トランサミンシロップ5%
添付文書情報2023年10月改定(第2版)
商品情報
- 禁忌
- トロンビン投与中の患者〔10.1参照〕。
- 効能・効果
- 1). 全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向(白血病、再生不良性貧血、紫斑病等、及び手術中・術後の異常出血)。
2). 局所線溶亢進が関与すると考えられる異常出血(肺出血、鼻出血、性器出血、腎出血、前立腺手術中・術後の異常出血)。
3). 次記疾患における紅斑・腫脹・そう痒等の症状:湿疹及びその類症、蕁麻疹、薬疹・中毒疹。
4). 次記疾患における咽頭痛・発赤・充血・腫脹等の症状:扁桃炎、咽喉頭炎。
5). 口内炎における口内痛及び口内粘膜アフター。
- 用法・用量
- トラネキサム酸として通常次記1日量を3~4回に分割経口投与する。なお、症状により適宜増減する。
1). ~1歳:1日量75~200mg(1.5~4mL)。
2). 2~3歳:1日量150~350mg(3~7mL)。
3). 4~6歳:1日量250~650mg(5~13mL)。
4). 7~14歳:1日量400~1000mg(8~20mL)。
5). 15歳~:1日量750~2000mg(15~40mL)。
- 腎機能障害患者
- 9.1.1. 血栓のある患者(脳血栓、心筋梗塞、血栓性静脈炎等)及び血栓症があらわれるおそれのある患者:血栓を安定化するおそれがある。
9.1.2. 消費性凝固障害のある患者:ヘパリン等と併用すること(血栓を安定化するおそれがある)。
9.1.3. 術後の臥床状態にある患者及び圧迫止血の処置を受けている患者:静脈血栓を生じやすい状態であり、本剤投与により血栓を安定化するおそれがある(離床、圧迫解除に伴い肺塞栓症を発症した例が報告されている)。
9.1.4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
9.2.1. 腎不全のある患者:血中濃度が上昇することがある。
9.2.2. 人工透析患者〔11.1.1参照〕。
- 相互作用
- 10.1. 併用禁忌:トロンビン〔2.禁忌の項参照〕[血栓形成傾向があらわれるおそれがある(血栓形成を促進する作用があり、併用により血栓形成傾向が増大する)]。
10.2. 併用注意:1). ヘモコアグラーゼ[大量併用により血栓形成傾向があらわれるおそれがある(ヘモコアグラーゼによって形成されたフィブリン塊は、本剤の抗プラスミン作用によって比較的長く残存し閉塞状態を持続させるおそれがあると考えられている)]。
2). バトロキソビン[血栓・塞栓症を起こすおそれがある(バトロキソビンによって生成するdesAフィブリンポリマーの分解を阻害する)]。
3). 凝固因子製剤<トロンビンは併用禁忌>(エプタコグアルファ等)[口腔等・線溶系活性が強い部位では凝固系がより亢進するおそれがある(凝固因子製剤は凝固系を活性化させることにより止血作用を発現し、一方、本剤は線溶系を阻害することにより止血作用を発現する)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 痙攣(頻度不明):人工透析患者において痙攣があらわれることがある〔9.2.2参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(0.1%未満)そう痒感、発疹等。
2). 消化器:(0.1~1%未満)食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、胸やけ。
3). その他:(0.1%未満)眠気。
- 高齢者
- 減量するなど注意すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
- 取扱い上の注意
- 小分け後は遮光して保存すること。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報イヌに長期・大量投与したところ網膜変性があらわれたとの報告がある。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性15例にトラネキサム酸(錠注)、カプセル注))を単回経口投与したとき、血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。
トラネキサム酸単回経口投与時の血漿中濃度推移
単回経口投与時のトラネキサム酸の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.3 分布
マウスに14C‐トラネキサム酸を40mg/kgの投与量で単回経口投与したところ、大部分の臓器において投与1~2時間後に最高濃度を示し、組織内分布は、肝、腎、肺、膵で高く、子宮、脾、心、筋肉がこれに次ぎ、脳では低かった。
16.5 排泄
健康成人男性15例にトラネキサム酸を250mg(錠注))又は500mg(錠注)、カプセル注))単回経口投与したとき、投与後24時間以内に投与量の約40~70%が未変化体として尿中に排泄された。
注)本剤の承認された剤形はシロップ剤である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向及び局所線溶亢進が関与すると考えられる異常出血〉
17.1.1 国内一般臨床試験
全身性線溶亢進が関与すると考えられる白血病、再生不良性貧血、紫斑病等の出血傾向及び肺出血、性器出血、腎出血、手術中・術後等の異常出血に対する止血効果は73.6%(2,063/2,802例)に認められた。
〈湿疹及びその類症、蕁麻疹、薬疹・中毒疹における紅斑・腫脹・そう痒等の症状〉
17.1.2 国内一般臨床試験
皮膚疾患(湿疹及びその類症、蕁麻疹、薬疹・中毒疹等)の患者223例を対象にした一般臨床試験では、そう痒、腫脹、紅斑等の症状に対する効果は60.5%(135/223例)に認められた。
17.1.3 国内二重盲検比較試験
皮膚疾患(湿疹及びその類症、薬疹・中毒疹)の患者67例を対象に、そう痒、発赤、腫脹等の症状に対する効果を本剤(1日3回6カプセル注)(トラネキサム酸として1.5g))35例とプラセボ32例との二重盲検比較試験により検討した結果、有効以上はプラセボ31.3%(10/32例)に対し本剤62.9%(22/35例)で、本剤が有意(p<0.05)に優れていた。
〈扁桃炎、咽喉頭炎における咽頭痛・発赤・充血・腫脹等の症状、口内炎における口内痛及び口内粘膜アフター〉
17.1.4 国内一般臨床試験
扁桃炎、咽喉頭炎、口内炎及び歯肉炎等の患者168例を対象にした一般臨床試験では、疼痛、腫脹及び発赤等に対する効果は70.8%(119/168例)に認められた。
17.1.5 国内二重盲検比較試験
耳鼻咽喉科疾患(急性咽喉頭炎、急性扁桃炎、口内炎等)の患者168例を対象に疼痛、腫脹及び発赤に対する効果を本剤(1日3回6カプセル注)(トラネキサム酸として1.5g))84例とプラセボ84例との二重盲検比較試験により検討した結果、有効以上はプラセボ26.2%(22/84例)に対し本剤52.4%(44/84例)で、本剤が有意(p<0.05)に優れていた。
注)本剤の承認された剤形はシロップ剤である。
18.1 作用機序
線維素溶解現象(線溶現象)は生体の生理的ならびに病的状態において、フィブリン分解をはじめ、血管の透過性亢進等に関与し、プラスミンによって惹起される生体反応を含め、種々の出血症状やアレルギー等の発生進展や治癒と関連している。
トラネキサム酸は、このプラスミンの働きを阻止し、抗出血・抗アレルギー・抗炎症効果を示す。
18.2 抗プラスミン作用
トラネキサム酸は、プラスミンやプラスミノゲンのフィブリンアフィニティー部位であるリジン結合部位(LBS)と強く結合し、プラスミンやプラスミノゲンがフィブリンに結合するのを阻止する。このため、プラスミンによるフィブリン分解は強く抑制される。更に、α2‐マクログロブリン等血漿中アンチプラスミンの存在下では、トラネキサム酸の抗線溶作用は一段と強化される。
18.3 止血作用
異常に亢進したプラスミンは、血小板の凝集阻止、凝固因子の分解等を起こすが、軽度の亢進でも、フィブリン分解がまず特異的に起こる。したがって一般の出血の場合、トラネキサム酸は、このフィブリン分解を阻害することによって止血すると考えられる。
18.4 抗アレルギー・抗炎症作用
トラネキサム酸は、血管透過性の亢進、アレルギーや炎症性病変の原因になっているキニンやその他の活性ペプチド等のプラスミンによる産生を抑制する(モルモット、ラット)。
- 一包可:
- 分割:
- 粉砕:
- 製造販売会社
- ニプロファーマ
- 販売会社
- 第一三共
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