アリドネパッチ27.5mg

添付文書情報2024年04月改定(第3版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 本剤の成分又はピペリジン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤がアルツハイマー型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。
5.2. アルツハイマー型認知症以外の認知症性疾患において本剤の有効性は確認されていない。
5.3. 他の認知症性疾患との鑑別診断に留意すること。
5.4. 本剤は、アルツハイマー型認知症と診断された患者にのみ使用すること。
- 用法・用量
- 通常、軽度~中等度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、1日1回27.5mgを貼付する。高度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、27.5mgで4週間以上経過後、55mgに増量する。なお、症状により1日1回27.5mgに減量できる。
本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 55mg/日に増量する場合は、消化器系副作用に注意しながら使用すること。
7.2. 他のコリンエステラーゼ阻害作用を有する同効薬<アルツハイマー型認知症>(ドネペジル塩酸塩、リバスチグミン、ガランタミン)と併用しないこと。
7.3. 医療従事者、家族などの管理のもとで使用すること。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 定期的に認知機能検査を行う等患者の状態を確認し、本剤使用で効果が認められない場合、漫然と使用しないこと。
8.2. アルツハイマー型認知症では、自動車の運転等の機械操作能力が低下する可能性があり、また、本剤により、意識障害、めまい、眠気等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう患者等に十分に説明すること。
8.3. 本剤の貼付による皮膚症状を避けるため、貼付部位を毎回変更すること。皮膚症状があらわれた場合には、ステロイド軟膏又は抗ヒスタミン外用剤等を使用するか、本剤の一時休薬、あるいは使用を中止するなど適切な処置を行うこと〔14.2.5参照〕。
8.4. 本剤を同一部位に連日貼付・除去を繰り返した場合、皮膚角質層剥離等が生じ、血中濃度増加するおそれがあるため、貼付部位を毎回変更すること〔14.2.5参照〕。
8.5. 本剤の貼り替えの際、貼付している製剤を除去せずに新たな製剤を貼付すると過量投与となるおそれがあるため、貼り替えの際は先に貼付している製剤を除去したことを十分確認するよう患者及び介護者等に指導すること〔13.1参照〕。
8.6. 光線過敏症が発現するおそれがあるので、衣服で覆う等、貼付部位への直射日光を避けること。また、本剤を剥がした後も、貼付していた部位への直射日光を避けること〔14.2.6、15.2.2参照〕。
9.1.1. 心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)を有する患者、電解質異常(低カリウム血症等)のある患者:QT延長、心室頻拍(torsade de pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)等があらわれることがある〔11.1.1参照〕。
9.1.2. 洞不全症候群、心房内伝導障害及び房室接合部伝導障害等の心疾患のある患者:迷走神経刺激作用により、徐脈あるいは不整脈を起こす可能性がある。
9.1.3. 消化性潰瘍の既往歴のある患者:胃酸分泌の促進及び消化管運動の促進により、消化性潰瘍を悪化させる可能性がある。
9.1.4. 気管支喘息又は閉塞性肺疾患の既往歴のある患者:気管支平滑筋の収縮及び気管支粘液分泌の亢進により、症状が悪化する可能性がある。
9.1.5. 錐体外路障害(パーキンソン病、パーキンソン症候群等)のある患者:線条体のコリン系神経を亢進することにより、症状を誘発又は増悪する可能性がある。
- 相互作用
- 本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4及び一部CYP2D6で代謝される〔16.4参照〕。
10.2. 併用注意:1). スキサメトニウム塩化物水和物[筋弛緩作用を増強する可能性がある(併用薬剤の脱分極性筋弛緩作用を増強する可能性がある)]。
2). コリン賦活剤(アセチルコリン塩化物、カルプロニウム塩化物、ベタネコール塩化物)、コリンエステラーゼ阻害剤(アンベノニウム塩化物、ジスチグミン臭化物、ピリドスチグミン臭化物、ネオスチグミン等)[迷走神経刺激作用などコリン刺激作用が増強される可能性がある(本剤とともにコリン作動性の作用メカニズムを有している)]。
3). CYP3A阻害剤(イトラコナゾール、エリスロマイシン等)、ブロモクリプチンメシル酸塩、イストラデフィリン[本剤の代謝を阻害し作用を増強させる可能性がある(併用薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)阻害作用による)]。
4). キニジン硫酸塩水和物等[本剤の代謝を阻害し作用を増強させる可能性がある(併用薬剤のチトクロームP450(CYP2D6)阻害作用による)]。
5). カルバマゼピン、デキサメタゾン、フェニトイン、フェノバルビタール、リファンピシン等[本剤の代謝を促進し作用を減弱させる可能性がある(併用薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)の誘導による)]。
6). 中枢性抗コリン剤(トリヘキシフェニジル塩酸塩、ピロヘプチン塩酸塩、マザチコール塩酸塩水和物、ビペリデン塩酸塩等)、アトロピン系抗コリン剤(ブチルスコポラミン臭化物、アトロピン硫酸塩水和物等)[本剤と抗コリン剤は互いに干渉しそれぞれの効果を減弱させる可能性がある(本剤と抗コリン剤の作用が、相互に拮抗する)]。
7). 非ステロイド性消炎鎮痛剤[消化性潰瘍を起こす可能性がある(コリン系の賦活により胃酸分泌が促進される)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. QT延長(1~3%未満)、心室頻拍(torsade de pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈(いずれも頻度不明)、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)(0.1~1%未満)、失神(頻度不明):心停止に至ることがある〔9.1.1参照〕。
11.1.2. 心筋梗塞、心不全(いずれも頻度不明)。
11.1.3. 消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血(いずれも頻度不明):本剤のコリン賦活作用による胃酸分泌及び消化管運動の促進によって消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血があらわれることがある。
11.1.4. 肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0.1~1%未満)、黄疸(頻度不明)。
11.1.5. 脳性発作(てんかん、痙攣等)、脳出血、脳血管障害(いずれも頻度不明)。
11.1.6. 錐体外路障害(頻度不明):寡動、運動失調、ジスキネジア、ジストニア、振戦、不随意運動、歩行異常、姿勢異常、言語障害等の錐体外路障害があらわれることがある。
11.1.7. 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、使用を中止し、体冷却、水・電解質管理等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)。
11.1.8. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、使用を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
11.1.9. 呼吸困難(頻度不明)。
11.1.10. 急性膵炎(頻度不明)。
11.1.11. 急性腎障害(頻度不明)。
11.1.12. 原因不明の突然死(頻度不明)。
11.1.13. 血小板減少(頻度不明)。
- 11.2. その他の副作用
1). 適用部位障害:(3%以上)適用部位そう痒感(24.9%)、適用部位紅斑(24.3%)、接触皮膚炎(12.6%)、(1~3%未満)適用部位小水疱、適用部位丘疹、適用部位変色、(1%未満)適用部位浮腫、適用部位皮膚剥脱、適用部位びらん、適用部位発疹、適用部位乾燥、適用部位湿疹、適用部位蕁麻疹、適用部位ざ瘡。
2). 皮膚:(1%未満)痒疹、湿疹、(頻度不明)*発疹、*皮膚そう痒感[*:経口製剤の電子添文に記載のある副作用]。
3). 消化器:(1~3%未満)下痢、食欲不振、(1%未満)胃炎、嘔気、嘔吐、腹部不快感、消化不良、胃食道逆流性疾患、軟便、(頻度不明)*腹痛、*便秘、*流涎、*嚥下障害、*便失禁[*:経口製剤の電子添文に記載のある副作用]。
4). 精神神経系:(1~3%未満)不眠、(1%未満)易怒性、攻撃性、抑うつ、易刺激性、(頻度不明)*興奮、*不穏、*眠気、*幻覚、*せん妄、*妄想、*多動、*無感情、*リビドー亢進、*多弁、*躁状態、*錯乱、*悪夢[*:経口製剤の電子添文に記載のある副作用]。
5). 中枢・末梢神経系:(1%未満)めまい、(頻度不明)*徘徊、*振戦、*頭痛、*昏迷[*:経口製剤の電子添文に記載のある副作用]。
6). 肝臓:(1%未満)ALT上昇、γ-GTP上昇、(頻度不明)*LDH上昇、*AST上昇、*Al-P上昇[*:経口製剤の電子添文に記載のある副作用]。
7). 循環器:(1%未満)心室性期外収縮、徐脈、心筋虚血、結節性調律、不整脈、上室性期外収縮、頻脈、血圧上昇、(頻度不明)*動悸、*血圧低下、*心房細動[*:経口製剤の電子添文に記載のある副作用]。
8). 泌尿器:(1%未満)夜間頻尿、(頻度不明)*BUN上昇、*尿失禁、*頻尿、*尿閉[*:経口製剤の電子添文に記載のある副作用]。
9). 血液:(1%未満)貧血、(頻度不明)*白血球減少、*ヘマトクリット値減少[*:経口製剤の電子添文に記載のある副作用]。
10). その他:(1%未満)CK上昇、トリグリセライド上昇、体重減少、体重増加、湿性咳嗽、鼻漏、(頻度不明)*総コレステロール上昇、*アミラーゼ上昇、*尿アミラーゼ上昇、*倦怠感、*むくみ、*転倒、*筋痛、*顔面紅潮、*脱力感、*胸痛、*発汗、*顔面浮腫、*発熱、*縮瞳[*:経口製剤の電子添文に記載のある副作用]。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療での有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。ドネペジル塩酸塩経口製剤において、動物実験(ラット経口10mg/kg)で出生率減少、死産仔頻度増加及び生後体重増加抑制が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ラットに14C-ドネペジル塩酸塩を経口投与したとき、乳汁中へ移行することが認められている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意14.1.1. 使用するまでは包装袋を開封せず、開封後は速やかに貼付すること。
14.1.2. 小児の手及び目の届かない、高温にならない所に保管すること。
14.2. 薬剤貼付部位に関する注意14.2.1. 本剤は、背部、上腕部又は胸部の正常で健康な皮膚で、清潔で乾燥した体毛が少ない、衣服を着用してもこすれにくい部位に貼付すること。
14.2.2. 皮膚の損傷又は湿疹・皮膚炎等がみられる部位には貼付しないこと。
14.2.3. 貼付部位にクリーム、ローション又はパウダー等を塗布しないこと。
14.2.4. 貼付部位の皮膚を拭い、清潔にしてから本剤を貼付すること。
14.2.5. 皮膚刺激を避けるため、貼付部位を毎回変更し、同一部位への貼付は、7日以上の間隔をあけること〔8.3、8.4参照〕。
14.2.6. 本剤を剥がした後は、貼付部位への直射日光を3週間は避けるよう指導すること〔8.6参照〕。
14.3. 薬剤貼付時の注意14.3.1. 原則、1回につき1枚のみ貼付する(また、貼付24時間後に新しい製剤に貼り替える)。
14.3.2. 本剤が剥がれた場合は、その時点で新しい製剤に貼り替え、予定していた次の貼り替え時間に改めて新しい製剤に貼り替えること。
14.3.3. 貼付部位を外部熱(過度の直射日光、あんか、サウナ等のその他の熱源)に曝露させない(貼付部位の温度が上昇すると本剤からのドネペジルの吸収量が増加し、血中濃度が上昇するおそれがある)。
14.3.4. 包装袋は手で破り開封し、本剤を取り出すこと。
14.3.5. 本剤をハサミ等で切って使用しないこと。
14.3.6. 本剤を使用する際には、ライナーを剥がして使用すること。
14.4. 薬剤貼付後の注意14.4.1. 貼付24時間後も本剤の成分が残っているため、使用済みの製剤は接着面を内側にして折りたたみ、小児の手及び目の届かない所に安全に廃棄すること。
14.4.2. 本剤を扱った後は、手に付着した薬剤を除去するため、手を洗う(手洗い前に目に触れない)。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. 動物実験(イヌ)で、麻酔下にドネペジル塩酸塩を投与した場合、呼吸抑制があらわれ死亡に至ったとの報告がある。
15.2.2. 本剤を用いた動物実験(モルモット)で、皮膚光感作性が確認されている〔8.6参照〕。
16.1 血中濃度
16.1.1 反復投与
(1)健康高齢男性を対象とした反復貼付試験
健康高齢男性12例を対象にドネペジル27.5mg含有製剤を貼付した時の血漿中ドネペジル濃度は、初回貼付後、24時間でCmaxに達し、その後も緩やかに上昇を続け、血漿中トラフ濃度の推移から貼付17日には定常状態に達したと考えられた。ドネペジル27.5mg含有製剤とドネペジル塩酸塩経口製剤5mgの定常状態におけるAUC0-24hの幾何平均値の比(90%信頼区間)は1.0(0.82~1.12)であったことから、本剤27.5mgの1日1回貼付がドネペジル塩酸塩5mg経口製剤1日1回投与と同等の曝露量を示すことが確認された。
薬物動態パラメータの比較
→図表を見る(PDF)
(2)健康高齢男性を対象とした用量と血漿中ドネペジル濃度に関する線形性試験
健康高齢男性を対象に本剤27.5mg及び55mgを背部に1日1回1枚17日間反復貼付した時の血漿中ドネペジル濃度推移を添付文書の図に示した。定常状態のCmax及びAUC0-24hは13.75~55mg注2)の用量範囲で線形性が確認され、血漿中ドネペジルは用量に比例して増加すると考えられた。
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
用量別の反復貼付時の血漿中ドネペジル濃度の推移注2)
注2)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、軽度~中等度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、1日1回27.5mgを貼付する。高度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、27.5mgで4週間以上経過後、55mgに増量する。なお、症状により1日1回27.5mgに減量できる。本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。」である。
(3)健康高齢者男性を対象とした貼付部位検討試験
健康高齢男性64例を対象に、本剤13.75mg注2)を背部、上腕部又は胸部に1日1回1枚17日間反復貼付した際、定常状態(Day17)における背部と上腕部のCmax及びAUC0-24hの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、それぞれ1.03(0.96~1.11)及び1.08(1.03~1.14)で、背部と胸部のCmax及びAUC0-24hの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、それぞれ1.03(0.96~1.11)及び1.04(0.97~1.12)であることから、背部と上腕部及び胸部貼付時の薬物動態は同等であることが確認された。
注2)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、軽度~中等度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、1日1回27.5mgを貼付する。高度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、27.5mgで4週間以上経過後、55mgに増量する。なお、症状により1日1回27.5mgに減量できる。本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。」である。
16.3 分布
In vitroにおいてヒト血漿蛋白結合率の平均は88.9%であり、in vivoでの血清蛋白結合率は92.6%であった。
16.4 代謝
主代謝経路はN‐脱アルキル化反応であり、それに次いでO‐脱メチル化反応とそれに続くグルクロン酸抱合反応であると考えられた。
N‐脱アルキル化反応には主としてCYP3A4が、またO‐脱メチル化反応には主としてCYP2D6が関与していることが示唆された。[10.参照]
16.5 排泄
健康成人男性を対象にドネペジル塩酸塩経口製剤2mgを単回経口投与したとき、投与後7日目までに尿中に排泄された未変化体は投与量の9.4%であり、代謝物を含めると29.6%であった。また、10mgの単回経口投与後、11日目までに排泄された未変化体は尿中で10.6%、糞中で1.7%であった。未変化体及び代謝物を合計した尿中排泄率は35.9%であり、糞中排泄率は8.4%であった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害患者を対象にドネペジル塩酸塩経口製剤5mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは、健康成人と比較して差異は認められなかった(外国人データ)。
16.6.2 肝機能障害患者
アルコール性肝硬変患者を対象にドネペジル塩酸塩経口製剤5mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは、健康成人と比較して肝疾患患者のCmaxが1.4倍高く有意差が認められたが、他のパラメータに有意差は認められなかった(外国人データ)。
16.6.3 高齢者
高齢者を対象にドネペジル塩酸塩経口製剤2mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは健康成人と比較して、消失半減期が1.5倍有意に延長したが、Cmax、tmax及びAUCに有意な差は認められなかった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症〉
17.1.1 国内第III相試験
軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症患者を対象に本剤27.5mgを24週間又はドネペジル塩酸塩経口製剤5mgを24週間(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を22週間投与)投与する二重盲検比較試験を実施した。組み入れられた被験者の平均年齢±標準偏差は本剤27.5mg群79.5±5.8歳、ドネペジル塩酸塩経口製剤群79.0±6.8歳であり、コリンエステラーゼ阻害剤の投与歴有りの被験者の割合は本剤27.5mg群63.3%、ドネペジル塩酸塩経口製剤群64.9%であった。24週時のADAS‐J cog(認知機能検査)のベースラインからの変化量を次に示す。本剤27.5mg群とドネペジル塩酸塩経口製剤群との最小二乗平均値の差(95%信頼区間)は-0.9(-2.01~0.14)であり、群間差の95%信頼区間の上限が非劣性限界値2.15を下回ったことから、ドネペジル塩酸塩経口製剤群に対する本剤27.5mg群の非劣性が検証された。
投与24週後のADAS‐J cogの変化量(共分散分析)(認知機能検査)
→図表を見る(PDF)
二重盲検期の副作用の発現率は本剤27.5mg群で52.6%(91/173例)であった。主な副作用は、適用部位紅斑24.9%(43/173例)、適用部位そう痒感22.5%(39/173例)及び接触皮膚炎11.0%(19/173例)等であった。
二重盲検期を完了した軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症患者を対象に本剤27.5mgを28週間投与する非盲検継続投与試験(本剤27.5mg群は二重盲検期と併せて52週間投与、ドネペジル塩酸塩経口製剤群は本剤27.5mgに切り替えて28週間投与)を実施した。非盲検期の副作用の発現率は本剤27.5mg群で20.5%(32/156例)、切り替え群で46.9%(68/145例)であった。主な副作用は、本剤27.5mg群で適用部位紅斑が9.0%(14/156例)、適用部位そう痒感が7.7%(12/156例)、接触皮膚炎が2.6%(4/156例)であり、切り替え群で適用部位そう痒感が23.4%(34/145例)、適用部位紅斑が15.9%(23/145例)、接触皮膚炎が9.0%(13/145例)であった。
〈高度のアルツハイマー型認知症〉
17.1.2 国内第III相試験
ドネペジル塩酸塩経口製剤10mgを3ヵ月以上投与している高度のアルツハイマー型認知症患者を対象に本剤55mgを52週間投与する非盲検長期投与試験を実施した。本剤55mg投与後のMMSE(認知機能検査)及びABC認知症スケール(全般臨床症状評価)のベースラインからの変化量は次表のとおりであった。
投与24週後のMMSEの変化量(認知機能検査)
→図表を見る(PDF)
投与24週後のABC認知症スケールの変化量(全般臨床症状評価)
→図表を見る(PDF)
副作用の発現率は本剤55mg群で68.8%(44/64例)であった。主な副作用は、適用部位紅斑29.7%(19/64例)、適用部位そう痒感25.0%(16/64例)、接触皮膚炎20.3%(13/64例)、適用部位小水疱4.7%(3/64例)、適用部位皮膚剥脱及び適用部位浮腫が各3.1%(2/64例)等であった。
18.1 作用機序
アルツハイマー型認知症では、脳内コリン作動性神経系の顕著な障害が認められている。ドネペジルは、アセチルコリン(ACh)を分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)を可逆的に阻害することにより脳内ACh量を増加させ、脳内コリン作動性神経系を賦活する。
18.2 AChE阻害作用及びAChEに対する選択性
ドネペジル塩酸塩においてin vitroでのAChE阻害作用のIC50値は6.7nmol/Lであり、ブチリルコリンエステラーゼ阻害作用のIC50値は7,400nmol/Lであった。AChEに対し選択的な阻害作用を示した。
18.3 脳内AChE阻害作用及びACh増加作用
ドネペジル塩酸塩の経口投与により、ラット脳のAChEを阻害し、また脳内AChを増加させた。
18.4 学習障害改善作用
18.4.1 脳内コリン作動性神経機能低下モデル(内側中隔野の破壊により学習機能が障害されたラット)において、ドネペジル塩酸塩の経口投与により学習障害改善作用を示した。
18.4.2 アルツハイマー病の動物モデルである基底核イボテン酸注入破壊ラットにおいて、本剤の経皮投与により学習改善効果が認められた。
- 製造販売会社
- 帝國製薬
- 販売会社
- 興和
おくすりのQ&A
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