オキシグルタチオン眼灌流液0.0184%キット「センジュ」
添付文書情報2022年02月改定(第1版)
商品情報
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- 効能・効果
- 眼科手術時(白内障手術時、硝子体手術時、緑内障手術時)の眼灌流及び洗浄。
- 用法・用量
- 用時、オキシグルタチオン溶液と希釈液を混合し、眼科手術時に眼内及び眼外の灌流及び洗浄を目的とし、通常、次記の量を目安として適量を使用する。なお、術式及び手術時間等により適宜増減する。
白内障手術:60~240mL。
硝子体手術:90~400mL。
緑内障手術:30~260mL。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1. 糖尿病の合併症のある硝子体手術患者:水晶体混濁を起こすことがあるとの報告がある。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
眼:(頻度不明)角膜浮腫、角膜混濁。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤使用時の注意14.1.1. 隔壁を開通し、よく混合して使用すること。
14.1.2. 混合後6時間以内に使用すること。
14.1.3. 使用は1回限りとし、残液は廃棄すること(保存剤を含有しないので、二次汚染のおそれがある)。
14.1.4. 導入針はゴム栓の大きな○の穴にまっすぐ刺すこと。
14.1.5. 通気針は不要である。
14.1.6. 原則として連結管を用いたタンデム方式による投与はできない。
14.1.7. 硝子体手術装置の灌流圧自動調整システム(加圧ガスを灌流液の容器内に送り灌流圧を調整するシステム)には対応しないので、灌流圧の調整が必要な場合は、灌流圧自動調整システムは使用せずソフトバッグの高さを上下して調整すること。
14.1.8. ソフトバッグの液目盛りはおよその目安として使用すること。
20.1. 製品の品質を保持するため外袋内に炭酸ガスを封入しているので、外袋は使用時まで開封しないこと(外袋内に封入してある炭酸ガスの気散により、内容液のpHが上昇する)。
20.2. 次の場合には使用しないこと。
・ 外袋開封前に外袋のインジケーターが黄土色以外に変色しているときには使用しないこと。
・ 外袋が破損しているときには使用しないこと。
・ 外袋の内側に水滴や内容液の漏出が認められるときには使用しないこと。
・ 上室液と下室液を分離している隔壁が開通しているときや、隔壁が白色化し(隔壁の溶着が剥離すると白色化する)白色化部分が両室に通じているときには使用しないこと。
・ ゴム栓のシールがはがれているときには使用しないこと。
16.3 分布
35S‐標識オキシグルタチオンをウサギ前房内に1時間灌流したとき、放射能は主に角膜及び虹彩・毛様体に移行した。眼球以外の全身組織にも放射能の移行を認めたものの、その濃度は各組織中の内在性オキシグルタチオン濃度と比べると1%以下であった。角膜及び虹彩・毛様体に移行した放射能の存在様式を検討したところ、ほとんどの放射能は還元型のグルタチオンとして検出された。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験〔白内障手術(水晶体嚢外摘出術)〕
両眼性の老人性白内障患者21例を対象に、片眼に無作為に0.0184%オキシグルタチン眼灌流液、その対側眼にブドウ糖含有眼灌流液を使用し、水晶体嚢外摘出術及び後房レンズ挿入術を行った。角膜内皮形態変化については、角膜内皮細胞像の各パラメーター(角膜厚、角膜内皮細胞密度、細胞面積の変動係数、六角形細胞率及びfigure coefficient)において、0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液群では術後有意な変動が認められず、対照群に比ベ角膜内皮細胞形状の乱れが少ないことが示された。角膜厚については、両群とも術後1日~1週目まで有意な肥厚が認められた。0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液群では4週目に角膜厚が術前値に復したのに対し、対照群では術後4週目においても有意な肥厚が持続し、0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液群は対照薬に比べ角膜の肥厚が軽度であることが示された。
副作用は認められなかった。
17.1.2 国内第III相試験〔糖尿病合併例の白内障手術(水晶体嚢外摘出術)〕
白内障を有する糖尿病患者14例14眼を対象に、無作為に0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液群(8眼)または対照としてブドウ糖含有眼灌流液群(6眼)に振り分け、水晶体嚢外摘出術及び後房レンズ挿入術に使用した。角膜内皮形態変化については、角膜内皮細胞像の各パラメーター(角膜厚、角膜内皮細胞密度、細胞面積の変動係数及び六角形細胞率)において、0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液群では術後有意な変動が認められなかったが、対照群では六角形細胞率以外のパラメーターで有意な悪化傾向を示した。
副作用は認められなかった。
17.1.3 国内第III相試験〔白内障手術(超音波水晶体乳化吸引術)〕
老人性白内障患者106例110眼を対象に、無作為に0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液群(55眼)または対照としてブドウ糖含有眼灌流液群(55眼)に振り分け、超音波水晶体乳化吸引術及び後房レンズ挿入術に使用した。眼組織保護効果を指標とした全般有効度は「著効」が72.7%(40/55)であり、対照群に比べ有意な差が認められた。「有効」以上の割合は100%(55/55)であった。
副作用は認められなかった。
17.1.4 国内第III相試験(硝子体手術)
0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液を使用した硝子体手術症例のうち、灌流時間が1時間以内であった有水晶体眼53例54眼〔裂孔原性網膜剥離(黄斑円孔網膜剥離を含む)10眼、外傷1眼、黄斑前線維増殖症21眼、網膜静脈分枝閉塞症12眼、硝子体網膜牽引症候群2眼、ぶどう膜炎2眼、イールズ病1眼、テルソン症候群3眼、原因不明の硝子体出血2眼〕を対象とした。眼組織保護効果を指標とした全般有効度(「効果があると思われた」以上)は96.3%(52/54)であった。
副作用は認められなかった。
17.1.5 国内第III相試験(緑内障手術)
薬物治療にて眼圧コントロールが困難なために緑内障手術を必要とした21例23眼を対象に使用したとき、角膜内皮の所見に軽度の変化があったが問題点はなく、前房内の炎症所見も灌流液により増加した傾向は認めなかった。術中、術後を通じて問題を認めなかった。
副作用は認められなかった。
18.1 作用機序
本品の有効成分であるオキシグルタチオンは、眼内を含む全身の組織に分布するグルタチオン(酸化還元系に関与する補酵素)の酸化型である。角膜内皮の透明性の維持に関与しているATPaseは、グルタチオンとオキシグルタチオンのバランスによりそのポンプ機能がコントロールされる。また、グルタチオンは角膜内皮細胞のバリアー機能の維持にも寄与している。本剤によりオキシグルタチオンを補充することで、眼科手術時の内皮細胞層のバリアー機能及びポンプ機能の恒常性が維持される。その結果、眼科手術における長時間の眼灌流・洗浄による組織障害から防御する効果を示す。
18.2 角膜保護作用
18.2.1 眼内レンズ挿入術を伴う白内障手術患者に対し基本溶液のみの灌流液、基本溶液にオキシグルタチオン0.03mmol/Lを加えた灌流液、オキシグルタチオン0.3mmol/L(0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液)を加えた灌流液、オキシグルタチオン3.0mmol/Lを加えた灌流液の4種類に分けて手術した結果、オキシグルタチオン0.3mmol/L含有(0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液)の灌流液が最も角膜内皮障害防止効果が認められた。
18.2.2 0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液はウサギ及びヒト摘出角膜を用いたin vitro実験において、角膜内皮バリアー機能保護作用及び角膜膨潤抑制作用を示した。
18.2.3 0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液をネコ及びウサギの前房内に灌流し、その角膜内皮の形態及び角膜厚への影響を検討した結果、角膜内皮保護作用及び角膜膨潤抑制作用を示した。
18.3 血液房水柵破壊抑制作用
0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液をウサギの前房内に灌流し、前房内への蛋白質の漏出量を測定した結果、血液房水柵破壊抑制作用を示した。
18.4 水晶体透明性維持作用
0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液の水晶体の透明性に及ぼす影響をラット摘出水晶体を使用したin vitro実験により検討した。その結果、オキシグルタチオンは水晶体内の透明性に重要な役割を果たしているグルタチオン量及びカチオンレベルを維持し、水晶体の透明性と膜機能を正常に維持することが示された。
18.5 網膜機能維持作用
0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液の網膜機能への影響をウシ網膜を使用したex vivo試験で網膜電図(ERG)を指標として検討した結果、0.0184%オキシグルタチオン眼灌流液は網膜機能への影響が少なく網膜機能維持作用に優れていた。
18.6 生物学的同等性試験
18.6.1 角膜内皮バリアー機能及びポンプ機能保護作用
ウサギの摘出角膜を本剤あるいはビーエスエスプラス500眼灌流液0.0184%に6時間浸漬したのち、角膜の湿重量及び乾燥重量(100℃、16時間乾燥)を測定した。これらの値より角膜水分率(角膜含水量の乾燥重量に対する比)を求め、角膜内皮バリアー機能及びポンプ機能保護作用の指標として比較検討した。その結果、両製剤間における平均値の差の90%信頼性区間と、ビーエスエスプラス500眼灌流液0.0184%の平均値に対する割合は次のとおりであり、許容範囲を±10%と設定するとき両剤の生物学的同等性が確認された。
→図表を見る(PDF)
18.6.2 角膜内皮バリアー機能保護作用
ウサギの角膜内皮細胞をメンブレン上に培養し、FITC‐dextranを溶解した本剤あるいはビーエスエスプラス500眼灌流液0.0184%をメンブレン上層側に加えて4時間処理したのち、内皮細胞層を透過したFITC‐dextran量を角膜内皮バリアー機能保護作用の指標として比較検討した。その結果、両製剤間における平均値の差の90%信頼性区間と、ビーエスエスプラス500眼灌流液0.0184%の平均値に対する割合は次のとおりであり、許容範囲を±10%と設定するとき両剤の生物学的同等性が確認された。
→図表を見る(PDF)
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