レキサルティOD錠0.5mg

添付文書情報2024年09月改定(第5版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 2.1. 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある]。
2.2. バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある]。
2.3. アドレナリン投与中<アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く>の患者〔10.1参照〕。
2.4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 1). 統合失調症。
2). うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)。
3). アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感に起因する過活動又は焦燥感に起因する攻撃的言動、易刺激性に起因する過活動又は易刺激性に起因する攻撃的言動、興奮に起因する過活動又は興奮に起因する攻撃的言動。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉うつ病・うつ状態の本剤併用はSSRI、SNRI等適切な治療を複数回行っても十分効果が認められない場合に本剤の副作用(アカシジア、遅発性ジスキネジア等の錐体外路症状)や他の治療も考慮の上適否を慎重に判断すること(SSRI:選択的セロトニン再取り込み阻害剤、SNRI:セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)。
5.2. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤を投与する場合には、リスクとベネフィットを考慮すること〔8.9-8.12、9.1.6、15.1.3参照〕。
5.3. 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉高齢認知症患者への抗精神病薬投与により死亡リスク増加するとの海外報告がある(また、本剤の国内プラセボ対照試験において、治験薬投与との関連性は明らかではないが死亡例が本剤群のみで報告されている)、本剤の投与にあたっては前記リスクを十分に考慮し、臨床試験における有効性及び安全性の結果等を熟知した上で、慎重に患者を選択すること。また、本剤投与中は患者の状態を注意深く観察すること〔15.1.2、17.1.5参照〕。
5.4. 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉本剤の投与は、アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動に関する病態、診断、治療に精通した医師又はその医師との連携のもとで行うこと。
5.5. 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉アルツハイマー型認知症と診断された患者にのみ使用すること。アルツハイマー型認知症以外の認知症性疾患に伴う過活動又はアルツハイマー型認知症以外の認知症性疾患に伴う攻撃的言動に対する本剤の有効性及び安全性は確認されていない。
5.6. 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉アルツハイマー型認知症の場合、患者及び家族・介護者から自他覚症状の聴取等を行い、過活動又は攻撃的言動がアルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因したものであることを確認すること。
5.7. 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉アルツハイマー型認知症の場合、非薬物的介入では十分な効果が認められない場合に限り、非薬物的介入に加えて本剤を投与すること。
5.8. 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉臨床試験では、国際老年精神医学会の定義に基づくアジテーション患者が対象とされた(国内第2/3相試験に組み入れられた患者の臨床症状、試験結果等を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと)〔17.1.5参照〕。
- 用法・用量
- 〈統合失調症〉
通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回1mgから投与を開始した後、4日以上の間隔をあけて増量し、1日1回2mgを経口投与する。
〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉
通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回1mgを経口投与する。なお、忍容性に問題がなく、十分な効果が認められない場合に限り、1日量2mgに増量することができる。
〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉
通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回0.5mgから投与を開始した後、1週間以上の間隔をあけて増量し、1日1回1mgを経口投与する。なお、忍容性に問題がなく、十分な効果が認められない場合に限り、1日1回2mgに増量することができるが、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこと。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈統合失調症〉本剤の1日量4mgを超える用量での安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
7.2. 〈統合失調症〉本剤と中程度以上のCYP2D6阻害剤(キニジン、パロキセチン等)及び/又は中程度以上のCYP3A阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)を併用する場合等には、本剤の血漿中濃度が上昇することから、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること(やむを得ず併用する場合には、次を参考に用法及び用量の調節を行うこと)〔10.2、16.4、16.7.1、16.7.2、16.7.5、17.1.1参照〕。
(参考)
1). 〈統合失調症〉強いCYP2D6阻害剤併用又は強いCYP3A阻害剤併用のいずれか:1回1mgを1日1回。
2). 〈統合失調症〉中程度のCYP2D6阻害剤及び中程度のCYP3A阻害剤のいずれも併用:1回1mgを1日1回。
3). 〈統合失調症〉CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者:1回1mgを1日1回。
4). 〈統合失調症〉強いCYP2D6阻害剤及び強いCYP3A阻害剤のいずれも併用:1回1mgを2日に1回又は1回0.5mgを1日1回。
5). 〈統合失調症〉強いCYP2D6阻害剤及び中程度のCYP3A阻害剤のいずれも併用:1回1mgを2日に1回又は1回0.5mgを1日1回。
6). 〈統合失調症〉中程度のCYP2D6阻害剤及び強いCYP3A阻害剤のいずれも併用:1回1mgを2日に1回又は1回0.5mgを1日1回。
7). 〈統合失調症〉CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者が中程度以上のCYP3A阻害剤を併用:1回1mgを2日に1回又は1回0.5mgを1日1回。
7.3. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉本剤は選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤又はミルタザピンと併用すること[本剤単独投与での有効性は確認されていない]〔17.1.4参照〕。
7.4. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉本剤投与による副作用(アカシジア、遅発性ジスキネジア等の錐体外路症状等)を考慮して、本剤の投与量及び投与期間は必要最小限とすること〔11.1.2、17.1.4参照〕。
7.5. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉臨床試験における有効性及び安全性の結果を熟知した上で、本剤2mgへの増量の要否を慎重に判断すること(本剤2mgへの増量を考慮する場合には、本剤1mg投与開始後6週間を目処に本剤2mgへの増量の要否を検討すること)[臨床試験において、本剤1mg群と2mg群で有効性は同程度であり、本剤2mg群では本剤1mg群と比べアカシジア等の錐体外路症状の発現割合は高くなる傾向が示されている]〔17.1.4参照〕。
7.6. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉本剤2mgへの増量後はより頻回に患者の症状を観察し、錐体外路症状等の副作用の発現に注意すること(副作用が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと)、また、増量後は、6週間を目処に本剤2mgの投与継続の要否を検討し、期待する効果が得られない場合には漫然と投与を継続しないこと。
7.7. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉本剤と中程度以上のCYP2D6阻害剤(キニジン、パロキセチン等)及び中程度以上のCYP3A阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)を併用する場合等には、本剤の血漿中濃度が上昇することから、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること(やむを得ずうつ病・うつ状態で中程度以上のCYP2D6阻害剤及び中程度以上のCYP3A阻害剤を併用する場合には、次を参考に用法及び用量の調節を行うこと)〔10.2、16.4、16.7.1、16.7.2、16.7.5、17.1.4参照〕。
(参考)
1). 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉強いCYP2D6阻害剤及び強いCYP3A阻害剤のいずれも併用:1日1回1mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを2日に1回、1日1回2mgに相当する用法及び用量は1回1mgを2日に1回又は1回0.5mgを1日1回。
2). 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉強いCYP2D6阻害剤及び中程度のCYP3A阻害剤のいずれも併用:1日1回1mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを2日に1回、1日1回2mgに相当する用法及び用量は1回1mgを2日に1回又は1回0.5mgを1日1回。
3). 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉中程度のCYP2D6阻害剤及び強いCYP3A阻害剤のいずれも併用:1日1回1mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを2日に1回、1日1回2mgに相当する用法及び用量は1回1mgを2日に1回又は1回0.5mgを1日1回。
4). 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者が中程度以上のCYP3A阻害剤を併用:1日1回1mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを2日に1回、1日1回2mgに相当する用法及び用量は1回1mgを2日に1回又は1回0.5mgを1日1回。
7.8. 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉本剤投与による副作用(アカシジア、遅発性ジスキネジア等の錐体外路症状、誤嚥性肺炎等)を考慮して、本剤の投与量及び投与期間は必要最小限とすること〔11.1.2、17.1.5参照〕。
7.9. 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉臨床試験における有効性及び安全性の結果を熟知した上で、本剤2mgへの増量の要否を慎重に判断すること[臨床試験において、本剤1mg群と2mg群のいずれもプラセボ群に対する優越性が検証され、本剤2mg群では本剤1mg群と比べ錐体外路症状の発現割合は高くなる傾向が示されている)]〔17.1.5参照〕。
7.10. 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉本剤2mgへの増量後はより頻回に患者の症状を観察し、副作用(アカシジア、遅発性ジスキネジア等の錐体外路症状、誤嚥性肺炎等)の発現に注意すること(副作用が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと)〔11.1.2、17.1.5参照〕。
7.11. 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉投与開始10週間後までを目途に本剤投与により効果が認められない場合、本剤の投与を中止し治療法を再考すること(投与開始10週間後までの患者の状態に基づき投与継続を判断した場合であっても、副作用(アカシジア、遅発性ジスキネジア等の錐体外路症状、誤嚥性肺炎等)のリスクを考慮して、本剤を漫然と投与せず投与期間は必要最小限とすること)。なお、アルツハイマー型認知症の場合、本剤の24週間を超える継続投与の安全性は確立していない〔11.1.2、17.1.5参照〕。
7.12. 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉本剤と中程度以上のCYP2D6阻害剤(キニジン、パロキセチン等)及び/又は中程度以上のCYP3A阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)を併用する場合等には、本剤の血漿中濃度が上昇することから、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること(やむを得ず併用する場合には、次を参考に用法及び用量の調節を行うこと)〔10.2、16.4、16.7.1、16.7.2、16.7.5、17.1.5参照〕。
(参考)
1). 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉強いCYP2D6阻害剤併用又は強いCYP3A阻害剤併用のいずれか:1日1回1mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを1日1回、1日1回2mgに相当する用法及び用量は1回1mgを1日1回。
2). 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉中程度のCYP2D6阻害剤及び中程度のCYP3A阻害剤のいずれも併用:1日1回1mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを1日1回、1日1回2mgに相当する用法及び用量は1回1mgを1日1回。
3). 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者:1日1回1mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを1日1回、1日1回2mgに相当する用法及び用量は1回1mgを1日1回。
4). 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉強いCYP2D6阻害剤及び強いCYP3A阻害剤のいずれも併用:1日1回1mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを2日に1回、1日1回2mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを1日1回。
5). 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉強いCYP2D6阻害剤及び中程度のCYP3A阻害剤のいずれも併用:1日1回1mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを2日に1回、1日1回2mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを1日1回。
6). 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉中程度のCYP2D6阻害剤及び強いCYP3A阻害剤のいずれも併用:1日1回1mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを2日に1回、1日1回2mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを1日1回。
7). 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者が中程度以上のCYP3A阻害剤を併用:1日1回1mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを2日に1回、1日1回2mgに相当する用法及び用量は1回0.5mgを1日1回。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 〈効能共通〉眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.2. 〈効能共通〉本剤の投与により高血糖悪化や糖尿病悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状に注意するとともに、特に糖尿病又はその既往歴あるいは糖尿病の危険因子を有する患者では、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと〔8.3、9.1.3、11.1.5参照〕。
8.3. 〈効能共通〉本剤の投与に際し、あらかじめ高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至る副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること〔8.2、9.1.3、11.1.5参照〕。
8.4. 〈効能共通〉原疾患による可能性もあるが、本剤投与後に病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害があらわれたとの報告があるので、衝動制御障害の症状について、あらかじめ患者及び家族等に十分に説明を行い、症状があらわれた場合には、医師に相談するよう指導すること(また、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察し、症状があらわれた場合には必要に応じて減量又は投与を中止するなど、適切な処置を行うこと)。
8.5. 〈効能共通〉本剤の投与により体重増加及び脂質異常症などの代謝の変化が発現することがあるので、本剤投与中は体重の推移を注意深く観察し、体重変動が認められた場合には原因精査(合併症の影響の有無等)を実施し、必要に応じて適切な処置を行うこと。
8.6. 〈効能共通〉投与初期、再投与時、増量時にα交感神経遮断作用に基づく起立性低血圧があらわれることがあるので、患者の状態を慎重に観察し、低血圧症状があらわれた場合は減量する等、適切な処置を行うこと。
8.7. 〈統合失調症、うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉嚥下障害が発現するおそれがあるので、特に誤嚥性肺炎のリスクのある患者に本剤を投与する場合には、慎重に経過を観察すること。
8.8. 〈統合失調症〉興奮悪化、敵意悪化、誇大性悪化等の精神症状を悪化させる可能性があるので、観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
8.9. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること〔5.2、8.10-8.12、9.1.6、15.1.3参照〕。
8.10. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏等があらわれることが報告されている。また、うつ病・うつ状態の場合、これらの症状・行動を来した症例において、因果関係は明らかではないが、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、必要に応じて投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔5.2、8.9、8.11、8.12、9.1.6、15.1.3参照〕。
8.11. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉うつ病・うつ状態の場合、自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること〔5.2、8.9、8.10、8.12、9.1.6、15.1.3参照〕。
8.12. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉うつ病・うつ状態の場合、家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること〔5.2、8.9-8.11、9.1.6、15.1.3参照〕。
8.13. 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉認知症患者では嚥下機能が低下している場合があり、本剤の投与により嚥下障害が発現又は嚥下障害悪化し誤嚥性肺炎に至るおそれがある(本剤投与中は患者の状態を注意深く観察し、嚥下障害の症状が現れた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと)。
8.14. 〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉認知症患者は転倒及び骨折のリスクが高いことが知られている(また、本剤を含む抗精神病薬により、傾眠、起立性低血圧、めまい、ふらつきが起こることがあり、転倒により骨折又は外傷に至るおそれがあるため、十分に注意すること)。
9.1.1. 〈効能共通〉心・血管疾患、脳血管障害、低血圧又はこれらの既往歴のある患者:血圧降下があらわれることがある。
9.1.2. 〈効能共通〉てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣閾値を低下させることがある。
9.1.3. 〈効能共通〉糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者:血糖値が上昇することがある〔8.2、8.3、11.1.5参照〕。
9.1.4. 〈効能共通〉不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者:肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている〔11.1.8参照〕。
9.1.5. 〈統合失調症〉自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者:症状を悪化させるおそれがある。
9.1.6. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある〔5.2、8.9-8.12、15.1.3参照〕。
9.1.7. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉脳器質的障害のある患者:精神症状を増悪させることがある。
9.1.8. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉衝動性が高い併存障害を有する患者:精神症状を増悪させることがある。
9.2.1. 重度腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者:減量又は投与間隔の延長等を考慮し、投与に際しては患者の状態を慎重に観察すること(本剤のクリアランスが低下し、血中濃度が上昇するおそれがある)〔16.6.1参照〕。
9.3.1. 中等度から重度の肝機能障害<Child-Pugh分類B又はC>のある患者:減量又は投与間隔の延長等を考慮し、投与に際しては患者の状態を慎重に観察すること(本剤のクリアランスが低下し、血中濃度が上昇するおそれがある)〔16.6.2参照〕。
- 相互作用
- 本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4及びCYP2D6で代謝される〔16.4参照〕。
10.1. 併用禁忌:アドレナリン<アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く><ボスミン>〔2.3参照〕[アドレナリンの作用を逆転させ血圧降下を起こすおそれがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される可能性がある)]。
10.2. 併用注意:1). アドレナリン含有歯科麻酔剤(リドカイン・アドレナリン歯科麻酔剤)[血圧降下を起こすおそれがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される可能性がある)]。
2). 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体、麻酔剤等)[相互に中枢神経抑制作用
があるので、減量するなど注意すること(ともに中枢神経抑制作用を有する)]。
3). 降圧剤[相互に降圧作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること(ともに降圧作用を有する)]。
4). ドパミン作動薬(レボドパ製剤)[ドパミン作動作用を減弱するおそれがあるので、投与量を調節するなど慎重に投与すること(本剤はドパミン受容体遮断作用を有する)]。
5). アルコール(飲酒)[相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある(ともに中枢神経抑制作用を有する)]。
6). 中程度以上のCYP2D6阻害作用を有する薬剤(キニジン、パロキセチン等)〔7.2、7.7、7.12、16.7.2、16.7.5参照〕[本剤の作用が増強するおそれがある(本剤の主要代謝酵素であるCYP2D6を阻害するため本剤の血中濃度が上昇するおそれがある)]。
7). 中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)〔7.2、7.7、7.12、16.7.1、16.7.5参照〕[本剤の作用が増強するおそれがある(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため本剤の血中濃度が上昇するおそれがある)]。
8). 肝代謝酵素誘導作用を有する薬剤(特にCYP3A誘導作用を有する薬剤)(カルバマゼピン、リファンピシン等)〔16.7.3参照〕[本剤の作用が減弱するおそれがある(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4の誘導により本剤の血中濃度が低下するおそれがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 悪性症候群(0.1%未満):発熱、無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗、白血球数増加、血清CK上昇等の異常が認められた場合には、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理と共に適切な処置を行うこと(また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられ、急性腎障害に至ることがあるので注意すること)。
11.1.2. 遅発性ジスキネジア(0.1%未満):長期投与により、口周部不随意運動等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること(なお、投与中止後も症状が持続することがある)〔7.4、7.8、7.10、7.11参照〕。
11.1.3. 麻痺性イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。
11.1.4. 横紋筋融解症(0.1%未満):CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等に注意すること。
11.1.5. 高血糖(0.6%)、糖尿病性ケトアシドーシス(頻度不明)、糖尿病性昏睡(頻度不明):高血糖悪化や糖尿病悪化があらわれた場合、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、血糖値の測定や、口渇、多飲、多尿、頻尿等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与を行うなど、適切な処置を行うこと〔8.2、8.3、9.1.3参照〕。
11.1.6. 痙攣(0.1%未満)。
11.1.7. 無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(0.2%)。
11.1.8. 肺塞栓症(0.1%未満)、深部静脈血栓症(0.1%未満):肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔9.1.4参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(1~5%未満)不眠、頭痛、傾眠、激越、浮動性めまい、鎮静、(1%未満)落ち着きのなさ、不安、悪夢、回転性めまい、体位性めまい、自殺念慮、精神病性障害、歯ぎしり、異常な夢、チック、無為、平衡障害、敵意、錯感覚、妄想、幻覚、幻聴、耳鳴、睡眠障害、勃起不全、パニック障害、抜毛癖、頭部動揺、衝動行為、頭部不快感、易刺激性、リビドー減退、気力低下、躁病、感情不安定、無感情、意識変容状態、知覚変容発作、離人感、注意力障害、感覚鈍麻、失神、下肢静止不能症候群、起立障害、構音障害。
2). 錐体外路症状:(5%以上)アカシジア、(1~5%未満)振戦、錐体外路障害、パーキンソン症候群、ジスキネジア、ジストニア、流涎、筋固縮、運動緩慢、(1%未満)筋骨格硬直、筋痙縮、精神運動亢進、眼球回転発作、嚥下障害。
3). 循環器:(1%未満)高血圧、心電図QT延長、起立性低血圧、徐脈、頻脈、不整脈、動悸、心室性期外収縮、第一度房室ブロック、右脚ブロック、心電図QRS群延長、心電図異常T波、末梢循環不良、低血圧。
4). 消化器:(1~5%未満)悪心、便秘、食欲亢進、食欲不振、(1%未満)口内乾燥、下痢、嘔吐、消化不良、腹痛、腹部不快感、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、胃炎、排便回数増加、便潜血、歯肉痛、歯肉腫脹、口唇乾燥、裂肛、胃腸障害、口腔内不快感、唾液変性、口渇、過食、過小食。
5). 血液:(1%未満)白血球増加症、貧血、APTT延長、血小板減少、血小板増加症、グリコヘモグロビン増加、ヘモグロビン低下、好中球減少症、好中球増多、総蛋白減少、プロトロンビン時間延長。
6). 内分泌:(1~5%未満)高プロラクチン血症、(1%未満)月経異常、高インスリン血症、血中甲状腺刺激ホルモン増加、血中甲状腺刺激ホルモン減少、血中コルチコトロピン増加、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能亢進症、遊離サイロキシン減少、血中コルチコトロピン減少、遊離サイロキシン増加、低プロラクチン血症、性腺機能低下、乳汁分泌障害、血中インスリン異常。
7). 泌尿器:(1%未満)尿潜血、尿閉、頻尿、蛋白尿、尿失禁、緊張性膀胱、排尿異常、尿中ケトン体陽性、血中尿素増加。
8). 肝臓:(1%未満)肝障害、AST上昇、ALT上昇、高ビリルビン血症、γ-GTP上昇、脂肪肝、肝酵素上昇、LDH上昇、ALP上昇。
9). 過敏症:(1%未満)発疹、そう痒症、紅斑、湿疹、薬疹。
10). 皮膚:(1%未満)皮膚炎、ざ瘡、逆むけ、皮膚乾燥、多汗症、寝汗。
11). 代謝異常:(1~5%未満)CK上昇、(1%未満)糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、高カリウム血症、低リン血症、血中尿酸減少。
12). 呼吸器:(1%未満)肺炎、誤嚥性肺炎、気管支炎、咳嗽、鼻出血、息詰まり感、呼吸困難、口腔咽頭痛、副鼻腔うっ血、(頻度不明)上咽頭炎。
13). 眼:(1%未満)霧視、眼乾燥、眼瞼痙攣、瞬目過多、流涙増加、結膜炎、眼瞼浮腫、眼瞼下垂、羞明。
14). 筋骨格系:(1%未満)筋肉痛、背部痛、顎痛、筋攣縮、筋緊張、頚部痛、四肢痛、関節硬直、筋力低下、姿勢異常、大腿骨骨折、脊柱変形。
15). その他:(5%以上)体重増加、(1~5%未満)歩行障害、(1%未満)疲労、倦怠感、体重減少、ほてり、無力症、疼痛、不快感、灼熱感、性器出血、非心臓性胸痛、カンジダ症、真菌感染、悪寒、異常感、熱感、浮腫、異物感、脱水、活動性低下、転倒、(頻度不明)体温調節障害。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)〔16.6.3参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与された場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意14.1.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
14.1.2. 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると速やかに崩壊するため、水なしで服用可能である(また、水で服用することもできる)。
14.1.3. 本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。
20.1. アルミピロー開封後は湿気を避けて保存すること。
20.2. プラスチックボトル包装品は、湿度の影響を受けやすいので、使用の都度キャップをしっかり締めること。
20.3. 錠剤表面に斑点がみられることがあるが、使用色素によるものであり、品質に影響はない。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 〈効能共通〉本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。
15.1.2. 〈効能共通〉外国で実施された高齢認知症患者を対象とした17の臨床試験において、類薬の非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告があり、また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率上昇に関与するとの報告がある〔5.3参照〕。
15.1.3. 〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した〔5.2、8.9-8.12、9.1.6参照〕。
15.2. 非臨床試験に基づく情報マウスのがん原性試験において、雌の0.75mg/kg/日以上で、乳腺腫瘍及び下垂体腫瘍の発生頻度の上昇が報告されている。これらの腫瘍はげっ歯類では血中プロラクチンの上昇と関連した変化としてよく知られている。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人にブレクスピプラゾール1mg、2mg及び4mg注)を空腹時単回経口投与した時、消失半減期は53~67時間であった(添付文書の図16‐1、表16‐1)。
図16‐1 健康成人におけるブレクスピプラゾール単回投与時の血漿中濃度推移
表16‐1 ブレクスピプラゾール単回投与時の薬物動態パラメータ
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16.1.2 反復投与
統合失調症患者にブレクスピプラゾール1mg及び4mg注)を食後1日1回14日間反復投与した時、未変化体の血漿中濃度は投与10日で定常状態に到達し、反復投与後の消失半減期はそれぞれ92時間及び71時間であった(表16‐2)。
表16‐2 ブレクスピプラゾール反復投与時の薬物動態パラメータ
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16.1.3 生物学的同等性
健康成人にブレクスピプラゾール2mg(OD錠又は普通錠)をクロスオーバー法により空腹時単回経口投与した時の薬物動態パラメータを表16‐3に示す。Cmax及びAUCtの幾何平均比の90%信頼区間はいずれも0.80~1.25の範囲内であり、OD錠と普通錠は生物学的に同等であった。また、ブレクスピプラゾール0.5mgOD錠及びブレクスピプラゾール1mgOD錠は「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性ガイドライン」に基づき、標準製剤をそれぞれブレクスピプラゾール2mgOD錠とした時、溶出挙動は同等と判定され、生物学的に同等とみなされた。
表16‐3 ブレクスピプラゾール2mg単回投与時の薬物動態パラメータ
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16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人にブレクスピプラゾール4mg注)を空腹時又は食後に単回経口投与した時、ブレクスピプラゾールのCmax及びAUCに及ぼす食事の影響は認められなかった(外国人データ)。
16.2.2 絶対的バイオアベイラビリティ
健康成人における経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティは102%であった(外国人データ)。
16.3 分布
主としてアルブミン及びα1酸性糖蛋白質に結合し、ヒト血清蛋白結合率は、99.8%以上であった(in vitro、平衡透析法)。
16.4 代謝
主にCYP3A4とCYP2D6が関与し、主要代謝物であるスルホキシド体(DM‐3411)が産生された(in vitro)。投与14日目では未変化体に対するDM‐3411のAUCの割合は23~41%であった(外国人データ)。[10.参照]
統合失調症患者にブレクスピプラゾール1mg及び4mg注)を食後1日1回14日間反復投与した時のCYP2D6遺伝子型別(EM:Extensive Metabolizer、IM:Intermediate Metabolizer)の薬物動態パラメータを表16‐4に示す。
表16‐4 CYP2D6遺伝子型別の薬物動態パラメータ
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健康成人にブレクスピプラゾール2mgを空腹時単回投与した時のCYP2D6遺伝子型別(EM:Extensive Metabolizer、PM:Poor Metabolizer)の薬物動態パラメータを表16‐5に示す(外国人データ)。[7.2、7.7、7.12参照]
表16‐5 CYP2D6遺伝子型別の薬物動態パラメータ
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16.5 排泄
健康成人に14C標識ブレクスピプラゾール2mgを経口投与した時、投与放射能の46.0%及び24.6%がそれぞれ糞便中及び尿中に排泄された。未変化体は糞便中及び尿中にそれぞれ14%及び0.14%排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
重度の腎機能障害被験者10例(クレアチニンクリアランス<30mL/min)にブレクスピプラゾール3mg注)を空腹時単回経口投与した時のAUCは、腎機能正常被験者(クレアチニンクリアランス80mL/min超)と比べて1.7倍であった。また、重度の腎機能障害被験者においても未変化体の血漿蛋白結合率は99%以上、未変化体の腎排泄は1%未満であった(外国人データ)。[9.2.1参照]
16.6.2 肝機能障害患者
肝機能障害被験者22例(Child‐Pugh分類A~C)にブレクスピプラゾール2mgを空腹時単回経口投与した時、軽度あるいは中等度の肝障害被験者は、肝機能正常被験者と比べてCmaxで差はなく、AUCでそれぞれ1.3倍及び1.7倍であった。重度の肝障害被験者は、Cmaxで0.5倍、AUCで差はなかった。また、肝機能障害被験者(Child‐Pugh分類A~C)においても未変化体の血漿蛋白結合率は99%以上であった(外国人データ)。[9.3.1参照]
16.6.3 高齢者
健康高齢者(65歳以上)にブレクスピプラゾール2mgを単回経口投与した時の薬物動態には年齢による影響は認められなかった(外国人データ)。[9.8参照]
16.6.4 性別
健康成人にブレクスピプラゾール2mgを単回経口投与した時の薬物動態には性別による影響は認められなかった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾール
健康成人において、CYP3A4の阻害作用を有するケトコナゾール400mgとブレクスピプラゾール2mgの併用により、ブレクスピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ19%及び97%増加した(外国人データ)。[7.2、7.7、7.12、10.2参照]
16.7.2 キニジン
健康成人において、CYP2D6の阻害作用を有するキニジン324mgとブレクスピプラゾール2mgの併用により、ブレクスピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ11%及び94%増加した(外国人データ)。[7.2、7.7、7.12、10.2参照]
16.7.3 リファンピシン
健康成人において、CYP3A4の誘導作用を有するリファンピシン600mgとブレクスピプラゾール4mg注)の併用投与により、ブレクスピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ31%及び73%低下した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.4 活性炭
健康成人において、ブレクスピプラゾール2mg投与1時間後の活性炭(経口活性炭/ソルビトール50g/240mL)投与で、ブレクスピプラゾールのCmaxは約5~23%、AUCは約31~46%低下した(外国人データ)。[13.2参照]
16.7.5 生理学的薬物速度論モデルによるシミュレーション
生理学的薬物速度論モデルを用いて、ブレクスピプラゾール2mgと中程度以上のCYP2D6阻害剤及び/又は中程度以上のCYP3A阻害剤を併用投与した場合、CYP2D6 PM患者にブレクスピプラゾール2mgを単独投与又はブレクスピプラゾール2mgと中程度以上のCYP3A阻害剤を併用投与した場合のブレクスピプラゾールの曝露量の上昇比(曝露量上昇の要因のない患者にブレクスピプラゾール2mgを単独投与した時に対する比)を推定した結果は、表16‐6のとおりであった。[7.2、7.7、7.12、10.2参照]
表16‐6 生理学的薬物速度論モデルにより推定したブレクスピプラゾールの曝露量の上昇比
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注)本剤の承認された用量は、1日1回0.5~2mgである。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
レキサルティ錠の成績を次に示す。
〈統合失調症〉
17.1.1 国内第II/III相試験
統合失調症患者458例を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、投与6週後におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量は表17‐1のとおりであった。ブレクスピプラゾール2mg群で、プラセボ群に対し統計学的な有意差が認められた(2mg群p=0.0124、MMRM解析)。
表17‐1 投与6週後におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量(FAS、MMRM解析)
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副作用発現頻度は、ブレクスピプラゾール1mg群で115例中28例(24.3%)、ブレクスピプラゾール2mg群で114例中26例(22.8%)、ブレクスピプラゾール4mg群で113例中33例(29.2%)であった。主な副作用は、ブレクスピプラゾール1mg群では統合失調症7例(6.1%)及び振戦3例(2.6%)、ブレクスピプラゾール2mg群で便秘3例(2.6%)、ブレクスピプラゾール4mg群で統合失調症8例(7.1%)、血中プロラクチン増加7例(6.2%)、アカシジア4例(3.5%)及び錐体外路障害4例(3.5%)であった。[7.2参照]
17.1.2 海外第III相試験
(1)統合失調症患者674例を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、投与6週後におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量は、表17‐2のとおりであった。ブレクスピプラゾール4mg注1)群で、プラセボ群に対し統計学的な有意差が認められた(4mg群p=0.0022、MMRM解析)。
表17‐2 投与6週後におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量(FAS、MMRM解析)
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副作用発現頻度は、ブレクスピプラゾール1mg群で120例中35例(29.2%)、ブレクスピプラゾール2mg群で186例中60例(32.3%)、ブレクスピプラゾール4mg群で184例中68例(37.0%)であった。主な副作用は、ブレクスピプラゾール1mg群では不眠症8例(6.7%)、アカシジア5例(4.2%)、頭痛5例(4.2%)及び激越5例(4.2%)、ブレクスピプラゾール2mg群で不眠症13例(7.0%)、頭痛11例(5.9%)、体重増加7例(3.8%)及び激越7例(3.8%)、ブレクスピプラゾール4mg群でアカシジア11例(6.0%)、不眠症11例(6.0%)、体重増加9例(4.9%)及び頭痛8例(4.3%)であった。
(2)統合失調症患者636例を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、投与6週後におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量は表17‐3のとおりであった。ブレクスピプラゾール2mg群及び4mg群で、プラセボ群に対し統計学的な有意差が認められた(2mg群p<0.0001、4mg群p=0.0006、MMRM解析)。
表17‐3 投与6週後におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量(FAS、MMRM解析)
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副作用発現頻度は、ブレクスピプラゾール0.25mg群で90例中24例(26.7%)、ブレクスピプラゾール2mg群で182例中58例(31.9%)、ブレクスピプラゾール4mg群で180例中69例(38.3%)であった。主な副作用は、ブレクスピプラゾール0.25mg群では頭痛7例(7.8%)、不眠症5例(5.6%)、下痢3例(3.3%)、口内乾燥3例(3.3%)、疲労3例(3.3%)及び体重増加3例(3.3%)、ブレクスピプラゾール2mg群で頭痛11例(6.0%)、不眠症9例(4.9%)、アカシジア8例(4.4%)及び悪心6例(3.3%)、ブレクスピプラゾール4mg群で頭痛16例(8.9%)、アカシジア12例(6.7%)、不眠症8例(4.4%)及び激越7例(3.9%)であった。
17.1.3 国内長期投与試験
統合失調症患者を対象とした国内第II/III相試験からの継続例98例及び新たに組み入れられた統合失調症患者183例を対象に実施した非盲検長期投与試験において、ブレクスピプラゾール1~4注1)mgを1日1回52週間投与した時のPANSS総スコアの推移は表17‐4のとおりであった。
表17‐4 PANSS総スコアの推移(FAS、OC)
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治療期の副作用発現頻度は、281例中133例(47.3%)であった。主な副作用は、アカシジア22例(7.8%)、統合失調症15例(5.3%)、体重増加14例(5.0%)、振戦12例(4.3%)及び傾眠11例(3.9%)であった。
注1)本剤の承認された用量は、1日1回1mgから開始後、1日1回2mgである。
〈うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)〉
17.1.4 国内第II/III相試験
今回の大うつ病エピソードに対して適切な抗うつ剤治療2~4回注2)で十分な効果が認められない大うつ病性障害患者740例を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)又はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)(パロキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、エスシタロプラム、ミルナシプラン、デュロキセチン及びベンラファキシン)の併用下注3)で、ブレクスピプラゾール1mg又は2mgを1日1回6週間投与した。投与6週後におけるMontgomery‐Åsberg Depression Rating Scale(MADRS)合計点のベースラインからの変化量は次表に示すとおりであり、ブレクスピプラゾール1mg群及び2mg群の両群で、プラセボ群に対し統計学的な有意差が認められた(1mg群p=0.0089、2mg群p=0.0312、MMRM解析)(表17‐5)。
注2)抗うつ剤の承認用法・用量による6週間以上の治療。なお、直近の抗うつ剤治療として、SSRI又はSNRI(パロキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、エスシタロプラム、ミルナシプラン、デュロキセチン及びベンラファキシン)を承認用法・用量で8週間投与することとし、これらの抗うつ剤治療では十分な効果が認められないことを前方視的に確認した。
注3)抗うつ剤を除いた中程度以上のCYP2D6阻害剤又は中程度以上のCYP3A阻害剤のいずれかを併用することは禁止とした。
表17‐5 投与6週後におけるMADRS合計点のベースラインからの変化量(FAS、MMRM解析)
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副作用発現頻度は、ブレクスピプラゾール1mg群で250例中84例(33.6%)、ブレクスピプラゾール2mg群で246例中129例(52.4%)であった。主な副作用は、アカシジア(ブレクスピプラゾール1mg群15例(6.0%)、ブレクスピプラゾール2mg群58例(23.6%)、以下同順)、体重増加(14例(5.6%)、16例(6.5%))、血中プロラクチン増加(6例(2.4%)、13例(5.3%))、振戦(14例(5.6%)、11例(4.5%))であった。[7.3-7.5、7.7参照]
〈アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動〉
17.1.5 国内第II/III相試験
アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを有する患者410例を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。アジテーションの定義は国際老年精神医学会の「Consensus provisional definition of agitation in cognitive disorders」に従い、アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動が2週間以上にわたって継続して又は頻回に確認された患者を登録した。投与10週後におけるCMAI合計スコア注4)のベースラインからの変化量は表17‐6のとおりであった。ブレクスピプラゾール1mg群注5)及び2mg群注6)で、プラセボ群に対し統計学的な有意差が認められた(1mg群p=0.0175、2mg群p<0.0001、MMRM解析)。
注4)CMAIを用いて、アジテーションに関する29項目(つばを吐く(食事中を含む)、悪態をつく・言語的攻撃、たたく(自分をたたく場合も含む)、ける、人や物につかみかかる、押す、物を投げる、叫ぶ、かむ、ひっかく、自傷他害(タバコ、熱湯など)、物品損壊・器物破損、徘徊する・目的なく歩き回る、不適切な着衣・脱衣、別の場所に行こうとする(室外や屋外へ出ようとする)、物を不適切に取り扱う、何度も同じ行為を繰り返す、全般的な落ち着きのなさ、注目や助けを不当なほど要求し続ける、文章や質問の繰り返し、不満を訴える、拒絶症等)のそれぞれの発現頻度をスコア化して評価
注5)1日1回0.5mgを1週間投与後、1日1回1mgを投与
注6)1日1回0.5mgを1週間投与後、1日1回1mgを1週間投与、その後1日1回2mgを投与
表17‐6 投与10週後におけるCMAI合計スコアのベースラインからの変化量(FAS、MMRM解析)
→図表を見る(PDF)
副作用発現頻度は、ブレクスピプラゾール1mg群で112例中37例(33.0%)、ブレクスピプラゾール2mg群で149例中76例(51.0%)であった。主な副作用は、ブレクスピプラゾール1mg群で傾眠9例(8.0%)、筋固縮8例(7.1%)、運動緩慢8例(7.1%)及びジストニア7例(6.3%)、ブレクスピプラゾール2mg群で傾眠23例(15.4%)、運動緩慢20例(13.4%)、流涎過多17例(11.4%)、筋固縮15例(10.1%)、歩行障害14例(9.4%)及び鎮静合併症11例(7.4%)であった。[5.3、5.8、7.8-7.12参照]
18.1 作用機序
ブレクスピプラゾールは、セロトニン5‐HT1A受容体部分アゴニスト作用、セロトニン5‐HT2A受容体アンタゴニスト作用、ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用、アドレナリンα1B受容体アンタゴニスト作用及びアドレナリンα2C受容体アンタゴニスト作用を併せ持つ薬剤である。明確な機序は不明であるが、これらの薬理作用が臨床における有用性に寄与しているものと考えられている。
18.2 受容体親和性
受容体結合試験で、組換え型ヒトセロトニン5‐HT1A、ヒトセロトニン5‐HT2A、ヒトドパミンD2、ヒトアドレナリンα1B及びヒトアドレナリンα2C受容体に対して高い親和性を示した(in vitro)。
18.3 統合失調症諸症状関連の動物モデルでの改善作用
ラットにおいて、陽性症状の指標と考えられている条件回避反応を抑制し、認知機能障害の指標と考えられているフェンシクリジン誘発性の新奇物体の探索行動の低下を抑制した。
18.4 抗うつ剤の効果に及ぼす影響
18.4.1 ラット強制水泳試験において、抗うつ剤の無動時間短縮作用を併用により増強した。
18.4.2 マウス慢性緩和ストレスモデルにおいて、被毛状態の悪化、巣作り行動の減少に対する抗うつ剤の改善効果を併用により増強した。
- 一包可:条件付可
- 分割:条件付可
- 粉砕:条件付可
粉砕して投与する方法は承認された用法及び用量外の使用方法であり推奨しない。また、粉砕した製品での薬物動態等のデータはない。
- 製造販売会社
- 大塚製薬
- 販売会社
おくすりのQ&A
自費で接種された、風疹ワクチンが申請により
補助が受けれることになり、母子手帳記載以外に、予診票の控えがいるとのこと
保管中の予診票の控えを渡したら...
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