アリクストラ皮下注1.5mg
添付文書情報2023年09月改定(第1版)
商品情報
- 警告
- 脊椎・硬膜外麻酔との併用あるいは腰椎穿刺との併用等により、穿刺部位血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがあるので、併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと〔7.3参照〕。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 出血している患者(後腹膜出血、頭蓋内出血、脊椎内出血、あるいは他の重要器官における出血等)[出血を助長するおそれがある]。
2.3. 急性細菌性心内膜炎の患者[血栓剥離に伴う血栓塞栓様症状を呈するおそれがある]。
2.4. 重度腎障害(クレアチニンクリアランス20mL/min未満)のある患者〔9.2.1、16.6.1参照〕。
- 効能・効果
- 静脈血栓塞栓症の発現リスクの高い、次の患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制:下肢整形外科手術施行患者、腹部手術施行患者。
(効能又は効果に関連する注意)
腹部手術のうち帝王切開術施行患者における有効性・安全性は確立していないため、これらの患者に投与する場合には、リスクとベネフィットを十分考慮すること(使用経験は少ない)。
- 用法・用量
- 通常、成人には、フォンダパリヌクスナトリウムとして2.5mgを1日1回皮下投与する。なお、腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて1.5mg1日1回に減量する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤は皮下注射のみに使用し、筋肉内投与はしないこと。
7.2. 本剤の初回投与は、手術後24時間を経過し、手術創等からの出血がないことを確認してから行うこと、また、投与後に患者の状態を十分に観察できるよう、夜間等に初回投与がなされないように配慮することが望ましい(なお、海外臨床試験において手術後6時間以内に本剤を投与したとき、出血の危険性が増大したとの報告がある)。
7.3. 本剤の初回投与は、硬膜外カテーテル抜去あるいは腰椎穿刺から少なくとも2時間を経過してから行い、また、初回投与以降にこれらの処置を行う場合には、前回投与から十分な時間をあけ、かつ、予定した次回の投与の少なくとも2時間以上前に実施すること〔1.警告の項参照〕。
7.4. 2回目以降の投与は、1日1回ほぼ一定の時刻に投与することが望ましいが、投与時刻を変更する場合には、前回の投与から少なくとも12時間以上の間隔をあけて投与すること。
7.5. 本剤投与中は、臨床症状の観察や超音波検査等により、血栓塞栓症の有無を観察し、十分な歩行が可能となり静脈血栓塞栓症のリスクが減少するまで本剤を継続投与すること。なお、下肢整形外科手術施行患者では15日間以上投与した場合の有効性及び安全性は、国内臨床試験においては検討されていない、腹部手術施行患者では9日間以上投与した場合の有効性及び安全性は、国内臨床試験においては検討されていない。
7.6. クレアチニンクリアランス20~30mL/minの患者では、フォンダパリヌクスナトリウムとして1.5mgを1日1回皮下投与、クレアチニンクリアランス30~50mL/minの患者ではフォンダパリヌクスナトリウムとして2.5mgを1日1回皮下投与あるいはクレアチニンクリアランス30~50mL/minの患者で出血の危険性が高いと考えられる場合にはフォンダパリヌクスナトリウムとして1.5mgを1日1回皮下投与すること(外国人における成績による)〔9.2.2、16.6.1参照〕。
- 肝機能障害患者
- 8.1. プロトロンビン時間(PT-INR)及び活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)等の通常の凝固能検査は、本剤に対する感度が比較的低く、薬効をモニタリングする指標とはならないので、臨床症状を注意深く観察し、出血等がみられた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔18.5参照〕。
8.2. 本剤の使用にあたっては、個々の患者の出血リスク、体重、年齢、症状(手術後の腎機能の低下、血行動態等の心機能、尿量等)を踏まえ、観察を十分に行い、出血等の異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
8.3. 出血等の副作用を生じることがあるので、必要に応じて血算(ヘモグロビン値及び血小板数)及び便潜血検査等の臨床検査を実施することが望ましい〔11.1.1参照〕。
8.4. 血小板減少症が起こることがあるので、1週間に1回程度は臨床検査を実施するなど観察を十分に行い、急激な血小板数減少がみられた場合には、投与を中止すること。
8.5. 「高リスク」以上の婦人科手術施行患者に対する使用経験が少ないため、これらの患者に投与する場合には、患者の状態を十分に観察すること。
8.6. 本剤の注射針カバーは天然ゴムラテックスを含み、アレルギー反応を起こすことがあるので、投与に際し、問診を行うこと。また、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
9.1.1. 出血する可能性が高い患者(出血傾向のある患者、消化管潰瘍の患者、頭蓋内出血後又は脳脊髄の手術後日の浅い患者や眼の手術後日の浅い患者等):出血を生じるおそれがある。
9.1.2. 低体重の患者:本剤の全身クリアランスは体重の低下に伴って低下する傾向がみられるため、低体重の患者に投与する場合には本剤の血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある(海外臨床試験において、体重50kg未満の患者に出血の危険性が増大したとの報告があり、なお、国内臨床試験においては、体重40kg未満の患者への使用経験がほとんどない)。
9.1.3. ヘパリン起因性血小板減少症2型(HIT2型)の既往のある患者:HIT抗体との交差反応性は認められていないが、使用経験が少なく、安全性は確立していない〔18.4参照〕。
9.2.1. 重度腎障害(クレアチニンクリアランス20mL/min未満)のある患者:投与しないこと(本剤は腎臓を介して排泄されるので、血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある)〔2.4、16.6.1参照〕。
9.2.2. 中等度腎障害又は軽度腎障害のある患者:本剤は腎臓を介して排泄されるので、血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある〔7.6、16.6.1参照〕。
9.3.1. 重度肝障害のある患者:凝固因子の産生が低下していることがあるので、出血の危険性が増大するおそれがある。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:抗凝固剤(ヘパリン、低分子ヘパリン、ワルファリン等)、血小板凝集抑制作用を有する薬剤(アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン塩酸塩等)、血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t-PA製剤等)[これらの薬剤との併用により、出血の危険性を増大させるおそれがあるので、併用する場合には、患者の状態を十分に観察するなど注意すること(相互に抗凝固作用を増強することが考えられる)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 出血(5.8%):まれに後腹膜出血、頭蓋内出血・脳内出血を生じるおそれがある〔8.3参照〕。
11.1.2. 肝機能障害(10.0%)、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。
11.1.3. ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明):血圧低下、頻脈、蕁麻疹等があらわれることがある。
- 11.2. その他の副作用
1). 血液:(5%以上)血小板数増加、(1~5%未満)貧血、(1%未満)凝固障害、血小板減少症、(頻度不明)紫斑、血小板異常。
2). 肝臓:(5%以上)肝機能障害、(1%未満)高ビリルビン血症。
3). 精神神経系:(1%未満)頭痛、めまい、不安、傾眠、(頻度不明)錯乱。
4). 循環器:(1%未満)低血圧。
5). 消化器:(1%未満)便秘、消化不良、下痢、嘔気、腹痛、嘔吐、胃炎。
6). 皮膚:(1~5%未満)発疹、(1%未満)皮膚そう痒。
7). 注射部位:(頻度不明)局所反応。
8). 全身症状:(1~5%未満)発熱、(1%未満)浮腫、胸痛、下肢痛、潮紅、疲労、(頻度不明)失神。
9). その他:(1%未満)咳嗽、創部分泌、手術部位感染、低カリウム血症、(頻度不明)アレルギー反応、呼吸困難。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に腎機能が低下し本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ヒト胎盤を用いたin vitro試験では胎盤通過性はみられていないものの、妊娠ラットの反復静脈内投与試験では、わずかに胎仔への移行が確認されている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ラットにおいて乳汁への移行が報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意本剤は1回投与分の規定量を充填したプレフィルドシリンジである。シリンジから気泡を除去する際に薬液を減じるおそれがあるので、気泡を除去しないことが望ましいが、もし除去する場合には、薬液を減じないよう注意すること。
14.2. 薬剤投与時の注意連日皮下注射する場合には、例えば左右の前側腹部と後側腹部に交互に投与するなど、注射部位を変えて行うこと。
内容液に着色や浮遊物等の異常が認められないことを確認すること。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人にフォンダパリヌクスナトリウム0.75、2.5、8mg注)を単回皮下投与した時の薬物動態パラメータ及び血中濃度推移は次のとおりであった。フォンダパリヌクスは皮下投与後速やかに吸収され、投与後約2時間で最高血中濃度に達し、消失半減期は約14~17時間であった。
単回皮下投与した時の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
単回皮下投与した時の血中フォンダパリヌクス濃度推移(Mean±SD、n=6)
フォンダパリヌクスナトリウム0.75~8mg注)の単回皮下投与において、フォンダパリヌクスの薬物動態はほぼ線形性を示した。
16.1.2 反復投与
健康高齢者にフォンダパリヌクスナトリウム0.75~3mg注)を1日1回反復皮下投与した結果、フォンダパリヌクスは投与3日目に定常状態に到達し、反復投与による薬物動態の変化はみられなかった。
16.2 吸収
健康成人男性にフォンダパリヌクスナトリウムを8mg注)まで皮下投与した時の吸収は速やかで、2.5mgを単回皮下投与した時のtmaxは約2時間、Cmaxは0.335mg/L、AUC0-∞は6.62mg・hr/Lであった。tmaxは各用量でほぼ類似しており、8mg注)でCmaxは用量比例値よりわずかに低い値を示したが、Cmax及びAUCは用量の増加にほぼ比例して増加した。2.5mgを単回皮下投与した時の絶対的生物学的利用率は101%であった。
16.3 分布
健康成人に本剤を単回で皮下及び静脈内投与した時の分布容積は7~10Lであり、両投与間に差は認められず、フォンダパリヌクスの大部分が血液に分布することが示された。
臨床血中濃度(2μg/mL以下)での血漿蛋白結合率は97~98.6%であり、フォンダパリヌクスは主に血漿中のアンチトロンビンIII(ATIII)と結合した。
16.4 代謝
フォンダパリヌクスナトリウムはCYP1A2、2A6、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4活性を阻害しない(in vitro)。
16.5 排泄
フォンダパリヌクスナトリウムは皮下投与後、投与量の大部分が未変化体のまま尿中に排泄される。健康成人に単回皮下投与した時の投与後120時間までのフォンダパリヌクスの尿中排泄率(投与量に対する%)は、約80%であった。
下肢整形外科手術施行患者を対象とした海外臨床試験における母集団薬物動態解析の結果、フォンダパリヌクスの全身クリアランスは体重の低下に伴って低下する傾向がみられた。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害患者にフォンダパリヌクスナトリウム4mgを単回静脈内投与注)した結果、クレアチニンクリアランスの低下に伴いフォンダパリヌクスのAUC0-∞が増加し、消失半減期は延長した(外国人データ)。
4mg単回静脈内投与時の腎機能別の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
下肢整形外科手術施行患者を、クレアチニンクリアランスを指標として3段階(50mL/min未満、50mL/min以上80mL/min以下、80mL/min超)に分け母集団薬物動態解析した結果、80mL/min超の患者に対する全身クリアランスは、50mL/min以上80mL/min以下の患者で20~28%、50mL/min未満の患者で37~57%低下した(外国人データ)。[2.4、7.6、9.2.1、9.2.2参照]
16.6.2 肝機能障害患者
中等度肝機能障害患者にフォンダパリヌクスナトリウム7.5mg注)を単回皮下投与した時の薬物動態は、肝機能による影響を受けなかった(外国人データ)。
16.6.3 高齢者
健康高齢者にフォンダパリヌクスナトリウム2.5mgを単回皮下投与した時の薬物動態は、健康成人とほぼ類似していた。
16.7 薬物相互作用
ワルファリン、アスピリン、ピロキシカム(NSAID)、又はジゴキシンと併用投与した時、フォンダパリヌクスナトリウムはいずれの併用薬物の血液凝固系の薬力学活性パラメータにも影響を及ぼさず、またジゴキシンの薬物動態にも影響を与えなかった。また、フォンダパリヌクスの薬物動態は、いずれの併用薬物による影響も受けなかった(外国人データ)。
注)本剤の承認された用法・用量は、2.5mgを1日1回皮下投与、腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて1.5mgを1日1回皮下投与である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈下肢整形外科手術施行患者〉
17.1.1 国内第II/III相試験
待機的膝関節全置換術施行患者426例を対象として、フォンダパリヌクスナトリウム0.75、1.5、2.5、3.0mg注)又はプラセボを1日1回10~14日間皮下投与した。各投与群における静脈血栓塞栓症の発現頻度は、フォンダパリヌクスナトリウム0.75mg群で34.2%、1.5mg群で21.3%、2.5mg群で16.2%、3.0mg群で9.5%、プラセボ群で65.3%であり、フォンダパリヌクスナトリウム群ではプラセボ群に比べて有意に静脈血栓塞栓症の発現頻度が減少した。
膝関節全置換術施行患者における静脈血栓塞栓症の発現頻度
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なお、Major bleedingはフォンダパリヌクスナトリウム2.5mg群で1例、3.0mg群で1例、プラセボ群で1例に認められたが、その内訳は、2単位以上の輸血を必要とした症例が2例(2.5mg群、3.0mg群各1例)、2単位以上の輸血を必要とし、かつヘモグロビン値が2g/dL以上低下した症例が1例(プラセボ群)であり、フォンダパリヌクスナトリウム群とプラセボ群に有意な差は認められなかった。
17.1.2 国内第II/III相試験
待機的股関節全置換術施行患者406例を対象として、フォンダパリヌクスナトリウム0.75、1.5、2.5、3.0mg注)又はプラセボを1日1回10~14日間皮下投与した。各投与群における静脈血栓塞栓症の発現頻度は、フォンダパリヌクスナトリウム0.75mg群で24.2%、1.5mg群で4.6%、2.5mg群で7.4%、3.0mg群で14.3%、プラセボ群で33.8%であり、0.75mg群を除き、フォンダパリヌクスナトリウム群ではプラセボ群に比べて有意に静脈血栓塞栓症の発現頻度が減少した。
股関節全置換術施行患者における静脈血栓塞栓症の発現頻度
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なお、Major bleedingはフォンダパリヌクスナトリウム0.75mg群で1例、2.5mg群で2例に認められたが、その内訳は、2単位以上の輸血を必要とした症例が2例(0.75mg群、2.5mg群各1例)、ヘモグロビン値が2g/dL以上低下した症例が1例(2.5mg群)であり、フォンダパリヌクスナトリウム群とプラセボ群に有意な差は認められなかった。
17.1.3 国内第III相試験
待機的股関節全置換術施行患者114例を対象として、フォンダパリヌクスナトリウム1.5又は2.5mgを1日1回10~14日間皮下投与した。各投与群における静脈血栓塞栓症の発現頻度は、フォンダパリヌクスナトリウム1.5mg群で8.3%、2.5mg群で2.2%であった。
股関節全置換術施行患者における静脈血栓塞栓症の発現頻度
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なお、Major bleedingが認められた症例はなかった。
17.1.4 国内第III相試験
股関節(大腿骨近位部)骨折手術施行患者48例を対象として、フォンダパリヌクスナトリウム2.5mgを1日1回10~14日間皮下投与した。フォンダパリヌクスナトリウム2.5mg群における静脈血栓塞栓症の発現頻度は、21.6%であった。
股関節骨折手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発現頻度
→図表を見る(PDF)
なお、Major bleedingが認められた症例はなかった。
〈腹部手術施行患者〉
17.1.5 国内第III相試験
腹部の癌の大手術又は骨盤内悪性腫瘍根治術施行患者120例を対象として、フォンダパリヌクスナトリウム2.5mgを1日1回4~8日間皮下投与又は間欠的空気圧迫法を実施した。間欠的空気圧迫法は一律の使用規定を設けず各医療機関の通常の使用法に従った。各群における静脈血栓塞栓症の発現頻度は、フォンダパリヌクスナトリウム2.5mg群で10.8%、間欠的空気圧迫法群で17.6%であった。
腹部手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発現頻度
→図表を見る(PDF)
なお、Major bleedingが認められた症例はなかった。
78例中13例(16.7%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。その主なものは、出血4例(5.1%)、肝機能障害3例(3.8%)、発疹3例(3.8%)であった。
注)本剤の承認された用法・用量は、2.5mgを1日1回皮下投与、腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて1.5mgを1日1回皮下投与である。
18.1 作用機序
フォンダパリヌクスはATIIIに高親和性に結合し、ATIIIの抗第Xa因子活性を顕著に増強させることにより、トロンビン産生を阻害する。フォンダパリヌクスの作用は第Xa因子に対して選択的であり、ヘパリンとは異なり、ATIIIの抗トロンビン活性をほとんど増強しない。
18.2 静脈血栓症モデルに対する効果
ラットのトロンボプラスチン誘発静脈血栓症モデルにおいて、フォンダパリヌクスナトリウムは皮下投与により大静脈内の血栓形成を抑制し、そのED50は0.20mg/kgであった。ラットの大静脈狭窄血栓症モデル及び大静脈非狭窄血栓症モデルにおいて、静脈内投与により血栓形成を抑制し、それらのED50は0.028mg/kg及び0.074mg/kgであった。ウサギのWesslerうっ血性血栓症モデルにおいて、0.17mg/kg以上の皮下投与により、頸静脈内の血栓形成を抑制した。
18.3 止血に及ぼす影響
ラットの皮下出血モデルにおいて、フォンダパリヌクスナトリウムはヘパリンより軽度の、用量依存性のない出血率の増加を示したが、ラットにおける治療係数(皮下出血率を3倍に増加させる用量/血栓形成を50%抑制する用量)はヘパリンや低分子ヘパリンより高値を示した。フォンダパリヌクスナトリウムはマウス及びラットの尾先端切断による出血を増大させたが、その作用はプロタミン硫酸塩の投与により、血栓形成抑制作用に影響することなく抑制された。
18.4 HIT抗体との交差反応性
フォンダパリヌクスは血小板第4因子に対してほとんど結合せず、ヘパリン起因性血小板減少症患者血清と交差反応性を示さなかった。[9.1.3参照]
18.5 ヒト血液凝固時間に及ぼす影響
フォンダパリヌクスナトリウム2.5mg投与により、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、活性化凝固時間(ACT)、プロトロンビン時間(PT‐INR)、出血時間、線溶活性といった通常の凝固能検査に臨床上有意な影響はみられなかった。[8.1参照]
- 製造販売会社
- サンドファーマ
- 販売会社
- サンド
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