トレシーバ注 フレックスタッチ

添付文書情報2023年11月改定(第4版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 2.1. 低血糖症状を呈している患者〔11.1.1参照〕。
2.2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- インスリン療法が適応となる糖尿病。
(効能又は効果に関連する注意)
2型糖尿病患者においては、急を要する場合以外は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分行ったうえで適用を考慮すること。
- 用法・用量
- 通常、成人では、初期は1日1回4~20単位を皮下注射する。投与量は患者の状態に応じて適宜増減する。他のインスリン製剤を併用することがあるが、他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1日4~80単位である。但し、必要により前記用量を超えて使用することがある。注射時刻は原則として毎日一定とするが、必要な場合は注射時刻を変更できる。
通常、小児では、1日1回皮下注射する。注射時刻は毎日一定とする。投与量は患者の状態に応じて適宜増減する。他のインスリン製剤を併用することがあるが、他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1日0.5~1.5単位/kgである。但し、必要により前記用量を超えて使用することがある。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 適用にあたっては、本剤の作用持続時間や患者の病状に留意し、患者の病状が本剤の製剤的特徴に適する場合に投与すること。
7.2. 成人では、注射時刻は原則として毎日一定とするが、通常の注射時刻から変更する必要がある場合は、血糖値の変動に注意しながら通常の注射時刻の前後8時間以内に注射時刻を変更し、その後は通常の注射時刻に戻すよう指導すること。成人では、注射時刻の変更に際して投与間隔が短くなる場合は低血糖の発現に注意するよう指導すること。
7.3. 投与を忘れた場合には、本剤の作用持続時間等の特徴から、気づいた時点で直ちに投与できるが、その次の投与は8時間以上あけてから行い、その後は通常の注射時刻に投与するよう指導すること。
7.4. 糖尿病性昏睡、急性感染症、手術等緊急の場合は、本剤のみで処置することは適当でなく、速効型インスリン製剤を使用すること。
7.5. 中間型又は持効型インスリン製剤から本剤に変更する場合は、次を参考に本剤の投与を開始し、その後の患者の状態に応じて用量を増減するなど、本剤の作用特性を考慮の上慎重に行うこと。
7.5.1. 成人では、Basalインスリン製剤を用いた治療、Basal-Bolus療法による治療及び混合製剤による治療から本剤に切り替える場合、目安として、前治療で使用していたBasalインスリンと同じ単位数から投与を開始し、その後、それぞれの患者の血糖コントロールに基づき調整すること。但し、成人では、Basal-Bolus療法による治療において、1日2回投与のBasalインスリン製剤から本剤に切り替える場合、減量が必要な場合もある。
7.5.2. 小児では、Basalインスリン製剤を用いた治療、Basal-Bolus療法による治療、持続皮下インスリン注入(CSII)療法及び混合製剤による治療から本剤に切り替える場合は、本剤投与量は前治療で使用していたBasalインスリン相当量を目安とするが、低血糖リスクを回避するため減量を考慮し、その後、それぞれの患者の血糖コントロールに基づき調整すること。
7.6. インスリン以外の他の糖尿病用薬から本剤に切り替える場合又はインスリン以外の他の糖尿病用薬と併用する場合は、低用量から開始するなど、本剤の作用特性を考慮の上慎重に行うこと。
7.7. 小児では、インスリン治療開始時の初期投与量は、患者の状態により個別に決定すること。
7.8. 本剤の投与開始時及びその後数週間は血糖コントロールのモニタリングを十分に行うこと(併用する超速効型、速効型インスリン又は他の糖尿病用薬の用量や投与スケジュールの調整が必要となることがある)。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 低血糖に関する注意について、その対処法も含め患者及びその家族に十分徹底させること〔9.1.2、11.1.1参照〕。
8.2. 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること〔11.1.1参照〕。
8.3. 肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合はインスリン製剤を変更するなど適切な処置を行うこと。
8.4. 急激な血糖コントロールに伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は糖尿病網膜症増悪、眼の屈折異常、治療後神経障害(主として有痛性神経障害)があらわれることがあるので注意すること。
8.5. 本剤の自己注射にあたっては次の点に留意すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、添付されている取扱説明書を必ず読むよう指導すること。
8.6. 本剤と他のインスリン製剤を取り違えないよう、毎回注射する前に本剤のラベル等を確認するよう患者に十分指導すること。
8.7. 同一箇所への繰り返し投与により、注射箇所に皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれることがあるので、定期的に注射箇所を観察するとともに、次の点を患者に指導すること。
・ 本剤の注射箇所は、少なくとも前回の注射箇所から2~3cm離すこと〔14.1.2参照〕。
・ 注射箇所の腫瘤や硬結が認められた場合には、当該箇所への投与を避けること。
8.8. 皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれた箇所に本剤を投与した場合、本剤の吸収が妨げられ十分な血糖コントロールが得られなくなることがあるので、血糖コントロールの不良が認められた場合には、注射箇所の腫瘤や硬結の有無を確認し、注射箇所の変更とともに投与量の調整を行うなどの適切な処置を行うこと(血糖コントロールの不良に伴い、過度に増量されたインスリン製剤が正常な箇所に投与されたことにより、低血糖に至った例が報告されている)。
9.1.1. 手術、外傷、感染症等の患者:インスリン需要の変動が激しい。
9.1.2. 低血糖を起こすおそれがある次の患者又は状態。
・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全。
・ 下痢、嘔吐等の胃腸障害。
・ 飢餓状態、不規則な食事摂取。
・ 激しい筋肉運動。
・ 過度のアルコール摂取者。
〔8.1、11.1.1参照〕。
9.2.1. 重度腎機能障害患者:低血糖を起こすおそれがある〔11.1.1参照〕。
9.3.1. 重度肝機能障害患者:低血糖を起こすおそれがある〔11.1.1参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). 糖尿病用薬(ビグアナイド薬、スルホニルウレア薬、速効型インスリン分泌促進薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(血糖降下作用が増強される)]。
2). モノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリン分泌促進、糖新生抑制作用による血糖降下作用を有する)]。
3). 三環系抗うつ剤(ノルトリプチリン塩酸塩等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(機序は不明であるが、インスリン感受性を増強するなどの報告がある)]。
4). サリチル酸誘導体(アスピリン、エテンザミド)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(糖に対するβ細胞の感受性の亢進やインスリン利用率の増加等による血糖降下作用を有し、また、末梢で弱いインスリン様作用を有する)]。
5). 抗腫瘍剤(シクロホスファミド水和物)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリンが結合する抗体の生成を抑制し、その結合部位からインスリンを遊離させる可能性がある)]。
6). β-遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、アテノロール、ピンドロール)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(アドレナリンによる低血糖からの回復反応を抑制し、また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある)]。
7). クマリン系薬剤(ワルファリンカリウム)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(機序不明)]。
8). クロラムフェニコール[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(機序不明)]。
9). ベザフィブラート[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリン感受性増強等の作用により、本剤の作用を増強する)]。
10). サルファ剤[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(膵臓でのインスリン分泌を増加させることにより、低血糖を起こすと考えられており、腎機能低下、空腹状態遷延、栄養不良、過量投与が危険因子となる)]。
11). シベンゾリンコハク酸塩、ジソピラミド、ピルメノール塩酸塩水和物[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリン分泌作用を認めたとの報告がある)]。
12). チアジド系利尿剤(トリクロルメチアジド)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(カリウム喪失が関与すると考えられており、カリウム欠乏時には、血糖上昇反応に対するβ細胞のインスリン分泌能が低下する可能性がある)]。
13). 副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン、トリアムシノロン)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する)]。
14). ACTH(テトラコサクチド酢酸塩)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(副腎皮質刺激作用により糖質コルチコイドの分泌が増加し、糖質コルチコイドは、糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する)]。
15). アドレナリン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(糖新生亢進、末梢での糖利用抑制、インスリン分泌抑制による血糖上昇作用を有する)]。
16). グルカゴン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する)]。
17). 甲状腺ホルモン(レボチロキシンナトリウム水和物)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する)]。
18). 成長ホルモン(ソマトロピン)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(抗インスリン様作用による血糖上昇作用を有する)]。
19). 卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール、結合型エストロゲン)、経口避妊薬[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(末梢組織でインスリンの作用
に拮抗する)]。
20). ニコチン酸[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(末梢組織でのインスリン感受性を低下させるため耐糖能障害を起こす)]。
21). 濃グリセリン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(代謝されて糖になるため、血糖値が上昇する)]。
22). イソニアジド[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(炭水化物代謝を阻害することによる血糖上昇作用を有する)]。
23). ダナゾール[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリン抵抗性を増強するおそれがある)]。
24). フェニトイン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリン分泌抑制作用を有する)]。
25). 蛋白同化ステロイド(メテノロン)[血糖降下作用の増強による低血糖症状〔11.1.1参照〕、又は血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序不明)]。
26). ソマトスタチンアナログ製剤(オクトレオチド酢酸塩、ランレオチド酢酸塩)[血糖降下作用の増強による低血糖症状〔11.1.1参照〕、又は血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 低血糖(頻度不明):脱力感、倦怠感、高度空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、痙攣、意識障害(意識混濁、昏睡)等があらわれることがある。低血糖が無処置の状態が続くと低血糖昏睡等を起こし、重篤な転帰(中枢神経系の不可逆的障害、死亡等)をとるおそれがある。
長期にわたる糖尿病、糖尿病性神経障害、β-遮断剤投与中あるいは強化インスリン療法が行われている場合では、低血糖の初期の自覚症状(冷汗、振戦等)が通常と異なる場合や、自覚症状があらわれないまま、低血糖あるいは低血糖性昏睡に陥ることがある。
低血糖症状が認められた場合には糖質を含む食品を摂取する等、適切な処置を行うこと。
α-グルコシダーゼ阻害薬との併用時に低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。低血糖症状が認められ経口摂取が不可能な場合は、ブドウ糖の静脈内投与やグルカゴンの筋肉内投与等、適切な処置を行うこと。
本剤の作用は持続的であるため、回復が遅延するおそれがある(低血糖は臨床的に回復した場合にも、再発することがあるので継続的に観察すること)〔2.1、8.1、8.2、9.1.2、9.2.1、9.3.1、9.8高齢者の項、10.2参照〕。
11.1.2. アナフィラキシーショック(頻度不明):呼吸困難、血圧低下、頻脈、発汗、全身発疹、血管神経性浮腫等の症状が認められた場合は投与を中止すること。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(頻度不明)アレルギー、じん麻疹、そう痒感。
2). 肝臓:(頻度不明)肝機能異常(AST上昇、ALT上昇等)。
3). 神経系:(0.3~5%未満)頭痛、めまい。
4). 眼:(0.3~5%未満)糖尿病網膜症の顕在化又は糖尿病網膜症増悪。
5). 注射部位:(0.3~5%未満)注射部位反応(疼痛、血腫、結節、熱感等)[注射部位反応の症状の多くは軽度であり、治療の継続中に軽快又は消失している]、(注射部位)リポジストロフィー(皮下脂肪萎縮・皮下脂肪肥厚等)、(頻度不明)皮膚アミロイドーシス。
6). その他:(0.3~5%未満)血中ケトン体増加、体重増加、(頻度不明)浮腫、抗インスリン抗体産生に伴う血糖コントロール不良。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(生理機能が低下していることが多く、低血糖が発現しやすい)〔11.1.1参照〕。
- 授乳婦
- 妊娠した場合、あるいは妊娠が予測される場合には医師に知らせるよう指導すること。妊娠中、周産期等にはインスリンの需要量が変化しやすいため、用量に留意し、定期的に検査を行い投与量を調整すること(通常インスリン需要量は、妊娠初期は減少し、中期及び後期は増加する)。
用量に留意し、定期的に検査を行い投与量を調整すること(インスリンの需要量が変化しやすい)。
- 小児等
- 定期的に検査を行い投与量を調整すること(成長、思春期及び活動性によりインスリンの需要量が変化する)。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与時の注意14.1.1. 投与時(1). 本剤はJIS T 3226-2に準拠したA型専用注射針を用いて使用すること。本剤はA型専用注射針との適合性の確認をペンニードルで行っている。
(2). 本剤とA型専用注射針との装着時に液漏れ等の不具合が認められた場合には、新しい注射針に取り替える等の処置方法を患者に十分指導すること。
(3). 1本の本剤を複数の患者に使用しないこと。
14.1.2. 投与部位:皮下注射は大腿・上腕・腹部に行う。同じ部位に注射を行う場合は、その中で注射箇所を毎回変える(前回の注射箇所より2~3cm離して注射する)〔8.7参照〕。
14.1.3. 投与経路:静脈内及び筋肉内に投与しないこと。皮下注射したとき、まれに注射針が血管内に入り、注射後直ちに低血糖があらわれることがあるので注意すること。
14.1.4. その他(1). 本剤と他の薬剤を混合しないこと(本剤は他の薬剤との混合により、成分が分解するおそれがある)。
(2). 注射後、注射針は廃棄する(注射針は毎回新しいものを、必ず注射直前に取り付ける)。
(3). インスリンカートリッジにインスリン製剤を補充してはならない。
(4). インスリンカートリッジにひびが入っている場合は使用しないこと。
(5). 液に濁りが生じていたり、変色している場合は、使用しないこと。
使用中は室温にキャップ等により遮光して保管し、8週間以内に使用する(冷蔵庫保管(2~8℃)も可能であるが、凍結を避ける)、残った場合は廃棄すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. インスリン又は経口糖尿病薬の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
15.1.2. ピオグリタゾンと併用した場合、浮腫が多く報告されているので、併用
する場合には、浮腫及び心不全の徴候を十分観察しながら投与すること。
16.1 血中濃度
1型糖尿病患者22例に本剤0.4単位/kgを6日間1日1回皮下投与した。本剤は定常状態において平坦で安定したプロファイルを示し、本剤の半減期は18時間であった。[18.1参照]
1回の投与間隔(24時間)での本剤の曝露量は、投与開始後~12時間と投与後12時間以降で同様であった(AUC0-12h,SSとAUCτ,SSの比は0.53)。血中濃度は投与後2~3日で定常状態に達した。
16.2 吸収
健康被験者20例に本剤0.4単位/kgを大腿部、腹部、上腕部に単回皮下投与し、24時間グルコースクランプ下において、薬物動態プロファイル及び血糖降下作用を検討した。他のインスリン製剤投与後でもみられるように、本剤の総曝露量(AUC0-120h,SD)は、大腿部への皮下投与と比較し、腹部又は上腕部への皮下投与で6~7%大きかった。腹部又は上腕部と大腿部での本剤の曝露量の違いは血糖降下作用の差をもたらすものではなかった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者における薬物動態
腎機能障害の程度の異なる患者(クレアチニンクリアランス(mL/min)に基づく分類。軽度(50以上80以下)、中等度(30以上50未満)、重度(30未満)、末期(血液透析を必要とする患者)、各群6例)に本剤0.4単位/kgを単回投与し、薬物動態を比較した。腎機能障害患者と健康成人の本剤の薬物動態プロファイルに違いは認められなかった(外国人データ)。
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16.6.2 肝機能障害患者における薬物動態
肝機能障害の程度の異なる患者(Child‐Pugh scoresに基づく分類。軽度:Grade A(5~6ポイント)、中等度:Grade B(7~9ポイント)、重度:Grade C(10~15ポイント))に本剤0.4単位/kgを単回投与し、本剤の薬物動態を比較した。肝機能障害患者と健康成人の本剤の薬物動態プロファイルに違いは認められなかった(外国人データ)。
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16.6.3 小児における薬物動態
小児(8~11歳:平均年齢10.3歳)、青年期(12~17歳:平均年齢14.3歳)及び成人(18~57歳:平均年齢25.6歳)の1型糖尿病患者に本剤0.4単位/kgを単回投与した。成人で見られた本剤の薬物動態プロファイルの特性は小児及び青年期の患者においても認められた。総曝露量は成人患者より小児及び青年期患者において大きかった(外国人データ)。
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16.6.4 高齢者における薬物動態
若年(19~34歳:平均年齢27.1歳)及び高齢(65~78歳:平均年齢67.8歳)の1型糖尿病患者に本剤0.4単位/kgを1日1回6日間投与し、定常状態における本剤の薬物動態を評価した。本剤の平坦で安定した薬物動態プロファイルは高齢者においても認められ、若年者及び高齢者の薬物動態プロファイルに違いは認められなかった(外国人データ)。
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16.8 その他
16.8.1 1型糖尿病患者における薬力学的作用
1型糖尿病患者22例に本剤0.4単位/kgを6日間1日1回皮下投与し、24時間グルコースクランプ下において、血糖降下作用を検討した。
定常状態(1日1回6日間投与後)における本剤の24時間平均グルコース注入速度(グルコースクランプにおけるGIR)推移プロファイルから、本剤の血糖降下作用は一定であり、平坦で安定していることが示された。
1回の投与間隔(24時間)での本剤の血糖降下作用についても、投与開始後~12時間及び投与後12時間以降で同様であった(AUCGIR,0-12h,SSとAUCGIR,τ,SSの比は0.48)。
本剤の作用持続時間は長く、検討したすべての患者において26時間を超えていた。
26時間グルコースクランプ実施時のデータ
16.8.2 1型糖尿病患者における作用持続時間
1型糖尿病患者66例に本剤0.4、0.6及び0.8単位/kg(1用量22例)を1日1回8日間皮下投与し、本剤の作用持続時間を検討した(42時間グルコースクランプ)。
定常状態において、0.4単位/kgを投与した3例を除き、42時間のグルコースクランプ実施中にインスリンの追加注入が必要な血糖の上昇はみられず、本剤の作用持続時間は長く、42時間を超えていた(外国人データ)。
16.8.3 血糖降下作用の個体内変動
1型糖尿病患者に本剤(26例)又はインスリン グラルギン(27例)0.4単位/kgを1日1回12日間投与し、定常状態における血糖降下作用の日間の個体内変動を製剤間で比較検討した。血糖降下作用は、投与後6日、9日及び12日に評価した。
定常状態における本剤の血糖降下作用の日間の個体内変動係数(CV)はインスリン グラルギンの4分の1であった。1回の投与間隔における血糖降下作用(AUCGIR,τ,SS)のCV%は、本剤及びインスリン グラルギンでそれぞれ20%及び82%であった。また、投与後2~24時間における血糖降下作用(AUCGIR,2-24h,SS;クランプ開始時の静脈内注入インスリンの影響を受けない)のCV%は、本剤及びインスリン グラルギンでそれぞれ、22%及び92%であった(外国人データ)。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 1型糖尿病患者における試験:Basal‐Bolus療法(国際共同第III相試験)
Basal‐Bolus療法を実施中の1型糖尿病患者456例(本剤群:303例(日本人:124例)、インスリン デテミル群:153例(日本人:62例))を対象とし、26週間投与試験を実施した。本剤又はインスリン デテミルを1日1回夕方(夕食開始時から就寝前まで)に、インスリン アスパルト(Bolusインスリン)を各食直前に投与した。試験実施中、本剤及びインスリン デテミルの投与量は、平均朝食前血糖値(血糖自己測定)に基づいて継続的に調節した。インスリン デテミル群では、投与後8週以降、必要に応じて1日2回投与を可とした。
HbA1cを指標とした血糖コントロールについて、本剤のインスリン デテミルに対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。群差の推定値は-0.09%であった。空腹時血糖値(FPG)の低下量は本剤群で大きかった。
低血糖(血糖値が56mg/dL未満であった低血糖及び第三者による処置が必要な低血糖)の患者あたりの発現件数は、26週にわたって両群で同様であった。夜間低血糖(0:01から5:59に発現した低血糖)の患者あたりの発現件数は、最初の4週間は両群で同様であったが、それ以降の期間ではインスリン デテミル群と比較して本剤群で少なかった。夜間低血糖の患者あたりの年間発現件数はインスリン デテミル群と比較して本剤群で少なかった。
有害事象及びその他の安全性評価項目に群間で明らかな違いは認められなかった。
→図表を見る(PDF)
前記試験をさらに26週間延長して、長期安全性を検討した試験では、血糖コントロールが52週まで維持され、本剤投与後に予期しない安全性上の問題は認められなかった。
17.1.2 インスリン治療歴のない2型糖尿病患者における試験:本剤の1日1回投与と経口糖尿病薬との併用療法(アジア共同第III相試験)
インスリン治療歴のない2型糖尿病患者435例(本剤群:289例(日本人:89例)、インスリン グラルギン群:146例(日本人:44例))を対象とし、26週間投与試験を実施した。本剤又はインスリン グラルギンは、経口糖尿病薬(メトホルミン、スルホニルウレア薬、グリニド薬又はα‐グルコシダーゼ阻害薬)の併用下で1日1回投与した。試験実施中、本剤及びインスリン グラルギンの投与量は、平均朝食前血糖値(血糖自己測定)に基づいて継続的に調節した。
HbA1cを指標とした血糖コントロールについて、本剤のインスリン グラルギンに対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。群差の推定値は0.11%であった。FPGの低下量は両群で同様であった。維持期間(投与後16週以降と定義:インスリン投与量が安定し、安定した血糖コントロールが得られたと考えられる時点以降)における低血糖及び夜間低血糖(低血糖の定義は17.1.1と同様)の患者あたりの年間発現件数は、インスリン グラルギン群と比較して本剤群で少なく、低血糖及び夜間低血糖の発現件数の比(本剤/インスリン グラルギン)の推定値[95%信頼区間]は、それぞれ0.63[0.42;0.94]及び0.52[0.27;1.00]であった。有害事象及びその他の安全性評価項目に群間で明らかな違いは認められなかった。
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17.1.3 注射のタイミングの検討
(1)インスリンによる治療を受けている日本人2型糖尿病患者における試験(国内第III相試験)
経口血糖降下薬の併用又は非併用下で持効型インスリンによる治療を受けている2型糖尿病患者458例(本剤の注射時刻を変更可能な群(変更可能群):229例、本剤を固定時刻に注射する群(固定時刻群):229例)を対象とし、26週間投与試験を実施した。変更可能群では、毎日ほぼ同じ時刻に注射すべきであるが、必要な場合は、合意した注射時刻から±8時間の範囲で注射時刻を変更してもよいこととした。固定時刻群では、試験期間を通して本剤を毎日同じ時刻に注射することとした。
各投与群の全投与回数に対し、予定された注射時刻と実際の注射時刻の差が2時間以内であった割合は、変更可能群で87.3%、固定時刻群で97.0%、2~4時間以内の場合は、変更可能群で6.8%、固定時刻群で1.9%、4~8時間以内の場合は、変更可能群で5.4%、固定時刻群で1.0%であった。
HbA1cを指標とした血糖コントロールについて、本剤の注射時刻を変更可能とした投与の本剤の固定時刻での投与に対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。群差の推定値は0.08%であった。FPGの低下量は両群で同様であった。低血糖及び夜間低血糖(低血糖の定義は17.1.1と同様)の単位時間あたりの発現件数並びにそれらの発現した被験者の割合に、変更可能群と固定時刻群との間に明らかな違いは認められなかった。有害事象及びその他の安全性評価項目に群間で明らかな違いは認められなかった。
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(2)1型糖尿病及び2型糖尿病患者における試験(海外第III相試験)
1型糖尿病患者(Basal‐Bolus療法)及び2型糖尿病患者(経口糖尿病薬(メトホルミン、スルホニルウレア薬、グリニド薬又はピオグリタゾン)との併用療法)に本剤を1日1回夕食時に投与、又は注射時刻を曜日により変更して投与した(投与期間:26週間)。注射時刻を変更した場合では、月水金曜日には朝(前回投与から8~12時間後)、火木土曜日には夕方(前回投与から36~40時間後)、日曜日には夕方(前回投与から24時間後)に投与した。
両試験の結果、本剤の注射時刻を変更した場合においても、HbA1cを指標とした長期血糖コントロールは改善された(本剤を1日1回夕食時に投与した場合に対して非劣性)。また、注射時刻を変更した場合においても、夜間低血糖(低血糖の定義は17.1.1と同様)の発現に明らかな違いは認められなかった。
1型糖尿病患者
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2型糖尿病患者
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17.1.4 小児1型糖尿病患者における試験:Basal‐Bolus療法(国際共同第III相試験)
小児(1~18歳未満)1型糖尿病患者350例(本剤群:174例(日本:23例)、インスリン デテミル群:176例(日本:32例))を対象とし、26週間投与試験を実施した。前治療のインスリン療法からインスリン アスパルト(Bolusインスリン)と本剤又はインスリン デテミルを用いたBasal‐Bolus療法に、BasalインスリンとBolusインスリンの比が30:70から50:50の間になるように切り替えた。本剤は1日1回一定の時刻に、インスリン デテミルは承認されている用法・用量に従って1日1回又は2回投与した。インスリン デテミル群では1日1回投与から1日2回投与への変更を可とした。インスリン アスパルトは各食直前に投与した。試験実施中、本剤及びインスリン デテミルの投与量は、3日間の朝食前血糖値(血糖自己測定)の最低値に基づいて継続的に調節した。
投与後26週のHbA1cを指標とした血糖コントロールについて、本剤のインスリン デテミルに対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。群差の推定値は0.15%であった。26週の投与期間中の空腹時血糖値(FPG)は、本剤群では低下し、インスリン デテミル群では上昇した。低血糖注1)及び夜間低血糖(23:00から7:00に発現した低血糖)の患者あたりの年間発現件数は両群で同様であった。重大な低血糖(国際小児・思春期糖尿病学会(ISPAD)2009の定義による)の患者あたりの発現件数は、最初の4週ではインスリン デテミル群と比較して本剤群で多い傾向がみられた。ケトーシス(1.5mmol/L超)を伴う高血糖(250mg/dL超)はインスリン デテミル群と比較して本剤群で少なく、患者あたりの年間発現件数の比(本剤/インスリン デテミル)は0.36(95%信頼区間[0.17;0.76])であった。有害事象及びその他の安全性評価項目について、本剤群で安全性上の問題は認められなかった。抗体発現はわずかにみられたが、臨床的な影響はなかった。
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注1)血糖値が56mg/dL未満であった低血糖及び重大な低血糖(ISPADの定義による;小児に異常な精神状態がみられて自身による処置が不可能であった場合、又は半意識状態あるいは無意識状態又は痙攣の有無に関わらず昏睡状態であり、注射による処置を必要とする場合)と定義した。
前記試験をさらに26週間延長して、長期安全性を検討した。延長期間においても本剤群のHbA1cの低下は維持された。投与後52週のHbA1cの低下量は両群で同様であり、群差の推定値は-0.01%(95%信頼区間[-0.20;0.19])であった。
延長期間中、本剤投与後に予期しない安全性上の問題は認められなかった。
本剤群の試験開始前及び試験期間中のインスリン投与量は次のとおりであった。
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18.1 作用機序
インスリン デグルデクは、製剤中では可溶性のダイへキサマーとして存在するが、投与後、皮下組織において会合して、可溶性で安定なマルチヘキサマーを形成し、一時的に注射部皮下組織にとどまる。インスリン デグルデクモノマーはマルチへキサマーから徐々に解離するため、投与部位から緩徐にかつ持続的に血中に吸収され、長い作用持続時間をもたらす。さらに、皮下注射部位及び血中で脂肪酸側鎖を介してアルブミンと結合し、作用の持続化に寄与する。
本剤の主な薬理作用は、グルコース代謝の調節である。本剤を含むインスリン製剤は、インスリンレセプターに結合し、特異的な作用を発現する。インスリンレセプターに結合したインスリンは、骨格筋及び脂肪細胞における糖の取り込みを促進し、また肝臓におけるグルコース産生を阻害することによって血糖値を降下させる。さらに、脂肪細胞における脂肪分解及び蛋白質分解を阻害し、蛋白質合成を促進する。[16.1参照]
- 製造販売会社
- ノボ ノルディスク ファーマ
- 販売会社
おくすりのQ&A
自費で接種された、風疹ワクチンが申請により
補助が受けれることになり、母子手帳記載以外に、予診票の控えがいるとのこと
保管中の予診票の控えを渡したら...
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