、血液透析後に最大で1回用量の半量の追加投与を考慮すること〔9.2.1、9.2.2、16.1.2、16.6.1、16.6.2参照〕。
7.2. 〈効能共通〉成人の軽度又は中等度の肝機能障害(成人のChild-Pugh分類A及びB)のある患者には、1日最高用量を300mg、小児の軽度又は中等度の肝機能障害(小児のChild-Pugh分類A及びB)のある患者には、1日最高用量を25%減量とするなど慎重に投与すること〔9.3.2、16.6.3参照〕。
7.3. 〈効能共通〉本剤の1日最高用量は体重30kg未満の小児では1日12mg/kg、体重30kg以上50kg未満の小児では1日8mg/kgであるので、本剤を1日8mg/kgを超えて投与している体重30kg未満の小児が、成長に伴い安定的に体重が30kg以上となった場合には、患者の状態を十分に観察し、効果及び副作用の発現を考慮したうえで、適切な用量を検討すること(なお、急激な減量は避けること)。
7.4. 〈効能共通〉点滴静脈内投与から経口投与に切り替える際の経口投与の用法及び用量は、点滴静脈内投与と同じ1日用量及び投与回数とすること。
7.5. 〈効能共通〉経口投与が可能になった場合は速やかにラコサミド経口製剤に切り替えること[国内外の臨床試験において、5日間を超えた点滴静脈内投与の使用経験はない]。
7.6. 〈強直間代発作〉本剤を強直間代発作に対して使用する場合には、他の抗てんかん薬と併用すること[臨床試験において、強直間代発作に対する本剤単独投与での使用経験はない]。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 連用中における投与量の急激な減量ないし投与中止により、てんかん発作の増悪又はてんかん重積状態があらわれることがあるので、ラコサミドの投与を中止する場合には、少なくとも1週間以上かけて徐々に減量するなど慎重に行うこと。
8.2. 浮動性めまい、霧視、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.3. PR間隔延長があらわれることがあるので、本剤の投与中は第二度以上の房室ブロックに関連する症状等(頻脈、脈拍数減少、脈拍不整、頭部ふらふら感、失神、動悸、息切れ等)の発現に注意すること。本剤の投与中に第二度以上の房室ブロック等に関連する症状(頻脈、脈拍数減少、脈拍不整、頭部ふらふら感、失神、動悸、息切れ等)があらわれた場合には、医師の診察を受けるよう患者及びその家族等に指導すること。心伝導障害や重度心疾患(心筋梗塞又は心不全等)の既往のある患者、ナトリウムチャネル異常(ブルガダ症候群等)のある患者、PR間隔の延長を起こすおそれのある薬剤併用中の患者等では、本剤投与開始時及び本剤投与中は心電図検査を行うなど、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること〔9.1.1、10.2、11.1.1参照〕。
8.4. 易刺激性、興奮、攻撃性等の精神症状があらわれ、自殺企図に至ることもあるので、本剤投与中は患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること〔8.5、15.1参照〕。
8.5. 患者及びその家族等に攻撃性、自殺企図等の精神症状発現の可能性について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること〔8.4、15.1参照〕。
8.6. 複視、霧視等の眼障害が生じる可能性があるので、診察時に、眼障害について問診を行う等注意し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと〔15.2.1参照〕。
9.1.1. 心伝導障害や重度心疾患(心筋梗塞又は心不全等)の既往のある患者、ナトリウムチャネル異常(ブルガダ症候群等)のある患者:本剤のPR間隔延長作用により房室ブロック等が発現するおそれがある〔8.3、10.2、11.1.1参照〕。
9.2.1. 重度腎機能障害のある患者〔7.1、16.6.1参照〕。
9.2.2. 血液透析を受けている末期腎機能障害患者〔7.1、16.6.2参照〕。
9.3.1. 重度肝機能障害のある患者:投与しないこと(本剤の血中濃度が上昇するおそれがある)〔2.2、16.6.3参照〕。
9.3.2. 軽度又は中等度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh分類A及びB)〔7.2、16.6.3参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:PR間隔の延長を起こすおそれのある薬剤〔8.3、9.1.1、11.1.1参照〕[房室ブロック等が発現するおそれがある(併用によりPR間隔延長作用が相加的に増強するおそれがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 房室ブロック、徐脈、失神(いずれも1%未満):PR間隔延長を起こすおそれがある〔8.3、9.1.1、10.2参照〕。
11.1.2. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明):発熱、紅斑、水疱・びらん、そう痒、咽頭痛、眼充血、口内炎等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.3. 薬剤性過敏症症候群(頻度不明):初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある(なお、ヒトヘルペスウイルス6再活性化(HHV-6再活性化)等のウイルス再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること)。
11.1.4. 無顆粒球症(頻度不明)。
- 11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(3%以上)浮動性めまい(17.8%)、頭痛、傾眠、(1~3%未満)記憶障害、振戦、運動失調、(1%未満)うつ病、幻覚、攻撃性、激越、感覚鈍麻、錯感覚、認知障害、異常行動、錯乱状態、注意力障害、平衡障害、不眠症、眼振、構語障害、嗜眠、協調運動異常、ミオクローヌス性てんかん、(頻度不明)精神病性障害、多幸気分。
2). 眼:(1~3%未満)複視、霧視。
3). 血液:(1~3%未満)白血球数減少。
4). 消化器:(3%以上)悪心、嘔吐、(1~3%未満)下痢、(1%未満)消化不良、口内乾燥、鼓腸、便秘。
5). 循環器:(1%未満)心房細動、(頻度不明)心房粗動。
6). 肝臓:(1~3%未満)肝機能異常。
7). 代謝及び栄養:(1~3%未満)食欲減退。
8). 皮膚:(1%未満)発疹、蕁麻疹、皮膚そう痒症、(頻度不明)血管浮腫。
9). 免疫系:(1%未満)薬物過敏症。
10). 筋骨格系:(1%未満)筋痙縮。
11). 感覚器:(1~3%未満)回転性めまい、(1%未満)耳鳴。
12). その他:(3%以上)疲労、*注射部位紅斑[*:国内臨床試験(経口剤から注射剤への切り替え試験)で認められた副作用]、(1~3%未満)歩行障害、易刺激性、(1%未満)転倒、挫傷、裂傷、鼻咽頭炎、発熱、無力症、酩酊感、(頻度不明)咽頭炎、注射部位疼痛、注射部位不快感、注射部位刺激感。
- 高齢者
- 一般に高齢者では生理機能が低下している〔16.6.4参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ラットにおいて胎仔移行性が認められている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト乳汁中へ移行することが報告されている)。
- 小児等
- 9.7.1. 低出生体重児、新生児、乳児又は4歳未満の幼児に対する臨床試験は実施していない。
9.7.2. 小児の部分発作患者に対する単剤療法に関する臨床試験は国内・海外ともに行われていない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 本剤は希釈なしで投与できる。希釈する場合は生理食塩液、5%ブドウ糖注射液又は乳酸リンゲル液で希釈すること(希釈後は、速やかに使用すること)。
14.1.2. 希釈後、変色又は溶液中に異物を認める場合は使用しないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意本剤の残液は廃棄すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報海外で実施された複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人あたり2.4人多いと計算されている〔8.4、8.5参照〕。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. 非臨床薬物動態試験において、ラコサミドはラットの水晶体に投与後35日目まで分布したが、ラットの26週間及び104週間反復投与毒性試験で眼に異常は認められず、イヌの52週間反復投与毒性試験において水晶体の変化は認められなかった。複視、霧視等の眼に関する副作用の発現率はプラセボ群より高く、16週間投与の日中共同第3相試験のプラセボ群では1.6%に対し、ラコサミド200mg/日群で4.9%、400mg/日群で12.2%、長期投与では5.5%であり、海外第3相試験(併合成績)のプラセボ群では4.4%に対し、ラコサミド200mg/日群で8.9%、400mg/日群で18.0%、600mg/日群で30.5%であった〔8.6参照〕。
15.2.2. 欠神発作モデルであるWAG/Rijラット(3、10及び30mg/kgを腹腔内投与)及びストラスブール遺伝性欠神てんかんラット(15.6及び31.2mg/kgを腹腔内投与)において、欠神発作増悪が認められた。
16.1 血中濃度
16.1.1 成人
日本人健康成人にラコサミド200mgを30分間又は60分間点滴静脈内投与又は経口投与したとき、ラコサミドの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。経口投与時と比較して、点滴静脈内投与時のAUC0-t及びCmaxは同程度であった。なお、ラコサミド錠の絶対バイオアベイラビリティはほぼ100%であった。
単回投与時の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
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16.1.2 小児
非盲検3試験及び二重盲検1試験において6ヵ月注1)から17歳までの小児てんかん患者414例(日本人46例を含む)から得られた血漿中ラコサミド濃度を用いて母集団薬物動態解析を行い、小児におけるラコサミドの薬物動態パラメータを推定した。本解析におけるラコサミドの投与量は2~18mg/kg/日を1日2回投与(体重50kg以上の小児での最高用量は600mg/日注2))であった。見かけの分布容積(Vd/F)は0.71L/kg、見かけの全身クリアランス(CL/F)は体重及び年齢に依存し、体重15kgの4歳児で0.88L/h(0.058L/h/kg)、体重25kgの8歳児で1.18L/h(0.047L/h/kg)、体重40kgの12歳児で1.60L/h(0.040L/h/kg)、体重50kgの16歳児で1.83L/h(0.037L/h/kg)と推定された。[7.1参照]
注1)本剤は4歳以上の小児に対して適用を有している。
注2)本剤の承認された1日最高用量は、成人及び体重50kg以上の小児には400mg、体重30kg以上50kg未満の小児には8mg/kg、体重30kg未満の小児には12mg/kgである。
16.3 分布
健康成人24例にラコサミド200mgを30分間で単回点滴静脈内投与したとき、分布容積(Vd)は31.1Lであり、ラコサミド200mgを単回経口投与したとき、見かけの分布容積(Vd/F)は32.8Lであった。
in vitro(ラコサミド1.5~60μg/mL)及びex vivo(ラコサミド0.7~5.5μg/mL)試験の結果、ラコサミドの血漿蛋白結合率は15%未満であった。
16.4 代謝
ラコサミドは腎排泄及び代謝により体内から消失した。
in vitro試験の結果、薬理学的に不活性な主代謝物であるO‐脱メチル体生成に主に寄与するCYP分子種は、CYP3A4、CYP2C9及びCYP2C19であった。
16.5 排泄
16.5.1 健康成人男性各5例に[14C]‐ラコサミド100mg(40μCi)を単回経口投与及び1時間で単回点滴静脈内投与したとき、投与後168時間までに、尿中に投与量の94%及び97%が排泄され、糞中への排泄は0.5%未満であった。尿中へはラコサミド(約30~40%)、O‐脱メチル体(約30%)、極性画分(約20%)及び他の微量な代謝物(0.5~2%)として排泄された(外国人データ)。
16.5.2 健康成人男性にラコサミド100~400mgを単回経口投与したとき、投与72時間後までの尿中排泄率は、ラコサミド29~33%、O‐脱メチル体10~15%であった。血漿中O‐脱メチル体のAUC0-tは血漿中ラコサミドの約10%であった。
16.5.3 健康成人にラコサミド200mgを30分間で単回点滴静脈内投与したとき、全身クリアランス(CL)は1.78L/hであり、ラコサミド200mgを単回経口投与したとき、見かけの全身クリアランス(CL/F)は1.84L/hであった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者(経口剤における試験成績)
腎機能の程度の異なる成人被験者にラコサミド100mgを単回経口投与したとき、AUC0-tは腎機能正常者(CLCR:≧80mL/min)と比較して、軽度低下者(CLCR:50~<80mL/min)では27%、中等度低下者(CLCR:30~<50mL/min)で22%、重度低下者(CLCR:<30mL/min)で59%高く、Cmaxは軽度から重度の腎機能低下者で10~14%高かった。軽度から重度の腎機能低下者におけるO‐脱メチル体のAUC0-tは腎機能正常者の1.5~4.6倍であった(外国人データ)。[7.1、9.2.1参照]
単回投与時の薬物動態パラメータ
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16.6.2 血液透析を受けている末期腎機能障害患者(経口剤における試験成績)
血液透析を受けている末期腎機能障害の成人被験者に、非透析時及び透析開始2.5時間前にラコサミド100mgを単回経口投与したとき、非透析時に比べ4時間の透析実施時ではラコサミドのAUC0-tは46%減少し、透析による除去効率はラコサミド57%、O‐脱メチル体53%であり、透析クリアランスはラコサミド140mL/min(8.40L/h)、O‐脱メチル体149mL/min(8.94L/h)であった(外国人データ)。[7.1、9.2.2、13.2参照]
単回投与時の薬物動態パラメータ
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16.6.3 肝機能障害患者(経口剤における試験成績)
肝機能が中等度に低下した成人(Child‐Pugh分類B)にラコサミド100mg/回を1日2回5日間反復経口投与したとき、健康成人に比べてラコサミドの定常状態のAUC0-12h及びCmaxはそれぞれ61%及び50%高かった。また、体重で基準化した定常状態のAUC0-12h及びCmaxはそれぞれ47%及び37%高かった。重度肝機能障害患者(Child‐Pugh分類C)での薬物動態は検討していない(外国人データ)。[2.2、7.2、9.3.1、9.3.2参照]
定常状態の薬物動態パラメータ
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16.6.4 高齢者(経口剤における試験成績)
65歳以上の高齢男性11例及び高齢女性12例にラコサミド100mg/回を1日2回5日間反復経口投与したとき、45歳以下の成人男性12例と比較して、高齢男性及び女性においてラコサミドの定常状態のAUC0-12hはそれぞれ33%及び50%高く、Cmaxはそれぞれ29%及び53%高かった。また、体重で基準化したAUC0-12hは高齢男性及び女性においてそれぞれ26%及び23%高かった(外国人データ)。[9.8参照]
16.6.5 CYP2C19遺伝子多型(経口剤における試験成績)
日本人及び中国人健康成人男性各18例を、CYP2C19遺伝子型に基づく代謝能分類により、急速代謝能者(UM:CYP2C19*1/*17)1例、高代謝能者(EM:CYP2C19*1/*1)17例、中間代謝能者(IM:CYP2C19*1/*2、CYP2C19*1/*3)10例、及び低代謝能者(PM:CYP2C19*2/*2、CYP2C19*2/*3)8例に分け、この集団にラコサミド100~400mgを単回経口投与したとき、ラコサミドの投与量及び体重で基準化したAUC0-∞は、EMに比べてPMで24%、IMで10%高かった。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 薬物相互作用試験
ラコサミドは、治療血漿中濃度域でCYP1A2、2B6、2C9、2C19及び3A4に対して誘導作用を示さず、CYP1A1、1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2D6、2E1、3A4及び3A5に対して阻害作用を示さなかったが、CYP2C19に対する阻害作用が示唆された。
ラコサミドは、P‐糖蛋白質の典型的な基質ではなく、P‐糖蛋白質に対して阻害作用を示さなかった(in vitro)。
16.7.2 臨床薬物相互作用試験(経口剤における試験成績)
(1)カルバマゼピン
健康成人男性19例に、ラコサミド(200mg/回、1日2回)の定常状態において、強いCYP3A誘導薬及び中程度のCYP2C9誘導薬であるカルバマゼピン(200mg/回、1日2回)を併用反復経口投与したとき、カルバマゼピンはラコサミドの定常状態のAUC0-12h及びCmaxに影響を及ぼさなかった。健康成人男性18例に、カルバマゼピン(200mg/回、1日2回)の定常状態において、ラコサミド(200mg/回、1日2回)を併用反復経口投与したとき、ラコサミドはカルバマゼピンの定常状態のAUC0-12h及びCmaxに影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
(2)オメプラゾール
健康成人男性34例に、ラコサミド(300mg)の単回経口投与において、弱いCYP2C19阻害薬であるオメプラゾール(40mg/回、1日1回)を併用反復経口投与したとき、オメプラゾールはラコサミドのAUC0-t及びCmaxに影響を及ぼさなかった。CYP2C19基質であるオメプラゾール(40mg)の単回経口投与において、ラコサミド(300mg/回、1日2回)を併用反復経口投与したとき、ラコサミドはオメプラゾールのAUC0-t及びCmaxに影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
(3)ミダゾラム
健康成人男性33例に、CYP3A基質であるミダゾラム(7.5mg)の単回経口投与において、ラコサミド(200mg/回、1日2回)を併用反復経口投与したとき、ラコサミドはミダゾラムのCmaxを30%増加させたがAUC0-tに影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
(4)ワルファリン
健康成人男性16例に、S‐ワルファリンがCYP2C9基質であるワルファリン(25mg)の単回経口投与において、ラコサミド(200mg/回、1日2回)を併用反復経口投与したとき、ラコサミドはS及びR‐ワルファリンのAUC0-t及びCmaxに影響を及ぼさず、プロトロンビン時間及びプロトロンビン時間の国際標準比(INR)の最大値及びAUC0-168hに影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.7.3 母集団薬物動態解析(経口剤における試験成績)
日本人及び外国人の成人及び小児のてんかん患者から得られた血漿中ラコサミド濃度データを用いて、母集団薬物動態解析を行った。その結果、CYP誘導作用を有する抗てんかん薬であるカルバマゼピン、フェニトイン又はフェノバルビタールの併用により、ラコサミドの定常状態のAUCは、成人及び小児で、各々25%及び17%減少した。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈部分発作(二次性全般化発作を含む)〉
17.1.1 国内第III相試験(経口剤から注射剤への切り替え試験、成人)
部分発作(二次性全般化発作を含む)を有する日本人の成人てんかん患者9例を対象として、ラコサミド200~400mg/日の経口投与の代替療法として5日間の点滴静注に切り替えたとき、登録前の8週間(先行試験の経口投与時)と比べて、1日あたりの発作回数の分布と発作型に違いはなかった。
副作用発現頻度は22.2%(2/9例、3件)で、嘔吐11.1%(1/9例)、注射部位紅斑11.1%(1/9例)、処置による頭痛11.1%(1/9例)であった。
17.1.2 国際共同第III相試験(単剤療法、成人)
新規に又は最近てんかんと診断された部分発作(二次性全般化発作を含む)又は未分類の全般性強直間代発作を有する16歳以上の患者を対象として、ラコサミド200~600mg/日注1)又はカルバマゼピン徐放錠(CBZ‐CR)400~1200mg/日注2)を単剤にて経口投与したとき、主要評価項目であるKaplan‐Meier法により推定した最終評価用量における6ヵ月間発作消失率は次表のとおりであり、群間差の95%信頼区間の下限値は予め設定された非劣性限界値(-12%)を上回ったこと、CBZ‐CR群の6ヵ月間発作消失率に対する群間差の95%信頼区間の下限値の比(相対差)は、予め設定した非劣性限界値(-20%)を上回ったことから、CBZ‐CRに対するラコサミドの非劣性が確認された。
→図表を見る(PDF)
なお、事後解析結果によるラコサミド群で400mg/日超への増量が必要となった患者を効果不十分例として扱った場合のFASにおける発作が消失した患者数(割合(%))は308注3)/444例(69.4%)であり、Kaplan‐Meier法により推定した発作消失率[95%信頼区間]は84.1%[80.5、87.6]であった。
副作用発現頻度は、ラコサミド群で37.2%(165/444例)であった。主な副作用は、浮動性めまい7.9%(35/444例)、疲労5.6%(25/444例)、傾眠4.5%(20/444例)であった。
注1)本剤の承認された1日最高用量は400mgである。
注2)カルバマゼピン徐放錠は本邦では承認されていない。
注3)200~400mg/日投与で発作が消失した患者数。
17.1.3 国内第III相試験(単剤療法、成人)
1剤の既存の抗てんかん薬を投与している16歳以上の部分発作を有するてんかん患者を対象として、ラコサミド200~600mg/日注4)経口投与による単剤療法へ切り替えたとき、6ヵ月間発作消失患者の割合は46.2%(6/13例)であった。なお、事後解析として400mg/日超への増量が必要となった患者を効果不十分例として扱った場合の、6ヵ月間発作消失患者の割合は30.8%(4/13例)であった。
副作用発現頻度は、84.2%(16/19例)であった。主な副作用は、浮動性めまい42.1%(8/19例)、傾眠31.6%(6/19例)、回転性めまい、悪心が各10.5%(2/19例)であった。
注4)本剤の承認された1日最高用量は400mgである。
17.1.4 国際共同第III相試験(併用療法、成人)
既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制効果が得られない部分発作を有する16歳以上の日本人及び中国人のてんかん患者547例(日本人患者142例を含む)を対象として、ラコサミド200、400mg/日又はプラセボを16週間経口投与(既存の抗てんかん薬1~3剤との併用)したとき、主要評価項目である観察期間に対する維持期間の28日あたりの部分発作回数変化量は次表のとおりであり、プラセボ群とラコサミド200mg/日及び400mg/日群との間で統計学的に有意な差が認められた。なお、各群における50%レスポンダーレート(28日あたりの部分発作回数が観察期間と比べて50%以上改善した患者の割合)は、プラセボ群19.7%(36/183例)、ラコサミド200mg/日群38.5%(70/182例)及びラコサミド400mg/日群49.2%(88/179例)であった。
→図表を見る(PDF)
副作用発現頻度は、ラコサミド群で47.7%(173/363例)であった。主な副作用は、浮動性めまい22.9%(83/363例)、傾眠8.8%(32/363例)、複視4.4%(16/363例)であった。
17.1.5 国際共同長期継続投与試験(成人)
国際共同第III相試験(併用療法)を完了した日本及び中国の患者473例(日本人患者123例を含む)を対象として、ラコサミド100~400mg/日を1日2回に分けて経口投与したとき(中間報告、最長767日投与)、先行試験の観察期間からの28日あたりの部分発作回数減少率の中央値は55.23%、50%レスポンダーレートは56.3%(265/471例)であった。
副作用発現頻度は、ラコサミド群で42.9%(203/473例)であった。主な副作用は、浮動性めまい17.8%(84/473例)、傾眠5.7%(27/473例)、頭痛3.8%(18/473例)であった。
17.1.6 海外第III相試験(小児)
既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制効果が得られない部分発作を有する4歳以上17歳未満の小児てんかん患者343例を対象として、ラコサミド(体重30kg未満の患者は8~12mg/kg/日、体重30~50kg未満の患者は6~8mg/kg/日、体重50kg以上の患者は300~400mg/日)又はプラセボを16週間経口投与(既存の抗てんかん薬1~3剤との併用)したとき、主要評価項目である観察期間に対する維持期間の28日あたりの部分発作回数変化量は次表のとおりであり、プラセボ群とラコサミド群との間で統計学的に有意な差が認められた。
→図表を見る(PDF)
副作用発現頻度は、ラコサミド群で33.9%(58/171例)であった。主な副作用は、傾眠14.0%(24/171例)、浮動性めまい8.8%(15/171)であった。
17.1.7 国際共同第II相長期継続投与試験(小児)
4歳から17歳の直接登録された小児てんかん患者136例(日本人46例、外国人90例)を対象として、ラコサミド12mg/kg/日(体重50kg以上の患者は600mg/日注5))までを1日2回に分けて経口投与したとき、観察期間からの全治療期間における部分発作回数変化率の中央値は-52.73%(日本人で-27.63%、外国人で-60.56%)であった。
副作用発現頻度は、56.2%(77/137例)であった。主な副作用は、浮動性めまい20.4%(28/137例)、傾眠19.7%(27/137例)、振戦8.0%(11/137例)であった。
注5)本剤の承認された1日最高用量は、成人及び体重50kg以上の小児には400mg、体重30kg以上50kg未満の小児には8mg/kg、体重30kg未満の小児には12mg/kgである。
〈強直間代発作〉
17.1.8 国際共同第III相試験(成人及び小児)
既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制効果が得られない強直間代発作を有する4歳以上のてんかん患者242例(日本人患者30例を含む)を対象として、ラコサミド(体重30kg未満の小児患者は8~12mg/kg/日、体重30~50kg未満の小児患者は6~8mg/kg/日、体重50kg以上の小児及び成人患者は300~400mg/日)又はプラセボを最長で24週間経口投与(既存の抗てんかん薬1~3剤との併用)したとき、主要評価項目である24週間の治療期間における2回目の強直間代発作が発現するまでの時間は次表及び添付文書の図のとおりであり、プラセボとラコサミド群との間で統計学的に有意な差が認められた。
→図表を見る(PDF)
治療期間における2回目の強直間代発作が発現するまでの時間のKaplan‐Meier曲線
副作用発現頻度は、ラコサミド群で46.3%(56/121例)であった。主な副作用は、浮動性めまい17.4%(21/121例)、傾眠13.2%(16/121例)、悪心7.4%(9/121例)であった。
17.1.9 国際共同長期継続投与試験(成人及び小児)
国際共同第III相試験(成人及び小児)を完了した患者及び当該試験での適格性基準のうち強直間代発作回数の基準のみを満たさなかった患者239例(日本人患者37例を含む)を対象として、ラコサミド(体重50kg未満の小児患者は4~12mg/kg/日、体重50kg以上の小児患者は200~600mg/日、成人患者は200~800mg/日注6))を1日2回に分けて経口投与したとき(中間報告、最長1416日投与)、先行試験の観察期間からの治療期間における28日あたりの強直間代発作回数変化率の中央値は-88.52%であった。
副作用発現頻度は、34.7%(83/239例)であった。主な副作用は、浮動性めまい10.9%(26/239例)、傾眠5.9%(14/239例)、回転性めまい及び悪心3.8%(9/239例)であった。
注6)本剤の承認された1日最高用量は、成人及び体重50kg以上の小児には400mg、体重30kg以上50kg未満の小児には8mg/kg、体重30kg未満の小児には12mg/kgである。
17.3 その他
17.3.1 心電図に対する影響(経口剤における試験成績)
健康成人214例にラコサミド400mg/日、800mg/日注7)又はプラセボを1日2回に分けて6日間反復経口投与、又はモキシフロキサシン400mg/日を1日1回3日間反復経口投与したとき、ラコサミドはQTc間隔を延長しなかった。ラコサミド群のPR間隔の平均変化量は第6日目の投与1時間後に最大となり、プラセボ群との差は、400mg/日で7.3ms、800mg/日注7)で11.9msであった(外国人データ)。
注7)本剤の承認された1日最高用量は400mgである。
18.1 作用機序
ラコサミドは電位依存性ナトリウムチャネルの緩徐な不活性化を選択的に促進し、過興奮状態にある神経細胞膜を安定化させることによって抗けいれん作用を示すと考えられている。
18.2 てんかん発作に対する作用
ラコサミドは聴原性発作マウス、扁桃核キンドリング発作マウス、海馬キンドリング発作ラット、6Hzてんかん発作マウス及び最大電気ショック発作(マウス、ラット)の部分発作及び全般発作を反映した動物モデルにおいて発作を抑制した。
18.3 抗てんかん原性作用
扁桃核電気刺激キンドリングラットにおいて、キンドリング形成を抑制した。
- 製造販売会社
- ユーシービージャパン
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