ジルチアゼム塩酸塩錠30mg「日医工」
添付文書情報2020年03月改定(第4版)
商品情報
- 禁忌
- 1.重篤なうっ血性心不全の患者[心不全症状を悪化させる恐れがある]。
2.2度以上の房室ブロック、洞不全症候群(持続性洞性徐脈<50拍/分未満>、洞停止、洞房ブロック等)のある患者[本剤の心刺激生成抑制作用、心伝導抑制作用が過度に現れる恐れがある]。
3.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
4.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。
5.アスナプレビル含有製剤投与中、イバブラジン塩酸塩投与中、ロミタピドメシル酸塩投与中の患者。
- 効能・効果
- 1.狭心症、異型狭心症。
2.本態性高血圧症<軽症~中等症>。
- 用法・用量
- 1.狭心症、異型狭心症:ジルチアゼム塩酸塩として1回30mgを1日3回経口投与する。効果不十分な場合には、1回60mgを1日3回まで増量することができる。
2.本態性高血圧症(軽症~中等症):ジルチアゼム塩酸塩として1回30~60mgを1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
- 慎重投与
- 1.うっ血性心不全の患者[心不全症状を悪化させる恐れがある]。
2.高度徐脈<50拍/分未満>又は1度房室ブロックのある患者[本剤の心刺激生成抑制作用、心伝導抑制作用が過度に現れる恐れがある]。
3.過度に血圧の低い患者[血圧を更に低下させる恐れがある]。
4.重篤な肝機能障害・重篤な腎機能障害のある患者[薬物の代謝、排泄が遅延し、作用
が増強する恐れがある]。
- 重要な基本的注意
- 1.カルシウム拮抗剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行う。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意する。
2.降圧作用に基づく眩暈等が現れることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させる。
3.テルフェナジンとの併用により他の抗不整脈薬<リン酸ジソピラミド>でQT延長、他の抗不整脈薬<リン酸ジソピラミド>で心室性不整脈を起こしたとの報告がある。
- 相互作用
- 本剤は主として代謝酵素チトクロームP450・3A4(CYP3A4)で代謝される。
1.併用禁忌:1).アスナプレビル<スンベプラ>、ダクラタスビル塩酸塩/アスナプレビル/ベクラブビル塩酸塩<ジメンシー>[アスナプレビルの血中濃度が上昇し肝胆道系の副作用が発現しまた重症化する恐れがある(本剤がCYP3Aを阻害することにより、併用薬剤の代謝が阻害される)]。
2).イバブラジン塩酸塩<コララン>[過度の徐脈が現れることがある(本剤がCYP3Aを阻害することにより、併用薬剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する;併用薬剤の心拍数減少作用を相加的に増強する)]。
3).ロミタピドメシル酸塩<ジャクスタピッド>[ロミタピドメシル酸塩の血中濃度が著しく上昇する恐れがある(本剤がCYP3Aを阻害することにより、併用薬剤の代謝が阻害される)]。
2.併用注意:1).降圧作用を有する薬剤(降圧剤、硝酸剤等)[降圧作用が増強することがあるので、定期的に血圧を測定し、用量を調節する(相加的に作用(降圧作用)を増強させると考えられる)]。
2).β遮断剤(ビソプロロールフマル酸塩、プロプラノロール塩酸塩、アテノロール等)、ラウオルフィア製剤(レセルピン等)[徐脈、房室ブロック、洞房ブロック等が現れることがあるので、定期的に脈拍数を測定し、必要に応じて心電図検査を行い、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用、陰性変力作用、降圧作用)を増強させると考えられ、特にジギタリス製剤との3剤併用時には注意を要する)]。
3).ジギタリス製剤(ジゴキシン、メチルジゴキシン)[徐脈、房室ブロック等が現れることがあり、また、これらの不整脈を含めジギタリス製剤の血中濃度上昇による中毒症状<悪心・嘔吐・頭痛・眩暈・視覚異常等>が現れることがあるので、定期的にジギタリス中毒の有無の観察、心電図検査を行い、必要に応じてジギタリス製剤の血中濃度を測定し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用)を増強させると考えられ、特にβ遮断剤との3剤併用時には注意を要し、また、本剤はジギタリス製剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
4).抗不整脈薬(アミオダロン塩酸塩、メキシレチン塩酸塩等)[徐脈、房室ブロック、洞停止等が現れることがあるので、定期的に脈拍数を測定し、必要に応じて心電図検査を行い、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用)を増強させると考えられる)]。
5).フィンゴリモド塩酸塩[フィンゴリモド塩酸塩の投与開始時に併用すると重度の徐脈や心ブロックが認められることがある(共に徐脈や心ブロックを引き起こす恐れがある)]。
6).アプリンジン塩酸塩[両剤の血中濃度上昇による症状(徐脈、房室ブロック、洞停止、振戦、眩暈、ふらつき等)が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、必要に応じて心電図検査を行い、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(共通の代謝酵素(チトクロームP450)に影響を及ぼし合い、両剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
7).ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤(ニフェジピン、アムロジピンベシル酸塩等)[ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤の血中濃度上昇による症状<降圧作用の増強等>が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
8).シンバスタチン[シンバスタチンの血中濃度上昇による横紋筋融解症やミオパシーが発現することがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
9).トリアゾラム[トリアゾラムの血中濃度上昇による症状<睡眠時間の延長等>が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
10).ミダゾラム[ミダゾラムの血中濃度上昇による症状<鎮静・睡眠作用の増強等>が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
11).カルバマゼピン[カルバマゼピンの血中濃度上昇による症状<眠気・悪心・嘔吐・眩暈等>が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
12).セレギリン塩酸塩[セレギリン塩酸塩の作用・毒性が増強することがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
13).テオフィリン[テオフィリンの血中濃度上昇による症状<悪心・嘔吐・頭痛・不眠等>が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
14).シロスタゾール[シロスタゾールの作用が増強することがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
15).アピキサバン[アピキサバンの作用が増強することがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
16).ビノレルビン酒石酸塩[ビノレルビン酒石酸塩の作用が増強することがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
17).シクロスポリン[シクロスポリンの血中濃度上昇による症状<腎障害等>が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、また、シクロスポリンの血中濃度を測定し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
18).タクロリムス水和物[タクロリムスの血中濃度上昇による症状<腎障害等>が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、また、タクロリムスの血中濃度を測定し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
19).フェニトイン[フェニトインの血中濃度上昇による症状<運動失調・眩暈・眼振等>が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止し、また、本剤の作用が低下することがある(フェニトインの代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、フェニトインの血中濃度を上昇させると考えられ、また、フェニトインが本剤の代謝を促進することにより、本剤の血中濃度を低下させると考えられる)]。
20).シメチジン、HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル、サキナビルメシル酸塩等)[本剤の血中濃度上昇による症状<降圧作用の増強・徐脈等>が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、必要に応じて心電図検査を行い、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤が本剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、本剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
21).リファンピシン[本剤の作用が低下することがあるので、定期的に臨床症状を観察し、また、可能であれば本剤の血中濃度を測定し、異常が認められた場合には、他剤への変更あるいは本剤を増量するなどの適切な処置を行う(リファンピシンが本剤の代謝酵素(チトクロームP450)を誘導することにより、本剤の血中濃度を低下させると考えられる)]。
22).麻酔剤(イソフルラン、エンフルラン、ハロタン等)[徐脈、房室ブロック、洞停止等が現れることがあるので、心電図をモニターし、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用)を増強させると考えられる)]。
23).筋弛緩剤(パンクロニウム臭化物、ベクロニウム臭化物等)[筋弛緩剤の作用が増強することがあるので、筋弛緩作用に注意し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(本剤が神経筋接合部において、シナプス前からのアセチルコリン放出を抑制させると考えられる)]。
- 副作用
- 本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
- 重大な副作用
- 1.重大な副作用(頻度不明)1).完全房室ブロック、高度徐脈:完全房室ブロック、高度徐脈(初期症状:徐脈、眩暈、ふらつき等)等が現れることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、アトロピン硫酸塩水和物、イソプレナリン等の投与や必要に応じて心臓ペーシング等の適切な処置を行う。
2).うっ血性心不全:うっ血性心不全が現れることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、強心剤の投与等の適切な処置を行う。
3).皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、紅皮症(剥脱性皮膚炎)、急性汎発性発疹性膿疱症:皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、紅皮症(剥脱性皮膚炎)、急性汎発性発疹性膿疱症が現れることがあるので、紅斑、水疱、膿疱、そう痒、発熱、粘膜疹等が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
4).肝機能障害、黄疸:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害や黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
- 2.その他の副作用:副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
1).循環器:(頻度不明)徐脈、房室ブロック、顔面潮紅、眩暈、洞停止、血圧低下、動悸、胸痛、浮腫、洞房ブロック。
2).精神神経系:(頻度不明)倦怠感、頭痛、頭重感、こむらがえり、脱力感、眠気、不眠、パーキンソン様症状。
3).肝臓:(頻度不明)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、黄疸、Al-P上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、肝腫大。
4).過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒、多形性紅斑様皮疹、蕁麻疹、光線過敏症、膿疱。
5).消化器:(頻度不明)胃部不快感、便秘、腹痛、胸やけ、食欲不振、嘔気、軟便、下痢、口渇。
6).血液:(頻度不明)血小板減少、白血球減少。
7).その他:(頻度不明)歯肉肥厚、女性化乳房、しびれ。
- 高齢者への投与
- 一般に高齢者では過度の降圧は好ましくないとされていることから、高齢者に使用する場合は、低用量から投与を開始するなど患者の状態を十分観察しながら慎重に投与することが望ましい。
- 妊婦・産婦・授乳婦等への投与
- 1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない[動物実験で催奇形作用(マウス:骨格異常、外形異常)及び胎仔毒性(マウス、ラット:致死)が報告されている]。
2.授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせる[母乳中へ移行することが報告されている]。
- 小児等への投与
- 小児等に対する安全性は確立していない。
- 取扱い上の注意
- 1.薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
2.服用時:噛まずに服用する[徐放性が損なわれる恐れがある]。
安定性試験:本品につき加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)を行った結果、ジルチアゼム塩酸塩錠30mg「日医工」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
1.生物学的同等性試験
ジルチアゼム塩酸塩錠30mg「日医工」及び標準製剤を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ジルチアゼム塩酸塩として30mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中ジルチアゼム塩酸塩濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
また、ジルチアゼム塩酸塩錠60mg「日医工」及び標準製剤をそれぞれ1錠(ジルチアゼム塩酸塩として60mg)投与した場合においても、同様に両剤の生物学的同等性が確認された。
<ジルチアゼム塩酸塩錠30mg「日医工」>
→図表を見る(PDF)
<ジルチアゼム塩酸塩錠60mg「日医工」>
→図表を見る(PDF)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
2.溶出挙動
ジルチアゼム塩酸塩錠30mg「日医工」は、日本薬局方外医薬品規格第3部に定められたジルチアゼム塩酸塩徐放錠(30mg錠)の溶出規格に適合していることが確認されている。
非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬である。膜電位依存性L型カルシウムチャネルに特異的に結合し、細胞内へのカルシウムの流入を減少させることにより、冠血管や末梢血管の平滑筋を弛緩させる。ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬と比較すると、心収縮力や心拍数に対する抑制作用が強い。
- 一包可:不明
バラ包装
- 分割:可能
- 粉砕:可能
かまずに服用する。〔徐放性が損なわれるおそれがある。〕
- 製造販売会社
- 日医工
- 販売会社
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