アルダクトンA錠25mg

添付文書情報2023年03月改定(第3版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 無尿又は急性腎不全の患者[腎機能を更に悪化させるおそれがあり、また、腎からのカリウム排泄が低下しているため高カリウム血症を誘発又は高カリウム血症増悪させるおそれがある]〔9.2.1、11.1.2参照〕。
2.2. 高カリウム血症の患者[高カリウム血症を増悪させるおそれがある]〔11.1.1参照〕。
2.3. アジソン病の患者[アジソン病ではアルドステロン分泌低下により、カリウム排泄障害を来しているので、高カリウム血症となるおそれがある]。
2.4. タクロリムス投与中、エプレレノン投与中、エサキセレノン投与中又はミトタン投与中の患者〔10.1参照〕。
2.5. 本剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 1). 高血圧症(本態性高血圧症、腎性高血圧症等)。
2). 心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、特発性浮腫、悪性腫瘍に伴う浮腫および腹水、栄養失調性浮腫。
3). 原発性アルドステロン症の診断および症状の改善。
- 用法・用量
- スピロノラクトンとして、通常成人1日50~100mgを分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
ただし、「原発性アルドステロン症の診断および症状の改善」のほかは他剤と併用することが多い。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 連用する場合、高カリウム血症等の電解質異常があらわれることがあるので、定期的に検査を行うこと〔11.1.1参照〕。
8.2. 降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
8.3. 夜間の休息が特に必要な患者には、夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望ましい。
9.1.1. 重篤な冠動脈硬化症又は重篤な脳動脈硬化症のある患者:急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。
9.1.2. 減塩療法中の患者:水分・電解質が欠乏し、脱水症状や低ナトリウム血症等があらわれやすくなる〔11.1.1参照〕。
9.2.1. 急性腎不全の患者:投与しないこと(腎機能を更に悪化させるおそれがあり、また、腎からのカリウム排泄が低下しているため高カリウム血症を誘発又は高カリウム血症増悪させるおそれがある)〔2.1、11.1.2参照〕。
9.2.2. 重篤な腎障害のある患者:腎機能を更に悪化させるおそれがあり、また、腎からのカリウム排泄が低下しているため高カリウム血症を誘発又は高カリウム血症増悪させるおそれがある。
肝機能障害患者:高カリウム血症が発現するおそれがある。
- 相互作用
- 10.1. 併用禁忌:1). タクロリムス<プログラフ>、エプレレノン<セララ>、エサキセレノン<ミネブロ>〔2.4参照〕[高カリウム血症が発現することがある(相加・相乗作用により血清カリウム値が上昇する)]。
2). ミトタン<オペプリム>〔2.4参照〕[ミトタンの作用を阻害する(ミトタンの薬効を本剤が阻害するとの報告がある)]。
10.2. 併用注意:1). 降圧剤(ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、β-遮断剤、利尿降圧剤等)[降圧作用を増強することがあるので、用量を調節するなど注意する(これらの薬剤と本剤の相加・相乗作用)]。
2). カリウム製剤(塩化カリウム<製剤>、グルコン酸カリウム<製剤>、アスパラギン酸カリウム<製剤>等)、ACE阻害剤(カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル等)、アンジオテンシン2受容体拮抗剤(ロサルタンカリウム、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン等)、アリスキレン、カリウム保持性利尿剤(トリアムテレン、カンレノ酸カリウム)、シクロスポリン、ドロスピレノン[高カリウム血症を誘発することがあるので、血清カリウム値を観察するなど十分注意する(これらの薬剤と本剤の相加・相乗作用による血清カリウム値の上昇<危険因子>腎障害患者、高齢者)]。
3). フィネレノン[血清カリウム値上昇及び高カリウム血症が発現する危険性が増大するおそれがあるので、治療上必要と判断される場合にのみ併用し、併用する場合には、より頻回に血清カリウム値を測定するなど患者の状態を慎重に観察すること(これらの薬剤と本剤の相加・相乗作用による血清カリウム値の上昇<危険因子>腎障害患者、高齢者)]。
4). ノルエピネフリン[ノルエピネフリンの血管反応性を低下させるとの報告がある(本剤が心血管反応性を低下させる機序は完全には解明されていない<危険因子>麻酔施行患者)]。
5). 乳酸ナトリウム[乳酸ナトリウムのアルカリ化作用を減弱することがある(本剤により高カリウム性アシドーシスが惹起され、乳酸ナトリウムのアルカリ化作用と拮抗する可能性がある)]。
6). 塩化アンモニウム、コレスチラミン[代謝性アシドーシスを来すとの報告がある(これらの薬剤と本剤の相加・相乗作用)]。
7). ジゴキシン、メチルジゴキシン[ジゴキシン及びメチルジゴキシンの血中濃度が上昇することがある(本剤がジゴキシン及びメチルジゴキシンの腎からの排泄を低下させるため、血中ジゴキシン及びメチルジゴキシン濃度を上昇させることがある)]。
8). ジギトキシン[ジギトキシンの作用を増強又は減弱するおそれがあるので、併用
する場合にはジギトキシンの血中濃度の測定を行うなど、観察を十分に行い慎重に投与すること(本剤の肝酵素誘導によりジギトキシンの血中濃度半減期が短縮すると考えられる報告があり、また、機序は不明であるが、ジギトキシンの血中濃度半減期が延長したとの報告がある)]。
9). リチウム製剤(炭酸リチウム)[利尿剤又はACE阻害剤との併用により、リチウム中毒を起こすことが報告されているので、血中リチウム濃度に注意すること(ナトリウムイオン不足はリチウムイオンの貯留を促進するといわれているため、ナトリウム排泄を促進することにより起こると考えられる)]。
10). 非ステロイド性消炎鎮痛剤(インドメタシン等)[カリウム保持性利尿剤との併用によりその降圧作用の減弱、腎機能障害患者における重度の高カリウム血症の発現が報告されている(プロスタグランジン産生が抑制されることによって、ナトリウム貯留作用による降圧作用の減弱、カリウム貯留作用による血清カリウム値の上昇が起こると考えられる<危険因子>腎機能障害)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 電解質異常(高カリウム血症、低ナトリウム血症、代謝性アシドーシス等)(頻度不明):電解質異常に伴い、不整脈、全身倦怠感、脱力等があらわれることがある〔2.2、8.1、9.1.2、9.7小児等の項参照〕。
11.1.2. 急性腎不全(頻度不明):急性腎不全(電解質異常を伴うことがある)があらわれることがある〔2.1、9.2.1参照〕。
11.1.3. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)。
- 11.2. その他の副作用
1). 内分泌:(0.1~5%未満*)女性型乳房[減量又は中止によって通常減退ないしは消失するが、まれに持続する例もみられる]、乳房腫脹、性欲減退、陰萎、多毛、月経不順、無月経、閉経後出血、音声低音化、(頻度不明)乳房腫瘤、乳房痛。
2). 過敏症:(0.1~5%未満*)発疹、蕁麻疹、(頻度不明)そう痒。
3). 精神神経系:(頻度不明)眩暈、頭痛、四肢しびれ感、神経過敏、うつ状態、不安感、精神錯乱、運動失調、傾眠。
4). 肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇、LDH上昇、ビリルビン上昇。
5). 腎臓:(頻度不明)BUN上昇。
6). 消化器:(0.1~5%未満*)食欲不振、悪心・嘔吐、口渇、下痢、便秘。
7). 血液:(頻度不明)白血球減少、血小板減少。
8). その他:(0.1~5%未満*)倦怠感、心悸亢進、発熱、肝斑、(頻度不明)筋痙攣、脱毛。
*)本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、発現頻度について文献、自発報告等を参考に集計した。
- 高齢者
- 高齢者:次の点に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
9.8.1. 高齢者:急激な利尿は血漿量の減少を来し、脱水、低血圧等による立ちくらみ、めまい、失神等を起こすことがある。
9.8.2. 高齢者:心疾患がある高齢者又は心疾患等で浮腫がある高齢者の場合は急激な利尿は急速な血漿量の減少と血液濃縮を来し、脳梗塞等の血栓塞栓症を誘発するおそれがある。
9.8.3. 高齢者:一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こるおそれがある)。
9.8.4. 高齢者:腎機能又肝機能が低下していることが多いため、高カリウム血症があらわれやすい。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(カンレノ酸(スピロノラクトンの主要な活性代謝物)はヒト乳汁中へ移行することが認められている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。乳児は電解質バランスがくずれやすい〔11.1.1参照〕。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
瓶又はPTPの開封後は湿気を避けて保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 長期間服用した患者(男女とも)に乳癌が発生したとする症例報告がある。
15.1.2. アビラテロン酢酸エステルとの併用時に、前立腺特異抗原(PSA)の上昇が認められた症例が報告されている。本剤はアンドロゲン受容体と結合し、アビラテロン酢酸エステルを投与中の前立腺癌患者において、PSAを上昇させる可能性がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報ラットに24ヵ月経口投与した癌原性試験において内分泌臓器の腫瘍及び肝臓の増殖性変化がみられたとの報告がある。
16.1 血中濃度
健康成人男性(10名)にスピロノラクトン100mgを1回経口投与したときの血漿中濃度の推移は次のとおりであり、血漿中からの消失は二相性を示した。
注:本剤の承認された用量は「1日50~100mgを分割経口投与」である。
→図表を見る(PDF)
16.4 代謝
尿中の主な代謝物は、カンレノン、6β‐ヒドロキシ‐7α‐メチルスルフィニル体及びカンレノ酸のグルクロン酸抱合体であった(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人男性に[20‐3H]スピロノラクトン200mgを1回経口投与したところ、5日間に放射活性の31.6%が尿中に、22.7%が糞中に排泄された(外国人データ)。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
再評価申請時における各種疾患に対する有効率は次のとおりであった。
注:本剤の承認された用量は「1日50~100mgを分割経口投与」であるが、本集計では、投与量が50~400mg/日の症例も含む。
→図表を見る(PDF)
18.1 作用機序
スピロノラクトンは、主として遠位尿細管のアルドステロン依存性ナトリウム‐カリウム交換部位にはたらき、アルドステロン拮抗作用により、ナトリウム及び水の排泄を促進し、カリウムの排泄を抑制する。
・アルドステロンを負荷した副腎摘出ラットを用いた実験で、スピロノラクトンの用量に比例した抗アルドステロン作用(尿中Na/K比を指標)が認められている。
・実験的腎性高血圧家兎を用いた実験で、血圧の下降、尿中ナトリウム排泄量と尿量の増加、尿中カリウム排泄量の軽度の減少が認められている。
- 一包可:条件付可
瓶又はPTPの開封後は湿気を避けて保存する。
- 分割:条件付可
- 粉砕:条件付可
粉砕後試験:判定不明@粉砕での投与は弊社としては推奨していない。
- 製造販売会社
- ファイザー
- 販売会社
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