フィブラストスプレー500
添付文書情報2023年06月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 投与部位に悪性腫瘍のある患者又はその既往歴のある患者[本剤が細胞増殖促進作用を有するため]〔8.1、8.2、15.2.1参照〕。
2.2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、下腿潰瘍)。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤は熱傷潰瘍を適用としているので、潰瘍がみられない熱傷に対しては、他の適切な療法を考慮すること。
- 用法・用量
- 添付溶解液1mL当たりトラフェルミン(遺伝子組換え)として100μgを用時溶解し、潰瘍面を清拭後、本剤専用の噴霧器を用い、1日1回、潰瘍の最大径が6cm以内の場合は、潰瘍面から約5cm離して5噴霧(トラフェルミン(遺伝子組換え)として30μg)する。潰瘍の最大径が6cmを超える場合は、薬剤が同一潰瘍面に5噴霧されるよう、潰瘍面から約5cm離して同様の操作を繰り返す。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 1日投与量はトラフェルミン(遺伝子組換え)として1000μgを超えないこと。
7.2. 本剤を約4週間投与しても潰瘍の大きさ(面積、深さ)又は症状(肉芽形成、肉芽の色調、表皮形成等)の改善傾向が認められない場合は外科的療法等を考慮すること〔15.2.2参照〕。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 本剤の使用開始に際しては必ず問診等を行い悪性腫瘍又はその既往について考慮すること〔2.1、8.2、9.1.1参照〕。
8.2. 悪性腫瘍による難治性潰瘍の可能性のある患者については、事前に生検等により投与部位に悪性腫瘍のないことを確認すること〔2.1、8.1参照〕。
8.3. 潰瘍の改善に伴って形成される新生肉芽は、刺激により新生血管が損傷し、出血するおそれがあるので、ガーゼの交換等の処置は十分注意して行うこと。
9.1.1. 投与部位以外に悪性腫瘍のある患者又はその既往歴のある患者:治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること、またその際には、使用開始に当たり患者又はそれに代わり得る適切な者に本剤の有効性及び危険性について十分に説明した上で使用すること(本剤の血中移行性は低いが、細胞増殖促進作用を有する)〔8.1、15.2.1、15.2.2参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 投与部位:(2%未満)刺激感・疼痛、(頻度不明)過剰肉芽組織、滲出液増多[発現した場合には経過を観察しながら使用するが、症状が強い場合には投与を中止すること]。
2). 皮膚:(2%未満)発赤、(頻度不明)発疹、接触皮膚炎、皮膚そう痒感、皮膚腫脹。
3). 肝臓:(2%未満)ALT上昇、AST上昇。
- 妊婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
- 小児等
- 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤投与前の注意14.1.1. 本剤には抗菌作用はないので次について注意すること。
(1). 潰瘍面を清拭し、消毒又は洗浄した後、噴霧すること。
(2). 感染があらわれた場合には、抗生物質を投与するなどの適切な処置を行い、経過を観察すること。
14.1.2. 必要に応じ壊死組織を除去すること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 投与時(1). 本噴霧器は、噴霧口の先端を潰瘍面より約5cmの距離から噴霧するとき、直径約6cmの円形状に薬剤が噴霧されるように設計されているので、潰瘍面の大きさにより投与距離を加減しないこと。
(2). 潰瘍が最大径6cmを超える場合は、薬剤が潰瘍面に均一に5噴霧されるよう、前に5噴霧した潰瘍部位にできるだけ重ならないように、潰瘍面から約5cmの距離を保ちながら、5噴霧を繰り返す。なお、周辺の正常皮膚に付着した薬剤は脱脂綿等で拭き取ること。
14.2.2. 投与経路:眼科用に使用しないこと。
14.2.3. 保存時:溶解後は10℃以下の冷暗所に保存し、2週間以内に使用すること。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. in vitro試験において一部のヒト腫瘍細胞の増殖促進作用、またin vivo試験において、一部のげっ歯類及びヒト腫瘍細胞増殖促進作用、高転移能を有するマウスメラノーマ細胞転移促進作用を示したとの報告がある〔2.1、9.1.1参照〕。
15.2.2. 本剤はヒト型の蛋白質であり、動物を用いた長期のがん原性試験は抗体産生により実施できなかったため、それに代わる動物試験として、ヌードマウスを用いた15カ月間の反復皮下投与試験、中期発がん性試験(マウスを用いた皮膚2段階発がん性試験、ラットを用いた肝2段階発がん性試験)等、各種試験を実施したが、本剤の発がん性を示唆する所見は認められなかった。しかし、動物を用いた長期のがん原性試験自体は実施されていないこと及び本剤は細胞増殖促進作用を有し、悪性腫瘍発生の危険要因の可能性があることから、本剤を長期にわたって漫然と投与することがないよう注意すること〔7.2、9.1.1参照〕。
15.2.3. 本剤を大量に反復皮下投与した動物実験(ラット:200μg/kg以上、イヌ:480μg/kg、サル:45μg/kg以上)において、腎臓の炎症性病変並びに尿蛋白及び尿中N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ上昇(尿中NAG上昇)がみられたとの報告がある。
16.1 血中濃度
皮膚潰瘍患者に本剤を1日1回15日間投与(潰瘍の直径6cmに対して1回30μg)し、血清中濃度を測定したところ血中移行は認められなかった(定量限界:10pg/mL)。
16.3 分布
16.3.1 血漿蛋白結合率
[125I]トラフェルミンをヒト血清に添加し、3時間までインキュベーションした結果、タンパク結合率は経時的に上昇し、3時間の結合率は37%であった(in vitro)。
16.8 その他
褥瘡、皮膚潰瘍患者に対して本剤を1日1回12週間投与した時、本剤に対する抗体産生は認められなかった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II相試験(用量反応性検討試験)
褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍注)、下腿潰瘍)患者計43例に0.01%トラフェルミン(遺伝子組換え)を1日1回4週間投与したところ、潰瘍の大きさ、深さ、性状(肉芽形成、肉芽の色調、表皮形成等)等を指標とした有効率(改善以上)は次表のとおりであり、本剤の有用性が認められた。
→図表を見る(PDF)
17.1.2 国内第II相試験(新旧原液製剤比較試験)
褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍注)、下腿潰瘍)患者計78例に0.01%トラフェルミン(遺伝子組換え)を1日1回4週間投与したところ、潰瘍の大きさ、深さ、性状(肉芽形成、肉芽の色調、表皮形成等)等を指標とした有効率(改善以上)は次表のとおりであり、本剤の有用性が認められた。
→図表を見る(PDF)
17.1.3 国内第III相試験(比較試験)
褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍注)、下腿潰瘍)患者計104例に本剤を1日1回4週間投与したところ、潰瘍の大きさ、深さ、性状(肉芽形成、肉芽の色調、表皮形成等)等を指標とした有効率(改善以上)は次表のとおりであり、本剤の有用性が認められた。また、副作用は臨床検査値異常変動として6例に認められ、その主なものはAST上昇2.1%(2/94例)、ALT上昇1.1%(1/94例)であった。
→図表を見る(PDF)
17.1.4 国内第III相試験(12週間使用試験)
褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍注)、下腿潰瘍)患者計44例に本剤を1日1回12週間投与したところ、潰瘍の大きさ、深さ、性状(肉芽形成、肉芽の色調、表皮形成等)等を指標とした有効率(改善以上)は次表のとおりであり、本剤の有用性が認められた。
→図表を見る(PDF)
17.1.5 国内第III相試験(血清中濃度測定試験)
皮膚潰瘍患者6例に本剤を1日1回4週間投与したところ、潰瘍の大きさ、深さ、性状(肉芽形成、肉芽の色調、表皮形成等)等を指標とした有効率(改善以上)は次表のとおりであり、本剤の有用性が認められた。
→図表を見る(PDF)
注)受傷後約3週以降のもの
18.1 作用機序
本剤は血管内皮細胞、線維芽細胞等に存在するFGF受容体に特異的に結合し、血管新生作用や肉芽形成促進作用等を示すことにより、褥瘡、皮膚潰瘍に対して治療効果を示す。
18.2 病態モデルにおける創傷治癒促進作用
創傷治癒が遅延する次記病態モデルにおいて薬理作用が認められている。
18.2.1 遺伝的糖尿病マウス及び遺伝的肥満マウスの皮膚全層欠損創の治癒を促進する(面積縮小効果又は完治日数を短縮)。
18.2.2 肝障害ラットの皮膚全層切開傷での皮膚開裂張力の低下を回復させる。
18.2.3 遺伝的糖尿病マウス及び栄養不良ラットの第III度熱傷創の治癒を促進する(完治日数を短縮)。
18.2.4 遺伝的糖尿病マウスの細菌感染皮膚全層欠損創の治癒を促進する(面積縮小効果)。
18.2.5 遺伝的糖尿病マウスの褥瘡の治癒を促進する(完治例数を増加)。
18.3 血管新生作用
血管内皮細胞(ACE細胞)のFGF(線維芽細胞成長因子)受容体と特異的に結合し、細胞増殖促進作用、細胞遊走促進作用、プラスミノーゲンアクチベーター産生促進作用、管腔形成作用が認められている(in vitro)。また、ウサギの角膜を用いたマイクロポケット法、健常ラットのペーパーディスク法、健常マウス及び遺伝的糖尿病マウスの皮膚全層欠損創におけるヘモグロビン量測定法により血管新生作用が認められている(in vivo)。
18.4 肉芽形成促進作用
線維芽細胞(BHK‐21細胞)のFGF受容体と特異的に結合し、細胞増殖促進作用が認められている(in vitro)。また、健常ラット及び創傷治癒障害ラット(ステロイド処置、ドキソルビシン投与、X線照射)のペーパーディスク法、健常マウス及び遺伝的糖尿病マウスのコットンペレット法により、肉芽形成促進作用が認められており、健常ラットのペーパーディスク法による肉芽形成に対しても有意な促進作用が認められている(in vivo)。
18.5 その他の作用
遺伝的糖尿病マウス皮膚全層欠損創の滲出液量及び滲出液中の炎症性細胞数を増加させる。
- 製造販売会社
- 科研製薬
- 販売会社
おくすりのQ&A
保険審査の内容で恐縮ですが、先日の業界紙において、「社会保険診療報酬支払基金は31日、高血圧症に対して初回から第一選択薬として「配合剤」を投与することは、...
Cost of Concerta (methylphenidate)?
I am curious to find the cost of a month's supply of methylphenidate for ADHD...
わからないことがあったら、
気軽にすぐ質問しよう!
このコミュニティは、各種法令・通達が実務の現場で実際にはどう運用されているのか情報共有に使われることもあります。解釈に幅があるものや、関係機関や担当者によって対応が異なる可能性のあることを、唯一の正解であるかのように断言するのはお控えください。「しろぼんねっと」編集部は、投稿者の了承を得ることなく回答や質問を削除する場合があります。