モメタゾンフランカルボン酸エステル軟膏0.1%「MYK」
添付文書情報2024年06月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 2.1. 細菌皮膚感染症・真菌皮膚感染症・スピロヘータ皮膚感染症・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)[これらの疾患が増悪するおそれがある]。
2.2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.3. 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒の遅延及び感染のおそれがある]。
2.4. 潰瘍<ベーチェット病は除く>、第2度深在性以上の熱傷・第2度深在性以上の凍傷[皮膚の再生が抑制され、治癒が遅延するおそれがある]。
- 効能・効果
- 湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症を含む)、乾癬、掌蹠膿疱症、紅皮症、薬疹・中毒疹、虫さされ、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹を含む)、多形滲出性紅斑、慢性円板状エリテマトーデス、扁平紅色苔癬、ジベル薔薇色粃糠疹、シャンバーグ病、肥厚性瘢痕・ケロイド、天疱瘡群、類天疱瘡、円形脱毛症。
(効能又は効果に関連する注意)
皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことを原則とするが、やむを得ず使用する必要がある場合には、あらかじめ適切な抗菌剤(全身適用)、抗真菌剤による治療を行うか、又はこれらとの併用を考慮すること。
- 用法・用量
- 通常、1日1~数回、適量を患部に塗布する。
なお、症状により適宜増減する。
- 特定の背景を有する患者に関する注意
- 8.1. 大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用により、副腎皮質ホルモン剤を全身投与した場合と同様な症状があらわれることがあるので、特別な場合を除き長期大量使用や密封法(ODT)を極力避けること〔9.5妊婦、9.7小児等、9.8高齢者の項、11.1.1参照〕。
8.2. 長期連用により、局所的副作用が発現しやすいので、症状改善後は速やかに他のより緩和な局所療法に転換すること。
8.3. 本剤の使用により症状の改善がみられない場合又は症状の悪化をみる場合は、使用を中止すること。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障(頻度不明):眼瞼皮膚への使用に際しては眼圧亢進、緑内障を起こすことがある。
大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、緑内障、後嚢白内障等があらわれることがある〔8.1参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(0.1~5%未満)皮膚刺激感、(頻度不明)紅斑。
2). 皮膚:(0.1~5%未満)接触皮膚炎、(0.1%未満)皮膚そう痒、皮膚乾燥。
3). 皮膚感染症:(0.1~5%未満)皮膚真菌症(皮膚カンジダ症、皮膚白癬等)、(頻度不明)皮膚細菌感染症(伝染性膿痂疹、毛嚢炎・せつ等)、皮膚ウイルス感染症[このような症状があらわれた場合には、適切な抗菌剤、抗真菌剤等を併用し、症状が速やかに改善しない場合には、本剤の使用を中止すること(密封法(ODT)の場合に起こりやすい)]。
4). その他の皮膚症状:(0.1~5%未満)ざ瘡様発疹、ステロイド皮膚(皮膚萎縮、ステロイド潮紅・毛細血管拡張、紫斑)、皮膚色素脱失、(頻度不明)酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎(ほほに潮紅、口囲潮紅等、丘疹、膿疱、毛細血管拡張)、多毛[長期連用
により、このような症状があらわれた場合にはその使用を差し控え、副腎皮質ホルモンを含有しない薬剤に切り替えること]。
5). 下垂体・副腎皮質系:(頻度不明)下垂体・副腎皮質系機能抑制[大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により発現した事象。投与中止により急性副腎皮質機能不全に陥る危険性があるため、投与を中止する際は患者の状態を観察しながら徐々に減量すること]。
- 高齢者
- 大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用に際しては特に注意すること(一般に副作用があらわれやすい)〔8.1参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては使用しないことが望ましい。また、大量又は長期にわたる広範囲の使用を避けること。動物試験で催奇形作用(ラット:連日皮下投与、ウサギ:連日経皮投与)及び胎仔への移行(ラット:皮下投与)が報告されている〔8.1参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物試験(ラット:皮下投与)で乳汁中に移行することが報告されている)。
- 小児等
- 長期・大量使用又は密封法(ODT)は避けること(発育障害を来すおそれがある)。
また、おむつは密封法(ODT)と同様の作用があるので注意すること〔8.1参照〕。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意患者に対し次の点に注意するよう指導すること。
14.1.1. 使用時:化粧下、ひげそり後等に使用することのないよう注意すること。
14.1.2. 使用部位:眼科用として使用しないこと。
20.1. 高温条件下で軟膏基剤中の低融点物質(液体)が滲出すること(Bleeding現象)がある。
16.1 血中濃度
健康成人5例にモメタゾンフランカルボン酸エステル軟膏を5日間連続して密封法(ODT)により塗布し、モメタゾンフランカルボン酸エステル及びその主代謝物の血漿中濃度をラジオイムノアッセイにより測定した。
投与15時間後には、血漿中に未変化体が100pg/mL前後検出され、以後ほぼ同じ水準で推移したが投与中止後は急速に検出されなくなった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
承認時において、0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル及び0.064%ベタメタゾンジプロピオン酸エステル軟膏・クリームを対照薬とした二重盲検比較試験及び一般臨床試験での有効性評価対象例は1692例であり、有効率は86.2%(1458例)であった。
表17‐1 臨床成績
→図表を見る(PDF)
18.1 作用機序
ステロイドは細胞質に存在する熱ショック蛋白質、抑制蛋白質と複合体を形成したステロイド受容体に結合後核内に移行し、ステロイド反応性の遺伝子を活性化させ、その薬理作用を発揮すると考えられている。また、血管内皮細胞やリンパ球等の細胞膜の障害を抑制するような膜の安定性に関与する作用や、フォスフォリパーゼA2と呼ばれる細胞膜リン脂質からロイコトリエンやプロスタグランジンなど種々の炎症惹起物質を誘導する重要な酵素の機能を抑える作用も知られている。
その作用機序としては、単量体のステロイドとその受容体が複合体を形成することで、NFκBやAP‐1と呼ばれるサイトカイン産生の誘導や細胞接着分子の発現等を調節している細胞内転写因子の機能を抑制することで、2量体の受容体と結合した場合、リポコルチン等の誘導を介して、炎症を制御すると考えられている。免疫抑制作用に関しては、リンパ球に対する直接的な機能抑制、アポトーシスの誘導によると考えられている。
18.2 薬理作用
18.2.1 皮膚血管収縮試験
健康成人12例を対象とした皮膚蒼白度試験(肉眼的判定)において、モメタゾンフランカルボン酸エステル軟膏及びクリームは、ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏及びクリームに比べて強い皮膚血管収縮能を示した。
図18‐1 皮膚血管収縮比較試験
18.2.2 各種炎症に対する作用
(1)モメタゾンフランカルボン酸エステル又はモメタゾンフランカルボン酸エステル軟膏は、マウスのクロトン油耳殻浮腫、ラットのカラゲニン足蹠浮腫、paper disk肉芽腫の各炎症モデルに対して、局所投与によりベタメタゾンジプロピオン酸エステル、ベタメタゾン吉草酸エステル及びこれらを含有する軟膏製剤に比較して、強い局所抗炎症作用を示した。
(2)モメタゾンフランカルボン酸エステルは、臨床での効力がvery strong群の中位以上の各種コルチコステロイドとのマウスでの比較試験において、局所抗炎症作用(クロトン油耳殻浮腫抑制作用)が強く、主作用(局所抗炎症作用)と副作用(皮膚萎縮、全身作用)との乖離性が大きかった。
18.3 生物学的同等性試験
18.3.1 皮膚血管収縮試験
モメタゾンフランカルボン酸エステル軟膏0.1%「MYK」及びフルメタ軟膏を健康成人男子20名の背部皮膚に1時間塗布し、除去24時間後までの皮膚蒼白度を肉眼的に判定し、その経時変化から平均AUECを求め、ノンパラメトリック法により平均AUECの差の90%信頼区間を算出した。その結果、フルメタ軟膏とモメタゾンフランカルボン酸エステル軟膏0.1%「MYK」の平均AUECの差の90%信頼区間は、フルメタ軟膏の平均AUECの±20%の範囲内にあり、両製剤の生物学的同等性が確認された。
図1. 皮膚蒼白度の経時的推移(軟膏剤)
モメタゾンフランカルボン酸エステルクリーム0.1%「MYK」についても同様の結果が得られ、フルメタクリームとの生物学的同等性が確認された。
図2. 皮膚蒼白度の経時的推移(クリーム剤)
モメタゾンフランカルボン酸エステルローション0.1%「MYK」についても同様の結果が得られ、フルメタローションとの生物学的同等性が確認された。
図3. 皮膚蒼白度の経時的推移(ローション剤)
- 製造販売会社
- 前田薬品
- 販売会社
- 日医工
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