ゼップバウンド皮下注5mgアテオス

添付文書情報2024年12月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[インスリン製剤による速やかな治療が必須となるので、本剤を投与すべきでない]。
2.3. 2型糖尿病を有する重症感染症、2型糖尿病を有する手術等の2型糖尿病を有する緊急患者の場合[インスリン製剤による血糖管理が望まれるので、本剤の投与は適さない]。
- 効能・効果
- 肥満症:ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、次に該当する場合に限る(BMIが27kg/㎡以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する、BMIが35kg/㎡以上)。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤の適用にあたっては、あらかじめ肥満症治療の基本である食事療法・運動療法を行っても、十分な効果が得られない場合で、薬物治療の対象として適切と判断された患者のみを対象とすること。肥満に関連する健康障害は、臨床試験に組み入れられた患者背景を参考に判断すること〔17.1.1参照〕。
- 用法・用量
- 通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgから開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回10mgを皮下注射する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量できる。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の用量調節に際しては、次の点に留意すること。
・ 胃腸障害等の発現により忍容性が得られない患者では減量又は漸増の延期を考慮すること。
・ 患者の体重減少の程度や本剤に対する忍容性に応じて、週1回5mgで治療を継続することも考慮すること〔17.1.2参照〕。
7.2. 本剤は週1回投与する薬剤であり、同一曜日に投与させること。
7.3. 投与を忘れた場合は、次回投与までの期間が3日間(72時間)以上であれば気づいた時点で直ちに投与しその後はあらかじめ定めた曜日に投与、3日間(72時間)未満であれば投与せず次のあらかじめ定めた曜日に投与すること。なお、週1回投与の曜日を変更する必要がある場合は、前回投与から少なくとも3日間(72時間)以上間隔を空けること。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 本剤投与中は食事療法・運動療法を継続すること。定期的に体重、血糖、血圧、脂質等を確認し、本剤を3~4ヵ月間投与しても改善傾向が認められない場合には、本剤の投与を中止すること。本剤を3~4ヵ月間投与して改善傾向が認められた場合、その後も定期的に体重、血糖、血圧、脂質等を確認して患者の状態を十分に観察し、効果が不十分な場合には本剤の投与中止を検討すること。
8.2. 本剤は持続性製剤であり、本剤中止後も効果が持続する可能性があるため、血糖値の変動や副作用予防、副作用発現時の処置について十分留意すること〔16.1参照〕。
8.3. 急性膵炎が発現することがあるので、急性膵炎の初期症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)があらわれた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けるよう指導すること〔9.1.2、11.1.2参照〕。
8.4. 胃腸障害が発現した場合、急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、慎重に対応すること〔9.1.2、11.1.2参照〕。
8.5. 下痢、嘔吐から脱水を続発し、急性腎障害に至るおそれがあるので、患者の状態に注意すること。
8.6. 本剤投与中は、甲状腺関連の症候の有無を確認し、甲状腺関連の異常が認められた場合には、専門医を受診するよう指導すること〔15.2参照〕。
8.7. 胆石症、胆嚢炎、胆管炎又は胆汁うっ滞性黄疸が発現するおそれがあるので、腹痛等の腹部症状がみられた場合には、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、適切に対応すること〔11.1.3参照〕。
8.8. 血圧低下がみられた場合には患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
8.9. 本剤の自己注射にあたっては、患者に十分な教育訓練を実施した後、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもと実施すること。また、本剤の自己注射にあたっては、器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。本剤の自己注射にあたっては、添付されている取扱説明書を必ず読むよう指導すること。
8.10. 本剤は血糖降下作用を有するが、インスリンの代替薬ではないため、2型糖尿病を有する患者に対する本剤の投与に際しては、患者のインスリン依存状態を確認し、投与の可否を判断すること(インスリン依存状態の患者で、インスリンからGLP-1受容体作動薬に切り替え、急激な高血糖及び糖尿病性ケトアシドーシスが発現した症例が報告されている)。
8.11. 本剤の使用にあたっては、患者に対し、低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること〔9.1.3、11.1.1参照〕。
8.12. 低血糖を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること〔11.1.1参照〕。
8.13. 急激な血糖コントロールの改善に伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は糖尿病網膜症増悪があらわれることがあるので、注意すること〔9.1.4参照〕。
8.14. 本剤はチルゼパチドを含有しているため、マンジャロ等他のチルゼパチド含有製剤あるいはその他のGLP-1受容体作動薬等のGLP-1受容体に対するアゴニスト作用を有する薬剤と併用しないこと。
8.15. 本剤とDPP-4阻害剤はいずれもGLP-1受容体及びGIP受容体を介した血糖降下作用を有しており、2型糖尿病を有する患者において本剤とDPP-4阻害剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。
9.1.1. 重症胃不全麻痺等の重度胃腸障害のある患者:胃腸障害の症状が悪化するおそれがある。
9.1.2. 膵炎の既往歴のある患者〔8.3、8.4、11.1.2参照〕。
9.1.3. 低血糖を起こすおそれがある次の患者又は状態。
・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全。
・ 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態。
・ 激しい筋肉運動。
・ 過度のアルコール摂取。
〔8.11、11.1.1参照〕。
9.1.4. 増殖糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、急性期治療を要する非増殖糖尿病網膜症を合併する患者又はこれらの既往歴のある患者〔8.13参照〕。
妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). 糖尿病用薬(ビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害剤、インスリン製剤、SGLT2阻害剤等)〔11.1.1参照〕[低血糖の発現に注意すること(血糖降下作用が増強される)。特にスルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるので、これらの薬剤と併用する場合、低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤の減量を検討すること(血糖降下作用が増強される)]。
2). 経口避妊薬〔16.7参照〕[特に投与開始初期又は漸増後初期では併用する経口避妊薬の効果を減弱させるおそれがある(本剤の胃内容物排出遅延作用による)]。
3). クマリン系薬剤<経口>(ワルファリンカリウム<経口>)[GLP-1受容体作動薬との併用によりワルファリンのtmaxが遅延したとの報告があり、エキセナチドで出血を伴うINR増加が報告されている(本剤の胃内容物排出遅延作用による)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 低血糖(頻度不明):低血糖症状(脱力感、高度空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常等)があらわれることがある。また、2型糖尿病患者においてインスリン製剤との併用又はスルホニルウレア剤との併用時に重篤な低血糖症状があらわれ意識消失を来す例も報告されている。
低血糖症状が認められた場合は、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。
ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用時に低血糖症状が認められた場合は、ブドウ糖を投与すること〔8.11、8.12、9.1.3、10.2、17.1.1-17.1.3参照〕。
11.1.2. 急性膵炎(0.1%未満):嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等の異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、膵炎と診断された場合は、再投与は行わないこと〔8.3、8.4、9.1.2参照〕。
11.1.3. 胆嚢炎(頻度不明)、胆管炎(0.1%未満)、胆汁うっ滞性黄疸(頻度不明)〔8.7参照〕。
11.1.4. アナフィラキシー、血管性浮腫(いずれも頻度不明)。
- 11.2. その他の副作用
1). 循環器:(1%未満)心拍数増加[心拍数の増加が持続的にみられた場合には患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと]、低血圧、血圧低下。
2). 消化器:(5%以上)悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退、(1~5%未満)腹部膨満、胃食道逆流性疾患、おくび、鼓腸。
3). 肝胆道:(1%未満)胆石症。
4). 眼:(1%未満)糖尿病網膜症。
5). 注射部位:(5%以上)注射部位反応(紅斑、そう痒感、疼痛、腫脹等)。
6). 免疫系:(1%未満)過敏症(湿疹、発疹、そう痒性皮疹等)。
7). 精神神経系:(1%未満)味覚不全、異常感覚。
8). 臨床検査:(1%未満)膵アミラーゼ増加、リパーゼ増加、体重減少。
9). その他:(1~5%未満)疲労、浮動性めまい、脱毛症。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多いので、投与に際しては、臨床試験に組み入れられた患者背景を参考にすること)〔17.1.1参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与しないこと(生殖発生毒性試験において、妊娠ラットに本剤を投与した場合、臨床最大用量でヒトに投与したときの本剤の曝露量を下回る用量(臨床最大用量でのCmax比較において0.64倍、AUC比較において0.22倍)で、胎仔毒性(胎仔骨格奇形、胎仔内臓奇形等)が認められ、これらの所見は母動物摂餌量低値及び母動物体重低値を伴うものであった)〔9.4生殖能を有する者の項参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤のヒト乳汁中への移行は不明である)。
- 小児等
- 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与前の注意注入器の破損又は異常がないこと、薬液の変色や浮遊物がないことを確認すること。
14.2. 薬剤投与時の注意皮下注射は腹部・大腿部又は上腕部に行う。同じ部位の中で注射する場合、毎回注射する場所を変更すること。静脈内及び筋肉内に投与しないこと。
20.1. 凍結を避け、2~8℃で遮光保存すること。凍結した場合は、使用しないこと。
20.2. 室温で保存する場合は、30℃を超えない場所で外箱から出さずに保存し、21日以内に使用すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報国内外の第3相試験5試験(3704例)において、抗薬物抗体が評価可能な3596例のうち、抗チルゼパチド抗体が65.5%(2357例)に発現した。また、交差抗体及び中和抗体が評価可能な3573例のうち、内因性GIPに対する交差抗体又は内因性GLP-1に対する交差抗体はそれぞれ42.8%(1531例)及び18.7%(668例)に、内因性GIPに対する中和抗体又は内因性GLP-1に対する中和抗体はそれぞれ0.8%(28例)及び0.1%(3例)に、チルゼパチドのGIP受容体又はGLP-1受容体の活性化に対する中和抗体はそれぞれ2.4%(85例)及び2.2%(78例)に発現した。
15.2. 非臨床試験に基づく情報雌雄ラットを用いた2年間がん原性試験において、本剤を0.15、0.50及び1.5mg/kgの用量(それぞれ臨床最大用量をヒトに皮下投与した際のAUCの0.11、0.31及び0.88倍のAUCをもたらす用量)で週2回皮下投与したところ、対照群と比較して、甲状腺C細胞腫瘍(甲状腺C細胞腺腫及び甲状腺C細胞癌)の発生頻度の増加がすべての用量でみられた。rasH2トランスジェニックマウスを用いた6ヵ月間がん原性試験において、本剤を1、3及び10mg/kgの用量で週2回皮下投与したところ、甲状腺C細胞の過形成あるいは腫瘍の発生頻度に増加は認められなかった。甲状腺髄様癌の既往のある患者及び甲状腺髄様癌又は多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴のある患者に対する本剤の安全性は確立していない〔8.6参照〕。
16.1 血中濃度
日本人2型糖尿病患者29例に本剤5mg、10mg又は15mgを週1回皮下投与(いずれの用量においても週1回2.5mgで投与を開始し、以後4週間ごとに2.5mgずつ増量)したとき、32週目投与後の薬物動態を評価した。本剤32週目投与後のtmaxの中央値は約24時間、半減期(t1/2)は約5~6日であり、Cmax及びAUC(0-168hr)の幾何平均値は概ね用量比例的に増加した。[8.2参照]
薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移を次に示す。
表1)血漿中チルゼパチドの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
図1)日本人2型糖尿病患者の血漿中チルゼパチド濃度(算術平均値+標準偏差)
第III相国内試験(I8F‐JE‐GPHZ試験)より得られた149例を対象とした母集団薬物動態解析の結果、日本人肥満症患者の定常状態での薬物動態パラメータの推定値は表2のとおりであった。
表2)血漿中チルゼパチドの薬物動態パラメータの推定値
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16.2 吸収
健康成人54例に3つの異なる投与部位(腹部、上腕部及び大腿部)に本剤5mgを単回皮下投与したとき、腹部投与に対する上腕部及び大腿部投与でのAUC(0-∞)の最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、0.99[0.97、1.01]及び0.95[0.94、0.97]であった(外国人データ)。健康成人20例に本剤5mgを単回皮下投与したときの絶対的バイオアベイラビリティの推定値は80%であった(外国人データ)。
16.3 分布
本剤は主に血漿アルブミンと強く結合(結合率:99.06%)する。
16.4 代謝
本剤の代謝経路は、一般的なタンパク質の異化経路によるペプチド骨格の分解、C20脂肪酸部分のβ酸化及びアミド加水分解である。
16.5 排泄
本剤は代謝され主に尿中及び糞便中に排泄される。未変化体は尿中及び糞便中には認められなかった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能正常被験者(eGFR≧90mL/min/1.73m2)14例、軽度腎機能障害患者(eGFR:60~89mL/min/1.73m2)8例、中等度腎機能障害患者(eGFR:30~59mL/min/1.73m2)8例、重度腎機能障害患者(eGFR<30mL/min/1.73m2)7例及び末期腎疾患患者(3ヵ月以上血液透析を受けている)8例に本剤5mgを単回皮下投与した試験において、腎機能正常被験者に対する軽度、中等度、重度腎機能障害患者及び末期腎疾患患者の本剤のAUC(0-∞)の最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ1.05[0.86、1.27]、1.29[1.07、1.56]、1.03[0.84、1.27]及び1.16[0.96、1.40]であった。また、Cmaxの最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ1.04[0.84、1.30]、1.09[0.87、1.36]、1.23[0.97、1.56]及び1.02[0.82、1.27]であった(外国人データ)。
16.6.2 肝機能障害患者
肝機能正常被験者13例、軽度肝機能障害患者(Child‐Pugh分類A)6例、中等度肝機能障害患者(Child‐Pugh分類B)6例、重度肝機能障害患者(Child‐Pugh分類C)7例に本剤5mgを単回皮下投与した試験において、肝機能正常被験者に対する軽度、中等度及び重度肝機能障害患者の本剤のAUC(0-∞)の最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ1.08[0.88、1.32]、0.96[0.79、1.17]及び0.85[0.70、1.04]であった。また、Cmaxの最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ0.92[0.73、1.16]、1.00[0.80、1.25]及び0.97[0.78、1.21]であった(外国人データ)。
16.6.3 高齢者
第III相国際共同試験(I8F‐MC‐GPHK試験)より得られた1864例(65歳以上:114例、65歳未満:1750例)を対象とした母集団薬物動態解析の結果、年齢はチルゼパチドの見かけのクリアランス及び見かけの分布容積の有意な共変量ではなかった。
16.7 薬物相互作用
本剤と経口避妊薬又はアセトアミノフェンを併用した薬物相互作用試験の結果を表3に示す(外国人データ)。[10.2参照]
表3)本剤と経口避妊薬又はアセトアミノフェンを併用した薬物相互作用試験の結果
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17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 プラセボ対照二重盲検比較試験(第III相国内試験:I8F‐JE‐GPHZ試験)
BMIが27kg/m2以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害注1)を有する又はBMIが35kg/m2以上で1つ以上の肥満に関連する健康障害注1)を有する肥満症患者225例注2)、注3)を対象に、二重盲検下で本剤10mg、15mg又はプラセボを週1回、72週間皮下投与した(本剤10mg群:73例、本剤15mg群:77例、プラセボ群:75例)。なお、糖尿病患者は除外された。本剤は、いずれの用量においても週1回2.5mgで投与を開始し、以後4週間ごとに2.5mgずつ増量した。試験期間中、被験者は食事のカロリー制限及び身体活動の増加を併せて行った。
注1)組み入れ基準では、耐糖能異常(空腹時血糖110~125mg/dL又は75g経口ブドウ糖負荷試験の血糖2時間値140~199mg/dL)、高トリグリセリド血症(空腹時トリグリセリド150mg/dL以上)又は非アルコール性脂肪性肝疾患(肝臓脂肪含有率5%以上)とした。
注2)組み入れられた被験者において、肥満症診療ガイドラインで定義された肥満症の診断に必須の11の疾患を有する症例の割合は次のとおりであった。(1)耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常等):65.8%(耐糖能異常のみ)、(2)脂質異常症:89.3%、(3)高血圧:53.3%、(4)高尿酸血症・痛風:35.6%、(5)冠動脈疾患:2.2%、(6)脳梗塞:0%、(7)非アルコール性脂肪性肝疾患:98.2%、(8)月経異常・不妊:2.2%、(9)閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群:8.9%、(10)運動器疾患:8.0%、(11)肥満関連腎臓病:4.0%
注3)組み入れられた被験者において、65歳以上の症例の割合はプラセボ群で13.3%(10/75例)、本剤10mg群で6.8%(5/73例)、本剤15mg群で9.1%(7/77例)であり、75歳以上の症例の割合は本剤10mg群で1.4%(1/73例)であった。
主要評価項目(co‐primary endpoints)であるベースラインから投与72週時までの体重変化率及び投与72週時に5%以上の体重減少を達成した被験者の割合のいずれについても、本剤10mg及び本剤15mgのプラセボに対する優越性が検証された(p<0.001)。
表1)ベースラインから投与72週時までの体重変化率及び投与72週時に5%以上の体重減少を達成した被験者の割合
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主な副次評価項目の結果を次表に示す。
表2)投与72週時に10%、15%又は20%以上の体重減少を達成した被験者の割合
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表3)血糖、血圧及び脂質パラメータに関する評価項目
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副作用発現割合は、本剤10mg群で56.2%(41/73例)、本剤15mg群で63.6%(49/77例)及びプラセボ群で10.7%(8/75例)であった。主な副作用は本剤10mg群では悪心13.7%(10/73例)、便秘13.7%(10/73例)及び食欲減退12.3%(9/73例)、本剤15mg群では便秘23.4%(18/77例)及び悪心22.1%(17/77例)であった。なお、プラセボ群における便秘、食欲減退及び悪心の発現割合は、それぞれ2.7%(2/75例)、1.3%(1/75例)及び0%(0/75例)であった。
血糖値54mg/dL未満の低血糖は、本剤10mg群で5.5%(4/73例)、本剤15mg群で9.1%(7/77例)及びプラセボ群で1.3%(1/75例)認められ、重症低血糖は認められなかった。[5.、9.8、11.1.1参照]
17.1.2 プラセボ対照二重盲検比較試験(第III相国際共同試験:I8F‐MC‐GPHK試験)
BMIが27kg/m2以上で高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群若しくは心血管疾患のいずれかを有する被験者又はBMIが30kg/m2以上の被験者2517例を対象に、二重盲検下で本剤5mg、10mg、15mg又はプラセボを週1回、72週間皮下投与した(本剤5mg群:624例(日本人:24例)、本剤10mg群:628例(日本人:22例)、本剤15mg群:628例(日本人:29例)、プラセボ群:637例(日本人:27例))。なお、糖尿病患者は除外された。本剤は、いずれの用量においても週1回2.5mgで投与を開始し、以後4週間ごとに2.5mgずつ増量した。試験期間中、被験者は食事のカロリー制限及び身体活動の増加を併せて行った。
主要評価項目(co‐primary endpoints)であるベースラインから投与72週時までの体重変化率及び投与72週時に5%以上の体重減少を達成した被験者の割合のいずれについても、本剤10mg及び本剤15mgのプラセボに対する優越性が検証された(p<0.001)。
表4)ベースラインから投与72週時までの体重変化率及び投与72週時に5%以上の体重減少を達成した被験者の割合
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主な副次評価項目の結果を次表に示す。
表5)投与72週時に10%、15%、20%又は25%以上の体重減少を達成した被験者の割合
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表6)血糖、血圧及び脂質パラメータに関する評価項目
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副作用発現割合は、本剤5mg群で55.6%(347/624例)、本剤10mg群で62.3%(391/628例)、本剤15mg群で61.1%(384/628例)及びプラセボ群で30.5%(194/637例)であった。主な副作用は本剤5mg群では悪心21.0%(131/624例)、下痢15.4%(96/624例)及び便秘13.5%(84/624例)、本剤10mg群では悪心30.7%(193/628例)、下痢17.8%(112/628例)、便秘14.0%(88/628例)、食欲減退11.0%(69/628例)及び嘔吐10.0%(63/628例)、本剤15mg群では悪心28.5%(179/628例)、下痢19.1%(120/628例)、嘔吐10.7%(67/628例)及び便秘10.0%(63/628例)であった。なお、プラセボ群における悪心、下痢、便秘、食欲減退及び嘔吐の発現割合は、それぞれ8.0%(51/637例)、5.7%(36/637例)、4.1%(26/637例)、3.0%(19/637例)及び0.8%(5/637例)であった。
血糖値54mg/dL未満の低血糖(重症低血糖を含む)は、本剤5mg群で1.4%(9/624例)、本剤10mgで1.6%(10/628例)、本剤15mg群で1.6%(10/628例)及びプラセボ群で0.2%(1/637例)認められ、そのうち重症低血糖は本剤5mg群の1例で認められた。[7.1、11.1.1参照]
17.1.3 プラセボ対照二重盲検比較試験(第III相国際共同試験:I8F‐MC‐GPHL試験)
2型糖尿病を有するBMIが27.0kg/m2以上の被験者912例を対象に、二重盲検下で本剤10mg、15mg又はプラセボを週1回、72週間皮下投与した(本剤10mg群:302例(日本人:14例)、本剤15mg群:303例(日本人:14例)、プラセボ群:307例(日本人:13例))。本剤は、いずれの用量においても週1回2.5mgで投与を開始し、以後4週間ごとに2.5mgずつ増量した。試験期間中、被験者は食事のカロリー制限及び身体活動の増加を併せて行った。
主要評価項目(co‐primary endpoints)であるベースラインから投与72週時までの体重変化率及び投与72週時に5%以上の体重減少を達成した被験者の割合のいずれについても、本剤10mg及び本剤15mgのプラセボに対する優越性が検証された(p<0.001)。
表7)ベースラインから投与72週時までの体重変化率及び投与72週時に5%以上の体重減少を達成した被験者の割合
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主な副次評価項目の結果を次表に示す。
表8)投与72週時に10%、15%、20%又は25%以上の体重減少を達成した被験者の割合
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表9)血糖、血圧及び脂質パラメータに関する評価項目
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副作用発現割合は、本剤10mg群で48.7%(147/302例)、本剤15mg群で47.2%(143/303例)及びプラセボ群で27.0%(83/307例)であった。主な副作用は本剤10mg群では悪心17.5%(53/302例)及び下痢14.9%(45/302例)、本剤15mg群では悪心19.5%(59/303例)、下痢17.2%(52/303例)及び嘔吐11.2%(34/303例)であった。なお、プラセボ群における下痢、悪心及び嘔吐の発現割合は、それぞれ6.8%(21/307例)、5.2%(16/307例)及び2.6%(8/307例)であった。
血糖値54mg/dL未満の低血糖は、本剤10mg群で3.6%(11/302例)、本剤15mgで5.0%(15/303例)及びプラセボ群で1.3%(4/307例)認められ、重症低血糖は認められなかった。[11.1.1参照]
18.1 作用機序
本剤はGIP受容体及びGLP‐1受容体のアゴニストである。本剤は中枢神経系においてGIP受容体及びGLP‐1受容体に作用することにより食欲を調節し、また、脂肪細胞のGIP受容体に作用することにより脂質等の代謝を亢進させることで、体重減少作用を示すと考えられる。
本剤はC20脂肪酸側鎖を含む39個のアミノ酸からなるペプチドであり、内因性アルブミンと結合して消失半減期が延長することにより作用が持続する。
18.2 薬理作用
18.2.1 GIP受容体及びGLP‐1受容体アゴニスト活性
本剤は、in vitro試験において、GIP受容体及びGLP‐1受容体に結合して活性化し、いずれの受容体に対しても細胞内cAMPを増加させるアゴニスト活性を示した。
18.2.2 体重減少作用
食餌誘発性肥満マウスに本剤を反復投与した結果、溶媒群と比較して体重が低値を示した。
BMIが27kg/m2以上の被験者に対して、本剤5mg、10mg又は15mgを週1回72週間投与した結果、プラセボ群と比較して本剤群で体重減少の程度が大きく、脂肪量の減少が除脂肪体重の減少よりも大きかった。
18.2.3 食欲の調節
食餌誘発性肥満マウスに本剤を反復投与した結果、溶媒群と比較して摂餌量が低値を示した。また、本剤は、マウスの高脂肪食への嗜好性を低下させ、総摂取カロリーを減少させた。
18.2.4 脂肪代謝の調節
ヒト脂肪細胞を用いたin vitro試験において、本剤は、リポタンパクリパーゼ活性を上昇させ、脂肪酸の細胞内への取り込み及び脂肪分解を促進した。また、食餌誘発性肥満マウスに対して食餌制限後に本剤を投与した結果、エネルギー消費量及び脂肪消費量が溶媒群と比較して大きかった。
- 製造販売会社
- 日本イーライリリー
- 販売会社
- 田辺三菱製薬
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保管中の予診票の控えを渡したら...
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