ソリクア配合注ソロスター

添付文書情報2023年02月改定(第5版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分又は他のインスリン グラルギン製剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 低血糖症状を呈している患者〔11.1.1参照〕。
2.3. 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[インスリンのみを含有する製剤による速やかな治療が必須となるので、本剤を投与すべきでない]。
2.4. 重症感染症、手術等の緊急の場合[インスリンのみを含有する製剤による血糖管理が望まれるので、本剤の投与は適さない]。
- 効能・効果
- インスリン療法が適応となる2型糖尿病。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤は食事療法・運動療法に加え、糖尿病用薬による治療で効果不十分な場合に使用を検討すること〔17.1参照〕。
- 用法・用量
- 通常、成人には、5~20ドーズ(インスリン グラルギン/リキシセナチドとして5~20単位/5~20μg)を1日1回朝食前に皮下注射する。ただし、1日1回5~10ドーズから開始し、患者の状態に応じて増減するが、1日20ドーズを超えないこと。
なお、本剤の用量単位である1ドーズには、インスリン グラルギン1単位及びリキシセナチド1μgが含まれる。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の投与は朝食前1時間以内に行い、食後の投与は行わないこと。
7.2. 本剤はインスリン グラルギンとリキシセナチドを配合した製剤であるため、患者の状態に応じて用量を増減するなど、投与量は慎重に決定すること。なお、本剤は1ドーズ刻みで調節可能である。
7.3. インスリン製剤以外の糖尿病用薬による治療で効果不十分な場合、5ドーズを目安として投与を開始すること。
7.3.1. GLP-1受容体作動薬による治療で効果不十分な場合、前治療で使用していたGLP-1受容体作動薬の投与を中止し、本剤と併用しないこと。週1回投与などの持続性GLP-1受容体作動薬から本剤に変更する場合、その作用持続性を考慮し、次回に予定していた投与タイミングから本剤の投与を開始すること。
7.4. 基礎インスリン製剤による治療で効果不十分な場合、前治療で使用していた基礎インスリン製剤の種類に応じ、次を参考に本剤の投与を開始すること(なお、いずれの場合も本剤の初期用量として10ドーズを超えないこと)〔17.1.3参照〕。
7.4.1. インスリン グラルギン100単位/mL製剤から本剤に変更する場合、通常初期用量は前治療のインスリン グラルギン100単位/mL製剤の1日投与量と同単位を目安として投与を開始する。
7.4.2. インスリン グラルギン300単位/mL製剤又は1日2回投与の基礎インスリン製剤から本剤に変更する場合、通常初期用量は前治療の基礎インスリン製剤の1日投与量よりも低用量を目安として投与を開始する。
7.4.3. インスリン グラルギン以外の1日1回投与の基礎インスリン製剤から本剤に変更する場合、通常初期用量は前治療の基礎インスリン製剤の1日投与量と同単位を目安として投与を開始する。
7.4.4. 基礎インスリン製剤による治療で効果不十分な場合、本剤の投与にあたっては、前治療で使用していた基礎インスリン製剤の投与を中止し、本剤と併用しないこと。
7.5. 本剤の1日用量として20ドーズを超える用量が必要な場合は、他の糖尿病用薬への切替えを検討すること。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 投与する場合には、血糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、3~4ヵ月間投与して効果が不十分な場合には、速やかに他の治療薬への切替えを行うこと。
8.2. 本剤の投与開始時及びその後数週間は血糖コントロールのモニタリングを十分に行うこと。特に、高用量の基礎インスリン製剤を投与している患者が本剤に切り替える場合は、血糖コントロールが一時的に悪化する可能性があることから、注意すること〔8.12参照〕。
8.3. 本剤の自己注射にあたっては、次の点に留意すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、必ず添付の取扱説明書を読むよう指導すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、すべての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。
8.4. 低血糖に関する注意について、その対処法も含め患者及びその家族に十分徹底させること〔9.1.3、11.1.1参照〕。
8.5. 急激な血糖コントロールに伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は糖尿病網膜症増悪、眼の屈折異常、治療後神経障害(主として有痛性神経障害)があらわれることがあるので注意すること。
8.6. 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること〔11.1.1参照〕。
8.7. 急性膵炎の初期症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)があらわれた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けるよう指導すること〔9.1.2、11.1.2参照〕。
8.8. 胃腸障害が発現した場合、急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮する等、慎重に対応すること〔9.1.2、11.1.2参照〕。
8.9. 胆石症、胆嚢炎、胆管炎又は胆汁うっ滞性黄疸が発現するおそれがあるので、腹痛等の腹部症状がみられた場合には、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、適切に対応すること〔11.1.4参照〕。
8.10. 本剤投与中は、甲状腺関連の症候の有無を確認し、甲状腺関連の異常が認められた場合には、専門医を受診するよう指導すること〔15.2.1参照〕。
8.11. 本剤の有効成分の一つであるリキシセナチドとDPP-4阻害薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有しており、本剤とDPP-4阻害薬との併用
患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
8.12. GLP-1受容体作動薬又は基礎インスリンとして1日15単位以上による治療で効果不十分な場合に本剤へ切り替えた際の有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない〔8.2、17.1参照〕。
8.13. 本剤と他の糖尿病用注射剤を取り違えないよう、毎回注射する前に本剤のラベル等を確認するよう患者に十分指導すること。
8.14. 同一箇所への繰り返し投与により、注射箇所に皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれることがあるので、定期的に注射箇所を観察するとともに、次の点を患者に指導すること。
・ 本剤の注射箇所は、少なくとも前回の注射箇所から2~3cm離すこと〔14.2.2参照〕。
・ 注射箇所の腫瘤や硬結が認められた場合には、当該箇所への投与を避けること。
8.15. 皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれた箇所に本剤を投与した場合、本剤の吸収が妨げられ十分な血糖コントロールが得られなくなることがあるので、血糖コントロールの不良が認められた場合には、注射箇所の腫瘤や硬結の有無を確認し、注射箇所の変更とともに投与量の調整を行うなどの適切な処置を行うこと(血糖コントロールの不良に伴い、過度に増量されたインスリン製剤が正常な箇所に投与されたことにより、低血糖に至った例が報告されている)。
9.1.1. 重症胃不全麻痺等の重度胃腸障害のある患者:使用経験がなく、胃腸障害の症状が悪化するおそれがある。
9.1.2. 膵炎の既往歴のある患者〔8.7、8.8、11.1.2参照〕。
9.1.3. 低血糖を起こすおそれのある次の患者又は状態。
・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全。
・ 下痢、嘔吐等の胃腸障害。
・ 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態。
・ 激しい筋肉運動。
・ 過度のアルコール摂取。
〔8.4、11.1.1参照〕。
9.1.4. 自律神経障害のある患者:低血糖の自覚症状が明確でないことがある。
9.2.1. 重度腎機能障害(クレアチニンクリアランス:30mL/min未満)又は末期腎不全の患者:低血糖を起こすおそれがある。
重度腎機能障害患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。末期腎不全の患者は臨床試験では除外されている〔11.1.1参照〕。
9.3.1. 重度肝機能障害のある患者:低血糖を起こすおそれがある。
重度肝機能障害患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない〔11.1.1参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). 糖尿病用薬(ビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア系薬剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害薬、インスリン製剤、SGLT2阻害剤等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕、また、低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤の減量を検討すること(血糖降下作用が増強される)。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること(血糖降下作用が増強される)]。
2). モノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリン分泌促進、糖新生抑制作用による血糖降下作用を有する)]。
3). 三環系抗うつ剤(ノルトリプチリン塩酸塩等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(機序は不明であるが、インスリン感受性を増強するなどの報告がある)]。
4). サリチル酸誘導体(アスピリン、エテンザミド)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(糖に対するβ細胞の感受性の亢進やインスリン利用率の増加等による血糖降下作用を有し、また、末梢で弱いインスリン様作用を有する)]。
5). 抗腫瘍剤(シクロホスファミド水和物)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリンが結合する抗体の生成を抑制し、その結合部位からインスリンを遊離させる可能性がある)]。
6). クロラムフェニコール[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(機序不明)]。
7). サルファ剤[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(膵臓でのインスリン分泌を増加させることにより、低血糖を起こすと考えられており、腎機能低下、空腹状態遷延、栄養不良、過量投与が危険因子となる)]。
8). シベンゾリンコハク酸塩、ジソピラミド、ピルメノール塩酸塩水和物[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリン分泌作用
を認めたとの報告がある)]。
9). フィブラート系薬剤[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(インスリン感受性増強等の作用により、本剤の作用を増強する)]。
10). レセルピン[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある)]。
11). チアジド系利尿剤(トリクロルメチアジド)、ループ利尿剤(フロセミド)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(カリウム喪失が関与すると考えられており、カリウム欠乏時には、血糖上昇反応に対するβ細胞のインスリン分泌能が低下する可能性がある)]。
12). 副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン、トリアムシノロン)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する)]。
13). ACTH(テトラコサクチド酢酸塩)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(副腎皮質刺激作用により糖質コルチコイドの分泌が増加し、糖質コルチコイドは、糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する)]。
14). アドレナリン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(糖新生亢進、末梢での糖利用抑制、インスリン分泌抑制による血糖上昇作用を有する)]。
15). グルカゴン、甲状腺ホルモン(レボチロキシンナトリウム水和物、乾燥甲状腺)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する)]。
16). 成長ホルモン(ソマトロピン)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(抗インスリン様作用による血糖上昇作用を有する)]。
17). 卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール、結合型エストロゲン)、経口避妊薬[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(末梢組織でインスリンの作用
に拮抗する)]。
18). ニコチン酸[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(末梢組織でのインスリン感受性を低下させるため耐糖能障害を起こす)]。
19). 濃グリセリン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(代謝されて糖になるため、血糖値が上昇する)]。
20). イソニアジド[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(炭水化物代謝を阻害することによる血糖上昇作用を有する)]。
21). ダナゾール[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリン抵抗性を増強するおそれがある)]。
22). フェニトイン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリン分泌抑制作用を有する)]。
23). ブセレリン酢酸塩[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序不明、耐糖能を悪化させることがある)]。
24). フェノチアジン誘導体[血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序不明であるが、動物実験(ラット)において、インスリン分泌が低下したとの報告がある)]。
25). たん白同化ステロイド(メスタノロン)[血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序不明)]。
26). ソマトスタチンアナログ製剤(オクトレオチド酢酸塩等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある)]。
27). ペンタミジンイセチオン酸塩[血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(膵臓のβ細胞に作用し、初期に低血糖、それに引き続いて高血糖を起こすことがある)]。
28). β-遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、アテノロール、ピンドロール、セリプロロール塩酸塩等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(アドレナリンによる低血糖からの回復反応を抑制し、また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性があり、また、インスリン感受性は薬剤により増強あるいは減弱することが報告されている)]。
29). 炭酸リチウム[血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序不明、インスリン分泌が減少したとの報告、逆に低血糖が発現したとの報告がある)]。
30). クロニジン[血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序不明、血糖値が低下したとの報告、逆に血糖値を上昇させたとの報告があり、また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある)]。
31). 吸収遅延により効果が減弱される薬剤<経口>(抗生物質<経口>、経口避妊薬等)[リキシセナチドの胃内容排出遅延作用が、併用する経口剤の吸収に影響を与えるおそれがあるため、血中濃度が一定の閾値に達することにより有効性を示す経口剤を併用
する場合は、本剤投与の1時間以上前、又は11時間以上後にそれらの薬剤を服用すること〔16.7参照〕(リキシセナチドの胃内容排出遅延作用による)]。
32). クマリン系化合物:①. クマリン系化合物(ワルファリンカリウム)[血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがあるので、併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること〔11.1.1参照〕(機序不明)]。
②. クマリン系化合物<経口>(ワルファリンカリウム<経口>)[リキシセナチドの類薬<エキセナチド>でプロトロンビン時間国際標準比<INR>の延長が報告されているので、本剤と併用する場合には、併用開始時あるいは終了時にINR値を測定するなど、観察を十分に行うこと〔16.7参照〕(リキシセナチドの胃内容排出遅延作用による)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 低血糖:脱力感、倦怠感、高度空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、痙攣、意識障害(意識混濁、昏睡)等があらわれることがある。低血糖が無処置の状態が続くと低血糖昏睡等を起こし、重篤な転帰(中枢神経系の不可逆的障害、死亡等)をとるおそれがある。
長期にわたる糖尿病、糖尿病性神経障害、β-遮断剤投与中あるいは強化インスリン療法が行われている場合では、低血糖の初期の自覚症状(冷汗、振戦等)が通常と異なる場合や、自覚症状があらわれないまま、低血糖あるいは低血糖性昏睡に陥ることがある。
低血糖症状が認められた場合には糖質を含む食品を摂取する等、適切な処置を行うこと。
α-グルコシダーゼ阻害剤との併用時に低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。低血糖症状が認められ経口摂取が不可能な場合は、ブドウ糖の静脈内投与やグルカゴンの筋肉内投与等、適切な処置を行うこと。
低血糖は臨床的に回復した場合にも、再発することがあるので継続的に観察すること。
臨床試験で報告された重篤な低血糖の発現割合は、0.1%(1/676例)であった〔2.2、8.4、8.6、9.1.3、9.2.1、9.3.1、9.8高齢者の項、10.2参照〕。
11.1.2. 急性膵炎(頻度不明):GLP-1受容体作動薬の使用は、急性膵炎のリスクの増加に関連しているので、急性膵炎に特徴的な症状(嘔吐を伴う持続的な腹痛等)が認められた場合には、本剤の投与を中止すること。また急性膵炎と診断された場合には、本剤の再投与は行わないこと〔8.7、8.8、9.1.2参照〕。
11.1.3. ショック、アナフィラキシー(頻度不明):全身性皮膚反応、血管神経性浮腫、気管支痙攣、低血圧等の異常が認められた場合には投与を中止すること。
11.1.4. 胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸(いずれも頻度不明)〔8.9参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 消化器:(5%以上)悪心、(1~5%未満)腹部不快感、下痢、嘔吐、消化不良、便秘、胃腸炎、食欲不振、(1%未満)腹部膨満、腹痛。
2). 肝胆道:(頻度不明)胆石症。
3). 皮膚:(1%未満)多汗症、(頻度不明)蕁麻疹。
4). 精神神経系:(1~5%未満)めまい、振戦、(1%未満)傾眠、(頻度不明)頭痛。
5). 注射部位:(1~5%未満)注射部位反応(内出血、紅斑、浮腫、そう痒等)、(頻度不明)リポジストロフィー(皮下脂肪萎縮・皮下脂肪肥厚等)、皮膚アミロイドーシス。
6). 感染:(頻度不明)上咽頭炎、上気道感染。
7). その他:(1~5%未満)疲労、(1%未満)倦怠感、空腹感。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(生理機能が低下していることが多く、胃腸障害及び低血糖が発現しやすい)〔11.1.1、16.6.2参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては本剤を投与しないで、インスリン製剤を使用すること(リキシセナチドのヒトにおける潜在的なリスクは不明であるが、リキシセナチドにおける動物実験では、生殖発生毒性が報告されており、胚・胎仔発生に関する試験において、ラットではヒトにリキシセナチドを1回20μg、1日1回投与時の血漿中曝露量(AUC)の少なくとも約4.6倍で胎仔成長遅延、胎仔骨格異常及び胎仔骨化遅延、ウサギでは約32倍で骨化遅延が認められた)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)において、微量のリキシセナチドが乳汁中へ移行することが認められている)。授乳を継続する場合、授乳期にはインスリンの需要量が変化しやすいため、用量に留意し、定期的に検査を行い投与量を調整すること。
- 小児等
- 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与前の注意14.1.1. 本剤はJIS T 3226-2に準拠したA型専用注射針を用いて使用すること。
14.1.2. 本剤とA型専用注射針との装着時に液漏れ等の不具合が認められた場合には、新しい注射針に取り替える等の処置方法を患者に十分指導すること。
14.1.3. 本剤と他の製剤を混合しないこと。
14.1.4. 本剤は無色澄明な液である。液に濁りがある場合、又は変色や粒子を認める場合には使用しないこと。
14.1.5. 本剤のカートリッジにひびが入っている場合は使用しないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 1本を複数の患者に使用しないこと。
14.2.2. 皮下注射は腹部・大腿部又は上腕部に行う。同一部位内で投与する場合は前回の注射箇所より2~3cm離して注射すること〔8.14参照〕。
14.2.3. 静脈内及び筋肉内に投与しないこと。皮下注射したとき、まれに注射針が血管内に入り、注射後直ちに低血糖があらわれることがあるので注意すること。
20.1. 使用開始後は本剤を冷蔵庫に保存せず、キャップ等により遮光して保存すること。
20.2. 使用開始後31日以内に使用すること(使用時の安定性試験(25℃±2)に基づく)。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
15.1.2. インスリンとピオグリタゾンを併用した場合、浮腫が多く報告されているので、併用する場合には、浮腫及び心不全の徴候を十分観察しながら投与すること。
15.1.3. ヒトインスリンに対する獲得抗体を有し高用量のインスリンを必要としている患者では、他のインスリン製剤から本剤に変更することによって、本剤の需要量が急激に変化することがある(また、本剤の投与により、インスリン グラルギン又はリキシセナチドに対する抗体が産生される可能性があり、まれに、これらの抗体による血糖値変動があらわれ、用量調節が必要となることがある)。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. リキシセナチドにおいて、ラット及びマウスにおける2年間のがん原性試験にて、ヒトでの治療用量に比べ高用量の投与により非致死性甲状腺C細胞腫瘍が認められた。
本剤の国内第3相試験で評価した甲状腺C細胞増殖との関連が疑われる有害事象について、本剤群、リキシセナチド群及びインスリン グラルギン群のいずれの投与群においても全般的に臨床的に意味のある変動はみられず、投与群間における明らかな違いは認められなかった。
甲状腺髄様癌の既往のある患者及び甲状腺髄様癌又は多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴のある患者に対する本剤の安全性は確立していない〔8.10参照〕。
15.2.2. リキシセナチドにおいて、ラットでの生殖試験では影響は認められなかったが、イヌを用いた反復投与毒性試験において、ヒトに本剤1回20μg、1日1回投与したときの血漿中曝露量(AUC)の117倍で精巣への影響及び精巣上体への影響(精細管拡張、精子低形成、無精子症及び上皮変性等)がみられた。健康成人男性に投与した試験では精子形成に影響は認められなかった。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
(1)日本人2型糖尿病患者20例に本剤2用量(5単位/5μg及び10単位/10μg)注1)を単回皮下投与したときのリキシセナチドの薬物動態パラメータは次表のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
単回皮下投与後の血漿中リキシセナチド濃度推移(平均値+標準偏差)
(2)外国人1型糖尿病患者21例にインスリン グラルギン0.4単位/kg・リキシセナチド0.264μg/kgの配合比で注1)単回皮下投与したときのインスリン グラルギンの薬物動態パラメータは次表のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
注1)本剤の承認用量は、開始用量5~10ドーズ(5~10単位/5~10μg)、最大用量20ドーズ(20単位/20μg)である。
16.2 吸収
16.2.1 投与部位による比較
(1)インスリン グラルギン
健康成人男子12例に、125I‐インスリン グラルギン0.2単位/kgを上腕部、大腿部及び腹部に単回皮下投与したとき、血清中インスリン濃度、血清中外因性インスリン濃度並びに血糖値の推移に差はみられなかった。また、血清中インスリン濃度及び外因性インスリン濃度のAUC及びCmax、血糖値のAUC及び最大降下度に投与部位間で有意な差は認められなかった。これらのことから本剤の薬理作用に投与部位による差はないと考えられた(外国人データ)。
(2)リキシセナチド
過体重及び肥満被験者43例の異なる部位(腹部、上腕部、大腿部)にリキシセナチド10μgを単回皮下投与したとき、腹部投与に対する相対的バイオアベイラビリティ(AUClast比[90%信頼区間])は、上腕部で1.06[0.93、1.21]及び大腿部で1.00[0.88、1.14]であった(外国人データ)。
16.3 分布
リキシセナチドのヒト血漿たん白質への結合は、約500~50,000pg/mLの濃度において、55%であった(in vitro)。
16.4 代謝
リキシセナチドは、CYP分子種(CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP3A)に対する誘導作用を示さなかった。また、CYP分子種(CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A)に対する阻害作用を示さなかった(in vitro)。
リキシセナチドのヒト血漿中における代謝は非常に緩徐(半減期約35時間)であった(in vitro)。
16.5 排泄
ペプチドであるリキシセナチドは、標準的なたん白分解過程によって小さなペプチド及びアミノ酸に分解され、ペプチド(平均分子量50kDa未満)は腎ろ過後の尿細管再吸収と代謝により消失すると考えられる。
リキシセナチドは、ヒトトランスポーター(hOCT2、hOATP1B1)に対する阻害作用を示さなかった(in vitro)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害
リキシセナチド5μg注2)を腎機能正常被験者(クレアチニンクリアランス(CLCR):>80mL/min)、軽度腎機能障害患者(CLCR:50mL/min以上80mL/min以下)、中等度腎機能障害患者(CLCR:30mL/min以上50mL/min未満)及び重度腎機能障害患者(CLCR:30mL/min未満)各8例に単回皮下投与したとき、リキシセナチドのCmaxは腎機能正常被験者と比較して、軽度、中等度及び重度腎機能障害患者でそれぞれ約1.0、1.0及び1.3倍であり、AUC∞は1.1、1.2及び1.5倍であった。また、腎機能正常被験者、軽度、中等度及び重度腎機能障害患者のt1/2zはそれぞれ2.62、2.41、2.62及び2.87時間であった(外国人データ)。
注2)リキシセナチド単剤の開始用量は1日1回10μg、最大量は1日1回20μgである。
16.6.2 高齢者
リキシセナチド20μgを高齢健康被験者(65~79歳、CLCR:50.5~91.8mL/min)及び若年健康被験者(24~44歳、CLCR:82.4~163.9mL/min)各18例に単回皮下投与したとき、Cmaxは同様であったものの、高齢健康被験者群ではAUC∞が約1.3倍増加し、t1/2zは約1.6倍延長した(外国人データ)。[9.8参照]
16.7 薬物相互作用
健康被験者15例にリキシセナチド10μg投与の1時間後又は4時間後にアセトアミノフェン1,000mgを単回投与したとき、リキシセナチド非投与時と比較して、アセトアミノフェンのtmax(中央値)はそれぞれ4.50時間及び2.00時間に延長し、Cmaxはそれぞれ71%及び69%に低下したが、AUC∞に対する影響は認められなかった。リキシセナチド投与の1時間前にアセトアミノフェンを投与したとき、アセトアミノフェンの薬物動態に変化はみられなかった(外国人データ)。
また、リキシセナチド10μgと経口避妊薬、リキシセナチド20μgとワルファリン、ラミプリル、アトルバスタチン又はジゴキシンを併用した相互作用試験の結果を次表に示す。リキシセナチド投与後に次表の経口薬を投与したとき、各経口薬のCmaxは低下しtmaxは遅延した。一方、リキシセナチド投与の1時間前に経口避妊薬を投与したとき、経口避妊薬の薬物動態に変化は見られなかった。なお、リキシセナチドとワルファリンを併用した相互作用試験において、INRの延長は認められなかった(外国人データ)。[10.2参照]
リキシセナチド10μgと経口避妊薬、リキシセナチド20μgとワルファリン、ラミプリル、アトルバスタチン又はジゴキシンを併用した相互作用試験の結果
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17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 経口血糖降下薬で治療中のインスリン未治療例を対象とした国内第3相試験(GLP‐1受容体作動薬との比較)
食事・運動療法に加えて、経口血糖降下薬で血糖コントロール不十分なインスリン未治療の2型糖尿病患者321例を対象に、本剤(161例)又はリキシセナチド(160例)を1日1回朝食前に投与した。本剤の開始用量は、5ドーズとした。本剤の投与量は、朝食前空腹時の自己血糖測定値に基づき、週1回調節した。用量の調節幅は、+2から-3ドーズ以上とした。本剤の最高用量は、20ドーズとした。リキシセナチドは10μgから開始し、1週間の間隔で5μgずつ漸増し、20μgまで増量した。治験薬投与期間中、基礎治療薬として、経口血糖降下薬(メトホルミン、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤、SGLT2阻害剤、α‐グルコシダーゼ阻害剤、又はチアゾリジン系薬剤)1剤又は2剤を併用できることとした。投与26週時(LOCF)の本剤の1日投与量(平均値±標準偏差)は、16.69±4.19ドーズであった。主要評価項目である投与開始時から投与26週時(LOCF)までのHbA1cの変化量において本剤群はリキシセナチド群と比較して統計的に有意に低下した(p<0.0001)。
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52週時までの血糖値70mg/dL以下の症候性低血糖の発現は次表のとおりであった。重症低血糖は、両群ともに認められなかった。
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副作用発現割合(52週間)は、本剤群31.7%(51/161例)、リキシセナチド群48.1%(77/160例)であり、主な副作用は、悪心〔本剤群12.4%(20/161例)、リキシセナチド群26.9%(43/160例)〕であった。[8.12参照]
17.1.2 経口血糖降下薬で治療中のインスリン未治療例を対象とした国内第3相試験(基礎インスリン製剤との比較)
食事・運動療法に加えて、経口血糖降下薬で血糖コントロール不十分なインスリン未治療の2型糖尿病患者521例を対象に、本剤(260例)を1日1回朝食前、又はインスリン グラルギン(261例)を1日1回朝食前又は就寝前に投与した。本剤及びインスリン グラルギンの開始用量は、5ドーズ及び5単位とした。本剤及びインスリン グラルギンの投与量は、朝食前空腹時の自己血糖測定値に基づき、週1回調節した。用量の調節幅は、+2から-3ドーズ以上及び+2から-3単位以上とした。本剤及びインスリン グラルギンの最高用量は、20ドーズ及び20単位とした。治験薬投与期間中、基礎治療薬として、経口血糖降下薬(メトホルミン、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤、SGLT2阻害剤、α‐グルコシダーゼ阻害剤、又はチアゾリジン系薬剤)1剤又は2剤を併用できることとした。主要評価項目である投与開始時から投与26週時(LOCF)までのHbA1cの変化量において、本剤群はインスリン グラルギン群と比較して統計的に有意に低下した(p<0.0001)。
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26週時までの血糖値70mg/dL以下の症候性低血糖は次表のとおりであった。重症低血糖は、両群ともに認められなかった。
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副作用発現割合(26週間)は、本剤群26.5%(69/260例)、インスリン グラルギン群6.1%(16/261例)であり、主な副作用は、悪心〔本剤群7.7%(20/260例)、インスリン グラルギン群0.8%(2/261例)〕であった。[8.12参照]
17.1.3 インスリン既治療例を対象とした国内第3相試験(基礎インスリン製剤との比較)
基礎インスリン製剤及び経口血糖降下薬で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者512例を対象に、本剤(255例)を1日1回朝食前、又はインスリン グラルギン(257例)を1日1回朝食前又は就寝前に投与した。導入期に基礎インスリンとしてインスリン グラルギンを12週間投与した後、本剤又はインスリン グラルギンが投与された。無作為割付け前直近の3日間に算出したインスリン グラルギンの平均投与量が5単位/日以上15単位/日未満の患者が割り付けられた。本剤の開始用量は、無作為割付け前日のインスリン グラルギンの1日投与量が10単位以下の場合には同じ用量のインスリン グラルギンが含まれる投与量(5ドーズ以上10ドーズ以下)、10単位超の場合には10ドーズ、インスリン グラルギンの開始用量は、無作為割付け前日のインスリン グラルギンと同単位とした。本剤及びインスリン グラルギンの投与量は、朝食前空腹時の自己血糖測定値に基づき、週1回調節した。用量の調節幅は、+2から-3ドーズ以上及び+2から-3単位以上とした。本剤及びインスリン グラルギンの最高用量は、20ドーズ及び20単位とした。治験薬投与期間中、基礎治療薬として、メトホルミンを併用した。本剤の投与開始時の1日投与量(平均値±標準偏差)は、9.08±1.69ドーズであった。主要評価項目である投与開始時から投与26週時(LOCF)までのHbA1c変化量において、本剤群はインスリン グラルギン群と比較して統計的に有意に低下した(p<0.0001)。
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26週時までの血糖値70mg/dL以下の症候性低血糖は次表のとおりであった。重症低血糖は、インスリン グラルギン群の1例に認められ、本剤群では認められなかった。
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副作用発現割合(26週間)は、本剤群29.0%(74/255例)、インスリン グラルギン群2.3%(6/257例)であり、主な副作用は、悪心〔本剤群16.9%(43/255例)、インスリン グラルギン群0%(0/257例)〕であった。[7.4、8.12参照]
18.1 作用機序
本剤は、持効型溶解インスリンアナログ製剤のインスリン グラルギンとGLP‐1受容体作動薬のリキシセナチドを含有する配合剤である。
インスリン グラルギンは中性のpH領域で低い溶解性を示すように設計されたヒトインスリンアナログであり、約pH4の無色澄明な溶液であるが、皮下に投与すると直ちに生理的pHにより微細な沈殿物を形成する。皮下に滞留したこの沈殿物からインスリン グラルギンが緩徐に溶解し、皮下から血中に移行することから、24時間にわたりほぼ一定の濃度で明らかなピークを示さない血中濃度推移を示す。
インスリン及びインスリン グラルギンを含むその誘導体の主要な活性は、グルコース代謝の調節にある。インスリン及びその誘導体は、末梢におけるグルコースの取り込み、特に骨格筋及び脂肪による取り込みを促進し、また肝におけるグルコース産生を阻害することによって血糖値を降下させる。更に、たん白分解を阻害し、たん白合成を促進するとともに、脂肪細胞における脂肪分解を阻害する。
リキシセナチドは44個のアミノ酸で構成されるペプチドであり、トカゲ(Heloderma Suspectum)由来のエキセンディン‐4(Exendin‐4)と類似した合成GLP‐1受容体作動薬である。N末端を変換することにより、DPP‐4による分解に抵抗性を示すことに加え、C‐末端を伸張することによりGLP‐1よりも安定性が増していると考えられる。リキシセナチドは、GLP‐1受容体に結合することにより細胞内cAMPを上昇させ、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を刺激する。
18.2 薬理作用
18.2.1 血糖降下作用
インスリン グラルギンとリキシセナチドとの併用投与により、2型糖尿病マウスの血糖値の低下及び糖負荷後の血糖値上昇の抑制が認められ、正常血糖イヌを用いた経口糖負荷試験において血糖値上昇が抑制された。
18.2.2 グルコース応答性インスリン分泌作用
リキシセナチドでの灌流ラット膵標本を用いたin vitroインスリン分泌能試験において、リキシセナチドは低グルコース濃度下では作用を示さず、高グルコース濃度下ではインスリン分泌を対照と比較して有意に増加させた。
18.2.3 グルカゴン分泌抑制作用
2型糖尿病患者にリキシセナチドを1日1回、計28日間(第1~14日目:10μg、第15~28日目:20μg)皮下投与した場合に、第28日目における食事負荷時のグルカゴン血漿中濃度AUC0:30-4:30h注)は、投与開始前に比べ低下した(外国人データ)。
注)AUC0:30-4:30h:標準朝食摂取開始時(本剤投与後30分;0:30h)から朝食摂取後4時間(本剤投与後4時間30分;4:30h)まで測定したグルカゴン血漿中濃度AUC
18.2.4 胃内容排出遅延作用
リキシセナチドでのマウスを用いたin vivo試験において、リキシセナチドは用量依存的に胃内容排出を抑制した。
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