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トラマールOD錠25mg

販売名
トラマールOD錠25mg
識別コード
132 25
薬価
25mg1錠 17.00円
製造メーカー
日本新薬

添付文書情報2024年06月改定(第3版)

商品情報

薬効分類名
その他の解熱鎮痛消炎剤
一般名
トラマドール塩酸塩口腔内崩壊錠
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
禁忌
2.1. 12歳未満の小児〔9.7.1参照〕。
2.2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者〔9.1.6参照〕。
2.3. アルコールによる急性中毒、睡眠剤による急性中毒、鎮痛剤による急性中毒、オピオイド鎮痛剤による急性中毒又は向精神薬による急性中毒患者[中枢神経抑制及び呼吸抑制を悪化させるおそれがある]。
2.4. モノアミン酸化酵素阻害剤投与中又は投与中止後14日以内(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)の患者〔10.1参照〕。
2.5. ナルメフェン塩酸塩水和物投与中の患者又はナルメフェン塩酸塩水和物投与中止後1週間以内の患者〔10.1参照〕。
2.6. 治療により十分な管理がされていないてんかん患者[症状が悪化するおそれがある]〔9.1.2参照〕。
効能・効果
非オピオイド鎮痛剤で治療困難な次記疾患における鎮痛:
1). 疼痛を伴う各種癌における鎮痛。
2). 慢性疼痛における鎮痛。
(効能又は効果に関連する注意)
慢性疼痛患者においては、その原因となる器質的病変、心理的・社会的要因、依存リスクを含めた包括的な診断を行い、本剤の投与の適否を慎重に判断すること。
用法・用量
通常、成人にはトラマドール塩酸塩として1日100~300mgを4回に分割経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。ただし1回100mg、1日400mgを超えないこととする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 初回投与量
本剤を初回投与する場合は、1回25mgから開始することが望ましい。
7.2. 投与間隔
4~6時間ごとの定時に経口投与すること(ただし、生活時間帯に合わせて投与間隔を調整することも可能とする)。
7.3. 増量及び減量
本剤投与開始後は患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調整を行うこと(増量・減量の目安は、1回25mg(1日100mg)ずつ行うことが望ましい)。
7.4. がん疼痛患者における疼痛増強時の臨時追加投与(レスキュー・ドーズ)
がん疼痛患者における疼痛増強時の臨時追加投与(レスキュー・ドーズ):本剤服用中に疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突出痛が発現した場合は、直ちに本剤の臨時追加投与を行って鎮痛を図ること(本剤の臨時追加投与の1回投与量は、定時投与中の本剤の1日量の1/8~1/4を経口投与すること)。
7.5. 投与の継続
慢性疼痛患者において、本剤投与開始後4週間を経過してもなお期待する効果が得られない場合は、他の適切な治療への変更を検討し、また、定期的に症状及び効果を確認し、投与の継続の必要性について検討すること。
7.6. 投与の中止
7.6.1. 本剤の投与を必要としなくなった場合は、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。
7.6.2. がん疼痛患者において、本剤の1日の定時投与量が300mgで鎮痛効果が不十分となった場合、本剤の投与を中止し、モルヒネ等の強オピオイド鎮痛剤への変更を考慮すること。その場合には、定時投与量の1/5の用量の経口モルヒネを初回投与量の目安とすることが望ましい。また、経口モルヒネ以外の強オピオイド鎮痛剤に変更する場合は、経口モルヒネとの換算で投与量を求めることが望ましい。
7.7. 高齢者への投与
75歳以上の高齢者では、本剤の血中濃度が高い状態で持続し、作用及び副作用が増強するおそれがあるので、1日300mgを超えないことが望ましい〔16.6.3参照〕。
7.8. 服用時の注意
本剤は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜からの吸収により効果発現を期待する製剤ではないため、唾液又は水で飲み込むこと〔14.2.1参照〕。
肝機能障害患者
8.1. 連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること〔11.1.4参照〕。
8.2. 本剤を投与した際に、悪心、嘔吐、便秘等の症状があらわれることがある。悪心・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を、便秘に対する対策として下剤の併用を考慮し、本剤投与時の副作用の発現に十分注意すること。
8.3. 眠気、めまい、意識消失が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意し、なお、意識消失により自動車事故に至った例も報告されている。
8.4. 鎮痛剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意すること。
9.1.1. 18歳未満の肥満、18歳未満の閉塞性睡眠時無呼吸症候群又は18歳未満の重篤な肺疾患を有する患者:投与しないこと(重篤な呼吸抑制のリスクが増加するおそれがある)。
9.1.2. てんかん<治療により十分な管理がされていないてんかんを除く>のある患者、痙攣発作を起こしやすい患者又は痙攣発作の既往歴のある患者:本剤投与中は観察を十分に行うこと(痙攣発作を誘発することがある)〔2.6参照〕。
9.1.3. 薬物乱用又は薬物依存傾向のある患者:厳重な医師の管理下に、短期間に限って投与すること(依存性を生じやすい)。
9.1.4. 呼吸抑制状態にある患者:呼吸抑制を増強するおそれがある。
9.1.5. 脳器質的障害のある患者:呼吸抑制や頭蓋内圧上昇を来すおそれがある。
9.1.6. オピオイド鎮痛剤に対し過敏症の既往歴のある患者(本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者を除く)〔2.2参照〕。
9.1.7. ショック状態にある患者:循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。
腎機能障害患者:患者の状態を考慮し、投与間隔を延長するなど慎重に投与すること(高い血中濃度が持続し、作用及び副作用が増強するおそれがある)〔16.6.1参照〕。
肝機能障害患者:患者の状態を考慮し、投与間隔を延長するなど慎重に投与すること(高い血中濃度が持続し、作用及び副作用が増強するおそれがある)〔16.6.2参照〕。
相互作用
本剤は主として肝代謝酵素CYP2D6及びCYP3A4により代謝される。
10.1. 併用禁忌:1). モノアミン酸化酵素阻害剤<リネゾリド・メチルチオニニウム塩化物以外>(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>、サフィナミドメシル酸塩<エクフィナ>)〔2.4参照〕[外国において、セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)を含む中枢神経系の重篤な副作用<攻撃的行動・固縮・痙攣・昏睡・頭痛>、呼吸器系の重篤な副作用<呼吸抑制>及び心血管系の重篤な副作用<低血圧・高血圧>が報告されているので、モノアミン酸化酵素阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者には投与しないこと(また、本剤投与中止後にモノアミン酸化酵素阻害剤の投与を開始する場合には、2~3日間の間隔をあけることが望ましい)(相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる)]。
2). ナルメフェン塩酸塩水和物<セリンクロ>〔2.5参照〕[離脱症状を起こすおそれがあり、本剤の鎮痛作用を減弱させるため、効果を得るために必要な用量が通常用量より多くなる、呼吸抑制等の中枢神経抑制症状が発現するおそれがある(ナルメフェンを投与中又は投与中止後1週間以内の患者には投与しないこと)(ナルメフェンのμオピオイド受容体拮抗作用により、本剤に対して競合的に阻害する)]。
10.2. 併用注意:1). オピオイド鎮痛剤、中枢神経抑制剤(フェノチアジン系薬剤、催眠鎮静剤等)[痙攣閾値の低下や呼吸抑制の増強を来すおそれがある(本剤と相加的に作用が増強されると考えられる)]。
2). 三環系抗うつ剤、セロトニン作用薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>等)[セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがあり、また、痙攣発作の危険性を増大させるおそれがある(相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる)]。
3). リネゾリド[セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがあり、また、痙攣発作の危険性を増大させるおそれがある(リネゾリドの非選択的、可逆的モノアミン酸化酵素阻害作用により、相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる)]。
4). メチルチオニニウム塩化物水和物<メチレンブルー>[セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがある(メチルチオニニウム塩化物水和物のモノアミン酸化酵素阻害作用によりセロトニン作用が増強される)]。
5). アルコール[呼吸抑制が生じるおそれがある(本剤と相加的に作用が増強されると考えられる)]。
6). カルバマゼピン[同時あるいは前投与で本剤の鎮痛効果を下げ作用時間を短縮させる可能性がある(本剤の代謝酵素が誘導されるため)]。
7). キニジン[相互に作用が増強するおそれがある(機序不明)]。
8). ジゴキシン[外国において、ジゴキシン中毒が発現したとの報告がある(機序不明)]。
9). クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)[出血を伴うプロトロンビン時間の延長・斑状出血等の抗凝血作用への影響がみられたとの報告がある(機序不明)]。
10). オンダンセトロン塩酸塩水和物[本剤の鎮痛作用を減弱させるおそれがある(本剤の中枢におけるセロトニン作用が抑制されると考えられる)]。
11). ブプレノルフィン、ペンタゾシン等[本剤の鎮痛作用を減弱させるおそれがあり、また、退薬症候を起こすおそれがある(本剤が作用するμオピオイド受容体の部分アゴニストであるため)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(頻度不明):呼吸困難、気管支痙攣、喘鳴、血管神経性浮腫等があらわれることがある。
11.1.2. 呼吸抑制(頻度不明)。
11.1.3. 痙攣(頻度不明)。
11.1.4. 依存性(頻度不明):長期使用時に、耐性、精神的依存及び身体的依存が生じることがある。本剤の中止又は減量時において、激越、不安、神経過敏、不眠症、運動過多、振戦、胃腸症状、パニック発作、幻覚、錯感覚、耳鳴等の退薬症候が生じることがある〔8.1参照〕。
11.1.5. 意識消失(頻度不明)。
11.2. その他の副作用
1). 呼吸器:(1%未満)呼吸困難、口腔咽頭痛、咽喉乾燥、(頻度不明)口腔咽頭不快感、発声障害。
2). 循環器:(1%未満)血圧上昇、ほてり、血圧低下、動悸、(頻度不明)起立性低血圧、不整脈、顔面蒼白、胸内苦悶、頻脈、徐脈、高血圧。
3). 血液凝固系:(1%未満)好中球増加、好酸球増加・好酸球減少、リンパ球減少、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、赤血球減少、白血球増加、血小板減少。
4). 精神神経系:(5%以上)傾眠、浮動性めまい、頭痛、(1~5%未満)振戦、不眠症、(1%未満)譫妄、幻覚、鎮静、体位性めまい、睡眠障害、不随意性筋収縮、感覚鈍麻、味覚異常、記憶障害、健忘、ジスキネジー、眼振、回転性めまい、疲労、耳鳴、悪夢、気分変動、うつ病、落ち着きのなさ、不安、(頻度不明)頭重感、興奮、虚脱感、両手のしびれ感、ふらつき感、不快感、錯感覚、協調運動異常、失神、錯乱、活動低下・活動亢進、行動障害、知覚障害、言語障害、無感情、不快気分。
5). 消化器:(5%以上)悪心、嘔吐、便秘、食欲減退、(1~5%未満)下痢、腹部不快感、上腹部痛、(1%未満)口内乾燥、口内炎、消化不良、腹痛、胃炎、口唇炎、胃食道逆流性疾患、口の錯感覚、腹部膨満感、(頻度不明)腹鳴、おくび、イレウス。
6). 肝臓:(1~5%未満)AST増加、ALT増加、(1%未満)Al-P増加、LDH増加、(頻度不明)肝機能異常、ビリルビン増加。
7). 皮膚:(1~5%未満)多汗症、皮膚そう痒症、湿疹、(1%未満)発疹、全身性そう痒症、蕁麻疹、薬疹、冷汗、(頻度不明)寝汗。
8). 腎臓及び尿路系:(1~5%未満)排尿困難、(1%未満)尿糖陽性、尿蛋白陽性、尿潜血陽性、クレアチニン増加、BUN増加、頻尿、尿量減少、尿閉、(頻度不明)夜間頻尿、膀胱炎。
9). 代謝異常:(1%未満)尿酸増加、トリグリセリド増加。
10). その他:(5%以上)口渇、倦怠感、(1~5%未満)無力症、異常感、(1%未満)CK増加、熱感、脱水、視力障害、背部痛、関節痛、四肢痛、筋骨格硬直、浮腫、末梢性浮腫、疼痛、胸部不快感、転倒、易刺激性、悪寒、発熱、霧視、(頻度不明)冷感、散瞳、視調節障害、心電図QT延長、体重減少。
カプセル剤による発現頻度。
高齢者
高齢者:患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(生理機能が低下していることが多く、代謝・排泄が遅延し副作用があらわれやすい)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(胎盤関門を通過し、退薬症候が新生児に起こる可能性があり、なお、動物実験で、器官形成に影響、骨化に影響及び出生仔生存に影響を及ぼすことが報告されている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(静脈内投与(国内未承認)の場合、0.1%が乳汁中に移行することが知られている)。
小児等
9.7.1. 12歳未満の小児:投与しないこと(海外において、12歳未満の小児で死亡を含む重篤な呼吸抑制のリスクが高いとの報告がある)〔2.1参照〕。
9.7.2. 12歳以上の小児:12歳以上の小児に対する有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.7.3. 肥満を有する小児、閉塞性睡眠時無呼吸症候群を有する小児又は重篤な肺疾患を有する小児:投与しないこと(重篤な呼吸抑制のリスクが増加するおそれがある)。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意14.1.1. 本剤の投与にあたっては、具体的な服用方法、服用時の注意点、保管方法等を十分に説明し、本剤の目的以外への使用をしないように指導するとともに、本剤を子供の手の届かないところに保管するよう指導すること。
14.1.2. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
14.2. 服用時の注意14.2.1. 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用
可能である(また、水で服用することもできる)〔7.8参照〕。
14.2.2. 本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。
アルミピローの開封後は湿気を避けて保存すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報遺伝的にCYP2D6の活性が過剰であることが判明している患者(Ultra-rapid Metabolizer)では、トラマドールの活性代謝物の血中濃度が上昇し、呼吸抑制等の副作用が発現しやすくなるおそれがある。

16.1 血中濃度
16.1.1 健康成人(生物学的同等性)
健康成人男性24例にトラマドール塩酸塩OD錠50mg(水なしで服用又は水で服用)又はトラマドール塩酸塩カプセル50mg(水で服用)を空腹時に単回経口投与した場合、トラマドール及び活性代謝物モノ‐O‐脱メチル体(M1)の血漿中濃度は添付文書の図のとおりであった。OD錠は水なしで服用又は水で服用した場合のいずれにおいても、カプセル(水で服用)と生物学的に同等であることが確認された。
トラマドール塩酸塩OD錠50mgを水なしで、トラマドール塩酸塩カプセル50mgを水で服用後のトラマドール及び活性代謝物M1の血漿中濃度推移

薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

トラマドール塩酸塩OD錠50mg又はトラマドール塩酸塩カプセル50mgを水で服用後のトラマドール及び活性代謝物M1の血漿中濃度推移

薬物動態パラメータ
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16.1.2 健康成人
健康成人男性6例にトラマドール塩酸塩カプセルを空腹時に単回経口投与したとき、トラマドール及び活性代謝物M1の血漿中濃度は投与後2時間までにCmaxに達した後、それぞれ5~6時間及び6~7時間のt1/2,βで低下した。血漿中トラマドール及びM1のCmax及びAUC0-∞はいずれも用量に比例して増加した。
トラマドール塩酸塩カプセル経口投与後のトラマドール及び活性代謝物M1の血漿中濃度推移

薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

16.3 分布
16.3.1 組織への移行
14C‐トラマドール塩酸塩を雄性ラットに30mg/kg経口投与した後、放射能濃度はほとんどの組織で投与後1~2時間で最高値に達した。投与後1時間の組織中濃度は肝臓、腎臓及び肺で高く、それぞれ血漿中濃度の約15、13及び11倍であった。脳内の放射能濃度は血漿の約2倍高かった。各組織からの放射能の消失は血漿と同様に速やかであり、放射能濃度は投与後24時間で最高値の10%以下に低下した。
16.3.2 血漿タンパク結合
14C‐トラマドール塩酸塩の血漿タンパク結合率は、0.2~10μg/mLの範囲で19.5~21.5%であり、結合率に濃度依存性は認められなかった(in vitro)。
16.4 代謝
16.4.1 トラマドールの主な代謝経路は、O‐及びN‐脱メチル化(第一相反応)並びにそれらの代謝物のグルクロン酸又は硫酸抱合(第二相反応)であった。
16.4.2 トラマドールのO‐脱メチル化反応にはCYP2D6が、N‐脱メチル化反応にはCYP3A4が主に関与していた。
16.5 排泄
健康成人男性6例にトラマドール塩酸塩カプセル25、50又は100mgを空腹時に単回経口投与したとき、投与後24時間までの尿中排泄率に用量間で差はなく、投与量の12~16%が未変化体として、12~15%がモノ‐O‐脱メチル体(M1)、15~18%がM1の抱合体として排泄された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害患者21例(クレアチニンクリアランス:80mL/min以下)にトラマドール塩酸塩100mgを静脈内投与したとき、血清中トラマドールのt1/2,β及びAUC0-∞は健康成人のそれぞれ最大で1.5倍及び2倍であった(外国人によるデータ)。[9.2参照]
16.6.2 肝硬変患者
肝硬変患者12例にトラマドール塩酸塩カプセル50mgを経口投与したとき、健康成人と比較して血清中トラマドールのCmax及びAUC0-∞は顕著に増加し、t1/2,βは約2.6倍に延長した(外国人によるデータ)。[9.3参照]
16.6.3 高齢者
健康高齢者20例(66~82歳)にトラマドール塩酸塩カプセル50mgを経口投与したときの血清中トラマドール濃度は、健康非高齢者8例(22~47歳)の結果と同様の推移を示した。一方、後期高齢者(75歳以上、8例)では、前期高齢者(65歳以上75歳未満、12例)に比べ、血清中トラマドールのCmax、AUC0-∞及び尿中排泄量が30~50%増加し、t1/2,β及びMRTが約1時間延長した(外国人によるデータ)。[7.7参照]

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈がん疼痛〉
17.1.1 国内第III相試験
非オピオイド鎮痛剤(非ステロイド性鎮痛剤又はアセトアミノフェン)投与中で安静時の痛みの程度(VAS値)が25mm以上の日本人がん疼痛患者95例を対象とし、本剤1日4回又は対照薬(モルヒネ硫酸塩徐放性製剤)を1日1回(朝)2週間投与した第III相二重盲検比較試験の成績は次のとおりであった。
主要評価項目として設定した便秘スコアは、本剤群と対照薬群との間に有意な差が認められ(P=0.0073)、本剤は対照薬に比べて便秘の程度が低いことが示唆された。
第III相二重盲検比較試験における便秘スコア(便秘スコア解析対象90例)
→図表を見る(PDF)

最終評価時の安静時の痛みの程度(VAS値)とその変化量に基づく改善度判定により「有効」と判定された症例の割合は、本剤群89.6%(43/48例)、対照薬群87.2%(41/47例)であった。また、最終評価時の安静時の痛みの程度(VAS値)とその変化量及びレスキュー・ドーズの投与状況は次のとおりであり、本剤群と対照薬群でほぼ同様であった。
第III相二重盲検比較試験における最終評価時(2週後又は中止時)の安静時の痛みの程度(VAS値)とその変化量及びレスキュー・ドーズ投与状況
→図表を見る(PDF)

副作用発現頻度は、本剤群で70.8%(34/48例)であった。主な副作用は、便秘58.3%(28/48例)、悪心、傾眠各25.0%(12/48例)、嘔吐18.8%(9/48例)であった。
〈慢性疼痛〉
17.1.2 国内第III相試験
(1)変形性関節症と診断され、非ステロイド性消炎鎮痛剤の経口投与により十分な鎮痛効果が得られない慢性疼痛患者を対象に、非盲検下で1~5週間かけて100~400mgの範囲で適宜増減した後、二重盲検期への移行基準を満たした患者160例に、本剤又はプラセボをランダムに割り付けて4週間投与したとき(本剤群79例、プラセボ群81例)、二重盲検下での鎮痛効果不十分をイベントとしたイベント発生までの期間は、プラセボ群と比較し本剤群で有意に長かった(ログランク検定:P=0.0002)。
Kaplan‐Meier法による鎮痛効果持続率

副作用発現頻度は、本剤群で85.9%(183/213例)であった。主な副作用は、便秘51.2%(109/213例)、悪心48.8%(104/213例)、傾眠23.9%(51/213例)、嘔吐19.7%(42/213例)、浮動性めまい12.7%(27/213例)、口渇7.0%(15/213例)、食欲減退6.1%(13/213例)、そう痒症5.6%(12/213例)であった。
(2)帯状疱疹後神経痛と診断され、非オピオイド鎮痛剤(NSAIDs、プレガバリン他)の経口投与により十分な鎮痛効果が得られない慢性疼痛患者を対象に、非盲検下で1~5週間かけて100~400mgの範囲で適宜増減した後、二重盲検期への移行基準を満たした患者166例に、本剤又はプラセボをランダムに割り付けて4週間投与したとき(本剤群81例、プラセボ群85例)、二重盲検下での鎮痛効果不十分をイベントとしたイベント発生までの期間は、プラセボ群と比較し本剤群で有意に長かった(ログランク検定:P<0.0001)。
Kaplan‐Meier法による鎮痛効果持続率

副作用発現頻度は、本剤群で81.3%(208/256例)であった。主な副作用は、便秘50.8%(130/256例)、悪心43.4%(111/256例)、傾眠28.5%(73/256例)、浮動性めまい19.5%(50/256例)、嘔吐14.1%(36/256例)、口渇7.0%(18/256例)、頭痛6.6%(17/256例)であった。
17.1.3 国内第III相試験(長期投与)
各種疾患(変形性関節症、腰痛症、関節リウマチ、脊柱管狭窄症、帯状疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性神経障害、複合性局所疼痛症候群、線維筋痛症)に伴う慢性疼痛を有し、非オピオイド鎮痛剤(NSAIDs、プレガバリン他)の経口投与により十分な鎮痛効果が得られない患者173例を対象に、本剤を1日4回、100~400mgの範囲で適宜増減して非盲検下で最長52週間投与したときのVAS値の平均値は、前観察期の64.6mmに対して、28週後には34.9mmに低下し、その後52週までほぼ一定の値で推移した。
副作用発現頻度は、本剤群で90.8%(157/173例)であった。主な副作用は、悪心55.5%(96/173例)、便秘52.6%(91/173例)、傾眠46.8%(81/173例)、浮動性めまい26.6%(46/173例)、嘔吐23.7%(41/173例)、口渇16.8%(29/173例)、倦怠感12.1%(21/173例)、下痢5.8%(10/173例)、不眠症、腹部不快感、そう痒症及び排尿困難各5.2%(9/173例)であった。
注)カプセル剤の臨床成績

18.1 作用機序
トラマドール塩酸塩及び活性代謝物M1は、μオピオイド受容体の作動作用に加え、ノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込み阻害作用を併せ持つことで、侵害受容性疼痛及び神経障害性疼痛を抑制すると考えられる。
18.2 オピオイド受容体結合に対する作用
ラット脳を用いた受容体結合実験において、トラマドール塩酸塩はδ及びκオピオイド受容体よりもμオピオイド受容体に高い結合親和性を示した。M1塩酸塩のラットμオピオイド受容体に対する結合親和性は、モルヒネ塩酸塩に劣るもののトラマドール塩酸塩より高かった(in vitro)。
18.3 ノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込み系に対する作用
ラット脳を用いた取り込み実験において、トラマドール塩酸塩はノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込み系を抑制した。これらの再取り込み系に対するM1塩酸塩の抑制作用は、トラマドール塩酸塩と同程度あるいは弱かった(in vitro)。
18.4 侵害受容性疼痛に対する抑制作用
18.4.1 マウス及びラットを用いたライシング法、ホットプレート法及びテールフリック法による侵害刺激実験において、トラマドール塩酸塩は経口、腹腔内又は皮下投与で鎮痛効果を示した。代謝物M1の塩酸塩をラットに静脈内投与した場合、テールフリック法による侵害刺激反応をトラマドール塩酸塩よりも低用量から抑制した。
18.4.2 マウスを用いたテールフリック法による侵害刺激法において、トラマドール塩酸塩を腹腔内投与した時の鎮痛作用はオピオイド受容体拮抗薬であるナロキソン塩酸塩で抑制された。一方、α2‐アドレナリン受容体拮抗薬であるヨヒンビン塩酸塩及びセロトニン2型受容体拮抗薬であるリタンセリンは、マウスにトラマドール塩酸塩をくも膜下腔内に投与した時の鎮痛作用を抑制した。
18.5 神経障害性疼痛に対する抑制作用
ラットの坐骨神経を部分結紮した神経障害性疼痛モデルにおいて、トラマドール塩酸塩は経口投与で抗アロディニア作用を示した。

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