強力ネオミノファーゲンシー静注5mL
添付文書情報2024年03月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. アルドステロン症、ミオパチー、低カリウム血症の患者[低カリウム血症、高血圧症等を悪化させるおそれがある]。
- 効能・効果
- 1). 小児ストロフルス、湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、皮膚そう痒症、口内炎、フリクテン、薬疹・中毒疹。
2). 慢性肝疾患における肝機能異常の改善。
- 用法・用量
- 〈小児ストロフルス、湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、皮膚そう痒症、口内炎、フリクテン、薬疹・中毒疹の治療〉
通常、成人には1日1回5~20mLを静脈内に注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
〈慢性肝疾患における肝機能異常の改善〉
慢性肝疾患に対しては1日1回40~60mLを静脈内に注射または点滴静注する。
年齢、症状により適宜増減する。なお、増量する場合は1日100mLを限度とする。
- 特定の背景を有する患者に関する注意
- 8.1. ショック等の発現を予測するため、十分な問診を行うこと。
8.2. ショック発現時に救急処置のとれる準備をしておくこと。
8.3. 投与後、患者を安静な状態に保たせ、十分な観察を行うこと。
8.4. 甘草を含有する製剤との併用は、本剤に含まれるグリチルリチン酸が重複し、偽アルドステロン症があらわれやすくなるので注意すること〔11.1.3参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). ループ利尿剤(エタクリン酸、フロセミド等)、チアジド系及びその類似降圧利尿剤(トリクロルメチアジド、クロルタリドン等)[低カリウム血症<脱力感・筋力低下等>があらわれるおそれがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を行うなど十分に注意すること(これらの利尿作用が、本剤に含まれるグリチルリチン酸のカリウム排泄作用を増強し、血清カリウム値の低下があらわれやすくなる)]。
2). モキシフロキサシン塩酸塩[心室性頻拍<Torsade de pointesを含む>、QT延長を起こすおそれがある(本剤が有するカリウム排泄作用により血清カリウム濃度が低下すると、モキシフロキサシン塩酸塩による心室性頻拍(Torsade de pointesを含む)、QT延長が発現するおそれがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシーショック(頻度不明):血圧低下、意識消失、呼吸困難、心肺停止、潮紅、顔面浮腫等があらわれることがある。
11.1.2. アナフィラキシー(頻度不明):呼吸困難、潮紅、顔面浮腫等があらわれることがある。
11.1.3. 偽アルドステロン症(頻度不明):増量又は長期連用により高度低カリウム血症、低カリウム血症の発現頻度の上昇、血圧上昇、ナトリウム貯留・体液貯留、浮腫、体重増加等があらわれるおそれがある。
また、低カリウム血症の結果として、脱力感、筋力低下などがあらわれるおそれがある〔8.4参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(0.1%未満)発疹、(頻度不明)蕁麻疹、そう痒。
2). 体液・電解質:(0.1~5%未満)血清カリウム値低下[投与量の増加により発現頻度の上昇傾向が認められる]、(頻度不明)浮腫。
3). 循環器:(0.1~5%未満)血圧上昇[投与量の増加により発現頻度の上昇傾向が認められる]。
4). 消化器:(0.1%未満)上腹部不快感、(頻度不明)嘔気・嘔吐。
5). 呼吸器:(頻度不明)咳嗽。
6). 眼:(頻度不明)一過性視覚異常(一過性の目のかすみ、一過性の目のチカチカ等)。
7). その他:(0.1%未満)全身倦怠感、筋肉痛、異常感覚(しびれ感、ピリピリ感等)、発熱、過呼吸症状(肩の熱感、四肢冷感、冷汗、口渇、動悸)、尿糖陽性、(頻度不明)頭痛、熱感、気分不良。
頻度は使用成績調査を含む。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(臨床での使用経験において、低カリウム血症等の副作用の発現率が高い傾向が認められている)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(グリチルリチン酸一アンモニウムを大量投与したときの動物実験(ラット)において腎奇形等が認められている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(グリチルリチン酸一アンモニウムを投与したときの動物実験(ラット)において乳汁移行が認められている)。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤投与時の注意静脈内投与は、患者の状態を観察しながらできるだけ投与速度を緩徐にすること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報グリチルリチン酸又は甘草を含有する製剤の経口投与により、横紋筋融解症があらわれたとの報告がある。
16.1 血中濃度
健康成人に本剤40mL(グリチルリチン酸80mg含有)を静注した場合、血中グリチルリチン酸は投与10時間後までは速やかに減少し、以後徐々に減少した。また、グリチルリチン酸の加水分解物グリチルレチン酸は投与6時間後よりあらわれ24時間後ピークに達し、48時間後にはほとんど消失した。
16.3 分布
マウスに3H‐グリチルリチン酸を静注した場合、注射10分後には採取した臓器すべてに分布が認められた。最も分布の多い臓器は肝臓で、投与3H‐グリチルリチン酸の62%を示し、以下、腎、肺、心臓、副腎の順であった。
16.5 排泄
16.5.1 尿中排泄
健康成人に本剤を静注した場合、尿中グリチルリチン酸は時間の経過とともに減少し、27時間後までの排泄量は投与量の1.2%であった。グリチルレチン酸は6時間後よりあらわれ、22~27時間後ピークに達した。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈慢性肝疾患における肝機能異常の改善〉
17.1.1 慢性肝炎についての二重盲検比較試験
国内36施設における慢性肝炎133例に対して本剤1日40mL、連日1カ月間静注投与を行った二重盲検比較試験の成績は、次のとおりである。本剤投与群はプラセボ群に比し有効であることが認められ、肝機能検査項目別ではAST、ALT及びγ‐GTP値の改善が有意の差をもって認められた。
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17.1.2 慢性肝炎、肝硬変に対する用量別比較試験
国内11施設における慢性肝炎、肝硬変178症例を対象に、本剤40mL/日3週間連日静注投与を行い、2週目のALT値が正常上限値の1.5倍以下に改善しなかった症例93例を対象に、40mL/日継続投与群と100mL/日増量投与群との用量別比較試験を行った。その結果、本剤100mL/日増量投与群が40mL/日継続投与群に比し、有意にALT値を改善することが認められた。このことより、40mL/日でALT値改善不十分な症例に100mL/日増量投与は有用であることが認められた。
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〈慢性肝疾患における肝機能異常の改善〉、〈小児ストロフルス、湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、皮膚そう痒症、口内炎、フリクテン、薬疹・中毒疹の治療〉
17.1.3 一般臨床試験
慢性肝炎59例に本剤60mLを4週間投与した成績及び各種アレルギー性疾患・炎症性疾患に対する臨床試験の有効率は次のとおりである。また、慢性肝炎に対し、本剤100mLを8週間投与した試験において、肝機能の改善と肝組織像の改善に相関が認められた。
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18.1 作用機序
18.1.1 抗炎症作用
(1)抗アレルギー作用
ウサギにおけるアルツス反応抑制及びシュワルツマン反応抑制等の抗アレルギー作用を有する。また、本剤はコルチゾンの作用に対し、ストレス反応抑制作用を増強、抗肉芽作用及び胸腺萎縮作用に拮抗的に作用し、抗浸出作用に対しては影響を及ぼさなかった。
(2)アラキドン酸代謝系酵素の阻害作用
グリチルリチン酸は、アラキドン酸代謝系の初発酵素であるホスホリパーゼA2とアラキドン酸から炎症性ケミカルメディエーターを産生するリポキシゲナーゼに直接結合する。グリチルリチン酸は、これらの酵素のリン酸化を介する活性化を選択的に阻害する。
18.1.2 免疫調節作用
グリチルリチン酸は、in vitroの実験系において、(1)T細胞活性化調節作用、(2)インターフェロン‐γ誘起作用、(3)NK細胞活性化作用、(4)胸腺外Tリンパ球分化増強作用等の作用が示されている。
18.1.3 実験的肝細胞障害抑制作用
グリチルリチン酸はラットの初代培養肝細胞を用いたin vitroの実験系で、四塩化炭素による肝細胞障害を抑制することが示されている。
18.1.4 肝細胞増殖促進作用
グリチルリチン酸、並びにグリチルレチン酸は、ラットの初代培養肝細胞を用いたin vitroの実験系において、肝細胞の増殖促進作用を有することが示されている。
18.1.5 ウイルス増殖抑制・不活化作用
マウスでのMHV(マウス肝炎ウイルス)の感染実験で、本剤投与により生存日数の延長が認められ、また、ウサギにおけるワクシニアウイルス発痘の阻止実験で発痘を抑制した。また、in vitroの実験系でヘルペスウイルス等の増殖抑制・不活化作用が示されている。
18.1.6 グリシン、L‐システイン塩酸塩の作用
グリシン及びL‐システイン塩酸塩は、グリチルリチン酸の大量長期投与による電解質代謝異常に基づく偽アルドステロン症の発症を抑制ないし軽減する等の作用を有する。
- 製造販売会社
- ミノファーゲン製薬
- 販売会社
- EAファーマ
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