レボフロキサシン点眼液1.5%「日点」
添付文書情報2023年11月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分、オフロキサシン及びキノロン系抗菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 眼瞼炎、涙嚢炎、麦粒腫、結膜炎、瞼板腺炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、眼科周術期の無菌化療法。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対する有効性は証明されていないので、MRSAによる感染症が明らかであり、臨床症状の改善が認められない場合、速やかに抗MRSA作用の強い薬剤を投与すること。
- 用法・用量
- 通常、1回1滴、1日3回点眼する。なお、症状により適宜増減する。
- 特定の背景を有する患者に関する注意
- 8.1. 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):紅斑、発疹、呼吸困難、血圧低下、眼瞼浮腫等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 眼:(1~5%未満)眼刺激、(1%未満)眼そう痒感、(頻度不明)びまん性表層角膜炎等の角膜障害、結膜炎、眼痛、角膜沈着物、眼瞼炎。
2). 皮膚:(1%未満)蕁麻疹、(頻度不明)発疹、皮膚そう痒。
3). その他:(1%未満)味覚異常(苦味等)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
- 小児等
- 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は8歳未満の小児に投与した臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意患者に対し次の点に注意するよう指導すること。
・ 薬液汚染防止のため、点眼のとき、容器の先端が直接目に触れないように注意すること。
・ 患眼を開瞼して結膜嚢内に点眼し、1~5分間閉瞼して涙嚢部を圧迫させた後、開瞼すること。
・ 他の点眼剤を併用する場合には、少なくとも5分以上間隔をあけてから点眼すること。
・ 遮光して保存すること。
外箱開封後は、遮光して保存すること。
16.1 血中濃度
健康成人(8例)の両眼に1.5%レボフロキサシン点眼液を1日目に単回点眼し、2日目より反復(1回1滴、1日8回、7日間)点眼したとき、8日目(最終日)の最高血漿中濃度は24.1ng/mL、その到達時間は最終点眼後26分であった。
16.3 分布
白色ウサギの片眼に1.5%レボフロキサシン点眼液を50μL単回点眼したとき、角膜中濃度は投与後15分にCmax(32.5μg/g)を示した後、半減期86分で消失した。眼球結膜及び眼瞼結膜中濃度は投与後15分にCmax(共に14.7μg/g)を示した。房水中濃度は投与後30分にCmax(3.1μg/mL)を示した後、半減期71分で消失した。
16.8 その他
16.8.1 生物学的同等性試験
レボフロキサシン点眼液1.5%「日点」及びクラビット点眼液1.5%各50μLを白色家兎に単回点眼し、1時間後(Tmax)における眼房水中レボフロキサシン濃度(Cmax)を測定した結果、生物学的同等性判定のパラメータである両群のCmaxの対数値の平均値の差は-0.044であり、生物学的同等性の判定基準log(0.90)~log(1.11)(-0.046~0.045)を満たしたことから、生物学的同等性が確認された。
→図表を見る(PDF)
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈結膜炎、角膜炎〉
17.1.1 国内第III相試験
細菌性結膜炎及び細菌性角膜炎患者238例(有効性解析対象176例)を対象に、1.5%レボフロキサシン点眼液を1回1滴、1日3回(細菌性角膜炎患者は症状に応じて1日3~8回の間で適宜増減)、14日間点眼した結果、有効率※は100%であった。また、疾患別臨床効果は表1、有効菌種別臨床効果は表2のとおりであった。
副作用は238例中7例(2.9%)に認められ、主な副作用は眼刺激3件(1.3%)であった。
※日本眼感染症学会制定の評価判定基準および抗菌点眼薬臨床評価のガイドライン(案)等に準じて評価。
表1. 疾患別臨床効果
→図表を見る(PDF)
表2. 有効菌種別臨床効果
→図表を見る(PDF)
〈眼科周術期の無菌化療法〉
17.1.2 国内一般臨床試験
眼手術予定患者を対象に、0.5%レボフロキサシン点眼液を1回1滴、1日5回注)、手術前2日間点眼した結果、無菌化率は70.0%(35/50例)であった。
副作用は認められなかった。
注)本剤が承認されている濃度は1.5%、用法・用量は1回1滴、1日3回点眼、症状により適宜増減である。
18.1 作用機序
主な作用機序はDNAジャイレース(トポイソメラーゼII)活性及びトポイソメラーゼIV活性の阻害による細菌のDNA合成阻害である。DNAジャイレース(トポイソメラーゼII)活性とトポイソメラーゼIV活性のどちらを強く阻害するかは細菌によって異なる。
18.2 抗菌作用
レボフロキサシン水和物の抗菌スペクトラムは広範囲に及び、ブドウ球菌属、肺炎球菌を含むレンサ球菌属、ミクロコッカス属、腸球菌属、コリネバクテリウム属等のグラム陽性菌及び緑膿菌を含むシュードモナス属、インフルエンザ菌、モラクセラ属、セラチア属、クレブシエラ属、プロテウス属、アシネトバクター属、エンテロバクター属等のグラム陰性菌並びに嫌気性菌であるアクネ菌等の眼感染症の起炎菌に対し、強い抗菌力を示す(in vitro)。
レボフロキサシン水和物は、ラセミ体であるオフロキサシンの一方の光学活性体(左旋体)であり、オフロキサシンの約2倍の抗菌活性を有する。
18.3 耐性菌に及ぼす用量の影響
In vitro眼組織中濃度シミュレーションモデルにおいて、1.5%レボフロキサシン点眼液1日3回点眼は0.5%レボフロキサシン点眼液1日3回点眼と比較して、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(HSA201‐00027株、レボフロキサシンに対するMIC=0.5μg/mL)及び緑膿菌(HSA201‐00094株、レボフロキサシンに対するMIC=1μg/mL)の耐性菌出現を抑制した。また、1.5%レボフロキサシン点眼液1日3回点眼及び0.5%レボフロキサシン点眼液1日3回点眼はいずれも、メチシリン感受性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(HSA201‐00039株、レボフロキサシンに対するMIC=0.25μg/mL)の耐性菌出現を抑制した。
18.4 生物学的同等性試験
緑膿菌を接種して作成した白色家兎緑膿菌角膜感染モデルに対し、レボフロキサシン点眼液1.5%「日点」及びクラビット点眼液1.5%を1日3回、3日間点眼して比較した。両剤ともに生理食塩液に対して有意な眼症状スコアの減少が認められた。また、得られたスコア値を用いて統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
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