リトドリン塩酸塩錠5mg「YD」
添付文書情報2024年01月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 強度の子宮出血、子癇、前期破水例のうち子宮内感染を合併する症例、常位胎盤早期剥離、子宮内胎児死亡、その他妊娠の継続が危険と判断される患者[妊娠継続が危険と判断される]。
2.2. 重篤な甲状腺機能亢進症の患者[症状が増悪するおそれがある]。
2.3. 重篤な高血圧症の患者[過度の昇圧が起こるおそれがある]。
2.4. 重篤な心疾患の患者[心拍数増加等により症状が増悪するおそれがある]。
2.5. 重篤な糖尿病の患者[過度の血糖上昇が起こるおそれがあり、また、糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることもある]〔8.1、11.1.4参照〕。
2.6. 重篤な肺高血圧症の患者[肺水腫が起こるおそれがある]。
2.7. 妊娠16週未満の妊婦〔9.5.1参照〕。
2.8. 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 切迫流産・切迫早産。
- 用法・用量
- 通常、1回1錠(リトドリン塩酸塩として5mg)を1日3回食後経口投与する。なお、症状により適宜増減する。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 本剤投与中、血糖値の急激な上昇や糖尿病悪化から、糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることがあるので、投与前から口渇、多飲、多尿、頻尿等の糖尿病症状の有無の観察や投与前から血糖値、尿糖、尿ケトン体等の観察を十分に行うこと〔2.5、9.1.4、11.1.4参照〕。
8.2. 1日用量30mgを越えて投与する場合、副作用発現の可能性が増大するので注意すること。
8.3. 切迫流産患者にはあらかじめ安静療法を試みた後に本剤を投与するとともに、切迫流産で症状の消失がみられた場合は漫然と継続投与しないこと。
9.1.1. 甲状腺機能亢進症<重篤な甲状腺機能亢進症を除く>の患者:症状が増悪するおそれがある。
9.1.2. 高血圧症<重篤な高血圧症を除く>の患者:過度の昇圧が起こるおそれがある。
9.1.3. 心疾患<重篤な心疾患を除く>の患者:心拍数増加等により症状が増悪するおそれがある。
9.1.4. 糖尿病<重篤な糖尿病を除く>の患者、糖尿病の家族歴、高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者:過度の血糖上昇があらわれることがあり、また、糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることもある〔8.1、11.1.4参照〕。
9.1.5. 肺高血圧症<重篤な肺高血圧症を除く>の患者:肺水腫が起こるおそれがある。
9.1.6. 筋緊張性ジストロフィー(強直性ジストロフィー)等の筋疾患又はその既往歴のある患者:横紋筋融解症があらわれることがある〔11.1.1参照〕。
9.1.7. 本剤の成分に対し過敏症<重篤な過敏症を除く>の既往歴のある患者。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). β刺激剤[作用が増強されることがある(相加的に作用が増強される)]。
2). β遮断剤[作用が減弱されることがある(β受容体において競合的に拮抗する)]。
3). カリウム減少性利尿剤〔11.1.3参照〕[過度の血清カリウム低下が起こるおそれがある(相加的にカリウム低下が増強される)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある〔9.1.6参照〕。
11.1.2. 汎血球減少(頻度不明)。
11.1.3. 血清カリウム値低下(頻度不明)〔10.2参照〕。
11.1.4. 高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス(頻度不明):血糖値の急激な上昇や糖尿病悪化から、糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることがあり、糖尿病性ケトアシドーシスに至ると母体と胎児の生命を脅かすことがある〔2.5、8.1、9.1.4参照〕。
11.1.5. 新生児腸閉塞(頻度不明)。
- 11.2. その他の副作用
1). 循環器:(5%以上)動悸・頻脈、(0.1~5%未満)顔面潮紅、(頻度不明)不整脈(心室性期外収縮等)。
2). 肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇等。
3). 血液:(頻度不明)血小板減少。
4). 精神神経系:(0.1~5%未満)ふらつき、(頻度不明)振戦、しびれ。
5). 消化器:(0.1~5%未満)嘔気、(頻度不明)腹痛。
6). 過敏症:(頻度不明)発疹、紅斑。
7). その他:(頻度不明)唾液腺腫脹、高アミラーゼ血症(唾液腺型アミラーゼ増加)。
8). 胎児・新生児:(頻度不明)胎児頻脈、胎児不整脈、新生児頻脈、新生児低血糖症。
- 授乳婦
- 9.5.1. 妊娠16週未満の妊婦:投与しないこと(本剤の臨床適用は切迫流・早産であるが、妊娠16週未満の症例に関する安全性及び有効性は確立していない)、臨床試験において妊娠16週未満の症例数は少ない〔2.7参照〕。
出産直前に本剤を投与した場合には、母乳栄養の有益性を考慮し、出産直後の授乳を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている)。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
外箱開封後は遮光して保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報本薬の注射剤において、肺水腫、心不全、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少、ショック、不整脈、肝機能障害、黄疸、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、胸水、母体腸閉塞、胎児心不全及び新生児心不全、可逆的な新生児心室中隔壁肥大、新生児低血糖、新生児高カリウム血症があらわれたとの報告がある。
16.1 血中濃度
健常成人に10mgを単回経口投与したとき注)、速やかに吸収され、1時間後に最高血中濃度に達し、以後血中濃度は消失半減期0.2時間(α相)、1.4時間(β相)で速やかに低下する。AUCは29.9(ng・hr/mL)である。
16.5 排泄
健常成人に10mgを単回経口投与したとき注)、投与後48時間までに投与量の86%が尿中に排泄されるが、12時間以内にその大部分が排泄される。
注)本剤の承認されている用法及び用量は「通常、1回1錠(リトドリン塩酸塩として5mg)を1日3回食後経口投与する。なお、症状により適宜増減する。」である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈切迫早産〉
17.1.1 国内第III相二重盲検比較試験
切迫早産患者291例(リトドリン塩酸塩群98例、酢酸メドロキシプロゲステロン群98例、プラセボ群95例)を対象とし、リトドリン塩酸塩1日15mgを2週間経口投与した。その結果、有用以上の有用率は、リトドリン塩酸塩群65.9%(60/91)、プラセボ群31.0%(27/87)であり、リトドリン塩酸塩はプラセボに比して有意に優ることが確認された。副作用発現割合は、リトドリン塩酸塩群で11.2%(11/98例)であった。主な副作用は、心悸亢進であった。
〈切迫流産〉
17.1.2 国内二重盲検比較試験
切迫流産患者244例(リトドリン塩酸塩群122例、ピペリドレート塩酸塩群122例)を対象とし、リトドリン塩酸塩1日15mgを7日間経口投与した。その結果、有用以上の有用率は、リトドリン塩酸塩群で66%であった。副作用発現割合は、リトドリン塩酸塩群で5.7%(7/122例)であった。主な副作用は、心悸亢進であった。
18.1 作用機序
薬理学的な分析より、リトドリン塩酸塩はβ受容体に対する選択的な刺激効果に基づきc‐AMP含量を増加させ、Ca++の貯蔵部位への取り込みを促進して子宮運動抑制をきたすと考えられるとともに、膜の過分極、膜抵抗減少及びスパイク電位発生抑制をきたし、子宮収縮抑制作用を発揮する(in vitro)。
18.2 生体位子宮運動抑制作用
妊娠後期のラット、ウサギ、ヒツジ及びアカゲザルの自発性子宮運動ならびにPGF2α、オキシトシンなどの薬物誘発子宮運動亢進反応をリトドリン塩酸塩は用量依存的に抑制した。
18.3 摘出子宮運動抑制作用
妊娠ラット摘出子宮筋の自発運動ならびにアセチルコリン、オキシトシン、PGF2α、KCl及び電気刺激による誘発子宮収縮をリトドリン塩酸塩は濃度依存的に著明に抑制した(in vitro)。
18.4 子宮筋への選択性
ラット摘出妊娠子宮筋及びモルモット摘出右心房標本を用いた実験で、リトドリン塩酸塩はイソプレナリン塩酸塩、イソクスプリン塩酸塩に比し優れた子宮筋への選択性を示した(in vitro)。
- 一包可:不可
- 分割:不可
- 粉砕:不明
- 製造販売会社
- 陽進堂
- 販売会社
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