ポムビリティ点滴静注用105mg

添付文書情報2025年08月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤の投与によりinfusion reaction、アナフィラキシーがあらわれる可能性がある。緊急時に十分な対応のできる準備をした上で投与を開始し、投与終了後も十分な観察を行うこと。重篤なinfusion reaction、アナフィラキシーが発現した場合には、速やかに本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと〔2.1、8.1、8.2、9.1.1、9.1.2、9.1.3、11.1.1参照〕。
1.2. 急性呼吸器疾患のある患者、又は心機能低下もしくは呼吸機能低下している患者に本剤を投与する場合、症状の急性増悪が起こる可能性があるので、患者の状態を十分に観察し、必要に応じて適切な処置を行うこと〔9.1.4参照〕。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対しアナフィラキシーショックの既往歴のある患者〔1.1、8.1、11.1.1参照〕。
2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
- 効能・効果
- 遅発型ポンペ病に対するミグルスタットとの併用療法。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤は2剤併用療法として用いるため、本剤の適用にあたっては、ミグルスタット(オプフォルダカプセル65mg)の電子添文も参照すること。
- 用法・用量
- ミグルスタットとの併用において、通常、体重40kg以上の成人にはシパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として、1回体重1kgあたり20mgを隔週点滴静脈内投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. ミグルスタットを投与してから1時間後に本剤の投与を開始すること。
7.2. 日局注射用水で溶解し、日局生理食塩液で希釈した後に投与すること。本剤20mg/kgを約4時間かけて投与する。初回点滴速度は1mg/kg/時以下とし、患者の忍容性が十分に確認された場合は、最大7mg/kg/時に達するまで、30分ごとに2mg/kg/時ずつ投与速度を上げることができる(点滴速度を上げる前には、都度バイタルサイン等を確認すること)。総点滴量及び点滴速度は次を参照すること〔14.1.2参照〕。
1). 体重範囲40-50kg:総点滴量250mL、第1段階(1mg/kg/時);点滴速度13mL/時、第2段階(3mg/kg/時);点滴速度38mL/時、第3段階(5mg/kg/時);点滴速度63mL/時、第4段階(7mg/kg/時);点滴速度88mL/時。
2). 体重範囲50.1-60kg:総点滴量300mL、第1段階(1mg/kg/時);点滴速度15mL/時、第2段階(3mg/kg/時);点滴速度45mL/時、第3段階(5mg/kg/時);点滴速度75mL/時、第4段階(7mg/kg/時);点滴速度105mL/時。
3). 体重範囲60.1-100kg:総点滴量500mL、第1段階(1mg/kg/時);点滴速度25mL/時、第2段階(3mg/kg/時);点滴速度75mL/時、第3段階(5mg/kg/時);点滴速度125mL/時、第4段階(7mg/kg/時);点滴速度175mL/時。
4). 体重範囲100.1-120kg:総点滴量600mL、第1段階(1mg/kg/時);点滴速度30mL/時、第2段階(3mg/kg/時);点滴速度90mL/時、第3段階(5mg/kg/時);点滴速度150mL/時、第4段階(7mg/kg/時);点滴速度210mL/時。
7.3. ミグルスタットの投与後3時間以内に本剤の投与を開始できない場合は、最後にミグルスタットを投与してから24時間以上経過後に改めて本併用療法を開始すること。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 本剤はタンパク質製剤であり、重度過敏症又はアナフィラキシーが起こる可能性が否定できないため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には速やかに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、このような症状の発現に備え、緊急処置を取れる準備をしておくこと。重度の過敏症又はアナフィラキシーが発現した後の本剤の再投与については、有益性と危険性を考慮して決定すること(再投与が必要な場合には、点滴速度を下げ、忍容性を確認しながら投与すること)〔1.1、2.1、9.1.1、9.1.2、11.1.1参照〕。
8.2. 本剤投与中又は投与後数時間以内にinfusion reactionが発現することがあるので、本剤投与中及び投与終了後も患者の状態を観察すること。infusion reactionが発現した場合は、投与速度の減速又は投与の一時中止、適切な薬剤治療(抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤等)、もしくは緊急処置を行うこと。また、本剤投与によるinfusion reactionを予防又は軽減させるために、本剤投与前に抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤の投与を考慮すること〔1.1、9.1.3、11.1.1参照〕。
9.1.1. 本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者〔1.1、8.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. アルグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)製剤又はアバルグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)製剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者:過敏症の発現に注意すること〔1.1、8.1、11.1.1参照〕。
9.1.3. infusion reactionの既往のある患者〔1.1、8.2、11.1.1参照〕。
9.1.4. 心機能低下又は呼吸機能低下した患者:infusion reactionが発現した場合、状態が悪化する可能性がある。また、心機能低下で水分制限又は呼吸機能低下で水分制限の適応となる患者では、本剤投与中は、適切な医学的処置とモニタリング手段がとれるように準備しておくこと(点滴投与中に水分過負荷により心機能又は呼吸状態の重篤な増悪を起こす可能性がある)〔1.2参照〕。
9.2.1. 中等度腎機能障害又は重度腎機能障害(クレアチニンクリアランス15mL/min以上60mL/min未満)患者:腎機能の程度及び体重に応じて、本剤に併用されるミグルスタットの用量を適宜減量すること。
9.2.2. 末期腎不全患者(クレアチニンクリアランス15mL/min未満):投与は推奨されない。
妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤及びミグルスタットの併用投与中及び最終投与後2週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. infusion reaction(23.5%)、アナフィラキシー(1.2%):本剤投与中又は投与終了後数時間以内に、頭痛、発熱、悪寒、悪心、蕁麻疹、そう痒症等のinfusion reactionがあらわれることがあるので、これらの症状が発現した場合、投与速度の減速又は投与の一時中止、適切な薬剤治療(抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤等)、もしくは緊急処置を行うこと〔1.1、2.1、8.1、8.2、9.1.1、9.1.2、9.1.3参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 神経系:(5%以上10%未満)頭痛、(1%以上5%未満)浮動性めまい、味覚不全、片頭痛、平衡障害、認知障害、錯感覚、傾眠、振戦。
2). 心臓:(1%以上5%未満)頻脈。
3). 精神:(1%以上5%未満)悪夢。
4). 血管:(1%以上5%未満)潮紅、高血圧。
5). 呼吸器:(1%以上5%未満)呼吸困難。
6). 消化器:(1%以上5%未満)腹部膨満、下痢、腹痛、鼓腸、食道痙攣。
7). 皮膚:(1%以上5%未満)皮膚そう痒症、発疹、蕁麻疹、紅斑性皮疹。
8). 筋骨格系:(1%以上5%未満)筋痙縮、筋力低下、筋骨格硬直、筋肉痛。
9). 全身及び局所反応:(1%以上5%未満)発熱、悪寒、胸部不快感、顔面痛、疲労、注入部位腫脹、倦怠感、疼痛。
10). 臨床検査:(1%以上5%未満)血中尿素増加、体温変動、リンパ球数減少。
11). 眼:(1%以上5%未満)眼瞼痙攣。
12). 傷害:(1%以上5%未満)皮膚擦過傷。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験において、ウサギに本剤175mg/kg/隔日(臨床曝露量の約111倍に相当)及びミグルスタット25mg/kg/隔日(臨床曝露量の約23倍に相当)を併用投与した時に心血管系奇形が報告されている)〔2.2、9.4生殖能を有する者の項参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトで哺乳中の児における影響は不明であるが、動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている)。
- 小児等
- 18歳未満の患者を対象とした臨床試験成績は得られていない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 溶解(1). 次記に従い患者の体重に基づいて、投与に必要なバイアル数(小数点以下は切り上げる)及び本剤の必要量を決定する。
・ 患者あたりの投与量(mg)=患者の体重(kg)×20mg/kg(体重あたりの投与量)。
・ 必要なバイアル数=患者あたりの投与量(mg)÷105mg(1バイアルあたりの含量)。
・ 本剤の必要量(mL)=患者あたりの投与量(mg)÷15mg/mL(溶解液の濃度)。
(2). 溶解時、必要なバイアル数を冷蔵庫から取り出し、室温になるまで放置する。
(3). 溶解前に目視にてバイアルを確認し、異物又は変色が認められる場合は使用しないこと。
(4). 1バイアルに日局注射用水7.2mLをバイアル内壁に沿ってゆっくり注入し溶液が泡立たないよう静かに溶解(シパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)濃度15mg/mL)(溶解時バイアル振とう等は避ける)。
(5). 溶解液は無色~微黄色の澄明又は乳濁した液で、肉眼で確認できる半透明~白色の微粒子はない(目視による確認で異物や変色が認められた場合は使用しないこと)。
溶解後、直ちに使用できない場合は、遮光した上で、2~8℃(凍結させないこと)で最長24時間保存できる。
14.1.2. 希釈(1). 体重範囲に対応した総点滴量となるように、日局生理食塩液の量を決定すること。“14.1.1”で算出した本剤の必要量と等量の生理食塩液を予め日局生理食塩液点滴バッグから抜き取っておく。“14.1.1”で算出した本剤必要量をバイアルからゆっくりと抜き取り、日局生理食塩液点滴バッグ内に静かに注入する(最終濃度2.4~4.0mg/mL)(点滴バッグを静かに回転させ気泡ができないようゆっくりと混和し、振とうしない)〔7.2参照〕。
(2). 希釈後は室温で速やかに使用すること(なお、希釈後、直ちに使用できない場合は、遮光した上で、2~8℃(凍結させないこと)で最長24時間保存できるが、その後25℃以下で6時間以内に使用すること)。
(3). 各バイアルは一回限りの使用とすること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 希釈後に冷蔵していた場合は、点滴バッグを室温に戻してから使用すること。
14.2.2. 輸液ポンプ及びタンパク質を吸着しにくい0.2μmのインラインフィルターを使用して本剤を投与すること。
14.2.3. 他剤<日局注射用水・日局生理食塩液を除く>との混注を行わないこと。
20.1. 外箱開封後は、遮光して保存すること。
20.2. 凍結を避けて保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報本剤はタンパク質製剤であり、本剤に対するIgG抗体産生される可能性がある。実施した臨床試験において、本併用投与を受けた151例で抗薬物抗体を評価した(酵素補充療法既治療患者117例、酵素補充療法未治療患者34例)。酵素補充療法既治療患者の抗薬物抗体発現割合は、ベースライン時が83.8%(98/117)、本併用投与後が95.7%(112/117例)であった。酵素補充療法未治療患者の抗薬物抗体発現割合は、ベースライン時が11.8%(4/34例)、本併用投与後が100%(34/34例)であった。酵素補充療法既治療患者における投与後の中和抗体の発現割合は88.0%(103/117例)であった。同様に酵素補充療法未治療患者における投与後の中和抗体の発現割合は、88.2%(30/34例)であった。
16.1 血中濃度
16.1.1 遅発型ポンペ病患者を対象とした投与
酵素補充療法の治療歴のある遅発型ポンペ病患者に本剤単独又は本剤とミグルスタットを隔週で反復併用投与したときの投与1回目及び3回目の本剤の薬物動態パラメータを表1に示す。(外国人データ)
表1 薬物動態パラメータ[幾何平均値(CV%)]
→図表を見る(PDF)
16.3 分布
遅発型ポンペ病患者100例(日本人6例を含む)から得られた血漿中濃度に基づく母集団薬物動態解析の結果、本剤の中心コンパートメントの分布容積は3.23Lと推定された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
母集団薬物動態解析から、本剤20mg/kgとミグルスタット260mgの隔週併用投与時の本剤の曝露量に対して、腎機能障害は大きな影響を及ぼさないと考えられた。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 遅発型ポンペ病を有する成人患者を対象とした二重盲検無作為化国際共同第III相試験
酵素補充療法の治療歴のある及び治療歴のない遅発型ポンペ病患者を対象として、本剤(1回体重1kgあたり20mgを隔週点滴静脈内投与)とミグルスタット(体重40kg以上50kg未満の場合は1回195mg、体重50kg以上の場合は1回260mgを隔週経口投与)(本併用群)又はアルグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)とプラセボ(対照群)を52週間投与し、有効性及び安全性を比較した。主要評価項目である6分間歩行距離(以下、「6MWD」)(m)のベースラインから投与52週時までの変化量は表1のとおりであり、本併用の対照に対する優越性は示されなかった。また、副次評価項目である座位努力性肺活量の予測正常値に対する割合(%)のベースラインから投与52週時までの変化量の平均値±標準偏差(評価例数)は、本併用群で-1.14±6.32(74例)、対照群で-3.63±4.70(32例)であった。
表1 ベースラインから投与52週時までの6MWDの変化量
→図表を見る(PDF)
本併用群での副作用は投与52週時までに30.6%(26/85例)に認められ、主な副作用は頭痛7.1%(6/85例)、下痢5.9%(5/85例)であった。
18.1 作用機序
本剤は遺伝子組換えヒト酸性α-グルコシダーゼであり、カチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体を介した細胞内取込みの増大を目的として、ビスマンノース-6-リン酸を有する糖鎖を含む。本剤は、ライソゾーム中グリコーゲンのα-1,4-及びα-1,6-グリコシド結合を加水分解することにより、グリコーゲンを分解し、ポンペ病患者の組織中に蓄積したグリコーゲンを低下させる。
18.2 薬理作用
ポンペ病動物モデルである酸性α-グルコシダーゼノックアウトマウスに本剤を投与することにより、心臓、骨格筋等でのグリコーゲン低下、筋機能の回復等が認められた。また、ミグルスタットの併用により、いずれの作用も本剤単独投与時に比較して大きい傾向が認められた。
- 製造販売会社
- アミカス・セラピューティクス
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