オメプラゾール錠10mg「ケミファ」

添付文書情報2023年09月改定(第2版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者。
2.2. アタザナビル硫酸塩投与中、リルピビリン塩酸塩投与中の患者〔10.1参照〕。
- 効能・効果
- 1). 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群。
2). 次記におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助:胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉進行期胃MALTリンパ腫に対するヘリコバクター・ピロリ除菌治療の有効性は確立していない。
5.2. 〈ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉特発性血小板減少性紫斑病に対しては、ガイドライン等を参照し、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療が適切と判断される症例にのみ除菌治療を行うこと。
5.3. 〈ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃以外には、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療による胃癌の発症抑制に対する有効性は確立していない。
5.4. 〈ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に用いる際には、ヘリコバクター・ピロリが陽性であることを確認及び内視鏡検査によりヘリコバクター・ピロリ感染胃炎であることを確認すること。
- 用法・用量
- 胃潰瘍、吻合部潰瘍、十二指腸潰瘍、Zollinger-Ellison症候群
通常、成人にはオメプラゾールとして1日1回20mgを経口投与する。なお、通常、胃潰瘍、吻合部潰瘍では8週間までの投与、十二指腸潰瘍では6週間までの投与とする。
逆流性食道炎
通常、成人にはオメプラゾールとして1日1回20mgを経口投与する。なお、逆流性食道炎の場合、通常、8週間までの投与とする。さらに再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、1日1回10~20mgを経口投与する。
非びらん性胃食道逆流症
通常、成人にはオメプラゾールとして1日1回10mgを経口投与する。なお、非びらん性胃食道逆流症の場合、通常、4週間までの投与とする。
ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助の場合、通常、成人にはオメプラゾールとして1回20mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)1日2回を上限とする。
プロトンポンプインヒビター、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合は、これに代わる治療として、通常、成人にはオメプラゾールとして1回20mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びメトロニダゾールとして1回250mgの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈逆流性食道炎〉1日10mgの維持療法で再発が認められた場合は1日20mgで再治療を行い、治癒後の維持療法においても再発の既往歴、症状の程度等を考慮して用量を選択すること(ただし、1日20mgの維持療法で再発が認められた場合、あるいは予期せぬ体重減少、吐血、嚥下障害等の症状が認められた場合は、改めて内視鏡検査等を行い、その結果に基づいて他の適切な治療法に切り替えることを考慮すること)。
7.2. 〈非びらん性胃食道逆流症〉投与開始2週後を目安として効果を確認し、症状の改善傾向が認められない場合には、酸逆流以外の原因が考えられるため他の適切な治療への変更を考慮すること。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 〈効能共通〉血液像、肝機能、腎機能等に注意すること。
8.2. 〈逆流性食道炎〉逆流性食道炎の維持療法については、再発・再燃を繰り返す患者に対し投与することとし、本来維持療法の必要のない患者に投与することのないよう留意すること。また、逆流性食道炎の維持療法中は定期的に内視鏡検査を実施するなど観察を十分に行うことが望ましい。なお、次の事項に十分注意すること。
8.2.1. 〈逆流性食道炎〉再発の既往歴、症状の程度等を考慮して維持療法の用量を選択すること。
8.2.2. 〈逆流性食道炎〉逆流性食道炎の場合、寛解状態が良好に保たれていると判断された場合は休薬又は減量を考慮すること。
8.2.3. 〈逆流性食道炎〉定期的に肝機能、腎機能、血液像等の検査を行うことが望ましい。
8.3. 〈非びらん性胃食道逆流症〉非びらん性胃食道逆流症の場合、投与に際しては問診により胸やけ、胃液逆流感等の酸逆流症状が繰り返し見られること(1週間あたり2日以上)を確認の上投与すること。なお、本剤の投与が胃癌、食道癌等の悪性腫瘍及び他の消化器疾患による症状を隠蔽することがあるので、内視鏡検査等によりこれらの疾患でないことを確認すること。
9.1.1. 薬物過敏症の既往歴のある患者。
肝機能障害患者:肝代謝型であり、血中濃度が高くなるおそれがある。
- 相互作用
- 主として肝代謝酵素CYP2C19及び一部CYP3A4で代謝される。
また、胃酸分泌抑制作用により、併用薬剤の吸収を上昇又は低下させることがある〔16.4参照〕。
10.1. 併用禁忌:1). アタザナビル硫酸塩<経口><レイアタッツ>〔2.2参照〕[アタザナビル硫酸塩の作用を減弱するおそれがある(本剤の胃酸分泌抑制作用によりアタザナビル硫酸塩の溶解性が低下し、アタザナビルの血中濃度が低下することがある)]。
2). リルピビリン塩酸塩<経口><エジュラント>〔2.2参照〕[リルピビリン塩酸塩の作用を減弱するおそれがある(本剤の胃酸分泌抑制作用によりリルピビリン塩酸塩の吸収が低下し、リルピビリンの血中濃度が低下することがある)]。
10.2. 併用注意:1). ジアゼパム、フェニトイン、シロスタゾール〔16.7.1参照〕[これらの薬剤の作用を増強することがある(本剤は主に肝臓のチトクロームP450系薬物代謝酵素CYP2C19で代謝されるため、本剤と同じ代謝酵素で代謝される薬物の代謝、排泄を遅延させるおそれがある)]。
2). ワルファリン〔16.7.1参照〕[抗凝血作用を増強し出血に至るおそれがあるので、プロトロンビン時間国際標準比(INR)値等の血液凝固能の変動に十分注意しながら投与すること(本剤は主に肝臓のチトクロームP450系薬物代謝酵素CYP2C19で代謝されるため、本剤と同じ代謝酵素で代謝される薬物の代謝、排泄を遅延させるおそれがある)]。
3). タクロリムス水和物[タクロリムスの作用を増強することがある(相互作用の機序は不明であるが、これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある)]。
4). メトトレキサート[高用量のメトトレキサートを投与する場合は、一時的に本剤の投与を中止することを考慮すること(相互作用の機序は不明であるが、これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある)]。
5). ジゴキシン<経口>、メチルジゴキシン<経口>[これらの薬剤の作用を増強することがある(本剤の胃酸分泌抑制作用によりジゴキシンの加水分解が抑制され、ジゴキシンの血中濃度が上昇することがある)]。
6). イトラコナゾール<経口>、チロシンキナーゼ阻害剤<経口>(ゲフィチニブ<経口>、エルロチニブ<経口>)[これらの薬剤の作用を減弱することがある(本剤の胃酸分泌抑制作用によりこれらの薬剤の溶解性が低下し、これらの薬剤の血中濃度が低下することがある)]。
7). ボリコナゾール[本剤の作用を増強することがある(本剤のCmax及びAUCが増加したとの報告があり、ボリコナゾールは本剤の代謝酵素(CYP2C19及びCYP3A4)を阻害することが考えられる)]。
8). ネルフィナビルメシル酸塩[ネルフィナビルの作用を減弱することがある(相互作用の機序は不明であるが、ネルフィナビルの血中濃度が低下することがある)]。
9). クロピドグレル硫酸塩[クロピドグレル硫酸塩の作用を減弱することがある(本剤がCYP2C19を阻害することにより、クロピドグレル硫酸塩の活性代謝物の血中濃度が低下する)]。
10). セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)[本剤の作用を減弱することがある(セイヨウオトギリソウが本剤の代謝酵素(CYP2C19及びCYP3A4)を誘導し、本剤の代謝が促進され血中濃度が低下することが考えられる)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):ショック、アナフィラキシー(血管浮腫、気管支痙攣等)があらわれることがある。
11.1.2. 汎血球減少症、無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少(いずれも頻度不明)。
11.1.3. 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全(いずれも頻度不明)。
11.1.4. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)。
11.1.5. 視力障害(頻度不明)。
11.1.6. 間質性腎炎、急性腎障害(いずれも頻度不明):腎機能検査値(BUN、クレアチニン等)に注意すること。
11.1.7. 低ナトリウム血症(頻度不明)。
11.1.8. 間質性肺炎(頻度不明):咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、速やかに胸部CT等の検査を実施すること(間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと)。
11.1.9. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれることがある。
11.1.10. 錯乱状態(頻度不明):せん妄、異常行動、失見当識、幻覚、不安、焦燥、攻撃性等があらわれることがある。
- 11.2. その他の副作用
1). 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群〉①. 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群〉過敏症:(0.1~5%未満)発疹、(0.1%未満)蕁麻疹、(頻度不明)多形紅斑、光線過敏症、そう痒感。
②. 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群〉消化器:(0.1~5%未満)下痢・軟便、便秘、悪心、(0.1%未満)嘔吐、鼓腸放屁、腹痛、口内炎、(頻度不明)舌炎、顕微鏡的大腸炎(collagenous colitis、lymphocytic colitis)、腹部膨満感、カンジダ症、口渇。
③. 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群〉肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇。
④. 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群〉血液:(頻度不明)白血球数減少、血小板数減少、貧血。
⑤. 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群〉精神神経系:(0.1~5%未満)頭痛、(0.1%未満)眠気、しびれ感、(頻度不明)めまい、振戦、傾眠、不眠(不眠症)、異常感覚、うつ状態。
⑥. 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群〉その他:(0.1~5%未満)発熱、(0.1%未満)脱毛、倦怠感、関節痛、(頻度不明)頻尿、味覚異常、動悸、月経異常、筋肉痛、発汗、筋力低下、低マグネシウム血症、霧視、浮腫、女性化乳房、及びBUN上昇、クレアチニン上昇、尿酸上昇、トリグリセライド上昇、血清カリウム上昇、総コレステロール上昇。
2). 〈ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉①. 〈ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉過敏症:(1~5%未満)発疹。
②. 〈ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉消化器:(5%以上)下痢・軟便(33.4%)、味覚異常(10.5%)、(1~5%未満)口内炎、腹痛、食道炎、悪心、腹部膨満感、便秘、(1%未満*)舌炎、口渇、十二指腸炎。
③. 〈ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉肝臓:(1~5%未満)AST上昇、(1%未満*)肝機能異常、ALT上昇、Al-P上昇、ビリルビン上昇、LDH上昇。
④. 〈ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉血液:(1%未満*)好酸球数増多、血小板数減少、貧血、白血球数増多、白血球分画異常。
⑤. 〈ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉精神神経系:(1%未満*)頭痛、しびれ感、めまい、睡眠障害。
⑥. 〈ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉その他:(1~5%未満)尿糖陽性、(1%未満*)尿蛋白陽性、尿酸上昇、総コレステロール上昇、QT延長、発熱、倦怠感、カンジダ症、動悸、霧視。
頻度は胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるオメプラゾール、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与の成績に基づく。
*)頻度不明を含む。
- 高齢者
- 低用量から投与を開始すること(一般に肝機能、その他生理機能が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(ウサギ経口138mg/kg)で胎仔毒性(死亡吸収胚率増加)が報告されている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット経口5mg/kg)で、母乳中へ移行することが報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意14.1.1. 本剤は腸溶錠であり、服用にあたっては、噛んだり、砕いたりせずに、飲みくだすよう患者に指導すること。
14.1.2. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 〈効能共通〉本剤の長期投与中に良性胃ポリープを認めたとの報告がある。
15.1.2. 〈効能共通〉本剤の投与が、胃癌による症状を隠蔽することがあるので、悪性でないことを確認して投与すること。
15.1.3. 〈効能共通〉海外における複数の観察研究で、プロトンポンプインヒビターによる治療において骨粗鬆症に伴う股関節骨折、手関節骨折、脊椎骨折のリスク増加が報告されており、特に、高用量及び長期間(1年以上)の治療を受けた患者で、骨折のリスクが増加した。
15.1.4. 〈効能共通〉海外における主に入院患者を対象とした複数の観察研究で、プロトンポンプインヒビターを投与した患者においてクロストリジウム・ディフィシルによる胃腸感染のリスク増加が報告されている。
15.1.5. 〈非びらん性胃食道逆流症〉食道内酸逆流の高リスクであると考えられる中高齢者、裂孔ヘルニアを合併する患者のいずれにも該当しない場合には本剤の治療効果が得られにくい可能性がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. ラットに1.7mg/kg以上を2年間経口投与した毒性試験で、胃にカルチノイドの発生がみられたとの報告がある。このカルチノイドの発生にはラットに種特異性が認められている。
15.2.2. ラットに類薬であるランソプラゾール(50mg/kg/日)、アモキシシリン水和物(500mg/kg/日)及びクラリスロマイシン(160mg/kg/日)を併用投与した試験で、母動物での毒性増強とともに胎仔発育抑制増強が認められている。
16.1 血中濃度
16.1.1 オメプラゾール単独投与時のデータ
健康成人(6例)にオメプラゾール10mg及び20mgを空腹時に単回経口投与したとき、投与後2.3時間で最高血漿中濃度に達し、消失半減期はそれぞれ2.8時間及び1.6時間であった。
健康成人6例、10mg及び20mg単回経口投与(平均値±SE)
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健康成人(6例)にオメプラゾール20mgを朝食前に1日1回7日間投与したとき、第7日目のCmax及び血中濃度曲線下面積(AUC)はいずれも第1日目の約1.4倍に増加した。
また、胃潰瘍患者(5例)及び十二指腸潰瘍患者(4例)にオメプラゾール20mgを1日1回朝食後に14日間投与したとき、第7日目のAUCは第1日目に比べ有意な増加が認められたが、第7日目と第14日目の間ではCmax、AUCのいずれも増加は認められなかった。
16.1.2 オメプラゾール、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシン投与時のデータ
健康成人(11例)にオメプラゾール20mg、アモキシシリン水和物750mg(力価)及びクラリスロマイシン400mg(力価)を1日2回7日間反復経口投与後の血漿中オメプラゾール濃度は、投与約2.7時間後にCmaxを示し、約1.8時間の半減期で消失した。オメプラゾールのCmax及びAUCは、単回投与時に比して反復投与により上昇したが、投与4日目と7日目ではほぼ同様で、4日目までには定常状態に達した。
健康成人11例、3剤併用反復投与(平均値±SD)
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16.1.3 生物学的同等性試験
〈オメプラゾール錠10mg「ケミファ」〉
オメプラゾール錠10mg「ケミファ」とオメプラゾン錠10mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(オメプラゾールとして10mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、判定パラメータの対数値の平均値の差がlog(0.90)~log(1.11)の範囲内であり、且つ、溶出試験で溶出挙動が類似していると判定されたことから、両剤の生物学的同等性が確認された。
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〈オメプラゾール錠20mg「ケミファ」〉
オメプラゾール錠20mg「ケミファ」とオメプラゾン錠20mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(オメプラゾールとして20mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、判定パラメータの対数値の平均値の差がlog(0.90)~log(1.11)の範囲内であり、且つ、溶出試験で溶出挙動が類似していると判定されたことから、両剤の生物学的同等性が確認された。
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血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
16.3.1 蛋白結合率
96~98%(限外ろ過法)
16.4 代謝
外国人のデータでは、健康成人にオメプラゾールを経口投与したとき、血漿中の主代謝物はオメプラゾールスルホン及びヒドロキシオメプラゾールで、これらの代謝物はいずれも胃酸分泌抑制作用をほとんど示さなかった。また、ヒト肝ミクロソームによるin vitro試験の結果から、ヒドロキシ体及びスルホン体の生成にはそれぞれ主にCYP2C19及びCYP3A4が関与し、ヒドロキシ体への代謝クリアランスはスルホン体の4倍であると報告されている。CYP2C19には遺伝多型が存在し、遺伝学的にCYP2C19の機能を欠損する個体(PM)は日本人を含むモンゴル系人種で13~20%、コーカサス系人種で3~4%と報告されている。PMにおけるオメプラゾールの緩やかな代謝は、他のプロトンポンプ阻害剤と同様である。[10.参照]
16.5 排泄
外国人のデータでは、14C標識オメプラゾールを投与したとき、投与放射能の約80%が尿中に、約20%が糞中に排泄された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 血液透析
慢性透析患者を対象にオメプラゾールを1日1回20mg経口投与し、血漿中濃度を検討した試験において、血液透析による除去はほとんど認められず、透析日及び非透析日で体内薬物動態に影響はみられなかった。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ジアゼパム、ワルファリン、フェニトイン
外国人のデータでは、ジアゼパム、ワルファリン(R‐ワルファリン)、フェニトインがCYP2C19により代謝されるため、本剤との併用によってジアゼパム及びフェニトインのクリアランスは、それぞれ27%及び15%低下し、ワルファリンの血中濃度は12%上昇したとの報告がある。[10.2参照]
16.7.2 その他の薬剤
オメプラゾールの血漿中濃度は、クラリスロマイシンとの併用により、Cmax及びAUCは約2倍に上昇した。一方、アモキシシリン水和物との併用は、オメプラゾールの血漿中動態に影響しなかった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger‐Ellison症候群〉
17.1.1 国内臨床試験
716例を対象に実施された一般臨床試験の概要は次のとおりである。
また、二重盲検比較試験(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)において本剤の有用性が認められている。
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一般臨床試験、二重盲検比較試験および用量検索試験における安全性評価対象1,333例中29例(2.2%)39件の副作用が報告されている。主な副作用は、下痢・軟便9件(0.7%)、発疹・皮疹4件(0.3%)、頭痛4件(0.3%)、便秘3件(0.2%)、悪心・嘔気2件(0.2%)等であった。
17.1.2 国内第III相試験(逆流性食道炎[維持療法])
H2受容体拮抗剤抵抗性の逆流性食道炎を対象とした国内の臨床試験においてオメプラゾール10mg及び20mgを6ヵ月間投与した時の再発抑制効果が認められている。安全性評価対象61例中3例(4.9%)に副作用が認められている。
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17.1.3 海外臨床試験(逆流性食道炎[維持療法])
海外において、逆流性食道炎を対象にオメプラゾール10mg及び20mg投与による6ヵ月から12ヵ月の維持療法が実施された臨床試験において再発の危険因子が検討され、治療開始時の逆流性食道炎の程度、年齢、喫煙、治療開始時の逆流症状の程度が再発の危険因子であることが報告されている。
〈非びらん性胃食道逆流症〉
17.1.4 国内第III相試験
非びらん性胃食道逆流症を対象とした国内の臨床試験において、オメプラゾール10mgを4週間投与したときの投与4週時の胸やけ完全消失率及び十分な胸やけ改善率はそれぞれ32.3%(31/96例)、45.8%(44/96例)であった。
安全性評価対象96例中5例(5.2%)に副作用が認められている。
〈胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉
国内第III相試験及び国内市販後臨床試験(オメプラゾール、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与)の除菌療法期では、総症例数401例中192例(47.9%)に副作用が認められている。
また、プロトンポンプインヒビター、アモキシシリン水和物及びメトロニダゾールの3剤投与については、国内において臨床試験等の副作用発現頻度が明確となる試験を実施していない。
17.1.5 国内第III相試験
ヘリコバクター・ピロリ陽性の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の患者を対象とした国内の臨床試験において、オメプラゾール20mg、アモキシシリン水和物750mg及びクラリスロマイシン400mgを1日2回7日間経口投与した時の除菌率は次表のとおりである。
→図表を見る(PDF)
17.1.6 国内市販後臨床試験
ヘリコバクター・ピロリ陽性の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の患者を対象とした国内の市販後臨床試験において、オメプラゾール20mg、アモキシシリン水和物750mg及びクラリスロマイシン200mg又はオメプラゾール20mg、アモキシシリン水和物750mg及びクラリスロマイシン400mgを1日2回7日間経口投与した時の除菌率は次表のとおりである。
→図表を見る(PDF)
〈胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉
プロトンポンプインヒビター、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシン又はメトロニダゾールの3剤投与については、国内において臨床試験等の副作用発現頻度が明確となる試験を実施していない。
18.1 作用機序
胃腺の壁細胞の細胞膜上に存在する受容体へ、各種酸分泌刺激物質が結合することにより、壁細胞内において一連の胃酸分泌反応がおきる。この反応の最終過程では、壁細胞内からH+を放出し、代わりにK+を取り込むプロトンポンプと呼ばれる酵素H+,K+‐ATPaseが働いている。オメプラゾールは、このプロトンポンプの働きを阻害することによって、胃酸分泌を抑制する。
ヘリコバクター・ピロリ除菌治療におけるオメプラゾールの役割は胃内pHを上昇させることにより、併用されるアモキシシリン水和物、クラリスロマイシンの抗菌活性を高めることにあると考えられる。
18.2 ヒトでの作用
18.2.1 胃酸分泌抑制作用
(1)基礎分泌
胃潰瘍及び十二指腸潰瘍患者において、20mg投与により基礎胃酸分泌をそれぞれ93%及び94%抑制する。
(2)効果発現時間
胃潰瘍患者にオメプラゾール20mgを1日1回朝食後に経口投与したとき、投与2~6時間後より胃酸分泌抑制効果が認められた。
(3)テトラガストリン刺激
健康成人において、20mg投与によりテトラガストリン(4μg/kg、筋注)刺激後2時間までの胃酸分泌を93%抑制する。
(4)インスリン刺激
健康成人及び十二指腸潰瘍患者において、20mg投与によりインスリン(0.2U/kg、静注)刺激後2時間までの胃酸分泌を70~88%抑制する。
(5)夜間分泌
健康成人において、20mg投与により夜間8時間の胃酸分泌を73%抑制する。
(6)24時間分泌
胃潰瘍、十二指腸潰瘍患者及び健康成人において、20mg投与により24時間にわたり胃酸分泌を抑制する。
18.2.2 ペプシン分泌抑制作用
健康成人において、20mg投与により夜間8時間のペプシン分泌を39%抑制する。
18.2.3 食道内pHに及ぼす影響
逆流性食道炎患者において、20mg投与により24時間中に食道内pHが4以下を示す時間の割合は、投与前の32.6%に比し、投与後では0.7%に減少する。
18.2.4 胃排出能に及ぼす影響
胃潰瘍、十二指腸潰瘍患者において、20mg投与により胃排出能にはほとんど影響を及ぼさない。
18.2.5 内分泌ホルモンに及ぼす影響
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、Zollinger‐Ellison症候群患者において、20~60mg投与により血清ガストリン値の上昇がみられることがあるが、投与終了後、投与前値への回復あるいは回復傾向が認められる。胃潰瘍及び十二指腸潰瘍患者において、20mg投与によりその他の内分泌ホルモンにはほとんど影響を及ぼさない。
18.3 動物での作用
18.3.1 H+,K+‐ATPase阻害作用
ウサギ及びラットの胃粘膜H+,K+‐ATPaseに対し阻害作用を示す。
18.3.2 胃酸分泌抑制作用
ウサギ分離胃底腺を用いたdibutyryl cyclic AMP刺激酸分泌に対して抑制作用を示す。
幽門結紮ラット、胃瘻ラット、迷走神経切断ラットにおけるペンタガストリン及びカルバコール刺激、Heidenhain pouchイヌにおけるヒスタミン刺激、胃瘻イヌにおけるペンタガストリン刺激による胃酸分泌に対し、強い抑制作用を示す。
18.3.3 実験潰瘍に対する作用
ラットにおける水浸拘束ストレス、幽門結紮、インドメタシン、アスピリン、プレドニゾロン及びエタノール胃潰瘍並びにメピリゾール十二指腸潰瘍に対し、強い抗潰瘍作用を示す。また、酢酸胃及び十二指腸潰瘍に対しても治癒促進効果を示す。
18.4 ヘリコバクター・ピロリ除菌の補助作用
18.4.1 ヘリコバクター・ピロリ感染動物モデルにおける除菌効果
マウスヘリコバクター・ピロリ感染モデルにおいて、アモキシシリン水和物単独、又はクラリスロマイシンとの2剤併用群では除菌率は低く(除菌率;各々6%)、オメプラゾールを添加することにより除菌率は著しく上昇し、アモキシシリン水和物とオメプラゾールの2剤併用で約50%、アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びオメプラゾールの3剤併用では約80%であった。
- 一包可:不明
無包装状態試験:規格内変化のみ
- 分割:可能
- 粉砕:可能
腸溶錠であり、服用にあたっては、かんだり、砕いたりせずに、飲みくだすよう患者に指導する。
- 製造販売会社
- シオノケミカル
- 販売会社
- 日本ケミファ
おくすりのQ&A
添付文書内の「有効性安全性」の正確な意味を教えてください。どのような条件ならば有効性があるとするのか、安全性があるというのかをその基準を教えて欲しいのです
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