アトルバスタチン錠10mg「DSEP」
添付文書情報2023年11月改定(第3版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 肝代謝能が低下していると考えられる次のような患者(急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸)〔9.3.1、16.6.2参照〕。
2.3. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦〔9.5妊婦、9.6授乳婦の項参照〕。
2.4. グレカプレビル・ピブレンタスビル投与中の患者〔10.1参照〕。
- 効能・効果
- 1). 高コレステロール血症。
2). 家族性高コレステロール血症。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 適用の前に十分な検査を実施し、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。
5.2. 家族性高コレステロール血症ホモ接合体については、LDL-アフェレーシス等の非薬物療法の補助として、あるいはそれらの治療法が実施不能な場合に本剤の適用を考慮すること。
- 用法・用量
- 〈高コレステロール血症〉
通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は1日20mgまで増量できる。
〈家族性高コレステロール血症〉
通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は1日40mgまで増量できる。
- 肝機能障害患者
- 8.1. あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法や高血圧、喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分考慮すること。
8.2. 投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。
8.3. 劇症肝炎等の肝炎があらわれることがあるので、悪心・嘔吐、倦怠感等の症状があらわれた場合には本剤を中止し、医師等に連絡するよう患者に指導し、投与中は投与開始又は増量時より12週までの間に1回以上、それ以降は定期的(半年に1回等)に肝機能検査を行うこと〔11.1.3参照〕。
8.4. 無顆粒球症、汎血球減少症、血小板減少症があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど十分な観察を行うこと〔11.1.5参照〕。
8.5. 高血糖、糖尿病があらわれることがあるので、口渇、頻尿、全身倦怠感等の症状の発現に注意するとともに、定期的に検査を行うなど十分な観察を行うこと〔11.1.7参照〕。
9.1.1. 糖尿病の患者:糖尿病を悪化させることがある。
9.1.2. 横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある次の患者。
・ 甲状腺機能低下症の患者。
・ 遺伝性筋疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患者。
・ 薬剤性筋障害の既往歴のある患者。
・ アルコール中毒の患者。
〔11.1.1参照〕。
9.1.3. 重症筋無力症又はその既往歴のある患者:重症筋無力症(眼筋型、全身型)が悪化又は再発することがある〔11.1.9参照〕。
9.2.1. 腎障害又はその既往歴のある患者:横紋筋融解症の報告例の多くが腎機能障害を有する患者であり、また、横紋筋融解症に伴って急激な腎機能の悪化が認められている〔11.1.1参照〕。
9.2.2. 腎機能検査値異常のある患者:本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。腎機能検査値異常のある患者に、本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいので、やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状<筋肉痛・脱力感>の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること〔10.2、11.1.1参照〕。
9.3.1. 肝代謝能が低下していると考えられる次のような患者(急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸):投与しないこと(本剤の血漿中濃度が上昇し、副作用の発現頻度が増加するおそれがあり、また、本剤は主に肝臓において作用し代謝されるので、肝障害を悪化させるおそれがある)〔2.2、16.6.2参照〕。
9.3.2. 肝障害<急性肝炎・慢性肝炎の急性増悪・肝硬変・肝癌・黄疸を除く>又はその既往歴のある患者:本剤は主に肝臓において作用し代謝されるので、肝障害を悪化させるおそれがある〔16.6.2参照〕。
- 相互作用
- 本剤は、主として肝の薬物代謝酵素CYP3A4により代謝される。また、P-糖蛋白質(P-gp)、乳癌耐性蛋白(BCRP)、有機アニオントランスポーター(OATP)1B1/1B3の基質である〔16.4参照〕。
10.1. 併用禁忌:グレカプレビル・ピブレンタスビル<マヴィレット>〔2.4参照〕[グレカプレビル・ピブレンタスビル(400mg・120mg)との併用により、アトルバスタチンのAUCが8.28倍・Cmaxが22.0倍に上昇したとの報告があり、本剤の血中濃度が上昇し副作用が発現しやすくなるおそれがある(<機序>グレカプレビルのOATP1B1/1B3及びBCRP阻害、ピブレンタスビルのOATP1B1及びBCRP阻害に基づく作用によるものと考えられている)]。
10.2. 併用注意:1). フィブラート系薬剤(ベザフィブラート等)〔9.2.2、11.1.1参照〕[筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある(<機序>フィブラート系薬剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用が示唆されている<危険因子>腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者)]。
2). ニコチン酸製剤(ニセリトロール等)〔11.1.1参照〕[筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある(<機序>ニコチン酸製剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用が示唆されている<危険因子>腎機能障害)]。
3). 免疫抑制剤:①. 免疫抑制剤(シクロスポリン等)〔11.1.1参照〕[筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある(<機序>シクロスポリンとHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用、シクロスポリンによるHMG-CoA還元酵素阻害剤の代謝・胆汁中排泄に対する競合阻害に基づく相互作用、シクロスポリンによる本剤の肝への取り込み阻害に基づく相互作用が示唆されている<危険因子>腎機能障害)]。
②. 免疫抑制剤(シクロスポリン等)〔11.1.1参照〕[シクロスポリンとの併用
により、本剤のAUC0-24hが8.7倍に上昇したとの報告がある(<機序>シクロスポリンとHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用、シクロスポリンによるHMG-CoA還元酵素阻害剤の代謝・胆汁中排泄に対する競合阻害に基づく相互作用、シクロスポリンによる本剤の肝への取り込み阻害に基づく相互作用が示唆されている<危険因子>腎機能障害)]。
4). アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール等)、エリスロマイシン〔11.1.1参照〕[筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある(<機序>アゾール系抗真菌薬又はエリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用が考えられている<危険因子>腎機能障害)]。
5). クラリスロマイシン[本剤の血漿中薬物濃度の有意な上昇(Cmax:+55.9%、AUC0-Tlast:+81.8%)がみられた(<機序>クラリスロマイシンのCYP3A4に対する阻害作用が考えられている)]。
6). HIVプロテアーゼ阻害剤(ロピナビル・リトナビル等)[ロピナビル・リトナビルとの併用により本剤のAUCが5.88倍に上昇するとの報告がある(<機序>これらの薬剤によるCYP3A4の阻害が考えられている)]。
7). ニルマトレルビル・リトナビル[併用により本剤の血中濃度が上昇するおそれがあり、本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがあるため、十分な観察を行いながら慎重に投与し、必要に応じて減量や休薬等の適切な措置を講ずること(<機序>本剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。
8). エンシトレルビル フマル酸[併用により本剤の血中濃度が上昇し副作用が発現しやすくなるおそれがある(<機序>エンシトレルビル フマル酸のCYP3Aに対する阻害作用が考えられている)]。
9). グラゾプレビル[グラゾプレビル(200mg)との併用により本剤の血漿中薬物濃度が上昇<Cmax:5.66倍>、本剤の血漿中薬物濃度が上昇<AUC0-∞:3.00倍>したとの報告がある(<機序>グラゾプレビルによる腸管のCYP3A及びBCRPの阻害が考えられている)]。
10). レテルモビル[レテルモビルとの併用により本剤の血漿中薬物濃度が上昇した(Cmax:2.17倍、AUC0-∞:3.29倍)との報告がある(<機序>レテルモビルによるCYP3A、OATP1B1/1B3及びBCRPの阻害が考えられている)]。
11). フチバチニブ[併用により本剤の血中濃度が上昇し副作用が発現しやすくなるおそれがある(<機序>フチバチニブによるBCRPの阻害が考えられている)]。
12). グレープフルーツジュース[グレープフルーツジュース1.2L/日との併用
により、本剤のAUC0-72hが約2.5倍に上昇したとの報告がある(<機序>グレープフルーツジュースによるCYP3A4の阻害が考えられている)]。
13). エファビレンツ[本剤の血漿中薬物濃度が低下した(Cmax:-12%、AUC0-24h:-43%)との報告がある(<機序>エファビレンツによるCYP3A4の誘導が考えられている)]。
14). リファンピシン[リファンピシン投与17時間後に本剤を投与したところ本剤の血漿中薬物濃度が低下した(Cmax:-40%、AUC:-80%)との報告がある(<機序>リファンピシンによるCYP3A4の誘導が考えられている)]。
15). ベキサロテン[ベキサロテンとの併用により本剤のAUCが約50%低下したとの報告がある(<機序>ベキサロテンによるCYP3A4の誘導が考えられている)]。
16). 陰イオン交換樹脂<経口>[本剤の血漿中薬物濃度が約25%低下したが、LDL-コレステロールの低下率はそれぞれを単独で使用したときより大きかった(<機序>これらの薬剤によるアトルバスタチンの吸収阻害(吸着)に基づく血漿中薬物濃度の低下が考えられている)]。
17). ジゴキシン[定常状態において血漿中ジゴキシン濃度が上昇する(本剤10mg投与でCmax:+9.9%、AUC0-24h:+3.6%、CLr:129→128mL/min、80mg投与でCmax:+20.0%、AUC0-24h:+14.8%、CLr:160→149mL/min)ことが報告されているので、併用する場合は、血漿中薬物濃度のモニターを十分に行うこと(<機序>本剤によるジゴキシンのP-gpを介した排出の抑制が示唆されている)]。
18). 経口避妊薬(ノルエチンドロン-エチニルエストラジオール)[ノルエチンドロン(Cmax:+24%、AUC0-24h:+28%)及びエチニルエストラジオール(Cmax:+30%、AUC0-24h:+19%)の血漿中濃度の上昇が認められた(<機序>本剤によるノルエチンドロン及びエチニルエストラジオールの初回通過効果の減少が考えられている)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 横紋筋融解症、ミオパチー(いずれも頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあり、また、ミオパチーがあらわれることがあるので、広範な筋肉痛、筋肉圧痛や著明なCK上昇があらわれた場合には投与を中止すること〔9.1.2、9.2.1、9.2.2、9.8高齢者の項、10.2参照〕。
11.1.2. 免疫介在性壊死性ミオパチー(頻度不明):近位筋脱力、CK高値、炎症を伴わない筋線維壊死、抗HMG-CoA還元酵素抗体陽性(抗HMGCR抗体陽性)等を特徴とする免疫介在性壊死性ミオパチーがあらわれ、投与中止後も持続する例が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること(なお、免疫抑制剤投与により改善がみられたとの報告例がある)。
11.1.3. 劇症肝炎、肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)〔8.3参照〕。
11.1.4. 過敏症(頻度不明):血管神経性浮腫、アナフィラキシー反応、蕁麻疹を含む過敏症状があらわれたとの報告がある。
11.1.5. 無顆粒球症、汎血球減少症、血小板減少症(いずれも頻度不明)〔8.4参照〕。
11.1.6. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明):水疱性発疹があらわれたとの報告がある。
11.1.7. 高血糖、糖尿病(いずれも頻度不明)〔8.5参照〕。
11.1.8. 間質性肺炎(頻度不明):長期投与であっても、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.9. 重症筋無力症(頻度不明):重症筋無力症(眼筋型重症筋無力症、全身型重症筋無力症)が発症又は重症筋無力症悪化(眼筋型重症筋無力症悪化、全身型重症筋無力症悪化)することがある〔9.1.3参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 皮膚:(0.1~5%未満)皮膚そう痒感、発疹、皮疹、発赤、(頻度不明)脱毛症、光線過敏、皮膚乾燥、皮膚亀裂、爪障害。
2). 血液:(頻度不明)血小板減少、白血球減少、貧血。
3). 肝臓:(5%以上)AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、(0.1~5%未満)Al-P上昇、LDH上昇、肝障害。
4). 消化器:(0.1~5%未満)アミラーゼ上昇、嘔吐、下痢、胃炎、軟便、嘔気、口内炎、胸やけ、便秘、胃不快感、腹痛、心窩部痛(心窩部疼痛)、腹部膨満感、(頻度不明)膵炎、胆汁うっ滞性黄疸、食欲不振、消化不良、悪心、口渇、舌痛、舌炎、舌のしびれ、口のしびれ、口唇炎、咽頭不快感。
5). 呼吸器:(0.1~5%未満)咳。
6). 筋骨格系:(5%以上)CK上昇、(頻度不明)痙攣、筋炎、筋肉痛、血中ミオグロビン上昇、無力症、関節痛、頸のこり・肩こり、胸痛、背部痛、こわばり感、腱炎、腱痛。
7). 感覚器:(頻度不明)異常感覚、末梢神経障害、耳鳴、霧視。
8). 精神神経系:(0.1~5%未満)めまい、不眠(不眠症)、(頻度不明)勃起障害、四肢しびれ(四肢しびれ感)、眠気、健忘症、抑うつ、悪夢。
9). 内分泌:(5%以上)テストステロン低下、(0.1~5%未満)コリンエステラーゼ上昇、TSH上昇、ACTH上昇、アルドステロン低下、(頻度不明)女性化乳房。
10). 代謝異常:(0.1~5%未満)グルコース上昇、HbA1c上昇、血清鉄低下、(頻度不明)低血糖症。
11). 腎臓:(0.1~5%未満)K上昇、(頻度不明)BUN上昇、血中クレアチニン増加、血尿。
12). その他:(0.1~5%未満)脳梗塞、肺炎、頭痛、全身倦怠(全身倦怠感)、帯状疱疹、(頻度不明)浮腫(顔面浮腫・四肢浮腫等)、動悸、頻脈、味覚異常、頻尿、排尿困難、着色尿、熱感、発熱。
- 高齢者
- 副作用が発現した場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと(一般に生理機能が低下している、また、横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある)〔11.1.1、16.6.3参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験で出生仔数減少及び生存・発育に対する影響が認められ、胎仔生存率低下と胎仔発育抑制が認められており、また、ラットに他のHMG-CoA還元酵素阻害剤を大量投与した場合に胎仔骨格奇形が報告されている。更に、ヒトでは、他のHMG-CoA還元酵素阻害剤で、妊娠3カ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告がある)〔2.3参照〕。
授乳婦には投与しないこと(ラットで乳汁中への移行が報告されている)〔2.3参照〕。
- 小児等
- 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
開封後は湿気を避けて保存すること。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人6例に、アトルバスタチン5注)、10、20及び40mgを絶食下単回経口投与した結果、血漿中未変化体のCmax及びAUC0-∞は投与量に比例して増加し、Tmax及び半減期はほぼ一定であったことから、アトルバスタチンの体内動態は線形性を示すと考えられた。なお、日本人と外国人との体内動態を比較した結果、個人差を上回る人種差は認められなかった。
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
また、アトルバスタチン10mgを健康成人6例に単回経口投与したときの血漿中主代謝物であるアミド結合位置のベンゼン環の2位の水酸化物(M‐2、o‐OH体)のTmax、Cmax及び半減期はそれぞれ6.17時間、1.39ng/mL及び8.00時間であった。
アトルバスタチンを健康成人に10mg単回経口投与したときの血漿中未変化体及びM‐2濃度推移
16.1.2 反復投与
健康成人6例に、アトルバスタチン10及び20mgを1日1回朝食後、7日間反復経口投与した結果、血漿中薬物濃度は投与開始後4日目までに定常状態に到達した。
また、1日目と7日目の血漿中薬物濃度を比較すると、20mg投与群で上昇しているものの有意な差ではなく、蓄積性は認められなかった。
16.1.3 生物学的同等性試験
アトルバスタチン錠5mg「DSEP」、アトルバスタチン錠10mg「DSEP」とリピトール錠5mg、リピトール錠10mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(アトルバスタチンとしてそれぞれ5mg、10mg)健康成人男子に絶食後単回経口投与して血漿中アトルバスタチン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
(1)アトルバスタチン錠5mg「DSEP」
血漿中アトルバスタチン濃度の推移
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
(2)アトルバスタチン錠10mg「DSEP」
血漿中アトルバスタチン濃度の推移
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、血液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人12例でアトルバスタチン10mgを絶食下及び食後に単回経口投与した結果、アトルバスタチンの吸収速度は食事により低下するものの、吸収率はほとんど影響を受けなかった。
16.3 分布
16.3.1 蛋白結合率
ヒト血漿を用いたin vitroの実験で、蛋白結合率は95.6~99.0%以上を示した。
16.4 代謝
健康成人6例にアトルバスタチン10及び40mgを単回経口投与したとき、血漿中にアミド結合位置のベンゼン環の4位の水酸化体(M‐1)及び2位の水酸化体(M‐2)の2種類が確認されているが、血漿中主活性代謝物はM‐2であった。
アトルバスタチンの主要代謝臓器は肝臓であり、M‐1及びM‐2はCYP3A4によって生成することが明らかにされている。[10.参照]
16.5 排泄
健康成人に14C‐アトルバスタチンを経口投与したとき、放射能の尿中排泄率は極めて低く(<2%)、糞中に未変化体、M‐1及びM‐2がそれぞれ糞中放射能の8.3%、11.7%及び18.2%排泄された。更に、14C‐アトルバスタチンを用いたヒト胆汁中排泄試験では、経口投与された放射能の43.7~70.2%が胆汁中に排泄され、未変化体の他にM‐1、M‐2及びM‐2のグルクロン酸抱合体が同定された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能正常者8例及び腎機能障害者11例にアトルバスタチン10mgを1日1回2週間反復経口投与したとき、腎機能障害は、アトルバスタチンの薬効及び体内動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.6.2 肝機能障害患者
健康成人及び肝硬変患者8例ずつにアトルバスタチン10mgを1日1回2週間反復経口投与したとき、肝硬変患者では健康成人に比べてChild‐Pugh A患者及びChild‐Pugh B患者において、Cmaxではそれぞれ5.5倍及び14.4倍、AUC0-24hではそれぞれ4.4倍及び9.8倍の増加、Tmaxではいずれも1/2の短縮が認められたが半減期はほとんど変化しなかった。また、血清脂質に対する作用には差がなかった(外国人データ)。[2.2、9.3.1、9.3.2参照]
16.6.3 高齢者
健康高齢者(66~73歳)6例及び若年者(20~22歳)6例に、アトルバスタチン10mgを絶食下単回経口投与した結果、高齢者は若年者に比べてCmax及びAUC0-∞は約2倍に増加したが、Tmax及び半減期に差は認められなかった。[9.8参照]
注)本剤の承認された用法及び用量は、アトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与である。なお、年齢、症状により適宜増減できるが、重症の場合は、高コレステロール血症で1日20mgまで、家族性高コレステロール血症で1日40mgまでの増量である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈高コレステロール血症〉
17.1.1 国内後期第II相試験
高脂血症患者243例を対象に、アトルバスタチンを1日1回夕食後12週間投与した際の血清脂質改善作用の用量反応関係および安全性を4用量(2.5mg、5mg、10mgまたは20mg)による二重盲検群間比較法により実施した。アトルバスタチン5注)~20mgを1日1回夕食後に投与した際の血清脂質値の変化率及び総コレステロール<220mg/dLとなった症例の割合(総コレステロール<220mg/dL割合)、LDL‐コレステロール<150mg/dLとなった症例の割合(LDL‐コレステロール<150mg/dL割合)は次記のとおりである。
→図表を見る(PDF)
副作用及び関連性が否定されなかった臨床検査値異常変動の発現率はそれぞれ5.0~12.1%及び33.3~46.6%であり、臨床検査値異常変動発現率が20mg群でやや高かったものの、用量依存性は認められなかった。主な副作用は胃部不快感2例(2.5mg、10mg各1例)、一般的全身症状2例(2.5mg、20mg各1例)であった。
〈家族性高コレステロール血症〉
17.1.2 家族性高コレステロール血症患者ヘテロ対象試験(国内)
家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体患者24例にアトルバスタチン10mgを8週間投与し、その後、8週間毎に20mg、40mgへと漸増し、非盲検・非比較試験にて検討した。その結果、10mg及び40mgで総コレステロールはそれぞれ-31.8%、-41.1%、LDL‐コレステロールはそれぞれ-37.7%、-48.3%と低下し増量効果が得られた。副作用は16.7%(4/24例)、関連性が否定されなかった臨床検査値異常変動は41.7%(10/24例)に認められた。主な副作用は、軟便傾向・軟便(2例)であった。なお、重篤な副作用及び臨床検査値異常変動の発現は認められなかった。
17.1.3 家族性高コレステロール血症患者ホモ対象試験(国内)
LDL‐アフェレーシスを施行している家族性高コレステロール血症ホモ接合体患者9例に、アトルバスタチン10mgを8週間投与し、その後20mg(8週間)、40mg(8~20週)へと漸増し、非盲検・非比較試験にて検討した。その結果、6例で総コレステロールが-31.4~-4.9%、LDL‐コレステロールが-39.3~-4.6%と低下した。他の3例では総コレステロールが1.2~15.2%、LDL‐コレステロールが3.1~11.8%と増加した。低下が認められた症例のうち4例ではアトルバスタチン投与前に2剤以上を併用した薬物療法とほぼ同程度の総コレステロール及びLDL‐コレステロール低下が認められた。副作用は11.1%(1/9例)、関連性が否定されなかった臨床検査値異常変動は44.4%(4/9例)に認められ、副作用は、右手しびれ(感)であった。なお、重篤な副作用及び臨床検査値異常変動の発現は認められなかった。
17.3 その他
17.3.1 胆汁脂質に与える影響(国内)
高脂血症患者17例を対象に非盲検・非比較試験としてアトルバスタチン10mgを12週間投与した結果、投与前後のコレステロール飽和度、胆汁脂質濃度及び胆石形成指数に有意な変化はみられず、胆汁脂質組成に悪影響を及ぼさなかった。副作用は6.3%(1/16例)、関連性が否定されなかった臨床検査値異常変動は25.0%(4/16例)に認められた。副作用は、胃部不快感と鼓腸が同一症例に発現していた。なお、本試験において重篤な副作用及び臨床検査値異常変動の発現は認められなかった。
17.3.2 血液凝固線溶系に及ぼす影響(国内)
高脂血症患者20例を対象にアトルバスタチン10mgを非盲検・非比較試験として28週間投与した結果、凝固第VII因子活性及びその抗原量の有意な低下を認め血栓形成阻止傾向がみられた。一方、他の血液凝固線溶系パラメータに一定の傾向はみられなかったことより、全体として血液凝固線溶系には悪影響を及ぼさなかった。副作用は認められず、関連性が否定されなかった臨床検査値異常変動は31.6%(6/19例)に認められた。
17.3.3 糖代謝に及ぼす影響(国内)
高脂血症を合併した糖尿病患者50例(プラセボ群24例、アトルバスタチン群26例)にアトルバスタチン10mg又はプラセボを二重盲検群間比較試験として12週間投与し、アトルバスタチンの有効性および安全性を検討した。アトルバスタチンを12週間投与した結果、HbA1c、1,5‐AG及びフルクトサミンに対する変化は、アトルバスタチン群とプラセボ群との間に有意差は認められなかったことから、アトルバスタチンは糖代謝に対する影響はなかった。副作用は、プラセボ群、アトルバスタチン群とも5.3%(1/19例)にみられ、関連性が否定されなかった臨床検査値異常変動はプラセボ群26.3%(5/19例)、アトルバスタチン群21.1%(4/19例)に認められた。副作用は、プラセボ群が死亡、アトルバスタチン群が胸痛であった。なお、重篤な副作用及び臨床検査値異常変動の発現は認められなかった。
注)本剤の承認された用法及び用量は、アトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与である。なお、年齢、症状により適宜増減できるが、重症の場合は、高コレステロール血症で1日20mgまで、家族性高コレステロール血症で1日40mgまでの増量である。
18.1 作用機序
アトルバスタチンは血液中のコレステロール量を調節する主要臓器である肝臓のHMG‐CoA還元酵素を選択的かつ競合的に阻害し、アトルバスタチンと同程度の活性を有する代謝物とともに、肝臓のコレステロール合成を抑制する。その結果、アトルバスタチンは肝臓のLDL受容体数を増加させ、かつリポ蛋白分泌を抑制することにより血中脂質量を低下させる。また、アトルバスタチンは血中脂質動態を改善して、高コレステロール血症に伴う動脈硬化の発症を抑制する。
18.2 コレステロール合成抑制作用
ヒト肝癌細胞由来HepG2細胞において、アトルバスタチンはコレステロールの生合成経路の律速酵素であるHMG‐CoA還元酵素を選択的かつ競合的に阻害し、酢酸からのコレステロール合成を濃度依存的に抑制した。
更にアトルバスタチンは経口投与により、ラットの肝コレステロール合成を類薬と比較して長く抑制した。
18.3 高脂血症モデル動物における脂質低下作用
18.3.1 コレステロール低下作用
コレステロール負荷ウサギ及びコレステロール負荷ミニブタにおいて、アトルバスタチンは経口投与により血漿総コレステロール値を低下させるとともに、LDL‐コレステロール値及び血漿アポB値を低下させた。LDL受容体欠損マウス及びWHHLウサギにおいて、アトルバスタチンは血漿総コレステロール値及びLDL‐コレステロール値を低下させた。
18.3.2 トリグリセリド低下作用
コレステロール負荷ミニブタ及びショ糖負荷高トリグリセリド血症ラットにおいて、アトルバスタチンは血中トリグリセリド値を低下させた。
18.4 動脈硬化進展抑制作用
コレステロール負荷内皮傷害ウサギ及びWHHLウサギにおいて、アトルバスタチンは動脈硬化病変面積及び血管壁コレステロール含量を低下させた。
18.5 代謝物の薬理作用
ラット肝ミクロソームにおいて、ヒトにおける主代謝物であるアミド結合位置のベンゼン環の4位の水酸化体(M‐1)及び2位の水酸化体(M‐2)は、アトルバスタチンと同程度のHMG‐CoA還元酵素阻害活性を示した。
18.6 リポ蛋白代謝に対する作用
HepG2細胞において、アトルバスタチンは細胞内コレステロール含量を低下させるとともに、肝LDL受容体mRNA発現量及び肝LDL受容体活性を増加させ、アポB分泌量及びトリグリセリド分泌量を低下させた。正常モルモットにおいて、アトルバスタチンは肝LDL受容体活性を増加させるとともに、VLDL‐アポB分泌速度を低下させた。コレステロール負荷ミニブタにおいて、アトルバスタチンはVLDL‐アポB産生速度を低下させた。LDL受容体欠損マウスにおいて、アトルバスタチンはコレステロール分泌速度を低下させた。ショ糖負荷高トリグリセリド血症ラットにおいて、アトルバスタチンはトリグリセリド分泌速度を低下させた。
- 一包可:不可
無包装状態試験:判定不明
- 分割:不可
- 粉砕:不明
粉砕後試験:温度・湿度・光条件→外観上の変化はほとんど認められず、含量低下は3%未満であった。
- 製造販売会社
- 第一三共エスファ
- 販売会社
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