アガルシダーゼ ベータBS点滴静注5mg「JCR」
添付文書情報2022年10月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 本剤投与により重篤なアナフィラキシーが発現する可能性があるので、本剤は、緊急時に十分な対応のできる準備をした上で投与を開始し、投与終了後も十分な観察を行うこと。
また、重篤なinfusion reactionが発現した場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.1参照〕。
- 禁忌
- 本剤の成分又はα-ガラクトシダーゼ製剤に対するアナフィラキシーショックの既往歴のある患者〔8.1参照〕。
- 効能・効果
- ファブリー病。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤はファブリー病と確定診断された患者にのみ使用すること。
5.2. 国内における第2相試験及び海外における第3相臨床試験では組織中のGL-3除去効果を確認した。しかし臨床症状の改善効果については確立されていない。
- 用法・用量
- 通常、アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)[アガルシダーゼ ベータ後続1]として、1回体重1kgあたり1mgを隔週、点滴静注する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 日局生理食塩液で希釈した後に投与すること。Infusion reactionが発現するおそれがあるため、初回投与速度は0.25mg/分(15mg/時)以下とすること。患者の忍容性が十分に確認された場合、徐々に速めてもよい〔8.2、11.1.1参照〕。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 本剤はたん白質製剤であるため、アナフィラキシーショックが起こる可能性は否定できないため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、このような症状の発現に備え、緊急処置を取れる準備をしておくこと〔1.警告、2.禁忌の項、9.1.1参照〕。
8.2. 本剤投与によりinfusion reaction(IR)が発現する可能性がある。次回投与に際しては、次を参考とすること〔7.1、11.1.1参照〕。
1). 軽度~中等度のIRの初回又は軽度~中等度のIR再発:投与開始1時間前に抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤/抗炎症剤を前投薬し、0.15mg/分より開始し、異常が見られなければ徐々に0.25mg/分まで投与速度を上げる。
2). 重度のIRの初回又は重度のIR再発:投与開始約12時間、6時間及び1時間前に副腎皮質ホルモン剤、投与開始1時間前に抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤/抗炎症剤を前投薬し、0.15mg/分より開始し、異常が見られなければ徐々に0.25mg/分まで投与速度を上げる。
8.3. Infusion reactionの発現を予測するため定期的にアガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)[アガルシダーゼ ベータ後続1]に対するIgG抗体検査を行うことが望ましい(投与により、大部分の患者でIgG抗体産生が予想され、そのような患者はinfusion reactionを発現しやすいと考えられる)。
9.1.1. 本剤の成分又はα-ガラクトシダーゼ製剤に対する過敏症の既往歴のある患者〔8.1参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. Infusion reaction(本剤投与当日に発現する反応)(頻度不明):悪寒、発熱、体温変動感、悪心、高血圧、嘔吐、潮紅、錯感覚(ファブリー痛)、疲労、疼痛(四肢痛)、頭痛、そう痒症、胸痛(胸部不快感)、低血圧、頻脈、動悸、徐脈、呼吸困難、喘鳴(咽喉絞扼感)、咳嗽、鼻炎、発疹、蕁麻疹、流涙増加、腹痛、筋痛、浮動性めまい、蒼白、酸素飽和度低下、浮腫等が報告されているので、投与中あるいは投与終了後は、観察を十分に行い、これらの症状が発現した場合は、点滴速度を下げる、あるいは投与を一時中止し、適切な薬剤治療(抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤等)や緊急処置を行うこと〔7.1、8.2参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 血液およびリンパ系:(1%未満)好酸球増加症。
2). 心臓:(1%未満)徐脈、動悸、(頻度不明)頻脈。
3). 眼:(1%未満)流涙増加。
4). 胃腸:(1%以上)悪心、腹痛、嘔吐。
5). 全身および投与局所様態:(1%以上)胸痛、悪寒、発熱、疲労、末梢性浮腫、(頻度不明)体温変動感。
6). 感染症および寄生虫症:(1%未満)胃腸炎。
7). 筋骨格系および結合組織:(1%以上)疼痛、(1%未満)背部痛、(頻度不明)筋肉痛。
8). 神経系:(1%以上)頭痛、(1%未満)錯感覚。
9). 呼吸器、胸郭および縦隔:(1%以上)呼吸困難、咳嗽、(1%未満)呼吸窮迫、喘鳴、(頻度不明)鼻炎。
10). 皮膚および皮下組織:(1%以上)皮膚そう痒症、蕁麻疹、発疹。
11). 血管:(1%以上)潮紅、(1%未満)高血圧、低血圧。
発現頻度は、承認時までの臨床試験、使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験の結果を合わせて算出した。
[外国における第1/2相試験、第3相二重盲検比較試験、その継続試験、及び第4相二重盲検比較試験、その継続試験、第2相小児臨床試験で認められた副作用(評価例数168例、投与期間1回投与から最長5年)]1). 心臓:(5~10%)頻脈、(1~5%)動悸。
2). 眼:(1~5%)流涙増加。
3). 胃腸:(>10%)悪心、嘔吐、(5~10%)腹痛、(1~5%)上腹部痛、腹部不快感、胃不快感、口の感覚鈍麻。
4). 全身および投与局所様態:(>10%)悪寒、発熱、冷感、(5~10%)疲労、胸部不快感、熱感、(1~5%)末梢性浮腫、疼痛、無力症、胸痛、倦怠感、顔面浮腫、高熱。
5). 臨床検査:(5~10%)血圧上昇、体温上昇、(1~5%)心拍数増加、血圧低下。
6). 筋骨格系および結合組織:(5~10%)四肢痛、(1~5%)筋痛、背部痛、筋痙縮、関節痛、筋緊張、筋骨格硬直。
7). 神経系:(>10%)頭痛、錯感覚(ファブリー痛)、(5~10%)浮動性めまい、傾眠、(1~5%)感覚鈍麻、灼熱感、嗜眠。
8). 呼吸器、胸郭および縦隔:(5~10%)呼吸困難、(1~5%)鼻閉、咽喉絞扼感、喘鳴、咳嗽、呼吸困難増悪。
9). 皮膚および皮下組織:(5~10%)皮膚そう痒症、蕁麻疹、(1~5%)発疹、紅斑、全身性そう痒症、血管神経性浮腫、顔面腫脹。
10). 血管:(5~10%)潮紅、(1~5%)高血圧、蒼白、低血圧、ほてり。
- 高齢者
- 副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある患者には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合のみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトで哺乳中の児における影響は不明である)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 異物や変色が見られた場合は使用しないこと。
14.1.2. 各バイアルから規定の液量(患者の体重あたりで計算した必要量)を採取し、日局生理食塩液中に注入し、最終容量50~500mLまで希釈する(その際、投与液剤をゆるやかに混和すること)。投与量が35mg以下の場合は50mL以上、投与量が35mgを超えて70mg以下の場合は100mL以上、投与量が70mgを超えて100mg以下の場合は250mL以上、投与量が100mgを超える場合は500mLまで希釈する。
14.1.3. 希釈後は速やかに使用すること(やむを得ず保存する場合は、遮光して2~8℃で保存し、24時間以内に使用すること)。
14.1.4. 他剤<日局生理食塩液を除く>との混注を行わないこと。
14.1.5. 各バイアルは一回限りの使用とすること。
14.2. 薬剤投与時の注意たん白質を吸着しにくいポアサイズ0.2ミクロンのインラインフィルターを使用することが望ましい。
20.1. 外箱に記載された使用期限を過ぎた製剤は使用しないこと。
20.2. 外箱開封後は遮光にて保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. IgE抗体産生:海外において、本剤に対するIgE陽性あるいは皮膚試験陽性となり投与を中止したが、その後投与を再開した患者が報告されている(再投与は、投与量0.5mg/kg、最初の30分の点滴速度を0.01mg/分(0.6mg/時)で開始し、その後は患者の様子をみながら徐々に投与速度を上昇させ、忍容性が良好な場合、通常の投与量(1mg/kg)に戻る投与方法で、再投与に成功している)。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. ラットを用いた生殖発生毒性試験において、10~30mg/kg/日で11日間連続投与したところ、連日の高用量投与による蓄積が原因と考えられる肝細胞壊死が認められた。
16.1 血中濃度
〈本剤〉
16.1.1 生物学的同等性試験
健康成人男性に本剤又はFabrazyme注)を1.0mg/kg単回静脈内投与し、血漿中のα‐ガラクトシダーゼA濃度を測定した結果、本剤とFabrazyme注)の生物学的同等性評価パラメータであるAUC0-24の幾何平均値の比及び90%信頼区間は0.91[0.8294~1.0082]であり、対数値の平均値の差の90%信頼区間は事前に規定された生物学的同等性の判定基準であるlog(0.80)~log(1.25)の範囲内であった。Cmaxの幾何平均値の比及び90%信頼区間は0.90[0.7992~1.0125]であり、対数値の平均値の差の90%信頼区間は事前に規定された生物学的同等性の判定基準であるlog(0.80)~log(1.25)の範囲に含まれなかった。
健康成人男性における血漿中α‐ガラクトシダーゼA濃度の経時的推移(平均値+標準偏差)
健康成人男性における単回静脈内投与時の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
注)EUで承認されたアガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)製剤
〈ファブラザイム点滴静注用〉
16.1.2 単回投与
日本人のファブリー病患者(13名)に、アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)点滴静注用1.0mg/kgを点滴静注したときの血中濃度は、投与終了時に最高値1,531±551ng/mLを示し、消失半減期は96.7±24.7分、クリアランスは3.0±0.9mL/分/kg、血中濃度曲線下面積は362,213±107,244分・ng/mLであった。
16.3 分布
〈ファブラザイム点滴静注用〉
アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)点滴静注用3mg/kgをα‐ガラクトシダーゼ ノックアウトマウスに静脈内投与したところ、ほとんどのα‐ガラクトシダーゼ活性は肝臓で検出され、脾臓、腎臓、肺、心臓でもわずかに検出された。
16.4 代謝
〈ファブラザイム点滴静注用〉
組織内消失半減期は、脾臓5.6日、肝臓3.6日、心臓1.3日、腎臓0.7日であった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈本剤〉
17.1.1 国内第II/III相試験
ファブラザイム点滴静注用が安定的に投与されているファブリー病患者16例を対象とした非盲検非対照試験において、ファブラザイム点滴静注用1.0mg/kgを隔週投与された患者に対して、50週まで本剤1.0mg/kgを隔週投与した。血漿中グロボトリアオシルセラミド(GL‐3)濃度は、ファブラザイム点滴静注用投与時(本剤投与4週前、2週前、初回投与時の平均値)が3.844±1.218(平均値±標準偏差、以下同様)であり、本剤投与26週時(本剤投与24週後、26週後、28週後の平均値、中止例は中止時のデータを使用)が3.780±1.088であった。以上より、前治療期間と本剤投与後26週時点の血漿中GL‐3濃度の比(1.025±0.227)の95%信頼区間(0.905、1.146)は同等性許容域(0.70~1.43)の範囲内であった。
〈ファブラザイム点滴静注用〉
17.1.2 国内第2相試験
ファブリー病患者13例にアガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)点滴静注用1mg/kgを隔週で20週間(11回)静脈内投与した非盲検法による国内第2相試験において、血漿、尿、腎、心臓及び皮膚組織中に蓄積している糖脂質グロボトリアオシルセラミド(GL‐3)の除去が認められた。また、疼痛評価(McGill簡易表)、QOL評価(SF‐36)でも改善傾向が認められ、次表に示すとおり、腎臓、皮膚、心臓においてGL‐3の除去が認められた。
アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)点滴静注用の副作用(臨床検査値異常変動を含む)は13例中8例に認められ、主な副作用はinfusion reactionと考えられる悪寒5例(38%)、発熱4例(31%)、倦怠感、呼吸困難、鼻炎、高血圧各2例(15%)であった。なお、国内における臨床試験では、アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)点滴静注用投与1時間前に前投薬としてヒドロキシジン及びアセトアミノフェン又はイブプロフェン等を経口投与した。Infusion reactionに対しては、マレイン酸クロルフェニラミン、イブプロフェン、ヒドロコルチゾンの投与を行った。
組織学的評価による毛細血管内皮細胞の蓄積GL‐3の除去効果(試験終了時におけるスコアゼロの達成数)
→図表を見る(PDF)
17.1.3 海外第3相二重盲検比較臨床試験
ファブリー病患者58例がアガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)点滴静注用群(29例)又はプラセボ群(29例)に無作為に割付けられアガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)点滴静注用1mg/kg又はプラセボが隔週で20週間静脈内投与された二重盲検試験で、血漿、尿、腎、心臓及び皮膚組織中に蓄積している糖脂質グロボトリアオシルセラミド(GL‐3)の除去が認められた(次表)。疼痛評価(McGill簡易表)は各投与群で投与後に有意差を認めたが、両群間には有意な差はみられず、また、QOL評価(SF‐36)でもベースライン時と比較して、有意差は認められなかった。アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)点滴静注用の主な副作用(発現率が10%以上)は、悪寒48.3%(14/29例)、発熱24.1%(7/29例)、頭痛17.2%(5/29例)であり、温度感覚変化、ファブリー痛及び高血圧が10.3%(3/29例)であった。
組織学的評価による毛細血管内皮細胞の蓄積GL‐3の除去効果(試験終了時におけるスコアゼロの達成数)
→図表を見る(PDF)
17.1.4 海外第3相二重盲検比較試験から継続した非盲検臨床試験
海外における第3相二重盲検比較試験の非盲検継続試験では、ファブリー病患者58例にアガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)点滴静注用1.0mg/kgを最長54ヵ月間、隔週で静脈内に継続投与したところ、腎臓及び皮膚の様々な細胞でGL‐3除去効果が認められた。また、QOL評価(SF‐36)でも改善が認められ、疼痛評価(McGill簡易表)並びに糸球体ろ過速度及び血清クレアチニンで評価した腎機能は、長期投与期間中維持され、血漿GL‐3値はアガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)点滴静注用投与6ヵ月以内に正常範囲まで低下し、その後は維持された。
アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)点滴静注用の主な副作用(発現率が10%以上)は、58例中、悪寒58.6%(34例)、体温変動感37.9%(22例)、発熱36.2%(21例)、頭痛29.3%(17例)、悪心27.6%(16例)、胸痛、嘔吐及びファブリー痛・先端異常感覚が各20.7%(12例)、潮紅19.0%(11例)、腹痛、呼吸困難、鼻炎及びそう痒症が各17.2%(10例)、振戦、筋肉痛及び傾眠が各13.7%(8例)、高血圧12.1%(7例)であった。Infusion reactionは、海外における第3相二重盲検比較試験のオープン継続試験でも主な副作用であったが、発現する患者数は投与期間とともに減少している。
組織学的評価による毛細血管内皮細胞の蓄積GL‐3の除去効果(試験終了時におけるスコアゼロの達成数)
→図表を見る(PDF)
17.2 製造販売後調査等
〈ファブラザイム点滴静注用〉
17.2.1 海外第4相二重盲検比較試験
アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)点滴静注用を隔週で1.0mg/kg、最長35ヵ月の継続投与により、ファブリー病による腎機能障害、心機能障害、脳血管障害の発生において臨床的進行の抑制が認められた。特に投与開始時において、血清クレアチニン、尿中たん白/クレアチニン比が低い患者、推算糸球体ろ過量が高い患者では、臨床的進行の抑制効果がより明らかであった。
17.2.2 国内製造販売後臨床試験
心ファブリー病患者6例を対象に1回1mg/kgを156週間隔週静脈内投与した。主要評価項目である心室中隔壁厚、左室後壁厚および左室心筋重量の結果は次表の通りであった。
→図表を見る(PDF)
副次評価項目である血漿中GL‐3濃度[最小二乗平均の点推定値(95%信頼性区間)]はベースラインでは4.98(4.24~5.73)μg/mL、投与156週後では4.17(3.42~4.91)μg/mLであった。
安全性解析対象症例6例中、4例(66.7%)に副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められ、その内訳は、大腸癌、動悸、咽喉絞扼感、結腸ポリープ、びらん性胃炎、悪心、そう痒症、悪寒、熱感、浮腫、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、血圧低下、血中尿素増加、体温低下及び白血球数減少が各1例(16.7%)であった。
17.2.3 国内製造販売後使用成績調査等
使用成績調査および特定使用成績調査において、安全性解析対象症例381例中125例(32.8%)に副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められ、主な副作用は「発熱」44例(11.5%)、「悪寒」34例(8.9%)、「頭痛」15例(3.9%)、「発疹」13例(3.4%)、「呼吸困難」10例(2.6%)等であった。
17.3 その他
〈ファブラザイム点滴静注用〉
17.3.1 IgG抗体産生
国内のファブリー病患者13例中11例(85%)及び海外における臨床試験の対象患者121例中95例(79%)でアガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)に対するIgG抗体が発現した。抗体を発現した本邦のファブリー病患者11例中7例(64%)、海外の患者95例中83例(87%)は、投与開始から3ヵ月以内に認められた。海外における54~60ヵ月の投与期間中、50%以上の患者でIgG抗体価がピーク時と比較して1/4以下に低下、あるいは放射免疫沈降法(RIP法)で検出限界以下となった。なお、アナフィラキシーショックはみられておらず、IgG抗体の産生に伴い効果が減弱したという報告はない。
18.1 作用機序
本剤は、リソソーム内加水分解酵素α‐ガラクトシダーゼAの遺伝子組換え製剤であり、細胞膜上のマンノース‐6‐リン酸(M6P)受容体等を介して細胞内に取り込まれ、蓄積したグロボトリアオシルセラミド(GL‐3)を分解する。
18.2 酵素活性
〈本剤〉
本剤及びFabrazyme注)、ファブラザイム点滴静注用の酵素活性を、人工基質である4‐メチルウンベリフェリル‐α‐D‐ガラクトピラノシドを用いて測定した結果、本剤及びFabrazyme注)、ファブラザイム点滴静注用で力価(比活性)に差は確認されなかった。
18.3 正常ヒト線維芽細胞における細胞内取り込み
〈本剤〉
本剤とFabrazyme注)、ファブラザイム点滴静注用のM6P受容体依存性細胞内取り込みを、正常ヒト線維芽細胞を用いて比較した結果、本剤のM6P受容体を介した細胞内取り込み活性は、Fabrazyme注)、ファブラザイム点滴静注用と比べて高かった。(in vitro)
18.4 組織及び血漿GL‐3に対する効果
〈本剤〉
本剤とFabrazyme注)をα‐ガラクトシダーゼAノックアウトマウスに静脈内投与した結果、腎臓、心臓、皮膚、肝臓、脾臓及び血漿中のGL‐3減少効果は同様であった。
注)EUで承認されたアガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)製剤
18.5 薬理作用
〈ファブラザイム点滴静注用〉
α‐ガラクトシダーゼ ノックアウトマウスに静脈内投与した結果、肝臓、腎臓、脾臓、心臓、皮膚の組織中及び血漿中のGL‐3の有意な減少が認められた。
- 製造販売会社
- JCRファーマ
- 販売会社
- 住友ファーマ
おくすりのQ&A
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