タケプロン静注用30mg

添付文書情報2024年08月改定(第4版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者。
2.2. アタザナビル硫酸塩投与中、リルピビリン塩酸塩投与中の患者〔10.1参照〕。
- 効能・効果
- 経口投与不可能な次記の疾患:出血を伴う胃潰瘍、十二指腸潰瘍、急性ストレス潰瘍及び急性胃粘膜病変。
- 用法・用量
- 通常、成人には、ランソプラゾールとして1回30mgを、日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液に混合して1日2回点滴静注する、或いは日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液20mLに溶解して1日2回緩徐に静脈注射する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤は投与開始から3日間までの成績で高い止血効果が認められているので、内服可能となった後は経口投与に切りかえ、漫然と投与しないこと〔17.1.1参照〕。
7.2. 国内臨床試験において、本剤の7日間を超える使用経験はない。
- 肝機能障害患者
- 噴出性出血又は湧出性出血や露出血管を認めるなど急激な出血の危険性のある場合は、ヒータープローブやクリッピング等の内視鏡的止血術を行うこと。
9.1.1. 薬物過敏症の既往歴のある患者。
肝機能障害患者:本剤の代謝、排泄が遅延することがある。
- 相互作用
- 本剤は主として肝薬物代謝酵素CYP2C19又はCYP3A4で代謝される。
また、本剤の胃酸分泌抑制作用により、併用薬剤の吸収を促進又は抑制することがある。
10.1. 併用禁忌:1). アタザナビル硫酸塩<経口><レイアタッツ>〔2.2参照〕[アタザナビル硫酸塩の作用を減弱するおそれがある(本剤の胃酸分泌抑制作用によりアタザナビル硫酸塩の溶解性が低下し、アタザナビルの血中濃度が低下する可能性がある)]。
2). リルピビリン塩酸塩<経口><エジュラント>〔2.2参照〕[リルピビリン塩酸塩の作用を減弱するおそれがある(本剤の胃酸分泌抑制作用によりリルピビリン塩酸塩の吸収が低下し、リルピビリンの血中濃度が低下する可能性がある)]。
10.2. 併用注意:1). テオフィリン[テオフィリンの血中濃度が低下することがある(本剤が肝薬物代謝酵素を誘導し、テオフィリンの代謝を促進することが考えられている)]。
2). タクロリムス水和物[タクロリムスの血中濃度が上昇することがある(本剤が肝薬物代謝酵素におけるタクロリムスの代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。
3). ジゴキシン<経口>、メチルジゴキシン<経口>[併用薬剤の作用を増強する可能性がある(本剤の胃酸分泌抑制作用によりジゴキシンの加水分解が抑制され、ジゴキシンの血中濃度が上昇する可能性がある)]。
4). イトラコナゾール、チロシンキナーゼ阻害剤(ゲフィチニブ、ニロチニブ塩酸塩水和物、エルロチニブ塩酸塩、アカラブルチニブ、セリチニブ、ダサチニブ水和物、ダコミチニブ水和物、ラパチニブトシル酸塩水和物、カプマチニブ塩酸塩水和物)[併用薬剤の作用を減弱する可能性がある(本剤の胃酸分泌抑制作用により併用薬剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
5). チロシンキナーゼ阻害剤(ボスチニブ水和物)[併用薬剤の作用を減弱する可能性があるので、ボスチニブ水和物との併用は可能な限り避けること(本剤の胃酸分泌抑制作用により併用薬剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
6). 酸化マグネシウム<経口>[酸化マグネシウムの緩下作用が減弱するおそれがある(本剤の胃酸分泌抑制作用による胃内pH上昇により酸化マグネシウムの溶解度が低下するためと考えられる)]。
7). ベルモスジルメシル酸塩<経口>[ベルモスジルメシル酸塩の血中濃度が低下する可能性がある(本剤の胃酸分泌抑制作用による胃内pH上昇によりベルモスジルメシル酸塩の吸収が抑制されるおそれがある)]。
8). メトトレキサート[メトトレキサートの血中濃度が上昇することがあるので、高用量のメトトレキサートを投与する場合は、一時的に本剤の投与を中止することを考慮すること(機序は不明である)]。
9). フェニトイン、ジアゼパム[併用薬剤の作用を増強する可能性がある(これらの薬剤の代謝、排泄が遅延することが類薬(オメプラゾール)で報告されている)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. アナフィラキシー(全身発疹、顔面浮腫、呼吸困難等)、ショック(頻度不明)。
11.1.2. 汎血球減少、無顆粒球症、溶血性貧血、顆粒球減少、血小板減少、貧血(頻度不明)。
11.1.3. 肝機能障害(頻度不明):黄疸、AST上昇、ALT上昇等を伴う重篤な肝機能障害があらわれることがある。
11.1.4. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)。
11.1.5. 間質性肺炎(頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音異常(捻髪音)等があらわれた場合には、速やかに胸部X線等の検査を実施し、本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.6. 尿細管間質性腎炎(頻度不明):急性腎障害に至ることもあるので、腎機能検査値(BUN、クレアチニン上昇等)に注意すること。
11.1.7. 視力障害(頻度不明)。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(0.1~5%未満)*発疹、(頻度不明)そう痒、多形紅斑。
2). 皮膚:(頻度不明)亜急性皮膚エリテマトーデス。
3). 肝臓:(5%以上)AST上昇、ALT上昇、(0.1~5%未満)Al-P上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇。
4). 血液:(0.1~5%未満)好酸球増多。
5). 消化器:(0.1~5%未満)下痢、(0.1%未満)*便秘、*味覚異常、(頻度不明)口渇、腹部膨満感、悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛、カンジダ症、口内炎、舌炎、※大腸炎(※collagenous colitis等を含む)[※:下痢が継続する場合、collagenous colitis等が発現している可能性があるため、速やかに本剤の投与を中止し、腸管粘膜縦走潰瘍、腸管粘膜びらん、腸管粘膜易出血等の異常を認めることがあるので、下血、血便が認められる場合には、適切な処置を行うこと]。
6). 精神神経系:(0.1~5%未満)*不眠、振戦、(0.1%未満)*うつ状態、(頻度不明)頭痛、眠気、めまい。
7). その他:(0.1~5%未満)発熱、尿酸上昇、(0.1%未満)*脱力感、(頻度不明)女性化乳房、浮腫、倦怠感、舌のしびれ感・口唇のしびれ感、四肢のしびれ感、筋肉痛、脱毛、かすみ目、関節痛、低ナトリウム血症、低マグネシウム血症、低カリウム血症、低カルシウム血症、総コレステロール上昇。
*)発現頻度は製造販売後調査の結果に基づく。
- 高齢者
- 一般に高齢者では酸分泌能は低下しており、その他生理機能の低下もある。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物試験(ラット、経口)において胎仔血漿中濃度は母動物の血漿中濃度より高いことが認められており、また、ウサギ(経口30mg/kg/日)で胎仔死亡率増加が認められている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物試験(ラット、経口)で母乳中へ移行することが報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 経時変化を生じることがあるため、溶解後は速やかに使用することとし保存しないこと。
14.1.2. 配合変化による変色、沈殿物を生じることがあるため、日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液以外の溶解液・輸液・補液及び他剤との混合はしないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意本剤を投与する場合は、専用の経路を用いることとし他剤と共用しないこと。やむを得ず、他剤の輸液経路を用いて側管から投与する場合は、他剤の注入を休止し、本剤を投与する前後に日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液でフラッシュすること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 本剤の投与が胃癌による症状を隠蔽することがあるので、悪性でないことを確認のうえ投与すること。
15.1.2. 海外における複数の観察研究で、プロトンポンプインヒビターによる治療において骨粗鬆症に伴う股関節骨折、手関節骨折、脊椎骨折のリスク増加が報告されており、特に、高用量及び長期間(1年以上)の治療を受けた患者で、骨折のリスクが増加した。
15.1.3. 海外における主に入院患者を対象とした複数の観察研究で、プロトンポンプインヒビターを投与した患者においてクロストリジウム・ディフィシルによる胃腸感染のリスク増加が報告されている。
15.2. 非臨床試験に基づく情報ラットに52週間強制経口投与した試験で、50mg/kg/日群(臨床用量の約100倍)において1例に良性精巣間細胞腫が認められている。さらに、24ヵ月間強制経口投与した試験で、15mg/kg/日以上の群において良性の精巣間細胞腫の発生増加が、また、5mg/kg/日以上の群において胃のカルチノイド腫瘍が認められており、加えて、雌ラットの15mg/kg/日以上及び雄ラットの50mg/kg/日以上の群で網膜萎縮の発生頻度の増加が認められている。精巣間細胞腫及び網膜萎縮については、マウスのがん原性試験、イヌ、サルの毒性試験では認められず、ラットに特有な変化と考えられる。
16.1 血中濃度
本剤の静脈内投与における血清中濃度には個体間で差が認められる。
CYP2C19の遺伝子タイプにより、本剤が速やかに代謝される群(Extensive Metabolizer:EM)と緩やかに代謝される群(Poor Metabolizer:PM)に分類した健康成人男子12例(EM:8例、PM:4例)を対象として、1回30mg1日2回を5日間点滴静注した場合の血清中濃度は次のとおりである。
→図表を見る(PDF)
16.3 分布
ランソプラゾールのヒト血清蛋白結合率は、0.05~5μg/mLの濃度範囲で約98%である(in vitro)。
16.4 代謝
ランソプラゾールは主にCYP2C19及びCYP3A4により代謝される(in vitro)。
16.5 排泄
健康成人男子(9例)に30mgを単回静脈内投与した時、尿中には代謝物として排泄され、未変化体は認められなかった。投与終了24時間後までの累積尿中排泄率は12~17%である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II/III相試験
出血を伴う消化性潰瘍等を対象とした臨床試験において、1回30mg1日2回静脈内投与され止血効果が評価された203例のうち、3日間(72時間)以内に止血が認められた症例は94.6%(192/203例)である。203例中内視鏡的な前処置が行われなかった症例は41例であり、3日間(72時間)以内に止血が認められた症例は97.6%(40/41例)である。
副作用発現頻度は、自他覚的随伴症状及び臨床検査値異常変動としてそれぞれ2.3%(5/221)、13.1%(29/221)であり、主な副作用はALT上昇6.2%(13/211)、AST上昇5.7%(12/212)、LDH上昇2.0%(4/200)、γ‐GTP上昇1.5%(3/195)であった。
なお、背景因子別の発現率では、男性12.7%(21/166)、非高齢者8.5%(14/165)、体重50.0kg以上60.0kg未満の層14.9%(11/74)、体重60.0kg以上の層(体重が不明であった例を除く)10.0%(10/100)と比べて、女性21.8%(12/55)、高齢者33.9%(19/56)、体重50.0kg未満の層29.7%(11/37)でやや高かった。[7.1参照]
18.1 作用機序
本剤は胃粘膜壁細胞の酸生成部位へ移行した後、酸による転移反応を経て活性体へと構造変換され、この酸転移生成物が酸生成部位に局在してプロトンポンプとしての役割を担っているH+,K+‐ATPaseのSH基と結合し、酵素活性を抑制することにより、酸分泌を抑制すると考えられる。
血液凝固能及び血小板凝集能は酸性条件下で強く障害され、さらに血液凝固の結果として形成されたフィブリンは酸性条件下でペプシンにより溶解されることが報告されているが、本剤は胃内pHを上昇させることにより血液凝固能及び血小板凝集能を改善し、ペプシン活性を抑制して出血抑制作用を示すと考えられる。
また、胃の損傷粘膜の修復は酸性条件下で抑制されるが、本剤は酸分泌を抑制することにより胃内pHを上昇させ、損傷粘膜の修復を促進すると考えられる。
18.2 胃出血抑制作用
ラット(静脈内投与)において、脱血ショックによる胃出血に対して抑制作用を示す。
18.3 胃粘膜損傷形成抑制作用
ラット(静脈内投与)において、アスピリン又はインドメタシンによる胃粘膜損傷の形成を抑制する。
18.4 胃酸分泌抑制作用(24時間胃内pHモニタリング)
健康成人への1回30mg1日2回静脈内投与により、持続的な胃酸分泌抑制作用が認められる。また、静脈注射(約3分)又は点滴静注(30分)において、24時間胃内pH4ホールディングタイム(pH4以上の時間の割合)は同様である。
なお、本剤の代謝型が判定された健康成人への1回30mg1日2回静脈内投与における酸分泌抑制効果(24時間ごとのpH4ホールディングタイム)は、1日目ではEM(57~69%)、PM(90%)、5日目ではEM(80~88%)、PM(98%)である。
- 製造販売会社
- 武田テバ薬品
- 販売会社
- 武田薬品
おくすりのQ&A
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補助が受けれることになり、母子手帳記載以外に、予診票の控えがいるとのこと
保管中の予診票の控えを渡したら...
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