ウルソ錠100mg

添付文書情報2023年06月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 完全胆道閉塞のある患者〔9.3.1参照〕。
2.2. 劇症肝炎の患者〔9.3.2参照〕。
- 効能・効果
- 1). 次記疾患における利胆:胆道<胆管・胆のう>系疾患及び胆汁うっ滞を伴う肝疾患。
2). 慢性肝疾患における肝機能の改善。
3). 次記疾患における消化不良:小腸切除後遺症、炎症性小腸疾患。
4). 外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解。
5). 原発性胆汁性肝硬変における肝機能の改善。
6). C型慢性肝疾患における肝機能の改善。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈C型慢性肝疾患における肝機能の改善〉C型慢性肝疾患においては、まずウイルス排除療法を考慮することが望ましい(本薬にはウイルス排除作用はなく、現時点ではC型慢性肝疾患の長期予後に対する肝機能改善の影響は明らかではないため、ウイルス排除のためのインターフェロン治療無効例若しくはインターフェロン治療が適用できない患者に対して本薬の投与を考慮すること)。
5.2. 〈C型慢性肝疾患における肝機能の改善〉C型慢性肝疾患の非代償性肝硬変患者に対する有効性及び安全性は確立していない〔9.3.5参照〕。
- 用法・用量
- 1). 次記疾患における利胆(胆道(胆管・胆のう)系疾患及び胆汁うっ滞を伴う肝疾患)、慢性肝疾患における肝機能の改善、次記疾患における消化不良(小腸切除後遺症、炎症性小腸疾患):ウルソデオキシコール酸として、通常、成人1回50mgを1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
2). 外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解:外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解には、ウルソデオキシコール酸として、通常、成人1日600mgを3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
3). 原発性胆汁性肝硬変における肝機能の改善:原発性胆汁性肝硬変における肝機能の改善には、ウルソデオキシコール酸として、通常、成人1日600mgを3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。増量する場合の1日最大投与量は900mgとする。
4). C型慢性肝疾患における肝機能の改善:C型慢性肝疾患における肝機能の改善には、ウルソデオキシコール酸として、通常、成人1日600mgを3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。増量する場合の1日最大投与量は900mgとする。
- 肝機能障害患者
- 9.1.1. 重篤な膵疾患のある患者:原疾患が悪化するおそれがある。
9.1.2. 消化性潰瘍のある患者:粘膜刺激作用があるため、症状が増悪するおそれがある。
9.3.1. 完全胆道閉塞のある患者:投与しないこと(利胆作用があるため、症状が増悪するおそれがある)〔2.1参照〕。
9.3.2. 劇症肝炎の患者:投与しないこと(症状が増悪するおそれがある)〔2.2参照〕。
9.3.3. 胆管に胆石のある患者:利胆作用があるため、胆汁うっ滞を惹起するおそれがある。
9.3.4. 原発性胆汁性肝硬変の硬変期で高度黄疸のある患者:血清ビリルビン値上昇等がみられた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(症状が悪化するおそれがある)。
9.3.5. C型慢性肝疾患で高度黄疸のある患者:血清ビリルビン値上昇等がみられた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(症状が悪化するおそれがある)〔5.2参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). コレスチラミン<経口>、コレスチミド<経口>[本剤の作用を減弱するおそれがあるので、可能な限り間隔をあけて投与すること(本剤と結合し、本剤の吸収を遅滞あるいは減少させるおそれがある)]。
2). 制酸剤<アルミニウム含有><経口>(水酸化アルミニウムゲル<経口>、合成ケイ酸アルミニウム<経口>、水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム<経口>)[本剤の作用を減弱するおそれがある(アルミニウムを含有する制酸剤は、本剤を吸着し、本剤の吸収を阻害するおそれがある)]。
3). 脂質低下剤(クロフィブラート、ベザフィブラート、フェノフィブラート)[本剤をコレステロール胆石溶解の目的で使用する場合は、本剤の作用を減弱するおそれがある(クロフィブラート等は胆汁中へのコレステロール分泌を促進するため、コレステロール胆石形成が促進されるおそれがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 間質性肺炎(頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 消化器:(1~5%未満)下痢、(0.1~1%未満)悪心、食欲不振、便秘、胸やけ、胃不快感、腹痛、腹部膨満、(0.1%未満)嘔吐。
2). 過敏症:(0.1~1%未満)そう痒、発疹、(0.1%未満)蕁麻疹等、(頻度不明)紅斑(多形滲出性紅斑等)。
3). 肝臓:(0.1~1%未満)AST上昇、ALT上昇、ALP上昇、(0.1%未満)ビリルビン上昇、γ-GTP上昇。
4). その他:(0.1~1%未満)全身倦怠感、めまい、(0.1%未満)白血球数減少。
発現頻度は製造販売後調査の結果を含む。
- 高齢者
- 用量に注意して投与すること(一般に生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で妊娠前及び妊娠初期の大量(2000mg/kg/日)投与により胎仔毒性が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトで母乳への移行が認められている)。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
16.1 血中濃度
健康成人を対象とし、本剤200mgを投与(100mg錠を2錠、6例)したとき、最高血清中濃度は1.90±0.25μg/mLであった。また、400mgを投与(100mg錠を4錠、6例)したとき、最高血清中濃度は7.09±1.43μg/mLであった。
16.2 吸収
健康成人に本剤1g/日を2週間経口投与後、14C‐ウルソデオキシコール酸を静注し、同位体希釈分析法を用いてその吸収量などを測定した。腸肝循環中のウルソデオキシコール酸のプールサイズは約940mgであり、投与されたウルソデオキシコール酸はそのほとんどが腸肝循環を行っていた。また、胆汁中胆汁酸分画に占めるウルソデオキシコール酸は最大56%でありケノデオキシコール酸(CDCA)とコール酸(CA)の比率はともに減少した(外国人のデータ)。
16.4 代謝
健康成人6例を対象とし、本剤400mg(100mg錠を4錠)を投与したとき、血清中の主な代謝物は、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)及びその硫酸抱合体(GUDCA‐S)であった。また、尿中の主な代謝物はGUDCA‐S及びウルソデオキシコール酸のN‐アセチルグルコサミン抱合体であった。
16.5 排泄
健康成人6例を対象とし、本剤400mg(100mg錠を4錠)を投与したとき、投与後24時間のGUDCA‐S及びウルソデオキシコール酸のN‐アセチルグルコサミン抱合体の尿中排泄量はそれぞれ投与量の0.25及び0.11%であった。
注)本剤の最大承認用量は900mgである。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 二重盲検試験
(1)胆道系疾患(胆石症、胆道炎、胆道ジスキネジー、胆のう切除後症候群)患者に本剤150mg/日を2週間投与し、自覚症状に対する改善効果を検討したところ、右季肋部痛などに対してプラセボ投与群に比し有意な改善効果を認めた。
(2)慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変)患者に本剤150mg/日を4週間投与したところ、本剤投与群はプラセボ投与群に比しAST、ALT値が有意に低下した。
(3)コレステロール系胆石症患者に本剤150mg/日、600mg/日を6~12ヵ月間投与し、胆石溶解効果を検討したところ、X線造影像による胆石の消失、縮小・減少を合わせた有効率は150mg/日投与群17.4%(4/23例)、600mg/日投与群34.5%(10/29例)、プラセボ投与群5.0%(1/20例)で、600mg/日投与群はプラセボ投与群に比し有意な溶解効果を認めた。
(4)原発性胆汁性肝硬変(PBC)患者に本剤150mg/日、600mg/日を24週間投与し肝機能改善効果を検討したところ、改善以上の改善率は150mg/日投与群22.7%(5/22例)、600mg/日投与群92.0%(23/25例)で、600mg/日投与群は150mg/日投与群に比し、有意な改善効果を認めた。
(5)C型慢性肝炎患者に本剤150mg/日、600mg/日、900mg/日を24週間投与し、ALTの変化率(中央値)を比較検討したところ、150mg/日投与群(195例)-15.3%、600mg/日投与群(198例)-29.15%、900mg/日投与群(193例)-36.2%であり、600mg/日投与群、900mg/日投与群は150mg/日投与群に比し、有意な改善効果を認めた。副作用の発現頻度は150mg/日投与群、600mg/日投与群、900mg/日投与群それぞれ18.1%(36/199例)、21.5%(43/200例)、17.8%(35/197例)と全体ではほぼ同様で、各群間に有意差は認められなかった。なお、下痢については高用量で発現頻度が高い傾向が認められた。
17.1.2 長期投与試験
(1)原発性胆汁性肝硬変(PBC)患者に本剤600mg/日を48~132週間投与し肝機能改善効果を検討したところ、改善以上の改善率は81.8%(27/33例)であった。
(2)C型慢性肝炎患者に本剤600mg/日(必要に応じ900mg/日へ増量)を1年以上投与したところ、ALTの変化率(中央値)は-43.4%(257例)と有意な低下を認め、効果の持続が確認された。
18.1 作用機序
ウルソデオキシコール酸は胆汁分泌を促進する作用(利胆作用)により胆汁うっ滞を改善する。また、投与されたウルソデオキシコール酸は肝臓において、細胞障害性の強い疎水性胆汁酸と置き換わり、その相対比率を上昇させ、疎水性胆汁酸の肝細胞障害作用を軽減する(置換効果)。さらに、ウルソデオキシコール酸はサイトカイン・ケモカイン産生抑制作用や肝臓への炎症細胞浸潤抑制作用により肝機能を改善する。そのほか、次記の胆石溶解作用、消化吸収改善作用が知られている。
18.2 利胆作用及び胆汁うっ滞改善作用
18.2.1 胆石摘出術後患者5例にT‐チューブドレナージを設置し、本剤150mg/日を14日間経口投与したところ、肝胆汁流量は投与5日目より増加した。
18.2.2 エストラジオール‐17β‐D‐グルクロニド誘発急性肝内胆汁うっ滞ラットに、ウルソデオキシコール酸24及び35mg/kgを、十二指腸内投与したところ、胆汁流量の減少を抑制した。
18.2.3 17α‐エチニルエストラジオール誘発慢性肝内胆汁うっ滞ラットに、ウルソデオキシコール酸20及び60mg/kg/日を7日間投与したところ、胆汁流量の減少を抑制した。
18.3 肝機能改善作用
18.3.1 肝の摂取・排泄機能改善作用
慢性肝疾患患者に本剤150mg/日を3ヵ月間経口投与し、その前後に99mTc‐PMTを静注して動態解析を行ったところ、肝の摂取排泄曲線のピークタイムが有意に短縮した。
18.3.2 動物モデルにおける肝障害抑制作用
(1)自己免疫性肝炎モデルマウスに0.3%濃度になるように調製したウルソデオキシコール酸飼料を摂取させたところ、リポポリサッカライド投与による生存率の低下、血中AST及びALTの上昇、肝組織における壊死及び炎症細胞浸潤を抑制した。
(2)コンカナバリンA誘発肝障害モデルマウスにウルソデオキシコール酸50及び150mg/kgを経口投与したところ、血中AST及びALTの上昇を抑制した。また、本モデルにウルソデオキシコール酸150mg/kgを経口投与したところ、血中TNF‐α、IL‐6及びMIP‐2(ヒトのIL‐8に相当)上昇を抑制した。さらに、肝臓において好中球浸潤の指標となるミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性の上昇を抑制した。
(3)ケノデオキシコール酸(CDCA)誘発肝障害モデルハムスターにウルソデオキシコール酸50及び150mg/kgを経口投与したところ、血中ALTの上昇を抑制した。
18.3.3 疎水性胆汁酸の肝細胞障害性に対する軽減作用
ヒト肝細胞由来のChang細胞を用いたin vitro実験で、培養液中にCA、CDCAあるいはウルソデオキシコール酸を添加して細胞障害性を検討したところ、細胞障害性の強さはCDCAが最も強く、CAとウルソデオキシコール酸は同程度に弱かった。また、CDCAによる細胞障害性はウルソデオキシコール酸の添加により有意に低下した。
18.3.4 細胞系に対するサイトカイン・ケモカイン産生抑制作用
マウス肝非実質細胞とリンパ球を用いたin vitro試験で、コンカナバリンA添加によるTNF‐α及びIL‐6産生を抑制した。ラット肝実質細胞を用いたin vitro試験で、TNF‐α添加によるRANTES産生を抑制した。
18.4 消化吸収改善作用
18.4.1 回腸切除患者12例に本剤150mg/日を1ヵ月間経口投与し、その前後で血中高級脂肪酸、脂溶性ビタミン濃度を測定したところ、血中リノール酸、リノレン酸、ビタミンD、Eの各濃度が上昇した。
18.4.2 膵液分泌促進作用
ラット及びイヌの十二指腸内に2.55×10の-2乗Mに調製したウルソデオキシコール酸溶液2.5mL/kgを投与したところ、ラットにおいて膵液量の増加を、またイヌでは重炭酸濃度の増加及びアミラーゼなど膵酵素活性の上昇を認めた。
18.5 胆石溶解作用
18.5.1 胆のう胆汁のコレステロール不飽和化作用
コレステロール系胆石症患者5例に本剤300mg/日を2ヵ月間、その後増量し、600mg/日を2ヵ月間経口投与したところ、いずれの用量においても胆のう胆汁中のコレステロールの相対比率は低下し、Lithogenic Indexの改善を認めた。
18.5.2 液晶形成作用
コレステロール系胆石症患者5例に本剤600mg/日を1週間経口投与し、胆のう胆汁を採取し、偏光顕微鏡で観察したところ、胆汁中に多成分型の液晶が認められ、コレステロールはこの液晶中に多量に可溶化されていた。
18.5.3 コレステロールの腸管吸収抑制作用
健康成人6例に本剤600mg/日を1ヵ月間経口投与したところ、腸管におけるコレステロール吸収を抑制した。
- 一包可:不可
- 分割:不可
- 粉砕:不明
- 製造販売会社
- 田辺三菱製薬
- 販売会社
おくすりのQ&A
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