ミニリンメルトOD錠60μg
添付文書情報2023年11月改定(第3版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- デスモプレシン酢酸塩水和物を夜尿症に対し使用した患者で重篤な低ナトリウム血症による痙攣が報告されていることから、患者及びその家族に対して、水中毒(低ナトリウム血症)が発現する場合があること、水分摂取管理の重要性について十分説明・指導すること〔11.1.1参照〕。
- 禁忌
- 2.1. 低ナトリウム血症の患者[低ナトリウム血症を増悪させるおそれがある]〔11.1.1参照〕。
2.2. 習慣性多飲症又は心因性多飲症の患者(尿生成量が40mL/kg/24時間を超える)[低ナトリウム血症が発現しやすい]〔11.1.1参照〕。
2.3. 心不全の既往歴又はその疑いがあり利尿薬による治療を要する患者[低ナトリウム血症が発現しやすい]〔11.1.1参照〕。
2.4. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群の患者[低ナトリウム血症が発現しやすい]〔11.1.1参照〕。
2.5. 中等度以上の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50mL/分未満)〔9.2.1参照〕。
2.6. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 中枢性尿崩症。
(効能又は効果に関連する注意)
5.3. 多飲・多尿・低比重尿を示す疾患として中枢性尿崩症(バソプレシン感受性尿崩症)・心因性多飲症・腎性尿崩症・高カルシウム血症に基づく多尿症がある。これら各種疾患に基づく多尿を鑑別し、バソプレシン欠乏による尿崩症のみに使用すること。
- 用法・用量
- 通常、デスモプレシンとして1回60~120μgを1日1~3回経口投与する。投与量は患者の飲水量、尿量、尿比重、尿浸透圧により適宜増減するが、1回投与量は240μgまでとし、1日投与量は720μgを超えないこと。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 低ナトリウム血症の発現を防止するため、低用量から本剤の投与を開始し、また、投与量の増量は慎重に行うこと〔11.1.1参照〕。
7.2. 本剤を食後投与から食前投与に変更した場合、投与後に血漿中デスモプレシン濃度が高くなり有害事象の発現リスクが上昇する可能性があることに留意して、患者ごとに本剤の投与と食事のタイミングを検討すること〔16.2.1参照〕。
7.3. 食直後投与では目的とする有効性が得られない可能性があるため、食直後の投与は避けることが望ましい〔16.2.1参照〕。
7.4. 中枢性尿崩症の治療における水分摂取管理の重要性を考慮し、本剤は水なしで飲む(なお、本剤は口の中(舌下)に入れると速やかに溶ける)。
7.6. 小児の中枢性尿崩症の治療において本剤60μg投与で過量投与が懸念される場合は、デスモプレシン経鼻製剤の使用を考慮すること〔9.7小児等の項参照〕。
- 腎機能障害患者
- 8.3. 口渇中枢異常を伴う症候性尿崩症の患者では水出納のバランスがくずれやすいので、本剤投与中は血清ナトリウム値に十分注意すること。
8.4. 本剤投与中に水中毒症状を来すことがあるので、次の点に注意すること〔11.1.1参照〕。
・ 過度の飲水を避け、点滴・輸液による水分摂取にも注意すること。
・ 適正な飲水量及び適正な用法の習得並びに維持量を決定するまで、入院するなど必要な処置をとることが望ましい。
・ 本剤投与中は患者の状態を観察し、水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)の発現に十分注意すること。
8.5. 水中毒の発現を予防するために患者及びその家族に次の点について十分説明・指導すること〔11.1.1参照〕。
・ 指示された飲水量、用法・用量を厳守すること。
・ 過度に飲水してしまった場合は本剤の投与を行わないこと。発熱、喘息等の飲水が増加する疾患を合併している場合は特に注意すること。
・ 水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)があらわれた場合には直ちに投与を中断し、速やかに医師に連絡すること。
・ 他院や他科を受診する際には、本剤投与中である旨を担当医師に報告すること。
8.6. 尿量が自然に減少する患者がいるので観察を十分にし、漫然と投与しないこと。
9.1.1. 高血圧を伴う循環器疾患、高度動脈硬化症、冠動脈血栓症、狭心症の患者:血圧上昇により症状を悪化させるおそれがある。
9.1.2. 下垂体前葉不全を伴う患者:低ナトリウム血症が発現しやすい〔11.1.1参照〕。
9.2.1. 中等度以上の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50mL/分未満):投与しないこと(血中半減期の延長、血中濃度の増加が認められる)〔2.5、16.6.1参照〕。
9.2.2. 軽度腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50~80mL/分):血中半減期の延長、血中濃度の増加が認められる〔16.6.1参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). 三環系抗うつ剤(イミプラミン塩酸塩等)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(フルボキサミンマレイン酸塩等)、その他の抗利尿ホルモン不適合分泌症候群を惹起する薬剤(クロルプロマジン、カルバマゼピン、クロルプロパミド等)〔11.1.1参照〕[低ナトリウム血症性の痙攣発作の報告があるので、血清ナトリウム、血漿浸透圧等をモニターすること(抗利尿ホルモンを分泌し、水分貯留のリスクを増すことがある)]。
2). 非ステロイド性消炎鎮痛剤(インドメタシン等)〔11.1.1参照〕[水中毒が発現しやすい可能性があるため、浮腫等の発現に注意すること(水分貯留のリスクを増すことがある)]。
3). ロペラミド塩酸塩〔11.1.1、16.7参照〕[本剤の血中濃度が増加し薬効が延長する可能性がある(抗利尿作用が持続することで、水分貯留/低ナトリウム血症のリスクを増す可能性がある)]。
4). 低ナトリウム血症を起こすおそれがある薬剤(チアジド系利尿剤(トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等)、チアジド系類似剤(インダパミド等)、ループ利尿剤(フロセミド等)、スピロノラクトン、オメプラゾール等)〔11.1.1参照〕[低ナトリウム血症が発現するおそれがある(いずれも低ナトリウム血症が発現するおそれがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 脳浮腫、昏睡、痙攣等を伴う重篤な水中毒(頻度不明):異常が認められた場合には投与を中止して、水分摂取を制限し、必要な場合は対症療法を行うなど、患者の状況に応じて処置すること〔1.警告の項、2.1-2.4、7.1、8.4、8.5、9.1.2、10.2参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 代謝:(10%以上)低ナトリウム血症、(頻度不明)浮腫。
2). 精神神経系:(1~2%未満)頭痛、(頻度不明)強直性痙攣、眠気、めまい、不眠、情動障害、攻撃性、悪夢、異常行動。
3). 過敏症:(頻度不明)全身そう痒感、発疹、顔面浮腫、じん麻疹。
4). 消化器:(1~2%未満)腹痛、(頻度不明)悪心・嘔吐、食欲不振。
5). 循環器:(頻度不明)顔面蒼白、のぼせ。
6). その他:(1~2%未満)全身倦怠感、口渇、肝機能異常、(頻度不明)発汗、発熱。
- 高齢者
- 症状を観察しながら慎重に投与すること(生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(妊娠中の投与に関する観察研究において、新生児1例に奇形が認められ、また、文献報告にて、新生児6例に本剤投与と直接的な影響は考えにくいが低出生体重児・先天性奇形等の異常が認められている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中へ移行することが報告されている)。
- 小児等
- 低出生体重児、新生児、乳児及び6歳未満の幼児を対象とした国内臨床試験は実施していない〔7.6参照〕。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意14.1.1. 本剤はブリスターシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
14.1.2. 本剤は開封したとき水分と光に不安定なため、使用直前にブリスターシートから取り出すこと。
14.1.3. ブリスターシートから取り出す際、裏面のシートを剥がした後ゆっくりと指の腹で押し出し、欠けや割れが生じた場合は全量服用する(錠剤に比べてやわらかい為シートを剥がさずに押し出そうとすると割れることがある)。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報夜間頻尿を対象とした経鼻製剤の海外臨床試験において、因果関係は明らかではないが、血清ナトリウム値125mmol/L以下となった5例のうち4例に副腎皮質ステロイド剤が併用されていたとの報告がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報動物実験(ラット)で泌乳低下(母乳の出が悪くなる)の可能性が示唆されている。
16.1 血中濃度
健康成人に本剤60、120、240μg(各6人)を水負荷の条件下で単回経口投与したときの血漿中デスモプレシン濃度推移は添付文書の図のとおりである。
また、薬物動態パラメータは表のとおりであり、投与量60、120、240μgでは用量に応じたAUC及びCmaxの増加が認められた。
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人(16人)に本剤120μgをクロスオーバー法にて空腹時及び食後に経口投与したとき、平均AUCtは44.94及び12.03pg・h/mL、平均Cmaxは14.89及び3.90pg/mLであった。[7.2、7.3参照]
16.3 分布
16.3.1 体組織への分布
ラットに125Iで標識したデスモプレシン0.2μgを点鼻投与したとき、30分後の放射能濃度は、甲状腺>膀胱>腎臓>肝臓の順であった。
16.3.2 蛋白結合率
In vitroでのヒト血清蛋白結合率は次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
16.4 代謝
ヒト及びラット肝ミクロソームを用いたin vitro試験においてデスモプレシンは肝臓ではCYP450による代謝はほとんどないことが示されていることから、in vivoにおいてヒト肝ミクロソームで代謝される可能性は低いと考えられた。一方、ラット肝臓組織ホモジネートを用いたin vitro試験においては、デスモプレシンの代謝物の生成が認められており、本剤の一部は肝臓で代謝されると考えられる。
16.5 排泄
デスモプレシンの総クリアランスは7.6L/hであった。健常成人被験者において、52%(44%~60%)が未変化体として排泄された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
デスモプレシン2μg静脈内単回投与時注)のPKに対する腎機能障害の影響を腎機能(クレアチニンクリアランス)に基づき、外国人被験者を腎機能正常(>80mL/分)、腎機能障害が軽度(50~80mL/分)、中等度(30~49mL/分)及び高度(5~29mL/分)の4群に層別し検討したところ、腎機能障害の重症度に応じて全身クリアランスが低下し、中等度及び高度の腎機能障害患者では、腎機能正常者と比較して統計学的な有意差が認められた。腎機能正常者のAUCは186.1±64.1pg・h/mL(平均値±標準偏差)であったが、軽度、中等度及び高度の腎機能障害患者では、それぞれ280.8±31.7、453.3±174.7及び681.5±226.1pg・h/mLに増加した。分布相の半減期(t1/2λ1)は腎機能障害の程度に影響されなかった。一方、消失相の半減期(t1/2λ2)は、腎機能正常者で2.77時間であったのに対し、軽度、中等度及び高度の腎機能障害患者ではそれぞれ3.99、6.57及び8.74時間に延長した。[9.2.1、9.2.2参照]
16.7 薬物相互作用
外国人にロペラミド投与後にデスモプレシン400μg注)を含有する錠剤(デスモプレシン錠:国内未承認)を経口投与した場合、デスモプレシン錠を単独で投与した場合と比較して、デスモプレシンのAUC、AUCt、Cmaxがそれぞれ3.1倍(95%CI:2.3~4.2)、3.2倍(2.3~4.4)、2.3倍(1.6~3.2)上昇した。また、エリスロマイシン投与後にデスモプレシン錠を投与した場合には、デスモプレシンのAUC、AUCt、Cmaxに有意な変化は認められなかった。[10.2参照]
注)本剤の承認された用量は、デスモプレシンとして経口投与で60μgから240μgである。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈夜尿症〉
17.1.1 国内第III相試験
夜尿症患児(夜尿翌朝の起床時尿の平均尿浸透圧800mOsm/L以下あるいは平均尿比重1.022以下)を対象とし、プラセボを対照薬とした二重盲検比較試験において、年齢8.1±1.5歳(平均±標準偏差)、年齢範囲6~11歳の患児に対して、1日1回就寝前に、120μg(又はプラセボ)を2週間投与した。十分な効果が認められた場合(ベースラインからの夜尿日数減少率が75%以上の場合)は同用量を更に2週間継続し、十分な効果が認められない場合(ベースラインからの夜尿日数減少率が75%未満の場合)は240μg(又はプラセボ)を2週間投与した。主要評価項目である投与第3~4週の14日間あたりの夜尿日数のベースラインからの減少量は、本剤が3.3日、プラセボが1.5日であったことから、本剤はプラセボに比べ有意に夜尿日数を減少させることが確認された(P=0.009)。[5.1、5.2参照]
→図表を見る(PDF)
本剤の国内で実施された臨床試験において45例中、副作用及び臨床検査値異常の発現例は1例(発現率2.2%)、2件で、腹痛、倦怠感各1件(2.2%)であった。
〈中枢性尿崩症〉
17.1.2 国内第III相試験
デスモプレシン点鼻液又はスプレー剤の治療により尿崩症の症状がコントロールされている中枢性尿崩症の成人患者16例及び8歳~17歳の小児患者4例を対象として、第III相オープン試験を実施した。本剤に切換えた投与後4週目の24時間尿量は、点鼻液又はスプレー剤の治療時と同様にコントロールされており、本剤投与による24時間尿量、1時間当たりの尿量、尿浸透圧及び尿比重は、点鼻液又はスプレー剤の治療時と同様にコントロールされていた。また、19例(成人15例及び小児4例)の患者は12ヵ月の長期安全性評価を実施し、問題は認められなかった。
本剤及び点鼻液又はスプレー剤の比較
→図表を見る(PDF)
本剤の国内で実施された臨床試験において20例中、副作用及び臨床検査値異常の発現例は8例(発現率40.0%)10件で、低ナトリウム血症・血中ナトリウム減少7件(35.0%)、頭痛、口渇、肝機能異常各1件(5.0%)が主なものであった。
18.1 作用機序
18.1.1 バソプレシンV2受容体に対する作用
デスモプレシンのラットにおけるバソプレシンV1、V2受容体及びオキシトシン受容体に対する結合親和性(Ki)はそれぞれ1748、1.04、481nmol/Lであり、バソプレシンV2受容体に選択的な結合親和性を示した(Ki:1.04nmol/L)。またムスカリン受容体(M1、M2、M3)への結合親和性はほとんど認められなかった(Ki>1×10の5乗nmol/L)。
18.1.2 水及び尿素透過性亢進作用
単離したゴールデンハムスター腎髄質内層部集合管において、管腔膜側から基底膜側への水及び尿素の透過性を、デスモプレシンはそれぞれ0.01nmol/L以上、0.1nmol/L以上の濃度で亢進した。
18.2 抗利尿作用
ラットに蒸留水を25mL/kg経口投与した後、デスモプレシンを皮下投与し、デスモプレシン投与後5時間までの尿量を測定したところ、0.1ng/kg以上で用量の増加に伴い尿量は減少した。
- 一包可:不可
開封したとき水分と光に不安定なため、使用直前にブリスターシートから取り出す。
- 分割:不可
- 粉砕:不可
開封したとき水分と光に不安定なため、使用直前にブリスターシートから取り出す。
- 製造販売会社
- フェリング・ファーマ
- 販売会社
- キッセイ薬品
おくすりのQ&A
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