バイフィル透析剤
添付文書情報2024年03月改定(第1版)
商品情報
- 警告
- 1.1. 本剤はアルカリ化剤を含まない透析液であり、単独で用いた場合には、過度のアシドーシスが起こることがあるので必ず「バイフィル専用炭酸水素ナトリウム補充液1.39%」と同時に使用し、単独では使用しないこと。また、他の透析ろ過型又はろ過型人工腎臓の補充液とは同時に使用しないこと〔11.1.2、14.2.2参照〕。
1.2. 投与中は十分な観察を行い、また、適宜、血液ガス分析装置により酸塩基平衡をモニターすること(アシドーシス又はアルカローシスが発現した場合には適切な処置を行うこと)〔8.2、11.1.1、11.1.2参照〕。
- 効能・効果
- 慢性腎不全における透析ろ過型人工腎臓の灌流液として用いる(透析型人工腎臓では治療の持続又は管理困難な場合に用いる)。
(効能又は効果に関連する注意)
透析ろ過型人工腎臓の灌流液として次のような場合に用いること。
・ 透析療法では不均衡症候群、血圧低下等のため治療の持続又は管理の困難な場合に透析ろ過型人工腎臓の灌流液として用いること。
・ 透析療法ではアシドーシスの是正が不十分な場合に透析ろ過型人工腎臓の灌流液として用いること。
- 用法・用量
- 用時、本剤1容に対し、水34容を加えて希釈して用いる。用量は透析時間により異なるが、通常、灌流液として120~210Lを用いる。本剤はバイフィル専用炭酸水素ナトリウム補充液1.39%と同時に使用する。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 本剤の使用に際しては、定期的に血液検査(電解質、BUN、クレアチニン、尿酸、血糖等)を行うことが望ましい。
8.2. 投与中は、血液ガス分析装置により酸塩基平衡を定期的(投与初期には週1回、維持投与期には2~4週間に1回程度)に観察し、アルカローシスにならないように十分注意すること〔1.2、11.1.1参照〕。
8.3. 通常の血液透析から本剤投与に切り替えた場合には、血圧低下、体外循環路内の残血・体外循環路内の凝血を認めることがあるので、十分注意すること(体外循環路内の残血・凝血を認めた場合には、抗凝固剤を増量するなど適切な処置を行うこと)。
9.1.1. 心不全の患者:ろ過量と補充量のバランスに十分注意すること(水分及びナトリウムの負荷により症状が悪化するおそれがある)。
9.1.2. 不整脈(心房細動等)のある患者:症状が悪化するおそれがある。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:ジギタリス強心配糖体(ジゴキシン、メチルジゴキシン等)[ジギタリス中毒を起こすおそれがある(本剤を使用した透析により、血清カリウム値が低下する可能性がある)]。
- 副作用
- 次の副作用や透析療法により次の症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. アルカローシス(5%以上):症状があらわれた場合には血液ガス分析を行い、「バイフィル専用炭酸水素ナトリウム補充液1.39%」の減量や治療を中止するなど適切な処置を行うこと〔1.2、8.2参照〕。
11.1.2. アシドーシス(0.1~5%未満):症状があらわれた場合には血液ガス分析を行い、炭酸水素ナトリウム投与等適切な処置を行うこと〔1.1、1.2参照〕。
11.1.3. ショック(頻度不明)。
- 11.2. その他の副作用
1). 循環器:(0.1~5%未満)血圧低下、血圧上昇、発作性心房細動、頻脈。
2). 呼吸器:(0.1~5%未満)PO2低下、PCO2低下。
3). 精神神経系:(0.1~5%未満)意識障害、筋痙攣、頭痛、疲労感、気分不快。
4). 代謝異常・電解質異常:(0.1~5%未満)高カリウム血症、高ナトリウム血症、高クロール血症、低クロール血症、高カルシウム血症、低カルシウム血症、高リン血症、高血糖、(頻度不明)低カリウム血症、低血糖、骨粗鬆症、骨軟化症、線維性骨炎、異所性石灰沈着症。
5). 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇。
6). 消化器:(0.1~5%未満)口渇、悪心・嘔吐、腹痛。
7). 血液:(0.1~5%未満)Hb低下。
8). 皮膚:(0.1~5%未満)皮膚そう痒症。
9). 耳:(0.1~5%未満)突発性難聴、感音難聴。
10). 自律神経系:(0.1~5%未満)発赤。
11). その他:(0.1~5%未満)体外循環路内凝固、(頻度不明)不均衡症候群(意識混濁、昏睡、傾眠、痙攣、悪心、嘔吐、動悸、頭痛、不快・倦怠、疲労感)。
- 高齢者
- 補充液「バイフィル専用炭酸水素ナトリウム補充液1.39%」を減量するなど注意すること(一般に生理機能が低下している)。
- 妊婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 透析用水の水質は、(一社)日本透析医学会が定める最新の透析液水質基準を参照すること。
14.1.2. 定められた希釈液として調製すること。
14.1.3. 使用前に透析液の電解質濃度を測定し、それらが適正であることを確認すること。
14.1.4. 透析液の浸透圧比が0.9~1.1の範囲にあることを確認すること。
浸透圧比は生理食塩液の浸透圧に対する透析液の浸透圧測定値の比より求める。
14.1.5. 本剤は用時調製用の製剤であり、希釈調製後の透析液は速やかに使用すること。
14.1.6. 残液は使用しないこと。
14.2. 薬剤使用時の注意14.2.1. 本剤は注射又は腹膜灌流に用いないこと。
14.2.2. 本剤を単独で用いた場合には、過度のアシドーシスが起こることがあるので必ず「バイフィル専用炭酸水素ナトリウム補充液1.39%」と同時に使用し、単独では使用しないこと。また他の透析ろ過型又はろ過型人工腎臓の補充液とは同時に使用しないこと〔1.1参照〕。
14.2.3. 血清浸透圧と透析液浸透圧とのバランスを保つこと。
14.2.4. 透析液中の沈殿の有無を透析器前の透析液回路で確認し、沈殿を生じた透析液は使用しないこと。
20.1. 液漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。
20.2. 次の場合には使用しないこと。
・ 容器表面(口部等)に結晶が認められる場合には使用しないこと。
・ 容器から薬液が漏れている場合には使用しないこと。
・ 薬液に変色が認められる場合には使用しないこと。
・ キャップ開封時にリングが外れている場合には使用しないこと。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験(血液透析との比較試験)
代謝性アシドーシスの改善不良又は/及び透析困難症の慢性腎不全患者80例を対象に、本剤と「バイフィル専用炭酸水素ナトリウム補充液1.39%」を用いた血液透析ろ過群(本剤群:41例)とAK‐ソリタ透析剤・DLを用いた血液透析群(対照群:39例)の比較試験を実施した。なお、血液透析は8週間+1回(25透析)、週3回、1回4~5時間とした。解析対象症例(本剤群:37例、対照群:35例)において、本剤群の「有用」以上の有用度は75.7%(28/37例)を示し、対照群の有用度37.1%(13/35例)よりも有意に高かった。
安全性解析対象症例(38例)の副作用発現頻度は、7.9%(3/38例)10件(悪心・嘔吐2件、口渇2件、体外循環路内凝固1件、気分不快1件、筋痙攣1件、血圧上昇1件、血圧低下1件、腹痛1件)であった。
17.1.2 国内第III相試験(血液透析ろ過との比較試験)
代謝性アシドーシスの改善不良又は/及び透析困難症の慢性腎不全患者121例を対象に、本剤と「バイフィル専用炭酸水素ナトリウム補充液1.39%」を用いた本剤群(61例)とAK‐ソリタ透析剤・DLと市販の血液ろ過用補充液を用いた対照群(60例)の血液透析ろ過による比較試験を実施した。なお、血液透析ろ過は8週間+1回(25透析)、週3回、1回4~5時間とした。解析対象症例(本剤群:52例、対照群:56例)において、本剤群の「有用」以上の有用度は76.9%(40/52例)を示し、対照群の有用度51.8%(29/56例)よりも有意に高かった。
安全性解析対象症例(55例)の副作用発現頻度は、5.5%(3/55例)3件(発作性心房細動1件、頭痛1件、体外循環路内凝固1件)であった。
18.1 作用機序
アルカリ化剤を含まない透析液である本剤で透析を行うと同時に、最も生理的なアルカリ化剤である「バイフィル専用炭酸水素ナトリウム補充液1.39%」を静脈側血液回路内に補充液として点滴注入する血液透析ろ過療法により、代謝性アシドーシス及び血中電解質異常を改善し、尿毒症物質を除去する。
18.2 尿毒症物質除去効果、代謝性アシドーシス改善効果及び血中電解質濃度是正効果
腎不全イヌに本剤と「バイフィル専用炭酸水素ナトリウム補充液1.39%」を用いて血液透析ろ過療法を行った結果、速やかな代謝性アシドーシス改善効果が認められ、透析2時間目以降の効果は緩徐となった。また、腎不全により著明に上昇した血中尿素窒素及びクレアチニン濃度を低下させ、血中電解質濃度を是正した。血中乳酸及び酢酸濃度は変化が認められなかった。
- 製造販売会社
- エイワイファーマ
- 販売会社
- 陽進堂
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