リバーロキサバン錠15mg「バイエル」
添付文書情報2024年11月改定(第2版)
商品情報
- 警告
- 1.1. 〈効能共通〉本剤の投与により出血が発現し、重篤な出血の場合には、死亡に至るおそれがあるので、本剤の使用にあたっては、出血の危険性を考慮し、本剤投与の適否を慎重に判断すること(本剤による出血リスクを正確に評価できる指標は確立されていないため、本剤投与中は、血液凝固に関する検査値のみならず、出血や貧血等の徴候を十分に観察すること)。これらの徴候が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと〔2.2、8.1-8.3、8.5、9.1.1、11.1.1参照〕。
1.2. 〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間の15mg1日2回投与時においては、特に出血の危険性が高まる可能性を考慮するとともに、患者の出血リスクに十分配慮し、特に、腎障害、高齢又は低体重の患者では出血の危険性が増大するおそれがあること、また、抗血小板剤を併用する患者では出血傾向が増大するおそれがあることから、これらの患者については治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ本剤を投与すること。
1.3. 〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉脊椎・硬膜外麻酔との併用あるいは腰椎穿刺との併用等により、穿刺部位血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがある。静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制で、硬膜外カテーテル留置中、若しくは脊椎麻酔後日の浅い・硬膜外麻酔後日の浅い又は腰椎穿刺後日の浅い場合は、本剤の投与を控えること。
- 禁忌
- 2.1. 〈効能共通〉本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 〈効能共通〉出血している患者(頭蓋内出血、消化管出血等の臨床的に重大な出血)[出血を助長するおそれがある]〔1.1、11.1.1参照〕。
2.3. 〈効能共通〉凝固障害を伴う肝疾患の患者〔9.3.1参照〕。
2.4. 〈効能共通〉中等度以上の肝障害(Child-Pugh分類B又はCに相当)のある患者〔9.3.2、16.6.2参照〕。
2.5. 〈効能共通〉妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
2.6. 〈効能共通〉リトナビル含有製剤投与中、アタザナビル投与中、ダルナビル投与中、ホスアンプレナビル投与中の患者〔10.1、16.7.1参照〕。
2.7. 〈効能共通〉コビシスタット含有製剤投与中の患者〔10.1参照〕。
2.8. 〈効能共通〉イトラコナゾール<経口又は注射剤>投与中、ポサコナゾール<経口又は注射剤>投与中、ボリコナゾール<経口又は注射剤>投与中、ミコナゾール<経口又は注射剤>投与中、ケトコナゾール<経口又は注射剤>投与中の患者〔10.1、16.7.2参照〕。
2.9. 〈効能共通〉エンシトレルビル投与中の患者〔10.1参照〕。
2.10. 〈効能共通〉急性細菌性心内膜炎の患者[血栓はく離に伴う血栓塞栓様症状を呈するおそれがある]。
2.11. 〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉非弁膜症性心房細動で腎不全(非弁膜症性心房細動でクレアチニンクリアランス15mL/min未満)の患者〔9.2.1、16.6.1参照〕。
2.12. 〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉静脈血栓塞栓症で重度腎障害(静脈血栓塞栓症でクレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者〔9.2.1、9.2.2、16.6.1参照〕。
- 効能・効果
- 1). 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制。
2). 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉ショックや低血圧が遷延するような血行動態が不安定な肺血栓塞栓症患者、若しくは血栓溶解療法が必要な肺血栓塞栓症又は肺塞栓摘除術が必要な肺血栓塞栓症患者に対する本剤の安全性及び有効性は検討されていないので、これらの患者に対してヘパリンの代替療法として本剤を投与しないこと。
5.2. 〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉下大静脈フィルターが留置された患者に対する本剤の安全性及び有効性は検討されていない。
- 用法・用量
- 〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
通常、成人にはリバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口投与する。なお、腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて10mg1日1回に減量する。
〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉
通常、成人には深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間はリバーロキサバンとして15mgを1日2回食後に経口投与し、その後は15mgを1日1回食後に経口投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉非弁膜症性心房細動でクレアチニンクリアランス30~49mL/minの患者には、10mgを1日1回投与する〔9.2.3、16.6.1、17.1.1参照〕。
7.2. 〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉非弁膜症性心房細動でクレアチニンクリアランス15~29mL/minの患者には、本剤投与の適否を慎重に検討した上で、投与する場合は、10mgを1日1回投与する〔9.2.2、16.6.1参照〕。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 〈効能共通〉プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)は本剤の抗凝固作用について標準化された指標でなく、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)等の凝固能検査は、本剤の抗凝固作用をモニタリングする指標として推奨されない〔1.1、11.1.1参照〕。
8.2. 〈効能共通〉出血等の副作用が生じることがあるので、必要に応じて血算(ヘモグロビン値)、便潜血等の検査を実施し、急激なヘモグロビン値低下や血圧低下等の出血の徴候が認められた場合には、適切な処置を行うこと〔1.1、11.1.1参照〕。
8.3. 〈効能共通〉患者には、鼻出血、皮下出血、歯肉出血、血尿、喀血、吐血及び血便等、異常な出血の徴候が認められた場合には、医師に連絡するよう指導すること〔1.1、11.1.1参照〕。
8.4. 〈効能共通〉抗血小板剤2剤との併用時には、出血リスクが特に増大するおそれがあるため、本剤との併用についてはさらに慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ、これらの薬剤と併用すること〔1.1、10.2、11.1.1参照〕。
8.5. 〈効能共通〉本剤の投与中に手術や侵襲的処置を行う場合、臨床的に可能であれば本剤の投与後24時間以上経過した後に行うことが望ましいが、手術や侵襲的処置の開始を遅らせることができない場合は、緊急性と出血リスクを評価すること(本剤の投与は、手術や侵襲的処置後、患者の臨床状態に問題がなく出血がないことを確認してから、可及的速やかに再開すること)〔1.1、11.1.1参照〕。
8.6. 〈効能共通〉本剤と他の抗凝固剤との切り替えにおいては、次の点に留意すること。
・ 〈効能共通〉ワルファリンから本剤に切り替える必要がある場合は、ワルファリンの投与を中止した後、PT-INR等、血液凝固能検査を実施し、治療域の下限以下になったことを確認した後、可及的速やかに本剤の投与を開始すること〔16.7.9参照〕。
・ 〈効能共通〉注射剤の抗凝固剤(ヘパリン等)から本剤に切り替える場合、次回の静脈内又は皮下投与が予定された時間の0~2時間前又は持続静注中止後より、本剤の投与を開始すること。
・ 〈効能共通〉本剤からワルファリンへの切り替え時において抗凝固作用が不十分になる可能性が示唆されているので、抗凝固作用が維持されるよう注意し、PT-INR等、血液凝固能検査の値が治療域の下限を超えるまでは、ワルファリンと本剤を併用すること(なお、本剤の投与終了後24時間経過するまでは、PT-INRはワルファリンの抗凝固作用を正確に反映しない)。
・ 〈効能共通〉本剤から注射剤の抗凝固剤に切り替える場合、本剤の投与を中止し、次回の本剤投与が予定された時間に抗凝固剤の静脈内投与又は皮下投与を開始すること。
8.7. 〈効能共通〉間質性肺疾患があらわれることがあるので、咳嗽、血痰、呼吸困難、発熱等の症状があらわれた場合には、速やかに主治医に連絡するよう患者に指導すること〔11.1.3参照〕。
8.8. 〈効能共通〉服用を忘れた場合は直ちに本剤を服用し、翌日から毎日1回の服用を行うよう患者に指導する(服用を忘れた場合でも、一度に2回分を服用せず、次の服用まで12時間以上空けるよう、患者に指導する)。
8.9. 〈効能共通〉本剤投与中の患者で生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時に本剤の抗凝固作用の中和が必要な場合は中和剤アンデキサネット アルファの電子添文を必ず参照し禁忌、用法及び用量に関連する注意、重要な基本的注意、特定の背景を有する患者に関する注意、副作用等の使用上の注意を確認すること。
8.10. 〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制の場合、本剤の投与期間については、症例ごとの深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の再発リスク並びに出血リスクを考慮して決定し、漫然と継続投与しないこと〔17.1.3、17.1.4参照〕。
8.11. 〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉特に深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間の15mg1日2回投与中は、出血のリスクに十分注意すること。
8.12. 〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間は、ワルファリンから本剤への切り替えを控えること。深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症の場合、初期3週間治療後は、ワルファリンから本剤への切り替え時に抗凝固作用が不十分となる可能性を考慮した上で切り替えの適否を慎重に判断すること〔16.7.9参照〕。
8.13. 〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症発症後の15mg1日2回3週間投与時に服用を忘れた場合は直ちに服用し同日の1日用量が30mgとなるよう指導し(この場合一度に2回分を服用可)翌日から毎日2回服用するよう指導すること。
9.1.1. 出血リスクが高い患者:次のような患者では、出血の危険性が増大する〔1.1、11.1.1参照〕[1)止血障害のある患者(血小板減少症等)、2)凝固障害のある患者、3)先天性出血性疾患又は後天性出血性疾患のある患者、4)コントロールできない重症高血圧症の患者、5)血管性網膜症の患者、6)活動性悪性腫瘍の患者、7)活動性潰瘍性消化管障害の患者、8)消化管潰瘍発症後日の浅い患者、9)頭蓋内出血発症後日の浅い患者、10)脊髄内血管異常又は脳内血管異常のある患者、11)脳脊髄の手術後日の浅い患者や眼の手術後日の浅い患者、12)気管支拡張症又は肺出血の既往のある患者]。
9.1.2. 低体重の患者:出血の危険性が増大することがある。
9.1.3. 潰瘍性消化管障害のおそれのある患者:潰瘍性消化管障害に対する適切な予防に配慮すること。
9.2.1. 腎不全の患者:投与しないこと(国内外第3相試験において、クレアチニンクリアランス15mL/min未満の患者は除外されている)〔2.11、2.12、16.6.1参照〕。
9.2.2. 重度の腎障害患者1). 〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉非弁膜症性心房細動で重度腎障害患者:本剤投与の適否を慎重に検討すること(本剤の血中濃度が上昇することが示唆されており、国内外第3相試験において、クレアチニンクリアランス15~29mL/minの患者は除外されている)〔7.2、16.6.1参照〕。
2). 〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉静脈血栓塞栓症で重度腎障害患者:投与しないこと(国内外第3相試験において、クレアチニンクリアランス15~29mL/minの患者は除外されている)〔2.12、16.6.1参照〕。
9.2.3. 中等度腎障害のある患者:本剤投与の適否を慎重に検討すること(クレアチニンクリアランス30~49mL/minの患者で本剤の血中濃度が上昇することが示唆されており、出血の危険性が増大することがある)〔7.1、16.6.1参照〕。
9.3.1. 凝固障害を伴う肝疾患の患者:投与しないこと(出血の危険性が増大するおそれがある)〔2.3参照〕。
9.3.2. 中等度以上の肝障害のある患者(Child-Pugh分類B又はCに相当):投与しないこと(本剤の血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある)〔2.4、16.6.2参照〕。
- 相互作用
- 本剤は主としてチトクロームP450 3A4及び2J2(CYP3A4及びCYP2J2)により代謝される。また、本剤はP-糖タンパク及び乳癌耐性タンパク(BCRP)の基質である〔16.4参照〕。
10.1. 併用禁忌:1). リトナビルを含有する製剤<ノービア、カレトラ、パキロビッド>、アタザナビル<レイアタッツ>、ダルナビル<プリジスタ、プリジスタナイーブ>、ホスアンプレナビル<レクシヴァ>〔2.6、16.7.1参照〕[本剤の血中濃度が上昇し抗凝固作用
が増強されることにより出血の危険性が増大するおそれがある(CYP3A4の強力な阻害及びP-糖タンパクの阻害によりクリアランスが減少する)]。
2). コビシスタットを含有する製剤<ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ>〔2.7参照〕[本剤の血中濃度が上昇し抗凝固作用が増強されることにより出血の危険性が増大するおそれがある(CYP3A4の強力な阻害によりクリアランスが減少する)]。
3). 次の経口又は注射剤(イトラコナゾール<経口又は注射剤><イトリゾール>、ポサコナゾール<経口又は注射剤><ノクサフィル>、ボリコナゾール<経口又は注射剤><ブイフェンド>、ミコナゾール<経口又は注射剤><フロリード>、ケトコナゾール<経口又は注射剤>(国内未発売))〔2.8、16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が上昇し抗凝固作用が増強されることにより出血の危険性が増大するおそれがある(CYP3A4の強力な阻害及びP-糖タンパクの阻害によりクリアランスが減少する)]。
4). エンシトレルビル<ゾコーバ>〔2.9参照〕[本剤の血中濃度が上昇し抗凝固作用が増強されることにより出血の危険性が増大するおそれがある(CYP3A4の強力な阻害及びP-糖タンパクの阻害によりクリアランスが減少する)]。
10.2. 併用注意:1). 抗凝固剤(ヘパリン製剤、低分子量ヘパリン製剤(エノキサパリンナトリウム等)、フォンダパリヌクスナトリウム、ワルファリンカリウム等)〔16.7.5、16.7.9参照〕[出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること(両剤の抗凝固作用が相加的に増強される)]。
2). 血小板凝集抑制作用を有する薬剤:①. 血小板凝集抑制作用を有する薬剤(抗血小板剤(アスピリン、クロピドグレル硫酸塩、チクロピジン塩酸塩等)、非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤(ナプロキセン、ジクロフェナクナトリウム等))〔8.4、16.7.6-16.7.8参照〕[出血の危険性が増大するおそれがあるので、これらの薬剤と本剤の併用については、治療上の有益性と危険性を考慮して慎重に判断し、投与中は観察を十分に行い、注意すること(本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される)]。
②. 血小板凝集抑制作用を有する薬剤(選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)[出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること(本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される)]。
3). 血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t-PA製剤(アルテプラーゼ等))[出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること(本剤の抗凝固作用とフィブリン溶解作用により相加的に出血傾向が増強される)]。
4). フルコナゾール、ホスフルコナゾール:①. フルコナゾール、ホスフルコナゾール〔16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が上昇したとの報告があるので、深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間は、治療上やむを得ないと判断された場合を除き、これらの薬剤との併用を避けること(フルコナゾールがCYP3A4を阻害することにより本剤のクリアランスが減少するおそれがある)]。
②. フルコナゾール、ホスフルコナゾール〔16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が上昇したとの報告があるので、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、並びに深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症患者における初期3週間治療後の再発抑制では、本剤10mg1日1回投与を考慮する、あるいは治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、本剤の投与が適切と判断される患者にのみ併用すること(フルコナゾールがCYP3A4を阻害することにより本剤のクリアランスが減少するおそれがある)]。
5). クラリスロマイシン、エリスロマイシン:①. クラリスロマイシン、エリスロマイシン〔16.7.3参照〕[本剤の血中濃度が上昇したとの報告があるので、深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間は、治療上やむを得ないと判断された場合を除き、これらの薬剤との併用を避けること(これらの薬剤がCYP3A4及びP-糖タンパクを阻害することにより本剤のクリアランスが減少する)]。
②. クラリスロマイシン、エリスロマイシン〔16.7.3参照〕[本剤の血中濃度が上昇したとの報告があるので、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、並びに深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症患者における初期3週間治療後の再発抑制では、本剤10mg1日1回投与を考慮する、あるいは治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、本剤の投与が適切と判断される患者にのみ併用すること(これらの薬剤がCYP3A4及びP-糖タンパクを阻害することにより本剤のクリアランスが減少する)]。
6). リファンピシン〔16.7.4参照〕[本剤の血中濃度が低下し抗凝固作用が減弱したとの報告がある(リファンピシンがCYP3A4を強力に誘導し、P-糖タンパクを誘導することにより本剤のクリアランスが増加する)]。
7). フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)[本剤の血中濃度が低下するおそれがある(これらの薬剤等がCYP3A4を強力に誘導することにより本剤のクリアランスが増加する)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 出血:頭蓋内出血(0.09%)、脳出血(0.06%)、出血性卒中(0.06%)、眼出血(0.23%)、網膜出血(0.08%)、直腸出血(1.25%)、胃腸出血(0.74%)、メレナ(0.53%)、上部消化管出血(0.36%)、下部消化管出血(0.21%)、出血性胃潰瘍(0.14%)、関節内出血(0.16%)、コンパートメント症候群を伴う筋肉内出血(0.01%)等の重篤な出血があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されているので、重篤な出血等の異常が認められた場合は投与を中止すること。
なお、出血に伴う合併症として、ショック、腎不全、呼吸困難、浮腫、頭痛、浮動性めまい、蒼白、脱力感があらわれることがある。また、一部の例では貧血の結果として胸痛又は狭心症様の心虚血症状があらわれている〔1.1、2.2、8.1-8.5、9.1.1参照〕。
11.1.2. 肝機能障害・黄疸:ALT上昇、AST上昇を伴う肝機能障害(0.1~1%未満)、黄疸(頻度不明)があらわれることがある。
11.1.3. 間質性肺疾患(頻度不明):血痰、肺胞出血を伴う場合もあるので、咳嗽、血痰、息切れ、呼吸困難、発熱、肺音異常等が認められた場合には、速やかに胸部X線、速やかに胸部CT、速やかに血清マーカー等の検査を実施すること(間質性肺疾患が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等を行うこと)〔8.7参照〕。
11.1.4. 血小板減少(頻度不明)。
11.1.5. 急性腎障害(頻度不明):経口抗凝固薬の投与後に急性腎障害があらわれることがある。経口抗凝固薬投与後の急性腎障害の中には、血尿を認めるもの、腎生検により尿細管内赤血球円柱を多数認めるものが報告されている。
- 11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(0.1~1%未満)頭痛、浮動性めまい、不眠、(0.1%未満)失神。
2). 感覚器:(1~10%未満)結膜出血、(0.1%未満)耳出血。
3). 消化器:(1~10%未満)歯肉出血、(0.1~1%未満)肛門出血、下痢、悪心、口腔内出血、血便、腹痛、便潜血、上腹部痛、消化不良、便秘、嘔吐、吐血、口内乾燥、胃食道逆流性疾患、胃炎、(0.1%未満)痔核、アミラーゼ上昇、リパーゼ上昇。
4). 循環器:(1~10%未満)血腫、(0.1%未満)頻脈、低血圧、(頻度不明)血管偽動脈瘤形成。
5). 呼吸器:(1~10%未満)鼻出血、喀血、(0.1~1%未満)呼吸困難。
6). 血液:(1~10%未満)貧血、(0.1~1%未満)INR増加、ヘモグロビン減少、鉄欠乏性貧血、(0.1%未満)血小板増加症(血小板数増加等)。
7). 肝臓:(0.1~1%未満)ALT上昇、AST上昇、血中ビリルビン上昇、Al-P上昇、(0.1%未満)γ-GTP上昇、直接ビリルビン上昇、(頻度不明)LDH上昇。
8). 腎臓:(1~10%未満)血尿、(0.1~1%未満)尿中血陽性、(0.1%未満)尿路出血、腎クレアチニン・クリアランス減少、血中クレアチニン上昇、腎機能障害、BUN上昇。
9). 生殖器:(1~10%未満)月経過多、(0.1~1%未満)性器出血。
10). 筋・骨格系:(0.1~1%未満)四肢痛、関節痛、(0.1%未満)筋肉内出血。
11). 皮膚:(1~10%未満)斑状出血、(0.1~1%未満)皮下出血、皮下血腫、脱毛、皮膚裂傷、(0.1%未満)擦過傷。
12). 過敏症:(0.1~1%未満)発疹、そう痒、アレルギー性皮膚炎、(0.1%未満)じん麻疹(全身性そう痒症等)、アレルギー反応、血管浮腫。
13). その他:(1~10%未満)挫傷、(0.1~1%未満)創傷出血、処置後出血、無力症、末梢性浮腫、食欲減退、疲労、(0.1%未満)限局性浮腫、倦怠感、創部分泌、発熱、硬膜下血腫。
- 高齢者
- 高齢者:一般に腎機能などの生理機能が低下している。なお、非弁膜症性心房細動患者を対象とした国内第3相試験において75歳以上の非弁膜症性心房細動患者では75歳未満の患者と比較し、重大な出血及び重大ではないが臨床的に問題となる出血の発現率が高かった。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験で胎盤通過性(ラット)、子宮内出血、母動物に毒性があらわれる用量で総奇形発生率増加(ウサギ)、死産増加等の胚毒性・胎仔毒性、出生仔生存率低下及び一般状態悪化(ラット)が報告されている)〔2.5参照〕。
授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット、経口投与)で乳汁中に移行することが報告されており、ヒトの母乳中に移行することが報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 海外において実施されたLA・aCL・抗β2GP1抗体のいずれもが陽性で血栓症の既往があるAPS患者を対象とした本剤とワルファリンの非盲検無作為化試験において、血栓塞栓性イベント再発が、ワルファリン群61例では認められなかったのに対し、本剤群では59例中7例に認められた(LA:ループスアンチコアグラント、aCL:抗カルジオリピン抗体、抗β2GP1抗体:抗β2グリコプロテイン1抗体、APS:抗リン脂質抗体症候群)。
15.1.2. 海外において実施された適応外の経カテーテル的大動脈弁置換術後1~7日後の患者を対象に本剤または抗血小板薬による治療を比較した試験において、抗血小板薬群に比較して本剤群で死亡及び血栓塞栓事象が多く認められたとの報告がある。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人若年健康成人男子32例にリバーロキサバン5、10、20又は40mg注)を空腹時に単回経口投与した際、血漿中未変化体濃度は投与後0.5~4時間に最高血漿中濃度(Cmax)に達した。リバーロキサバンの1回用量の範囲において、投与量に応じた曝露量の増加が認められた。[13.2参照]
→図表を見る(PDF)
16.1.2 反復投与
日本人高齢男女36例に、リバーロキサバン10、15又は20mg注)を1日1回7日間食後に反復経口投与した際、初回投与時と比較し薬物動態特性に大きな変動はなく、蓄積性も認められなかった。[13.2参照]
→図表を見る(PDF)
症候性深部静脈血栓症(DVT)患者及び肺塞栓症(PE)患者を対象とした国内第III相試験の血漿中濃度を用いた母集団薬物動態解析による薬物動態パラメータ(推定値)は、次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
リバーロキサバン5mg及び20mg注)を空腹時に経口投与した際、絶対的バイオアベイラビリティはそれぞれ112%及び66%であった(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
(1)リバーロキサバン20mg注)を食後に投与した際、AUCは空腹時投与した際と比較し39%増加した(外国人データ)。
(2)日本人若年健康成人男子11例に、リバーロキサバン15mgを空腹時及び食後に単回経口投与した際、食後投与時にはtmaxの遅延が認められたが、AUC、Cmaxに影響は認められなかった。
16.3 分布
16.3.1 分布容積
リバーロキサバンを静脈内投与した際、分布容積(Vss)は約50Lであった(外国人データ)。
16.3.2 タンパク結合率
In vitro試験において、リバーロキサバンは血漿タンパクと高い結合能を示し、ヒト血漿タンパク結合率は約92~95%であった。主にアルブミンに結合する。
16.4 代謝
リバーロキサバンは主にCYP3A4及びCYP2J2による代謝経路により代謝され、主要な代謝物はモルホリノン環の酸化分解体及びアミド結合の加水分解体である。In vitro試験において、リバーロキサバンが輸送タンパクであるP‐糖タンパク(P‐gp)及び乳癌耐性タンパク(BCRP)の基質であることが示されている。[10.参照]
16.5 排泄
リバーロキサバンを静脈内投与した際、全身クリアランスは約10L/hであり、投与量の42%が未変化体のまま腎排泄された。健康成人男子4例に[14C]リバーロキサバン10mgを単回経口投与した際、投与量の約2/3は不活性代謝物として尿中及び糞中に排泄され、残りの約1/3が未変化体のまま腎排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎障害患者
軽度(クレアチニンクリアランス(CLcr):50~79mL/min)、中等度(CLcr:30~49mL/min)及び重度(CLcr:15~29mL/min)の腎障害のある患者各8例にリバーロキサバン10mgを空腹時単回経口投与した場合、健康被験者と比較しAUCはそれぞれ1.4、1.5及び1.6倍に上昇した。第Xa因子活性阻害率は1.5、1.9及び2.0倍に増加し、プロトロンビン時間(PT(秒))も1.3、2.2及び2.4倍延長した。CLcrが15mL/min未満の患者における検討は実施していない(外国人データ)。[2.11、2.12、7.1、7.2、9.2.1-9.2.3参照]
16.6.2 肝障害患者
軽度の肝障害のある肝硬変患者(Child‐Pugh分類A8例)では、リバーロキサバン10mgを投与した際の薬物動態は健康被験者と比較してほぼ同様であり(AUCは1.2倍上昇)、薬力学的効果に差は認められなかった。中等度の肝障害のある肝硬変患者(Child‐Pugh分類B8例)では健康被験者と比較してAUCが2.3倍上昇した。なお、非結合型のAUCは2.6倍上昇した。第Xa因子活性阻害率は2.6倍増加し、PT(秒)も2.1倍延長した。Child‐Pugh分類Cの患者における検討は実施していない(外国人データ)。[2.4、9.3.2参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 リトナビル
健康成人男子12例にリトナビル600mgとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンのAUCは2.5倍、Cmaxは1.6倍上昇し抗凝固作用が増強された(外国人データ)。[2.6、10.1参照]
16.7.2 ケトコナゾール・フルコナゾール
健康成人男子20例にケトコナゾール400mgとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンのAUCは2.6倍、Cmaxは1.7倍上昇し抗凝固作用が増強された(外国人データ)。[2.8、10.1参照]
健康成人男子13例にフルコナゾール400mgとリバーロキサバン20mg注)を併用投与した際、リバーロキサバンのAUCは1.4倍、Cmaxは1.3倍上昇した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 クラリスロマイシン・エリスロマイシン
健康成人男子15例にクラリスロマイシン500mgとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンのAUCは1.5倍、Cmaxは1.4倍上昇した(外国人データ)。[10.2参照]
健康成人男子15例にエリスロマイシン500mgとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンのAUC及びCmaxともに1.3倍上昇した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.4 リファンピシン
健康成人男子18例にリファンピシン(開始用量150mgより600mgまで漸増)とリバーロキサバン20mg注)を併用投与した際、リバーロキサバンのAUCが約50%低下し、それに伴い抗凝固作用も減弱した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.5 エノキサパリン
健康成人男子10例にエノキサパリン4000IUとリバーロキサバン10mgを併用投与した際、リバーロキサバンの薬物動態に影響はなかった。抗第Xa因子活性は相加的に増加したが、PT及びaPTTには影響は認められなかった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.6 アスピリン
健康成人男子13例にアスピリン500mgを投与した翌日にアスピリン100mgとリバーロキサバン15mgを併用投与した際、リバーロキサバンの薬物動態及び抗凝固作用に影響は認められなかった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.7 クロピドグレル
健康成人男子11例にクロピドグレル300mgを投与した翌日にクロピドグレル75mgとリバーロキサバン15mgを併用投与した際、リバーロキサバンの薬物動態に影響は認められなかった。別の試験において一部の被験者に出血時間の延長が認められたとの報告がある(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.8 ナプロキセン
健康成人男子11例にナプロキセン500mg1日1回反復投与時にリバーロキサバン15mgを併用投与した際、出血時間の延長は認められなかったが、一部の被験者において抗凝固作用の増強が認められた(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.9 ワルファリン
日本人健康成人男子12例(VKORC1遺伝子1639位のAアレルがホモ接合体を有している被験者)にワルファリンを反復投与し、PT‐INRが2.0~3.0に到達した後に、リバーロキサバン15mgを1日1回反復投与に切り替えた際、aPTT、第Xa因子活性阻害及び内在性トロンビン産生能(ETP)への影響は相加的であったが、PT及びPT‐INRのピーク値はリバーロキサバン単独投与時と比較しそれぞれ2.3倍及び2.9倍になった。リバーロキサバン投与開始後3日目には、ワルファリンの影響は消失した。なお、薬物動態に相互作用は認められなかった。[8.6、8.12、10.2参照]
16.7.10 その他の薬剤
ミダゾラム、ジゴキシン及びアトルバスタチンとリバーロキサバンの併用による薬物相互作用試験を実施したが、薬物動態学的相互作用は認められず、制酸剤(水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム配合剤)、ラニチジン及びオメプラゾールは、リバーロキサバンの薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
注)本剤の承認用法・用量は、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」では15mg1日1回投与である。なお、腎機能の程度に応じて減量する場合は、10mg1日1回投与である。「静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制」では、発症後の初期3週間は15mg1日2回投与、その後は15mg1日1回投与である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
17.1.1 国内第III相試験
非弁膜症性心房細動患者を対象に、リバーロキサバン錠と用量調節ワルファリンの有効性及び安全性を比較検討する多施設共同、無作為化、ダブルダミー法による、二重盲検、実薬対照、並行群間比較試験(J‐ROCKET AF試験)が実施された。
非弁膜症性心房細動患者1278例(安全性解析対象例数)に対してリバーロキサバン15mg(CLcr:30~49mL/minの患者には10mg)1日1回(QD)又はワルファリンカリウム(目標PT‐INR:70歳未満は2.0~3.0、70歳以上は1.6~2.6)が夕食後に投与された。平均投与期間はリバーロキサバン群498.9日、ワルファリン群481.1日であった。有効性主要評価項目はリバーロキサバン群637例中11例、ワルファリン群637例中22例に認められ、年間イベント発現率はそれぞれ1.26及び2.61(/100患者年)であった(ハザード比(HR):0.49、95%信頼区間(CI):0.24~1.00、per protocol解析対象集団、治験薬投与下)。
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安全性主要評価項目の年間イベント発現率はそれぞれ18.04及び16.42(/100患者年)であり、リバーロキサバンのワルファリンに対する非劣性が検証された(HR:1.11、95%CI:0.87~1.42、非劣性の許容限界値:HR2.0)。
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副作用(臨床検査値異常を含む)は639例中326例(51.0%)に認められ、主な副作用は、鼻出血88例(13.8%)、皮下出血50例(7.8%)、歯肉出血40例(6.3%)、血尿24例(3.8%)、結膜出血23例(3.6%)、尿中血陽性18例(2.8%)、貧血17例(2.7%)、創傷出血15例(2.3%)、喀血14例(2.2%)、口腔内出血12例(1.9%)、痔出血11例(1.7%)、便潜血陽性9例(1.4%)、網膜出血7例(1.1%)、メレナ7例(1.1%)、便潜血7例(1.1%)、出血7例(1.1%)等であった。
17.1.2 海外第III相試験
非弁膜症性心房細動患者を対象に、リバーロキサバン錠と用量調節ワルファリンの有効性及び安全性を比較検討する多施設共同、無作為化、ダブルダミー法による、二重盲検、実薬対照、並行群間比較試験(ROCKET AF試験)が実施された。
非弁膜症性心房細動患者14236例(安全性解析対象例数)に対してリバーロキサバン20mg(CLcr:30~49mL/minの患者には15mg)QD注)又はワルファリンナトリウム(PT‐INR:2.0~3.0)が夕食後に投与された。平均投与期間はリバーロキサバン群572.2日、ワルファリン群579.9日であった。有効性主要評価項目はリバーロキサバン群6958例中188例、ワルファリン群7004例中241例に認められ、年間イベント発現率はそれぞれ1.71及び2.16(/100患者年)であり、リバーロキサバンのワルファリンに対する非劣性が検証された(HR:0.79、95%CI:0.66~0.96、非劣性の許容限界値:HR1.46、per protocol解析対象集団、治験薬投与下)。
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安全性に関しては、次の成績が得られた。
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副作用(臨床検査値異常を含む)は7111例中2096例(29.5%)に認められ、主な副作用は、鼻出血537例(7.6%)、歯肉出血196例(2.8%)、血尿195例(2.7%)、血腫124例(1.7%)、斑状出血117例(1.6%)、挫傷94例(1.3%)、貧血92例(1.3%)、直腸出血89例(1.3%)、胃腸出血81例(1.1%)、結膜出血77例(1.1%)等であった。
〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉
17.1.3 国内第III相試験
急性症候性DVT又はPE患者を対象に、リバーロキサバン錠の有効性及び安全性を検討する多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、並行群間比較試験(J‐EINSTEIN‐DVT及び‐PE試験)が実施された。
症候性の急性DVT患者59例(安全性解析対象例数)中22例及び25例に対して、初期3週間はリバーロキサバン10mg又は15mg1日2回(BID)、その後は15mgQDが、急性症候性PE患者37例(安全性解析対象例数)中30例に対して、初期3週間はリバーロキサバン15mgBID、その後は15mgQDがいずれも食後に投与された。対照薬として最低初期5日間未分画ヘパリン(aPTT:正常対照の1.5~2.5倍)静注との併用下でワルファリンカリウム(目標PT‐INR:1.5~2.5)が投与された※。投与期間は医師の判断により3、6又は12ヵ月に決定された。平均投与期間は、急性DVT患者でリバーロキサバン10mgBID→15mgQD群191.8日、15mgBID→15mgQD群186.8日、対照薬群192.1日であり、急性PE患者でリバーロキサバン群204.7日、対照薬群213.0日であった。有効性評価項目及び出血事象等は盲検下で評価された。
※:抗凝固療法の開始が必要な場合、治験薬投与開始前48時間以内の非経口抗凝固薬(未分画ヘパリン又はフォンダパリヌクス)の投与は可とした。急性DVT患者では、リバーロキサバン10mgBID→15mgQD群の23例中13例、リバーロキサバン15mgBID→15mgQD群の25例中15例及び対照薬群の12例中7例で、急性PE患者では、リバーロキサバン群の30例中28例、対照薬群7例中6例で非経口抗凝固薬の前投与があった(ITT解析対象集団)。なお、未分画ヘパリンの前投与があった場合、治験薬投与開始は未分画ヘパリンの投与終了後4時間以降に行い、フォンダパリヌクスの前投与があった場合、治験薬投与開始はフォンダパリヌクスの投与終了後12~24時間の間に行うとの規定を設けた。
有効性主要評価項目(症候性DVT又はPEの複合エンドポイント)は、急性DVT患者ではリバーロキサバン15mgBID→15mgQD群の25例中1例(4.0%)にPEが認められ、他群には認められなかった。急性PE患者ではリバーロキサバン群30例及び対照薬群7例のいずれにおいても、有効性主要評価項目の発現は認められなかった(ITT解析対象集団)。
安全性に関しては、次の成績が得られた。
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副作用(臨床検査値異常を含む)はリバーロキサバン10mg又は15mgの1日2回3週間投与後に15mgが1日1回投与されたDVT患者22例中8例(36.4%)及び25例中7例(28.0%)、並びにリバーロキサバン15mgの1日2回3週間投与後に15mgが1日1回投与されたPE患者30例中15例(50.0%)に認められた。合計77例中30例(39.0%)に認められた副作用で主なものは皮下出血8例(10.4%)、鼻出血6例(7.8%)、血便排泄4例(5.2%)等であった。
17.1.4 海外第III相試験
急性症候性DVT又はPE患者を対象に、リバーロキサバン錠の有効性及び安全性を検討する多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、並行群間比較試験(EINSTEIN‐DVT及び‐PE試験)が実施された。
症候性の急性DVT患者3429例及び急性PE患者4817例(安全性解析対象例数)に対して、初期3週間はリバーロキサバン15mgBID、その後は20mgQD注)が食後に投与、又は最低初期5日間エノキサパリンナトリウム1mg/kgBID皮下注との併用下でビタミンK拮抗薬(目標PT‐INR:2.0~3.0)の標準治療が対照薬として投与された※。投与期間は医師の判断により3、6又は12ヵ月に決定された。平均投与期間は、急性DVT患者でリバーロキサバン群194.4日、対照薬群188.2日、急性PE患者でリバーロキサバン群216.9日、対照薬群214.9日であった。有効性評価項目及び出血事象等は盲検下で評価された。
※:抗凝固療法の開始が必要な場合、治験薬投与開始前48時間以内の非経口抗凝固薬(ヘパリン又はフォンダパリヌクス)の投与は可とした。急性DVT患者では、リバーロキサバン群の1731例中1264例及び対照薬群の1718例中1213例で、急性PE患者では、リバーロキサバン群の2419例中2237例、対照薬群2413例中2223例で非経口抗凝固薬の前投与があった(ITT解析対象集団)。なお、ヘパリンの前投与があった場合、治験薬投与開始は未分画ヘパリンの投与終了後4時間以降、低分子量ヘパリンの1日2回投与終了後6~12時間の間又は1日1回投与終了後12~24時間の間に行い、フォンダパリヌクスの前投与があった場合、治験薬投与開始はフォンダパリヌクスの投与終了後12~24時間の間に行うとの規定を設けた。
有効性主要評価項目の発現頻度は、急性DVT患者ではリバーロキサバン群2.1%、対照薬群3.0%(HR:0.68、95%CI:0.44~1.04)、急性PE患者ではそれぞれ2.1%及び1.8%であり、いずれにおいてもリバーロキサバンの標準治療に対する非劣性が検証された(HR:1.12、95%CI:0.75~1.68、非劣性の許容限界値:DVT及びPEともHR2.0、ITT解析対象集団)。
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急性DVT患者では、安全性主要評価項目の発現頻度はリバーロキサバン群8.1%、対照薬群8.1%(HR:0.97、95%CI:0.76~1.22)、「重大な出血」の発現頻度はそれぞれ0.8%及び1.2%であった(HR:0.65、95%CI:0.33~1.28)。急性PE患者では、安全性主要評価項目の発現頻度はリバーロキサバン群10.3%、対照薬群11.4%(HR:0.90、95%CI:0.76~1.07)、「重大な出血」の発現頻度はそれぞれ1.1%及び2.2%であった(HR:0.49、95%CI:0.31~0.79)。
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副作用(臨床検査値異常を含む)はリバーロキサバン15mgの1日2回3週間投与後に20mgが1日1回投与されたDVT患者1718例及びPE患者2412例にそれぞれ401例(23.3%)及び776例(32.2%)に認められた。合計4130例中1177例(28.5%)に認められた副作用で主なものは、鼻出血240例(5.8%)、月経過多101例(2.4%)、挫傷81例(2.0%)、歯肉出血77例(1.9%)、血尿76例(1.8%)、喀血75例(1.8%)、直腸出血66例(1.6%)、血腫60例(1.5%)、頭痛56例(1.4%)、腟出血44例(1.1%)等であった。
本試験では、55歳未満の女性におけるリバーロキサバンとの因果関係が否定できない月経過多の発現頻度が12.4%(100例/804例)であった。
注)本剤の承認用法・用量は、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」では15mg1日1回投与である。なお、腎機能の程度に応じて減量する場合は、10mg1日1回投与である。「静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制」では、発症後の初期3週間は15mg1日2回投与、その後は15mg1日1回投与である。
18.1 作用機序
リバーロキサバンは、選択的かつ直接的第Xa因子阻害剤であり、経口投与で効果を示す。内因系及び外因系血液凝固カスケード中の第Xa因子をリバーロキサバンが阻害することで、トロンビン産生及び血栓形成が抑制される。リバーロキサバンはトロンビンを阻害せず、また血小板に対する直接作用を有さない。
18.2 抗血栓効果
リバーロキサバンは、マウス、ラット又はウサギの静脈及び動脈血栓症モデルにおいて、用量依存的に血栓形成を抑制した。また、ウサギ静脈血栓症モデルにおいて、血栓形成後の血栓の増大を抑制した。
- 一包可:不明
バラ包装
- 分割:可能
- 粉砕:可能
粉砕後試験:湿度・光条件→水分増加
- 製造販売会社
- バイエル ライフサイエンス
- 販売会社
- 第一三共エスファ
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