スピリーバ1.25μgレスピマット60吸入

添付文書情報2022年06月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 閉塞隅角緑内障の患者[眼内圧を高め、症状を悪化させるおそれがある]〔8.3、11.1.3参照〕。
2.2. 前立腺肥大による排尿障害等排尿障害のある患者[更に尿を出にくくすることがある]〔9.1.2参照〕。
2.3. アトロピン及びその類縁物質あるいは本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 次記疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解:気管支喘息。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤は気管支喘息の維持療法に用いること。本剤は急性症状の軽減を目的とした薬剤ではない。
吸入ステロイド剤等により症状の改善が得られない場合、あるいは患者の重症度から吸入ステロイド剤等との併用による治療が適切と判断された場合にのみ、本剤と吸入ステロイド剤等を併用して使用すること。
- 用法・用量
- 通常、成人にはスピリーバ1.25μgレスピマット1回2吸入(チオトロピウムとして2.5μg)を1日1回吸入投与する。
なお、症状・重症度に応じて、スピリーバ2.5μgレスピマット1回2吸入(チオトロピウムとして5μg)を1日1回吸入投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤は1回2吸入で投与する製剤であり、1回1吸入では1日の投与量を担保できない。
したがって、チオトロピウムとして2.5μgを投与する場合には、スピリーバ1.25μgレスピマットを使用すること。また、チオトロピウムとして5μgを投与する場合には、スピリーバ2.5μgレスピマットを使用すること。
7.2. 重症度の高い喘息患者には、スピリーバ2.5μgレスピマット1回2吸入(チオトロピウムとして5μg)を1日1回吸入投与する〔17.1.6-17.1.11参照〕。
- 腎機能障害患者
- 8.1. 用法及び用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、本剤が適当ではないと考えられるので、漫然と投与を継続せず中止すること。
8.2. 吸入薬の場合、薬剤の吸入により気管支痙攣が誘発される可能性があるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8.3. 本剤の投与時に、本剤が眼に入らないように患者に注意を与えること。また、結膜充血及び角膜浮腫に伴う赤色眼とともに眼痛、眼不快感、霧視、視覚暈輪あるいは虹輪が発現した場合、急性閉塞隅角緑内障の徴候の可能性がある。結膜の充血及び角膜浮腫に伴う赤色眼とともに眼痛、眼の不快感、霧視、視覚暈輪あるいは虹輪が発現した場合には、可及的速やかに医療機関を受診するように患者に注意を与えること〔2.1、11.1.3参照〕。
8.4. 急性症状を緩和するためには、短時間作用性吸入β2刺激薬等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。また、短時間作用性吸入β2刺激薬等の使用
量が増加したり、あるいは効果が十分でなくなってきた場合には、疾患の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し医師の治療を求めるよう患者に注意を与えること。
8.5. 気管支喘息治療の基本は、吸入ステロイド剤等の抗炎症剤であり、本剤は抗炎症剤ではないため、患者が本剤の使用により症状改善を感じた場合であっても、医師の指示なく吸入ステロイド剤等を減量又は中止し、本剤を単独で用いることのないよう、患者に注意を与えること。
8.6. 短時間作用性吸入β2刺激薬等の急性症状を緩和するための薬剤の使用量が増加したり効果が十分でなくなってきた場合には、患者の生命が脅かされる可能性があるので、吸入ステロイド剤等の増量等の抗炎症療法の強化を行うこと。
9.1.1. 心不全、心房細動、期外収縮の患者、又はそれらの既往歴のある患者:心不全、心房細動、期外収縮が発現することがある〔11.1.1参照〕。
9.1.2. 前立腺肥大<排尿障害がある場合を除く>のある患者:排尿障害が発現するおそれがある〔2.2参照〕。
9.2.1. 腎機能高度低下あるいは腎機能中等度低下している患者(クレアチニンクリアランス値が50mL/min以下の患者):血中濃度の上昇がみられる(本剤は腎排泄型である)〔16.6.1参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 心不全(頻度不明)、心房細動(頻度不明)、期外収縮(1%未満)〔9.1.1参照〕。
11.1.2. イレウス(頻度不明)。
11.1.3. 閉塞隅角緑内障(頻度不明):視力低下、眼痛、頭痛、眼充血等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔2.1、8.3参照〕。
11.1.4. アナフィラキシー(頻度不明):アナフィラキシー(じん麻疹、血管浮腫、呼吸困難等)が発現することがある。
- 11.2. その他の副作用
1). 眼:(頻度不明)霧視、眼圧上昇。
2). 皮膚:(1%未満)発疹、皮膚そう痒、じん麻疹、(頻度不明)脱毛。
3). 中枢神経系:(1%未満)浮動性めまい、(頻度不明)不眠。
4). 感覚器:(頻度不明)味覚倒錯、嗅覚錯誤。
5). 消化器:(1%以上)口渇(1.9%)、(頻度不明)便秘、消化不良、口内炎、舌炎。
6). 代謝:(頻度不明)高尿酸血症。
7). 循環器:(1%未満)動悸、上室性頻脈、(頻度不明)頻脈。
8). 血液:(頻度不明)好酸球増多、白血球減少。
9). 呼吸器:(1%未満)咽喉刺激感、嗄声、(頻度不明)咳嗽、呼吸困難、喘鳴、鼻出血、咽頭炎。
10). 泌尿器:(頻度不明)血尿、排尿障害、夜間頻尿、クレアチニン上昇、腎機能異常、尿閉。
11). 一般的全身障害:(頻度不明)過敏症(血管浮腫を含む)。
- 高齢者
- 副作用の発現に注意すること(一般に腎クリアランス等の生理機能が低下しており、血中濃度が上昇するおそれがあり、また、チオトロピウム粉末吸入剤の臨床試験で口渇は高齢者でより高い発現率が認められている)〔16.6.2参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(ラット)で胎仔に移行することが認められている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意患者には専用の吸入用器具レスピマット及び使用説明書を渡し、使用方法を指導すること。
20.1. 本剤は冷凍しないこと。
20.2. 地方自治体により定められた廃棄処理方法にしたがうこと。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報本剤と短時間作用型抗コリン性気管支拡張剤(イプラトロピウム臭化物水和物、オキシトロピウム臭化物等)との併用に関しては、臨床試験成績はなく、併用による有効性及び安全性は確立していないことから、併用は推奨できない。
16.1 血中濃度
チオトロピウム臭化物は本剤を吸入投与後5分で最高血漿中濃度に到達した(外国人データ)。
定常状態における、日本人慢性閉塞性肺疾患患者の本剤5μg吸入投与10分後の血漿中濃度は17.1pg/mLであり、トラフ濃度は2.00pg/mL、AUCτ,ssは94.3pg・h/mL、AUC0-4,ssは30.4pg・h/mLであった。
定常状態において、喘息患者に本剤5μgを吸入投与したとき、チオトロピウムは吸入投与5分後に最高血漿中濃度5.15pg/mLに到達した(外国人データ)。
16.2 吸収
健康成人に本剤を吸入投与したとき、投与量の33%が全身循環血中に吸収されることが尿中排泄データから示された。チオトロピウムは4級アンモニウム化合物のため経口投与後に消化管からはほとんど吸収されず、溶液で経口投与されたチオトロピウムのバイオアベイラビリティは2-3%であった。なお、AUC及び尿中排泄量のチオトロピウム粉末吸入剤18μg投与時に対する本剤5μg投与時の比の90%信頼区間は生物学的同等性の基準の80-125%の範囲内であった。
16.3 分布
血漿蛋白との結合率(in vitro試験)は72%で、分布容積は32L/kgであった(外国人データ)。
14C‐チオトロピウム10mg/kgを気管内投与注)した場合、肺、消化管のほかに肝臓、腎臓、膵臓に高い放射能濃度が認められたが、脳には移行しなかった(ラット)。また、乳汁中に移行した(ラット)。
注)本剤の承認された用法及び用量は、慢性閉塞性肺疾患では、通常、成人にはチオトロピウムとして5μg、気管支喘息では、通常、成人にはチオトロピウムとして2.5μg、症状・重症度に応じてチオトロピウムとして5μgを1日1回吸入投与である。
16.4 代謝
健康成人にチオトロピウム14.4μgを静脈内投与注)したとき、尿中未変化体排泄率は投与量の74%であり、チオトロピウムの代謝はわずかであった。エステル化合物であるチオトロピウム臭化物は、非酵素的にエステル結合が加水分解され、N‐メチルスコピン及びジチニールグリコール酸の生成がみられた。これらの代謝物はムスカリン受容体に親和性を示さなかった。また、ヒト肝ミクロソーム及びヒト肝細胞を用いた試験でチトクロームP‐450によって酸化された代謝物及びそのグルタチオン抱合体がわずかにみられた。
この代謝はCYP2D6及び3A4の阻害薬により抑制されたことから、チオトロピウムの消失のごく一部にCYP2D6及び3A4が関与していると考えられた。チオトロピウムは治療濃度以上であっても、CYP1A1、1A2、2B6、2C9、2C19、2D6、2E1及び3Aのいずれの活性に対しても影響を与えなかった(外国人データ)。
注)本剤の承認された用法及び用量は、慢性閉塞性肺疾患では、通常、成人にはチオトロピウムとして5μg、気管支喘息では、通常、成人にはチオトロピウムとして2.5μg、症状・重症度に応じてチオトロピウムとして5μgを1日1回吸入投与である。
16.5 排泄
定常状態における、日本人慢性閉塞性肺疾患患者の本剤5μg吸入投与後4時間までの尿中排泄量は0.342μg、尿中未変化体排泄率は6.84%であった。健康成人及び慢性閉塞性肺疾患患者に粉末吸入剤吸入投与後の終末相における尿中未変化体排泄速度から算出した消失半減期は5~6日であった(外国人データ)。健康成人にチオトロピウムを静脈内投与注)したとき、全身クリアランスは880mL/minで、尿中未変化体排泄率は74%であった(外国人データ)。本剤吸入投与後の尿中排泄率は20.1-29.4%であった(外国人データ)。
喘息患者での累積係数から算出した半減期は34時間であった。また、本剤5μg投与後の定常状態時の投与24時間までの尿中未変化体排泄率は11.9%であった(外国人データ)。
腎クリアランス値がクレアチニンクリアランス値より大きいことから、チオトロピウム臭化物の尿中への分泌が示唆された。慢性閉塞性肺疾患患者及び喘息患者に1日1回本剤を連続投与すると、7日目に定常状態に達し、蓄積はみられなかった(外国人データ)。
注)本剤の承認された用法及び用量は、慢性閉塞性肺疾患では、通常、成人にはチオトロピウムとして5μg、気管支喘息では、通常、成人にはチオトロピウムとして2.5μg、症状・重症度に応じてチオトロピウムとして5μgを1日1回吸入投与である。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能低下患者
他の腎排泄型の薬剤と同様、腎機能低下患者においては、チオトロピウムの静脈内投与注)及び粉末吸入剤吸入投与後の血漿中未変化体濃度は上昇し、腎クリアランスは低下した(外国人データ)。軽度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランスが50~80mL/minの患者)において、チオトロピウム4.8μgを静脈内投与注)後のAUC0-4hは健康成人に比較して39%高い値を示した(外国人データ)。また、高度あるいは中等度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランスが50mL/min未満の患者)においては血漿中未変化体濃度は約2倍高い値を示した(AUC0-4hは82%高かった)(外国人データ)。健康成人及び腎機能低下患者における薬物動態パラメータは次のとおりであった(外国人データ)。[9.2.1参照]
チオトロピウム単回静脈内投与後の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
腎機能が軽度低下している喘息患者(クレアチニンクリアランスが50~80mL/minの患者、海外)においては、腎機能が正常な喘息患者と比較して、チオトロピウムの曝露量の増加は認められなかった(外国人データ)。
注)本剤の承認された用法及び用量は、慢性閉塞性肺疾患では、通常、成人にはチオトロピウムとして5μg、気管支喘息では、通常、成人にはチオトロピウムとして2.5μg、症状・重症度に応じてチオトロピウムとして5μgを1日1回吸入投与である。
16.6.2 高齢者
高齢者に粉末吸入剤を吸入投与したとき、チオトロピウムの腎クリアランスは低下した(腎クリアランスは58歳以下の慢性閉塞性肺疾患患者で326mL/min、69歳以上の慢性閉塞性肺疾患患者で163mL/min)が、これは加齢に伴う腎機能の低下によるものと考えられた(外国人データ)。
若年健康成人(平均年齢32.1歳)にチオトロピウム粉末吸入剤を吸入投与したときの尿中未変化体排泄率は14%であったが、慢性閉塞性肺疾患患者(平均年齢63.8歳)にチオトロピウム粉末吸入剤を吸入投与したときの尿中未変化体排泄率は7%であり、若年健康成人に比較して低い値であった(外国人データ)。
一方、高齢者にチオトロピウム粉末吸入剤を1日1回反復吸入投与後のAUC0-4hは非高齢者(海外)に比較して43%高い値を示した。非高齢者及び高齢者における薬物動態パラメータは次のとおりであり、個体間変動を考慮すると、血漿中未変化体濃度に加齢による大きな差はないと考えられた(外国人データ)。[9.8参照]
チオトロピウム粉末吸入剤の反復吸入投与後の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
喘息患者では、本剤吸入投与後のチオトロピウムの曝露量に年齢による差は認められなかった(外国人データ)。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)〉
17.1.1 国内第II相臨床試験
慢性閉塞性肺疾患患者147例を対象に本剤5μgとチオトロピウム粉末吸入剤18μgとの二重盲検クロスオーバー試験を国内で実施した。その結果、本剤5μgのチオトロピウム粉末吸入剤18μgに対する非劣性が検証された(p<0.001)。
本剤5μg(Tio R 5)とチオトロピウム粉末吸入剤(Tio HH)のトラフFEV1(変化量)に対する成績
→図表を見る(PDF)
副作用は147例中4例(2.7%)に認められ、口渇、心室性期外収縮、咽喉頭疼痛、末梢性浮腫が各1例(各0.7%)であった。
17.1.2 海外第III相臨床試験(1年投与1)
慢性閉塞性肺疾患患者983例(本剤1日1回5μg吸入投与332例)を対象とした1年投与二重盲検比較試験により、肺機能検査値及び生活の質(QOL)について検討した。
(1)肺機能検査値に対する成績
本剤5μgはプラセボ及びイプラトロピウム臭化物水和物に比し、肺機能検査値(トラフFEV1)を有意に改善した。
本剤5μg(Tio R 5)のトラフFEV1に対する成績
→図表を見る(PDF)
(2)生活の質(QOL)に関する成績
St.George’s Respiratory QuestionnaireによるQOLに関する調査において、本剤5μgはプラセボに比し、QOLを有意に改善した。
(3)安全性
本剤5μgが投与された332例において副作用は27例(8.1%)に認められ、主な副作用は口渇18例(5.4%)であった。
17.1.3 海外第III相臨床試験(1年投与2)
慢性閉塞性肺疾患患者1,007例(本剤1日1回5μg吸入投与338例)を対象とした1年投与二重盲検比較試験により、肺機能検査値及び生活の質(QOL)について検討した。また、呼吸困難及び急性増悪については、海外第III相臨床試験(1年投与)の2試験の併合データで検討した。
(1)肺機能検査値に対する成績
本剤5μgはプラセボ及びイプラトロピウム臭化物水和物に比し、肺機能検査値(トラフFEV1)を有意に改善した。
本剤5μg(Tio R 5)のトラフFEV1に対する成績
→図表を見る(PDF)
(2)生活の質(QOL)に関する成績
St.George’s Respiratory QuestionnaireによるQOLに関する調査において、本剤5μgはプラセボに比し、QOLを有意に改善した。
(3)安全性
本剤5μgが投与された338例において副作用は37例(10.9%)に認められ、主な副作用は口渇22例(6.5%)であった。
(4)呼吸困難に対する成績(1年投与試験併合データ)
本剤5μgはプラセボに比し、呼吸困難(Transition Dyspnoea Indexを用いて評価)を有意に改善した。
(5)急性増悪に対する成績(1年投与試験併合データ)
本剤5μgはプラセボに比し、急性増悪の回数を有意に減少し、最初の急性増悪が発現するまでの期間も有意に遅延させた。
17.1.4 海外第III相臨床試験(12週投与1)
慢性閉塞性肺疾患患者361例(本剤1日1回5μg吸入投与88例)を対象とした12週投与二重盲検比較試験により、肺機能検査値を検討した。
(1)肺機能検査値に対する成績
本剤5μgはプラセボ及びイプラトロピウム臭化物水和物に比し、肺機能検査値(トラフFEV1)を有意に改善した。
本剤5μg(Tio R 5)のトラフFEV1に対する成績
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(2)安全性
本剤5μgが投与された88例において副作用は10例(11.4%)に認められ、主な副作用は口渇、咳嗽が各2例(2.3%)であった。
17.1.5 海外第III相臨床試験(12週投与2)
慢性閉塞性肺疾患患者358例(本剤1日1回5μg吸入投与92例)を対象とした12週投与二重盲検比較試験により、肺機能検査値を検討した。
(1)肺機能検査値に対する成績
本剤5μgはプラセボ及びイプラトロピウム臭化物水和物に比し、肺機能検査値(トラフFEV1)を有意に改善した。
本剤5μg(Tio R 5)のトラフFEV1に対する成績
→図表を見る(PDF)
(2)安全性
本剤5μgが投与された92例において副作用は14例(15.2%)に認められ、主な副作用は口渇9例(9.8%)であった。
〈気管支喘息〉
17.1.6 国際共同第III相試験(重症持続型患者対象1)
高用量のICS+LABAの治療下でも症状が持続する重症持続型喘息患者459例(日本人27例)を対象とした国際共同二重盲検比較試験(205.416試験、本剤5μg又はプラセボを1日1回、48週吸入投与)において、237例(日本人13例)に本剤5μgを投与した時の肺機能検査値に対する成績は次表のとおりであった。
副作用は本剤5μgが投与された237例中13例(5.5%)に認められ、主な副作用は口渇4例(1.7%)であった。[7.2参照]
本剤5μg(Tio R 5)のピークFEV1(変化量)及びトラフFEV1(変化量)に対する成績(全体集団)
→図表を見る(PDF)
17.1.7 国際共同第III相試験(重症持続型患者対象2)
高用量のICS+LABAの治療下でも症状が持続する重症持続型喘息患者453例(日本人38例)を対象とした国際共同二重盲検比較試験(205.417試験、本剤5μg又はプラセボを1日1回、48週吸入投与)において、219例(日本人23例)に本剤5μgを投与した時の肺機能検査値に対する成績は次表のとおりであった。
副作用は本剤5μgが投与された219例中13例(5.9%)に認められ、主な副作用は口渇5例(2.3%)であった。[7.2参照]
本剤5μg(Tio R 5)のピークFEV1(変化量)及びトラフFEV1(変化量)に対する成績(全体集団)
→図表を見る(PDF)
なお、205.416試験及び205.417試験の併合データにおいて、本剤5μgはプラセボに比し、重度の喘息増悪の発現リスクを統計学的に有意に減少させた。
最初の重度の喘息増悪までの期間のKaplan‐Meier曲線(全体集団)
本剤5μg(Tio R 5)の喘息増悪に対する成績
→図表を見る(PDF)
17.1.8 国際共同第III相試験(中等症持続型患者対象1)
中用量のICSの治療下でも症状が持続する中等症持続型喘息患者1,070例(日本人122例)を対象とした国際共同二重盲検比較試験(205.418試験、本剤2.5μg、5μgを1日1回、又はサルメテロール50μgを1日2回あるいはプラセボ、24週吸入投与)において、262例(日本人28例)に本剤2.5μg及び264例(日本人33例)に本剤5μgを投与した時の肺機能検査値に対する成績は次表のとおりであった。本剤2.5μg及び5μgはプラセボに比し、投与24週後の肺機能検査値(ピークFEV1及びトラフFEV1)を統計学的に有意に改善した。日本人集団の成績は全体集団と比較して同様の傾向がみられた。
副作用は中等症持続型喘息患者の本剤投与群526例中22例(4.2%)に認められ、主な副作用は口渇7例(1.0%)等であった。[7.2参照]
本剤2.5μg(Tio R 2.5)及び5μg(Tio R 5)のピークFEV1(変化量)及びトラフFEV1(変化量)に対する成績(全体集団)
→図表を見る(PDF)
17.1.9 国際共同第III相試験(中等症持続型患者対象2)
中用量のICSの治療下でも症状が持続する中等症持続型喘息患者1,030例(日本人118例)を対象とした国際共同二重盲検比較試験(205.419試験、本剤2.5μg、5μgを1日1回、又はサルメテロール50μgを1日2回あるいはプラセボ、24週吸入投与)において、257例(日本人30例)に本剤2.5μg及び253例(日本人29例)に本剤5μgを投与した時の肺機能検査値に対する成績は次表のとおりであった。本剤2.5μg及び5μgはプラセボに比し、投与24週後の肺機能検査値(ピークFEV1及びトラフFEV1)を統計学的に有意に改善した。日本人集団の成績は全体集団と比較して同様の傾向がみられた。
副作用は中等症持続型喘息患者の本剤投与群510例中52例(10.2%)に認められ、主な副作用は口渇12例(2.4%)等であった。[7.2参照]
本剤2.5μg(Tio R 2.5)及び5μg(Tio R 5)のピークFEV1(変化量)及びトラフFEV1(変化量)に対する成績(全体集団)
→図表を見る(PDF)
17.1.10 国内第III相試験(長期投与)
中用量のICSの治療下でも症状が持続する喘息患者285例を対象とした52週吸入投与による国内長期投与試験において、本剤1日1回2.5μg又は5μgがそれぞれ114例に投与された。その結果、本剤2.5μg及び5μgはプラセボに比し、トラフFEV1を改善したが、5μgの効果は2.5μgに比べて大きく、52週間維持された。
副作用は、本剤投与群228例中16例(7.0%)に認められ、主な副作用は口渇4例(1.8%)等であった。[7.2参照]
17.1.11 海外第III相試験
低用量のICSの治療下でも症状が持続する軽症持続型喘息患者464例を対象とした二重盲検比較試験(本剤2.5μg、5μgあるいはプラセボを1日1回、12週吸入投与)において、154例に本剤2.5μg及び155例に本剤5μgを投与した。その結果、本剤2.5μg及び5μgはプラセボに比し、肺機能検査値(ピークFEV1及びトラフFEV1)を有意に改善した。
副作用は、本剤投与群309例中4例(1.3%)に認められ、頭痛、嗄声、喘息、血尿が各1例(0.3%)であった。[7.2参照]
18.1 作用機序
チオトロピウムは長時間持続型の選択的ムスカリン受容体拮抗薬であり、気道においては、気道平滑筋のM3受容体に対するアセチルコリンの結合を阻害して気管支収縮抑制作用を発現する。
18.2 ムスカリン受容体に対する作用
ムスカリン受容体のサブタイプであるM1~M5受容体にほぼ同程度の親和性を示す。摘出標本を用いた検討により、気管支収縮に対する抑制作用(M3受容体拮抗作用)はアセチルコリン遊離増強作用(M2受容体拮抗作用)に比べ持続することが明らかとなっている。このことから、M3受容体からの解離はM2受容体からの解離に比べて遅いと考えられ、レセプターの解離速度の面からはM3受容体に対する選択性が高いと考えられる。また、M3受容体からの解離はイプラトロピウム臭化物水和物よりもさらに遅い。
18.3 気管支収縮抑制作用
摘出標本(モルモット、ヒト)において、メサコリンあるいはフィールド電気刺激による収縮反応に対して抗コリン作用によると考えられる用量依存的な気管支収縮抑制作用を示す。また、生体位(モルモット、ウサギ、イヌ)においても、アセチルコリンにより誘発した気管支収縮に対して抗コリン作用によると考えられる用量依存的な収縮抑制作用を示す。
18.4 作用持続時間
摘出標本(モルモット)におけるフィールド電気刺激による収縮に対する抑制作用及び生体位(モルモット)におけるアセチルコリンによる気管収縮に対する抑制作用はイプラトロピウム臭化物水和物及びオキシトロピウム臭化物よりも持続的である。また、摘出標本(ヒト)及び生体位(イヌ)においても、気管支収縮抑制作用は持続的である。摘出標本及び生体位(ウサギ、イヌ)において示された気管支収縮抑制作用は、24時間以上持続する。この長時間持続する作用は本剤のM3受容体からの解離がきわめて遅いことに基づくと考えられる。
- 製造販売会社
- 日本ベーリンガーインゲルハイム
- 販売会社
おくすりのQ&A
当該製品の添付文書では、効能又は効果として、『次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合:緑内障、高眼圧症』と記載されています。...
添付文書内の「有効性安全性」の正確な意味を教えてください。どのような条件ならば有効性があるとするのか、安全性があるというのかをその基準を教えて欲しいのです
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