デファイテリオ静注200mg
添付文書情報2019年06月改定(第1版)
商品情報
- 警告
- 1.1. 重篤な副作用により致命的な経過をたどることがあるので、本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血幹細胞移植、造血器悪性腫瘍の治療、がん化学療法に関して十分な知識・経験を持つ医師のもとで本剤の投与が適切と判断される症例に対して行うこと。
1.2. 本剤の投与により、重篤な出血(脳出血、頭蓋内出血、肺出血、肺胞出血等)が発現するおそれがあるので、患者の状態を十分に観察し、重篤な出血が認められた場合には、本剤の投与を中止すること〔9.1.1、11.1.2参照〕。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 出血している患者(脳出血、肺出血、血胸、胃腸出血、吐血、重度血尿等)[出血を助長するおそれがある]。
2.3. 血栓溶解剤投与中(ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)製剤(アルテプラーゼ(遺伝子組換え)、モンテプラーゼ(遺伝子組換え)))の患者〔10.1参照〕。
- 効能・効果
- 肝類洞閉塞症候群(肝中心静脈閉塞症)。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤は、重症又は重症化するおそれのある肝類洞閉塞症候群の治療に使用すること。
- 用法・用量
- 通常、デフィブロチドナトリウムとして1回6.25mg/kgを1日4回、2時間かけて静脈内投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤は、原則6時間ごとに一定の速度で静脈内投与すること。
7.2. 本剤の投与は、21日間以上を目安として、肝類洞閉塞症候群の徴候及び症状が回復するまで継続するが、肝類洞閉塞症候群の徴候及び症状並びに本剤投与によるリスクを考慮して継続の可否を慎重に判断すること〔17.1.1、17.1.2参照〕。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 本剤投与前24時間以内は血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t-PA製剤)を投与しないこと。
8.2. 本剤投与前12時間以内はヘパリン製剤(未分画ヘパリン製剤又は低分子量ヘパリン製剤)を投与しないことが望ましい。
8.3. 本剤投与後24時間以内は血栓溶解剤及びヘパリン製剤を投与しないことが望ましい。
8.4. 大量出血リスクを伴う外科的手術又は大量出血リスクを伴う侵襲的手法を施行する患者に対しては、本剤の投与を一時的に中断すること。
9.1.1. 出血素因、凝血異常のある患者:副作用が強くあらわれるおそれがある〔1.2、11.1.2参照〕。
9.1.2. 血行動態が不安定な患者:複数の昇圧剤を使用している等の血行動態が不安定な患者では、本剤の投与可否を慎重に判断し、投与中はバイタルサイン(血圧、脈拍等)を慎重にモニタリングすること〔11.1.3参照〕。
9.2.1. 重度腎機能障害患者:血中濃度が上昇するおそれがある〔16.6.1参照〕。
肝機能障害患者:本剤投与後に肝機能が悪化し、肝不全等の重篤な肝機能障害を起こした症例が報告されている。
妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は、適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。
- 相互作用
- 10.1. 併用禁忌:血栓溶解剤(ウロキナーゼ<ウロナーゼ>、t-PA製剤(アルテプラーゼ<遺伝子組換え><アクチバシン、グルトパ>、モンテプラーゼ<遺伝子組換え><クリアクター>))〔2.3参照〕[出血の危険性が増大するおそれがある(マウスの血栓塞栓症モデルにおいて、デフィブロチドナトリウムは組換え型t-PAの抗血栓作用を増強した)]。
10.2. 併用注意:1). 血液凝固阻止作用を有する薬剤(未分画ヘパリン製剤、低分子量ヘパリン製剤(エノキサパリンナトリウム等)、ワルファリンカリウム、直接トロンビン阻害剤(ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩等)、第10a因子直接阻害剤(リバーロキサバン、アピキサバン等))、トロンボモデュリン アルファ<遺伝子組換え>、乾燥濃縮人活性化プロテインC、乾燥濃縮人アンチトロンビン3[出血傾向が増大するおそれがあるので、頻回に血液凝固能(出血時間、プロトロンビン時間、APTT等)等の検査、臨床症状の観察を行い、異常が認められた場合には本剤の投与中断(ただし、中心静脈ラインの維持又は再開のための抗凝固療法を除く)も検討すること(出血傾向が増大するおそれがある)]。
2). 血小板凝集抑制作用を有する薬剤(抗血小板剤(アスピリン、クロピドグレル硫酸塩、チクロピジン塩酸塩等)、非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤(ジクロフェナクナトリウム等))[出血傾向が増大するおそれがある(出血傾向が増大するおそれがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):初期症状としては、蕁麻疹、嘔吐、血圧低下、虚脱、意識消失等がある。
11.1.2. 出血:重篤な出血(脳出血(1.7%)、頭蓋内出血(頻度不明)、くも膜下出血(0.8%)、肺出血(5.8%)、肺胞出血(5.8%)、胃腸出血(4.1%)、血胸(1.7%)等)及び血腫(硬膜下血腫(頻度不明)、脊髄血腫(0.8%)等)があらわれることがある〔1.2、9.1.1参照〕。
11.1.3. 低血圧(5.8%)〔9.1.2参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 循環器:(1%未満)潮紅、(頻度不明)心不全、うっ血性心不全、心筋症、心房粗動、心房細動、洞性徐脈、頻脈、心嚢液貯留、静脈閉塞性疾患、出血性梗塞。
2). 血液凝固系:(1%以上)凝血異常、(1%未満)INR増加、(頻度不明)播種性血管内凝固(DIC)、APTT延長・APTT短縮、プロトロンビン時間延長。
3). 耳:(頻度不明)耳閉、鼓膜充血。
4). 眼:(1%以上)結膜出血、(頻度不明)霧視、複視。
5). 消化器:(1%以上)悪心、嘔吐、下痢、(1%未満)血便排泄、メレナ、(頻度不明)腹痛、口腔障害、腹部不快感、出血性食道炎、口内乾燥、便潜血陽性。
6). 肝臓:(頻度不明)静脈閉塞性肝疾患、肝不全、血中ビリルビン異常。
7). 代謝異常:(頻度不明)アシドーシス。
8). 筋骨格系:(頻度不明)四肢痛、筋痙縮。
9). 精神神経系:(1%以上)頭痛、(1%未満)嗜眠、硬膜下ヒグローマ、(頻度不明)脳症、肝性脳症、可逆性後白質脳症、痙攣、浮動性めまい、不安、平衡障害、協調運動異常、不眠症、激越。
10). 腎臓及び尿路系:(1%以上)血尿、(頻度不明)急性腎障害、出血性膀胱炎、腎不全。
11). 呼吸器:(1%以上)鼻出血(8.3%)、呼吸不全、血胸、(頻度不明)呼吸窮迫、喀血、低酸素症、咳嗽、鼻閉、鼻漏、呼吸音異常。
12). 皮膚:(1%以上)発疹、皮膚そう痒症、(1%未満)紫斑、全身性そう痒症、(頻度不明)剥脱性発疹、紅斑性皮疹、皮膚乾燥、皮膚水疱、斑状皮疹。
13). その他:(1%以上)処置後出血(5.0%)、カテーテル留置部位出血、(1%未満)熱感、月経過多、(頻度不明)血小板減少症、末梢性浮腫、全身性浮腫、肺感染、発熱、多臓器不全、挫傷、悪寒、疼痛、胸痛、粘膜炎症、注射部位反応。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を器官形成期の妊娠ウサギに投与したとき、体表面積換算で同等となる投与量で着床後死亡率増加が認められている〔9.4生殖能を有する者の項参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
- 小児等
- 性腺に対する影響を考慮すること(幼若ラットを用いた毒性試験において、臨床曝露量の0.54倍に相当する曝露量で陰茎亀頭包皮分泌腺開裂時期遅延が認められており、雄の性成熟遅延が示唆されている)。
新生児、低出生体重児は臨床試験には組み入れられていない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 本剤は、無菌的に調製を行うこと。
14.1.2. 本剤は、5%ブドウ糖注射液又は生理食塩液を用いて4~20倍希釈すること。
14.1.3. 本剤のバイアルは1回使い切りであり、残液をその後の投与に使用しないこと。
14.1.4. 本剤を希釈した液は、常温で保存する場合には4時間以内、冷蔵条件下(2~8℃)で保存する場合には24時間以内に投与を開始すること。
14.2. 薬剤投与時の注意本剤は、独立したラインにて投与するものとし、5%ブドウ糖注射液又は生理食塩液以外の輸液や他の注射液<5%ブドウ糖注射液又は生理食塩液以外>等と同一ラインで投与しないことが望ましい。他剤と連続注入する場合には、本剤の投与前後にラインを5%ブドウ糖注射液又は生理食塩液でフラッシュすることが望ましい。
16.1 血中濃度
健康成人男性8例に本剤6.25mg/kgを2時間かけて単回静脈内投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった。
本剤6.25mg/kgを2時間かけて単回静脈内投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差(N=8))
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
造血幹細胞移植後の肝類洞閉塞症候群(SOS)患者17例に本剤6.25mg/kgを2時間かけて静脈内投与したとき、投与開始日の初回投与時の薬物動態パラメータは次のとおりであった。
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
造血幹細胞移植後のSOS患者5例に本剤6.25mg/kg/回を1日4回、6時間ごとに2時間かけて7日間反復静脈内投与したとき、反復投与による血漿中濃度の増加は認められなかった(外国人データ)。
16.3 分布
健康成人男性8例に本剤6.25mg/kgを2時間かけて単回静脈内投与したときの分布容積は7.31Lであった。
デフィブロチドのヒト血漿タンパク結合率は91.3%以上であった(in vitro)。
16.4 代謝
本剤は主にエキソヌクレアーゼによる加水分解で代謝される(in vitro)。
16.5 排泄
健康成人男性3例に125I‐デフィブロチドナトリウム400mgを5分間かけて単回静脈内投与したとき、投与168時間後の放射能の尿中累積排泄率は投与量の約72%、糞中累積排泄率は投与量の約19%であり、主に尿中に排泄された。なお、尿中放射能の大部分が投与24時間後までに排泄された(外国人データ)。
健康成人52例に本剤6.25mg/kg及び15mg/kgを2時間かけて単回静脈内投与したとき、投与24時間後までのデフィブロチドの累積尿中排泄率の平均値はそれぞれ9.48%及び13.63%であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
本剤6.25mg/kgを2時間かけて6時間ごとに4回静脈内投与したとき、重度腎機能障害患者又は末期腎不全患者(6例)の初回投与及び投与4回目のCmaxは健康成人(6例)と比べて約35%~37%上昇し、AUCは約50%~60%増加した。また、重度腎機能障害患者又は末期腎不全患者のt1/2は健康成人と比べて、初回投与及び投与4回目ではそれぞれ1.3倍及び2.3倍延長した(外国人データ)。
血液透析を受けている末期腎不全患者6例に本剤6.25mg/kgを2時間かけて非血液透析時及び血液透析時に静脈内投与したとき、血液透析によるAUC及び全身クリアランスへの影響は認められなかった(外国人データ)。[9.2.1、13.1参照]
16.6.2 小児
造血幹細胞移植後の小児のSOS患者(7歳)1例に本剤6.25mg/kgを2時間かけて単回静脈内投与したとき、Cmaxは17.5μg/mL、tmaxは2.0hr、t1/2は2.8hr、AUC0-∞は69.3μg・hr/mLであった。
注)本剤の承認された用法・用量は「通常、デフィブロチドナトリウムとして1回6.25mg/kgを1日4回、2時間かけて静脈内投与する。」である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II相試験
造血幹細胞移植後のSOS患者(19例(うち小児2例、多臓器不全を伴う重症SOS患者13例))に本剤6.25mg/kg/回を1日4回、6時間ごとに2時間かけて静脈内投与した。投与期間は21日以上、又はSOSが寛解するまでとされた。主要評価項目である造血幹細胞移植後100日目の生存率(95%信頼区間)は、SOS患者で47.4(24.4~67.3)%(9/19例)、重症SOS患者で38.5(14.1~62.8)%(5/13例)であった。また、造血幹細胞移植後100日目までの寛解率(95%信頼区間)は、SOS患者で26.3(9.1~51.2)%(5/19例)、重症SOS患者で15.4(1.9~45.4)%(2/13例)であった。なお、本剤投与期間の中央値(範囲)は、全体で31(3~59)日、寛解到達患者で35(21~50)日であった。[7.2参照]
副作用は19例中10例(52.6%)で認められ、主な副作用は肺出血5例(26.3%)、鼻出血、呼吸不全が各3例(15.8%)、血尿2例(10.5%)であった。
17.1.2 海外第III相試験
造血幹細胞移植後の重症SOS患者(102例(うち小児44例))を対象に非盲検ヒストリカルコントロール(HC)注1)対照試験を実施した。本剤群は本剤6.25mg/kg/回を1日4回、6時間ごとに2時間かけて静脈内投与した。投与期間は、21日以上、又は患者が退院するまでとされた。主要評価項目である造血幹細胞移植後100日目の生存率は次表のとおりであった。また、造血幹細胞移植後100日目までの寛解率(95.1%信頼区間)は、本剤群で25.5(17.0~34.0)%(26/102例)、HC群で12.5(1.0~24.0)%(4/32例)であった。なお、本剤投与期間の中央値(範囲)は全体で21.5(1~58)日、寛解到達患者で22(14~56)日であった。[7.2参照]
注1)本剤を投与せず、既存治療のみをうけた重症SOS患者のうち、ヘパリン又は他の抗凝固薬を使用している患者を組入れ可能としたことを除き、本剤群と同じ選択・除外基準を満たす患者群
→図表を見る(PDF)
副作用は102例中46例(45.1%)に認められ、主な副作用は、肺胞出血、鼻出血、低血圧が各7例(6.9%)、胃腸出血、処置後出血が各5例(4.9%)であった。
18.1 作用機序
デフィブロチドナトリウムの作用機序は明確でないものの、活性型カスパーゼ‐3の抑制を介したアポトーシス抑制作用、プラスミン活性の増強作用、組織因子の発現抑制及び組織因子を介した凝固活性の抑制作用、トロンボモジュリンの発現促進作用、von Willebrand factorの抑制作用、組織因子経路インヒビターの遊離促進作用により、凝固・線溶系の各種因子に影響することで血管内皮細胞の保護に寄与すると推察される。
18.2 血管内皮細胞保護作用
ヒト微小血管内皮細胞の培養液から血清を除去することにより生じた細胞障害を抑制した(in vitro)。
フルダラビンにより誘発されるヒト微小血管内皮細胞のアポトーシスを抑制した(in vitro)。
- 製造販売会社
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- 販売会社
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